JPH09191698A - 永久磁石形同期電動機の速度推定方法及びその回転子ずれ角推定方法並びに回転子位置修正方法 - Google Patents
永久磁石形同期電動機の速度推定方法及びその回転子ずれ角推定方法並びに回転子位置修正方法Info
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- JPH09191698A JPH09191698A JP8003690A JP369096A JPH09191698A JP H09191698 A JPH09191698 A JP H09191698A JP 8003690 A JP8003690 A JP 8003690A JP 369096 A JP369096 A JP 369096A JP H09191698 A JPH09191698 A JP H09191698A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 永久磁石形同期電動機のγ−δ軸に発生する
誘起電圧を精度良く推定する。 【解決手段】 時間k・TS時(k=0,1,・・,TS
はサンプリングタイム)に同期電動機に供給される2相
分のステータ電流を検出し、回転子上に設定したγ−δ
座標系に変換することにより、γ軸電流iγ(k)、δ
軸電流iδ(k)を導出し、これらと前回推定されたγ
軸電流iγest(k)、δ軸電流iδest(k)との差を
補正量、γ−δ軸座標系に変換された電圧指令値Vγ*
(k)とVδ*(k)を入力とし、回転子が回転するこ
とにより発生するγ軸の誘起電圧εγ(k)とδ軸の誘
起電圧εδ(k)を、回転子が回転していない時の電流
応答に対する外乱として状態推定器8を構成し、時間
(k+1)・TS秒のγ−δ軸座標系における電流iγ
est(k+1)、iδest(k+1)および誘起電圧εγ
est(k+1)、εδest(k+1)を推定する。
誘起電圧を精度良く推定する。 【解決手段】 時間k・TS時(k=0,1,・・,TS
はサンプリングタイム)に同期電動機に供給される2相
分のステータ電流を検出し、回転子上に設定したγ−δ
座標系に変換することにより、γ軸電流iγ(k)、δ
軸電流iδ(k)を導出し、これらと前回推定されたγ
軸電流iγest(k)、δ軸電流iδest(k)との差を
補正量、γ−δ軸座標系に変換された電圧指令値Vγ*
(k)とVδ*(k)を入力とし、回転子が回転するこ
とにより発生するγ軸の誘起電圧εγ(k)とδ軸の誘
起電圧εδ(k)を、回転子が回転していない時の電流
応答に対する外乱として状態推定器8を構成し、時間
(k+1)・TS秒のγ−δ軸座標系における電流iγ
est(k+1)、iδest(k+1)および誘起電圧εγ
est(k+1)、εδest(k+1)を推定する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石形同期電
動機の速度推定方法及びその回転子ずれ角推定方法並び
に回転子位置修正方法に関する。
動機の速度推定方法及びその回転子ずれ角推定方法並び
に回転子位置修正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】永久磁石を回転子とするブラシレスDC
モータを同期電動機として運転する場合、回転子の絶対
位置を得て、正確な電流制御を行う必要がある。回転子
の絶対位置を得るためには、エンコーダやレゾルバなど
の回転子位置検出器を用いることが一般的であるが、配
線や構造の複雑さ、価格や使用環境などについて問題が
あるため、回転子位置検出器を用いないで回転子の磁極
位置を求める方法が提案されている。従来の永久磁石形
同期電動機の磁極位置推定方法としては、[1] 電学
論D、113巻、5号、平成5 p579〜586、
[2] 電学論D、114巻、5号、平成6 p591
〜592、[3] 電学論D、115巻、4号、平成7
p420〜427が知られている。[1]は、固定子
上に設定された軸α−β座標系に変換されたステータ電
流iα,iβを観測値、ステータ電圧vα,vβを入力
とし、α−β軸座標系の磁束λα,λβ、および回転子
速度を適応則を用いて推定する方法である。[2]は、
α−β座標系に変換されたステータ電流iα,iβを観
測値、ステータ電圧vα,vβを入力とし、α−β軸座
標系におけるα軸方向に発生する誘起電圧εα、β軸方
向に発生する誘起電圧εβを外乱として推定する方法で
ある。[3]は、回転子上に設定した、同期速度で回転
するγ−δ座標系に変換されたステータ電流iγ,iδ
と、モデルより算出された電流計算値iγ0、iδ0との
差より、γ−δ軸とd−q軸とのずれ角θeを推定する
方法である。
モータを同期電動機として運転する場合、回転子の絶対
位置を得て、正確な電流制御を行う必要がある。回転子
の絶対位置を得るためには、エンコーダやレゾルバなど
の回転子位置検出器を用いることが一般的であるが、配
線や構造の複雑さ、価格や使用環境などについて問題が
あるため、回転子位置検出器を用いないで回転子の磁極
位置を求める方法が提案されている。従来の永久磁石形
同期電動機の磁極位置推定方法としては、[1] 電学
論D、113巻、5号、平成5 p579〜586、
[2] 電学論D、114巻、5号、平成6 p591
〜592、[3] 電学論D、115巻、4号、平成7
p420〜427が知られている。[1]は、固定子
上に設定された軸α−β座標系に変換されたステータ電
流iα,iβを観測値、ステータ電圧vα,vβを入力
とし、α−β軸座標系の磁束λα,λβ、および回転子
速度を適応則を用いて推定する方法である。[2]は、
α−β座標系に変換されたステータ電流iα,iβを観
測値、ステータ電圧vα,vβを入力とし、α−β軸座
標系におけるα軸方向に発生する誘起電圧εα、β軸方
向に発生する誘起電圧εβを外乱として推定する方法で
ある。[3]は、回転子上に設定した、同期速度で回転
するγ−δ座標系に変換されたステータ電流iγ,iδ
と、モデルより算出された電流計算値iγ0、iδ0との
差より、γ−δ軸とd−q軸とのずれ角θeを推定する
方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の方法では、[1]については、極性のある永久磁石形
同期電動機に採用した場合は、α−β座標上では、イン
ダクタンスがモータ回転子角θrの関数となり、状態方
程式が複雑であり、オブザーバを構成する際、計算量が
増大し、実用化が困難である。また磁束λα、λβを未
知量としているため、状態方程式は、回転子速度0にお
いて不可観測となり、推定器自体が不安定となる。
[2]については、α−β軸に変換した誘起電圧は交流
量となるため、オブザーバの極を大きく設定しなければ
実際量と推定量との位相差が発生し、使い物にならなく
なる。[3]は、[1],[2]に比較し、簡便な手法
であり、しかも、d−q軸とほぼ同期した角速度で回転
するγ−δ軸を基準として考えているため、d−q軸と
γ−δ軸のズレθeが小さいときは、状態方程式も複雑
化せず、実用化に関してすぐれた方法である。しかし、
実際値と比較するものが、d−q軸にγ−δ軸が一致し
たときのモデルから単純に導かれた計算値であり、ズレ
θeがモデル化誤差などにより、正しく推定できるとは
限らない。そこで本発明が解決すべき課題は、γ−δ軸
に発生する誘起電圧εγ、εδを精度良く推定し、γ−
δ軸とd−q軸とのズレθe、回転子の角速度ωrmを導
出することにある。
の方法では、[1]については、極性のある永久磁石形
同期電動機に採用した場合は、α−β座標上では、イン
ダクタンスがモータ回転子角θrの関数となり、状態方
程式が複雑であり、オブザーバを構成する際、計算量が
増大し、実用化が困難である。また磁束λα、λβを未
知量としているため、状態方程式は、回転子速度0にお
いて不可観測となり、推定器自体が不安定となる。
[2]については、α−β軸に変換した誘起電圧は交流
量となるため、オブザーバの極を大きく設定しなければ
実際量と推定量との位相差が発生し、使い物にならなく
なる。[3]は、[1],[2]に比較し、簡便な手法
であり、しかも、d−q軸とほぼ同期した角速度で回転
するγ−δ軸を基準として考えているため、d−q軸と
γ−δ軸のズレθeが小さいときは、状態方程式も複雑
化せず、実用化に関してすぐれた方法である。しかし、
実際値と比較するものが、d−q軸にγ−δ軸が一致し
たときのモデルから単純に導かれた計算値であり、ズレ
θeがモデル化誤差などにより、正しく推定できるとは
限らない。そこで本発明が解決すべき課題は、γ−δ軸
に発生する誘起電圧εγ、εδを精度良く推定し、γ−
δ軸とd−q軸とのズレθe、回転子の角速度ωrmを導
出することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の永久磁石形同期電動機の速度推定方法は、
永久磁石を回転子とし、回転子の磁極上に設定したd−
q軸に、回転子上に想定したγ−δ軸が一致するように
制御する永久磁石形同期電動機の制御方法において、時
間k・TS時(但し、k=0,1,2,3,・・・,TS
はサンプリングタイム)に同期電動機に供給される少な
くとも2相分のステータ電流を検出し、同ステータ電流
をγ−δ座標系に変換することにより、γ軸電流iγ
(k)及びδ軸電流iδ(k)を導出し、これらのγ軸
電流iγ(k)及びδ軸電流iδ(k)と前回の制御ル
ープで推定されたγ軸電流iγest(k)及びδ軸電流
iδest(k)との差iγ(k)−iγest(k)及びi
δ(k)−iδest(k)を補正量、γ−δ軸座標系に
変換された電圧指令値Vγ*(k)とVδ*(k)を入力
とし、同期電動機の回転子が回転することにより発生す
るγ軸の誘起電圧εγ(k)とδ軸の誘起電圧εδ
(k)を、回転子が回転していない時の電流応答に対す
る外乱として状態推定器を構成し、時間(k+1)・T
S秒のγ−δ軸座標系における電流iγest(k+1)及
びiδest(k+1)並びに誘起電圧εγest(k+1)
及びεδest(k+1)を推定し、この推定された誘起
電圧εδest(k+1)の符号より、回転子の速度の符
号を判別し、前記誘起電圧εγest(k+1)とεδest
(k+1)の2乗和と前記判別された符号より、回転子
の角速度ωrm(k+1)の推定値ωrmest(k+1)を
推定することを特徴とする。また、本発明の永久磁石形
同期電動機の回転子ずれ角推定方法は、前記の方法によ
り推定されたγ軸誘起電圧推定値εγest(k+1)と
回転子の角速度推定値ωrmest(k+1)より、回転子
の永久磁石上に設定したd−q座標と前記γ−δ座標と
のずれ角θe(k+1)を推定することを特徴とする。
また、本発明の永久磁石形同期電動機の回転子位置修正
方法は、前記の方法により推定されたずれ角θeest(k
+1)にゲインを乗じた値より、(k+1)番目の制御
ループで使用するγ−δ軸の位置を修正することを特徴
とする。
め、本発明の永久磁石形同期電動機の速度推定方法は、
永久磁石を回転子とし、回転子の磁極上に設定したd−
q軸に、回転子上に想定したγ−δ軸が一致するように
制御する永久磁石形同期電動機の制御方法において、時
間k・TS時(但し、k=0,1,2,3,・・・,TS
はサンプリングタイム)に同期電動機に供給される少な
くとも2相分のステータ電流を検出し、同ステータ電流
をγ−δ座標系に変換することにより、γ軸電流iγ
(k)及びδ軸電流iδ(k)を導出し、これらのγ軸
電流iγ(k)及びδ軸電流iδ(k)と前回の制御ル
ープで推定されたγ軸電流iγest(k)及びδ軸電流
iδest(k)との差iγ(k)−iγest(k)及びi
δ(k)−iδest(k)を補正量、γ−δ軸座標系に
変換された電圧指令値Vγ*(k)とVδ*(k)を入力
とし、同期電動機の回転子が回転することにより発生す
るγ軸の誘起電圧εγ(k)とδ軸の誘起電圧εδ
(k)を、回転子が回転していない時の電流応答に対す
る外乱として状態推定器を構成し、時間(k+1)・T
S秒のγ−δ軸座標系における電流iγest(k+1)及
びiδest(k+1)並びに誘起電圧εγest(k+1)
及びεδest(k+1)を推定し、この推定された誘起
電圧εδest(k+1)の符号より、回転子の速度の符
号を判別し、前記誘起電圧εγest(k+1)とεδest
(k+1)の2乗和と前記判別された符号より、回転子
の角速度ωrm(k+1)の推定値ωrmest(k+1)を
推定することを特徴とする。また、本発明の永久磁石形
同期電動機の回転子ずれ角推定方法は、前記の方法によ
り推定されたγ軸誘起電圧推定値εγest(k+1)と
回転子の角速度推定値ωrmest(k+1)より、回転子
の永久磁石上に設定したd−q座標と前記γ−δ座標と
のずれ角θe(k+1)を推定することを特徴とする。
また、本発明の永久磁石形同期電動機の回転子位置修正
方法は、前記の方法により推定されたずれ角θeest(k
+1)にゲインを乗じた値より、(k+1)番目の制御
ループで使用するγ−δ軸の位置を修正することを特徴
とする。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明においては、時間k・TS
秒時(但し、k=0,1,2,3,・・・,TSはサン
プリングタイム)に永久磁石形同期電動機に供給される
少なくとも2相分のステータ電流を検出し、回転子上に
設定したγ−δ座標系に変換することにより、γ軸電流
iγ(k)、δ軸電流iδ(k)を導出し、前回導出し
たγ軸電流推定値iγest(k)、δ軸電流推定値iδ
est(k)と、電圧Vγ(k)、Vδ(k)を用い、永
久磁石形同期電動機のγ−δ軸座標系における状態方程
式
秒時(但し、k=0,1,2,3,・・・,TSはサン
プリングタイム)に永久磁石形同期電動機に供給される
少なくとも2相分のステータ電流を検出し、回転子上に
設定したγ−δ座標系に変換することにより、γ軸電流
iγ(k)、δ軸電流iδ(k)を導出し、前回導出し
たγ軸電流推定値iγest(k)、δ軸電流推定値iδ
est(k)と、電圧Vγ(k)、Vδ(k)を用い、永
久磁石形同期電動機のγ−δ軸座標系における状態方程
式
【数1】 但し、εγ=−sinθe(ωrm/Lq)φmag εδ=cosθe(ωrm/Lq)φmag RS:ステータ側抵抗、Lq:q軸インダクタンス、
Ld:d軸インダクタンス、 θe:γ−δ軸とd−q軸とのずれ角、 ωrm:回転子角速度、φmag:永久磁石が発生する磁束 より、εγとεδの時間変化が十分小さいとして構成し
た。
Ld:d軸インダクタンス、 θe:γ−δ軸とd−q軸とのずれ角、 ωrm:回転子角速度、φmag:永久磁石が発生する磁束 より、εγとεδの時間変化が十分小さいとして構成し
た。
【0006】状態推定器である
【数2】 を離散値系に展開した
【数3】 によって、時間(k+1)TS秒時の電流推定値iγ
est(k+1)、iδest(k+1)、誘起電圧推定値ε
γest(k+1)、εδest(k+1)を求める。
est(k+1)、iδest(k+1)、誘起電圧推定値ε
γest(k+1)、εδest(k+1)を求める。
【0007】 また、εγest(k+1)=−sinθeest(k+1)・{ωrmest(k+1) /Lq}・φmag εδest(k+1)=−cosθeest(k+1)・{ωrmest(k+1) /Lq}・φmag ・・・・(4) であるから、θeが小さいと考え、ωrmest(k+1)の
符号 sign(ωrmest(k+1))=−sign(εδest(k+1)) ・・・・(5) とし、(4)式の2乗和と(5)式の結果より、次式で
ωrmest(k+1)を求め、 ωrmest(k+1)=sign(ωrmest(k+1))・{εγest 2(k+1) +εδ2}1/2・(Lq/φmag) ・・・・(6) εγest(k+1)と前記ωrmest(k+1)より、si
nθeest(k+1)を求める。θeest≒0の領域では、
sinθeest(k+1)≒θeest(k+1)であるの
で、ゲインkρで、(k+1)・TS秒時のγ軸の位置
ρest(k+1)を ρest(k+1)=ρest(k)+ωrmest(k+1)・TS−kρ・θeest(k +1) ・・・(7) で求めて補正を実施する。
符号 sign(ωrmest(k+1))=−sign(εδest(k+1)) ・・・・(5) とし、(4)式の2乗和と(5)式の結果より、次式で
ωrmest(k+1)を求め、 ωrmest(k+1)=sign(ωrmest(k+1))・{εγest 2(k+1) +εδ2}1/2・(Lq/φmag) ・・・・(6) εγest(k+1)と前記ωrmest(k+1)より、si
nθeest(k+1)を求める。θeest≒0の領域では、
sinθeest(k+1)≒θeest(k+1)であるの
で、ゲインkρで、(k+1)・TS秒時のγ軸の位置
ρest(k+1)を ρest(k+1)=ρest(k)+ωrmest(k+1)・TS−kρ・θeest(k +1) ・・・(7) で求めて補正を実施する。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図1は、
本発明の磁極位置、速度推定方法の一実施例が適用され
た同期電動機の制御システムを示すブロック図、図2は
図1の制御システムのデジタル制御動作を示すフローチ
ャートである。図1の制御システムブロック図について
説明する。角速度指令ωrm*と角速度推定値ω
rmestが、速度コントローラ1に入力され、速度コント
ローラ1は、δ相電流指令iδ*を出力する。δ相電流
コントローラ2はiδ*とδ相電流推定値iδest2とを
入力し、δ相電流指令Vδ*を出力する。一方、γ相電
流指令iγ*とγ相電流推定値iγest2が、γ相電流コ
ントローラ3に入力され、γ相電流コントローラ3はγ
相電圧指令Vγ*を出力する。電圧指令Vδ*とVγ*と
γ−δ軸位置補正器11から出力されるγ−δ軸位置が
ベクトル制御回路4に入力され、電圧値絶対値(Vδ2
+Vγ2)1/2とγ軸からの電圧出力方向の位相tan-1
(Vδ/Vγ)がインバータ回路5に入力され点弧が実
施される。一方、γ−δ軸電流・誘起電圧推定器8は、
同期電動機6のステータ電流iuとivを相変換器7を介
して得られるγ相電流iγ、δ相電流iδと、γ−δ軸
の位置と、電圧指令Vδ*、Vγ*を入力し、(3)式の
演算を実施し、γ−δ相電流推定値iγest、iδ
estと、γ−δ相誘起電圧εγestとεδestを出力す
る。εγestとεδestが角速度導出器9に入力され、
(5)、(6)式を実行することにより、角速度推定値
ωrmestが導出される。このωrmestとεγestが、ずれ
角θeest導出器10に入力され、γ−δ軸とd−q軸と
のずれ角θeestが導出される。これがγ−δ軸位置補正
器11に入力され、(7)式でγ−δ軸の位置補正が実
行される。
本発明の磁極位置、速度推定方法の一実施例が適用され
た同期電動機の制御システムを示すブロック図、図2は
図1の制御システムのデジタル制御動作を示すフローチ
ャートである。図1の制御システムブロック図について
説明する。角速度指令ωrm*と角速度推定値ω
rmestが、速度コントローラ1に入力され、速度コント
ローラ1は、δ相電流指令iδ*を出力する。δ相電流
コントローラ2はiδ*とδ相電流推定値iδest2とを
入力し、δ相電流指令Vδ*を出力する。一方、γ相電
流指令iγ*とγ相電流推定値iγest2が、γ相電流コ
ントローラ3に入力され、γ相電流コントローラ3はγ
相電圧指令Vγ*を出力する。電圧指令Vδ*とVγ*と
γ−δ軸位置補正器11から出力されるγ−δ軸位置が
ベクトル制御回路4に入力され、電圧値絶対値(Vδ2
+Vγ2)1/2とγ軸からの電圧出力方向の位相tan-1
(Vδ/Vγ)がインバータ回路5に入力され点弧が実
施される。一方、γ−δ軸電流・誘起電圧推定器8は、
同期電動機6のステータ電流iuとivを相変換器7を介
して得られるγ相電流iγ、δ相電流iδと、γ−δ軸
の位置と、電圧指令Vδ*、Vγ*を入力し、(3)式の
演算を実施し、γ−δ相電流推定値iγest、iδ
estと、γ−δ相誘起電圧εγestとεδestを出力す
る。εγestとεδestが角速度導出器9に入力され、
(5)、(6)式を実行することにより、角速度推定値
ωrmestが導出される。このωrmestとεγestが、ずれ
角θeest導出器10に入力され、γ−δ軸とd−q軸と
のずれ角θeestが導出される。これがγ−δ軸位置補正
器11に入力され、(7)式でγ−δ軸の位置補正が実
行される。
【0009】次に、制御動作を。図2のフローチャート
により説明する。k・TS秒の時点で同期機に供給され
る少なくとも2相分の電流、例えばiu(k)、i
v(k)を検出し(ステップS1)、前回ループで補正
されたγ−δ軸座標系に変換し、iγ(k)、iδ
(k)を導出する(ステップS2)。γ−δ座標系に変
換された電圧指令Vγ*(k)、Vδ*(k)を入力し
(ステップS3)、式(3)により、(k+1)・TS
秒時の推定値iγest(k+1)、iδest(k+1)、
εγe st(k+1)、εδest(k+1)を導出する(ス
テップS4)。推定されたεδest(k+1)の符号よ
り、角速度の符号判断を行い(ステップS5)、この符
号と、εγest(k+1)とεδest(k+1)の2乗和
よりωrmest(k+1)を導出する(ステップS6)。
εγest(k+1)と上記ωrmest(k+1)よりθeest
(k+1)を求め、(7)式によってγ軸の位置を補正
する(ステップS7)。次に(7)式によりγ軸がkρ
θeest(k+1)だけ軸変換されたとして、(k+1)
ループ時に初期値iγest(k+1)、iδest(k+
1)、εγest(k+1)、εδest(k+1)を修正す
る(ステップS8)。
により説明する。k・TS秒の時点で同期機に供給され
る少なくとも2相分の電流、例えばiu(k)、i
v(k)を検出し(ステップS1)、前回ループで補正
されたγ−δ軸座標系に変換し、iγ(k)、iδ
(k)を導出する(ステップS2)。γ−δ座標系に変
換された電圧指令Vγ*(k)、Vδ*(k)を入力し
(ステップS3)、式(3)により、(k+1)・TS
秒時の推定値iγest(k+1)、iδest(k+1)、
εγe st(k+1)、εδest(k+1)を導出する(ス
テップS4)。推定されたεδest(k+1)の符号よ
り、角速度の符号判断を行い(ステップS5)、この符
号と、εγest(k+1)とεδest(k+1)の2乗和
よりωrmest(k+1)を導出する(ステップS6)。
εγest(k+1)と上記ωrmest(k+1)よりθeest
(k+1)を求め、(7)式によってγ軸の位置を補正
する(ステップS7)。次に(7)式によりγ軸がkρ
θeest(k+1)だけ軸変換されたとして、(k+1)
ループ時に初期値iγest(k+1)、iδest(k+
1)、εγest(k+1)、εδest(k+1)を修正す
る(ステップS8)。
【0010】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、回転子上
に、推定速度ωrmestで回転するように設定したγ−δ
軸に発生するθeを関数とするγ軸誘起電圧、δ軸誘起
電圧を推定する状態推定器を構成しているため、状態推
定器の極が安定に設定されていれば、通常γ−δ軸とd
−q軸との誤差の変化が遅いため、推定値は、実測値に
極を不必要に大きくすることなく収束することができ
る。
に、推定速度ωrmestで回転するように設定したγ−δ
軸に発生するθeを関数とするγ軸誘起電圧、δ軸誘起
電圧を推定する状態推定器を構成しているため、状態推
定器の極が安定に設定されていれば、通常γ−δ軸とd
−q軸との誤差の変化が遅いため、推定値は、実測値に
極を不必要に大きくすることなく収束することができ
る。
【図1】 本発明の一実施例の同期電動機の制御システ
ムを表すブロック線図である。
ムを表すブロック線図である。
【図2】 離散値系における本発明のフローチャートで
ある。
ある。
1 速度コントローラ、2 δ相電流コントローラ、3
γ軸電流コントローラ、4 ベクトル制御回路、5
インバータ回路、6 同期電動機、7 相変換器、8
γ−δ軸電流・誘起電圧推定器、9 角速度導出器、1
0 ずれ角θeest導出器、11 γ−δ軸位置補正器、
12 γ相・δ相電流補正器
γ軸電流コントローラ、4 ベクトル制御回路、5
インバータ回路、6 同期電動機、7 相変換器、8
γ−δ軸電流・誘起電圧推定器、9 角速度導出器、1
0 ずれ角θeest導出器、11 γ−δ軸位置補正器、
12 γ相・δ相電流補正器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 暁洋 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石2番1号 株式会社安川電機内
Claims (3)
- 【請求項1】 永久磁石を回転子とし、回転子の磁極上
に設定したd−q軸に、回転子上に想定したγ−δ軸が
一致するように制御する永久磁石形同期電動機の制御方
法において、時間k・TS時(但し、k=0,1,2,
3,・・・,TSはサンプリングタイム)に同期電動機
に供給される少なくとも2相分のステータ電流を検出
し、同ステータ電流をγ−δ座標系に変換することによ
り、γ軸電流iγ(k)及びδ軸電流iδ(k)を導出
し、これらのγ軸電流iγ(k)及びδ軸電流iδ
(k)と前回の制御ループで推定されたγ軸電流iγ
est(k)及びδ軸電流iδest(k)との差iγ(k)
−iγest(k)及びiδ(k)−iδest(k)を補正
量、γ−δ軸座標系に変換された電圧指令値Vγ
*(k)とVδ*(k)を入力とし、同期電動機の回転子
が回転することにより発生するγ軸の誘起電圧εγ
(k)とδ軸の誘起電圧εδ(k)を、回転子が回転し
ていない時の電流応答に対する外乱として状態推定器を
構成し、時間(k+1)・TS秒のγ−δ軸座標系にお
ける電流iγest(k+1)及びiδest(k+1)並び
に誘起電圧εγest(k+1)及びεδest(k+1)を
推定し、この推定された誘起電圧εδest(k+1)の
符号より、回転子の速度の符号を判別し、前記誘起電圧
εγest(k+1)とεδest(k+1)の2乗和と前記
判別された符号より、回転子の角速度ωrm(k+1)の
推定値ωrmest(k+1)を推定することを特徴とする
永久磁石形同期電動機の速度推定方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の方法により推定されたγ
軸誘起電圧推定値εγest(k+1)と回転子の角速度
推定値ωrmest(k+1)より、回転子の永久磁石上に
設定したd−q座標と前記γ−δ座標とのずれ角θ
e(k+1)を推定することを特徴とする永久磁石形同
期電動機の回転子ずれ角推定方法。 - 【請求項3】 請求項2記載の方法により推定されたず
れ角θeest(k+1)にゲインを乗じた値より、(k+
1)番目の制御ループで使用するγ−δ軸の位置を修正
することを特徴とする永久磁石形同期電動機の回転子位
置修正方法。
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