JP4032229B2 - 交流電動機の制御方法および制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流電動機を始動する場合に、フリーラン状態の交流電動機の速度を推定して、推定した速度で運転することにより、スムーズに交流電動機を始動することを特徴とする交流電動機の制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、瞬停等でフリーラン状態の交流電動機を始動する際には、交流電動機の速度が分からないと、大きな電流が流れたり、交流電動機が急減速して大きな回生電力が電力変換器に戻ってくるために交流電動機をスムースに始動できないので、この対策としては、例えば、特開2001−161094号に開示の「交流電動機の制御方法および制御装置」の提案がある。
図5は従来の「交流電動機の制御方法および制御装置」のブロック図であり、交流電動機202の運転中に瞬停が発生すると、電力変換器201は運転を停止し、交流電動機202はフリーラン状態となる。電源が復帰して電力変換器201が運転可能な状態になると、瞬停再始動回路211が瞬停信号によりスイッチ回路を切換えて、トルク電流指令値iqrefと、励磁電流指令値idrefと周波数f1を強制的に零にする、いわゆる零電流制御を実施する。
【0003】
ここで零電流制御とは、交流電動機202の電流が零の時の電圧指令信号は交流電動機202の残留電圧と一致し、同じく、d、q2軸の電圧成分も一致するので、交流電動機202の残留電圧はd軸電圧指令値Vdrefとq軸電圧指令Vqrefとなって現れる点に着目して、交流電動機202の位相、角速度を検出して瞬停時の再始動動作が行われるが、その際に、励磁電流指令値idrefをゼロに、トルク電流指令iqrefをゼロに、位相指令信号θをゼロに切替えて、交流電動機202の電流をゼロとして、その時の残留電圧分に相当するVdref、Vqrefを測定する制御が、零電流制御である。
これによって出力電圧演算回路209からVdrefとVqrefを入力として出力電圧指令値V1refと、その電圧位相θvを出力する。このV1refは電動機の残留電圧の大きさを、θvは残留電圧の位相を表すので、残留電圧の位相の時間変化を一定時間毎に測定して速度推定回路212により残留電圧の周波数を測定し、フリーラン状態の交流電動機202の回転速度を推定することができる。この速度を電力変換器の出力に設定して電動機を始動させる。
【0004】
また、出力電圧指令値V1refが任意に設定された電圧レベルよりも小さかった場合は、交流電動機202が停止又は低速度で回転しているためにV1refが小さいのか、電動機は高速で回転しているが瞬停時間が長いために残留電圧が小さくなってしまったのか判断できないので、任意のレベルの直流電流を流して速度の再測定を行う。先ず、d軸電流指令idrefには一定値を、トルク電流指令iqrefは零に、周波数も零に設定する。この時交流電動機202が回転していれば、トルク電流検出値iqfbは図6のように変化する。このiqfbの周波数を測定することで、交流電動機202の速度を検出できる。また、図6(a)は正転時の波形であるが、逆転時は図6(b)のように変化する。トルク電流検出値により回転方向も推定できる。
速度推定回路212が交流電動機202の速度測定値を出力したら、通常運転に切替えるが、直流印加状態から通常運転に移行する場合、電力変換器201には速度推定回路212の出力する速度推定値に相当する周波数を設定すればよいが、瞬停再始動管理回路211は、V/f変換器の出力電圧が交流電動機202の正規の誘起電圧に相当するまで、徐々に増加させるようにする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術が解決しようとした課題のように交流電動機の運転中に瞬停(瞬時停電)が発生して、瞬停再始動を行う場合、交流電動機の残留電圧と電力変換器の出力する電圧の位相が合ってない場合や、交流電動機の速度と電力変換器の出力する周波数とが一致していないと、交流電動機に過大な電流が流れたりして、スムーズな始動ができない。これを防止するためには残留電圧と、電力変換器の出力する電圧の大きさと位相と周波数を合わせて運転すれば良いが、電力変換器の出力する電圧の大きさと位相と周波数を合わせることは困難である。
このため、交流電動機の残留電圧がなくなってしまうのを待つことで、電圧の大きさと位相の条件を排除して、交流電動機の速度を速度検出器から算出し、その速度に一致した周波数で電力変換器を始動するとか、交流電動機の速度とは無関係に指令の周波数で電力変換器を始動させていた。
このように交流電動機をスムーズに始動するためには、残留電圧がなくなるのを待つ必要があったり、速度検出器が必要であるという問題があった。
また、上記従来の技術においては、交流電動機が高速度でフリーランしている場合や、印加する直流電流のレベルによっては、電力変換器の出力電流検出信号から、交流電動機の速度に相当する周波数成分を分離するのが不可能な場合があるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の第1の目的は、残留電圧がなくなるのを待つという始動時間の遅れを無くして迅速な復帰が可能であり、速度検出器や電圧検出器を有しなくても、速度推定精度が悪い場合でも出力周波数を微調整することにより、交流電動機をスムーズに始動することができる交流電動の制御方法及び制御装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、任意の直流電流を予め設定した時間供給し、電力変換器の出力電流検出信号から交流電動機の速度に相当する周波数成分を分離することが不可能な場合であっても、交流電動機が回転中か、停止中かを判断し、回転中であればスムーズに運転継続することができる交流電動機の制御方法及び制御装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の交流電動機制御方法の発明は、交流電動機へ任意の電力を出力する電力変換器と、前記交流電動機に供給される電流を検出する電流検出回路と、前記交流電動機に供給される電流を励磁電流検出値とトルク電流検出値に変換して出力する座標変換回路と、前記励磁電流指令値と前記励磁電流検出値とが一致するように励磁電流方向電圧を制御する励磁電流制御回路と、前記トルク電流指令値と前記トルク電流検出値とが一致するようにトルク電流方向電圧を制御するトルク電流制御回路と、与えられた出力周波数指令から交流電動機の誘起電圧を演算するV/f変換回路と、与えられた出力周波数指令を積分することにより得られる位相角を演算する位相角演算回路と、前記励磁電流制御回路と前記トルク電流制御回路と前記V/f変換回路から出力される電圧指令から出力電圧の大きさ及び位相を演算する出力電圧演算回路と前記出力電圧演算回路から出力する電圧の大きさと位相に前記位相角演算回路から出力される位相角を加え、速度検出器と電圧検出器を持たない電力変換器のスイッチングを決定する制御方法において、フリーラン状態の前記交流電動機の始動する際に、前記電力変換器から出力する周波数を調整する周波数調整回路における出力周波数の初期値を0にして始動することにより、トルク電流検出値が負であれば正転している、正であれば逆転していると推定することを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の交流電動機の制御方法において、周波数調整回路における出力周波数の初期値を0に設定し、トルク電流検出値が正であれば、出力周波数を下げ、トルク電流検出値が負であれば、出力周波数を上げることによりトルク電流検出値を0に近づけるようにすることで前記交流電動機の速度を推定することを特徴としている。
【0008】
また、請求項3記載の交流電動機制御装置の発明は、交流電動機へ任意の電力を出力する電力変換器と、前記交流電動機に供給される電流を検出する電流検出回路と、前記交流電動機に供給される電流を励磁電流検出値とトルク電流検出値に変換して出力する座標変換回路と、前記励磁電流指令値と前記励磁電流検出値とが一致するように励磁電流方向電圧を制御する励磁電流制御回路と、前記トルク電流指令値と前記トルク電流検出値とが一致するようにトルク電流方向電圧を制御するトルク電流制御回路と、与えられた出力周波数指令から交流電動機の誘起電圧を演算するV/f変換回路と、与えられた出力周波数指令を積分することにより得られる位相角を演算する位相角演算回路と、前記励磁電流制御回路と前記トルク電流制御回路と前記V/f変換回路から出力される電圧指令から出力電圧の大きさ及び位相を演算する出力電圧演算回路と前記出力電圧演算回路から出力する電圧の大きさと位相に前記位相角演算回路から出力される位相角を加え、速度検出器と電圧検出器を持たない電力変換器のスイッチングを決定する制御方法において、フリーラン状態の前記交流電動機の始動する際に、周波数調整回路における出力周波数の初期値を0にして始動することにより、トルク電流検出値が負であれば正転している、正であれば逆転していると推定する周波数調整回路を有することを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の交流電動機の制御装置において、周波数調整回路における出力周波数の初期値を0に設定し、トルク電流検出値が正であれば、出力周波数を下げ、トルク電流検出値が負であれば、出力周波数を上げることにより前記交流電動機の速度を推定する周波数調整回路を有することを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る交流電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
図2は図1に示す交流電動機のフリーラン状態における励磁電流制御した場合のベクトル関係を示す図である。
図1において、電動機の制御装置は、電力変換器1、交流電動機2、電流検出器3、電流座標変換回路4、トルク電流制御回路5、励磁電流制御回路6、位相演算回路7、V/f変換回路8、出力電圧演算回路9、スイッチングパターン発生回路10、周波数調整回路11を備えている。
電力変換器1は、パワー素子により三相交流を変換した直流電圧をPWM制御方式により任意の周波数と電圧の交流に変換し、交流電動機2に供給する。電流検出器3は交流電動機2に供給される電流を検出する。電流座標変換回路4は電流検出器3で検出された電流をトルク電流検出値と励磁電流検出値に分離する。トルク電流制御回路5は与えられたトルク電流指令値とトルク電流検出値とが一致するように第1のq軸電圧指令値を演算する。励磁電流制御回路6は与えられた励磁電流指令値と励磁電流検出値とが一致するようにd軸電圧指令値を演算する。位相演算回路7は与えられた周波数を積分することにより位相を演算する。V/f変換回路8は与えられた周波数から、交流電動機の誘起電圧に相当する電圧を演算する。出力電圧演算回路9は前記トルク電流制御回路5の出力である第1のq軸電圧指令値とV/f変換回路8の出力である電圧を加算し、第2のq軸電圧指令値を演算し、第2のq軸電圧指令値とd軸電圧指令値とから、出力電圧指令値とその電圧位相を出力する。スイッチングパターン発生回路10は、出力電圧指令値及び前記電圧位相と前記位相を加算した電力変換器出力位相から、電力変換器1のスイッチングパターンを決定する。
周波数調整回路11は、フリーラン状態の交流電動機2を再始動する場合に、電力変換器1から出力される周波数を調整することによりスムーズに始動できるようにするための回路である。また、前記周波数調整回路11は前記交流電動機の回転方向を推定するための回路でもある。
【0011】
次に、図2の交流電動機が速度frでフリーラン状態の場合に励磁電流制御した場合のベクトル関係を使って、出力周波数を調整することについて説明する。
フリーラン状態の交流電動機2に、電力変換器1から出力周波数f1=0の状態で、励磁電流指令を与え磁束を立ち上げると、誘起電圧が発生し、トルク電流が流れる。このベクトル関係を表すと図2(a)となる。もちろん、交流電動機が逆転している場合には、トルク電流検出値の符号が反転する。電力変換器1の出力周波数が0<f1<frの状態で出力周波数f1を大きくしていくと、トルク電流は次第に小さくなる。このベクトル関係を表すと図2(b)となる。電力変換器1の出力周波数f1と交流電動機2の速度frと、交流電動機2の残留電圧の周波数が等しくなったところでトルク電流は0に小さくなる。このベクトル関係を表すと図2(c)となる。
更に、電力変換器1の、出力周波数f1>交流電動機の速度fr、となったところでトルク電流の符号が逆転する。このベクトル関係を表すと図2(d)となる。
フリーラン状態の交流電動機2の回転速度に電力変換器1の出力周波数を一致させるためには、図2のようにトルク電流検出値を0に近づければ良い。また、出力周波数f1=0のときのトルク電流検出値の符号を観察することにより、交流電動機の回転方向も推定できる。
【0012】
次に、瞬停が発生してフリーラン状態になった交流電動機を再始動する場合の動作について説明する。交流電動機2を運転中に瞬停が発生すると、電力変換器1は運転を停止し、交流電動機2はフリーラン状態となる。電源が復帰し、電力変換器1が運転可能な状態になると、図1の3つのスイッチがA側の通常運転状態から、B側のフリーラン始動状態になる。そのため、トルク電流指令値=0となり、励磁電流指令はV/f変換回路8から出力され、出力周波数は周波数調整回路11からの出力となる。出力周波数調整回路には、瞬停前に運転していた周波数を初期値として設定する。
V/f変換回路8は、二次回路時定数に従い磁束が立ち上がるように励磁電流指令を演算し、磁束と与えられた周波数から、交流電動機2の誘起電圧に相当する電圧を交流電動機2に演算して出力する。周波数調整回路11では、トルク電流検出値が0に近づくようにトルク電流検出値が正であれば、周波数を減らし、トルク電流検出値が負であれば、出力周波数を増やすように調整する。磁束が通常運転時のレベルになった後、トルク電流検出値が0に近いある設定レベルに達すると、正常に始動できたと判断して、3つのスイッチがA側に切り替わる。
実施例では、瞬停発生時に運転していた周波数を初期値としたが、残留電圧から推定された速度推定値や直流励磁して、電流検出値に表れる周波数から推定した速度を初期値として、設定することもできる。
また、上記実施例では、交流電動機2に流れる電流をトルク電流と励磁電流に分離して、それぞれ独立に制御するベクトル制御を行う電力変換装置として説明したが、V/f一定制御を行う電力変換装置においても、瞬停再始動時に交流電動機に流れる電流をトルク電流と励磁電流に分離して、それぞれ独立に制御する電流制御回路を付加すれば全く同様の処理で本発明を実施することができる。
また、上記実施例では瞬停再始動時の動作として説明したが、長時間、交流電動機がフリーランしている状態で始動する場合にも、上記と同様の処理で本発明を実施することができる。この場合、回転方向や速度が予めある程度わかっていれば、その値を周波数調整回路の初期値とすれば良い。回転方向も速度もわからない場合には、周波数を0から始動すればよい。
【0013】
次に、本発明の第2の実施の形態について図を参照して説明する。
図3は本発明の第2の実施の形態に係る交流電動機フリーラン中に直流電流を与えた場合のトルク電流検出値の波形を示す図である。
図4は交流電動機が高速でフリーラン中に直流電流を与えた場合のトルク電流検出値を示す図である。
なお、図1に示す制御装置のブロック図は前実施の形態と共通となる。
図1において、電動機の制御装置は、電力変換器1、交流電動機2、電流検出器3、電流座標変換回路4、トルク電流制御回路5、励磁電流制御回路6、位相演算回路7、V/f変換回路8、出力電圧演算回路9、スイッチングパターン発生回路10、周波数調整回路11を備えている。電力変換器1は、パワー素子により三相交流を変換した直流電圧をPWM制御方式により任意の周波数と電圧の交流に変換し、交流電動機2に供給する。電流検出器3は、前記交流電動機2に供給される電流を検出する。電流座標変換回路4は、電流検出器3で検出された電流をトルク電流検出値と励磁電流検出値に分離する。
トルク電流制御回路5は、与えられたトルク電流指令値とトルク電流検出値とが一致するように第1のq軸電圧指令値を演算する。励磁電流制御回路6は、与えられた励磁電流指令値と励磁電流検出値とが一致するようにd軸電圧指令値を演算する。位相演算回路7は、与えられた周波数を積分することにより、位相を演算する。V/f変換回路8は、与えられた周波数から、交流電動機の誘起電圧に相当する電圧を演算する。出力電圧演算回路9は、トルク電流制御回路5の出力である第1のq軸電圧指令値と前記V/f変換回路8の出力である電圧を加算し、第2のq軸電圧指令値を演算し、第2のq軸電圧指令値とd軸電圧指令値とから、出力電圧指令値とその電圧位相を出力する。スイッチングパターン発生回路10は、出力電圧指令値及び電圧位相と位相を加算した電力変換器出力位相から、電力変換器1のスイッチングパターンを決定する。
周波数調整回路11は、フリーラン状態の交流電動機2を再始動する場合に、電力変換器1から出力される周波数を調整することによりスムーズに始動できるようにするための回路である。
【0014】
フリーラン状態の交流電動機に直流電流あるいは直流電圧を印加した場合に、図3のようなトルク電流検出値iqfbを測定できる。このトルク電流検出値iqfbの周波数を測定することで、フリーランしている交流電動機の速度を推定することができる。また、このトルク電流検出値iqfbにより正転中か逆転中か判断することができる。図3(a)のように正転の場合は正弦波状の信号が180°位相から始まり、図3(b)のように逆転では0位相から始まることから判別できる。
しかしながら、交流電動機が高速でフリーランしている場合や印加する直流電流の大きさあるいは印加する直流電圧の大きさが大きすぎる場合には、図4のようなトルク電流検出値iqfbとなり、このトルク電流検出値iqfbの周波数を測定することが困難となる。
本発明では、直流電流あるいは直流電圧を印加した時のトルク電流検出値の積算値が任意の設定レベルを越えた場合には、交流電動機2が高速でフリーランしていると判断して、周波数調整回路11に予め設定していた周波数及び検出した回転方向を初期値に設定し運転する。周波数調整回路11はトルク電流検出値iqfbが0になるように周波数を調整して、交流電動機2のフリーラン状態の速度と電力変換器の出力周波数を一致させることにより、交流電動機をスムーズに始動することができる。
【0015】
次に、フリーラン状態になった交流電動機を再始動する場合の動作について詳細に説明する。
交流電動機2がフリーラン状態の場合、図1の3つのスイッチがA側の通常運転状態から、B側のフリーラン始動状態になる。そのため、トルク電流指令値=0となり、励磁電流指令はV/f変換回路8から出力され、出力周波数は周波数調整回路11からの出力となる。但し、出力周波数調整回路11には、零周波数を初期値として設定する。こうして、設定した時間任意の直流電流を交流電動機2に供給する。この時に流れるトルク電流検出値から、周波数及び回転方向が検出された場合には、この周波数及び回転方向を出力周波数調整回路11に設定し直す。トルク電流検出値iqfbから周波数が検出されない場合には、トルク電流検出値の積算値が設定された値以上であれば、高速でフリーランしていると判断し、予め設定しておいた周波数及び検出した回転方向を出力周波数調整回路11に設定し直す。但し、トルク電流検出値の積算値が、設定された値未満であれば、交流電動機は停止していると判断して、電力変換器1は零周波数から予め設定された加速レートで始動すれば良いので、3つのスイッチはA側の通常運転に切り替わる処理となる。
フリーランしている場合について、説明を続ける。出力周波数調整回路11に周波数及び回転方向を再設定すると、
V/f変換回路8は、二次回路時定数に従い磁束が立ち上がるように励磁電流指令を演算し、磁束と前記設定された周波数から、交流電動機の誘起電圧に相当する電圧を演算して出力する。周波数調整回路11では、トルク電流検出値が0に近づくようにトルク電流検出値が正であれば、周波数を減らし、トルク電流検出値が負であれば、出力周波数を増やすように調整する。
磁束が通常運転時のレベルになった後、トルク電流検出値が0に近いある設定レベルに達すると、正常に始動できたと判断して、3つのスイッチがA側に切り替わる。
また、本実施の形態でも、交流電動機2に流れる電流をトルク電流と励磁電流に分離して、それぞれ独立に制御するベクトル制御を行う電力変換装置として説明したが、V/f一定制御を行う電力変換装置においても、フリーラン始動時に交流電動機に流れる電流をトルク電流と励磁電流に分離して、をそれぞれ独立に制御する電流制御回路を付加すれば、全く同様の処理で本発明を実施することができる。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、励磁電流制御回路とトルク電流制御回路と前記V/f変換回路から出力される電圧指令から出力電圧の大きさ及び位相を演算する出力電圧演算回路と、出力電圧演算回路から出力する電圧の大きさと位相に位相角演算回路から出力される位相角を加え、電力変換器のスイッチングを決定する交流電動機の制御方法において、速度検出器や電圧検出器を有しない電力変換器により、フリーラン状態の交流電動機を始動する際に、交流電動機に流れる電流から交流電動機の速度と回転方向を推定し、電力変換器から出力する周波数を調整する周波数調整回路を有して、周波数調整回路はトルク電流検出値を入力として、トルク電流検出値が正であれば、出力周波数を下げ、トルク電流検出値が負であれば、出力周波数を上げ、トルク電流検出値を0に近づけるように出力周波数を調整することにより、フリーラン状態の交流電動機と電力変換器の出力周波数を一致させスムーズに始動できるように構成したので、電流検出分解能が粗く速度推定精度が悪い場合にも、出力周波数を微調整することにより、スムーズに交流電動機を始動させることができる効果がある。
また、励磁電流制御回路とトルク電流制御回路とV/f変換回路から出力される電圧指令から出力電圧の大きさ及び位相を演算する出力電圧演算回路と、出力電圧演算回路から出力する電圧の大きさと位相に位相角演算回路から出力される位相角を加え、電力変換器のスイッチングを決定する制御方法において、速度検出器と電圧検出器を持たない交流電動機の制御方法により、フリーラン状態の交流電動機の始動する際に、交流電動機に直流電流あるいは直流電圧を印加し、その時流れる二次電流から交流電動機の速度を推定する方法を用いて、交流電動機のフリーラン速度を検出できない場合でも、交流電動機が回転していることを検出した場合には、周波数調整回路に予め設定した周波数と検出した回転方向を設定し、トルク電流検出値を入力として、トルク電流検出値が正であれば、出力周波数を下げ、トルク電流検出値が負であれば、出力周波数を上げ、トルク電流検出値を0に近づけるように出力周波数を調整することにより、フリーラン状態の交流電動機と電力変換器の出力周波数を一致させスムーズに始動できるように構成したので、速度検出器や電圧検出器を持たない電力変換器で、フリーラン状態の交流電動機をスムーズに再始動できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る交流電動機の制御装置の構成を表すブロック図である。
【図2】図1に示す交流電動機がフリーラン状態の場合のベトル関係を示した図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る交流電動機がフリーラン中に直流電流を与えた場合のトルク電流検出値を示す図で、(a)は正転時、(b)は逆転時をそれぞれ表している。
【図4】交流電動機が高速でフリーラン中に直流電流を与えた場合のトルク電流検出値を示す図である。
【図5】従来の交流電動機の制御装置のブロック図である。
【図6】図5に示す交流電動機の電流検出値を示す図で、(a)は正転時、(b)は逆転時をそれぞれ表している。
【符号の説明】
1 電力変換器
2 交流電動機
3 電流検出器
4 電流座標変換回路
5 トルク電流制御回路
6 励磁電流制御回路
7 位相演算回路
8 V/f変換回路
9 出力電圧演算回路
10 スイッチングパターン発生回路
11 周波数調整回路
Claims (4)
- 交流電動機へ任意の電力を出力する電力変換器と、前記交流電動機に供給される電流を検出する電流検出回路と、前記交流電動機に供給される電流を励磁電流検出値とトルク電流検出値に変換して出力する座標変換回路と、前記励磁電流指令値と前記励磁電流検出値とが一致するように励磁電流方向電圧を制御する励磁電流制御回路と、前記トルク電流指令値と前記トルク電流検出値とが一致するようにトルク電流方向電圧を制御するトルク電流制御回路と、与えられた出力周波数指令から交流電動機の誘起電圧を演算するV/f変換回路と、与えられた出力周波数指令を積分することにより得られる位相角を演算する位相角演算回路と、前記励磁電流制御回路と前記トルク電流制御回路と前記V/f変換回路から出力される電圧指令から出力電圧の大きさ及び位相を演算する出力電圧演算回路と前記出力電圧演算回路から出力する電圧の大きさと位相に前記位相角演算回路から出力される位相角を加え、速度検出器と電圧検出器を持たない電力変換器のスイッチングを決定する制御方法において、フリーラン状態の前記交流電動機の始動する際に、前記電力変換器から出力する周波数を調整する周波数調整回路における出力周波数の初期値を0にして始動することにより、トルク電流検出値が負であれば正転している、正であれば逆転していると推定することを特徴とする交流電動機の制御方法。
- 請求項1記載の交流電動機の制御方法において、周波数調整回路における出力周波数の初期値を0に設定し、トルク電流検出値が正であれば、出力周波数を下げ、トルク電流検出値が負であれば、出力周波数を上げることによりトルク電流検出値を0に近づけるようにすることで前記交流電動機の速度を推定することを特徴とする交流電動機の制御方法。
- 交流電動機へ任意の電力を出力する電力変換器と、前記交流電動機に供給される電流を検出する電流検出回路と、前記交流電動機に供給される電流を励磁電流検出値とトルク電流検出値に変換して出力する座標変換回路と、前記励磁電流指令値と前記励磁電流検出値とが一致するように励磁電流方向電圧を制御する励磁電流制御回路と、前記トルク電流指令値と前記トルク電流検出値とが一致するようにトルク電流方向電圧を制御するトルク電流制御回路と、与えられた出力周波数指令から交流電動機の誘起電圧を演算するV/f変換回路と、与えられた出力周波数指令を積分することにより得られる位相角を演算する位相角演算回路と、前記励磁電流制御回路と前記トルク電流制御回路と前記V/f変換回路から出力される電圧指令から出力電圧の大きさ及び位相を演算する出力電圧演算回路と前記出力電圧演算回路から出力する電圧の大きさと位相に前記位相角演算回路から出力される位相角を加え、速度検出器と電圧検出器を持たない電力変換器のスイッチングを決定する制御方法において、フリーラン状態の前記交流電動機の始動する際に、周波数調整回路における出力周波数の初期値を0にして始動することにより、トルク電流検出値が負であれば正転している、正であれば逆転していると推定する周波数調整回路を有することを特徴とする交流電動機の制御装置。
- 請求項3記載の交流電動機の制御装置において、周波数調整回路における出力周波数の初期値を0に設定し、トルク電流検出値が正であれば、出力周波数を下げ、トルク電流検出値が負であれば、出力周波数を上げることにより前記交流電動機の速度を推定する周波数調整回路を有することを特徴とする交流電動機の制御装置。
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