JP2006290940A - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Keisuke Chino
圭介 知野
Satoyuki Sakai
智行 酒井
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Abstract

【課題】 他の物性を実質的に損なうことなく60℃でのtanδを低下させた低燃費化タイヤ用トレッドゴム組成物の提供。
【解決手段】 ゴム成分、フィラー及び式(I)又は(II):
【化1】
Figure 2006290940

(式中、Xはハロゲン原子を示し、A,B及びCは、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基を示し、Dは、N,O,P又はSの原子を示し、Eは環構造を形成する有機基を示し、そしてnは1以上の自然数を示す)
で表わされるオニウム塩を含んでなるタイヤ用ゴム組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明はタイヤ用ゴム組成物に関し、更に詳しくは他の物性に悪影響を及ぼすことなく、燃費を改良することができるタイヤ用ゴム組成物に関する。
タイヤ用ゴム組成物の物性、例えば低発熱性、ウェット制動などの物性を改良するために、ゴム組成物にシリカを配合することが知られており、注目を集めている(例えば特許文献1参照)。
特開平7−48476号公報
本発明の目的は前述のシリカ等の分散性の悪いフィラー配合系ゴム組成物において、他のゴム物性影響を及ぼすことなく、転がり抵抗の低い、従って燃費の改良されたゴム組成物を提供することにある。
本発明に従えば、ゴム成分、フィラー及び式(I)又は(II):
Figure 2006290940
(式中、Xはハロゲン原子を示し、A,B及びCは、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基を示し、Dは、N,O,P又はSの原子を示し、Eは環構造を形成する有機基を示し、そしてnは1以上の自然数を示す)
で表わされるオニウム塩を含んでなるタイヤ用ゴム組成物が提供される。
本発明によれば、ゴム組成物に前記式(I)又は(II)のオニウム塩を配合することによって、他の物性に悪影響を及ぼすことなく、60℃でのtanδが低下させることができ、これをタイヤトレッドに用いることによってタイヤの低燃費化が達成できる。
本発明者らは前記課題を解決すべく研究を進めた結果、シリカ等のフィラー配合系ゴム組成物において、塩化セチルピリジニウム1水和物などのオニウム塩を配合することによって、シリカ等のフィラーとシランカップリング剤との反応を促進し、粘弾性特性を改良することができることを見出した。これは、ピリジニウム塩などの特定のオニウム塩がシリカ等のフィラーと親和性が高いためシリカに吸着し、そのアルキル基により、シリカ等のフィラーを疎水化して分散を向上させ、また加硫時に水和物の水を放出してシリカ等のフィラーとシランカップリング剤の縮合反応を促進させることができるためと考えている。
本発明に係るゴム組成物に配合するゴム成分としては、従来から一般的に使用されている任意のゴムを用いることができ、具体的には天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムなどのジエン系ゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレン系ゴム(EPDM,EPM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴムなどのオレフィン系ゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどを挙げることができ、また水添されていてもよいポリスチレン系エラストマー性ポリマー(SBS,SIS,SEBS)、ポリオレフィン系エラストマー性ポリマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー性ポリマー、ポリウレタン系エラストマー性ポリマー、ポリエステル系エラストマー性ポリマーまたはポリアミド系エラストマー性ポリマーなどの熱可塑性エラストマーでもよい。なお、これらは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。好ましいゴムは天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムなどのジエン系ゴムであり、SBRの使用が特に好ましい。
本発明に係るゴム組成物にはジエン系ゴム100重量部に対し、好ましくは1〜200重量部、更に好ましくは10〜100重量部のフィラーを配合する。このフィラーの配合量が少な過ぎると、加硫ゴム物性が発現しにくくなるので好ましくなく、逆に多過ぎると未加硫ゴムの粘度上昇などの加工性の低下が起こりやすくなるので好ましくない。分散性の悪いフィラーとしては特にシリカが知られている。本発明で使用することができるシリカとしては空気入りタイヤなどに使用することができる任意のシリカとすることができ、具体的には湿式法シリカ、乾式法シリカなどを用いることができる。具体的には、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶媒シリカなどあげられる。シリカ以外のフィラーとしてはカーボンブラック、けいそう土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレーなどが挙げられる。
本発明に従ったゴム組成物にはジエン系ゴム100重量部に対し、好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部の前記オニウム塩を配合する。
本発明で使用するオニウム塩は前記式(I)及び(II)で表わされ、式(I)及び(II)において、Xはハロゲン原子(例えば塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン)を示し、A,B及びCは、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル)、炭素数6〜30のアリール基(例えばフェニル、トルイル、キシリル)、炭素数7〜30のアラルキル基(例えばベンジル、メチルベンジル、ジメチルベンジル)を示し、Dは、N,O,P又はSの原子を示し、Eは環構造を形成する有機基(例えばピリジン環、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、ピロール、ピラジン環等を形成するメチレン、メチン、イミンなど)を示し、nは1以上(好ましくは1〜10)の自然数を示す。
前記式(I)の非環状オニウム塩化合物の具体例としては以下のものをあげることができる。
Figure 2006290940
また前記式(II)の環状オニウム塩化合物の具体例としては以下のものをあげることができ、これらの中でも、アルキルオニウム塩水和物、特に塩化セチルピリジニウム1水和物が最も本発明の効果が顕著である。
Figure 2006290940
Figure 2006290940
本発明に係るゴム組成物には、前記した成分に加えて、その他の任意のゴム用添加剤、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、シランカップリング剤、各種オイル、老化防止剤、補強剤、充填剤、可塑性剤、軟化剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができる。
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、脂肪族および芳香族のヒンダードアミン系等の化合物が挙げられ、ゴム成分100重量部に対して、0.1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部添加するのがよい。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられ、ゴム成分100重量部に対して、0.1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部添加するのがよい。
顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料などが挙げられ、ゴム成分100重量部に対して、0.1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部添加するのがよい。
加硫剤としては、粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不活性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイドなどのイオウ系加硫剤や、亜鉛華、酸化マグネシウム、リサージ、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニジトロベンゼン、メチリンジアニリンなどが挙げられる。
加硫助剤としては、アセチル酸、プロピオン酸、ブタン酸、ステアリン酸、アクリル酸、マレイン酸等の脂肪族;アセチル酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ブタン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、マレンイン酸亜鉛等の脂肪酸亜鉛などが挙げられる。
加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)等のチウラム系;ヘキサメチレンテトラミン等のアルデヒド・アンモニア系;ジフェニルグアニジン等のグアニジン系;ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)等のチアゾール系;シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド等のスルフェンアミド系;等が挙げられる。さらにアルキルフェノール樹脂やそのハロゲン化物等を用いることもできる。
本発明に従って、前記加硫促進剤を他の任意成分と共にゴム成分に配合する方法としては、ニーダー、加圧式ニーダー、バンバリーミキサー、一軸、二軸押出機によって常法により、常温又は加温下で、混合できる。
本発明のゴム組成物は、特にタイヤ、ホース、ベルト、シート、防振ゴム、ローラー、ライニング、ゴム引布、シール材、手袋、防眩材などの用途に好適に使用できる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
実施例1〜3及び比較例1〜2
サンプルの調製
表Iに示す配合において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を2リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、150±5℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で160℃で30分間加硫して加硫ゴムシートを調製し、以下に示す試験法で加硫ゴムの物性を測定した。結果は表Iに示す。
ゴム物性評価試験法
JIS−A硬度(25℃)
100%モジュラス(M100)、破断強度(TB)及び破断伸び(EB):JIS 3号ダンベルにて2mmシートを打ち抜き、500mm/分の引張強度にて測定(JIS K 6251に準拠)。
tanδ(0℃及び60℃):(株)東洋精機製作所製粘弾製スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hzで測定した(測定温度0℃及び60℃)。結果は表Iに示す。tanδ(0℃)の値が大きい方がウェット制動にすぐれ、またtanδ(60℃)の値が小さい方が転がり抵抗が少ないことを示す。
Figure 2006290940
表I脚注
*1:日本ゼオン(株)製SBR(Nipol 1502)
*2:Rhodia Silica Korea,Co.ltd製シリカ(ZEOSIL 115GR)
*3:Deggusa製シランカップリング剤(Si69)
*4:和光純薬工業(株)ピリジン塩水和物(塩化セチルピリジニウム−水和物)
*5:和光純薬工業(株)ピリジン塩無水物(塩化セチルピリジニウム)
*6:横浜ゴム合成品(塩化トリエチルアンモニウム−水和物)
*7:正同化学工業(株)製亜鉛華(酸化亜鉛 3種)
*8:日本油脂(株)製ステアリン酸(ビーズステアリン酸 YR)
*9:FLEXSYS(株)製老化防止剤6C(SANTOFLEX 6PPD)
*10:鶴見化学工業(株)製油処理硫黄(金華印微粉硫黄 151メッシュ)
*11:大内新興化学工業(株)製加硫促進剤CZ(ノクセラーCZ−G)
*12:住友化学工業(株)製加硫促進剤DPG(ソクシノールD−G)
表Iの実施例1〜3の結果からも明らかなように、比較例1及び2に比べて、他の物性を実質的に損なうことなく60℃でのtanδが低下するので、低燃費用タイヤのトレッド用ゴム組成物として使用するのに好適である。

Claims (6)

  1. ゴム成分、フィラー及び式(I)又は(II):
    Figure 2006290940
    (式中、Xはハロゲン原子を示し、A,B及びCは、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基を示し、Dは、N,O,P又はSの原子を示し、Eは環構造を形成する有機基を示し、そしてnは1以上の自然数を示す)
    で表わされるオニウム塩を含んでなるタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記オニウム塩がアルキルオニウム塩水和物である請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記アルキルオニウム塩水和物がアルキルピリジニウム塩水和物である請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記アルキルオニウム塩水和物が塩化セチルピリジニウム1水和物である請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記オニウム塩の含有量が、ゴム成分100重量部に対し、0.1〜5重量部である請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記フィラーの含有量が、ゴム成分100重量部に対し、1〜200重量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
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