JP2006282830A - ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温貯蔵弾性率及びモジュラスが改良された、混合加工性の良好なゴム組成物の提供。
【解決手段】 ガラス転移温度(Tg)が−30〜0℃のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を全ゴム分の50重量%以上含むゴム成分100重量部及び軟化点が90〜140℃で160℃における溶融粘度が900〜4000mPa・sの脂環族飽和炭化水素樹脂5〜100重量部を含んでなるゴム組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明はゴム組成物に関し、更に詳しくは高温貯蔵弾性率及びモジュラスが改良され、混合加工性の良好な、例えばタイヤトレッド用として適当なゴム組成物に関する。
ゴム組成物の貯蔵弾性率E′を上げることによって、タイヤとしての運動性能を向上させる試みが種々行われている。例えばゴム組成物にテルペン系樹脂、石油系樹脂、クマロン樹脂などを配合する技術が知られているが(特許文献1及び2参照)、これらは、高温時(例えば100℃)の貯蔵弾性率が十分満足いくレベルまで改良されていないために、熱ダレを起こしやすくなったり、ゴム組成物の粘着性が上がり過ぎて加工性が低下したりするという問題がある。
特開平10−182884号公報 特開平11−269308号公報
従って、本発明の目的は、高温貯蔵弾性率及びモジュラスに優れ、混合加工性の良好なゴム組成物を提供することにある。
本発明に従えば、ガラス転移温度(Tg)が−30℃〜0℃のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を全ゴム分の50重量%以上含むゴム成分100重量部及び軟化点が90〜140℃で160℃における溶融粘度が900〜4000mPa・sの脂環族飽和炭化水素樹脂5〜100重量部を含んでなるゴム組成物が提供される。
本発明によれば、それ自体は公知の樹脂である脂環族飽和炭化水素樹脂の中に、特定の溶融粘度を有する樹脂を用いることによって、貯蔵弾性率、特に高温貯蔵弾性率の向上と混合加工性とを両立させることができる。
本発明の好ましい態様によればゴム成分100重量部に対し、(i)(a)CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)吸着比表面積が110〜250m2/gで、24M4DBP吸収量が90〜150g/gのカーボンブラック及び/又は(b)シリカ90〜180重量部並びに(ii)式(I):
Figure 2006282830
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R2は芳香族炭化水素基を示し、R3は水素、炭素数1〜10のアルキル基又は芳香族炭化水素基を示す)
を有するチウラム系加硫促進剤0.2〜5.0重量部を更に含む前記ゴム組成物が提供される。
本発明者らは、特定の軟化点と溶融粘度を有する脂環族飽和炭化水素樹脂を配合することで、高温でも高い貯蔵弾性率及びモジュラスを有し、混合加工性の良いゴム組成物を得ることができることを見出した。
ここで、脂環族飽和炭化水素樹脂は、軟化点(JIS K2207の環球法に準拠)が90〜140℃、好ましくは90〜120℃で、160℃における溶融粘度(ISO 11443に準拠)が900〜4000mPa・s、好ましくは1000〜3000mPa・sの範囲にあることが必要である。脂環族飽和炭化水素樹脂の軟化点が低過ぎると、貯蔵弾性率の向上効果が小さく、逆に高過ぎると、混合加工時の分散性や溶け残りの問題があるので好ましくはない。一方、脂環族飽和炭化水素樹脂の溶融粘度が低過ぎると貯蔵弾性率向上効果が小さく、逆に高過ぎるとゴム組成物のムーニー粘度が高くなり過ぎて混合加工性が悪化するので好ましくない。
本発明のゴム組成物に用いるゴム成分はガラス転移温度Tg(TAインスツルメント社製DSC2920にて昇温速度10℃/minにて測定)が−30℃〜0℃、好ましくは−30℃〜−10℃のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を全ゴム分の50重量%以上、好ましくは70重量%以上を含む必要がある。SBRのTgが高過ぎるとゴム組成物の硬度や弾性率の温度依存性が大きくなるので好ましくない。Tgが低過ぎるとグリップ性能が低下するので好ましくない。本発明において使用するゴム成分のうちのSBR含量が少な過ぎるとグリップ性能が劣り、グリップ持続性も悪化するので好ましくない。
本発明において用いることができる他のゴム成分には特に限定はなく、例えば天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、前記特定のガラス転移温度を満足しない他のSBR、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)などのタイヤ用その他のゴム組成物に用いることができる任意のゴムをあげることができる。
本発明のゴム組成物に用いる脂環族飽和炭化水素樹脂は、公知の樹脂であり、本発明では前述の如く特定の軟化点及び溶融粘度を有するものを使用することが必要である。このような脂環族飽和炭化水素樹脂としては、例えばアルコン(荒川化学工業(株)製)などをあげることができる。
本発明のゴム組成物に配合することができるカーボンブラックとしては、好ましくはCTAB吸着比表面積(JIS K6217に準拠して測定)が110〜250m2/g、更に好ましくは130〜250m2/gで、24M4DBP吸収量(JIS K6217に準拠して測定)が90〜150g/g、更に好ましくは95〜130g/gのカーボンブラックを用いるのがグリップ性能の観点から好ましい。
本発明の好ましい態様に従えば、タイヤ用などのゴム組成物に配合することができる任意のシリカを配合することができる。そのようなシリカとしては従来よりタイヤ用などに使用されている任意のシリカ、例えば天然シリカ、合成シリカ、より具体的には乾式シリカ、湿式シリカなどをあげることができ、これらはウェットグリップ性能向上及び低ころがり抵抗性の観点から好ましい。
本発明の好ましい態様で用いることができる前記カーボンブラック及び/又はシリカは合計量でゴム成分100重量部当り好ましくは90〜180重量部、更に好ましくは90〜140重量部配合するのが良好な混合加工性と高いグリップ性能とグリップ持続性の観点から好ましい。
本発明の好ましい態様では加硫促進剤として前記式(I)のチウラム系加硫促進剤をゴム100重量部に対し0.2〜5.0重量部、更に好ましくは0.5〜2.0重量部を配合すると耐熱老化性が向上するので好ましい。前記式(I)においてR1はメチレン基、ジメチレン基、イソプロピレン基などのC1〜C3のアルキレン基を示し、R2はフェニル基、ナフタレン基などの芳香族炭化水素基を示し、R3はフェニル基、ナフタレン基などの芳香族炭化水素基、メチル基、ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素数1〜10のアルキル基又は水素を示す。かかるチウラム系加硫促進剤としては例えばテトラベンジルチウラムジスルフィドなどをあげることができ、例えばPERKACIT TBzTD(フレキシス社製)などとして市販されている。
本発明に係るゴム組成物には、前記した必須成分に加えて、加硫又は架橋剤、チウラム系以外の加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
実施例1〜2及び比較例1〜5
サンプルの調製
表Iに示す配合において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を2リットルの密閉型ミキサーで5〜6分間混練し、165±5℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて以下に示す試験法で未加硫物性を評価した。結果は表Iに示す。
次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で160℃で20分間加硫して加硫ゴムシートを調製し、以下に示す試験法で加硫ゴムの物性を測定した。結果は表Iに示す。
ゴム物性評価試験法
貯蔵弾性率E′(100℃):(株)東洋精機製作所製粘弾製スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hz、雰囲気温度100℃で測定した。結果は比較例2を100として指数表示した。この値が大きいほど良好である。
300%モジュラス M300(100℃):JIS K6251に準拠して300%モジュラスを100℃で測定した。結果は比較例2を100として指数表示した。値が大きいほど良好である。
老化前後のM300変化率(%):加硫ゴムシートを100℃で24時間老化処理後に、JIS K6251に準拠して室温で測定した300%モジュラスをM300′、未処理での300%モジュラスをM300としたとき、((M300′−M300)/M300)×100にて計算した。数値が小さいと耐熱老化性に優れていることを表す。
ムーニー粘度ML1+4(100℃):JIS K5630に準拠して測定した。比較例2を100として指数表示した。値が小さいと混合加工性が良好である。
密着性:マスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練りする際のロール表面への密着性を以下の基準に従って官能評価した。
○:ロール作業熟練者でなくても作業可能なレベル
×:ロール作業熟練者でも作業が難しいレベル
Figure 2006282830
表I脚注
*1:日本ゼオン(株)製Nipol 9529(50.0重量部油展)
*2:三菱化学(株)製ダイアブラックA
*3:正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種
*4:日本油脂(株)製ビーズステアリン酸YR
*5:住友化学(株)製アンチゲン6C
*6:ジャパンエナジー(株)製プロセス X140
*7:ヤスハラケミカル(株)製 TO−105
*8:新日鐵化学(株)製 エスクロンG90
*9:荒川化学工業(株)製 アルコンP100(軟化点100℃、溶融粘度1100mPa・s)
*10:荒川化学工業(株)製 アルコンM100(軟化点100℃、溶融粘度800mPa・s)
*11:荒川化学工業(株)製 アルコンP140(軟化点140℃、溶融粘度70000mPa・s)
*12:大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G
*13:フレキシス社製PERKACIT DPG
*14:フレキシス社製PERKACIT TBzTD
*15:鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉未硫黄
以上の通り本発明によれば、混合加工性が良好で高温での貯蔵弾性率及びモジュラスを向上させることができるので、特に高性能タイヤ用トレッドに好適である。

Claims (2)

  1. ガラス転移温度(Tg)が−30℃〜0℃のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を全ゴム分の50重量%以上含むゴム成分100重量部及び軟化点が90〜140℃で160℃における溶融粘度が900〜4000mPa・sの脂環族飽和炭化水素樹脂5〜100重量部を含んでなるゴム組成物。
  2. ゴム成分100重量部に対し、(i)(a)CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)吸着比表面積が110〜250m2/gで、24M4DBP吸収量が90〜150g/gのカーボンブラック及び/又は(b)シリカ90〜180重量部並びに(ii)式(I):
    Figure 2006282830
    (式中、R1は炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R2は芳香族炭化水素基を示し、R3は水素、炭素数1〜10のアルキル基又は芳香族炭化水素基を示す)
    を有するチウラム系加硫促進剤0.2〜5.0重量部を更に含む請求項1に記載のゴム組成物。
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