JP2006289339A - 光ファイバーの水熱分解装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 光ファイバー心線テープに超臨界水または亜臨界水と反応を生じさせる反応器5内に、光ファイバー心線テープを供給し、供給ライン4から水または水と酸化剤を反応器5に連続的に導入して、前記光ファイバー心線テープと反応させる。反応器5内の反応生成物は連続的に取り出され、反応生成物取り出しライン6中の反応生成物は熱交換器7で冷却された後、気液分離装置8において気体と液体に分離される。これにより、反応器5内には心線が分別されて残る。
【選択図】 図1
Description
1)光ファイバー心線テープに超臨界状態または亜臨界状態で水または水と酸化剤を接触させ反応を生じさせる反応器と、
前記反応器に水または水と酸化剤を供給する供給ラインと、
前記反応器において生成した反応生成物を反応器から取り出す反応生成物取り出しラインと、
前記反応生成物取り出しラインに接続され、該ライン中の反応生成物を気体と液体に分離する気液分離装置と
を備えたことを特徴とする光ファイバーの水熱分解装置、
2)前記供給ラインの水または水と酸化剤の流量は、前記反応器内の光ファイバー心線テープ供給量に対して約3〜13倍の質量であることを特徴とする前記1)に記載の光ファイバーの水熱分解装置、
3)前記供給ラインは加熱手段を備え、前記取り出しラインは冷却手段を備えていることを特徴とする前記1)または2)に記載の光ファイバーの水熱分解装置、
4)前記反応器内における反応温度が390℃から640℃の範囲内に維持され、かつ、反応圧力が0.1MPaから30MPaの範囲内に維持されていることを特徴とする前記1)に記載の光ファイバーの水熱分解装置、
5)前記反応器内における反応温度が390℃から640℃の範囲内に維持され、かつ、反応圧力が0.1MPaから18MPaの範囲内に維持されていることを特徴とする前記1)に記載の光ファイバーの水熱分解装置、
6)前記反応器内における反応温度が480℃から640℃の範囲内に維持され、かつ、反応圧力が0.1MPaから18MPaの範囲内に維持されていることを特徴とする前記1)に記載の光ファイバーの水熱分解装置、
7)超臨界水または亜臨界水と反応を生じさせる反応器に光ファイバー心線テープ、水または水と酸化剤を供給し、
反応器内で前記光ファイバー心線テープの有機成分が分解されるように反応を生じさせ、
前記反応器から取り出された反応生成物を反応器内の反応温度以下に冷却して気液分離装置に導入することを特徴とする光ファイバーの水熱分解方法、
8)前記供給ラインの水または水と酸化剤の流量は、前記反応器内の光ファイバー心線テープ供給量に対して約3〜13倍の質量であることを特徴とする前記7)に記載の光ファイバーの水熱分解方法、
9)前記供給ラインに供給される水または水と酸化剤の温度が反応温度+0〜20℃の範囲内に加熱され、前記取り出しラインから取り出される反応生成物が30℃以下に冷却されることを特徴とする前記7)または8)に記載の光ファイバーの水熱分解方法、
10)前記反応器内における反応温度が390℃から640℃の範囲内に維持され、かつ、反応圧力が0.1MPaから30MPaの範囲内に維持されていることを特徴とする前記7)に記載の光ファイバーの水熱分解方法、
11)前記反応器内における反応温度が390℃から640℃の範囲内に維持され、かつ、反応圧力が0.1MPaから18MPaの範囲内に維持されていることを特徴とする前記7)に記載の光ファイバーの水熱分解方法、
12)前記反応器内における反応温度が480℃から640℃の範囲内に維持され、かつ、反応圧力が0.1MPaから18MPaの範囲内に維持されていることを特徴とする前記7)に記載の光ファイバーの水熱分解方法、
13)前記反応器に供給される酸化剤濃度が、酸化剤と水の合計量に対する質量比で5〜30%であることを特徴とする前記7)〜12)のいずれかに記載の光ファイバーの水熱分解方法、および、
14)前記水熱分解後の反応器内より取り出された心線を、超音波を加振しながら洗浄し、該心線に付着している付着物を除去することを特徴とする前記7)〜13)のいずれかに記載の光ファイバーの水熱分解方法。
亜臨界状態での反応は、反応温度が低い場合は、分解率を高めるために反応圧力を所定の圧力以上に維持する必要があるが、反応温度を390℃(より好ましくは480℃)以上に維持することによって、0.1MPa程度の低圧条件下でもコーティング樹脂を分解することができる。一方、反応温度の上限としては、640℃以下が好ましい。反応温度が640℃以下であれば、装置的にも対応可能である。反応圧力は、0.1〜18MPaが好ましく、より好ましくは0.1〜10MPa、さらに好ましくは0.1〜1.0MPaである。このような亜臨界状態で水熱分解反応を実施することにより、上記の超臨界状態で反応させた場合と比較してコーティング樹脂の分解率は同等で、心線の回収率が高くなる利点がある。
本発明によれば、光ファイバー心線テープに超臨界または亜臨界状態で水または水と酸化剤を接触させることにより、水熱分解反応が生じて有機物が分解するものと推察される。
内容量100mLのオートクレーブに光ファイバー心線テープ10gを入れ、溶媒として、予熱器により約500℃に加熱した水を0.5mL/minの速度でオートクレーブに連続的に供給した(供給水量100g)。この供給ラインの流量の調整は、ポンプにより行った。オートクレーブ内の圧力を24.8MPa、温度を480℃に調整して60分間維持した。オートクレーブ内の圧力調整は圧力調整弁により行った。この間、オートクレーブから反応生成物が連続的に排出され、気液分離装置により気体成分と液体成分に分離された。反応生成物取り出しラインには、0.02m2の単管式熱交換器を設置して15℃の冷却水を循環させた。反応終了後、反応器内より心線を取り出し、以下に示す方法によりコーティング樹脂の分解率、心線の回収率および夾雑物の割合を評価した。
反応温度、圧力を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
内容量100mLのオートクレーブに光ファイバー心線テープ10gを入れ、溶媒として過酸化水素濃度30%の水を用い、これを予熱器により約600℃に加熱したものを0.5mL/minの速度でオートクレーブに連続的に供給し、オートクレーブ内の圧力を24.9MPa、温度を581℃に調整して60分間維持した以外は、実施例1と同様に実施した。
内容量100mLのオートクレーブに光ファイバー心線テープ10gを入れ、溶媒として、予熱器により約520℃に加熱した水を0.5mL/minの速度でオートクレーブに連続的に供給し、オートクレーブ内の圧力を10.2MPa、温度を499℃に調整して60分間維持した以外は、実施例1と同様に実施した。
反応温度、圧力を表1に示す条件に変更した以外は、実施例5と同様に実施した。
内容量100mLのオートクレーブに光ファイバー心線テープ10gを入れ、溶媒として過酸化水素濃度30%の水を用い、これを予熱器により約630℃に加熱したものを0.5mL/minの速度でオートクレーブに連続的に供給し、オートクレーブ内の圧力を10.3MPa、温度を614℃に調整して60分間維持した以外は、実施例1と同様に実施した。
内容量100mLのオートクレーブに光ファイバー心線テープ10gを入れ、溶媒として、予熱器により約390℃に加熱した水を0.5mL/minの速度でオートクレーブに連続的に供給し、オートクレーブ内の圧力を4.5MPa、温度を366℃に調整して60分間維持した以外は、実施例1と同様に実施した。
内容量100mLのオートクレーブに光ファイバー心線テープ10gを入れ、溶媒として、予熱器により約640℃に加熱した水を0.5mL/minの速度でオートクレーブに連続的に供給し、オートクレーブ内の圧力を0.2MPa、温度を633℃に調整して60分間維持した以外は、実施例1と同様に実施した。
内容量100mLのオートクレーブに光ファイバー心線テープ10gを入れ、溶媒として過酸化水素濃度30%の水を用い、これを予熱器により約640℃に加熱したものを0.5mL/minの速度でオートクレーブに連続的に供給し、オートクレーブ内の圧力を0.4MPa、温度を634℃に調整して60分間維持した以外は、実施例1と同様に実施した。
表中のコーティングの分解率、心線の回収率および夾雑物量は、下記式により求めた。なお、コーティング量は、最初にコーティング剤付き心線の質量を計測し、トルエンでコーティング剤を剥離させた後に心線の質量を計測して差分により求めた。
分解率(%)=[1−(試験後のコーティング量/初期コーティング量)]×100
回収率(%)=(試験後の心線量/試験前の心線量)×100
夾雑物(%)=[試験後のコーティング量/(試験後の心線量+試験後のコーティング量)]×100
実施例10で水熱分解した後、反応器より取り出した心線8.773gに、水500mlを添加し、(株)国際電気エルテック製の超音波発振装置UA200(出力36kHz)を用いて1時間超音波洗浄処理を行った。洗浄後心線を分離し、その質量を計測したところ8.669gであった。その結果、心線に付着していた夾雑物の割合は超音波洗浄処理前は1.2%であったが、超音波洗浄処理後は0.11%に減少していた。
実施例1と同様にして水熱処理を行った。内容量100mLのオートクレーブに光ファイバー心線テープ50gを入れ、溶媒として、予熱器により約500℃に加熱した水、または過酸化水素濃度30%の水を、0.5mL/minの速度でオートクレーブに連続的に供給した(供給水量120g)。オートクレーブ内の圧力、温度を表2に示す条件に調整して60分間維持した。この間、オートクレーブから反応生成物が連続的に排出され、気液分離装置により気体成分と液体成分に分離された。反応生成物取り出しラインには、0.02m2 の単管式熱交換器を設置して15℃の冷却水を循環させた。反応終了後、反応器内により心線を取り出し、上記した方法によりコーティング樹脂の分解率および心線の回収率を求めた。
溶媒として1.5質量%のNaOH水溶液を用い、オートクレーブ内の圧力を25.3MPa、温度を403℃に維持した以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、コーティングの分解率87.5%、心線の回収率0%であった。この実験より、アルカリ水溶液を用いて水熱処理した場合は、心線素材のシリカが全量溶解したことがわかった。
2 溶媒
3 予熱器
4 供給ライン
5 反応器
6 反応生成物取り出しライン
7 熱交換器
8 気液分離装置
9 気体排出ライン
10 液体排出ライン
11 ポンプ
12 圧力調整弁
Claims (14)
- 光ファイバー心線テープに超臨界状態または亜臨界状態で水または水と酸化剤を接触させ反応を生じさせる反応器と、
前記反応器に水または水と酸化剤を供給する供給ラインと、
前記反応器において生成した反応生成物を反応器から取り出す反応生成物取り出しラインと、
前記反応生成物取り出しラインに接続され、該ライン中の反応生成物を気体と液体に分離する気液分離装置と
を備えたことを特徴とする光ファイバーの水熱分解装置。 - 前記供給ラインの水または水と酸化剤の流量は、前記反応器内の光ファイバー心線テープ供給量に対して約3〜13倍の質量であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバーの水熱分解装置。
- 前記供給ラインは加熱手段を備え、前記取り出しラインは冷却手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバーの水熱分解装置。
- 前記反応器内における反応温度が390℃から640℃の範囲内に維持され、かつ、反応圧力が0.1MPaから30MPaの範囲内に維持されていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバーの水熱分解装置。
- 前記反応器内における反応温度が390℃から640℃の範囲内に維持され、かつ、反応圧力が0.1MPaから18MPaの範囲内に維持されていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバーの水熱分解装置。
- 前記反応器内における反応温度が480℃から640℃の範囲内に維持され、かつ、反応圧力が0.1MPaから18MPaの範囲内に維持されていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバーの水熱分解装置。
- 超臨界水または亜臨界水と反応を生じさせる反応器に光ファイバー心線テープ、水または水と酸化剤を供給し、
反応器内で前記光ファイバー心線テープの有機成分が分解されるように反応を生じさせ、
前記反応器から取り出された反応生成物を反応器内の反応温度以下に冷却して気液分離装置に導入することを特徴とする光ファイバーの水熱分解方法。 - 前記供給ラインの水または水と酸化剤の流量は、前記反応器内の光ファイバー心線テープ供給量に対して約3〜13倍の質量であることを特徴とする請求項7に記載の光ファイバーの水熱分解方法。
- 前記供給ラインに供給される水または水と酸化剤の温度が反応温度+0〜20℃の範囲内に加熱され、前記取り出しラインから取り出される反応生成物が30℃以下に冷却されることを特徴とする請求項7または8に記載の光ファイバーの水熱分解方法。
- 前記反応器内における反応温度が390℃から640℃の範囲内に維持され、かつ、反応圧力が0.1MPaから30MPaの範囲内に維持されていることを特徴とする請求項7に記載の光ファイバーの水熱分解方法。
- 前記反応器内における反応温度が390℃から640℃の範囲内に維持され、かつ、反応圧力が0.1MPaから18MPaの範囲内に維持されていることを特徴とする請求項7に記載の光ファイバーの水熱分解方法。
- 前記反応器内における反応温度が480℃から640℃の範囲内に維持され、かつ、反応圧力が0.1MPaから18MPaの範囲内に維持されていることを特徴とする請求項7に記載の光ファイバーの水熱分解方法。
- 前記反応器に供給される酸化剤濃度が、酸化剤と水の合計量に対する質量比で5〜30%であることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の光ファイバーの水熱分解方法。
- 前記水熱分解後の反応器内より取り出された心線を、超音波を加振しながら洗浄し、該心線に付着している付着物を除去することを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の光ファイバーの水熱分解方法。
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