JP2006284984A - マイクロレンズ、空間光変調装置及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】空間光変調装置と組み合わせて用いることにより、高い効率で光を利用するとともに、高コントラストな画像が得られ、かつ空間光変調装置の信頼性を高めさせることが可能なマイクロレンズ等を提供すること。
【解決手段】光を屈折させる曲面211aを有し、曲面211aは、第1の方向における曲率が、第1の方向に略直交する第2の方向における曲率より小さく、かつ、第1の方向及び第2の方向の少なくとも一方について、曲面211a上において光が入射する位置が光軸AXから離れた位置であるほど曲面211aから近い位置に集光されるような収差を発生させる形状を有する。
【選択図】 図4
【解決手段】光を屈折させる曲面211aを有し、曲面211aは、第1の方向における曲率が、第1の方向に略直交する第2の方向における曲率より小さく、かつ、第1の方向及び第2の方向の少なくとも一方について、曲面211a上において光が入射する位置が光軸AXから離れた位置であるほど曲面211aから近い位置に集光されるような収差を発生させる形状を有する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、マイクロレンズ、空間光変調装置及び画像表示装置、特に、液晶型の空間光変調装置に用いられるマイクロレンズの技術に関する。
空間光変調装置、特に液晶型の空間光変調装置では、画像表示領域内に、データ線、走査線、容量線等の各種配線や、薄膜トランジスタ(以下適宜、TFT(Thin Film Transistor)と称す)、薄膜ダイオード等の各種電子素子が形成されている。このため、各画素において、実際に表示に寄与する光が透過又は反射する領域は、各種配線や電子素子等の存在により限定される。ここで、各画素の開口率は、各画素について、実際に表示に寄与する光が透過又は反射する領域(即ち、各画素の開口領域)の、全領域に対する比率であって、例えば70%程度である。空間光変調装置で有効に変調されるのは、各画素の開口率に応じた光量の光である。
そこで従来、各画素に対応する複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイを対向基板に形成する技術が導入されている。マイクロレンズは、各画素において、開口領域の周辺の上述の配線等が存在している非開口領域に向かって進行する光を、各画素単位で集光させる機能を有する。マイクロレンズで集光された光は、空間光変調装置の液晶層を透過するときに、各画素の開口領域内に導かれる。ここで、マイクロレンズからの光を効率良く開口領域へ入射させるために、マイクロレンズによる集光スポットの形状を開口領域の形状に合わせることが提案されている。マイクロレンズによる集光スポットの形状を開口領域の形状に合わせることにより、高い効率で光を利用でき、高輝度な画像を得ることができる。マイクロレンズによる集光スポットの形状を開口領域の形状に合わせるための技術は、例えば、特許文献1に提案されている。
マイクロレンズへ入射する光の多くは、マイクロレンズの集光作用により、光線と光軸とのなす光線角度が大きい状態で出射する。空間光変調装置の液晶層は小さい光線角度の光ほど有効に変調可能であることから、小さい光線角度の光を入射するほど高いコントラストで画像を表示することが可能である。このことから、光線角度が大きい光が多くなると、画像のコントラストが低下してしまう。また、マイクロレンズにより集光スポットを形成することとなると、開口領域中の小さい領域に光が集中することとなる。開口領域中の小さい領域に光が集中することにより、液晶や配向膜等の劣化、ひいては空間光変調装置の劣化を促進してしまう。このように、従来の技術では、高い効率で光を利用するとともに、画像の高コントラスト化、空間光変調装置の長寿命化を図ることが困難であるという問題を生じる。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、空間光変調装置と組み合わせて用いることにより、高い効率で光を利用するとともに、高コントラストな画像が得られ、かつ空間光変調装置の信頼性を高めさせることが可能なマイクロレンズ、そのマイクロレンズを用いる空間光変調装置、及び画像表示装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、光を屈折させる曲面を有し、曲面は、第1の方向における曲率が、第1の方向に略直交する第2の方向における曲率より小さく、かつ、第1の方向及び第2の方向の少なくとも一方について、曲面上において光が入射する位置が光軸から離れた位置であるほど曲面から近い位置に集光されるような収差を発生させる形状を有することを特徴とするマイクロレンズを提供することができる。
空間光変調装置、特に液晶型の空間光変調装置において、変調部である液晶層へ入射光を通過させる開口領域の形状は、一般に、長方形形状をなしている。本発明のマイクロレンズを液晶型の空間光変調装置に適用する場合に、開口領域の長辺方向を第1の方向、開口領域の短辺方向を第2の方向としてマイクロレンズを配置する。このようにマイクロレンズを配置することにより、マイクロレンズからの光を効率良く開口領域へ入射させることができる。さらに、マイクロレンズは、曲面上において光が入射する位置が光軸から離れた位置であるほど曲面から近い位置に集光させることにより、光軸から離れた光を効率良く開口領域へ導き、光を効率良く利用することができる。また、光軸に近い位置の光については、過度な集光を行うこと無く開口領域へ入射させることとなる。このため、開口領域中に集光スポットを形成する場合に比較して、光線角度が小さい光を多くし、画像のコントラストを向上させることができる。さらに、開口領域中に光を分散させることにより、液晶や配向膜等の劣化を軽減することができる。これにより、空間光変調装置と組み合わせて用いることにより、高い効率で光を利用するとともに、高コントラストな画像が得られ、かつ空間光変調装置の信頼性を高めさせることが可能なマイクロレンズを得られる。
また、本発明の好ましい態様によれば、曲面は、第1の方向及び第2の方向について、曲面上において光が入射する位置が光軸から離れた位置であるほど曲面から近い位置に集光されるような収差を発生させる形状を有することが望ましい。かかる構成のマイクロレンズを空間光変調装置と組み合わせて用いることにより、第1の方向及び第2の方向について、光軸から離れた光を効率良く開口領域へ導くとともに、過度な集光を行うこと無く光を開口領域へ入射させることができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、曲面は、第1の方向及び第2の方向のうち第1の方向のみについて、曲面上において光が入射する位置が光軸から離れた位置であるほど曲面から近い位置に集光されるような収差を発生させる形状を有することが望ましい。かかる構成のマイクロレンズを空間光変調装置と組み合わせて用いることにより、第1の方向について、光軸から離れた光を効率良く開口領域へ導くとともに、過度な集光を行うこと無く光を開口領域へ入射させることができる。
また、本発明の好ましい態様としては、曲面は、第1の方向及び第2の方向のうち第2の方向のみについて、曲面上において光が入射する位置が光軸から離れた位置であるほど曲面から近い位置に集光されるような収差を発生させる形状を有することが望ましい。かかる構成のマイクロレンズを空間光変調装置と組み合わせて用いることにより、第2の方向について、光軸から離れた光を効率良く開口領域へ導くとともに、過度な集光を行うこと無く光を開口領域へ入射させることができる。
さらに、本発明によれば、入射光を画像信号に応じて変調する変調部と、入射光を変調部へ入射させる開口部と、開口部の周囲に設けられた遮光部と、入射光を開口部の方向へ屈折させるマイクロレンズと、を有し、マイクロレンズは、第1の方向における曲率が、第1の方向に略直交する第2の方向における曲率より小さい曲面を有し、かつ、第1の方向及び第2の方向の少なくとも一方について、曲面上において光が入射する位置が光軸から離れた位置であるほど曲面から近い位置に集光されるような収差を発生させ、開口部は、第1の方向に長辺、及び第2の方向に短辺を備える矩形形状を有することを特徴とする空間光変調装置を提供することができる。
開口部の長辺方向に第1の方向、開口部の短辺方向に第2の方向を対応させてマイクロレンズを配置することにより、マイクロレンズからの光を効率良く開口領域へ入射させることができる。マイクロレンズは、曲面上において光が入射する位置が光軸から離れた位置であるほど曲面から近い位置に集光させることにより、過度な集光を行うこと無く光を開口領域へ入射させる。このため、開口領域中に集光スポットを形成する場合に比較して光線角度が小さい光を多くし、画像のコントラストを向上させることができる。また、開口領域中に光を分散させることにより、液晶や配向膜等の劣化を軽減することができる。これにより、高い効率で光を利用するとともに、高コントラストな画像を得られ、かつ高い信頼性の空間光変調装置を得られる。
さらに、本発明によれば、光を供給する光源部と、光源部からの光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置と、を有し、空間光変調装置は、上記の空間光変調装置であることを特徴とする画像表示装置を提供することができる。上記の空間光変調装置を備えることにより、高い効率で光を利用するとともに、高コントラストな画像を得られ、かつ信頼性が高い構成とすることができる。これにより、高い効率で明るく高コントラストな画像を得られ、かつ高い信頼性の画像表示装置を得られる。
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る画像表示装置であるプロジェクタ100の概略構成を示す。プロジェクタ100は、観察者側に設けられたスクリーン116に光を供給し、スクリーン116で反射する光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるフロント投写型のプロジェクタである。光源部101は、第1色光である赤色光(以下、「R光」という。)、第2色光である緑色光(以下、「G光」という。)、及び第3色光である青色光(以下、「B光」という。)を含む光を供給する超高圧水銀ランプである。インテグレータ104は、光源部101からの光の照度分布を均一化する。照度分布を均一化された光は、偏光変換素子105にて特定の振動方向を有する偏光光、例えばs偏光光に変換される。s偏光光に変換された光は、色分離光学系を構成するR光透過ダイクロイックミラー106Rに入射する。
R光透過ダイクロイックミラー106Rは、R光を透過し、G光、B光を反射する。R光透過ダイクロイックミラー106Rを透過したR光は、反射ミラー107に入射する。反射ミラー107は、R光の光路を90度折り曲げる。光路を折り曲げられたR光は、第1色光であるR光を画像信号に応じて変調する第1色光用空間光変調装置110Rに入射する。第1色光用空間光変調装置110Rは、R光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶表示装置である。なお、ダイクロイックミラーを透過しても、光の偏光方向は変化しないため、第1色光用空間光変調装置110Rに入射するR光は、s偏光光のままの状態である。
第1色光用空間光変調装置110Rは、λ/2位相差板123R、硝子板124R、第1偏光板121R、液晶パネル120R、及び第2偏光板122Rを有する。液晶パネル120Rの詳細な構成については後述する。λ/2位相差板123R及び第1偏光板121Rは、偏光方向を変換させない透光性の硝子板124Rに接する状態で配置される。これにより、第1偏光板121R及びλ/2位相差板123Rが、発熱により歪んでしまうという問題を回避できる。なお、図1において、第2偏光板122Rは独立して設けられているが、液晶パネル120Rの出射面や、クロスダイクロイックプリズム112の入射面に接する状態で配置しても良い。
第1色光用空間光変調装置110Rに入射したs偏光光は、λ/2位相差板123Rによりp偏光光に変換される。p偏光光に変換されたR光は、硝子板124R及び第1偏光板121Rをそのまま透過し、液晶パネル120Rに入射する。液晶パネル120Rに入射したp偏光光は、画像信号に応じた変調により、R光がs偏光光に変換される。液晶パネル120Rの変調により、s偏光光に変換されたR光が、第2偏光板122Rから出射される。このようにして、第1色光用空間光変調装置110Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム112に入射する。
R光透過ダイクロイックミラー106Rで反射されたG光及びB光は、光路を90度折り曲げられる。光路を折り曲げられたG光とB光とは、B光透過ダイクロイックミラー106Gに入射する。B光透過ダイクロイックミラー106Gは、G光を反射し、B光を透過する。B光透過ダイクロイックミラー106Gで反射されたG光は、第2色光であるG光を画像信号に応じて変調する第2色光用空間光変調装置110Gに入射する。第2色光用空間光変調装置110Gは、G光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶表示装置である。第2色光用空間光変調装置110Gは、液晶パネル120G、第1偏光板121G及び第2偏光板122Gを有する。液晶パネル120Gの詳細に関しては後述する。
第2色光用空間光変調装置110Gに入射するG光は、s偏光光に変換されている。第2色光用空間光変調装置110Gに入射したs偏光光は、第1偏光板121Gをそのまま透過し、液晶パネル120Gに入射する。液晶パネル120Gに入射したs偏光光は、画像信号に応じた変調により、G光がp偏光光に変換される。液晶パネル120Gの変調により、p偏光光に変換されたG光が、第2偏光板122Gから出射される。このようにして、第2色光用空間光変調装置110Gで変調されたG光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム112に入射する。
B光透過ダイクロイックミラー106Gを透過したB光は、2枚のリレーレンズ108と、2枚の反射ミラー107とを経由して、第3色光であるB光を画像信号に応じて変調する第3色光用空間光変調装置110Bに入射する。第3色光用空間光変調装置110Bは、B光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶表示装置である。なお、B光にリレーレンズ108を経由させるのは、B光の光路の長さがR光及びG光の光路の長さよりも長いためである。リレーレンズ108を用いることにより、B光透過ダイクロイックミラー106Gを透過したB光を、そのまま第3色光用空間光変調装置110Bに導くことができる。第3色光用空間光変調装置110Bは、λ/2位相差板123B、硝子板124B、第1偏光板121B、液晶パネル120B、及び第2偏光板122Bを有する。第3色光用空間光変調装置110Bの構成は、上述した第1色光用空間光変調装置110Rの構成と同様なので、詳細な説明は省略する。
第3色光用空間光変調装置110Bに入射するB光は、s偏光光に変換されている。第3色光用空間光変調装置110Bに入射したs偏光光は、λ/2位相差板123Bによりp偏光光に変換される。p偏光光に変換されたB光は、硝子板124B及び第1偏光板121Bをそのまま透過し、液晶パネル120Bに入射する。液晶パネル120Bに入射したp偏光光は、画像信号に応じた変調により、B光がs偏光光に変換される。液晶パネル120Bの変調により、s偏光光に変換されたB光が、第2偏光板122Bから出射される。第3色光用空間光変調装置110Bで変調されたB光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム112に入射する。このように、色分離光学系を構成するR光透過ダイクロイックミラー106RとB光透過ダイクロイックミラー106Gとは、光源部101から供給される光を、第1色光であるR光と、第2色光であるG光と、第3色光であるB光とに分離する。
色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム112は、2つのダイクロイック膜112a、112bをX字型に直交して配置して構成されている。ダイクロイック膜112aは、B光を反射し、G光を透過する。ダイクロイック膜112bは、R光を反射し、G光を透過する。このように、クロスダイクロイックプリズム112は、第1色光用空間光変調装置110R、第2色光用空間光変調装置110G、及び第3色光用空間光変調装置110Bでそれぞれ変調されたR光、G光及びB光を合成する。投写光学系114は、クロスダイクロイックプリズム112で合成された光をスクリーン116に投写する。これにより、スクリーン116上にフルカラー画像を表示することができる。
なお、上述のように、第1色光用空間光変調装置110R及び第3色光用空間光変調装置110Bからクロスダイクロイックプリズム112に入射される光は、s偏光光となるように設定される。また、第2色光用空間光変調装置110Gからクロスダイクロイックプリズム112に入射される光は、p偏光光となるように設定される。このようにクロスダイクロイックプリズム112に入射される光の偏光方向を異ならせることで、クロスダイクロイックプリズム112において各色光用空間光変調装置から出射される光を有効に合成できる。ダイクロイック膜112a、112bは、通常、s偏光光の反射特性に優れる。このため、ダイクロイック膜112a、112bで反射されるR光及びB光をs偏光光とし、ダイクロイック膜112a、112bを透過するG光をp偏光光としている。
図2は、液晶パネル120Rの要部断面構成を示す。図1で説明したプロジェクタ100は、3つの液晶パネル120R、120G、120Bを備えている。これら3つの液晶パネル120R、120G、120Bは変調する光の波長領域が異なるだけであり、基本的構成は同一である。このため、液晶パネル120Rを代表例として以後の説明を行う。光源部101からのR光は、図2の上側から液晶パネル120Rに入射し、下側からスクリーン116の方向へ出射する。防塵硝子である入射側防塵硝子200の入射側には、接着層201を介してカバー硝子202が固着されている。カバー硝子202の出射側には、ブラックマトリックス部203a及び対向電極204が形成されている。
出射側防塵硝子208の入射側には、接着層207、液晶を配向させるための配向膜206c、及び、TFT(薄膜トランジスタ)や透明電極206aを有するTFT基板206が形成されている。入射側防塵硝子200及び出射側防塵硝子208は、対向電極204とTFT基板206とを対向させるようにして貼り合わされている。対向電極204とTFT基板206との間には、液晶層205が封入されている。液晶層205は、入射光であるR光を画像信号に応じて変調する変調部である。液晶層205の入射側には、ブラックマトリックス部203aが形成されている。
図3は、ブラックマトリックス部203a及び開口部203bを入射側から見た平面構成を示す。開口部203bは、入射光を、変調部である液晶層205へ入射させる。ブラックマトリックス部203aは、開口部203bの周囲に設けられた遮光部である。開口部203bを透過するR光は、対向電極204、液晶層205、TFT基板206を透過する。R光は、液晶層205における画像信号に応じた変調により、偏光状態が変換される。開口部203bは、投写された画像における画素を形成する。画素のピッチWに対して、開口部203bは、第1の方向であるX方向に長辺m、及び第2の方向であるY方向に短辺nを備える矩形形状を有する。
図2に戻って、入射側防塵硝子200には、マイクロレンズアレイ210が形成されている。マイクロレンズアレイ210は、XY平面である基準面200b上にアレイ状に配列されたマイクロレンズ211を有する。マイクロレンズ211は、入射光であるR光を開口部203bの方向へ屈折させる。マイクロレンズ211は、光を屈折させる曲面211aを入射側に向けて設けられている。液晶パネル120Rは、マイクロレンズ211を配置する基準面200bと、光軸であるZ軸とが略直交するように配置されている。なお、図1で示した構成では、第1偏光板121R、第2偏光板122Rを、液晶パネル120Rに対して別体に設けている。これに代えて、入射側防塵硝子200と対向電極204との間、出射側防塵硝子208とTFT基板206との間などにも偏光板を設けることとしても良い。さらに、マイクロレンズアレイ210は、第1偏光板121Rに形成してもよい。
図4、図5及び図6は、マイクロレンズ211を透過する光の振る舞いを説明するものである。このうち、図4及び図5は、光軸AXに略平行に進行しマイクロレンズ211を透過する光の振る舞いを、XZ断面を用いて説明するものである。図6は、マイクロレンズ211を透過する光の振る舞いを、YZ断面を用いて説明するものである。図4及び図6ではマイクロレンズ211、開口部203b及びブラックマトリックス部203aのみを図示することとし、他の構成を省略している。図4及び図6に示すように、マイクロレンズ211は、光軸AXが開口部203bの中心位置を通過するように配置されている。光軸AXは、Z軸に平行、かつマイクロレンズ211の中心位置Oを通過する軸である。
図4に示すように、XZ平面において、マイクロレンズ211は、光軸AXから距離aの位置を通過する光を、基準面200bから距離faの位置Paに集光させる。YZ平面において、マイクロレンズ211は、図6に示すように、光軸AXから距離cの位置を通過する光を、基準面200bから距離fcの位置Pcに集光させる。このとき、距離aと距離cとが等しいとすると、距離fa>距離fcが成立する。
これと同様に、図4に示すように、XZ平面において、マイクロレンズ211は、光軸AXから距離bの位置を通過する光を、基準面200bから距離fbの位置Pbに集光させる。YZ平面において、マイクロレンズ211は、図6に示すように、光軸AXから距離dの位置を通過する光を、基準面200bから距離fdの位置Pdに集光させる。このとき、距離bと距離dとが等しいとすると、距離fb>距離fdが成立する。
液晶型の空間光変調装置において、開口部203bの形状は、一般に、長方形形状をなしている。これに対して、光軸AXに関して回転対称なマイクロレンズを用いる場合、略円形の領域に光が集光される。開口部203bの短辺を直径とする円形領域に光が集光される場合、開口部203bの長辺方向については過度な集光が行われることとなる。このため、開口部203bの長辺方向について光線角度が大きい光が多くなってしまう。光線角度が大きい光が多くなると、画像のコントラストが低下してしまう。また、投写光学系114は、F値により取り込み可能な光の光線角度が限られている。投写光学系114で取り込むことができない光線角度の光が多くなると、高い効率で光を利用することが困難となる。開口部203bの長辺を直径とする円形領域に光が集光される場合、ブラックマトリックス部203aに吸収される光が多くなることにより、高い効率で光を利用することが困難となる。
本実施例において、マイクロレンズ211の曲面211aは、第1の方向であるX方向における曲率が、第1の方向に略直交する第2の方向であるY方向における曲率より小さい。マイクロレンズ211は、X方向とY方向とで異なる曲率を有し、光軸AXに関して非回転対称な形状を有している。第1の方向であるX方向における曲率を、第1の方向に略直交する第2の方向であるY方向における曲率より小さくすることにより、マイクロレンズ211は、図3に示した長方形形状の開口部203bへ効率良く光を入射させることができる。マイクロレンズ211を用いて開口部203bへ効率良く光を入射させることにより、ブラックマトリックス部203aで吸収されてしまう光を低減することもできる。
図4に戻って、マイクロレンズ211は、さらに、距離a<距離bであるとき、距離fa>距離fbが成立する。曲面211aは、第1の方向であるX方向について、曲面211a上において光が入射する位置が光軸AXから離れた位置であるほど曲面211aから近い位置に集光されるような収差を発生させる形状を有する。マイクロレンズ211は、X方向において、光軸AXから離れた位置ほど大きい曲率を有する。
図5は、光軸AXから離れた位置ほど大きい曲率を有することによる効果を説明するものである。例えば、X方向における曲率が略一定である曲面511aを用いて光を屈折させる場合、曲面511aのうち光軸AXから離れた位置に入射する光Lを、光軸AX上の点Pa’に集光させるとする。これに対して、本実施例のマイクロレンズ211の曲面211aは、曲面511aの場合と同じ位置に入射する光Lを、点Pa’よりマイクロレンズ211に近い点Paに集光させる。
マイクロレンズ211は、光軸AXから離れた位置へ入射する光ほど曲面211aから近い位置に集光させることにより、光軸AXから離れた光を効率良く開口部203bへ導く。光軸AXから離れた光を効率良く開口部203bへ導くことにより、光を効率良く利用することができる。また、光軸AXに近い位置の光については、過度な集光を行うこと無く開口部203bへ入射させることとなる。このため、開口部203bに集光スポットを形成する場合に比較して、光線角度が小さい光を多くし、画像のコントラストを向上させることができる。さらに、開口部203bにおいて光を分散させることにより、液晶層205や配向膜206c等の劣化を軽減することができる。
さらに本実施例のマイクロレンズ211は、図6に示すように、距離c<距離dであるとき、距離fc>距離fdが成立する。曲面211aは、第2の方向であるY方向についても、曲面211a上において光が入射する位置が光軸AXから離れた位置であるほど曲面211aから近い位置に集光されるような収差を発生させる形状を有する。マイクロレンズ211は、Y方向において、光軸AXから離れた位置ほど大きい曲率を有する。以上から、マイクロレンズ211は、X方向及びY方向について、光軸AXから離れた光を効率良く開口部203bへ導くとともに、過度な集光を行うこと無く光を開口部203bへ入射させることができる。これにより、高い効率で光を利用するとともに、高コントラストな画像が得られ、かつ信頼性が高い構成とすることができるという効果を奏する。
マイクロレンズアレイ210は、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いることにより形成することができる。フォトリソグラフィの手順としては、まず、光反応性の感光材料であるレジストを基板に塗布し、露光、現像することでレジストにパターンを形成する。レジストにパターンを形成した後エッチング等を施すことで、レジストのパターンを基板に形成する。レジストに所望のパターンを形成する方法としては、例えば、光透過率に変化を持たせたグレイスケールマスクを介してレジストを露光する技術を用いることができる。
グレイスケールマスクは、光透過率を異ならせることで階調を得るマスクであって、例えば、HEBSマスクやクロムマスクを用いることができる。また、基板へのパターン形成には、クロムマスクと熱酸化膜とを組み合わせて用いたウェットエッチングを用いることとしても良い。マイクロレンズアレイ210は、かかる手法により母型を形成し、母型の形状の他の部材である樹脂部材等に転写することによって製造することとしても良い。母型の形状の転写を用いることで、マイクロレンズアレイ210の量産性を高めることができる。さらに、母型の作成には、機械加工を用いることとしても良い。
図7及び図8は、本実施例の変形例1に係るマイクロレンズ711の構成を説明するものである。図7は、光軸AXに略平行に進行しマイクロレンズ711を透過する光の振る舞いを、XZ断面を用いて説明するものである。図8は、マイクロレンズ211を透過する光の振る舞いを、YZ断面を用いて説明するものである。本変形例のマイクロレンズ711を有するマイクロレンズアレイは、上記の液晶パネル120R、120G、120Bに適用することができる。
本変形例のマイクロレンズ711の曲面711aは、第1の方向であるX方向における曲率が、第1の方向に略直交する第2の方向であるY方向における曲率より小さい点は、上記マイクロレンズ211の曲面211aと同じである。また、マイクロレンズ711は、第1の方向であるX方向について、光軸AXから離れた位置に入射する光であるほど、光軸AX上において曲面711aから近い位置に集光させる。このため、図7に示すXZ断面における光の振る舞いは、上記のマイクロレンズ211の場合と同様である(図4参照)。
これに対して、マイクロレンズ711の曲面711aは、第2の方向であるY方向については、略同一の曲率で形成されている。図8に示すYZ断面において、距離c<距離dであるとき、距離fc=距離fdが成立する。このように、マイクロレンズ711は、Y方向については、いずれの位置に入射する光についても略同じ位置に集光させる。かかる構成により、マイクロレンズ711は、第1の方向であるX方向のみについて、光軸AXから離れた光を効率良く開口部203bへ導くとともに、過度な集光を行うこと無く光を開口部203bへ入射させることができる。
図9及び図10は、本実施例の変形例2に係るマイクロレンズ911の構成を説明するものである。図9は、光軸AXに略平行に進行しマイクロレンズ911を透過する光の振る舞いを、XZ断面を用いて説明するものである。図10は、マイクロレンズ911を透過する光の振る舞いを、YZ断面を用いて説明するものである。本変形例のマイクロレンズ911を有するマイクロレンズアレイは、上記の液晶パネル120R、120G、120Bに適用することができる。
本変形例のマイクロレンズ911の曲面911aは、第1の方向であるX方向における曲率が、第1の方向に略直交する第2の方向であるY方向における曲率より小さい点は、上記マイクロレンズ211の曲面211aと同じである。また、マイクロレンズ911の曲面911aは、第1の方向であるX方向について、略同一の曲率で形成されている。図9に示すXZ断面において、距離a<距離bであるとき、距離fa=距離fbが成立する。このように、マイクロレンズ911は、X方向については、いずれの位置に入射する光についても略同じ位置に集光させる。
これに対して、マイクロレンズ911は、第2の方向であるY方向については、光軸AXから離れた位置に入射する光であるほど、光軸AX上において曲面911aから近い位置に集光させる。このため、図10に示すYZ断面における光の振る舞いは、上記のマイクロレンズ211の場合と同様である(図6参照)。かかる構成により、マイクロレンズ911は、第2の方向であるY方向のみについて、光軸AXから離れた光を効率良く開口部203bへ導くとともに、過度な集光を行うこと無く光を開口部203bへ入射させることができる。
変形例1及び変形例2は、X方向及びY方向の少なくとも一方について、光軸AXから離れた位置の光ほど、曲面から近い位置に集光されるような収差を発生させる構成とするものである。かかる構成により、X方向、Y方向のいずれか一方について、光軸AXから離れた光を効率良く開口部203bへ導くとともに、過度な集光を行うこと無く光を開口部203bへ入射させることができる。これにより、高い効率で光を利用するとともに、高コントラストな画像が得られ、かつ信頼性が高い構成とすることができる。
なお、本実施例のプロジェクタ100は、光源部101を超高圧水銀ランプとする構成に限られない。例えば、発光ダイオード素子(LED)等の固体発光素子を用いても良い。また、3つの透過型液晶表示装置を設けた、いわゆる3板式のプロジェクタに限らず、例えば、1つの透過型液晶表示装置を設けたプロジェクタや、反射型液晶表示装置を用いたプロジェクタとしても良い。さらに、本発明の画像表示装置は、フロント投写型のプロジェクタ100に限らず、スクリーンの一方の面にレーザ光を供給し、スクリーンの他方の面から出射される光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタであっても良い。
以上のように、本発明に係るマイクロレンズは、プロジェクタに設けられる液晶型空間光変調装置に用いる場合に適している。
100 プロジェクタ、101 光源部、104 インテグレータ、105 偏光変換素子、106R R光透過ダイクロイックミラー、106G B光透過ダイクロイックミラー、107 反射ミラー、108 リレーレンズ、110R 第1色光用空間光変調装置、110G 第2色光用空間光変調装置、110B 第3色光用空間光変調装置、112 クロスダイクロイックプリズム、112a、112b ダイクロイック膜、114 投写光学系、116 スクリーン、120R、120G、120B 液晶パネル、121R、121G、121B 第1偏光板、122R、122G、122B 第2偏光板、123R、123B λ/2位相差板、124R、124B 硝子板、200b 基準面、200 入射側防塵硝子、201 接着層、202 カバー硝子、203a ブラックマトリックス部、203b 開口部、204 対向電極、205 液晶層、206 基板、206a 透明電極、206c 配向膜、207 接着層、208 出射側防塵硝子、210 マイクロレンズアレイ、211 マイクロレンズ、211a 曲面、AX 光軸、511a 曲面、711 マイクロレンズ、711a 曲面、911 マイクロレンズ、911a 曲面
Claims (6)
- 光を屈折させる曲面を有し、
前記曲面は、第1の方向における曲率が、前記第1の方向に略直交する第2の方向における曲率より小さく、かつ、前記第1の方向及び前記第2の方向の少なくとも一方について、前記曲面上において光が入射する位置が光軸から離れた位置であるほど前記曲面から近い位置に集光されるような収差を発生させる形状を有することを特徴とするマイクロレンズ。 - 前記曲面は、前記第1の方向及び前記第2の方向について、前記曲面上において光が入射する位置が前記光軸から離れた位置であるほど前記曲面から近い位置に集光されるような収差を発生させる形状を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズ。
- 前記曲面は、前記第1の方向及び前記第2の方向のうち前記第1の方向のみについて、前記曲面上において光が入射する位置が前記光軸から離れた位置であるほど前記曲面から近い位置に集光されるような収差を発生させる形状を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズ。
- 前記曲面は、前記第1の方向及び前記第2の方向のうち前記第2の方向のみについて、前記曲面上において光が入射する位置が前記光軸から離れた位置であるほど前記曲面から近い位置に集光されるような収差を発生させる形状を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズ。
- 入射光を画像信号に応じて変調する変調部と、
前記入射光を前記変調部へ入射させる開口部と、前記開口部の周囲に設けられた遮光部と、
前記入射光を前記開口部の方向へ屈折させるマイクロレンズと、を有し、
前記マイクロレンズは、第1の方向における曲率が、前記第1の方向に略直交する第2の方向における曲率より小さい曲面を有し、かつ、前記第1の方向及び前記第2の方向の少なくとも一方について、前記曲面上において光が入射する位置が光軸から離れた位置であるほど前記曲面から近い位置に集光されるような収差を発生させ、
前記開口部は、前記第1の方向に長辺、及び前記第2の方向に短辺を備える矩形形状を有することを特徴とする空間光変調装置。 - 光を供給する光源部と、
前記光源部からの光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置と、を有し、
前記空間光変調装置は、請求項5に記載の空間光変調装置であることを特徴とする画像表示装置。
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JP2005105767A JP2006284984A (ja) | 2005-04-01 | 2005-04-01 | マイクロレンズ、空間光変調装置及び画像表示装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2005-04-01 JP JP2005105767A patent/JP2006284984A/ja not_active Withdrawn
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