JP2006283524A - 鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の柱梁接合部のせん断補強構造 - Google Patents

鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の柱梁接合部のせん断補強構造 Download PDF

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Chihiro Yasuoka
千尋 安岡
Masayuki Kamimura
昌之 上村
Masato Uchiyama
真人 内山
Junichi Wada
純一 和田
Fumitaka Ogura
史崇 小倉
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Abstract

【課題】 鉄骨梁の支圧板をせん断力、せん断変形の伝達が可能に柱梁接合部のコンクリートと一体化して用い、簡易にして省力化とコストダウンが図れる構成に改良したせん断補強構造に関する。
【解決手段】 鉄筋コンクリート造柱1と鉄骨梁3,4の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造において、鉄骨梁3,4のウエブから上下のフランジ内面にかけて取り付けられた支圧板5が、鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート外面の位置又は同コンクリート内部の位置に、同鉄筋コンクリート造柱1のコンクリートとせん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化する構造で設置されている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、鉄筋コンクリート造柱(以下、単にRC柱という場合がある。)と鉄骨梁との梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造の技術分野に属し、更に言えば、鉄骨梁の支圧板をせん断力、せん断変形の伝達が可能に柱梁接合部のコンクリートと一体化して用い、簡易にして省力化とコストダウンが図れる構成に改良したせん断補強構造に関する。
設計用応力を用いてRC柱と鉄骨梁との梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造を設計する場合、特に既成H形鋼を用いた場合には、たいていは加力方向と同一の(又は平行な)鉄骨梁ウエブの厚さが必要厚さを満足させることができず、当て板などの補強が必要となることが多い。
そこで従来技術としては、いわゆる柱梁接合部のせん断補強に当て板などによる補強、或いは柱帯筋を追加して補強する構造が多く実施されてきた。
例えば下記の特許文献1に開示された柱梁接合部のせん断補強構造は、RC柱と鉄骨梁の接合部に塞ぎ板を取り付けると共に、同塞ぎ板の内側面に、コンクリートと一体化するコッターを多数設けた構成とされている。
また、下記の特許文献2に開示された柱梁接合部のせん断補強構造は、鉄骨梁においてRC柱の主筋のコンクリート被りと同じだけ柱内部に入った位置にスチフナー用鋼板を取り付け、せん断補強筋(柱帯筋)をRC柱の主筋外周に配置してその端部を前記スチフナー用鋼板と溶接した構成とされている。
なお、発明者らが代表的な従来技術として採択し図6に例示した梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造は、RC柱1の主筋(図示は省略)外周を取り巻く柱帯筋2…のほかに、鉄骨梁3,4それぞれのウエブと上下のフランジ内面とに囲まれた部分に、RC柱1のコンクリート表面と接すると共に柱帯筋2からは離れた任意の位置に支圧板5を設けた構成とされている。
特開平7−197523号公報 特開2000−170265号公報
上記の特許文献1に開示された柱梁接合部のせん断補強構造は、一案ではあるが、鉄骨梁に塞ぎ板を通り付けるために現場での溶接作業が多くなる。溶接は天候に左右されやすい上に、手間がかかってコスト高になり、工期が長引く不利が大きい。しかも塞ぎ板内面のコッターの形成は、鉄筋を溶接するとか、プレス成形により設けると説明されていることから理解できるように、やはり手間がかかってコスト高になる欠点が認められる。
上記の特許文献2に開示された柱梁接合部のせん断補強構造は、鉄骨梁において、RC柱の主筋のコンクリート被りと同じだけ柱内部に入った位置へ取り付けたスチフナー用鋼板が、仕口コンクリートを内外方向に縁切りする存在となるので、かえって柱梁接合部の強度を弱体化する欠点があると認められる。
図6に示した従来技術の場合は、加力方向と同一の(又は平行な)梁鉄骨ウエブの厚さが不足する対策として、同梁鉄骨ウエブに厚さを補完する当て板10を付加して補強するほか、柱帯筋2の本数を追加して補強することが多く行われている。
そのため当て板10を付加して補強する接合仕口の鉄骨加工が複雑になって、製作に工期を要し、コスト高を招く欠点がある。また、柱帯筋2を追加する場合には、梁鉄骨への孔明け加工数が増えて工作の手間が嵩み、しかも仕口部への配筋作業数が増え作業内容が複雑で面倒になるという欠点がある。
本発明の目的は、当て板による補強、或いは柱帯筋の本数を増やす補強を全く無用にするか、無用にはならないまでも大幅に減少させることができ、ひいては接合仕口の鉄骨加工が容易となって製作工期の短縮、コストダウンを図ることができ、仕口の組み立て作業が簡単化され、工数が減って柱梁接合部のせん断補強効果に優れたせん断補強構造を提供することである。
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造は、
鉄筋コンクリート造柱1と鉄骨梁3,4の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造において、
鉄骨梁3,4のウエブから上下のフランジ内面にかけて取り付けられた支圧板5が、鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート外面の位置又は同コンクリート内部の位置に、同鉄筋コンクリート造柱1のコンクリートとせん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化する構造で設置されていることを特徴とする。
請求項2に記載した発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造は、
鉄骨梁3,4のウエブから上下のフランジ内面にかけて取り付けられた支圧板5が、鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート外面の位置又は同コンクリート内部の位置に設置されていると共に、同支圧板5には鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート中に埋め込まれて一体化するスタッド6…が複数設置されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造は、
鉄骨梁3,4のウエブから上下のフランジ内面にかけて取り付けられた支圧板5が、鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート外面の位置に設置されていると共に、同支圧板5の外縁部が内面に折り曲げられ、その屈曲部5aが鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート中に埋め込まれてせん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化されていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造は、
鉄骨梁3,4のウエブから上下のフランジ内面にかけて取り付けられた支圧板5が、鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート外面の位置又は同コンクリート内部の位置に設置されていると共に、同支圧板5は鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート中に埋め込まれてせん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化される突起を形成された縞付き鋼板で形成されていることを特徴とする。
請求項1〜4に記載した発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造は、鉄骨梁3,4の支圧板5が、鉄筋コンクリート造柱1のコンクリートとせん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化されているので、加力方向Fと同一の鉄骨梁3のウエブの厚さが不足する場合でも、支圧板5によるせん断力およびせん断変形の伝達機能が前記厚さの不足を補って補完する。よって、従来の図6に示すような当て板10による補強、或いは柱帯筋本数の追加による補強等は無用であるか、全く無用ではないまでも、柱帯筋の追加数量や当て板の厚さなどを大幅に減少できる。
本発明によれば、支圧板5に、鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート中に埋め込まれて一体化するスタッド6を複数設置し(請求項2)、又は支圧板5の外縁部を内側に折り曲げて、その屈曲部5aを鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート中に埋め込み、せん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化し(請求項3)、或いは支圧板5を、鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート中に埋め込まれてせん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化される突起を形成された縞付き鋼板で形成する(請求項4)ことにより、簡単に安価に実施でき、工期の短縮や現場作業の省略、省力化に寄与し、せん断補強の効果に優れている。
鉄筋コンクリート造柱1と鉄骨梁3,4との梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造において、
鉄骨梁3,4のウエブから上下のフランジ内面にかけて取り付けられた支圧板5を、鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート外面の位置又は同コンクリート内部の位置に、鉄筋コンクリート造柱1のコンクリートとせん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化する構造で設置する。
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
図1と図2に示した実施例は、鉄筋コンクリート造柱1の仕口コンクリートの外面の位置に、鉄骨梁3,4それぞれのウエブから上下のフランジ内面にかけてそのコ字形溝を丁度塞ぐ形状の支圧板5が、溶接により接合して取り付けられている。この支圧板5の内面側(前記仕口コンクリートの側)に、鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート中に埋め込まれるスタッド6が必要本数設置され、各支圧板5は鉄筋コンクリート造柱1の仕口コンクリートとせん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化した構成とされている。図1中の符号2は柱帯筋、7は柱主筋を示している。
なお、図1に示した実施例の場合、貫通側の鉄骨梁3に対して、直交方向の鉄骨梁4はフランジ同士を突き合わせて溶接接合され、同フランジ接合部より先には図4に示すようにウエブのみが延長され、ウエブ同士を直角に突き合わせて溶接接合している。
したがって、図1の矢印F方向に水平力が作用した場合、当該水平力を負担する鉄骨梁3の応力は、当該鉄骨梁3の支圧板5を通じて鉄筋コンクリート造柱1の仕口コンクリートへせん断力およびせん断変形として伝達される。そして、同仕口コンクリートが負担したせん断力およびせん断変形は、スタッド6を通じて直交方向の鉄骨梁4の支圧板5へも伝達して負担させる結果となる。その結果、当該直交方向の鉄骨梁4の支圧板5の抵抗が前記せん断力およびせん断変形に対して補強効果を奏することになる。かくして直交4方向の鉄骨梁4の支圧板5の補強効果が、前記矢印F方向の水平力に対するウエブの必要厚さの不足を補完することになり、補強の必要性を無用にするか、大幅な節減を可能にするのである。
上記の補強効果を具体的な数値で示すと、次のようである。
柱断面の大きさが800×800mm角(コンクリート強度はFc27)で、柱の断面は582×300×12×17mmのH形鋼(SM490)、支圧板5は150×12mmの平鋼板(SM490)であり、概略計算の結果、コンクリートの強度(a)が約58トン、せん断補強筋の強度(b)が約30トン。鉄骨ウエブの強度(c)が約155トン、4枚の支圧板5の強度(d)が約123トンとする。
総強度fはa+b+c+d=366トンであるところ、4枚の支圧板5の強度(d)の寄与率αは、α=f/(f−d)=1.5となり、約1.5倍の補強効果があることが確認された。
なお、上記支圧板5の設置位置は、上記図1の鉄筋コンクリート造柱1の仕口コンクリートの外面の位置に限らない。鉄骨梁3、4の支圧板5を通じて鉄筋コンクリート造柱1の仕口コンクリートへせん断力およびせん断変形として伝達され、或いは支圧板5の抵抗が前記せん断力およびせん断変形に対して補強効果を奏するかぎり、同コンクリートの内部の任意の位置であって良い。
もっとも、コンクリートの表層近傍の位置ではコンクリートの剥離現象のおそれがあるし、また、柱帯筋2との干渉を避ける配慮からは、図3のように柱帯筋2の位置よりも更に内部の任意の位置が選択される。ただし、スタッド6の向きは内向きの限りではない。
次に、図4と図5に示した実施例は、鉄筋コンクリート造柱1の仕口コンクリートの外面と接する位置に、鉄骨梁3,4それぞれのウエブから上下のフランジ内面にかけてそのコ字形溝を丁度塞ぐ形状の支圧板5が溶接により接合して取り付けられているが、この支圧板5の外縁部は図5に例示したように内側へ約90度折り曲げられ、その屈曲部5aが鉄筋コンクリート造柱1の仕口コンクリートの中に十分に深く埋め込まれている。当該支圧板5は、前記の屈曲部5aを通じて、鉄筋コンクリート造柱1の仕口コンクリートとせん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化した構成とされている。屈曲部5aの埋め込み深さは、柱帯筋2との干渉を起こさないことを限度として、仕口コンクリートとの前記一体化を達成するに必要な深さが設定される。
本実施例の場合にも、図4の矢印F方向に水平力が作用した場合、当該水平力を負担する鉄骨梁3の応力は、当該鉄骨梁3の支圧板5を通じて鉄筋コンクリート造柱1の仕口コンクリートとせん断力およびせん断変形として伝達される。そして、同仕口コンクリートが負担したせん断力およびせん断変形は、屈曲部5aを通じて直交方向の鉄骨梁4の支圧板5へも伝達され負担させるので、当該直交方向の鉄骨梁4の支圧板5の抵抗が前記せん断力およびせん断変形に対して補強効果を奏することになる。この直交方向の鉄骨梁4の支圧板5の補強効果が、前記矢印F方向の水平力に対するウエブの必要厚さの不足を補完することになり、更なる補強の必要性は無用であるか、補強の必要を大幅に節減することが可能であることは、上記の実施例1、2と同様である。
なお、図示することは省略したが、請求項4に記載した発明のように、鉄骨梁3,4のウエブから上下のフランジ内面にかけて取り付けられた支圧板5を、鉄筋コンクリート造柱1の仕口コンクリートの外面の位置又は同コンクリート内部の位置に設置すると共に、同支圧板5を、鉄筋コンクリート造柱1のコンクリート中に埋め込まれてせん断力及びせん断変形の伝達が可能に一体化する突起を形成された公知の縞付き鋼板で形成することにより実施し、上記の実施例1〜3と全く同様の作用効果を得ることもできる。
以上に本発明を図示した実施例および図示省略の実施例に基づいて説明したが、勿論、本発明は上記の各実施例に限定されるものではない。本発明の目的と要旨、および技術的思想を逸脱しない限り、いわゆる当業者が必要に応じて行う設計変更や応用変形も含めて広く多様に実施されることを、念のため申し添える。
本発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造の実施例1を示した平面図である。 図1のII−II線矢視断面図である。 本発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造の実施例2を示した平面図である。 本発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造の実施例3を示した平面図である。 上記実施例3に用いる支圧板の折り曲げ形状と鉄骨梁との関係を例示した斜視図である。 従来のコンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造を示した斜視図である。
符号の説明
1 鉄筋コンクリート造柱
3,4 鉄骨梁
5 支圧板
6 スタッド
5a 屈曲部

Claims (4)

  1. 鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造において、
    鉄骨梁のウエブから上下のフランジ内面にかけて取り付けられた支圧板が、鉄筋コンクリート造柱のコンクリート外面の位置又は同コンクリート内部の位置に、同鉄筋コンクリート造柱のコンクリートとせん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化する構造で設置されていることを特徴とする、鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造。
  2. 鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造において、
    鉄骨梁のウエブから上下のフランジ内面にかけて取り付けられた支圧板が、鉄筋コンクリート造柱のコンクリート外面の位置又は同コンクリート内部の位置に設置されていると共に、同支圧板には鉄筋コンクリート造柱のコンクリート中に埋め込まれて一体化するスタッドが複数設置されていることを特徴とする、鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造。
  3. 鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造において、
    鉄骨梁のウエブから上下のフランジ内面にかけて取り付けられた支圧板が、鉄筋コンクリート造柱のコンクリート外面の位置に設置されていると共に、同支圧板の外縁部が内側に折り曲げられ、その屈曲部が鉄筋コンクリート造柱のコンクリート中に埋め込まれてせん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化されていることを特徴とする、鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造。
  4. 鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造において、
    鉄骨梁のウエブから上下のフランジ内面にかけて取り付けられた支圧板が、鉄筋コンクリート造柱のコンクリート外面の位置又は同コンクリート内部の位置に設置されていると共に、同支圧板は鉄筋コンクリート造柱のコンクリート中に埋め込まれてせん断力およびせん断変形の伝達が可能に一体化する突起を形成された縞付き鋼板で形成されていることを特徴とする、鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁の梁貫通型柱梁接合部のせん断補強構造。
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