JP2006283106A - クロム含有銅合金の製造方法、クロム含有銅合金および伸銅品 - Google Patents

クロム含有銅合金の製造方法、クロム含有銅合金および伸銅品 Download PDF

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Abstract

【課題】加工組織を微細化でき、量産プロセスにも組み込むことが可能なクロム含有銅合金の製造方法と、当該方法により製造したクロム含有銅合金および伸銅品を提供する。
【解決手段】Cr:0.1〜0.5質量%を含み、残部Cuおよび不可避的不純物からなる銅合金の製造方法であって、(イ)溶体化処理と(ロ)加工度が70%以上の冷間圧延とを順に行った後に、(ハ)200℃以上450℃未満の加熱温度で行うCrの粒界析出のための時効処理と(ニ)加工度が70%以上の冷間圧延とを順に少なくとも1回行うことを特徴とする銅合金の製造方法、前記製造方法により製造したクロム含有銅合金および伸銅品。
【選択図】図1

Description

本発明は、クロム含有銅合金の製造方法に関し、特に加工組織の微細化されたクロム含有銅合金の製造方法に関する。また、本発明は前記製造方法により製造したクロム含有銅合金および伸銅品に関する。
銅および銅合金は、リードフレーム、コネクタ、ピン、リード端子等の電子部品およびフレキシブル回路基板を含め、多用途に渡って幅広く利用されている材料である。急速に展開するIT化に伴う情報機器の高機能化および小型化・薄肉化は、銅および銅合金に対して更なる特性(強度、導電性)の向上を要求している。
ところが一般には、銅合金の導電性は強度と相反する関係にあり、強度を高めるために合金元素を添加すると導電性が低下するため、用途に応じて強度と導電性、更にコストとのバランスの適した合金が求められる。これまで、この強度と導電性をバランス良く有する合金の開発が盛んに行われてきており、一般的にはCu−Cr、Cu−Cr−Zr、Cu−Zr、Cu−Ni−Si、Cu−Be合金といった第2相粒子を含む析出強化型の銅合金が両者のバランスの優れた高機能材として用いられるようになってきている。特に合金元素の添加量が少ない希薄銅合金であるCu−Cr、Cu−Cr−Zr、Cu−Zr合金については、導電率50%IACS以上の高導電率を得ることができる。これらの合金の優れた導電性を損なうことなく、高強度化することが高強度高導電性銅合金を開発する上での1つの課題となっている。
析出型銅合金の導電率を下げずに強度を向上させる有効な手段として、結晶粒微細化が挙げられる。これは結晶粒径の逆数の平方根と降伏応力又は耐力とは比例関係にあるとするHall−Petch則に基づいたものである。この結晶粒微細化には加工(例えば圧延)後の焼鈍によって得られる再結晶(これを静的再結晶という)を利用した微細化と、加工中に再結晶が起こる現象(これを動的再結晶という)を利用した微細化の大きく分けて2つのアプローチがある。
静的再結晶からのアプローチに関しては、焼鈍再結晶時に結晶粒径が小さくなるようにコントロールすることが一般的であるが、結晶粒を微細化するために焼鈍温度を低くしていくと、部分的に未再結晶粒が残存するようになるため、Cu−Cr、Cu−Cr−Zr、Cu−Zr合金のような希薄銅合金ではこれまで2〜3μm程度の再結晶粒を得るのが限界であった。
動的再結晶からのアプローチに関しては、強いせん断加工を材料に加えることによる加工組織微細化の試みが近年盛んに行われている。しかし、これらの多くは、伊藤らによる報告(伊藤、“ARB(Accumulative Roll-Bonding)”、日本金属学会誌、社団法人日本金属学会、2000年、第64巻、p429)や、堀田による報告(“ECAP(Equal-Channel Angular Press”、金属学会セミナーテキスト「結晶粒微細化へのアプローチ」、社団法人日本金属学会、2000年、p39)等のように特殊な大歪加工技術に関するものであり、必ずしも現状の量産プロセスに組み込める技術ではなく、量産化に対して技術課題が多い。
また、量産プロセスを意識し、動的再結晶を冷間圧延にて発現させて微細化を試みた稀な例として、例えば特許文献1にて開示されたものがある。この開示に係る技術によれば、Cu−Cr−Zr合金の最終冷間圧延を工夫することにより、平均結晶粒径が1μm以下の微細な結晶粒が得られるとする。
特開2002−356728号公報 伊藤、"ARB(Accumulative Roll-Bonding)"、日本金属学会誌、社団法人日本金属学会、2000年、第64巻、p429 堀田、"ECAP(Equal-Channel Angular Press"、金属学会セミナーテキスト「結晶粒微細化へのアプローチ」、社団法人日本金属学会、2000年、p39
しかしながら、本発明者等の三次元的な観察によると、特許文献1に開示された技術によって得られたCu−Cr−Zr合金板の加工組織は、圧延観察した方向や箇所によっては、圧延方向(以下RD(Rolling Direction))平均長さ:1.5μm、圧延直角方向(以下TD(Transverse Direction))平均長さ:1.2μm、圧延面垂線方向(以下ND(Normal Direction))平均長さ:0.2μmの大きさを有する、RD、TDに伸びたパンケーキ状組織も見られた。そこで、このパンケーキ状組織のRD、TD長さを小さくした加工組織の更なる微細化が望まれる。
したがって本発明は、加工組織の更なる微細化、特にRD、TD長さを小さくでき、量産プロセスにも組み込むことが可能なクロム含有銅合金の製造方法と、当該方法により製造したクロム含有銅合金および伸銅品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々の加工および熱処理方法について鋭意研究を重ねたところ、静的再結晶や動的再結晶を利用した方法とは別のアプローチによって加工組織の微細化が得られることを見出した。すなわち、Cu−CrおよびCu−Cr−Zr合金を溶体化、冷間圧延した後、200℃以上450℃未満で時効処理するとCr粒子が加工組織の粒界に析出し、これを再び冷間圧延すると熱処理を行わなかった時に比べ加工組織のRD、TD長さが小さくなることを見出した。これにより、Cu−CrおよびCu−Cr−Zr合金にて極めて微細な加工組織、例示的には組織の平均長さが、RDで0.8μm以下、TDで0.7μm以下、NDで0.15μm以下を得ることが可能となった。この加工組織の微細化は、粒界に析出したCr粒子によって圧延中の粒界すべりが抑制されてせん断変形が促進され、このせん断変形でRDおよびTDが分断したことによると推定される。従って、本発明に係る微細化機構は一般的な静的再結晶や動的再結晶とは異なったものであると考える。
本発明に係る銅合金の製造方法は上記知見に基づいて完成されたものであり、一側面において、Cr:0.1〜0.5質量%を含み、残部Cuおよび不可避的不純物からなる銅合金の製造方法であって、(イ)溶体化処理と(ロ)加工度が70%以上の冷間圧延とを順に行った後に、(ハ)200℃以上450℃未満の加熱温度で行うCrの粒界析出のための時効処理と(ニ)加工度が70%以上の冷間圧延とを順に少なくとも1回行うことを特徴とする銅合金の製造方法である。
また、本発明は別の一側面において、前記銅合金が更に、Zr:0.01〜0.25質量%を含むことを特徴とする。
また、本発明は別の一側面において、前記銅合金が更に、In:0.1〜1.0質量%およびSn:0.1〜0.4質量%の何れか一方又は両方を総量で0.1〜1.0質量%含むことを特徴とする。
また、本発明は別の一側面において、前記(ロ)の圧延および前記(ニ)の圧延の加工度がそれぞれ80%以上であることを特徴とする。
また、本発明は別の一側面において、前記(ハ)の時効処理の加熱温度は340〜380℃であることを特徴とする。
また、本発明は別の一側面において、前記(ハ)の時効処理の加熱時間は3時間以上であることを特徴とする。
また、本発明は別の一側面において、前記(ハ)の工程と前記(ニ)の工程を順に1〜5回行い、最終工程を(ハ)の時効処理とすることを特徴とする。
また、本発明は別の一側面において、前記方法により製造した銅合金である。
また、本発明は別の一側面において、加工組織の平均長さが、圧延方向で0.8μm以下、圧延直角方向で0.7μm以下、圧延面垂線方向で0.15μm以下であることを特徴とする銅合金である。
また、本発明は別の一側面において、導電率が70%IACS以上で、引張強さが600MPa以上であることを特徴とする銅合金である。
更に、本発明は別の一側面において、前記銅合金から加工した伸銅品である。
更に、本発明は別の一側面において、前記伸銅品を用いた電子部品である。
以上説明したように本発明によれば、Cu−CrおよびCu−Cr−Zr合金にて極めて微細な加工組織、例えば組織の平均長さが、RDで0.8μm以下、TDで0.7μm、NDで0.15μm以下を得ることが可能となる。そして、本発明の製造方法は熱処理温度と圧延加工度を変えることで容易に実施が可能であり、実用性が高い。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
(成分組成)
(a)Cr
Crは時効処理によって析出し、合金の強度および導電性を向上させる作用を有する。しかしCr含有量が0.1質量%未満ではその効果があまり得られず、一方0.5質量%を超えると溶体化処理後にも未溶解Crが母相中に残留し、更には粗大晶出物として存在し、冷間加工時のピンホール発生および破断の原因となる。そのためCrは0.1〜0.5質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.2〜0.4質量%である。
本発明においては、加工組織の粒界上にCrを析出させることを本質的特徴の一つとするため、Crは必須成分である。
(b)Zr
本発明においては、更にZrを合金元素として使用することができる。Zrは時効処理によってCuと化合物を形成して母相中に析出し、合金の強度を更に高める作用を発揮する。しかしZr含有量が0.01質量%未満ではその効果があまり得られず、一方0.25質量%を超えると溶体化処理後も未溶解Zrが母相中に残留し、Cr同様粗大晶出物として、冷間加工時のピンホール発生および破断の原因となる。そのためZrは0.01〜0.20質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.05〜0.15質量%である。
(c)In、Sn
また、上記Cu−Cr、Cu−Cr−Zr合金に、更にInおよびSnの何れか一方又は両方を総量で0.1〜1.0質量%含有させた方が好適である。InおよびSnは何れも合金の導電率を大きく低下させず固溶強化により強度を向上させるだけでなく、加工組織を微細化させる作用を発揮するため、必要に応じてこれらの何れか一方または両方が添加されるが、これらの含有量が総量で0.1質量%未満だとその効果があまり得られず、一方1.0質量%を超えると合金の導電率を劣化させる傾向がある。そのためInおよびSnは何れか一方又は両方で0.1〜1.0質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.2〜0.8質量%である。
ただし、InおよびSnは単独で添加する場合も両方を添加する場合もそれぞれIn:0.1〜1.0質量%およびSn:0.1〜0.4質量%の範囲内であることを条件とする。同様に、0.1質量%未満だと効果があまり得られず、逆にこれらの濃度を超えて添加すると導電率を劣化させる傾向があるためである。
本発明に係るCr含有銅合金は通常、以下のような工程を経て製造される。真空溶解炉(VIM炉)を用いてCu、Cr、Zr等の原料を溶解し、上で規定した組成の溶湯を得る。そして、この溶湯をインゴットに鋳造する。その後、熱間圧延、溶体化処理および冷間圧延を順に行ない、次いで時効処理および冷間圧延を順に少なくとも1回行ない、所望の厚みおよび特性を有する形状(例えば条や箔)に仕上げる。
ただし、上記は例示であるため、本発明の本質的な構成から逸脱しない範囲で他の時効処理工程や加工工程を適宜加えたり、表面の酸化スケール除去のための研削、研磨、ショットブラスト酸洗等の工程を適宜加えたりすることは差し支えない。
(熱間圧延)
鋳塊の鋳造組織を破壊するために熱間圧延を行うのが好ましい。熱間圧延中に温度が低下すると、析出反応が進むことによって析出粒子の粗大化が起こる。また、鋳造時に偏析したCrおよびZrを始めとする添加元素を均一に母相中に固溶させる必要がある。そのために、熱間圧延開始時点での温度を900℃以上とし、熱間圧延中の温度低下を防ぐため、終了時の温度を700℃以上とすることが望ましい。
(溶体化処理)
溶体化処理を行うのは、後の時効処理でCrの析出を促進し、高強度の材料を得るためである。処理温度が高いほうがCrおよびZrのマトリックス中への固溶量が増し、時効時にCrの析出量が多くなって時効後の強度が高くなる。このような効果を得るためには処理温度が高いほど良く、900℃以上とすることが望ましい。このときの温度を上げすぎて再結晶の結晶粒径が大きくなると、後工程の冷間圧延時に結晶粒径を微細化することが困難になるため、溶体化処理直後で結晶粒径は50μm以下であることが望ましい。ただし、結晶粒径を小さくするには溶体化温度を下げるか、時間を短くする必要があり、溶体化が不十分とならないように注意すべきである。溶体化温度は低すぎると溶体化不足、高すぎると酸化スケール増加による歩留まり低下に繋がるため、850〜1000℃、好ましくは900〜950℃である。また、溶体化処理の際、冷却速度は速いほど高強度が得られやすく、具体的には水冷を行うことが望ましい。なお、この溶体化処理は前述の熱間圧延で兼ねることもできる。
(加工条件)
本発明の根幹となるCu−Cr、Cu−Cr−Zr合金で時効処理によるCrの粒界析出を起こさせるためには、明瞭な粒界(方位差5°程度以上)で囲まれたパンケーキ状の加工組織を形成する必要がある。このような加工組織を材料全体に形成させるためには、溶体化処理後、時効処理前に行う冷間圧延において、加工度:70%以上とすることが必要で、これ未満の加工度では明瞭な粒界で囲まれた加工組織と転位セル組織が混在した組織となってしまい、次いで実施される時効処理で粒界析出するCrが減少してしまう。
一方、時効処理後に行う冷間圧延にて、該時効処理によって粒界析出したCrによって粒界すべりが抑制されてせん断変形が促され、加工組織の微細化が達成されると考えられる。従って、粒界析出させた後の圧延についても、粒界析出したCrによる加工組織の微細化効果を十分に得るため、加工組織を材料全体に形成させる必要があり、70%以上の加工度が必要である。
よって、溶体化後、時効処理前の圧延および時効処理後の圧延の加工度を70%以上と定めた。時効処理前後の加工度は70%以上が必要で、80%以上であれば望ましい。しかし加工度が99%を超えると加工度を上げることの効果は殆ど得られず、逆に破断等の歩留り低下が起こる可能性がある。よって、加工度は70〜99%、好ましくは80〜99%、より好ましくは90〜99%である。
なお、本明細書において「圧延」には、条を製造する圧延は勿論のこと、棒や線などの塑性加工も含まれる。従って、条に限らず棒や線等を加工する場合にも本発明の製造方法を用いることによって微細な結晶粒と微細析出物を得ることができる。また、圧延ロールを用いて製造する場合に限らず、ダイスを用いた引抜やプレスを用いた鍛造であっても本発明の作用および効果を得ることができる。
本明細書において「加工度」とは、以下の式によって定義される。
R=(S0−S)/S0×100
R:加工度(%)
0:加工前の板条の断面積(mm2
S:加工後の板条の断面積(mm2
(時効処理条件)
本発明の根幹はCu−Cr、Cu−Cr−Zr合金の加工組織の粒界上にCrを析出させることである。Crの粒界析出は前記冷間圧延後に実施する時効処理により発現する。一般に実施される時効処理の温度条件(450〜550℃)では、Crは粒内に析出するが、本発明者等はそれよりも低い温度で時効処理を施した場合にCrの粒界析出が促進されることを見出した。
本発明者等によれば、Cu−Cr、Cu−Cr−Zr合金で溶体化後、70%以上の加工度で圧延した材料を等時焼鈍したところ、200℃に満たない温度では殆どCrの析出が見られないが、200℃以上450℃未満、好ましくは250以上450℃未満、更に好ましくは300以上400℃以下、最も好ましくは340〜380℃の加熱温度で加工組織の粒界上に多く析出し、450℃以上だと加工組織の粒内に多く析出することが判明している。また、Crの粒界析出量は加熱時間が長い方が多くなる。従って、加熱時間は3時間以上であるのが好ましく、より好ましくは10時間以上である。ただし、工業的観点からはあまり長時間実施するのは好ましくないので、例えば24時間程度、長くても100時間行えば充分に本発明の効果が得られる。
なお、時効処理の「加熱温度」とは時効処理を行なう加熱炉内部の雰囲気温度を指し、時効処理の「加熱時間」とは時効処理を行なう加熱炉中に滞留する時間を指す。
その他、時効処理は酸化防止のため不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気で行うのが好ましい。
なお、上述のCrの粒界析出のための時効処理とその後の圧延は何度繰り返しても良いが、その都度加工度を70%以上、好ましくは80%以上取る必要があるため、工業的には4〜5回程度の実施が限界であり、3回以上繰り返しても加工組織微細化に対する繰り返しの効果はさほど得られない。また、本発明において最終工程を粒界析出のための時効処理とすることで加工組織微細化と析出の効果を最大限に利用でき、最も良好な強度と導電率を得ることができる。具体的には例えば、(時効処理→70%以上の加工)×n回→時効処理(nは1〜5の自然数)のように表すことが出来る。ここで、最終工程とは析出状態に変化を与える工程をいい、形状矯正、脱脂、バフ研磨、酸洗又はスリットのような工程をその後に実施することを妨げるものではない。また、繰り返しになるが、時効処理工程と70%以上の加工工程の間には、本発明の本質的な構成から逸脱しない範囲で他の時効処理工程や加工工程(例えば形状矯正のための加工工程)、表面の酸化スケール除去のための研削、研磨、ショットブラスト酸洗等の工程、及び脱脂やスリットの工程を適宜加えたりすることは差し支えない。
本発明に係る製造法によって得られたCr含有銅合金は極めて微細な加工組織を有し、これによって、導電率をできるだけ下げずに強度を向上させることが可能となる。
特定の実施形態において、本発明に係るCr含有銅合金は、組織の平均長さが、TEM観察による測定(写真を測定)で、RDで1.0μm以下、更には0.8μm以下、更には0.7μm以下、更には0.6μm以下であり、TDで0.8μm以下、更には0.7μm以下、更には0.6μm以下、更には0.5μm以下であり、NDで0.15μm以下、更には0.1μm以下、更には0.07μm以下の極めて微細な加工組織を有する。
特定の実施形態において、本発明に係るCr含有銅合金は、引張強さが450MPa以上でかつ導電率が70%IACS以上とすることができ、更には引張強さが550MPa以上でかつ導電率が70%IACS以上とすることができ、更には引張強さが650MPa以上でかつ導電率が60%IACS以上とすることもできる。
本発明に係るCr含有銅合金は種々の伸銅品、例えば板、条、管、棒及び線に加工することができる。更に、本発明によるCr含有銅合金は、高い強度及び高い電気伝導性(又は熱伝導性)を両立させることが要求されるリードフレーム、コネクタ、ピン、端子、リレー、スイッチ、二次電池用箔材等の電子部品等に使用することができる。
以下に本発明の実施例を示すが、これら実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
無酸素銅を主原料とし、高純度クロム、高純度ジルコニウム、錫、インジウムを副原料とし、カーボン製ルツボを用いて、真空溶解炉(VIM炉)にて表1に示す各成分組成の銅合金を溶製し、2kgの鋳塊を得た。鋳造組織を破壊するために鋳片(厚さ25mm)を850℃で0.5時間加熱後、板厚12mmまで熱間圧延し、その後一度室温まで水冷してから再び加熱して1000℃で1時間溶体化処理後水冷した。次に表面の酸化スケール除去を機械加工で行い、片面1.0mmずつ表裏面を研削し板厚10mmとした。これを加工度:60、70、および87%で一回目の冷間圧延し板厚4、3、および1.3mmの素条とした。
これらの素条を、表2に示す時効処理条件(加熱温度、加熱時間)で石英管状炉を用いAr雰囲気中で加熱後、水冷した。次に2回目の冷間圧延を加工度:60、70、88%で実施した。この段階で試験片の一部を切り出し、TD、RD、ND面からTEM(Transmission Electron Microscope)観察を行った。検鏡から加工組織のRD、TD、NDの平均長さをTEM写真から測定した結果を表2に併記する。加工組織の平均長さは、写真に移った加工組織の中で平均的と思われる10〜30個を選び、それらのTD、RD、ND方向長さをそれぞれノギスで測り、倍率をかけて平均化することで得た。TEMの撮影倍率は5〜20万倍とした。
さらに360℃×15時間で加熱後、水冷した試料について、特性評価を行った。特性評価は、圧延平行方向での引張試験およびWブリッジによる体積抵抗率測定を行ない、引張強さ(MPa)および導電率(%IACS)を求めた結果をそれぞれ表2に併記する。引張試験はJIS Z 2201に準拠する13B号試験片で行った。
表2の本発明例1〜34と、本発明の時効処理を行わず加工度:70〜98.5%の強加工圧延を施した比較例No.35〜38及び48〜51との比較から判るように、高強度高導電合金であるCu−CrおよびCu−Cr−Zr合金に本発明の加工と時効処理を施すことにより、RDで1.0μm以下、TDで0.8μm以下、NDで0.15μm以下の極めて微細な加工組織を得ることができ、導電性を犠牲にすることなく高強度化を図ることができた。更に、いくつかの発明例ではRDで0.8μm以下、TDで0.7μm以下、NDで0.15μm以下の極めて微細な加工組織を得ることもできた。特に発明例No.10のCu−Cr合金では83.8%IACSの高導電性と511MPaの引張り強さ、発明例No.29のCu−Cr−Zr合金では76.8%IACSの導電性と601MPaの引張り強さを得ることができた。
なお、加工組織の微細化による強度向上効果は、トータルの加工度が等しいもの同士で比較することで理解できることに留意されたい。一般に、時効析出型合金においての合金の強化機構は加工組織の微細化、析出強化、加工硬化の三つの和で得られるため、加工組織が微細である方が必ずしも高い強度を有するとは限らないからである。例えば、適用合金No.1について、トータルの加工度がほぼ等しい比較例No.35と発明例No.1〜11は析出強化、加工硬化の効果はほぼ同じと考えられるから、これらを比較することで加工組織の微細化の効果によって強度が向上したという理解は適切である。しかしながら、適用合金No.4について、トータルの加工度の異なる発明例No.31(96%)及び32(91%)と比較例No.48(98.5%)とでは、析出強化及び加工硬化による強度向上効果はトータルの加工度の大きい比較例No.48の方が有利であるため、両者の引張り強さを単純に比較して加工組織の微細化による強度向上が得られなかったという理解は不適切である。
これに対し、比較例No.39、40、52では時効処理温度が200℃未満と規定範囲よりも低くCrの析出が殆どなされず、比較例No.41〜44、53、54では時効処理温度が450℃以上と規定範囲よりも高いためCrの粒内析出が優勢となり、また、比較例No.45〜47、55では圧延加工度が本発明の範囲を外れているため、発明例のように微細な加工組織を得ることができず、高強度化も図ることができなかった。
発明例No.24(Cu−0.25%Cr−0.10%Zr合金、87%圧延後、360℃×15h時効)のCr含有銅合金の粒界析出の様子を示すTEM写真である。 比較例No.54(Cu−0.25%Cr−0.10%Zr合金、87%圧延後、500℃×4h時効)のCr含有銅合金の粒内析出の様子を示すTEM写真である。

Claims (12)

  1. Cr:0.1〜0.5質量%を含み、残部Cuおよび不可避的不純物からなる銅合金の製造方法であって、(イ)溶体化処理と(ロ)加工度が70%以上の冷間圧延とを順に行った後に、(ハ)200℃以上450℃未満の加熱温度で行うCrの粒界析出のための時効処理と(ニ)加工度が70%以上の冷間圧延とを順に少なくとも1回行うことを特徴とする銅合金の製造方法。
  2. 前記銅合金が更に、Zr:0.01〜0.25質量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記銅合金が更に、In:0.1〜1.0質量%およびSn:0.1〜0.4質量%の何れか一方又は両方を総量で0.1〜1.0質量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記(ロ)の圧延および前記(ニ)の圧延の加工度がそれぞれ80%以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記(ハ)の時効処理の加熱温度は340〜380℃であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 前記(ハ)の時効処理の加熱時間は3時間以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記(ハ)の工程と前記(ニ)の工程を順に1〜5回行い、最終工程を(ハ)の時効処理とすることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の方法により製造した銅合金。
  9. 加工組織の平均長さが、圧延方向で0.8μm以下、圧延直角方向で0.7μm以下、圧延面垂線方向で0.15μm以下であることを特徴とする請求項8に記載の銅合金。
  10. 導電率が70%IACS以上で、引張強さが600MPa以上であることを特徴とする請求項8又は9の何れか一項に記載の銅合金。
  11. 請求項8〜10の何れか一項に記載の銅合金から加工した伸銅品。
  12. 請求項11に記載の伸銅品を用いた電子部品。
JP2005104095A 2005-03-31 2005-03-31 クロム含有銅合金の製造方法、クロム含有銅合金および伸銅品 Expired - Fee Related JP4171735B2 (ja)

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