JP2006283017A - インクセット、画像形成方法、インクジェット記録方法、インクカートリッジ及び記録ユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも第1のインク及び第2のインクが組み合わされてなるインクセットであって、第1のインクが、450nm以上500nm未満の領域に最大吸収波長を有し、第2のインクが、500nm以上570nm以下の領域に最大吸収波長を有し、且つ、450nm以上570nm以下の領域における、第1のインク及び第2のインクの吸光度を合算した時の最大吸光度をA、最小吸光度をBとした場合にB/Aの値が0.7以上1.0以下であるインクセット。
【選択図】なし
Description
又、本発明の別の目的は、上記したインクセットを用いた画像形成方法、インクジェット記録方法、インクカートリッジ及び記録ユニットを提供することにある。
本発明のインクセットは、先ず、450nm以上500nm未満の領域に最大吸収波長を有する第1のインクと、500nm以上570nm以下の領域に最大吸収波長を有する第2のインク、の少なくとも2種のインクが組み合わされてなることを要する。更に、450nm以上570nm以下の領域における、上記第1のインクと第2のインクの吸光度を合算した時の最大吸光度をA、最小吸光度をBとした場合に、B/Aの値が0.7以上1.0以下であることを要する。上記した第1のインク及び第2のインク、の2種類のインクについてのその他の構成、又は上記2種類のインクに組み合わせて用いる他のインクの構成は、従来公知のインクと同様のものとすることができる。更に、本発明のインクセットを構成する各インクの特に好ましい形態は、インクジェット記録特性に優れた水性インクとすることにある。以下に、本発明のインクセットを構成する各インクを作製する際に用いる各成分について夫々説明する。
本発明のインクセットを構成する各インクに使用する色材について説明する。各インクの態様は、例えば、アニオン性染料或いはアニオン性基が表面に化学的に結合されている顔料が、水性媒体中に溶解又は分散されてなるもの、更には、水性媒体中に色材として顔料を含み、且つアニオン性分散剤を含んでなるもの等が挙げられる。本発明においては、上記各形態のインクを何れも使用することができるが、特に色材として顔料を用いたインクでインクセットを構成した場合に、本発明の効果が顕著に得られるので、特に好ましい。即ち、先に述べたように、顔料は染料と比較して発色性に劣るが、本発明の構成を実現したインクの組み合わせのインクセットとすれば、形成した画像における色材の発色性を最大限に引き出すことができる。尚、本発明で使用する顔料は、通常の顔料は勿論のこと、マイクロカプセル化顔料、更には着色樹脂等も含む。本発明のインクセットを構成する各インクにおける色材の含有量(質量%)は、インクの信頼性及び画像の発色性等を考慮すると、インク全質量を基準として、2.0質量%以上6.0質量%以下とすることが好ましい。以下、これらの色材について詳述する。
本発明のインクセットを構成するインクの色材は、少なくとも2種類のインクにおいて、それぞれ特定の領域に最大吸収波長有するものを使用することを前提とする。即ち、第1のインクには、450nm以上500nm未満の領域に最大吸収波長を有する色材を使用し、第2のインクには、500nm以上570nm以下の領域に最大吸収波長を有する色材を使用する。かかる構成とすることで、本発明が規定する領域に最大吸収波長を有する第1及び第2のインクとすることができる。本発明に好適に用いることのできる450nm以上500nm未満の領域に最大吸収波長を有する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ71等が挙げられる。又、500nm以上570nm以下の領域に最大吸収波長を有する色材としては、例えば、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド177、ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
カーボンブラックは、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料を用いることができる。具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
レイヴァン(Raven):1170、1190ULTRA−II、1200、1250、1255、1500、2000、3500、5000、5250、5750、7000(以上、コロンビア製);
ブラックパールズ(Black Pearls)L;
リーガル(Regal):330R、400R、660R;
モウグル(Mogul)L;
モナク(Monarch):700、800、880、900、1000、1100、1300、1400;
ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上、キャボット製);
カラーブラック(Color Black):FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170;
プリンテックス(Printex):35、U、V、140U、140V;
スペシャルブラック(SpecialBlack):4、4A、5、6(以上、デグッサ製);
No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学製)。
しかし、本発明はこれらに限定されるものではなく、従来公知のカーボンブラックを用いることが可能である。又、マグネタイトやフェライト等の磁性体微粒子や、チタンブラック等を黒色顔料として用いることもできる。
有機顔料は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料;
リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の水溶性アゾ顔料;
アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;
フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料;
キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料;
ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料;
イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料;
ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料;
ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料;
インジゴ系顔料;
縮合アゾ系顔料;
チオインジゴ系顔料;
フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等のその他の顔料等。
C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、151、153、154、166、168等。
C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61、71等。
C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240等。
C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50等。
C.I.ピグメントブルー:15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64等。
C.I.ピグメントグリーン:7、36等。
C.I.ピグメントブラウン:23、25、26等。
上記したカーボンブラックや有機顔料をインクの色材として用いる場合には、分散剤を併用することが好ましい。分散剤は、アニオン性基の作用によって上記の色材を水性媒体に安定に分散することのできるものが好適である。これらの分散剤は、重量平均分子量が1,000以上30,000以下の範囲のものが好ましく、特には、3,000以上15,000以下の範囲のものが好ましい。分散剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体;
スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体;
スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体;
スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体;
ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体及びスチレン−無水マレイン酸−マレイン酸ハーフエステル共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。
本発明のインクセットを構成する各インクには、色材として、顔料表面にイオン性基(アニオン性基)を結合することによって得られ、分散剤を用いることなく水性媒体に分散することのできる顔料、所謂、自己分散型顔料を用いることもできる。このような顔料の一例は、例えば、自己分散型カーボンブラックを挙げることができる。自己分散型カーボンブラックは、例えば、アニオン性基がカーボンブラック表面に結合したもの(アニオン性カーボンブラック)を挙げることができる。
本発明のインクセットを構成する各インクには、色材として上記したものの他に、ポリマー等でマイクロカプセル化した顔料や樹脂粒子の周囲を色材で被覆した着色微粒子等も用いることができる。マイクロカプセルは、本来的に水性媒体に対する分散性を有するが、分散安定性を更に高めるために、前記したような分散剤をインク中に共存させてもよい。又、着色微粒子を色材として用いる場合には、上記したアニオン系分散剤等を用いることが好ましい。
本発明のインクセットを構成する各インクは、色材としてアニオン性染料を用いるものであってもよい。この際に使用する染料は、例えば、下記のものが挙げられる。
C.I.ダイレクトイエロー:8、11、12、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110、132等。
C.I.アシッドイエロー:1、3、7、11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98、99等。
C.I.リィアクティブイエロー:2、3、17、25、37、42等。
C.I.フードイエロー:3等。
C.I.ダイレクトレッド:2、4、9、11、20、23、24、31、39、46、62、75、79、80、83、89、95、197、201、218、220、224、225、226、227、338、339、230等。
C.I.アシッドレッド:6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、265、289等。
C.I.リィアクティブレッド:7、12、13、15、17、20、23、24、31、42、45、46、59等。
C.I.フードレッド:87、92、94等。
C.I.ダイレクトブルー:1、15、22、25、41、76、77、80、86、90、98、106、108、120、158、163、168、199、226等。
C.I.アシッドブルー:1、7、9、15、22、23、25、29、40、43、59、62、74、78、80、90、100、102、104、117、127、138、158、161等。
C.I.リィアクティブブルー:4、5、7、13、14、15、18、19、21、26、27、29、32、38、40、44、100等。
C.I.ダイレクトブラック:17、19、22、31、32、51、62、71、74、112、113、154、168、195等。
C.I.アシッドブラック:2、48、51、52、110、115、156等。
C.I.フードブラック:1、2等。
本発明のインクセットを構成するインクは、水性媒体に上記した顔料及び/又は染料が分散或いは溶解してなるものが好ましい。この際に用いる水性媒体は、水、又は、水及び水溶性有機溶剤を含有する水性媒体を用いることが好ましい。本発明のインクセットを構成する各インクにおける水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の炭素原子数1乃至4のアルカノール;
N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;
アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン;
ケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;
グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジチオグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体;
トリメチロールプロパン等の多価アルコール類;
エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリン等の複素環類;
ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物、尿素、及び、尿素誘導体等。
又、本発明のインクセットを構成する各インクは、上記した各成分以外に、界面活性剤、pH調整剤、キレート剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、消泡剤、及び水溶性ポリマー等、種々の添加剤を含有してもよい。
界面活性剤は、例えば、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤等が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
アルキルスリホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩;
アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩;
ロジン酸石鹸;
ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル;
アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸ジオクチルスルホ琥珀酸塩等。
両性活性剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、その他イミダゾリン誘導体等。
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルアルキルエーテル等のエーテル系;
ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系が挙げられる。
市販されているアセチレングリコール系のものとしては、例えば、川研ファインケミカル製のアセチレノールE100、日信化学製のサーフィノール104、82、465、オルフィンSTG等が挙げられる。
pH調整剤は、インクのpHを所定の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用できる。具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン等のアルコールアミン化合物。水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物。水酸化アンモニウム。炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等。
防腐剤、防黴剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンツチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。
キレート剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。クエン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、二ニトロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラニル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物、又はベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、所謂、蛍光増白剤等が挙げられる。
粘度調整剤は、例えば、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物が挙げられる。具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。又、消泡剤は、フッ素系、シリコーン系化合物が必要に応じて用いられる。
本発明のインクセットは、インクセットを構成する複数のインクのうち2種類のインクが本発明で規定する要件を満足するものであれば、他のインクはどのようなものであってもよい。本発明のインクセットは、例えば、以下の全ての形態を含み、本発明これらのことを「インクセット」と称している。
・シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを基本とし、更には他の色のインクを加えた各色インクが一体のインクカートリッジにそれぞれ収容されているもの。
・上記インクタンクがヘッドつきインクカートリッジで構成されているもの。
・上記インクタンクが記録装置に対し個別のインクカートリッジが脱着可能であるように用いられるもの。
本発明のインクセットは、特に、インクを記録信号に応じてオリフィスから吐出して記録媒体上に記録を行うインクジェット記録方法に使用した場合に良好な結果が得られる。この場合の好ましいインクジェット記録方式は、インクに熱エネルギーを作用させて記録媒体に記録を行う方式が挙げられる。
本発明のインクセットは、該インクセットが有する複数のインクをそれぞれ収納したインクカートリッジとして、かかる状態で用いることが好ましい。該インクカートリッジは、本発明のインクセットが有する各インクを収容するインク収容部を備えてなるものが挙げられる。以下に本発明のインクセットを用いて記録を行う場合に好適に使用できるインクカートリッジの具体例を示す。
本発明にかかる記録ユニットは、前記した本発明のインクセットを構成する複数のインクを収容するインク収容部と、該インクを吐出するためのインクジェットヘッドとを具備してなる。記録ユニットは、上述のようにヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図3に示すような、それらが一体になったものにも好適に用いられる。図3において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料はポリウレタン又はポリプロピレンを用いることが好ましい。又、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。
以下に示す手順により、顔料分散液1〜9を調製した。尚、以下の記載において、分散剤とは、酸価200、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を、10質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより得られた水溶液のことである。
顔料(C.I.ピグメントレッド122)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。又、バッチ式縦型サンドミルを用いての分散処理は、0.3mmのジルコニアビーズ70部を充填し、周速8m/sで、水冷しつつ行った。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度が10質量%である顔料分散液1を得た。
顔料(C.I.ピグメントレッド122)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて5時間分散した。分散処理条件は顔料分散液1の場合と同様である。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度が10質量%である顔料分散液2を得た。
顔料(C.I.ピグメントレッド122)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて1時間分散した。分散処理条件は顔料分散液1の場合と同様である。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度が10質量%である顔料分散液3を得た。
顔料(C.I.ピグメントレッド122)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。尚、分散する際の周速は、顔料分散液1を調製する際の2倍としたが、それ以外の分散処理条件は顔料分散液1の場合と同様である。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度が10質量%である顔料分散液4を得た。
顔料(C.I.ピグメントレッド149)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。分散処理条件は顔料分散液1の場合と同様である。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度10質量%である顔料分散液5を得た。
顔料(C.I.ピグメントレッド177)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度10質量%である顔料分散液6を得た。
顔料(C.I.ピグメントオレンジ71)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。分散処理条件は顔料分散液1の場合と同様である。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度10質量%である顔料分散液7を得た。
顔料(C.I.ピグメントバイオレット19)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。分散処理条件は顔料分散液1の場合と同様である。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度10質量%である顔料分散液8を得た。
顔料(C.I.ピグメントイエロー74)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。分散処理条件は顔料分散液1の場合と同様である。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度10質量%である顔料分散液9を得た。
上記顔料分散液1中の顔料に対して貧溶媒として作用する水溶性有機溶剤を選択するために、以下の実験を行った。先ず、上記顔料分散液1の顔料濃度10質量%水溶液を調製し、これと各水溶性有機溶剤とを用いて、以下の配合比にて貧溶媒の判定用分散液A、判定用水分散液Bを調製した。
(判定用分散液A)
・顔料分散液1(顔料濃度10質量%) 5部
・表1に記載の各水溶性有機溶剤 50部
・純水 45部
・顔料分散液1(顔料濃度10質量%) 5部
・純水 95部
次に、上記のようにして調製した判定用分散液A及び判定用水分散液B各10gを、それぞれ透明なガラス製フタつきサンプルビンに入れ、蓋をした後、充分攪拌し、これを60℃で48時間静置した。その後、静置した分散液を測定用サンプルとして、当該分散液中の顔料の平均粒径を、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000;大塚電子製)を用いて測定した。60℃、48時間保存後、判定用分散液A及び判定用水分散液B中の顔料の平均粒径が、判定用分散液Aの方が判定用水分散液Bより大きくなる水溶性有機溶剤を貧溶媒と判定した。一方、判定用分散液Aの平均粒径が、判定用水分散液Bと同等又はそれ以下になる水溶性有機溶剤を貧溶媒でないと判定した。
下記表2に示した各成分を混合し、十分攪拌した後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、インク1〜12を調製した。尚、調製したすべてのインクを、それぞれ純水を用いて1,000倍に希釈し、分光光度計(U−3300;日立製作所製)を用いて吸収スペクトルの測定を行った。測定した各インクの最大吸収波長を表2に示す。
上記で得られたインク1〜12を、下記表3に示す組み合わせで用いて実施例1〜6及び比較例1〜6のインクセットとした。又、先に説明した方法に従って、これらのインクセットを構成する各インクの吸光度を合算して、450nm以上570nm以下の領域における最大吸光度A及び最小吸光度Bを求めた。又、最大吸光度A及び最小吸光度BからB/Aの値を求めた。更に、第1のインクにおけるC.I.ピグメントレッド149の含有量WRに対する、第2のインクにおけるC.I.ピグメントレッド122の含有量WMの比率WM/WRの値を求めた。得られた結果を表3に示す。
<評価画像の作成>
実施例1〜6及び比較例1〜6の各インクセットを構成する各インクを、それぞれ図2に示す構成を有する液体収納容器(インクタンク)に充填した。その後、該液体収納容器を、記録信号に応じて熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名:BJF−930;キヤノン製)のブラックインクのポジション及びフォトシアンインクのポジションに搭載した。
(出力モード)
・用紙の種類:プロフォトペーパー
・印刷品質:きれい
・色調整:自動
・プロフェッショナルフォトペーパーPR−101(キヤノン製)
・スーパーフォトペーパーSG−101(キヤノン製)
・IJ−RC−UF−120(キヤノン製)
上記で得た評価画像について、Gretag Macbeth製Spectrolinoを用いて、CIEで規定されているab表示系におけるa*値及びb*値を測定した。得られたa*値及びb*値をXY座標上にプロットして、H°が0°乃至80°及び330°乃至360°の領域に表現されている色空間の面積値を求めた。そして、比較例1のインクセットを用いて作成した評価画像における色空間の面積値を100%として評価を行った。発色性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示す。
AA:色空間の面積値が、比較例1と比べて120%以上である。
A:色空間の面積値が、比較例1と比べて100%以上120%未満である。
B:色空間の面積値が、比較例1と比べて90%以上100%未満である。
C:色空間の面積値が、比較例1と比べて90%未満である。
上記で得た評価画像について、画像から約30cmの距離から目視で観察した。そして、比較例1のインクセットを用いて作成した評価画像との比較という観点で評価を行った。階調性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示す。
A:階調性が、比較例1と比べて優れる。
B:階調性が、比較例1と差がない。
C:階調性が、比較例1と比べて劣る。
上記で得られたインク1〜12について、インクの粘度及び顔料の平均粒径を測定した。又、インク1〜12をそれぞれショット瓶に入れて密栓し、60℃のオーブン中で4週間保存した。その後、ショット瓶をオーブンから取り出した。60℃での保存後のインク1〜12について、インクの粘度及び顔料の平均粒径を測定した。得られた測定値から、60℃での保存前後の、インクの粘度の変化率及び顔料の平均粒径の変化率を求めた。尚、顔料の平均粒径は、ELS−8000(大塚電子製)を用いた。その結果、他のインクと比較して、インク11は、顔料の平均粒径の変化率が20%と極めて大きかった。
71:ヘッド部
72:大気連通口
112:大気連通口
114:液体供給口
132A:第二の負圧発生部材
132B:第一の負圧発生部材
132C:第一の負圧発生部材と第二の負圧発生部材の境界層
134:負圧発生部材収納室
136:液体収納室
138:仕切壁
140:連通孔
146:圧接体
150:大気導入溝(大気導入路)
L:液体−気体界面
Claims (8)
- 少なくとも、第1のインク及び第2のインクが組み合わされてなるインクセットであって、
上記第1のインクが、450nm以上500nm未満の領域に最大吸収波長を有し、
上記第2のインクが、500nm以上570nm以下の領域に最大吸収波長を有し、
且つ、450nm以上570nm以下の領域における、上記第1のインク及び上記第2のインクの吸光度を合算した時の最大吸光度をA、最小吸光度をBとした場合に、B/Aの値が0.7以上1.0以下であることを特徴とするインクセット。 - 前記第1のインク及び前記第2のインクが含有する色材が、何れも顔料を含んでなる請求項1に記載のインクセット。
- 前記第1のインクが含有する色材が、少なくともC.I.ピグメントレッド149であり、且つ、前記第2のインクが含有する色材が、少なくともC.I.ピグメントレッド122である請求項1又は2に記載のインクセット。
- 前記第2のインクにおいて、
520nm以上550nm以下の領域における最大吸光度をX、550nm以上570nm以下の領域における最大吸光度をYとした場合に、Y/Xの値が0.9以上1.0以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクセット。 - 少なくとも、第1のインク及び第2のインクを用いて画像を形成する画像形成方法において、
前記第1のインクが、450nm以上500nm未満の領域に最大吸収波長を有し、
前記第2のインクが、500nm以上570nm以下の領域に最大吸収波長を有し、
且つ、450nm以上570nm以下の領域における、前記第1のインク及び前記第2のインクの吸光度を合算した時の最大吸光度をA、最小吸光度をBとした場合に、B/Aの値が0.7以上1.0以下であることを特徴とする画像形成方法。 - インクをインクジェット記録方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法において、前記インクが、請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクセットを構成するインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
- インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インクが、請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクセットを構成するインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
- インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットにおいて、前記インクが、請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクセットを構成するインクであることを特徴とする記録ユニット。
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