JP2007098790A - インクジェット記録方法及び記録物 - Google Patents

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Abstract

【課題】顔料インク組成物を用いたインクジェット記録方法において、記録物の光沢を向上させる記録方法及び該記録方法によって記録が行われた記録物を提供する。
【解決手段】複数の大きさの液滴を吐出することが可能な液体吐出装置を使用して、顔料インク組成物を吐出させて記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法において、該複数の大きさの液滴のうち、最大の液滴のみを使用して画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法により解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法及び記録物に関し、詳細には、顔料インク組成物を用いたインクジェット記録方法において、記録物の光沢を向上させる記録方法及び該記録方法によって記録が行われた記録物に関する。
インクジェット記録方法は、インクの小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。インクとしては、一般に各種の水溶性染料を水又は水と水溶性有機溶剤とに溶解させたものが使用されている。染料インクは、色材が記録媒体の内部に定着するため、記録媒体の質感がそのまま印刷結果となる。即ち、光沢紙等、光沢感のある記録媒体を用いることにより、そのまま光沢感のある画像を形成することができる。しかしながら、このような水溶性染料を含むインク(染料インク)により形成された画像は耐水性や耐光性に劣ることが一般に指摘されている。
これに対して、顔料を水性媒体に分散させて得られたインク(顔料インク)は、耐水性及び耐光性に優れる。例えば、顔料を界面活性剤や高分子分散剤で分散した顔料インクが提案されている。しかしながら、顔料インクは、色材が染料インクよりも大きな粒子であり、記録媒体の内部ではなく表面に付着して画像が形成される。そのため、記録媒体が光沢を有していても、顔料色材が付着すると画像形成面が粗くなり、光が乱反射する結果、十分な光沢感が得られない。
そのような状況の中で、普通紙の光沢感の向上と専用紙の光沢感の向上を両立させることを目的として種々のインクジェット記録方法及びインク組成物が提案されている。例えば、同一色相の濃淡インクを用い、淡インクの最大Dutyで記録媒体に付着できる顔料濃度に達するまでは淡インクを吐出し、該顔料濃度よりも高い顔料濃度部分についてのみ、濃インクを吐出することで画像の光沢感を向上させるインクジェット記録方法が提案されている(特許文献1)。また、着色剤を含まないクリアインク組成物を用いて記録媒体に付着させることにより、記録物の光沢性に優れた画像を得るクリアインク組成物及びインクジェット記録方法が提案されている(特許文献2)。
特開2003-320659号公報 特開2003-266912号公報
しかしながら、普通紙と専用紙ではそもそも記録媒体としての構成が異なるものである。そのため、普通紙及び専用紙ともに光沢性等の特性を共に向上させようとすると、例えば普通紙及び専用紙ともに画質が向上しているものの、専用紙では未だ改善の余地があるなど、いずれか単独で見た場合、必ずしも満足のいく特性が得られていないのが現状である。
画質の向上は顔料インク組成物や顔料インク組成物を用いたインクセットでの改良が広く行われているが、顔料インク組成物やインクセットでの改良は、インク数の増加、ノズル数増加に伴うプリンタの大型化が懸念される。そのため、顔料インク組成物やインクセットでの改良を行わなくても光沢性の向上を図ることができるインクジェット記録方法の開発が望まれていた。
よって、本発明は、顔料インク組成物を用いたインクジェット記録方法において、記録物の光沢を向上させる記録方法及び該記録方法によって記録が行われた記録物を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討の結果、複数の大きさの液滴を吐出するための液体吐出部を備えた液体吐出装置を用いて顔料インク組成物を吐出して記録媒体に画像を形成する際、顔料インク組成物の液滴の大きさと記録物の光沢性との間に相関関係があることを見い出した。
本発明はかかる知見に基づきなされたものであり、複数の大きさの液滴を吐出することが可能な液体吐出装置を使用して、顔料インク組成物を吐出させて記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法において、該複数の大きさの液滴のうち、最大の液滴のみを使用して画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法を提供するものである。
このような構成により、顔料インク組成物を用いて画像を形成する場合であっても、光沢性を向上させることができる。
上記発明の好ましい態様は次の通りである。前記最大の液滴は、印字dutyが30%以上の領域に使用することが好ましい。
前記最大の液滴は、印字dutyが60%以上の領域に使用することが好ましい。
該記録媒体として、インクジェット記録用の光沢紙を用いることが好ましい。
前記記録媒体は、その20度鏡面光沢度が10以上であることが好ましい。
前記顔料インク組成物として、その顔料固形分が3〜15重量%である顔料インク組成物を使用することが好ましい。
また、本発明は、上記いずれかに記載のインクジェット記録方法によって記録が行われた記録物を提供するものである。
次に、本発明の好ましい実施形態について更に詳細に説明する。本発明のインクジェット記録方法は、既述のように、複数の大きさの液滴を吐出することが可能な液体吐出装置を使用して、顔料インク組成物を吐出させて記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法において、該複数の大きさの液滴のうち、最大の液滴のみを使用して画像を形成するものである。
「複数の大きさの液滴を吐出することが可能な液体吐出装置」とは、例えば、大ドット、中ドット、小ドット等、異なる3つの液滴量の液滴を解像度に応じて自在に混在させることができる液体吐出装置をいう。このような液体吐出装置は、濃度の高い階調部分には大きなインクドットを、濃度の低い階調部分には小さなインクドットを形成することにより、階調豊かで、美しい写真高画質を実現するものである。
具体的には、解像度が5760dpi×1440dpiの場合、液滴を、1.5pl、3pl、7plの3段階で調節する。同様に、解像度が1440dpi×720dpiの場合、液滴が小さい順から3pl、7pl、14plとする。また、解像度が720dpi×720dpiの場合、液滴が小さい順から、7pl、14pl、21plとする。ただし、液滴量は上記に限定することなく、印字物を形成する上で不具合を与えない範囲において任意に調整できる。
なお、上記ドットサイズの液滴を吐出することが可能な液体吐出装置は、液滴を吐出しない部分も階調に寄与することも考慮すれば、4段階の液滴が吐出可能と考えることができる。更に、上記の例では3つの異なるドットサイズの液滴を吐出できる液体吐出装置を説明したが、大・小2サイズの液滴を吐出することが可能な液体吐出装置であってもよい。
本実施形態においては、液体吐出装置が吐出可能な複数の大きさの液滴のうち、最大の液滴のみを使用して画像を形成する。従って、上記ドットサイズはあくまでも相対的なものであり、特定の液滴量(pl)が記録媒体への光沢性に影響を及ぼすものではない。
最大の液滴は、解像度ごとに異なる。そのため、プリンタドライバ等が記録媒体のサイズや画像データの内容に基づき、どの液滴量で印刷するかを判断する。
かかる液体吐出装置は市販のものを使用することができる。例えば、セイコーエプソン社製のPM−A900、PM−A870、PM−A700、E−200、E−100、PM−D770、PM−D1000、PX−G5000、PX−G920、PM−4000PX、PX−9500、PX−7500、PX−6500、PX−5500、PM−G820、PM−G720、PX−V500、PM−3700C、PX−9500S、PX−7500S、PX−6200S等を挙げることができる。
本実施形態において、光沢性の向上と粒状性の向上を両立させる観点からは、顔料インク組成物の顔料種に応じて、最大の液滴を使用する印字duty領域を選択することが好ましい。ここで、「印字duty」とは、下記の式(1)で定義され、算出される値Dの単位を示すものを意味する。
D={実印字ドット数/(縦解像度×横解像度)}×100(%)(1)
(式中、「実印字ドット数」は、単位面積当たりの実印字ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」は、それぞれ単位面積当たりの解像度である。)
例えば、最大液滴を用いる印字duty領域を、イエローインク組成物の場合は印字duty0%以上、マゼンタインク組成物の場合は印字duty30%以上、シアンインク組成物の場合は印字duty60%以上とすることで、光沢向上と粒状性の両立を確保することが可能である。
本実施形態においては、記録媒体として、インクジェット記録用の光沢紙を用いることが好ましい。ここで、「光沢紙」とは、普通紙の表面に特殊なコーティングを施すことにより表面光沢に優れたインク受容層を形成したものをいう。一般的には、キャスト法によりインク受容層を形成し表面に光沢が付与されたキャスト光沢紙や、樹脂を主成分とするインクジェット記録層を形成したポリマーコート光沢紙がある。また、他のポリマーコート光沢紙として、電子線硬化型の樹脂を用いた記録媒体も用いることができる。
前記記録媒体は、印字物への光沢性を確保する観点から、その20度鏡面光沢度が10以上であることがより好ましい。ここで、「鏡面光沢度」とは、記録媒体の表面に当たった光が正反射した程度を表す量をいう。
「鏡面光沢度」とは、記録媒体の表面に当たった光が正反射した程度を表す量をいう。JISでは屈折率1.567であるガラス表面において、入射角が60度である場合の反射率10%を光沢度100%とし、入射角が20度である場合の反射率5%を光沢度100%としている。従って、「20度鏡面光沢度」とは、屈折率1.567である記録媒体において、入射角が20度である場合の反射率5%を基準(100%)としたときの反射率をいう。
本実施形態においては、耐水性及び耐光性の観点から、顔料インク組成物が使用される。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等を使用することができる。
また、有機顔料として、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。上記顔料は1種単独でも、2種以上併用して用いることもできる。
また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水に不溶であればいずれも使用できる。
ブラックインク組成物に使用される顔料としては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、三菱化学製の#2300、#900、HCF88、#33、#40、#45、#52、MA7、MA8、MA100、#2200B等、コロンビア社製のRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等、キャボット社製のRegal 400R、同330R、同660R、Mogul L、同700、Monarch 800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等、デグッサ社製のColor Black FW1、同FW2V、同FW18、同FW200、Color Black S150,同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同140U、Specisal Black 6、同5、同4A、同4等を挙げることができ、これらの1種又は2種の混合物として用いてもよい。
イエローインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、128、129、138、150、151、154、155、180、185等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントイエロー74、109、110、128及び138からなる群から選択される1種又は2種以上の混合物である。
マゼンタインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド、5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、15:1、112、122、123、168、184、202、209及びC.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントレッド122、202、209及びC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選択される1種又は2種以上の混合物である。
シアンインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60及びC.I.バットブルー4、60等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントブルー15:3、15:4及び60からなる群から選択される1種又は2種以上の混合物である。
前記顔料インク組成物は、普通紙における発色性を確保する観点から、その顔料固形分が3〜15重量%であることが好ましく、光沢性の観点から、3〜10重量%であることが更に好ましい。
本実施形態に使用されるインク組成物には、顔料の分散安定性を高める観点から、分散剤を含有させることが好ましい。分散剤としては、この種の顔料インクにおけるものと同様のものを特に制限なく用いることができ、例えば、高分子分散剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
高分子分散剤の例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニルアクリル酸共重合体などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩などが挙げられ、アニオン性界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウムなどが挙げられ、ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。特に、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いることが好ましい。
また、分散剤としては、市販のものを使用することができ、その具体例としては、ジョンソンポリマー株式会社製、ジョンクリル61J(分子量10000、酸価195)、ジョンクリル68(分子量10000、酸価195)、ジョンクリル450(分子量10000〜20000、酸価100)、ジョンクリル55(分子量7500、酸価200)、ジョンクリル555(分子量5000、酸価200)、ジョンクリル586(分子量3100、酸価105)、ジョンクリル680(分子量3900、酸価215)、ジョンクリル682(分子量1600、酸価235)、ジョンクリル683(分子量7300、酸価150)、B−36(分子量6800、酸価250)等が挙げられる。なお、分子量とは、重量平均分子量を示す。
前記分散剤は、前記インク中において、前記顔料に対して、固形分換算で好ましくは、0.1〜10重量%、更に好ましくは、0.3〜6重量%含有される。
また、本発明に使用されるインク組成物には、上述した顔料および分散剤の代わりに、顔料粒子表面に直接分散性付与基を化学的に導入した、いわゆる表面処理顔料(自己分散顔料)を用いることもできる。
湿潤剤は、インクジェットプリンタのノズルの目詰まり防止のため好ましい。湿潤剤としては、例えば、グリセリン、トリエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが挙げられ、好ましくはグリセリン、トリエタノールアミンである。
湿潤剤の添加量は適宜決定されてよいが、インク組成物に対して1〜30重量%程度が好ましく、より好ましくは5〜15重量%程度である。
また、本実施形態に用いられる各インク組成物は、記録媒体への濡れ性を高めてインクの浸透性を高める観点から、浸透促進剤を含有させることができる。浸透促進剤は、記録媒体への濡れ性を高めて有機顔料の浸透性を高めるため好ましい。浸透促進剤としては、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の各種界面活性剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロレングリコールモノブチルエーテル、プロレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル;1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等のジオールが挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。特に、1,2−ヘキサンジオール等のジオールを用いることが好ましい。
前記浸透促進剤は、インク組成物中、0.1〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは3〜15重量%程度である。
浸透剤のその他の好ましい例としては、1,2−アルカンジオール及び/又は下記一般式(1)に示すポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物を挙げることができる。
Figure 2007098790
(式中、R1〜R7は、それぞれ独立して、C1−6アルキル基であり、j、k及びgは、それぞれ独立して、1以上の整数であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、p及びqは0以上の整数であるが、但しp+qは1以上の整数であり、EO及びPOは、[ ]内においてその順序は問わず、ランダムであってもブロックであってもよい)
1,2−アルカンジオールとしては、炭素数が4〜6のもの、例えば、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、または1,2−ヘキサンジオールが挙げられ、好ましくは、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールであり、さらに好ましくは、1,2−ヘキサンジオールである。これらは一種または二種以上の組み合わせで用いることもできる。
1,2−アルカンジオールの添加量は、インク組成物に対して0.1〜20重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは3〜15重量%程度、更に好ましくは5〜10重量%程度である。
また、上記一般式(1)で表されるポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物としては、好ましくは、R1〜R7が独立して炭素数1〜6のアルキル基、好ましくはメチル基である。j、k及びgは、独立して、1以上の整数であるが、より好ましくは1〜2である。また、p及びqは0以上の整数であるが、但しp+qは1以上の整数である。
上記一般式(1)で表されるポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物としては、より好ましくは、例えば、j=k+1を満足する化合物、R1〜R7が全てメチル基であり、jが2であり、kが1であり、gが1であり、pが1以上の整数であり、qが0である化合物等が挙げられる。
上記一般式(1)で表される化合物は市販されており、それらを利用することが可能である。例えば、ビッグケミー・ジャパン株式会社より市販されているシリコン系界面活性剤BYK−345、BYK−346、BYK−347、又はBYK−348が利用可能である。
ポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物の添加量は適宜決定されてよいが、インク組成物に対して0.01〜5重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1重量%程度、更に好ましくは0.3〜0.5重量%程度である。
浸透剤のその他の好ましい例としては、多価アルコール低級アルキルエーテル(グリコールエーテル)類及び/又は下記の一般式(2)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤を挙げることができる。
Figure 2007098790
(式中、0≦m+n≦30であり、R1〜R4は、それぞれ独立してC1−6アルキル基である)
多価アルコール低級アルキルエーテルの添加量は1〜30重量%であるのが好ましく、より好ましくは5〜20重量%である。
上記一般式(2)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤として市販品を利用することも可能であり、その具体例としてサーフィノール104、82、465、485又はTG(いずれもAir Product and Chemicals. Inc. より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(以上、日信化学社製(商品名))を挙げることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤の添加量は適宜決定されてよいが、インク組成物に対して0.01〜5重量%であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。
さらに、本実施形態に使用されるインク組成物には、トリエタノールアミンやアルカリ金属水酸化物等のpH調整剤、アルギン酸ナトリウム等の水溶性ポリマー、水溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤、溶解助剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤等から選ばれる材料を所望により添加することができる。これらの成分は、各種別に一種又は二種以上を混合して用いることができる。また、添加する必要がなければ添加しなくてもよい。当業者は本発明の効果を損なわない範囲で、選択された好ましい添加剤を好ましい量で用いることができる。なお、上記溶解助剤とは、インク組成物から不溶物が析出する場合に、その不溶物を溶解し、インク組成物を均一な溶液に保つための添加剤である。
上記溶解助剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンなどのピロリドン類、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類などを挙げることができるがこれらに限定されない。また、上記酸化防止剤の例としては、L−アスコルビン酸及びその塩類等が例示できるが、これらに限定されない。
上記防腐剤又は防カビ剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及び1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(AVECIA社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、及びプロキセルTN(以上商品名)等を例示できるが、これらに限定されない。
上記pH調整剤しては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン等のアミン類及びそれらの変性物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの金属水酸化物、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウム等)等のアンモニウム塩、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩類などが例示できるがこれらに限定されない。
本実施形態に使用されるインク組成物には、上記添加物のほか、バランスとして水を含有させる。水は、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
[記録物]
更に、本実施形態によれば、上述したインクジェット記録方法により記録された記録物も提供される。この記録物は、少なくとも上記インクジェット記録方法により液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着して記録が行われたものである。
上記インクジェット記録方法により記録された記録物は、複数の大きさの液滴のうち、最大の液滴のみを使用して画像が形成されたため、光沢性に優れた記録物となる。顔料インク組成物の好ましい顔料濃度及び好ましい記録媒体については先に述べたとおりである。
実施例及び比較例に使用するインク組成物を、表1に示す配合割合で調製した。即ち、表1に示す各成分を混合して溶解させ、孔径1μmのメンブランフィルターにて加圧濾過を行って、各インク組成物を得た。なお、表1中に示すインク組成物の各成分はインク組成物全量に対する各成分の重量%を示す。
Figure 2007098790
インクジェットプリンタは、解像度ごとに液滴の大きさ(液滴量)を3段階に変えることが可能な液体吐出部を備えたインクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製PX−G920)を用いた。当該インクジェットプリンタがある解像度(以下、「解像度A」という)のときに吐出可能な液滴の大きさ(液滴量)の関係は表2の通りである。表2においては、解像度Aにおける最大の液滴は液滴Aである。そして、上記インク組成物Y1、M1及びC1とも、解像度Aにおける最大の液滴量となる液滴Aが吐出されるように上記インクジェットプリンタの液滴量を設定した。
Figure 2007098790
[実施例1]
表1に記載のインク組成物Y1、M1及びC1の各々を、インクジェットプリンタを用いて、インクジェット専用記録媒体(PM写真用紙:セイコーエプソン社製)に印字dutyが0%、10%、20%、30%、・・・、100%の11個のパッチを、表2に示す液滴Aのみを用いて印字し、インク組成物Y1、M1及びC1のそれぞれについて記録物を得た。
[実施例2]
印字duty30%以上の領域を表2に示す液滴Aを用いて印刷し、印字duty30%未満の領域は表2に示す液滴A,B,Cのうち2種以上を用いて印刷した以外は実施例1と同様に印刷し、記録物(パッチ)を得た。
[実施例3]
印字duty60%以上の領域を表2に示す液滴Aを用いて印刷し、印字duty60%未満の領域は表2に示す液滴A,B,Cのうち2種以上を用いて印刷した以外は実施例1と同様に印刷し、記録物を得た。
[実施例4]
表1に記載のインク組成物Y2、M2、C2を用いた以外は実施例1と同様に印刷し、記録物を得た。
[実施例5]
記録媒体として普通紙(Xerox−4024:ゼロックス社製)を用い、印字duty100%のベタパターンで印字し、記録物を得たこと以外は実施例1と同様に印刷し、記録物を得た。
[実施例6]
記録媒体として普通紙(Xerox−4024:ゼロックス社製)を用い、印字duty100%のベタパターンで印字し、記録物を得たこと以外は実施例2と同様に印刷し、記録物を得た。
[実施例7]
記録媒体として普通紙(Xerox−4024:ゼロックス社製)を用い、印字duty100%のベタパターンで印字し、記録物を得たこと以外は実施例3と同様に印刷し、記録物を得た。
[比較例1]
上記インク組成物Y1、M1及びC1とも、液滴A、B、Cのうち2種以上が吐出されるように上記インクジェットプリンタの液滴量を設定したこと以外は実施例1と同様に印刷し、記録物を得た。
[比較例2]
記録媒体として普通紙(Xerox−4024:ゼロックス社製)を用い、印字duty100%のベタパターンで印字し、記録物を得たこと以外は実施例4と同様に印刷し、記録物を得た。
[試験例1]光沢性の評価
実施例1〜4及び比較例1で得られたパッチをサンプルとして、光沢の評価を行った。 光沢性の評価は、光沢度計GM−268(コニカミノルタ社製)を用いて、20度鏡面光沢度を測定した。そして、各パッチの測定値を合計し、以下の評価基準で評価した。結果を表3に示す。
(評価基準)YMC各インクにおいて、比較例1を100としたときに、
A:105を超える
B:100を超えて、105以下
C:100以下
Figure 2007098790
[試験例2]粒状感の評価
実施例1〜4及び比較例1の記録物をサンプルとして、粒状感の評価を行った。粒状感の評価は、各サンプルを目視にて観察し、以下の基準にて判定した。結果を表4に示す。
A:15cm離れた距離での目視観察では、粒状性の劣化は確認できなかった。
B:30cm離れた距離での目視観察では、粒状性の劣化は確認できなかった。
C:30cm離れた距離での目視観察において、粒状性の劣化が確認できた。
Figure 2007098790
一般的に、大ドットの液滴を用いて画像を形成すると、中ドット及び/又は小ドットの液滴を併用して画像を形成した場合と比較して粒状感は劣化するが、印字dutyが60%以上の領域(実施例3)においては、大ドットの液滴Aを用いて画像を形成した場合でも、粒状感を損なうことなく良好な画像を形成することが判明した。
また、印字dutyが0%以上の領域に液滴Aを用いて画像を形成した場合(実施例1)は、イエローインク組成物(Y)については良好な粒状性が得られ、マゼンタインク組成物(M)及びシアンインク組成物(C)についても、問題なく印刷できることが判明した。このような効果は、インクジェット専用記録媒体であれば顔料濃度が低いインク(実施例4)であっても認められることが判明した。
また、印字dutyが30%以上の領域に液滴Aを用いて画像を形成した場合(実施例2)は、イエローインク組成物(Y)及びマゼンタインク組成物(M)ともに良好な粒状性が得られ、シアンインク組成物(C)についても、粒状感に関しては問題なく印刷できることが判明した。
先の試験例1の結果と併せて考慮すれば、最大液滴を用いるduty領域は、イエローインク組成物(Y)はduty0%以上、マゼンタインク組成物(M)はduty30%以上、シアンインク組成物(C)はduty60%以上とすることで、光沢向上と粒状性の両立を確保することが可能であることが判明した。
なお、比較例1は中ドット(液滴B)及び/又は小ドット(液滴C)を併用して画像を形成しているため、粒状感は良好であることが確認された。
[試験例3]普通紙での発色性の評価
実施例5〜7及び比較例2の記録物をサンプルとして、発色性の評価を行った。発色性の評価は、各サンプルの濃度(OD値)をグレタグ濃度計SPM50(グレタグマクベス社製)を用いて測定した。測定は各サンプルごとに3回行い、その平均値を求めた。そして、算出した平均OD値につき、以下の評価基準で発色性を評価した。結果を表5に示す。
A:OD値1.2以上
B:OD値1.0〜1.2未満
C:OD値1.0未満
Figure 2007098790
表5に示すように、実施例5〜7の記録物は、いずれも普通紙での発色性が優れていることが判明した。また、顔料固形分が6重量%の顔料インクを用いた実施例5の発色性が良好で、顔料固形分が2重量%の顔料インクを用いた比較例2の発色性は劣っていたことから、本発明のインクジェット記録方法において普通紙での発色性を確保する場合は、顔料濃度が高いインクを用いることが好ましいことが明らかとなった。
以上説明したように、本発明のインクジェット記録方法は、複数の大きさの液滴を吐出することが可能な液体吐出装置を使用して顔料インク組成物を記録媒体に吐出して画像を形成する際、大ドットの液滴を使用することにより、光沢性に優れた画像を形成することができる。また、本発明のインクジェット記録方法は、顔料インク組成物の顔料種に応じて、最大の液滴を使用する印字duty領域を選択することにより、光沢性の向上と粒状性の向上が両立しうる。更に、顔料濃度が高いインクを用いることにより、普通紙での発色性も確保することができる。
また、本実施形態においては、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物それぞれについて単色での評価を行ったが、コンポジット処理により2色以上を混合して画像を形成する場合においても本発明を適用することが可能である。更に、ブラックインク組成物を用いて画像を形成する場合においても、上記カラーインク組成物と同様、本発明を適用することが可能である。

Claims (7)

  1. 複数の大きさの液滴を吐出することが可能な液体吐出装置を使用して、顔料インク組成物を吐出させて記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法において、
    該複数の大きさの液滴のうち、最大の液滴のみを使用して画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記最大の液滴を、印字dutyが30%以上の領域に使用することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記最大の液滴を、印字dutyが60%以上の領域に使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 該記録媒体として、インクジェット記録用の光沢紙を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記記録媒体は、その20度鏡面光沢度が10以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記顔料インク組成物として、その顔料固形分が3〜15重量%である顔料インク組成物を使用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法によって記録が行われた記録物。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009012204A (ja) * 2007-07-02 2009-01-22 Mimaki Engineering Co Ltd 印刷方法、印刷物、及び印刷装置
JP2009110352A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Seiko Epson Corp 画像印刷のための画像処理装置、画像処理方法およびコンピュータプログラム

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