JP4228733B2 - インクセット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも5色の特定インクを含むインクセットを用いるインクジェット記録方法に関する。前記の5色の特定インクとは、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクの3原色インクに加え、記録媒体上でのCIELAB色空間において定義される色相角(∠H゜)が特定の範囲にある2種の顔料インクであり、本発明のインクジェット記録方法によれば、色再現範囲が広く、彩度が高く、メタメリズムの低減された高画質の印刷物が提供されるだけでなく、粒状性及び光沢性に優れた混色部を有する高画質の印刷物を得ることができる。
【0002】
【従来の技術】
顔料インクは、一般に、染料インクに比して印刷物の画像堅牢性に優れており、サインやディスプレイ市場向けのワイドフォーマットのカラーインクジェット記録用インク等、その特性を活かした種々の用途において使用されている。このカラーインクジェット記録においては、通常、減法混色の3原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の3色の顔料インクを備えた3色インクセット、あるいはこれにブラック(K)を加えた4色インクセットを用いて種々の色相を表現することが行われている。
【0003】
しかし、前記3色又は4色インクセットは、色再現範囲が狭く、2次色以上の印刷部分(混色部分)の彩度が低下する等の問題があり、銀塩写真等に匹敵する高画質の印刷物を提供し得るレベルには到っていない。
また、彩度の低下の問題に対しては、これを高めるべく、YMCの各色インクの顔料濃度を増加する方法や、YMCの各色インクの記録媒体への打ち込み量を増加する方法等が採られてきたが、いずれの方法も光沢感の低下を招き、記録媒体として光沢紙を用いても写真調の風合いが得られないという欠点があった。また、3原色(YMC)インクだけで彩度を効率的に広げるためには、減法混色に適した理想的な分光特性を持ったYMCインク用の顔料種を選択しなければならず、更に耐光性等に優れた顔料種となるとその数は限られており、このような限られた顔料種の中で、上記のように顔料濃度の増加により彩度を高めようとしても、3原色の色相変化や、インクジェットプリンタのノズルの目詰まり等を起こすおそれがあり、効率的ではない。
【0004】
また、色再現範囲の広い顔料インクセットとして、特開2000−351928号公報(特許文献1)には、YMCの3色の顔料インクに加えて、それぞれ特定の顔料を含有するオレンジ、グリーン及びバイオレットのうちの少なくとも1色を備えたカラープリント用カラーインクジェットインクセットが開示されているが、このインクセットは、彩度の再現範囲が十分に広いとは言えず、光沢感の低下を招かずに彩度を高めることは出来なかった。また、WO99/05230号公報(特許文献2)には、YMCKの4色の顔料インクに加えてオレンジ及びグリーンの2色の特色顔料インクを備えたインクセットが開示されているが、このインクセットは、パステル調の色のような明度が高く、彩度の低い色の再現性には優れるものの、それ以外の色に関しては、前記インクセットと同様に、彩度の再現範囲が不十分で、光沢感の低下を招かずに彩度を高めることは出来なかった。
【0005】
このように、従来の顔料インクセットは、光沢感の低下を招くことなく、色再現範囲が広く彩度が高い高画質の印刷物を提供することは出来なかった。
また、従来の顔料インクセットを用いてインクジェット記録された印刷物は、照明する光源が変わると色相が変化する現象、いわゆるメタメリズムを起こすという問題があった。このメタメリズムは、特にYMCの3色のインクにより形成されたコンポジットブラックやグレー系の色相部分で顕著に見られ、画質低下の一因となっている。
【0006】
これらの欠点を解消する目的で、WO02/100959(特許文献3)には、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクの3原色インクに加えて、記録媒体上でのCIELAB色空間において定義される色相角∠H゜が特定の範囲にある2種の顔料インク〔すなわち、イエローとマゼンタとの間に極大吸収波長を有するインク(A)、及びマゼンタとシアンとの間に極大吸収波長を有するインク(B)〕の少なくとも5色のインクを含むインクセットが提案されている。このインクセットによれば、色再現範囲が広く、彩度が高く、光沢感があり、メタメリズムの低減された高画質の印刷物の提供が可能になる。しかしながら、銀塩写真に匹敵し、更に銀塩写真を凌駕する程度の高画質の印刷物を目指す場合には、前記インク(A)及び前記インク(B)は、いずれも明度が低いため、粒状性の改善が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−351928号公報
【特許文献2】
WO99/05230号公報
【特許文献3】
WO02/100959号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、銀塩写真に匹敵し、更に銀塩写真を凌駕する高画質の印刷物を提供するべく、前記WO02/100959号公報(特許文献3)に記載のインクセットを用いるインクジェット記録方法における粒状性を向上させる手段を鋭意検討していたところ、前記インク(A)及び前記インク(B)を記録媒体に吐出させる際のドット径を調節することにより、粒状性が改良された印刷物の提供が可能になることを見出した。
従って、本発明の課題は、前記WO02/100959号公報(特許文献3)に記載のインクセットを用いるインクジェット記録方法によって得られる利点を維持したまま、粒状性を改善する手段を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明により、少なくとも、記録媒体上でのCIELAB色空間において定義される色相角∠H゜が80〜110゜の範囲であるイエローインク、
該色相角∠H゜が330〜360゜の範囲であるマゼンタインク、
該色相角∠H゜が230〜260゜の範囲であるシアンインク、
該色相角∠H゜が0〜80゜の範囲であるインク(A)、
及び該色相角∠H゜が260〜330゜の範囲であるインク(B)を備えるインクセットであって、記録媒体上にインクジェット記録を実施する際に、
前記記録媒体に対して、前記マゼンタインクの浸透性が前記インク(A)の浸透性よりも高く、前記シアンインクの浸透性が前記インク(B)の浸透性よりも高くなるように、前記記録媒体に対する浸透性を調整する浸透剤として、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−ヘキサンジオールから少なくとも 1 種以上選ばれることを特徴とする、インクセットを用いる。
【0010】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、前記記録媒体に対する浸透性を調整する浸透剤として、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−ヘキサンジオールから少なくとも 1 種以上選ばれること含むことを特徴とするインクセットを用いる。
【0012】
本発明の別の好ましい態様によれば、前記インク(A)に含有される色材が、C.I.ピグメントレッド177である、インクセットを用いる。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、前記インク(B)に含有される色材が、C.I.ピグメントバイオレット23である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインクセットを用いる。
【0013】
本発明の別の好ましい態様によれば、前記イエローインクに含有される色材が、C.I.ピグメントイエロー74である、インクセットを用いる。
【0014】
本発明の別の好ましい態様によれば、前記マゼンタインクに含有される色材が、C.I.ピグメントバイオレット19である、インクセットを用いる。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、前記シアンインクに含有される色材が、C.I.ピグメントブルー15:3である、インクセットを用いる。
【0015】
前記イエローインク、前記マゼンタインク及び前記シアンインクそれぞれにおける前記顔料の含有量が0.1〜3重量%であり、前記インク(A)及び前記インク(B)それぞれにおける前記顔料の含有量が2〜6重量%である、インクセットを用いる。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、前記インクセットが、更に、ブラックインクを備える、インクセットを用いる。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、上記のインクセットを用いてインクジェット装置によって2次色以上の混色部分を形成することを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0016】
更に、本発明方法の前記インクセットの好ましい態様によれば、前記インク(A)における浸透促進剤含有率(Pa)に対する前記マゼンタインクにおける浸透促進剤含有率(Pm)の比(Pm/Pa)が1.5以上であり、前記インク(B)における浸透促進剤含有率(Pb)に対する前記シアンインクにおける浸透促進剤含有率(Pc)の比(Pc/Pb)が1.5以上である。
【0017】
更に、本発明方法の前記インクセットの好ましい態様によれば、前記マゼンタインクにおける界面活性剤含有率(Sm)に対するに前記インク(A)おける界面活性剤含有率(Sa)の比(Sa/Sm)が0.7以下であり、前記シアンインクにおける界面活性剤含有率(Sc)に対する前記インク(B)における界面活性剤含有率(Sb)の比(Sb/Sc)が0.7以下である。
【0018】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明方法に用いるインクセットについて、その好ましい実施形態に沿って説明する。
本発明方法で用いるインクセットは、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクの3色のインクと、前記インク(A)及び前記インク(B)の2色の特色インクとを少なくとも含み、いずれのインクも顔料インクであることが好ましいが、色材は顔料に限定されるものではない。
【0019】
前記特色インクの一つであるインク(A)は、記録媒体上でのCIELAB色空間において定義される色相角∠H゜が約0〜約80゜の範囲であるインクであることが好ましい。色相角∠H゜は、a*<0の場合は、計算式(3):
∠H゜=tan-1(b*/a*)+180 (3)
により求められ、a*>0の場合には、計算式(4):
∠H゜=tan-1(b*/a*)+360 (4)
により求められる。a*及びb*は、CIELAB色空間において定義される知覚色度指数を表す。
【0020】
前記特色インクの他の一つであるインク(B)は、記録媒体上でのCIELAB色空間において定義される色相角∠H゜が、約260〜約330゜の範囲であるインクであることが好ましい。
【0021】
本発明方法で用いるインクセットに含まれるイエローインク、マゼンタインク及びシアンインクの3色のインクとしては、この種の通常のインクセットにおいて通常用いられている減法混色の3原色のインクを用いることができる。
【0022】
前記イエローインクの色相角∠H゜は約80〜約110゜であり、前記マゼンタインクの色相角∠H゜は約330〜約360゜であり、前記シアンインクの色相角∠H゜は約230〜約260゜の範囲である。
【0023】
本発明方法で用いるインクセットに含まれるインクに含有される顔料としては、無機顔料及び有機顔料を使用することができ、それぞれ単独また複数種混合して用いることができる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン及び酸化鉄の他、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックが使用できる。また、前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が使用できる。具体的には下記顔料が挙げられる。
【0024】
前記インク(A)に含有される顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ5,43及び62並びにC.I.ピグメントレッド17,49:2,112,177,178,188,255及び264からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0025】
前記インク(B)に含有される顔料としては、C.I.ピグメントブルー60並びにC.I.ピグメントバイオレット3,19,23,32,36及び38からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0026】
前記イエローインクに含有される顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,12,13,14,16,17,73,74,75,83,93,95,97,98,109,110,114,128,129,138,139,150,151,154,155,180,185等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントイエロー74,110及び128からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0027】
前記マゼンタインクに含有される顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5,7,12,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,112,122,123,168,184,202;C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントレッド122及びC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0028】
前記シアンインクに含有される顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,2,3,15:3,15:4,15:34,16,22,60;C.I.バットブルー4,60等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントブルー15:3及び/又は15:4を用いることが好ましく、とりわけ、C.I.ピグメントブルー15:3を用いることが好ましい。
【0029】
前記インク(A)及び(B)それぞれにおける前記各顔料の含有量は、印字濃度とインクジェット記録用インクとしての信頼性とのバランスの観点から、それぞれ、インク全重量に対して、好ましくは2〜6重量%、更に好ましくは2〜4重量%である。
【0030】
また、前記イエロー、マゼンタ及びシアンの3色のインクにおける前記各顔料の含有量は、光沢度と彩度の観点から、それぞれ、インク全重量に対して、好ましくは0.1〜3重量%、更に好ましくは1.5〜2重量%である。
【0031】
本発明方法で用いるインクセットは、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクの3色の前記インクと2色の前記特色インクとを備えるものであるが、必要に応じてブラックインクを更に追加することもできる。ブラックインクに含有される顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄顔料等の無機顔料;アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられる。特にカーボンブラックを用いることが好ましく、好ましいカーボンブラックの例として、三菱化学製のNo.2300, No.900, MCF88, No.33, No.40, No.52, MA7, MA8, MA100, No.2200B等、コロンビア社製の Raven5750, Raven5250, Raven5000, Raven3500, Raven1255, Raven700等、キャボット社製の Regal 400R, Regal 400R, Regal 1660R, Mogul 1, Monarch 700, Monarch 800, Monarch 880, Monarch 900, Monarch 1000, Monarch 1100, Monarch 1300, Monarch 1400 等、テグッサ社製の Color Black FW1, Color Black FW2, Color Black FW2V, Color Black FW18, Color Black FW200, Color Black S150, Color Black S160, Color Black S170, Printex 35, Printex U, Printex V, Printex 140U, Special Black 6, Special Black 5, Special Black 4A, Special Black 4等が挙げられる。
また、前記ブラックインク中における前記顔料の含有量は、好ましくは0.1〜4重量%、更に好ましくは1〜3重量%である。
【0032】
本発明方法で用いるインクセットに含まれる各インクには、顔料の分散安定性を高める観点から、分散剤を含有させることが好ましい。分散剤としては、この種の顔料インクにおけるものと同様のものを特に制限なく用いることができ、例えば、カチオン性分散剤、アニオン性分散剤、ノニオン性分散剤や界面活性剤等が挙げられる。アニオン性分散剤の例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。また、アニオン性界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩等が挙げられ、ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。特に、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いることが好ましい。
前記分散剤は、前記インク中において、前記顔料に対して、固形分換算で好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.3〜6重量%含有される。
【0033】
また、本発明方法で用いるインクセットに含まれる各インクには、インクの乾燥を防いでインクジェットプリンタのヘッドでの目詰まりを防止する観点から、高沸点有機溶媒を含有させることができる。高沸点有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、糖アルコール等の糖類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
前記高沸点有機溶媒は、前記インク中、好ましくは0.1〜30重量%、更に好ましくは0.5〜20重量%含有される。
【0034】
本発明方法で用いるインクセットに含まれる各インクには、前記顔料の他、必要に応じて、分散剤、高沸点有機溶媒、低沸点有機溶媒、浸透促進剤を含有させ、バランスとして水を含有させる。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
【0035】
また、本発明方法で用いるインクセットに含まれる各インクには、インクの乾燥時間を短縮する観点から、低沸点有機溶媒を含有させることができる。低沸点有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロプルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。特に、一価アルコールが好ましい。
【0036】
また、本発明方法で用いるインクセットに含まれる各インクには、記録媒体への濡れ性を高める観点から界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の各種界面活性剤が挙げられる。
さらに、記録媒体への浸透性を高める観点から、浸透促進剤としてメタノール、エタノール、iso−プロピルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル;1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等のジオール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。特に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル又は1,2−ヘキサンジオールを用いることが好ましい。
前記界面活性剤及び浸透促進剤は、前記インク中、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは1〜10重量%含有される。
【0037】
前記界面活性剤として、一般式(6):
【化1】
Figure 0004228733
〔式中、0≦m+n≦50であり、R21、R22、R23、及びR24はそれぞれ独立してアルキル基、好ましくは炭素原子数6以下のアルキル基である〕
で表されるアセチレングリコ−ル系化合物や、一般式(7):
【化2】
Figure 0004228733
(式中、R11〜R17は、独立して、C1-6アルキル基を表し、j及びkは、独立して、1以上の整数を表し、EOはエチレンオキシ基を表し、POはプロピレンオキシ基を表し、s及びtは0以上の整数を表すが、但しs+tは1以上の整数を表し、EO及びPOは、[ ]内においてその順序は問わず、ランダムであってもブロックであってもよい)
で表されるポリシロキサン系化合物を用いることもできる
【0038】
該アセチレングリコ−ル系化合物としては、市販されているものを用いることができ、例えば、オルフィンY、サーフィノール82,440,465,485,STG,E1010(いずれも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。特にサーフィノール465を用いることが好ましい。また、該ポリシロキサン系化合物としては、市販品としてBYK347,348(ビックケミージャパン製)等を用いることができる。該アセチレングリコール系化合物及び/又は該ポリシロキサン系化合物は、前記インク中、好ましくは0.1〜5重量%、更に好ましくは0.5〜2重量%含有される。
【0039】
本発明方法で用いるインクセットに含まれる各インクには、更に必要に応じて、水溶性ロジン類等の定着剤、安息香酸ナトリウム等の防黴剤・防腐剤、アロハネート類等の酸化防止剤・紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤等の添加剤を含有させることができ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
【0040】
本発明方法で用いるインクセットに含まれる各インクは、従来公知の方法で、各配合成分を分散及び混合することによって調製することができる。例えば、最初に、イオン交換水と、顔料と、分散剤と、有機溶剤と、そして必要に応じて、その他の添加剤成分を適当な分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、へンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、又はオングミルなど)で混合し、均一な顔料分散液を調製する。次いで、イオン交換水と、有機溶剤と、そして必要に応じて、その他の添加剤成分を常温で充分に攪拌してインク溶媒を調製する。このインク溶媒を適当な攪拌機で攪拌した状態のところに、前記顔料分散液を徐々に滴下して充分に攪拌する。充分に攪拌した後に、目詰まりの原因となる粗大粒子及び異物を除去するために濾過を行って目的のインク組成物を得ることができる。また、自己分散型顔料を着色剤として用いる場合には、顔料を表面処理して顔料自体を分散状態とする以外は、前記の操作と同様にしてインク組成物を得ることができる。
【0041】
本発明方法で用いるインクセットに含まれる各インクの物性も、一般的には、インクジェット記録用インク組成物が有する物性を有する。例えば、表面張力(20℃)は、20〜40mN/mであることが好ましく、更に好ましくは、25〜35mN/mの範囲である。表面張力が40mN/mを越えると、印字の乾燥性が悪くなり、滲みが発生しやすくなり、良好な印刷画像が得られにくい。また、表面張力が20mN/m未満では、プリンタヘッドのノズル周囲が濡れやすくなるためにインク滴の飛行曲がりが発生する等、吐出安定性に問題が生じ易い。前記表面張力は、通常に用いられる表面張力計によって測定することができる。インクの表面張力は、インクを構成する各成分の種類や組成比などを調整することにより前記範囲内とすることができる。
なお、本発明方法で用いるインクセットにおいては、特定のインク間において、それらの表面張力を調節することによって、前記関係式(1)及び/又は前記関係式(2)を満足する条件を実現することができる。この点については後述する。
【0042】
本発明方法で用いるインクセットに含まれる各インクの20℃における粘度も、一般的なインクジェット記録用インク組成物が有する粘度と同様であり、好ましくは2〜10cps、より好ましくは3〜6cpsである。粘度が10cpsを越えると、ヘッドの駆動周波数を上げることができないことがあり、2cps未満になると、吐出が不安定になることがある。
【0043】
なお、本発明方法で用いるインクセットに含まれる各インクの浸透性も、一般的なインクジェット記録用インク組成物が有する浸透性と同様であることが好ましい。インクの浸透性は、インクを構成する各成分(特に、前記の各浸透促進剤)の種類や組成比などを調整することにより適切な範囲内とすることができる。ただし、本発明方法で用いるインクセットにおいては、特定のインク間において、それらの浸透性を調節することによって、前記関係式(1)及び/又は前記関係式(2)を満足する条件を実現することができる。この点については後述する。
【0044】
本発明方法で用いるインクセットは、ノズルからインクの液滴を吐出させ、該液滴を記録媒体に付着させて文字及び/又は画像を形成する記録方法であるインクジェット記録方法に用いられる。特にオンデマンド型のインクジェット記録方法に用いられることが好ましい。オンデマンド型のインクジェット記録方法としては、例えば、プリンタヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う圧電素子記録方法、プリンタヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方法等が挙げられ、いずれのインクジェット記録方法にも好適に使用できる。
【0045】
本発明方法で用いるインクセットは、イエロー、マゼンタ及びシアンの減法混色の3原色のインク以外に、更に2色の前記特色インクを備えているので、色再現範囲が広く、彩度が高く、光沢感のある印刷物を提供することができる。更に、本発明方法では、特定のドット径に調節するので、粒状性が改善される。
【0046】
次に、前記のインクセットを用いる本発明のインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録方法においては、前記インクセットを用いて、記録媒体上にインクジェット記録を実施する際に、記録媒体上での前記マゼンタインクのドット径(Dm)、前記シアンインクのドット径(Dc)、前記インク(A)のドット径(Da)、及び前記インク(B)のドット径(Db)が、関係式(1):
Dm>Da (1)
又は関係式(2):
Dc>Db (2)
を満足する条件で実施する。前記関係式(1)及び前記関係式(2)を同時に満足する条件で実施するのが好ましい。
【0047】
本発明の好ましい記録方法においては、前記マゼンタインクのドット径(Dm)に対する前記インク(A)のドット径(Da)のドット径比(Da/Dm)が、0.7以上、より好ましくは0.9以下であり、前記シアンインクのドット径(Dc)に対する前記インク(B)のドット径(Db)のドット径比(Db/Dc)が、0.7以上、より好ましくは0.9以下である。ドット径比(Da/Dm)が0.7未満になると、白スジ発生による画質劣化となり、0.9を越えると粒状性が悪くなることがある。
【0048】
前記関係式(1)の条件を満たすには、例えば、前記マゼンタインクの浸透性を前記インク(A)の浸透性よりも高くすることによって達成することができ、前記関係式(2)の条件を満たすには、例えば、前記シアンインクの浸透性を前記インク(B)の浸透性よりも高くすることによって達成することができる。この場合、前記マゼンタインクの浸透性、前記インク(A)の浸透性、前記シアンインクの浸透性、及び前記インク(B)の浸透性は、それぞれ、一般的なインクジェット記録用インク組成物が有する好適な浸透性の範囲内にあることが好ましい。
【0049】
前記関係式(1)の条件を満足させる目的で、インクの浸透性に差異を設けるためには、例えば、前記インク(A)における浸透促進剤含有率(Pa)に対する前記マゼンタインクにおける浸透促進剤含有率(Pm)の浸透促進剤含有率比(Pm/Pa)を1.5以上とすることによって達成することができ、前記関係式(2)の条件を満たすには、例えば、前記インク(B)における浸透促進剤含有率(Pb)に対する前記シアンインクにおける浸透促進剤含有率(Pc)の浸透促進剤含有率比(Pc/Pb)を1.5以上とすることによって達成することができる。
【0053】
本発明のインクジェット記録方法は、複数色の前記インクの液滴をそれぞれ吐出させ、該液滴を記録媒体上で混合して、該記録媒体上に1色又は2色以上の混色部分を形成する場合に、前記インク(A)及び前記インク(B)以外のインク(すなわち、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、及び場合によりその他のインク、例えば、ブラックインク)の少なくとも2種と、該インク(A)及び/又は該インク(B)とにより該混色部分を形成するインクジェット記録方法に好適に適用することができる。
【0054】
即ち、本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体上で2次色以上の混色部分を形成する場合、前記イエロー、マゼンタ及びシアンの3色のインクの少なくとも2種と、2色の前記特色インクの両方又はいずれか1種とを用いること、及びドット径を特定の関係に調節することを主な特徴とするもので、記録媒体に単色でインクを打ち込む場合は、通常のインクジェット記録方法と同様である。
【0055】
具体的には、前記知覚色度指数a*及びb*が、それぞれ、a*=約−50〜約50、及びb*=約−50〜約50の範囲にある混色部分、即ち、白色と黒色との間の色相群の1色(例えばグレー色)の混色部分を形成する場合、少なくとも、イエロー、マゼンタ及びシアンの3色の前記インクと、前記インク(A)及び/又は前記インク(B)とを用いる。前記インクセットが、前記5種類のインク以外のインク、例えば、ブラック、ライトマゼンタ、ライトシアン等の色のインクを備えている場合は、それらを適宜用いてもよい。
【0056】
上記のように白色と黒色との間の色相群の1色の混色部分を形成する場合、前記特色インク〔前記インク(A)及び/又は(B)〕の単位面積当たりのインク打ち込み量は、該混色部分の形成に用いられるインクの総打ち込み量に対して、好ましくは10〜90重量%、更に好ましくは30〜50重量%である。
【0057】
また、前記知覚色度指数a*及びb*が、それぞれ、a*=約−40〜約90、及びb*=約−40〜約100の範囲にある混色部分、即ち、イエロー色とマゼンタ色との間の色相群の1色(例えばオレンジ色や赤色)の混色部分を形成する場合、少なくとも、イエロー及びマゼンタの2色の前記インクと、前記インク(A)とを用いる。この場合、該インク(A)の単位面積当たりのインク打ち込み量は、該混色部分の形成に用いられるインクの総打ち込み量に対して、好ましくは10〜90重量%、更に好ましくは30〜50重量%である。
【0058】
また、前記知覚色度指数a*及びb*が、それぞれ、a*=約−50〜約100、及びb*=約−10〜約−80の範囲にある混色部分、即ち、マゼンタ色とシアン色との間の色相群の1色(例えばバイオレット色や青色)の混色部分を形成する場合、少なくとも、マゼンタ及びシアンの2色の前記インクと、前記インク(B)とを用いる。この場合、該インク(B)の単位面積当たりのインク打ち込み量は、該混色部分の形成に用いられるインクの総打ち込み量に対して、好ましくは10〜90重量%、更に好ましくは30〜50重量%である。
【0059】
本発明のインクジェット記録方法によれば、2次色以上の混色部分を形成する場合、上述の如き組み合わせで前記各インクを用いるので、照明する光源が変わっても色相がほとんど変化しない印刷物、即ち、メタメリズムの低減された高画質の印刷物を提供することができる。具体的に説明すると、例えば、イエロー、マゼンタ及びシアンのYMC3色の前記インクのみを用いて混色部分を形成すると、特に該混色部分の彩度C*が低い場合、該混色部分の分光特性は、ピークトップが3つ現れたものとなり、照明する光源によって色相が異なって見えてしまう(メタメリズム現象;前記WO02/100959号公報(特許文献3)の図1参照)。これに対し、本発明のインクジェット記録方法のように、例えば、YMCの前記インクに加えて、更に前記インク(A)及び(B)を用いて混色部分を形成することにより、該混色部分の分光特性は、前記3つのピークトップと、これらのピークトップの谷間を埋める新たなピークトップ(点線部)とを有するものとなり、あたかもピークトップが一つになった状態となるので、メタメリズムが低減する。
【0060】
また、本発明のインクジェット記録方法は、この種の記録方法において通常用いられる記録媒体は特に制限無く適用できるが、特に普通紙に対して有効である。即ち、普通紙は、多量の水分が接触すると、その接触部分におけるセルロース繊維間の水素結合が破壊され、該接触部分が伸長して紙シワ等の変形を起こす性質があり、前記特開2000−351928号公報(特許文献1)等に記載の従来のインクセットを用いたインクジェット記録方法では、特に2次色以上の混色部分で、紙シワが発生していたところ、本発明のインクジェット記録方法によれば、該混色部分の形成時におけるインクの打ち込み量が比較的少量で、高発色の文字及び/又は画像を形成できるので、紙シワ等の変形や、紙の裏面への着色を抑制することができる。
【0061】
本発明は、前記実施形態に制限されず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【0062】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
<比較例1>
(1)インクセット1の調製
以下の表2に記載の6種のインク組成物〔イエロー、マゼンタ、シアン、インク(A)、インク(B)、及びブラック〕からなるインクセット1を調製した。また、各インクは、表2に記載の配合成分から、常法によって調製した。
具体的には、イオン交換水と、顔料と、スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤)と、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(浸透促進剤)の一部と、トリエタノールアミン(分散剤の中和剤)の一部とをボールミルで混合し、均一な顔料分散液を調製した。次いで、イオン交換水と、有機溶剤と、浸透促進剤と、界面活性剤と、トリエタノールアミンの残部とを常温で充分に攪拌してインク溶媒を調製した。このインク溶媒を攪拌した状態のところに、前記顔料分散液を徐々に滴下して充分に攪拌した。充分に攪拌した後に、目詰まりの原因となる粗大粒子及び異物を除去するために濾過を行って目的のインク組成物を得た。
得られた各インク組成物の表面張力及び浸透性を測定した。その結果を表2に示す。なお、インク組成物の表面張力の測定は、自動表面張力計(CBVP−A3;協和界面化学社製)にて行い、浸透性の測定は、コピー用紙(Xerox4024;Xerox社製)にインク液滴1μLを滴下し、インクが付着した面を指で擦っても汚れが生じなくなる時間(秒)を測定する方法によって行った。
【0063】
(2)印刷方法
1列で180dpi(ドット/インチ)のノズル間隔で96ノズルを配置して形成されたノズル列を7列備えたピエゾ駆動方式のプリントヘッドを搭載したインクジェットプリンタ(PM−4000PX;セイコーエプソン製)を用い、その6列を使用して、前記のインクセット1によって、高光度なインクジェット専用紙であるPM写真用紙(セイコーエプソン社製)に印刷した。印刷は1ドット当たりの吐出量を4pL(ピコリットル)とし、横×縦のインク付着密度を2,880×1,440dpiで行った。
印刷画像は、ISO400で規定されている数種類の人物画像の印刷サンプルを用いてA4サイズとした。
(3)人物画像の粒状性の評価
印刷サンプル人物画像のシャドウ部(影の部分)の粒状性を、ランダムに抽出した被験者30人による目視で、以下の3段階の基準で判定した。
A:サンプルからの観察距離を10cm以下にしてもザラツキが認識できないとした被験者が50%以上。
B:サンプルからの観察距離が10cm以下ではザラツキが認識できるが、30cm以上では認識できないとした被験者が50%以上。
C:サンプルからの観察距離を30cm以上としてもザラツキが認識できるとした被験者が50%以上。
判定結果を、表5に示す。
【0064】
<実施例1>
(1)インクセット2の調製
以下の表3に記載の6種のインク組成物〔イエロー、マゼンタ、シアン、インク(A)、インク(B)、及びブラック〕からなるインクセット2を調製した。また、各インクは、表3に記載の配合成分から、比較例1(1)に記載の方法と同様にして調製した。また、得られた各インク組成物の表面張力及び浸透性を測定した。その結果を表3に示す。
(2)印刷方法及び人物画像の粒状性の評価
前記比較例1(2)に記載の方法と同様にして印刷サンプルを作成し、前記比較例1(3)に記載の方法と同様にして、人物画像の粒状性の評価を行った。判定結果を、表5に示す。
【0068】
【表2】
Figure 0004228733
表2〜において、数値は重量%である。また、表2〜に記載の配合成分は、以下の通りである。
AQUACER593:ノニオン性ポリプロピレンエマルジョン(ビック・ケミージャパン社製)固形分30重量%
オルフィンE1010:アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学社製)
BYK−347:ポリシロキサン系界面活性剤(ビック・ケミージャパン社製)
なお、表2〜において、オルフィンE1010及びBYK−347は界面活性剤であり、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−ヘキサンジオールは浸透促進剤である。
【0069】
【表3】
Figure 0004228733
【0071】
【表5】
Figure 0004228733
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、色再現範囲が広く、彩度が高く、光沢感があり、メタメリズムの低減された高画質の印刷物の提供が可能になるだけでなく、粒状性に優れ、しかも光沢性も一層向上した高画質の印刷物を提供することができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも、記録媒体上でのCIELAB色空間において定義される色相角∠H゜が80〜110゜の範囲であるイエローインク、
    該色相角∠H゜が330〜360゜の範囲であるマゼンタインク、
    該色相角∠H゜が230〜260゜の範囲であるシアンインク、
    該色相角∠H゜が0〜80゜の範囲であるインク(A)、
    及び該色相角∠H゜が260〜330゜の範囲であるインク(B)を備えるインクセットであって、
    前記記録媒体に対して、前記マゼンタインクの浸透性が前記インク(A)の浸透性よりも高く、前記シアンインクの浸透性が前記インク(B)の浸透性よりも高くなるように、前記記録媒体に対する浸透性を調整する浸透剤として、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−ヘキサンジオールから少なくとも 1 種以上選ばれることを特徴とする、インクセット。
  2. 前記各インクに含有される色材が顔料から成ることを特徴とする請求項に記載のインクセット。
  3. 前記インク(A)に含有される色材が、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ62、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド255、及びC.I.ピグメントレッド264からなる群から選ばれる1種又は2種以上の顔料である、請求項1又は2に記載のインクセット。
  4. 前記インク(B)に含有される色材が、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、及びC.I.ピグメントバイオレット38からなる群から選ばれる1種又は2種以上の顔料である、請求項1乃至のいずれか一項に記載のインクセット。
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