JP2016112725A - インクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置 Download PDF

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弘之 植木
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Mami Hatanaka
真実 畠中
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Abstract

【課題】ノーカーボン紙へのインクジェット印刷時における白スジ及び裏抜けの発生を抑制することができるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供すること。【解決手段】ノーカーボン紙へインクジェット方式にてインクを吐出する吐出工程を含み、前記吐出において、複数の滴量からなるインクドットを吐出し、前記インクの静的表面張力が22〜30mN/mであり、かつ、最大泡圧法により測定した1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が2mN/m以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。インクジェット方式にて複数の滴量からなるインクドットを吐出する吐出手段を有し、上記インク、及び、ノーカーボン紙を備えることを特徴とするノーカーボン紙印刷用インクジェット記録装置。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置、特にノーカーボン紙印刷用インクジェット記録装置に関する。
従来、ノーカーボン紙(感圧複写紙)を用いた複写伝票は、オフセット印刷、凸版印刷などのアナログ印刷方式を組み合わせて印刷されていたが、多数の印刷版が必要となること、また、その印刷版の管理が負担であること、オフライン作業が多く非効率的であるなどの理由により、デジタル印刷化が望まれていた。その中でも、インクジェット印刷は印刷版を使用せず、オンデマンド印刷が可能であって、多品種小ロット化、在庫レス・短納期化という社会環境の変化にもマッチしている。
従来のインクジェット記録方法としては、例えば、特許文献1及び2に記載されているものが知られている。
また、従来の感圧複写紙としては、特許文献3及び4に記載されているものが知られている。
特開2007−203496号公報 特開2011−25447号公報 特開平11−78227号公報 特開2002−264498号公報
本発明の目的は、ノーカーボン紙へのインクジェット印刷時における白スジ及び裏抜けの発生を抑制することができるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>又は<5>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<4>とともに以下に示す。
<1>ノーカーボン紙へインクジェット方式にてインクを吐出する吐出工程を含み、前記吐出において、複数の滴量からなるインクドットを吐出し、前記インクの静的表面張力が22〜30mN/mであり、かつ、最大泡圧法により測定した1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が2mN/m以下であることを特徴とするインクジェット記録方法、
<2>前記インクの吐出を行う記録面が、上用紙のノーカーボン原紙面及び/又は着色剤層である、<1>に記載のインクジェット記録方法、
<3>前記インクの吐出を行う記録面が、中用紙の発色剤層及び/又は着色剤層である、<1>に記載のインクジェット記録方法、
<4>前記インクの吐出を行う記録面が、下用紙の着色剤層及び/又はノーカーボン原紙面である、<1>に記載のインクジェット記録方法、
<5>インクジェット方式にて複数の滴量からなるインクドットを吐出する吐出手段を有し、静的表面張力が22〜30mN/mであり、かつ、最大泡圧法により測定した1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が2mN/m以下であるインク、及び、ノーカーボン紙を備えることを特徴とするノーカーボン紙印刷用インクジェット記録装置。
上記<1>に記載の発明によれば、ノーカーボン紙へインクジェット方式にてインクを複数の滴量からなるインクドットとして吐出する吐出工程を含まないか、又は、静的表面張力が22〜30mN/mであり、かつ、最大泡圧法により測定した1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が2mN/m以下であるインクを用いない場合に比べて、ノーカーボン紙へのインクジェット印刷時における白スジ及び裏抜けの発生を抑制することができるインクジェット記録方法を提供することができる。
上記<2>に記載の発明によれば、上用紙のいずれの面へのインクジェット印刷時においても白スジ及び裏抜けの発生を抑制することができるインクジェット記録方法を提供することができる。
上記<3>に記載の発明によれば、中用紙のいずれの面へのインクジェット印刷時においても白スジ及び裏抜けの発生を抑制することができるインクジェット記録方法を提供することができる。
上記<4>に記載の発明によれば、下用紙のいずれの面へのインクジェット印刷時においても白スジ及び裏抜けの発生を抑制することができるインクジェット記録方法を提供することができる。
上記<5>に記載の発明によれば、インクジェット方式にて複数の滴量からなるインクドットを吐出する吐出手段を有しないか、又は、静的表面張力が22〜30mN/mであり、かつ、最大泡圧法により測定した1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が2mN/m以下であるインクを用いない場合に比べて、ノーカーボン紙へのインクジェット印刷時における白スジ及び裏抜けの発生を抑制することができるインクジェット記録装置を提供することができる。
以下、本実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態において、「A〜B」との記載は、AからBの間の範囲だけでなく、その両端であるA及びBも含む範囲を表す。
(インクジェット記録装置、及び、インクジェット記録方法)
本実施形態のインクジェット記録方法(以下、単に「記録方法」ともいう。)は、ノーカーボン紙へインクジェット方式にてインクを吐出する吐出工程を含み、前記吐出において、複数の滴量からなるインクドットを吐出し、前記インクの静的表面張力が22〜30mN/mであり、かつ、最大泡圧法により測定した1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が2mN/m以下であることを特徴とする。
本実施形態のノーカーボン紙印刷用インクジェット記録装置(以下、単に「インクジェット記録装置」又は「記録装置」ともいう。)は、インクジェット方式にて複数の滴量からなるインクドットを吐出する吐出手段を有し、静的表面張力が22〜30mN/mであり、かつ、最大泡圧法により測定した1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が2mN/m以下であるインク、及び、ノーカーボン紙を備えることを特徴とする。
ノーカーボン紙は一般的に、上用紙、中用紙、及び、下用紙の3種類があり、これらを組み合わせることにより、手書きの複写伝票等を作製している。上用紙は、基材(ノーカーボン原紙)の下面に発色剤層が設けられており、中用紙は、基材の上面に顕色剤層が、基材の下面に発色剤層が設けられており、下用紙は、基材の上面に顕色剤層が設けられている。
具体的には、上用紙の裏面にロイコ染料等の発色剤を含むマイクロカプセルを含有する発色剤層を形成し、中用紙の表面に顕色剤層を形成した場合、上用紙の表面に記入すると筆圧でマイクロカプセルが破裂し、ロイコ染料等の発色剤と顕色剤とが反応することで発色する。
また、ノーカーボン紙としては、自己発色するタイプのものも知られており、例えば、基材の一方の面上に発色剤層及び顕色剤層を有するシングル型や、基材の一方の面上に発色剤層及び顕色剤層を有し、他方の面上に発色剤層を有する用紙と、基材の一方の面上に顕色剤層を有する用紙とを組み合わせるダブル型などが挙げられる。
ノーカーボン紙は、坪量の低い比較的薄いノーカーボン原紙から作製され、インクの吸収性が低いこと、その表面に発色剤層や顕色剤層といった複写機能を持たせた層が有るために、インクジェット印刷適性に劣り、印刷欠陥を生じ易かった。
本発明者等が詳細に検討した結果、動的表面張力の各値が特定の範囲であるインクを使用することにより、ノーカーボン紙へのインクジェット記録を行っても、白スジ及び裏抜けの発生を抑制することができることを見いだした。
詳細な機構は不明であるが、上記特定のインクであると、ノーカーボン紙の紙面と平行な方向にインクが濡れ拡がり易く、白スジの発生を抑制できるとともに、裏抜けの発生も抑制できると推定される。
<吐出手段、及び、吐出工程>
本実施形態のインクジェット記録方法は、ノーカーボン紙へインクジェット方式にてインクを吐出する吐出工程を含み、前記吐出において、複数の滴量からなるインクドットを吐出する。
本実施形態のインクジェット記録装置は、インクジェット方式にて複数の滴量からなるインクドットを吐出する吐出手段を有する。
インク液滴の吐出に用いるインクジェットヘッドは、特に制限はなく、公知のインクジェットヘッドが用いられ、例えば、ピエゾ型のインクジェットヘッドや、サーマル型のインクジェットヘッドが挙げられる。
上記複数の滴量からなるインクドットは、1つのインクジェットヘッドから2以上の滴量のインクを吐出してもよいし、2以上のインクジェットヘッドから異なる滴量のインクを吐出してもよい。
インクの吐出温度は、特に制限はなく、使用するインクに応じて調製することができる。
本実施形態のインクジェット記録方法において、インクの吐出は、必要に応じ、複数回行ってもよい。例えば、記録媒体の同一の箇所に、1種類のインクを複数回吐出してもよいし、2種以上のインクをそれぞれ1回吐出してもよいし、2種以上のインクをそれぞれ複数回吐出してもよい。
本実施形態に用いられるインクは、1種のみを使用しても、2種以上を使用してもよい。例えば、カラー画像を形成する場合は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色インクが好適に用いられる。
本実施形態のインクジェット記録方法及び本実施形態のインクジェット記録装置において、インク液滴1ドロップ当たりの液体質量は25ng以下であることが好ましく、0.5ng以上20ng以下であることがより好ましく、2ng以上15ng以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、白スジ及び裏抜けの発生がより抑制される。
なお、1つのノズルから複数の体積のドロップを噴射することが可能であるインクジェット装置において、上記1ドロップ当たりの液体質量とは、印字可能な最小ドロップのドロップ量を指すこととする。
本実施形態のインクジェット記録方法及び本実施形態のインクジェット記録装置は、サーマルインクジェット記録方式、又は、ピエゾインクジェット記録方式を採用することが好ましい。
本実施形態のインクジェット記録装置及び本実施形態のインクジェット記録方法において、インクのインクジェットヘッドへの補給(供給)は、インクを収納したインクタンクから行われることが好ましい。このインクタンクは、装置に脱着可能なカートリッジ方式であることが好ましく、このカートリッジ方式のインクタンクを交換することで、インクの補給が簡易に行われる。
また、インク供給系は、例えば、インクを含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインクタンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる態様が好ましく挙げられる。
<ノーカーボン紙>
本実施形態のインクジェット記録方法及び本実施形態のインクジェット記録装置に用いられる記録媒体は、ノーカーボン紙であり、上用紙、中用紙、及び、下用紙のいずれにおいても、インクジェット印刷時における白スジ及び裏抜けの発生が抑制される。
本発明のインクジェット記録方法においては、インクの吐出を行う記録面が、上用紙のノーカーボン原紙面及び/又は着色剤層、中用紙の発色剤層及び/又は着色剤層、下用紙の着色剤層及び/又はノーカーボン原紙面のいずれであっても、インクジェット記録時の白スジ及び裏抜けの発生がより抑制される。
ノーカーボン紙の坪量は、20〜60g/mであることが好ましく、30〜50g/mであることがより好ましい。
また、発色剤層に用いる発色剤及びマイクロカプセル、並びに、顕色剤層に用いる顕色剤などの発色剤層並びに顕色剤層の構成としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例えば、特開2007−203496号公報、特開平11−78227号公報、及び、特開2012−210791号公報等に記載されたものが例示される。
本実施形態のインクジェット記録装置は、前記吐出手段を有する以外、例えば、記録媒体の搬送手段や各部の制御手段等については、公知のインクジェット記録装置の構成が好適に用いられる。
また、本実施形態のインクジェット記録方法は、本実施形態のインクジェット記録装置を用いて行うことが好ましい。
<インク>
本実施形態に用いられるインクは、静的表面張力が22〜30mN/mであり、かつ、最大泡圧法により測定した1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が2mN/m以下である。
本実施形態に用いられるインクは、界面活性剤、及び、水を含む水性インクであることが好ましく、界面活性剤、水溶性有機溶媒、及び、水を含む水性インクであることがより好ましく、着色剤、高分子粒子、界面活性剤、水溶性有機溶媒、及び、水を含む水性インクであることが更に好ましい。上記態様であると、インクジェット印刷時における白スジ及び裏抜けの発生がより抑制される。
本実施形態に用いられるインクの静的表面張力は、22〜30mN/mであり、吐出安定性の点から、24〜29mN/mであることが好ましい。
本実施形態における静的表面張力は、ウイルヘルミー型表面張力計CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値である。
本実施形態に用いられるインクにおける最大泡圧法により測定した1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅は、2mN/m以下であり、白スジ及び裏抜けをより抑制する点から、0.2〜2.0mN/mであることが好ましく、0.5〜2.0mN/mであることがより好ましく、1.0〜2.0mN/mであることが更に好ましい。なお、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅は、当該変化は時間の経過と共に値が小さくなるため、1msec後での動的表面張力の値から1sec後での動的表面張力の値を引いた値と等しい。
本実施形態における動的表面張力は、動的表面張力計MPT C(LAUDA社製)を用い、23℃、55%RHの環境において最大泡圧法により測定した値である。
なお、1msec後での動的表面張力の値とは、キャピラリー先端で新しい界面が形成されてから1msecで最大泡圧に達したときの動的表面張力の値である。ただし、最大泡圧法動的表面張力計の測定限界が、1msec後での動的表面張力の場合、0msec後での動的表面張力として表記されることがある。この場合、0msec後での動的表面張力の値を1msec後での動的表面張力の値として採用する。
一方、1sec後での動的表面張力の値とは、キャピラリー先端で新しい界面が形成されてから1secで最大泡圧に達したときの動的表面張力の値である。ただし、最大泡圧法動的表面張力計の測定限界が、1sec未満後の動的表面張力の場合、測定限界での動的表面張力の値を1sec後での動的表面張力の値として採用する。これは、測定限界での動的表面張力の値であれば、動的表面張力が安定領域にあると判断できるためである。
本実施形態に用いられるインクにおける1msec後での動的表面張力は、白スジ及び裏抜けをより抑制する点から、32mN/m以下であることが好ましく、22〜32mN/mであることがより好ましく、24〜31.8mN/mであることがより好ましく、27〜31.5mN/mであることが更に好ましい。
本実施形態に用いられるインクにおける1sec後での動的表面張力は、白スジ及び裏抜けをより抑制する点から、30mN/m未満であることが好ましく、20〜29.8mN/mであることが好ましく、22〜29.5mN/mであることがより好ましく、25〜29.5mN/mであることが更に好ましい。
−界面活性剤−
前記インクにおいて、静的表面張力、及び、動的表面張力の変化幅を上記範囲とするには、前記インクは界面活性剤を含有することが好ましい。つまり、界面活性剤の種類及び量により、静的表面張力、及び、動的表面張力の変化幅を調整することが好ましい。
前記インクに用いられる界面活性剤としては、例えば、HLB(親水基/疎水基バランス「Hydrophile− Lipophile Barance」)値が14以下の界面活性剤が好ましく挙げられる。例えば、HLBが14以下の界面活性剤の量を調整することで、目的とする静的表面張力に調整しやすくなる。また、前記インクは、目的とする動的表面張力への調製が容易であり、また、ノーカーボン紙へのインクジェット印刷時における白スジ及び裏抜けの発生をより抑制する点から、界面活性剤を2種以上含有することが好ましく、2〜4種含有することがより好ましく、2又は3種含有することが更に好ましく、2種含有することが特に好ましい。
なお、HLB(親水基/疎水基バランス「Hydrophile− Lipophile Barance」)値は、以下の式(グリフィン法)により定義されるものである。
・HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量)
界面活性剤としては、アセチレングリコール化合物のエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコール化合物のエチレンオキサイド付加物、及び、ポリエーテル変性シリコーンが好ましく挙げられ、アセチレングリコール化合物のエチレンオキサイド付加物、及び、ポリエーテル変性シリコーンがより好ましく挙げられる。上記態様であると、ノーカーボン紙へのインクジェット印刷時における白スジ及び裏抜けの発生がより抑制される。
アセチレングリコール化合物のエチレンオキサイド付加物は、例えば、アセチレングリコールの少なくとも一つの水酸基にエチレンオキサイドを付加させた−O−(CHCHO)−H構造(例えば、nは1以上30以下の整数を表す。)を持つ化合物である。
アセチレングリコール化合物のエチレンオキサイド付加物の市販品(なお、括弧内の数値はHLBのカタログ値を示す。)としては、例えば、オルフィン E1004(7〜9)、オルフィン E1010(13〜14)、オルフィン EXP.4001(8〜11)、オルフィン EXP.4123(11〜14)、オルフィン EXP.4300(10〜13),サーフィノール104H(4)、サーフィノール 420(4)、サーフィノール 440(4)、ダイノール 604(8)(以上、日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンは、例えば、シリコーン鎖(ポリシロキサン主鎖)に、ポリエーテル基がグラフト状に結合した化合物、又はブロック状に結合した化合物である。ポリエーテル基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基が挙げられる。ポリエーテル基としては、例えば、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がブロック状又はランダムに付加したポリオキシアルキレン基であってもよい。
ポリエーテル変性シリコーンの市販品(なお、括弧内の数値はHLBのカタログ値を示す。)としては、シルフェイス SAG 002(12)、シルフェイス SAG 503A(11)、シルフェイス SAG 005(7)(以上、日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
これらの中でも、前記インクは、界面活性剤として、アセチレングリコール化合物のエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコール化合物のエチレンオキサイド付加物、及び、ポリエーテル変性シリコーンよりなる群から選ばれた2種以上の化合物を含有することが好ましく、アセチレングリコール化合物のエチレンオキサイド付加物を1種以上と、ポリエーテル変性シリコーンを1種以上含有することがより好ましく、アセチレングリコール化合物のエチレンオキサイド付加物を1種と、ポリエーテル変性シリコーンを1種含有することが特に好ましい。上記態様であると、ノーカーボン紙へのインクジェット印刷時における白スジ及び裏抜けの発生がより抑制される。
前述した以外の他の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
これらの中でも、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等が好ましく挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール等が挙げられる。
これらの中でも、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコールが好ましく挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素界面活性剤;スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も挙げられる。
前記インクにおける界面活性剤の(総)含有量は、インクの全重量に対し、0.01〜20重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましく、0.5〜5重量%であることが更に好ましく、1.0〜2.5重量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、目的とする動的表面張力への調製が容易であり、また、ノーカーボン紙へのインクジェット印刷時における白スジ及び裏抜けの発生がより抑制される。
また、前記インクが界面活性剤を2種以上含有する場合、各界面活性剤の含有量は、インクの全重量に対し、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜5重量%であることがより好ましく、0.1〜3重量%であることが更に好ましく、0.2〜1.5重量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、目的とする動的表面張力への調製が容易であり、また、ノーカーボン紙へのインクジェット印刷時における白スジ及び裏抜けの発生がより抑制される。
−着色剤−
本実施形態に用いられるインクは、着色剤を含有することが好ましい。
着色剤としては、顔料が好ましく挙げられる。
顔料としては、有機顔料、及び、無機顔料が挙げられ、特に制限はなく、公知の顔料が用いられる。
黒色顔料(ブラック顔料)の具体例としては、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven 3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上、デグッサ社製)、No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上、三菱化学(株)製)等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シアン顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue 1,2,3,15,15:1,15:2,15:3,15:4,16,22,60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red 5,7,12,48,48:1,57,112,122,123,146,168,177,184,202,C.I.Pigment Violet 19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イエロー顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow 1,2,3,12,13,14,16,17,73,74,75,83,93,95,97,98,114,128,129,138,151,154,180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、着色剤として顔料を使用した場合には、前記インクは、顔料分散剤を含有することが好ましい。使用される顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体が好適に用いられる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体としては、例えば縮合系重合体と付加重合体とが使用される。縮合系重合体としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としては、α,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の付加重合体が挙げられる。親水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体を組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の単独重合体も用いられる。
親水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
疎水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
高分子分散剤として好ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体、及び、これらの塩等が挙げられる。また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有する単量体を共重合させてもよい。
これらの中でも、本実施形態に用いられるインクは、スチレン−アクリル酸共重合体中和物を含有することが好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体中和物を、インクの全重量に対し、0.1〜10重量%含有することが好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体中和物を、インクの全重量に対し、0.5〜5重量%含有することがより好ましい。
スチレン−アクリル酸共重合体中和物としては、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩が好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩がより好ましい。
高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)としては、例えば、2,000以上50,000以下であることが好ましい。
顔料分散剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料分散剤の含有量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、顔料100重量部に対し、0.1〜100重量部であることが好ましい。
顔料としては、水に自己分散する顔料(以下、「自己分散型顔料」ともいう。)も挙げられる。
自己分散型顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。自己分散型顔料は、例えば、顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理を施すことにより得られる。
自己分散型顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、Cab−o−jet−400、IJX−157、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、Cab−o−jet−250C、Cab−o−jet−260M、Cab−o−jet−270Y、Cab−o−jet−450C、Cab−o−jet−465M、Cab−o−jet−470Y、Cab−o−jet−480M、オリエント化学工業(株)製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も挙げられる。
自己分散型顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料であることが好ましく、表面に官能基として少なくともカルボン酸、又は、カルボン酸塩を有する顔料であることがより好ましい。
ここで、顔料としては、樹脂により被覆された顔料等も挙げられる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、DIC(株)製、東洋インキ(株)製などの市販のマイクロカプセル顔料がある。なお、市販のマイクロカプセル顔料に限られず、目的に応じて作製したマイクロカプセル顔料を使用してもよい。
また、顔料としては、高分子化合物を顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も挙げられる。
また、顔料としては、黒色顔料やシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等も挙げられる。
また、顔料としては、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も挙げられる。
着色剤としては、顔料の他、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料等も挙げられる。
着色剤の体積平均粒径は、10nm以上1,000nm以下であること好ましい。
着色剤の体積平均粒径とは、着色剤そのものの粒径、又は着色剤に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA粒度分析計 UPA−UT151(Microtrac社製)により行う。その測定は、1,000倍希釈したインクを測定セルに入れ、測定を行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインク希釈液の粘度を、粒子屈折率は着色剤の屈折率とした。
着色剤の含有量(濃度)は、インクの全重量に対し、1〜25重量%であることが好ましく、2〜20重量%であることがより好ましい。
−高分子粒子−
本実施形態に用いられるインクは、記録媒体に対する画像の定着性の観点から、高分子粒子を含有することが好ましい。
高分子粒子としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル酸共重合体、アクリル変性フッ素樹脂等の粒子(ラテックス粒子)が挙げられる。なお、高分子粒子としては、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェル型の高分子粒子も挙げられる。
高分子粒子は、乳化剤を用いてインク中に分散させたものであってもよく、乳化剤を用いないでインク中に分散させたものであってもよい。乳化剤としては、界面活性剤、スルホン酸基、カルボキシル基等の親水性基を有するポリマー(例えば、親水性基がグラフト結合しているポリマー、親水性を持つ単量体と疎水性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)が挙げられる。
高分子粒子の体積平均粒径は、画像の光沢性及び耐擦過性の点から、10nm以上300nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましい。
本実施形態における高分子粒子の体積平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA粒度分析計 UPA−UT151(Microtrac社製)により行う。その測定は、1,000倍希釈したインクを測定セルに入れ、測定を行う。なお、測定時の入力値として、粘度にはインク希釈液の粘度を、粒子屈折率は高分子の屈折率とした。
高分子粒子のガラス転移温度は、画像の耐擦過性の点から、−20℃以上80℃以下が好ましく、−10℃以上60℃以下がより好ましい。
高分子粒子のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
高分子粒子の含有量は、インクの全重量に対し、0.1〜10重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%であることがより好ましい。
−水−
本実施形態に用いられるインクは、水を含有することが好ましい。
水としては、特に不純物の混入、又は微生物の発生を防止するという観点から、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水が好適に挙げられる。
水の含有量は、インクの全重量に対し、10〜95重量%であることが好ましく、30〜90重量%であることがより好ましい。
−水溶性有機溶媒−
本実施形態におけるインクは、水溶性有機溶媒を含有することが好ましい。
水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。また、水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も挙げられる。
多価アルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトールなどの糖アルコール類;キシロース、グルコース、ガラクトースなどの糖類等が挙げられる。
多価アルコール類誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
水溶性有機溶媒は、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
水溶性有機溶媒の含有量は、インクの全重量に対して、0.1〜60重量%であることが好ましく、1〜50重量%であることがより好ましく、5〜40重量%であることが更に好ましく、10〜30重量%であることが特に好ましい。
−他の添加剤−
本実施形態に用いられるインクは、前述した以外の他の添加剤を含有していてもよい。
他の添加剤としては、特に制限はなく、公知の添加剤が用いられる。具体的には、例えば、インク吐出性改善剤(ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、導電率/pH調整剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物等)、反応性の希釈溶媒、浸透剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、キレート化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
本実施形態に用いられるインクのpHは、4〜10であることが好ましく、5〜9であることがより好ましい。
インクのpHは、温度23±0.5℃、湿度55±5%RH環境下において、pH/導電率計(メトラー・トレド社製MPC227)により測定した値を採用する。
本実施形態に用いられるインクの導電率は、0.01〜0.5S/mであることが好ましく、0.01〜0.25S/mであることがより好ましく、0.01〜0.20S/mであることが更に好ましい。
導電率の測定は、MPC227(pH/Conductivity Meter、メトラー・トレド社製)で行う。
本実施形態に用いられるインクの粘度は、1.5〜30mPa・sであることが好ましく、1.5〜20mPa・sであることがより好ましい。
粘度は、TV−20(東機産業(株)製)を測定装置として用い、測定温度は23℃、せん断速度は1,400s−1の条件で測定する。
以下、実施例を交えて本実施形態を詳細に説明するが、以下に示す実施例のみに本実施形態は限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
<インクの静的表面張力の測定方法>
静的表面張力は、ウイルヘルミー型表面張力計CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した。
<インクの動的表面張力の測定方法>
動的表面張力は、最大泡圧法動的表面張力計MPT C(LAUDA社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した。
1msec後の動的表面張力の値は、キャピラリー先端で新しい界面が形成されてから1msecで最大泡圧に達したときの動的表面張力の値とした。ただし、最大泡圧法動的表面張力計の測定限界が、1msec後での動的表面張力の場合、0msec後での動的表面張力として表記されることがある。この場合、0msec後での動的表面張力の値を1msec後での動的表面張力の値として採用した。
一方、1sec後の動的表面張力の値は、キャピラリー先端で新しい界面が形成されてから1secで最大泡圧に達したときの動的表面張力の値とした。ただし、最大泡圧法動的表面張力計の測定限界が、1sec未満後の動的表面張力の場合、測定限界での動的表面張力の値を1sec後での動的表面張力の値として採用した。
<使用したインク成分>
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製)
・スチレン−アクリル酸共重合体Na塩中和物(Joncryl Eco 675、Mw=5,800、酸価222、BASF社製)
・アクリル系エマルジョン(アクリル樹脂粒子、W−4627:トーヨーケム(株)製:5質量%(固形分))
・グリセリン(和光純薬工業(株)製、特級)
・ジエチレングリコール(和光純薬工業(株)製、特級)
・プロピレングリコール(和光純薬工業(株)製、特級)
・イソプロピルアルコール(和光純薬工業(株)製、特級)
・オルフィン E1010(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコール化合物のエチレンオキサイド付加物、HLB値=13〜14、日信化学工業(株)製)・オルフィン EXP.4123(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコール化合物のエチレンオキサイド付加物、HLB値=11〜14、日信化学工業(株)製)
・サーフィノール 465(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコール化合物のエチレンオキサイド付加物、HLB値=13、日信化学工業(株)製)
・シルフェイス SAG 002(シリコーン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン、HLB値=12、日信化学工業(株)製)
・シルフェイス SAG 503A(シリコーン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン、HLB値=11、日信化学工業(株)製)
・水(イオン交換水)
(実施例1〜4、及び、比較例1〜6)
<インクの作製>
表1〜表3に記載の成分を表1〜表3に記載の割合で混合し、インクジェット用インクをそれぞれ作製した。
<インクジェット記録>
得られたインクジェット用インクを使用し、以下の条件でインクジェット記録を行い、印刷物を得た。
インクジェット記録装置(セイコーエプソン(株)製PX−G930)を使用し、印刷用紙として、三菱製紙(株)製ノーカーボン紙(三菱NCR紙スーパー(一般品(ブルー)白 上用紙N40、一般品(ブルー)白 中用紙N40、及び、一般品 白 下用紙N40))を使用し、印刷モードは、“普通紙”かつ“はやい”でベタ画像を形成した。
<評価>
得られた印刷物を、以下の方法及び基準で印刷欠陥(白スジ、及び、裏抜け)評価した。
−白スジ評価−
得られた印刷物を、視距離20cmでの目視観察により、以下の基準で評価した。評価結果を表4及び表6にまとめて記載する。
A:ベタ画像において、ヘッドスキャン方向に沿った白いスジが確認できない。
B:ベタ画像において、ヘッドスキャン方向に沿った白いスジが確認できる。
−裏抜け評価−
得られた印刷物を、視距離20cmでの目視観察により、以下の基準で評価した。評価結果を表5及び表7にまとめて記載する。
A:ベタ画像の裏面において、インクの裏抜けが観察されない。
B:ベタ画像の裏面において、裏抜けしたインクの形成する粒子状のパターンが観察される。
Figure 2016112725
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Claims (5)

  1. ノーカーボン紙へインクジェット方式にてインクを吐出する吐出工程を含み、
    前記吐出において、複数の滴量からなるインクドットを吐出し、
    前記インクの静的表面張力が22〜30mN/mであり、かつ、最大泡圧法により測定した1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が2mN/m以下であることを特徴とする
    インクジェット記録方法。
  2. 前記インクの吐出を行う記録面が、上用紙のノーカーボン原紙面及び/又は着色剤層である、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記インクの吐出を行う記録面が、中用紙の発色剤層及び/又は着色剤層である、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記インクの吐出を行う記録面が、下用紙の着色剤層及び/又はノーカーボン原紙面である、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  5. インクジェット方式にて複数の滴量からなるインクドットを吐出する吐出手段を有し、
    静的表面張力が22〜30mN/mであり、かつ、最大泡圧法により測定した1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が2mN/m以下であるインク、及び、ノーカーボン紙を備えることを特徴とする
    ノーカーボン紙印刷用インクジェット記録装置。
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