JP2016060186A - インクジェット記録装置、及び、インクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着色剤、高分子粒子、水溶性有機溶媒、及び、水を少なくとも含有し、かつ最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が32mN/m以下であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m未満であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が0.2mN/m以上3.0mN/m以下であるインクジェット記録用インクを備え、前記インクの液滴を記録媒体へ吐出する吐出手段を有し、記録速度が、10〜50m/minであることを特徴とするインクジェット記録装置。
【選択図】なし
Description
このインクジェット印刷では、インクが乾く前に用紙を重ねたり、連続用紙であれば巻き取ったりすると、裏写りなどのトラブルが発生することから、インクの乾燥工程が必須である。一般的なインクの乾燥方法としては、例えば、温風乾燥、ラジエーター乾燥などが挙げられる。
特許文献1には、着色剤と、水と、難水溶性のアルカンジオールと、20℃において固体である結晶性糖アルコールと、(ポリ)アルキレングリコールとを少なくとも含んでなる、インクジェット記録用インク組成物が記載されている。
特許文献2には、非水系インクからなり、当該インクは、紫外線や電子線等の光を照射することにより硬化する特性を有し、インクの80ミリ秒の時の動的表面張力が28mN/mより大きく、かつ最大泡圧法における動的表面張力測定において、80ミリ秒の時の動的表面張力値から1000ミリ秒の時の動的表面張力値を引いた値が8mN/mより小さいことを特徴とするインクジェット記録用インクが記載されている。
<1>着色剤、高分子粒子、水溶性有機溶媒、及び、水を少なくとも含有し、かつ最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が32mN/m以下であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m未満であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が0.2mN/m以上3.0mN/m以下であるインクジェット記録用インクを備え、前記インクの液滴を記録媒体へ吐出する吐出手段を有し、記録速度が、10〜50m/minであることを特徴とするインクジェット記録装置、
<2>前記記録媒体が、ロール紙である、<1>に記載のインクジェット記録装置、
<3>インクの液滴を記録媒体へ吐出する吐出工程を含み、前記インクが、着色剤、高分子粒子、水溶性有機溶媒、及び、水を少なくとも含有し、かつ最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が32mN/m以下であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m未満であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が0.2mN/m以上3.0mN/m以下であり、記録速度が、10〜50m/minであることを特徴とするインクジェット記録方法、
<4>前記記録媒体が、ロール紙である、<3>に記載のインクジェット記録方法。
上記<2>に記載の発明によれば、記録媒体としてロール紙を用いない場合に比べて、画像における剥がれの発生をより抑制することができるインクジェット記録装置を提供することができる。
上記<3>に記載の発明によれば、着色剤、高分子粒子、水溶性有機溶媒、及び、水を少なくとも含有し、かつ最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が32mN/m以下であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m未満であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が0.2mN/m以上3.0mN/m以下であるインクを用いない場合に比べて、記録速度が10〜50m/minであっても、画像における剥がれの発生を抑制することができるインクジェット記録方法を提供することができる。
上記<4>に記載の発明によれば、記録媒体としてロール紙を用いない場合に比べて、画像における剥がれの発生をより抑制することができるインクジェット記録方法を提供することができる。
本実施形態のインクジェット記録装置(以下、単に「記録装置」ともいう。)は、着色剤、高分子粒子、水溶性有機溶媒、及び、水を少なくとも含有し、かつ最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が32mN/m以下であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m未満であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が0.2mN/m以上3.0mN/m以下であるインクジェット記録用インクを備え、前記インクの液滴を記録媒体へ吐出する吐出手段を有し、記録速度が、10〜50m/minであることを特徴とする。
本実施形態のインクジェット記録方法(以下、単に「記録方法」ともいう。)は、インクの液滴を記録媒体へ吐出する吐出工程を含み、前記インクが、着色剤、高分子粒子、水溶性有機溶媒、及び、水を少なくとも含有し、かつ最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が32mN/m以下であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m未満であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が0.2mN/m以上3.0mN/m以下であり、記録速度が、10〜50m/minであることを特徴とする。
本発明者等が詳細に検討した結果、上記特定成分を含有し、動的表面張力の各値が特定の範囲であるインクを使用することにより、記録速度が10〜50m/minであっても、画像における剥がれの発生を抑制することができることを見いだした。
詳細な機構は不明であるが、上記特定のインクであると、濡れ拡がり易く、乾燥手段が不要となるほど乾燥性に優れるとともに、高分子粒子を含有することにより、定着性に優れ、画像における剥がれの発生が抑制されると推定される。
本実施形態のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、上記のような高速の記録速度であっても、画像形成を行える。
本実施形態のインクジェット記録装置は、インクの液滴をインクジェットヘッドにより記録媒体へ吐出する吐出手段を有する。
本実施形態のインクジェット記録方法は、インクの液滴をインクジェットヘッドにより記録媒体へ吐出する吐出工程を含む。
インク液滴の吐出に用いるインクジェットヘッドは、特に制限はなく、公知のインクジェットヘッドが用いられ、例えば、ピエゾ型のインクジェットヘッドや、サーマル型のインクジェットヘッドが挙げられる。
インクの吐出温度は、特に制限はなく、使用するインクに応じて調製することができる。
本実施形態のインクジェット記録方法において、インクの吐出は、必要に応じ、複数回行ってもよい。例えば、記録媒体の同一の箇所に、1種類のインクを複数回吐出してもよいし、2種以上のインクをそれぞれ1回吐出してもよいし、2種以上のインクをそれぞれ複数回吐出してもよい。
本実施形態に用いられるインクは、1種のみを使用しても、2種以上を使用してもよい。例えば、カラー画像を形成する場合は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色インクが好適に用いられる。
なお、1つのノズルから複数の体積のドロップを噴射することが可能であるインクジェット装置において、上記1ドロップ当たりの液体質量とは、印字可能な最小ドロップのドロップ量を指すこととする。
また、インク供給系は、例えば、インクを含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインクタンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる態様が好ましく挙げられる。
本実施形態のインクジェット記録装置及び本実施形態のインクジェット記録方法に用いられる記録媒体は、特に制限はなく、公知の記録媒体が用いられる。
記録媒体としては、浸透性の記録媒体を用いることが好ましい。上記態様であると、乾燥性に優れ、画像における剥がれの発生がより抑制される。
なお、浸透性の記録媒体としては、普通紙等が挙げられる。具体的には、浸透性の記録媒体とは、動的走査吸液計で測定した接触時間500ms以内におけるインクの最大吸液量が15mL/m2を超える記録媒体を意味する。
一方、非浸透性の記録媒体としては、コート紙、樹脂フィルム等が挙げられる。具体的には、非浸透性の記録媒体とは、動的走査吸液計で測定した接触時間500ms以内におけるインクの最大吸液量が15mL/m2以下である記録媒体を意味する。
また、記録媒体としては、ロール紙又は連帳紙を用いることが好ましく、ロール紙を用いることが特に好ましい。上記態様であると、本実施形態の効果がより発揮される。
また、本実施形態のインクジェット記録方法は、本実施形態のインクジェット記録装置を用いて行うことが好ましい。
以下、本実施形態のインクジェット記録装置及び本実施形態のインクジェット記録方法の一例について図面を参照しつつ説明する。
インクジェット記録装置10は、図1に示すように、水性インク(以下「インク」とも称する)を記録媒体P上に吐出する吐出ヘッド122(吐出ヘッド122を有する吐出装置121)を備える記録装置である。インクジェット記録装置10では、インクを記録媒体P上に吐出する吐出工程を有するインクジェット記録方法が実現される。これにより、記録媒体P上にインクによる画像を記録する。
なお、吐出ヘッド122は、これに限られず、連帳紙Pの幅よりも短尺状の吐出ヘッドであって、連帳紙Pの幅方向に移動してインクを吐出する方式(いわゆる、キャリッジ方式)の吐出ヘッドであってもよい。
吐出装置121は、吐出ヘッド122に対して用紙搬送方向の下流側に、例えば、連帳紙Pの裏面が巻き掛けられ、搬送される連帳紙Pと接触して従動回転しながら連帳紙P上の画像(インク)を乾燥する乾燥ドラム126(乾燥装置の一例)が配置されている。
乾燥ドラム126の内部には、加熱源(例えばハロゲンヒータ等:不図示)が内蔵されている。乾燥ドラム126は、加熱源による加熱により連帳紙P上の画像(インク)を乾燥する。
乾燥ドラム126の周囲には、連帳紙P上の画像(インク)を乾燥する温風送風装置128(乾燥装置の一例)が配置されている。この温風送風装置128による温風によって、乾燥ドラム126に巻き掛けられた連帳紙P上の画像(インク)を乾燥する。
ここで、吐出装置121は、吐出ヘッド122に対して用紙搬送方向の下流側には、連帳紙P上の画像(インク)を乾燥する近赤外線ヒータ(不図示)、レーザ照射装置等の他の乾燥装置が配置されていてもよい。近赤外線ヒータ、レーザ照射装置等の他の乾燥装置は、乾燥ドラム126及び温風送風装置128の少なくとも一方に代えて、又は、乾燥ドラム126及び温風送風装置128に加えて配置される。
なお、本実施形態においては、乾燥ドラム126及び温風送風装置128がなくともよく、また、あっても使用なくてもよい。
冷却ユニット22には、複数のクーリングローラ22Aが配置されている。複数のクーリングローラ22Aの間に連帳紙Pを搬送することにより、連帳紙Pを冷却する。
本実施形態においては、冷却ユニット22がなくてもよい。
本実施形態に係る記録装置10では、まず、前処理ユニット14の供給ロール14Aから、バッファユニット16を通じて、画像記録ユニット12に連帳紙Pを搬送する。
次に、画像記録ユニット12において、吐出装置121の各吐出ヘッド122からインクを連帳紙Pに吐出する。これにより、連帳紙P上にインクよる画像が形成される。その後、乾燥ドラム126により、連帳紙P上の画像(インク)を連帳紙Pの裏面側(記録面とは反対側の面)から乾燥する。そして、温風送風装置128により、連帳紙Pに吐出されたインク(画像)を連帳紙Pの表面側(記録面)から乾燥する。つまり、乾燥ドラム126及び温風送風装置128により、連帳紙P上に吐出されたインクを乾燥する。
次に、冷却ユニット22において、クーリングローラ22Aにより、画像が記録された連帳紙Pを冷却する。
次に、バッファユニット16を通じて、後処理ユニット18は、画像が記録された連帳紙Pを巻取ロール18Aにより巻き取る。
なお、本実施形態においては、上記乾燥及び冷却を行わなくともよい。
本実施形態に用いられるインクは、着色剤、高分子粒子、水溶性有機溶媒、及び、水を少なくとも含有し、かつ最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が32mN/m以下であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m未満であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が0.2mN/m以上3.0mN/m以下であるインクジェット記録用インクである。
また、上記インクは、水溶性有機溶媒、及び、水を含む水性インクである。
上記範囲の1msec(ミリ秒)後及び1sec(秒)後での動的表面張力、並びに、動的表面張力の変動幅を持つインクは、各動的表面張力を小さくした上で、動的表面張力の変動幅も小さくしたインクである。つまり、このインクは、記録媒体上で濡れ拡がりやすい性質を持つインクを示している。
記録媒体上で濡れ拡がりやすい性質を持ち、かつ高分子粒子を含む上記インクは、浸透性の記録媒体上に吐出されると、記録媒体上で迅速に濡れ拡がると共に、インク中の液体成分の記録媒体中への浸透が促進されると推定される。このとき、インク中の固形分である高分子粒子は、記録媒体中(つまり紙繊維間)への浸透が遅れ、高分子粒子同士の相互作用(インタラクション)が強くなると推定される。
この高分子粒子同士の相互作用が強くなると、高分子粒子付近の見かけ上の粘度が高まり、高分子粒子は、記録媒体の表面に残存しやすくなると共に、記録媒体の面方向(面に沿った方向)に拡がり難くなり、同じくインクの固形成分である着色剤も高分子粒子同士の相互作用に取り込まれ、記録媒体の表面に残存しやすくなると共に、記録媒体の面方向(面に沿った方向)に拡がり難くなると推定される。特に、上記インクは、上記表面張力特性を持つため、インク中の液体成分の一部が記録媒体中に吸収されると、インク安定性が崩れやすく、インク中の液体成分と固形分(着色剤及び高分子粒子)との分離が促進され、これら現象が生じやすいと推定される。
したがって、上記インクは、乾燥手段が不要となるほど乾燥性に優れるとともに、高分子粒子を含有することにより、定着性に優れ、画像における剥がれの発生が抑制されると推定される。
本実施形態に用いられるインクにおける1sec後での動的表面張力は、30mN/m未満であり、画像の滲み、及び、画像剥がれをより抑制する点から、20〜28.5mN/mであることが好ましく、22〜27mN/mであることがより好ましい。
本実施形態に用いられるインクにおける1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅は、0.2mN/m以上3.0mN/m以下であり、画像の滲み、及び、画像剥がれをより抑制する点から、0.5〜2.0mN/mであることが好ましく、0.9〜1.2mN/mであることがより好ましい。なお、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅は、当該変化は時間の経過と共に値が小さくなるため、1msec後での動的表面張力の値から1sec後での動的表面張力の値を引いた値と等しい。
なお、1msec後での動的表面張力の値とは、キャピラリー先端で新しい界面が形成されてから1msecで最大泡圧に達したときの動的表面張力の値である。ただし、最大泡圧法動的表面張力計の測定限界が、1msec後での動的表面張力の場合、0msec後での動的表面張力として表記されることがある。この場合、0msec後での動的表面張力の値を1msec後での動的表面張力の値として採用する。
一方、1sec後での動的表面張力の値とは、キャピラリー先端で新しい界面が形成されてから1secで最大泡圧に達したときの動的表面張力の値である。ただし、最大泡圧法動的表面張力計の測定限界が、1sec未満後の動的表面張力の場合、測定限界での動的表面張力の値を1sec後での動的表面張力の値として採用する。これは、測定限界での動的表面張力の値であれば、動的表面張力が安定領域にあると判断できるためである。
本実施形態における静的表面張力は、ウイルヘルミー型表面張力計CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値である。
前記インクにおいて、1msec後又は1sec後での動的表面張力、及び、動的表面張力の変化幅を上記範囲とするには、前記インクは界面活性剤を含有することが好ましい。つまり、界面活性剤の種類及び量により、1msec後又は1sec後での動的表面張力、及び、動的表面張力の変化幅を調整することが好ましい
・HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量)
アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の市販品(なお、括弧内の数値はHLBのカタログ値を示す。)としては、例えば、オルフィンE1004(7〜9)、オルフィンE1010(13〜14)、オルフィンEXP.4001(8〜11)、オルフィンEXP.4123(11〜14)、オルフィンEXP.4300(10〜13),サーフィノール104H(4)、サーフィノール420(4)、サーフィノール440(4)、ダイノール604(8)(以上、日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンの市販品(なお、括弧内の数値はHLBのカタログ値を示す。)としては、シルフェイスSAG002(12)、シルフェイスSAG503A(11)、シルフェイスSAG005(7)(以上、日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
これらの中でも、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等が好ましく挙げられる。
これらの中でも、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコールが好ましく挙げられる。
本実施形態に用いられるインクは、着色剤を含有する。
着色剤としては、顔料が好ましく挙げられる。
顔料としては、有機顔料、及び、無機顔料が挙げられ、特に制限はなく、公知の顔料が用いられる。
マゼンタ顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red 5,7,12,48,48:1,57,112,122,123,146,168,177,184,202,C.I.Pigment Violet 19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イエロー顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow 1,2,3,12,13,14,16,17,73,74,75,83,93,95,97,98,114,128,129,138,151,154,180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、本実施形態に用いられるインクは、スチレン−アクリル酸共重合体中和物を含有することが好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体中和物を、インクの全重量に対し、0.1〜10重量%含有することが好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体中和物を、インクの全重量に対し、0.5〜5重量%含有することがより好ましい。
スチレン−アクリル酸共重合体中和物としては、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩が好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩がより好ましい。
顔料分散剤の含有量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、顔料100重量部に対し、0.1〜100重量部であることが好ましい。
自己分散型顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。自己分散型顔料は、例えば、顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理を施すことにより得られる。
また、顔料としては、高分子化合物を顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も挙げられる。
また、顔料としては、黒色顔料やシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等も挙げられる。
また、顔料としては、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も挙げられる。
着色剤の体積平均粒径とは、着色剤そのものの粒径、又は着色剤に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA粒度分析計 UPA−UT151(Microtrac社製)により行う。その測定は、1,000倍希釈したインクを測定セルに入れて行う。なお、測定時の入力値として、粘度にはインク希釈液の粘度を、粒子屈折率は着色剤の屈折率とした。
本実施形態に用いられるインクは、高分子粒子を含有する。
高分子粒子は、非浸透性の記録媒体に対するインクによる画像の定着性を高める成分である。
高分子粒子としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル酸共重合体、アクリル変性フッ素樹脂等の粒子(ラテックス粒子)が挙げられる。なお、高分子粒子としては、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェル型の高分子粒子も挙げられる。
本実施形態における高分子粒子の体積平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA粒度分析計 UPA−UT151(Microtrac社製)により行う。その測定は、1,000倍希釈したインクを測定セルに入れて行う。なお、測定時の入力値として、粘度にはインク希釈液の粘度を、粒子屈折率は高分子の屈折率とした。
高分子粒子のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
本実施形態に用いられるインクは、水を含有する。
水としては、特に不純物の混入、又は微生物の発生を防止するという観点から、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水が好適に挙げられる。
本実施形態におけるインクは、水溶性有機溶媒を含有する。
水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。また、水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も挙げられる。
アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
水溶性有機溶媒の含有量は、インクの全重量に対して、0.1〜60重量%であることが好ましく、1〜50重量%であることがより好ましく、5〜40重量%であることが更に好ましく、10〜30重量%であることが特に好ましい。
本実施形態に用いられるインクは、前述した以外の他の添加剤を含有していてもよい。
他の添加剤としては、特に制限はなく、公知の添加剤が用いられる。具体的には、例えば、インク吐出性改善剤(ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、導電率/pH調整剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物等)、反応性の希釈溶媒、浸透剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、キレート化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
本実施形態に用いられるインクのpHは、4〜10であることが好ましく、5〜9であることがより好ましい。
インクのpHは、温度23±0.5℃、湿度55±5%RH環境下において、pH/導電率計(メトラー・トレド社製MPC227)により測定した値を採用する。
本実施形態に用いられるインクの導電率は、0.01〜0.5S/mであることが好ましく、0.01〜0.25S/mであることがより好ましく、0.01〜0.20S/mであることが更に好ましい。
導電率の測定は、MPC227(pH/Conductivity Meter、メトラー・トレド社製)で行う。
本実施形態に用いられるインクの粘度は、1.5〜30mPa・sであることが好ましく、1.5〜20mPa・sであることがより好ましい。
粘度は、TV−20(東機産業(株)製)を測定装置として用い、測定温度は23℃、せん断速度は1,400s−1の条件で測定する。
動的表面張力は、最大泡圧法動的表面張力計MPT C(LAUDA社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した。
1msec後の動的表面張力の値は、キャピラリー先端で新しい界面が形成されてから1msecで最大泡圧に達したときの動的表面張力の値とした。ただし、最大泡圧法動的表面張力計の測定限界が、1msec後での動的表面張力の場合、0msec後での動的表面張力として表記されることがある。この場合、0msec後での動的表面張力の値を1msec後での動的表面張力の値として採用した。
一方、1sec後の動的表面張力の値は、キャピラリー先端で新しい界面が形成されてから1secで最大泡圧に達したときの動的表面張力の値とした。ただし、最大泡圧法動的表面張力計の測定限界が、1sec未満後の動的表面張力の場合、測定限界での動的表面張力の値を1sec後での動的表面張力の値として採用した。
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製):5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物(Mw=30,000、BASF社製):2.5質量%
・アクリル系エマルション(アクリル樹脂粒子、W−4627:トーヨーケム(株)製:5質量%(固形分))
・グリセリン(和光純薬工業(株)製):10質量%
・ジエチレングリコール(和光純薬工業(株)製):10質量%
・オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、HLB値=13〜14、日信化学工業(株)製):2質量%
・オルフィンEXP.4123(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、HLB値=11〜14、日信化学工業(株)製):2質量%
・イオン交換水:残部
以上の成分を混合し、インクジェット用インク1を作製した。
インクジェット用インク1の動的表面張力の測定値は、表1にまとめて示す。
オルフィンEXP.4123:2質量%をオルフィンEXP.4001(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、HLB値=8〜11、日信化学工業(株)製):1質量%及びイオン交換水:1質量%に変更した以外は、インクジェット用インク1の調製と同様にして、インクジェット用インク2を調製した。
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製):5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物(Mw=30,000、BASF社製):2.5質量%
・グリセリン(和光純薬工業(株)製):10質量%
・ジエチレングリコール(和光純薬工業(株)製):10質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬工業(株)製):3質量%
・オルフィンE1010:1質量%
・イオン交換水:残部
以上の成分を混合し、インクジェット用インク3を作製した。
オルフィンE1010:1質量%を、オルフィンEXP.4300(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、HLB値=10〜13、日信化学工業(株)製):1質量%に変更した以外は、インクジェット用インク3の調製と同様にして、インクジェット用インク4を調製した。
(記録装置)
図1に示す構成と同じ構成で、インクの吐出ヘッドとして、600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl)のピエゾヘッドを備えた記録装置を準備した。
記録速度10、20、30、50、70m/min、乾燥手段無しのインクジェット記録装置で、印字ヘッドは600dpiのピエゾヘッド(最大滴量11pl)のピエゾヘッドを用いた。
記録媒体は、日本製紙(株)製NPiフォームNext−IJ(坪量81.4g/m2)、又は、NPiフォーム(坪量81.4g/m2)の各ロール紙を用いた。
印字後の画像に関し、画像部剥がれの有無を評価した。
◎:剥がれが全くない
○:わずかに剥がれがある
△:一部に剥がれがある
×:剥がれが著しく汚れる
インクとして、インクジェット記録用インク1を用い、また、記録媒体として、NPiフォームNext−IJ(坪量81.4g/m2)を用い、上記のインクジェット記録装置にて印字を行った。得られた画像を用い、上記画像剥がれを評価した。評価結果を表1に示す。
インクとして、インクジェット記録用インク1を用い、また、記録媒体として、NPiフォーム(坪量81.4g/m2)を用い、上記のインクジェット記録装置にて印字を行った。得られた画像を用い、上記画像剥がれを評価した。評価結果を表1に示す。
インクをインクジェット記録用インク2に変更した以外は、実施例1と同様にして、印字及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
インクをインクジェット記録用インク2に変更した以外は、実施例2と同様にして、印字及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
インクをインクジェット記録用インク3に変更した以外は、実施例1と同様にして、印字及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
インクをインクジェット記録用インク3に変更した以外は、実施例2と同様にして、印字及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
インクをインクジェット記録用インク4に変更した以外は、実施例1と同様にして、印字及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
インクをインクジェット記録用インク4に変更した以外は、実施例2と同様にして、印字及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
<インクジェット用インク5の調製>
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製):5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物(Mw=30,000、BASF社製):2.5質量%
・ウレタン系エマルション(ウレタン樹脂粒子、SF210:第一工業製薬(株)製:5質量%(固形分))
・グリセリン(和光純薬工業(株)製):10質量%
・ジエチレングリコール(和光純薬工業(株)製):10質量%
・オルフィンE1004(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、HLB値=7〜9、日信化学工業(株)製):0.5質量%
・イオン交換水:残部
以上の成分を混合し、インクジェット用インク5を作製した。
インクをインクジェット記録用インク5に変更した以外は、実施例1と同様にして、印字及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
<インクジェット用インク6の調製>
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製):5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物(Mw=30,000、BASF社製):2.5質量%
・ウレタン系エマルション(ウレタン樹脂粒子、SF210:第一工業製薬(株)製:5質量%(固形分))
・グリセリン(和光純薬工業(株)製):10質量%
・ジエチレングリコール(和光純薬工業(株)製):10質量%
・オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、HLB値=13〜14、日信化学工業(株)製):2質量%
・オルフィンEXP.4123(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、HLB値=11〜14、日信化学工業(株)製):2質量%
・イオン交換水:残部
以上の成分を混合し、インクジェット用インク6を作製した。
インクをインクジェット記録用インク6に変更した以外は、実施例1と同様にして、印字及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
<インクジェット用インク7の調製>
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製):5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物(Mw=30,000、BASF社製):2.5質量%
・アクリル系エマルション(アクリル樹脂粒子、モビニール730:日本合成化学(株)製:5質量%(固形分))
・グリセリン(和光純薬工業(株)製):10質量%
・ジエチレングリコール(和光純薬工業(株)製):10質量%
・オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、HLB値=13〜14、日信化学工業(株)製):2質量%
・オルフィンEXP.4123(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、HLB値=11〜14、日信化学工業(株)製):2質量%
・イオン交換水:残部
以上の成分を混合し、インクジェット用インク7を作製した。
インクをインクジェット記録用インク7に変更した以外は、実施例1と同様にして、印字及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
記録媒体として、NPiフォームNext−IJ(坪量64g/m2)用いた以外は、実施例1と同様にして、印字及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
<インクジェット用インク8の調製>
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製):5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物(Mw=30,000、BASF社製):2.5質量%
・アクリル系エマルション(アクリル樹脂粒子、モビニール730:日本合成化学(株)製:5質量%(固形分))
・グリセリン(和光純薬工業(株)製):10質量%
・ジエチレングリコール(和光純薬工業(株)製):10質量%
・オルフィンEXP.4123(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、HLB値=11〜14、日信化学工業(株)製):5質量%
・イオン交換水:残部
以上の成分を混合し、インクジェット用インク8を作製した。
インクをインクジェット記録用インク8に変更した以外は、実施例1と同様にして、印字及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
12:画像記録ユニット
14:前処理ユニット
14A:供給ロール
16:バッファユニット
16A:第1パスローラ
16B:ダンサーローラ
16C:第2パスローラ
18:後処理ユニット
18A:巻取ロール
20:バッファユニット
20A:第1パスローラ
20B:ダンサーローラ
20C:第2パスローラ
22:冷却ユニット
22A:クーリングローラ
121:吐出装置
122、122K、122Y、122M、122C:吐出ヘッド
123、123K、123Y、123M、123C:インクカートリッジ
124:搬送経路
126:乾燥ドラム
128:温風送風装置
P:記録媒体
Claims (4)
- 着色剤、高分子粒子、水溶性有機溶媒、及び、水を少なくとも含有し、かつ最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が32mN/m以下であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m未満であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が0.2mN/m以上3.0mN/m以下であるインクジェット記録用インクを備え、
前記インクの液滴を記録媒体へ吐出する吐出手段を有し、
記録速度が、10〜50m/minであることを特徴とする
インクジェット記録装置。 - 前記記録媒体が、ロール紙である、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- インクの液滴を記録媒体へ吐出する吐出工程を含み、
前記インクが、着色剤、高分子粒子、水溶性有機溶媒、及び、水を少なくとも含有し、かつ最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が32mN/m以下であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m未満であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が0.2mN/m以上3.0mN/m以下であり、
記録速度が、10〜50m/minであることを特徴とする
インクジェット記録方法。 - 前記記録媒体が、ロール紙である、請求項3に記載のインクジェット記録方法。
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