JP6343992B2 - インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法 - Google Patents

インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法に関する。
特許文献1には、隠蔽葉書用メディアに対して画像を記録するインクとして、水、水溶性有機溶剤、着色剤及び界面活性剤を含有し、かつ下記(1)〜(4)の要件を満たすインクが開示されている。
(1)最大泡圧法による表面寿命15ms以上100ms未満における動的表面張力(D)が、30.0mN/m〜60.0mN/m
(2)最大泡圧法による表面寿命100ms〜3,000msにおける動的表面張力(D)が、27.0mN/m〜35.0mN/m
(3)D≧D
(4)静的表面張力が27.0mN/m以下
また、インクオフセットを低減する技術として、特許文献2には、「シートの重ね合わせ面に塗布され、乾燥処理により通常状態では接着しない接着層を形成し、前記重ね合わせ面同士を対接させ所定の圧力を付与することにより、その重ね合わせ面同士を剥離可能に接着させる感圧接着剤組成物であって、天然ゴム系接着剤基剤と、この接着剤基剤100質量部に対して、平均粒子径1〜5μm、吸油量100ml/100g以上のシリカゲルを10〜50質量部、及びカチオン性物質を10〜50質量部の割合で配合してなることを特徴とするインクジェットインクの定着性に優れた感圧接着剤組成物」が開示されている。
特開2013−256108号公報 特開2001−262097号公報
本発明の課題は、インクジェット記録用の圧着紙における感圧接着層上に記録された画像が、圧着及び剥離後に対向面へと転写することを抑制するインクを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
着色剤、インクに対する含有量が2質量%以上10質量%以下で且つ着色剤を含まない高分子粒子、水、水性有機溶媒、及び、HLBが8以上14以下である2種以上の界面活性剤を含み、
静的表面張力が30mN/m以下であり、且つ、最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変動幅が1.2mN/m以上2.0mN/m以下であるインクである。
請求項2に係る発明は、
請求項1に記載のインクを収容したインクカートリッジである。
請求項3に係る発明は、
請求項1に記載のインクを、インクジェット記録用の圧着紙における感圧接着層上に吐出する吐出ヘッドを備える記録装置である。
請求項4に係る発明は、
前記感圧接着層上に吐出された前記インクを乾燥する乾燥装置を更に備える請求項3に記載の記録装置である。
請求項5に係る発明は、
請求項1に記載のインクを、インクジェット記録用の圧着紙における感圧接着層上に吐出する吐出工程を有する記録方法である。
請求項6に係る発明は、
前記感圧接着層上に吐出された前記インクを乾燥する乾燥工程を更に有する請求項5に記載の記録方法である。
請求項1に係る発明によれば、静的表面張力が30mN/mを超える場合、高分子粒子のインクに対する含有量が2質量%未満である場合、又は、動的表面張力の変動幅が2.0mN/mを超える場合に比べ、インクジェット記録用の圧着紙における感圧接着層上に記録された画像が、圧着及び剥離後に対向面へと転写することを抑制するインクが提供される。
請求項2に係る発明によれば、静的表面張力が30mN/mを超える場合、高分子粒子のインクに対する含有量が2質量%未満である場合、又は、動的表面張力の変動幅が2.0mN/mを超える場合に比べ、インクジェット記録用の圧着紙における感圧接着層上に記録された画像が、圧着及び剥離後に対向面へと転写することを抑制するインクを収容したインクカートリッジが提供される。
請求項3に係る発明によれば、静的表面張力が30mN/mを超えるインク、高分子粒子のインクに対する含有量が2質量%未満であるインク、又は、動的表面張力の変動幅が2.0mN/mを超えるインクを用いた場合に比べ、感圧接着層上に記録された画像が、圧着及び剥離後に対向面へと転写することを抑制する記録装置が提供される。
請求項4に係る発明によれば、乾燥装置を備えない場合に比べ、感圧接着層上に記録された画像が、圧着及び剥離後に対向面へと転写することをより抑制しつつ、高速記録を実現する記録装置が提供される。
請求項5に係る発明によれば、静的表面張力が30mN/mを超えるインクを用いた場合、高分子粒子のインクに対する含有量が2質量%未満であるインクを用いた場合、又は、動的表面張力の変動幅が2.0mN/mを超えるインクを用いた場合に比べ、感圧接着層上に記録された画像が、圧着及び剥離後に対向面へと転写することを抑制する記録方法が提供される。
請求項6に係る発明によれば、乾燥工程を有さない場合に比べ、感圧接着層上に記録された画像が、圧着及び剥離後に対向面へと転写することをより抑制しつつ、高速記録を実現する記録方法が提供される。
本実施形態に係る記録装置を示す概略構成図である。
以下、本発明のインク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法について、一例である実施形態に基づいて詳細に説明する。
〔インク〕
本実施形態に係るインクは、着色剤、インクに対する含有量が2質量%以上10質量%以下の高分子粒子、水、水性有機溶媒、及び、HLBが8以上14以下である2種以上の界面活性剤を含み、
静的表面張力が30mN/m以下であり、且つ、最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変動幅(以下、単に「動的表面張力の変動幅」とも称する)が0.2mN/m以上2.0mN/m以下である。
ここで、基材の少なくとも片面に感圧接着層が設けられた圧着紙の1つとして、記載情報の隠蔽性を有する圧着ハガキが知られている。
この圧着ハガキの場合、感圧接着層上に画像が記録され、かかる画像が記録された面を内側にして、二つ折り(V型)又は三つ折り(Z型)した後、対向する面同士を圧着することで、記録された画像の隠蔽がなされる。
特に、上記のような圧着ハガキの中でもインクジェット記録用であれば、基材上に設けられた感圧接着層は、インクジェット記録により吐出されたインクを受容するインク受容層としての機能も有する。
上記のようなインク受容層でもある感圧接着層上に、インクジェット記録にてインクを吐出させると、着弾したインクは感圧接着層に浸透していき、乾燥されることで画像が記録される。その後、圧着処理がなされて圧着ハガキ(印字後)が作製される。
しかしながら、従来のインクを使用した場合、印字後の圧着ハガキの圧着部を剥離したとき、記録された画像(インク)が対向面に転写してしまうことがあった。
なお、この画像の対向面への転写を軽減するために、前記特許文献2に記載のように、感圧接着層の成分等について検討されているが、その効果は十分とはいえないものであった。
そこで、本実施形態に係るインクでは、特定の含有量にて高分子粒子を含有させ、更に、静的表面張力及び動的表面張力の変動幅を上記範囲とする。
上記範囲の静的表面張力及び動的表面張力の変動幅を持つインクは、静的表面張力を小さくした上で、動的表面張力の変動幅を小さくしたインクである。つまり、このインクは、インク受容層でもある感圧接着層上であっても、浸透を抑制しつつ、表面に濡れ拡がる性質を持つインクを示している。
このインクは、インク受容層でもある感圧接着層上で濡れ拡がるとき、特定の含有量で含まれる高分子粒子が画像表面へと移動して成膜効果を発現し、画像表面付近に高分子の皮膜層を形成する。この画像表面付近の皮膜層は、高分子粒子が凝集した層、又は、高分子粒子の少なくとも一部が自己融着した層であり、この皮膜層の存在により画像の対向面に対する接着力を低下させうると考えられる。
そのため、本実施形態に係るインクにより、圧着ハガキ等の圧着紙における感圧接着層上に記録された画像は、高分子の皮膜層の存在により、圧着後に圧着部を剥離したときであっても、対向面へと転写してしまうことを抑制しうる。
本実施形態に係るインクにおいて、静的表面張力は、30mN/m以下であり、吐出安定性の点から、好ましくは21mN/m以上30mN/m以下である。
ここで、静的表面張力は、ウイルヘルミー型表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値である。
また、本実施形態に係るインクにおける動的表面張力の変動幅は、0.2mN/m以上2.0mN/m以下であり、より短時間で濡れ拡がり、均一な成膜状態を実現する点から、好ましくは0.2mN/m以上1.8mN/m以下、より好ましくは0.2mN/m以上1.5mN/m以下である。
なお、動的表面張力の変動幅は、1msec後の動的表面張力の値と1sec後の動的表面張力の値との差である。
本実施形態に係るインクにおいて、1msec後での動的表面張力は、より短時間で濡れ拡がり、均一な成膜状態を実現する点から、32mN/m以下が好ましく、より好ましくは21mN/m以上30N/m以下、更に好ましくは22mN/m以上28mN/m以下である。
一方、各インクにおける1sec後での動的表面張力は、均一な成膜状態を実現する点から、30mN/m以下が好ましく、より好ましくは21mN/m以上28mN/m以下、更に好ましくは22mN/m以上28mN/m以下である。
動的表面張力は、最大泡圧法動的表面張力測定装置MPT−C(LAUDA社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値である。
なお、1msec後の動的表面張力の値とは、キャピラリー先端で新しい界面が形成されてから1msecで最大泡圧に達したときの動的表面張力の値である。但し、最大泡圧法動的表面張力測定装置の測定限界が、1msec後の動的表面張力の場合、0msec後での動的表面張力として表記されることがある。この場合、0msec後での動的表面張力の値を1msec後での動的表面張力の値として採用する。
一方、1sec後の動的表面張力の値とは、キャピラリー先端で新しい界面が形成されてから1secで最大泡圧に達したときの動的表面張力の値である。但し、最大泡圧法動的表面張力測定装置の測定限界が、1sec未満後の動的表面張力の場合、測定限界での動的表面張力の値を1sec後での動的表面張力の値として採用する。これは、測定限界での動的表面張力の値であれば、動的表面張力が安定領域にあると判断できるためである。
ここで、本実施形態に係るインクにおいて、静的表面張力、動的表面張力の変動幅、及び1msec後又は1sec後での動的表面張力を上記範囲とするには、例えば、着色剤、高分子粒子、水、及び水性有機溶媒と共に、界面活性剤を含むことがよい。つまり、界面活性剤の種類及び量により、静的表面張力、動的表面張力の変動幅、及び1msec後又は1sec後での動的表面張力を調整することがよい。
この界面活性剤としては、例えば、HLB(親水基/疎水基バランス「Hydrophile− Lipophile Barance」)が14以下の界面活性剤が挙げられる。例えば、HLBが14以下の界面活性剤の量を調整することで、目的とする静的表面張力に調整しやすくなる。また、HLBが14以下の界面活性剤のうち、異なるHLBの界面活性剤を複数種使用すると、目的とする動的表面張力に調整しやすくなる。具体的には、例えば、HLBが9以上14以下の界面活性剤とHLBが4以上8以下の界面活性剤を使用すると、目的とする動的表面張力に調整しやすくなる。
なお、HLB(親水基/疎水基バランス「Hydrophile− Lipophile Barance」)は、以下の式(グリフィン法)により定義されるものである。
・HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量)
このような界面活性剤としては、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、及びポリエーテル変性シリコーンよりなる群から選択する少なくとも一種が挙げられる。
アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物は、例えば、アセチレングリコールの少なくとも一つの水酸基にエチレンオキサイドを付加させた−O−(CHCHO)−H構造(なお、例えばnは1以上30以下の整数を示す)を持つ化合物である、
アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の市販品(なお、括弧内の数値はHLBのカタログ値を示す)としては、例えば、オルフィンE1004(7〜9)、オルフィンE1010(13〜14)、オルフィンEXP.4001(8〜11)、オルフィンEXP.4123(11〜14)、オルフィンEXP.4300(10〜13),サーフィノール104H(4)、サーフィノール420(4)、サーフィノール440(4)、ダイノール604(8)[以上、日信化学工業社]等が挙げられる。
アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の含有量は、例えば、インクに対して0.01質量%以上10質量%以下がよく、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
ポリエーテル変性シリコーンは、例えば、シリコーン鎖(ポリシロキサン主鎖)に、ポリエーテル基がグラフト状に結合した化合物、又はブロック状に結合した化合物である。ポリエーテル基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基が挙げられる。ポリエーテル基としては、例えば、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がブロック状又はランダムに付加したポリオキシアルキレン基であってもよい。
ポリエーテル変性シリコーンの市販品(なお、括弧内の数値はHLBのカタログ値を示す)としては、シルフェイスSAG002(12)、シルフェイスSAG503A(11)、シルフェイスSAG005(7)[以上、日信化学工業社]等が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンの含有量は、例えば、インクに対して0.01質量%以上5質量%以下がよく、好ましくは0.05質量%以上1質量%以下である。
次に、本実施形態に係るインクの組成及び特性について詳細に説明する。
本実施形態に係るインクは、着色剤、高分子粒子、水、及び水性有機溶媒を含む。
−着色剤−
まず、着色剤について説明する。
着色剤としては、目的とする色相のインクに応じたものを使用すればよく、具体的には、顔料が挙げられる。顔料としては、有機顔料、無機顔料が挙げられる。
黒色顔料(ブラック顔料)の具体例としては、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven 3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シアン色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet−19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イエロー顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、着色剤として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが好ましい。使用される顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体が好適に用いられる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体としては、例えば縮合系重合体と付加重合体とが使用される。縮合系重合体としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としては、α,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の付加重合体が挙げられる。親水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体を組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の単独重合体も用いられる。
親水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
疎水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
高分子分散剤として好ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有する単量体を共重合させてもよい。
高分子分散剤の重量平均分子量としては、例えば、2000以上50000以下がよい。
これら高分子分散剤は、単独で用いても、二種類以上を併用しても構わない。高分子分散剤の含有量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、顔料に対し、0.1質量%以上100質量%以下であることがよい。
顔料としては、水に自己分散する顔料(以下自己分散型顔料と称する)も挙げられる。
自己分散型顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。自己分散型顔料は、例えば、顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理を施すことにより得られる。
自己分散型顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、Cab−o−jet−400、IJX−157、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、Cab−o−jet−250C、Cab−o−jet−260M,Cab−o−jet−270Y,Cab−o−jet−450C,Cab−o−jet−465M,Cab−o−jet−470Y,Cab−o−jet−480M、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も挙げられる。
自己分散型顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料であることが好ましい。より好ましくは、表面に官能基として少なくともカルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料である。
ここで、顔料としては、樹脂により被覆された顔料等も挙げられる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、DIC化学工業社製、東洋インキ社製などの市販のマイクロカプセル顔料がある。なお、市販のマイクロカプセル顔料に限られず、目的に応じて作製したマイクロカプセル顔料を使用してもよい。
また、顔料としては、高分子化合物を顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も挙げられる。
また、顔料としては、黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等も挙げられる。
また、顔料としては、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も挙げられる。
着色剤としては、顔料の他、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料等も挙げられる。
着色剤の体積平均粒径は、例えば、10nm以上1000nm以下であることが挙げられる。
着色剤の体積平均粒径とは、着色剤そのものの粒径、又は着色剤に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。
体積平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA粒度分析計 UPA−UT151 (Microtrac社製)により行う。その測定は、1000倍希釈したインクを測定セルに入れて行う。なお、測定時の入力値として、粘度にはインク希釈液の粘度を、粒子屈折率は着色剤の屈折率を採用する。
着色剤の含有量(濃度)は、例えば、インクに対して1質量%以上25質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましい。
−高分子粒子−
高分子粒子について説明する。
高分子粒子は、インクによる画像の定着性を高め、且つ、画像表面付近に皮膜層を形成する成分である。
高分子粒子としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル酸共重合体、アクリル変性フッ素樹脂等の粒子(ラテックス粒子)が挙げられる。なお、高分子粒子としては、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェル型の高分子粒子も挙げられる。
高分子粒子は、乳化剤を用いてインク中に分散させたものであってもよく、乳化剤を用いないでインク中に分散させたものであってもよい。乳化剤としては、界面活性剤、スルホン酸基、カルボキシル基等の親水性基を有するポリマー(例えば、親水性基がグラフト結合しているポリマー、親水性を持つ単量体と疎水性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)が挙げられる。
高分子粒子の体積平均粒径は、画像の光沢性及び耐擦過性の点から、10nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以上200nm以下である。
高分子粒子の体積平均粒径の測定は、マイクロトラックUPA粒度分析計 UPA−UT151 (Microtrac社製)により行う。その測定は、1000倍希釈したインクを測定セルに入れて行う。なお、測定時の入力値として、粘度にはインク希釈液の粘度を、粒子屈折率は高分子の屈折率を採用する。
高分子粒子のガラス転移温度は、画像の耐擦過性の点から、−20℃以上80℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以上60℃以下である。
高分子粒子のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
高分子粒子の含有量は、皮膜層の形成性の点から、インクに対して2.0質量%以上であり、3.0質量%以上が好ましく、5.0質量%以上がより好ましい。
また、吐出安定性の点からは、10質量%以下が好ましく、7.0質量%以下がより好ましい。
−水−
水について説明する。
水としては、特に不純物の混入、又は微生物の発生を防止するという観点から、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水が好適に挙げられる。
水の含有量は、例えば、インクに対して10質量%以上95質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
−水溶性有機溶媒−
水溶性有機溶媒について説明する。
水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も挙げられる。
多価アルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトールなどの糖アルコール類;キシロース、グルコース、ガラクトースなどの糖類;等が挙げられる。
多価アルコール類誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
水溶性有機溶媒は、1種類で使用しても2種類以上を併用してもよい。
水溶性有機溶媒の含有量は、水に対して1質量%以上60質量%以下が好ましく、1質量%以上40質量%以下がより好ましい。
−界面活性剤−
界面活性剤について説明する。
インクは、前述したアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、及びポリエーテル変性シリコーン以外の、その他の界面活性剤を含んでもよい。その他の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、好ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤である。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
これらの中でも、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等がよい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール等が挙げられる。
これらの中でも、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコールがよい。
ノニオン性界面活性剤としては、その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素界面活性剤;スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント;等も挙げられる。
他の界面活性剤の親水性/疎水性バランス(HLB)は、溶解性等を考慮すると、例えば、3以上20以下の範囲がよい。
他の界面活性剤は、1種類で使用しても2種類以上を併用してもよい。
他の界面活性剤の含有量は、インクに対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上3質量%以下が更に好ましい。
−その他の添加剤−
その他の添加剤について説明する。
インクは、その他の添加剤を含んでもよい。
その他の添加剤としては、インク吐出性改善剤(ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、導電率/pH調整剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物等)、反応性の希釈溶媒、浸透剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、キレート化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
−インクの物性−
インクの好適な物性について説明する。
インクのpHは、好ましくは4以上10以下の範囲、より好ましくは5以上9以下の範囲が挙げられる。
ここで、インクのpHは、温度23±0.5℃、湿度55±5%R.H.環境下において、pH/導電率計(メトラー・トレド社製MPC227)により測定した値を採用する。
インクの導電率は、例えば0.01S/m以上0.5S/m以下の範囲(好ましくは0.01S/m以上0.25S/m以下の範囲、より好ましくは0.01S/m以上0.20S/m以下の範囲)が挙げられる。
導電率の測定は、MPC227(pH/Conductivity Meter、メトラー・トレド社製)で行う。
インクの粘度は、例えば1.5mPa・s以上30mPa・s以下の範囲(好ましくは1.5mPa・s以上20mPa・s以下の範囲)が挙げられる。
粘度は、TV−20(東機産業製)を測定装置として用い、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定する。
ここで、本実施形態に係るインクは、例えば、黒インク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、及びこれら色以外の中間色インクのいずれであってもよい。
また、本実施形態に係るインクは、かかるインクを少なくとも1種含む(好ましくは全てが本実施形態に係るインクからなる)インクセットとして使用してもよい。
〔記録装置/記録方法〕
本実施形態に係る記録装置は、本実施形態に係るインクを、インクジェット記録用の圧着紙における感圧接着層上に吐出する吐出ヘッドを備える記録装置である。本実施形態に係る記録装置によれば、本実施形態に係るインクを、インクジェット記録用の圧着紙における感圧接着層上に吐出する吐出工程を有する記録方法が実現される。
本実施形態に係る記録装置は、感圧接着層上に吐出されたインクを乾燥する乾燥装置を更に備えてもよい。この乾燥装置を更に備えた記録装置では、感圧接着層上に吐出されたインクを乾燥する乾燥工程を更に有する記録方法が実現される。
乾燥装置(乾燥工程)により、感圧接着層上に吐出されたインクを乾燥することで、高速記録が実現される。
本実施形態に係る記録装置には、本実施形態に係るインクを収容し、当該記録装置に着脱されるようカートリッジ化されたインクカートリッジ(本実施形態に係るカートリッジ)を備えていてもよい。
以下、本実施形態に係る記録装置及び記録方法の一例について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る記録装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係る記録装置10は、基材上に感圧接着層を備えた連続紙(インクジェット記録用の圧着紙)Pにインクを吐出して画像を記録する記録装置である。
記録装置10は、連続紙Pの感圧接着層上にインクを吐出する吐出ヘッド122(吐出ヘッド122を有する吐出装置121)を備える。
本実施形態に係る記録装置10では、インクを連続紙Pの感圧接着層上に吐出する吐出工程を有する記録方法が実現される。これにより、連続紙Pの感圧接着層上にインクによる画像を記録する。
より具体的にいえば、本実施形態に係る記録装置10は、連続紙Pの感圧接着層上に画像を記録する画像記録ユニット12を備えている。
記録装置10は、画像記録ユニット12に供給する連続紙Pが収容される前処理ユニット14と、前処理ユニット14から画像記録ユニット12へ供給される連続紙Pの搬送量等を調整するバッファユニット16と、を備えている。バッファユニット16は、画像記録ユニット12と前処理ユニット14との間に配置されている。
記録装置10は、例えば、画像記録ユニット12から排出される連続紙Pを収容する後処理ユニット18と、画像記録ユニット12から後処理ユニット18へ排出される連続紙Pの搬送量等を調整するバッファユニット20と、を備えている。バッファユニット20は、画像記録ユニット12と後処理ユニット18との間に配置されている。
記録装置10は、画像記録ユニット12とバッファユニット20との間に配置され、画像記録ユニット12から搬出される連続紙Pを冷却する冷却ユニット22を備えている。
画像記録ユニット12は、例えば、連続紙Pを連続紙Pの搬送経路124に沿って案内するロール部材(符号省略)と、連続紙Pの搬送経路124に沿って搬送される連続紙Pにインク(インクの液滴)を吐出して画像を記録する吐出装置121とを備えている。
吐出装置121は、連続紙Pにインクを吐出する吐出ヘッド122を備えている。吐出ヘッド122は、例えば、有効な記録領域(インクを吐出するノズルの配置領域)が連続紙Pの幅(連続紙Pの搬送方向と交差(例えば直交)する方向の長さ)以上とされた長尺状の記録ヘッドである。
なお、吐出ヘッド122は、これに限られず、連続紙Pの幅よりも短尺状の吐出ヘッドであって、連続紙Pの幅方向に移動してインクを吐出する方式(所謂キャリッジ方式)の吐出ヘッドであってもよい。
吐出ヘッド122は、インクの液滴を熱により吐出する、所謂サーマル方式であってもよいし、インクの液滴を圧力により吐出する、所謂圧電方式であってもよく、公知のものが適用される。
吐出ヘッド122は、例えば、連続紙Pにインクを吐出してK(ブラック)色の画像を記録する吐出ヘッド122Kと、Y(イエロー)色の画像を記録する吐出ヘッド122Yと、M(マゼンタ)色の画像を記録する吐出ヘッド122Mと、C(シアン)色の画像を記録する吐出ヘッド122Cとを有している。そして、吐出ヘッド122Kと、吐出ヘッド122Yと、吐出ヘッド122Mと、吐出ヘッド122Cとは、この順番で連続紙Pの搬送方向(以下単に「用紙搬送方向」と記載することがある)に沿って上流側から下流側に連続紙Pと対向するように並べられている。なお、吐出ヘッドの表記において、K、Y、M、Cを区別しない場合には、符号に付しているK、Y、M、Cを省略する。
吐出ヘッド122K,122Y,122M,122Cは、それぞれ、記録装置10に着脱される各色のインクカートリッジ123K,123Y,123M,123Cと供給管(不図示)を通じて連結され、インクカートリッジ123により、各色のインクがそれぞれ吐出ヘッド122へ供給される。
ここで、各色のインクカートリッジ123K,123Y,123M,123Cに収容されているインクは、少なくとも1つが前述の本実施形態に係るインクであればよいが、全てが本実施形態に係るインクあることが好ましい。
吐出ヘッド122は、上記4色のそれぞれに対応した4つの吐出ヘッド122を配置する形態に限られず、目的に応じて、他の中間色を加えた4色以上のそれぞれに対応した4つ以上の吐出ヘッド122を配置した形態であってもよい。
ここで、吐出ヘッド122としては、例えば、インク滴量lpl以上15pl以下の範囲でインクを吐出する低解像度用の吐出ヘッド122(例えば600dpiの吐出ヘッド)、インク滴量10pl未満の範囲でインクを吐出する高解像度用の吐出ヘッド122(例えば1200dpiの吐出ヘッド)のいずれを備えていてもよい。また、吐出装置121は、低解像度用の吐出ヘッド122、及び高解像度用の吐出ヘッド122の双方を備えていてもよい。吐出ヘッド122のインク液滴量は、インクの最大液滴量の範囲である。また、dpiは「dot per inch」を意味する。
吐出装置121は、吐出ヘッド122に対して用紙搬送方向の下流側に、例えば、連続紙Pの裏面が巻き掛けられ、搬送される連続紙Pと接触して従動回転しながら連続紙P上の画像(インク)を乾燥する乾燥ドラム126(乾燥装置の一例)が配置されている。
乾燥ドラム126の内部には、加熱源(例えばハロゲンヒータ等:不図示)が内蔵されている。乾燥ドラム126は、加熱源による加熱により連続紙P上の画像(インク)を乾燥する。
乾燥ドラム126の周囲には、連続紙P上の画像(インク)を乾燥する温風送風装置128(乾燥装置の一例)が配置されている。この温風送風装置128による温風によって、乾燥ドラム126に巻き掛けられた連続紙P上の画像(インク)を乾燥する。
ここで、吐出装置121は、吐出ヘッド122に対して用紙搬送方向の下流側には、連続紙P上の画像(インク)を乾燥する近赤外線ヒータ(不図示)、レーザ照射装置等の他の乾燥装置が配置されていてもよい。近赤外線ヒータ、レーザ照射装置等の他の乾燥装置は、乾燥ドラム126及び温風送風装置128の少なくとも一方に代えて、又は乾燥ドラム126及び温風送風装置128に加えて配置される。
なお、インク中の高分子粒子の皮膜形成性、及び高分子粒子同士が融着した皮膜を形成し易い点からは、乾燥装置としては、加熱源による加熱乾燥、近赤外線ヒータを用いた乾燥が好ましい。
一方、前処理ユニット14は、画像記録ユニット12へ供給される連続紙Pが巻き付けられている供給ロール14Aを備えており、この供給ロール14Aは、図示せぬフレーム部材に回転可能に支持されている。
バッファユニット16は、例えば、用紙搬送方向に沿って第1パスローラ16A、ダンサーローラ16B及び第2パスローラ16Cが配置されている。ダンサーローラ16Bは、図1中上下に移動することにより、画像記録ユニット12へ搬送される連続紙Pの張力調整、及び連続紙Pの搬送量を調整する。
後処理ユニット18は、画像が記録された連続紙Pを巻き取る搬送部の一例としての巻取ロール18Aを備えている。この巻取ロール18Aが図示せぬモータから回転力を受けて回転することで、連続紙Pが搬送経路124に沿って搬送されるようになっている。
バッファユニット20は、例えば、用紙搬送方向に沿って第1パスローラ20A、ダンサーローラ20B及び第2パスローラ20Cが配置されている。ダンサーローラ16Bは、図1中上下に移動することにより、後処理ユニット18へ排出される連続紙Pの張力調整、及び連続紙Pの搬送量を調整する。
冷却ユニット22には、複数のクーリングローラ22Aが配置されている。複数のクーリングローラ22Aの間に連続紙Pを搬送することにより、連続紙Pを冷却する。
次に、本実施形態に係る記録装置10による動作(記録方法)について説明する。
本実施形態に係る記録装置10では、まず、前処理ユニット14の供給ロール14Aから、バッファユニット16を通じて、画像記録ユニット12に連続紙Pを搬送する。
次に、画像記録ユニット12において、吐出装置121の各吐出ヘッド122からインクを連続紙Pの感圧接着層上に吐出する。これにより、連続紙Pの感圧接着層上にインクよる画像が記録される。その後、乾燥ドラム126により、連続紙P上の画像(インク)を連続紙Pの裏面側(記録面とは反対側の面)から乾燥する。そして、温風送風装置128により、連続紙Pに吐出されたインク(画像)を連続紙Pの表面側(記録面)から乾燥する。つまり、乾燥ドラム126及び温風送風装置128により、連続紙P上に吐出されたインクを乾燥する。
次に、冷却ユニット22において、クーリングローラ22Aにより、画像が記録された連続紙Pを冷却する。
次に、バッファユニット16を通じて、後処理ユニット18は、画像が記録された連続紙Pを巻取ロール18Aにより巻き取る。
以上の工程を通じて、圧着紙である連続紙Pの感圧接着層上にインクによる画像が記録される。
上記のようにして記録された画像を備える連続紙Pは切断する工程を経て、目的とする大きさ(例えば、二つ折り又は三つ折りしてハガキサイズとなる大きさ)へと裁断する。
裁断された圧着紙は、二つ折り又は三つ折りした後、対向する面同士を圧着する。
この圧着には、公知の圧着装置(ラミネーター)が適用される。
また、上記のような裁断及び圧着は、公知のメールシーラーにて行ってもよい。
なお、圧着の際の条件は、使用した圧着紙と、圧着部を剥がすときの剥離力に応じて決定されればよい。この剥離力としては、例えば、圧着ハガキの場合、300gf以上800gf以下の範囲であればよい。
本実施形態に係る記録装置10では、吐出装置121(吐出ヘッド122)によってインクの液滴を記録媒体Pの表面に直接吐出する方式について説明したが、これに限られず、例えば中間転写体にインクの液滴を吐出した後に、中間転写体上のインクの液滴を記録媒体Pに転写する方式であってもよい。
また、本実施形態に係る記録装置10では、ロール状の連続紙Pにインクを吐出して画像を記録する方式について説明したが、例えば、目的のサイズの枚葉紙にインクを吐出して画像を記録する方式であってもよい。
本実施形態に係る記録装置(及び記録方法)に適用する圧着紙は、インクジェット記録用の圧着紙、即ち、インク受容層でもある感圧接着層を備えた圧着紙であればよく、上記のようにその形態はロール紙や連続帳票用紙等のような連続しであってもよいし、予め目的のサイズにカットされた枚葉紙であってもよい。
このような圧着紙としては、具体的には、北越紀州製紙株式会社製の、インクジェット圧着紙(IJ・PメールN、IJ・WメールPN、IJ・WメールP)、大王製紙株式会社製のインクジェット圧着紙(ブライトメールIJ)等が挙げられる。
また、本実施形態は、限定的に解釈されるものではなく、本発明の要件を満足する範囲内で実現されることは、言うまでもない。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
(インクの調製)
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット(株)製)(着色剤):5質量%
・スチレン/アクリル酸共重合体ナトリウム中和物:2.5質量%
(水溶性樹脂、重量平均分子量=30000)
・TOCRYL(トーヨーケム社製):5質量%(固形分)
(アクリル系エマルション;高分子粒子、体積平均粒径=0.12μm、ガラス転移温度=45℃)
・グリセリン:10質量%
・界面活性剤(表1に記載の化合物):表1に記載の質量%
・イオン交換水:残部
上記組成を混合したのち、5μmのフィルターでろ過を行い、インクを得た。
<実施例2〜3、比較例1〜4>
表1に従って、界面活性剤の種類及び量(質量%)を変更した以外は、実施例1と同様にしてインクを得た。
<物性の測定>
上記のようにして得られた各インクについて、静的表面張力、1msec及び1secでの動的表面張力、動的表面張力の変動幅について、前述の方法で測定した。
結果を表1に示す。
<評価>
(記録装置の準備)
図1に示す構成と同じ構成で、インクの吐出ヘッドとして、600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl)のピエゾヘッドを備えた記録装置を準備した。
また、記録装置に適用する連続紙Pとしては、下記の圧着紙を使用した。
ここで、記録装置の詳細は、以下の通りである。
−記録装置の詳細−
・記録速度(記録媒体搬送速度): 25m/min
・乾燥ドラムの設定温度:100℃
・温風送風装置の設定温度:100℃
・連続紙(圧着紙):IJ・WメールPN(北越紀州製紙株式会社製のインクジェット圧着紙)
そして、前記したインクを記録装置に充填した。
この記録装置を用いて、次の画像記録を行った。
(画像記録)
各記録装置を用いて、圧着紙:IJ・WメールPNの感圧接着層上に、600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl)から、インクを吐出し、1.5cm×1.5cmのベタ画像と文字・罫線の画像とを記録した。その後、乾燥ドラム及び温風送風装置により乾燥、並びに、クーリングローラにより冷却を実施した。この過程を経て、感圧接着層上にインクによる画像を記録した(加熱乾燥あり)。
なお、乾燥ドラム及び温風送風装置の設定温度を30℃とした以外は同様にして、感圧接着層上にインクによる画像を記録した(加熱乾燥なし)。
そして、画像が記録された圧着紙を、三つ折りしてハガキサイズとなる大きさに裁断した。
その後、裁断したサンプルを一晩放置した後、圧着した。圧着は、圧着後に剥がすときの剥離力が500gfとなるような条件で行った。
その後、圧着部を開封し(剥がし)、画像の対向面への転写度合いを目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果は、下記表1に示す。
−画像の転写度合い−
A+:文字・罫線の転写が少ない
A :文字・罫線の転写が見られるが、比較的少ない
B :ベタ画像部、文字・罫線とも転写が著しい
C :ベタ画像部、文字・罫線部分とも転写が著しく、対向面の印字部読み取りに影響がある
上記結果から、本実施例のインクでは、比較例のインクに比べ、圧着紙の感圧接着層上に記録された画像が、圧着及び剥離後に対向面へと転写することが抑制されていることがわかる。
なお、表1中の界面活性剤の略称等の詳細は、以下の通りである。
−アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(日信化学工業社)−
・オルフィンE1010(HLB=13〜14)
・オルフィンEXP.4001(HLB=8〜11)
・オルフィンEXP.4123(HLB=11〜14)
・オルフィンEXP.4300(HLB=10〜13)
−ポリエーテル変性シリコーン(日信化学工業社)−
・シルフェイスSAG002(HLB=12)
・シルフェイスSAG503A(HLB=11)
10 記録装置
12 画像記録ユニット
12 吐出装置
14 前処理ユニット
14A 供給ロール
16 バッファユニット
16A 第1パスローラ
16B ダンサーローラ
16C 第2パスローラ
18 後処理ユニット
18A 巻取ロール
20 バッファユニット
20A 第1パスローラ
20B ダンサーローラ
20C 第2パスローラ
22 冷却ユニット
22A クーリングローラ
121 吐出装置
122、122K、122Y、122M、122C 吐出ヘッド
123、123K、123Y、123M、123C インクカートリッジ
124 搬送経路
126 乾燥ドラム
128 温風送風装置
P 基材上に感圧接着層を備えた連続紙(インクジェット記録用の圧着紙)

Claims (6)

  1. 着色剤、インクに対する含有量が2質量%以上10質量%以下で且つ着色剤を含まない高分子粒子、水、水性有機溶媒、及び、HLBが8以上14以下である2種以上の界面活性剤を含み、
    静的表面張力が30mN/m以下であり、且つ、最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変動幅が1.2mN/m以上2.0mN/m以下であるインク。
  2. 請求項1に記載のインクを収容したインクカートリッジ。
  3. 請求項1に記載のインクを、インクジェット記録用の圧着紙における感圧接着層上に吐出する吐出ヘッドを備える記録装置。
  4. 前記感圧接着層上に吐出された前記インクを乾燥する乾燥装置を更に備える請求項3に記載の記録装置。
  5. 請求項1に記載のインクを、インクジェット記録用の圧着紙における感圧接着層上に吐出する吐出工程を有する記録方法。
  6. 前記感圧接着層上に吐出された前記インクを乾燥する乾燥工程を更に有する請求項5に記載の記録方法。
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