JP6287424B2 - インクセット、インクカートリッジセット、記録装置、及び記録方法 - Google Patents
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Description
着色剤、高分子粒子、水、及び水性有機溶媒を含み、静的表面張力が30mN/m未満であり、最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が32mN/m以下であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m未満であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が0.2mN/m以上3.0mN/m以下である第1の水性インクと、
着色剤、水、及び水性有機溶媒を含み、静的表面張力が30mN/m以上であり、最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が38mN/m以上であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m以上であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が1.5mN/m以上9.0mN/m以下であり、前記第1の水性インクとは色が異なる第2の水性インクと、
を有するインクセット。
前記第1の水性インクは黒色の水性インクである請求項1に記載のインクセット。
請求項1又は請求項2に記載のインクセットの各水性インクを収容したインクカートリッジセット。
請求項1又は請求項2に記載のインクセットの各水性インクを、記録媒体上に吐出する吐出ヘッドを備える記録装置。
前記記録媒体上に吐出された前記各水性インクを乾燥する乾燥装置を更に備える請求項4に記載の記録装置。
前記乾燥装置による乾燥温度が、前記記録媒体の表面温度で35℃以上200℃以下である請求項5に記載の記録装置。
請求項1又は請求項2に記載のインクセットの各水性インクを、記録媒体上に吐出する吐出工程を有する記録方法。
前記記録媒体上に吐出された前記各水性インクを乾燥する乾燥工程を更に有する請求項7に記載の記録方法。
前記乾燥工程による乾燥温度が、前記記録媒体の表面温度で35℃以上200℃以下である請求項8に記載の記録方法。
請求項2に係る発明によれば、第1の水性インクの静的表面張力が30mN/m以上の場合、1msec後での第1の水性インクの動的表面張力が32mN/mを超える場合、1sec後での第1の水性インクの動的表面張力が30mN/m以上の場合、又は、第1の水性インクの動的表面張力の変化幅が3.0mN/mを超える場合に比べ、画像の滲みが生じやすい黒色の水性インクであっても画像の滲みを抑制する第1の水性インクを用いたインクセットが提供される。
請求項5、又は6に係る発明によれば、乾燥装置を備えない場合に比べ、画像の滲みを抑制しつつ、高速記録を実現する記録装置が提供される。
請求項8、又は9に係る発明によれば、乾燥装置を備えない場合に比べ、画像の滲みを抑制しつつ、高速記録を実現する記録方法が提供される。
本実施形態に係る水性インク(以下、単に「インク」とも称する)は、着色剤、高分子粒子、水、及び水性有機溶媒を含む。そして、水性インクは、静的表面張力が30mN/m未満であり、最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が32mN/m以下であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m未満であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が0.2mN/m以上3.0mN/m以下である。なお、以下、この表面張力特性を持つ水性インクを「インク(1)」と称することがある。
一方、上記範囲の静的表面張力、1msec後及び1sec後での動的表面張力、並びに、動的表面張力の変動幅を持つインク(2)は、静的表面張力及び各動的表面張力を大きくした上で、動的表面張力の変動幅も大きくしたインクである。つまり、このインクは、記録媒体上で濡れ拡がり難い性質を持つインクを示している。なお、このインク(2)は、浸透性の記録媒体に使用される既存の浸透インクに該当する。
この高分子粒子同士の相互作用が強くなると、高分子粒子付近の見かけ上の粘度が高まり、高分子粒子は、記録媒体の表面に残存しやすくなると共に、記録媒体の面方向(面に沿った方向)に拡がり難くなる。これに伴って、同じくインク(1)の固形成分である着色剤も高分子粒子同士の相互作用に取り込まれ、記録媒体の表面に残存しやすくなると共に、記録媒体の面方向(面に沿った方向)に拡がり難くなる。特に、インク(1)は、上記表面張力特性を持つため、インク中の液体成分の一部が記録媒体中に吸収されると、インク安定性が崩れやすい。このため、インク中の液体成分と固形分(着色剤及び高分子粒子)との分離が促進され、これら現象が生じやすい。
このため、インク(1)単独で、インク(1)による画像の滲みが抑えられる。
しかし、インク(1)は、単独で、画像の滲みを抑えられることから、各色のインクの記録順番に影響されず、滲みが抑えられえる。更に、滲みが目立つ濃い色(特に、黒色)のインクとして、インク(1)を適用すると、濃い色(特に、黒色)のインクによる画像の滲みが抑えられる。特に、上記2)の記録順でインクによる画像を記録した場合の滲みが抑えられる。
特に、この画像の裏抜けが生じやすいのは、記録媒体としての薄紙に、濃い色(特に黒色)のインクによる画像を形成した場合である。これに対して、黒色のインクとして、本実施形態に係る水性インク(インク(1))を適用すると、この画像の裏抜けが抑制される。
一方、非浸透性の記録媒体としては、コート紙、樹脂フィルム等が挙げられる。具体的には、非浸透性の記録媒体とは、動的走査吸液計で測定した接触時間500ms以内におけるインクの最大吸液量が15ml/m2以下である記録媒体を意味する。
静的表面張力は、ウイルヘルミー型表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値である。
一方、インク(1)における1sec後での動的表面張力は、30mN/m未満であり、画像の滲み、及び画像剥がれを抑制する点から、好ましくは20mN/m以上28mN/m以下、より好ましくは22mN/m以上28mN/m以下である。
なお、1msec後の動的表面張力の値とは、キャピラリー先端で新しい界面が形成されてから1msecで最大泡圧に達したときの動的表面張力の値である。但し、最大泡圧法動的表面張力計の表示される測定限界が、1msec後での動的表面張力の場合、0msec後での動的表面張力として表記されることがある。この場合、0msec後での動的表面張力の値を1msec後での動的表面張力の値として採用する。
一方、1sec後の動的表面張力の値とは、キャピラリー先端で新しい界面が形成されてから1secで最大泡圧に達したときの動的表面張力の値である。但し、最大泡圧法動的表面張力計の測定限界が、1sec未満後の動的表面張力の場合、測定限界での動的表面張力の値を1sec後での動的表面張力の値として採用する。これは、測定限界での動的表面張力の値であれば、動的表面張力が安定領域にあると判断できるためである。
・HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量)
アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の市販品(なお、括弧内の数値はHLBのカタログ値を示す)としては、例えば、オルフィンE1004(7〜9)、オルフィンE1010(13〜14)、オルフィンEXP.4001(8〜11)、オルフィンEXP.4123(11〜14)、オルフィンEXP.4300(10〜13),サーフィノール104H(4)、サーフィノール420(4)、サーフィノール440(4)、ダイノール604(8)[以上、日信化学工業社]等が挙げられる。
アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の含有量は、例えば、インクに対して0.01質量%以上10質量%以下がよく、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
ポリエーテル変性シリコーンの市販品(なお、括弧内の数値はHLBのカタログ値を示す)としては、シルフェイスSAG002(12)、シルフェイスSAG503A(11)、シルフェイスSAG005(7)[以上、日信化学工業社]等が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンの含有量は、例えば、インクに対して0.01質量%以上5質量%以下がよく、好ましくは0.05質量%以上1質量%以下である。
一方、インク(2)における1sec後での動的表面張力は、30mN/m以上であり、画像の滲みを抑制する点から、好ましくは30mN/m以上45mN/m以下、より好ましくは30mN/m以上40mN/m以下である。
着色剤としては、顔料が挙げられる。顔料としては、有機顔料、無機顔料が挙げられる。
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet −19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イエロー顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
自己分散型顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。自己分散型顔料は、例えば、顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理を施すことにより得られる。
また、顔料としては、高分子化合物を顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も挙げられる。
また、顔料としては、黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等も挙げられる。
また、顔料としては、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も挙げられる。
着色剤の体積平均粒径とは、着色剤そのものの粒径、又は着色剤に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA粒度分析計 UPA−UT151 (Microtrac社製)により行う。その測定は、1000倍希釈したインクを測定セルに入れ、測定を行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインク希釈液の粘度を、粒子屈折率は着色剤の屈折率とした。
高分子粒子は、非浸透性の記録媒体に対するインクによる画像の定着性を高める成分である。
高分子粒子の体積平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA粒度分析計 UPA−UT151 (Microtrac社製)により行う。その測定は、1000倍希釈したインクを測定セルに入れ、測定を行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインク希釈液の粘度を、粒子屈折率は高分子の屈折率とした。
高分子粒子のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
水としては、特に不純物の混入、又は微生物の発生を防止するという観点から、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水が好適に挙げられる。
水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も挙げられる。
アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
インクには、その他の界面活性剤を含んでもよい。その他の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、好ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤である。
これらの中でも、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等がよい。
これらの中でも、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコールがよい。
インクには、その他添加剤を含んでもよい。その他添加剤としては、インク吐出性改善剤(ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、導電率/pH調整剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物等)、反応性の希釈溶媒、浸透剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、キレート化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
インク(インク(1)及び(2))のpHは、好ましくは4以上10以下の範囲、より好ましくは5以上9以下の範囲が挙げられる。
ここで、インクのpHは、温度23±0.5℃、湿度55±5%R.H.環境下において、pH/導電率計(メトラー・トレド社製MPC227)により測定した値を採用する。
導電率の測定は、MPC227(pH/Conductivity Meter、メトラー・トレド社製)で行う。
粘度は、TV−20(東機産業製)を測定装置として用い、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定する。
本実施形態に係る記録装置は、本実施形態に係る水性インク、又はインクセットの各水性インクを、記録媒体上に吐出する吐出ヘッドを備える記録装置である。本実施形態に係る記録装置によれば、本実施形態に係る水性インク、又はインクセットの各水性インクを、非浸透性の記録媒体上に吐出する吐出工程を有する記録方法が実現される。
この温度を35℃以上とすると、水性インクの乾燥が迅速に行える。一方、この温度を200℃以下とすると、記録媒体の焦げ付き、装置コストの増大、及び消費電力の増大を抑えつつ、迅速なインクの乾燥が実現される。
なお、記録媒体の表面温度は、次の通りに乾燥直後に測定された値である。まず、記録装置の乾燥装置から記録媒体搬送距離で0.5mの場所に、放射温度計を設置する。そして、この放射温度計により、記録媒体の非画像記録部(白紙部)の温度を測定し、この測定した温度を記録媒体の表面温度として求める。
また、本実施形態に係る記録装置には、本実施形態に係るインクセットの各水性インクを収容し、当該記録装置に着脱されるようカートリッジ化されたインクカートリッジセットを備えていてもよい。
本実施形態に係る記録装置10は、図1に示すように、水性インク(以下「インク」とも称する)を記録媒体P上に吐出する吐出ヘッド122(吐出ヘッド122を有する吐出装置121)を備える記録装置である。本実施形態に係る記録装置10では、インクを記録媒体P上に吐出する吐出工程を有する記録方法が実現される。これにより、記録媒体P上にインクによる画像を記録する。
なお、吐出ヘッド122は、これに限られず、連帳紙Pの幅よりも短尺状の吐出ヘッドであって、連帳紙Pの幅方向に移動してインクを吐出する方式(所謂キャリッジ方式)の吐出ヘッドであってもよい。
本実施形態に係る記録装置10では、まず、前処理ユニット14の供給ロール14Aから、バッファユニット16を通じて、画像記録ユニット12に連帳紙Pを搬送する。
次に、画像記録ユニット12において、吐出装置121の各吐出ヘッド122からインクを連帳紙Pに吐出する。これにより、連帳紙P上にインクよる画像が形成される。その後、乾燥ドラム126により、連帳紙P上の画像(インク)を連帳紙Pの裏面側(記録面とは反対側の面)から乾燥する。そして、温風送風装置128により、連帳紙Pに吐出されたインク(画像)を連帳紙Pの表面側(記録面)から乾燥する。つまり、乾燥ドラム126及び温風送風装置128により、連帳紙P上に吐出されたインクを乾燥する。
次に、冷却ユニット22において、クーリングローラ22Aにより、画像が記録された連帳紙Pを冷却する。
次に、バッファユニット16を通じて、後処理ユニット18は、画像が記録された連帳紙Pを巻取ロール18Aにより巻き取る。
(ブラックインク;「Kインク」と表記)
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット(株)製)(着色剤): 5質量%
・スチレン/アクリル酸共重合体ナトリウム中和物: 2.5質量%
(水溶性樹脂、重量平均分子量=30000)
・TOCRYL W−4627(アクリル系エマルション;トーヨーケム社製): 5.0質量%(固形分)
(高分子粒子、体積平均粒径=0.12μm、ガラス転移温度=45℃)
・グリセリン: 10質量%
・ジエチレングリコール: 10質量%
・界面活性剤(表1に記載の化合物): 表1に記載の質量%
・イオン交換水: 残部
上記組成を混合したのち、5μmのフィルターでろ過を行い、水性インク(Kインク)を得た。
・C.I.Pigment Blue 15:3(着色剤): 5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物: 2.5質量%
(水溶性樹脂、重量平均分子量=30000)
・グリセリン: 10質量%
・ジエチレングリコール: 10質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル: 3質量%
・界面活性剤(表1に記載の化合物): 表1に記載の質量%
・イオン交換水: 残部
上記組成を混合したのち、5μmのフィルターでろ過を行い、水性インク(Cインク)を得た。
着色剤として、C.I.Pigment Red 122を使用した以外は、Cインクと同様にして、Mインクを得た。
着色剤として、C.I.Pigment Yellow 128を使用した以外は、Cインクと同様にして、Yインクを得た。
得られたKインク、Cインク、Mインク、及びYインクを実施例1のインクセットとした。
表1に従って、界面活性剤の種類及び量(質量%)を変更した以外は、実施例1と同様にインクセットを準備した。
(ブラックインク;「Kインク」と表記)
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット(株)製)(着色剤): 5質量%
・スチレン/アクリル酸共重合体ナトリウム中和物: 2.5質量%
(水溶性樹脂、重量平均分子量=30000)
・TOCRYL W−4627(アクリル系エマルション;トーヨーケム社製): 5.0質量%(固形分)
(高分子粒子、体積平均粒径=0.12μm、ガラス転移温度=45℃)
・グリセリン: 10質量%
・ジエチレングリコール: 10質量%
・界面活性剤(表2に記載の化合物): 表2に記載の質量%
・イオン交換水: 残部
上記組成を混合したのち、5μmのフィルターでろ過を行い、水性インク(Kインク)を得た。得られたKインクを実施例11のインクとした。
表2に従って、界面活性剤の種類及び量(質量%)を変更した以外は、実施例1と同様にインクを準備した。
(記録装置の準備)
図1に示す構成と同じ構成で、インクの吐出ヘッドとして、600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl)のピエゾヘッドを備えた記録装置を準備した。準備した記録装置の詳細は、以下の通りである。ただし、乾燥ドラム、及び温風送風装置の設定温度は、乾燥直後の記録媒体の表面温度が60℃となる設定温度である。
−記録装置の詳細−
・記録速度(記録媒体搬送速度): 25m/min
・乾燥ドラムの設定温度:100℃
・温風送風装置の設定温度:100℃
・記録媒体: 日本製紙製「NPiフォームNext−IJ(坪量64g/m2)」[浸透性の記録媒体]、日本製紙製「NPiフォーム(坪量64g/m2)」[浸透性の記録媒体]、王子製紙製「OKトップコート+」(連量43kg)[非浸透性の記録媒体]の3種類
各記録装置を用いて、浸透性の記録媒体として、日本製紙製「NPiフォームNext−IJ」、日本製紙製「NPiフォーム」上に、600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl)から、インクを吐出し、Kインクによる1.5cm×1.5cmのベタ画像を記録した。その後、乾燥ドラム及び温風送風装置により乾燥、並びに、クーリングローラにより冷却を実施した。この過程を経て、浸透性の記録媒体にインクによる画像を記録した。
そして、記録媒体の裏面(記録面とは反対側の面)側から、記録後のKインクによる文字画像を目視にて観察し、画像の裏抜けについて評価した。
評価基準は以下の通りである。
A(○):画像の裏抜けがない。
B(△):画像の裏抜けが若干ある。
C(×):画像の裏抜けが著しい。
各記録装置を用いて、浸透性の記録媒体として、日本製紙製「NPiフォームNext−IJ」、日本製紙製「NPiフォーム」上に、600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl)から、インクを吐出し、Kインクによる文字画像(「響」の6pt文字画像)を記録した。その後、乾燥ドラム及び温風送風装置により乾燥、並びに、クーリングローラにより冷却を実施した。この過程を経て、浸透性の記録媒体にインクによる画像を記録した。
そして、記録後のKインクによる文字画像を目視にて観察し、文字画像の滲み(色間滲み)について評価した。
なお、各例のインクセットのインクを充填した記録装置の場合、Kインクによる文字画像の下地色として、Cインク、Mインク、及びYインクの各々のインクによるベタ画像も記録して、文字画像の色滲み(色間滲み)を評価した。
評価基準は以下の通りである。
A+(◎):下地色ありでも画像の滲みがない。
A(○):下地色なしで画像の滲みがない。
B(△):下地色なしで画像の滲みが若干ある。
C(×):下地色なしでも画像の滲みが著しい。
各記録装置を用いて、非浸透性の記録媒体として、王子製紙製「OKトップコート+」上に、600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl)から、インクを吐出し、Kインクによる文字画像(「響」の6pt文字画像)を記録した。その後、乾燥ドラム及び温風送風装置により乾燥、並びに、クーリングローラにより冷却を実施した。この過程を経て、浸透性の記録媒体にインクによる画像を記録した。
そして、記録後のKインクによる文字画像を目視にて観察し、乾燥不良による画像の剥がれについて評価した。
評価基準は以下の通りである。
A(○):画像の剥がれがない
B(△):画像の一部に剥がれがある
C(×):画像の剥がれが著しく汚れる
なお、乾燥を実施しない条件(1)では、記録前後の記録媒体の表面温度は25℃のままであった。
このことから、本実施例のインク、及びインクセットでは、浸透性、及び非浸透性の記録媒体のいずれにも、良好な画像が記録され、記録媒体の汎用性に富むことがわかる。
−アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(日信化学工業社)−
・オルフィンE1010(HLB=13〜14)
・オルフィンEXP.4001(HLB=8〜11)
・オルフィンEXP.4123(HLB=11〜14)
・オルフィンE1020(HLB=15〜16)
・シルフェイスSAG002(HLB=12)
・シルフェイスSAG503A(HLB=11)
12 画像記録ユニット
12 吐出装置
14 前処理ユニット
14A 供給ロール
16 バッファユニット
16A 第1パスローラ
16B ダンサーローラ
16C 第2パスローラ
18 後処理ユニット
18A 巻取ロール
20 バッファユニット
20A 第1パスローラ
20B ダンサーローラ
20C 第2パスローラ
22 冷却ユニット
22A クーリングローラ
121 吐出装置
122、122K、122Y、122M、122C 吐出ヘッド
123、123K、123Y、123M、123C インクカートリッジ
124 搬送経路
126 乾燥ドラム
128 温風送風装置
P 記録媒体
Claims (9)
- 着色剤、高分子粒子、水、及び水性有機溶媒を含み、静的表面張力が30mN/m未満であり、最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が32mN/m以下であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m未満であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が0.2mN/m以上3.0mN/m以下である第1の水性インクと、
着色剤、水、及び水性有機溶媒を含み、静的表面張力が30mN/m以上であり、最大泡圧法により動的表面張力を測定したとき、1msec後での動的表面張力が38mN/m以上であり、1sec後での動的表面張力が30mN/m以上であり、1msec後から1sec後までの動的表面張力の変化幅が1.5mN/m以上9.0mN/m以下であり、前記第1の水性インクとは色が異なる第2の水性インクと、
を有するインクセット。 - 前記第1の水性インクは黒色の水性インクである請求項1に記載のインクセット。
- 請求項1又は請求項2に記載のインクセットの各水性インクを収容したインクカートリッジセット。
- 請求項1又は請求項2に記載のインクセットの各水性インクを、記録媒体上に吐出する吐出ヘッドを備える記録装置。
- 前記記録媒体上に吐出された前記各水性インクを乾燥する乾燥装置を更に備える請求項4に記載の記録装置。
- 前記乾燥装置による乾燥温度が、前記記録媒体の表面温度で35℃以上200℃以下である請求項5に記載の記録装置。
- 請求項1又は請求項2に記載のインクセットの各水性インクを、記録媒体上に吐出する吐出工程を有する記録方法。
- 前記記録媒体上に吐出された前記各水性インクを乾燥する乾燥工程を更に有する請求項7に記載の記録方法。
- 前記乾燥工程による乾燥温度が、前記記録媒体の表面温度で35℃以上200℃以下である請求項8に記載の記録方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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