JP6808922B2 - 水性インク、記録装置、及び記録方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、「顔料と、湿潤剤と、水分散性樹脂と、水とを少なくとも含有してなるインクジェット記録用インクであって、インクの水分蒸発率が25%のときに、特定のCasson降伏値及び特定の粘度を満たすインクジェット記録用インク。」が提案されている。
また、特許文献3には、「少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインク。」が提案されている。
着色剤と、高分子粒子と、水及び水性有機溶媒を含む溶媒と、を含有し、
前記溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の水性インクの粘度Vc1と、減量前の水性インクの粘度Vi1との関係が、式:10≦Vc1/Vi1≦70を満たす水性インク。
前記減量前の水性インクの粘度Vi1が、5mPa・s以上20mPa・s以下である<1>に記載の水性インク。
前記減量後の水性インクの粘度Vc1が、500mPa・s以下である<1>又は<2>に記載の水性インク。
<1>〜<3>のいずれか1項に記載の水性インクを収容し、前記水性インクを記録媒体の表面に吐出する吐出ヘッドを有する記録装置。
前記吐出ヘッドが、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の水性インクとして第1水性インクを収容し、前記第1水性インクを前記記録媒体の表面に最初に吐出する第1吐出ヘッドであり、
第2水性インクを収容し、前記第1吐出ヘッドによる前記第1水性インクの吐出よりも後に、前記第2水性インクを前記記録媒体の表面に吐出する第2吐出ヘッドを更に有する<4>に記載の記録装置。
溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第1水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第2水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第2水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である<5>に記載の記録装置。
第1水性インクを収容し、前記第1水性インクを記録媒体の表面に吐出する第1吐出ヘッドと、
前記第1吐出ヘッドにより前記記録媒体の表面に吐出された前記第1水性インクを乾燥する乾燥装置と、
第2水性インクとして<1>〜<3>のいずれか1項に記載の水性インクを収容し、前記乾燥装置による前記第1水性インクの乾燥後、前記第2水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第2吐出ヘッドと、
を有する記録装置。
前記第2吐出ヘッドが、前記第2水性インクとして第3水性インクを収容し、前記第3水性インクを前記記録媒体の裏面に最初に吐出する第3吐出ヘッドであり、
第4水性インクを収容し、前記第3吐出ヘッドによる前記第3水性インクの吐出よりも後に、前記第4水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第4吐出ヘッドを更に有する<7>に記載の記録装置。
溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第3水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第4水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第4水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である<8>に記載の記録装置。
吐出ヘッドにより<1>〜<3>のいずれか1項に記載の水性インクを記録媒体の表面に吐出する吐出工程を有する記録方法。
前記吐出工程が、前記吐出ヘッドとして第1吐出ヘッドにより、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の水性インクとして第1水性インクを前記記録媒体の表面に最初に吐出する第1吐出工程であり、
前記第1吐出ヘッドによる前記第1水性インクの吐出よりも後に、第2吐出ヘッドにより第2水性インクを前記記録媒体の表面に吐出する第2吐出工程を更に有する<10>に記載の記録方法。
溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第1水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第2水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第2水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である<11>に記載の記録方法。
第1吐出ヘッドにより第1水性インクを記録媒体の表面に吐出する第1吐出工程と、
前記第1吐出工程により前記記録媒体の表面に吐出された前記第1水性インクを乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程による前記第1水性インクの乾燥後、第2吐出ヘッドにより第2水性インクとして<1>〜<3>のいずれか1項に記載の水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第2吐出工程と、
を有する記録方法。
前記第2吐出工程が、前記第2吐出ヘッドとして第3吐出ヘッドにより、前記第2水性インクとして第3水性インクを前記記録媒体の裏面に最初に吐出する第3吐出工程であり、
前記第3吐出ヘッドによる前記第3水性インクの吐出よりも後に、第4吐出ヘッドにより第4水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第4吐出工程を更に有する<13>に記載の記録方法。
溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第3水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第4水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第4水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である<14>に記載の記録方法。
<2>に係る発明によれば、減量前の水性インクの粘度Vi1が20mPa・s超えの場合に比べ、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、着弾ムラの発生を抑制する水性インクが提供される。
<3>に係る発明によれば、減量後の水性インクの粘度Vc1が500mPa・s超えの場合に比べ、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、着弾ムラの発生を抑制する水性インクが提供される。
<5>、又は<6>に係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクを第1水性インクとして適用した場合に比べ、所定の条件で乾燥した記録媒体に記録するとき、記録媒体の表面に最初に吐出する第1水性インクの着弾ムラを抑制する記録装置が提供される。
<8>、又は<9>に係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクを第3水性インクとして適用した場合に比べ、記録媒体の両面に記録するとき、所定の条件で乾燥装置による第1水性インクの乾燥で乾燥した記録媒体の裏面に最初に吐出する第3水性インクの着弾ムラを抑制する記録装置が提供される。
<11>、又は<12>に係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクを第1水性インクとして適用した場合に比べ、所定の条件で乾燥した記録媒体に記録するとき、記録媒体の表面に最初に吐出する第1水性インクの着弾ムラを抑制する記録方法が提供される。
<14>、又は<15>に係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクを第3水性インクとして適用した場合に比べ、記録媒体の両面に記録するとき、所定の条件で乾燥工程による第1水性インクの乾燥で乾燥した記録媒体の裏面に最初に吐出する第3水性インクの着弾ムラを抑制する記録方法が提供される。
なお、水性インクの吐出量が減少し、着弾ムラが生じると、隣接ドットと隙間が埋まり難くなり、例えば、画像中に白いスジとして現れる。また、水性インクの吐出方向性が悪化し、着弾ムラが生じると、隣接ドットと隙間が埋まり難くなると同時に隣接ドットとの重なりが増え、例えば、画像中に黒いスジとして現れる。
また、本実施形態に係る水性インクでは、吐出ヘッドのノズル内壁面及びのノズルの縁周囲での粗粒の粒子成長を抑制するため、レイテンシーの発生も抑制される。ここで、レイテンシーとは、水性インクの吐出後、時間を空けて、次の吐出したとき、次に吐出したインクの量が減少したり、次に吐出した水性インクの記録媒体上の着弾位置が予定した位置からずれた位置に着弾する吐出不良を示す。
なお、記録媒体の記録に複数の色の水性インクを使用する場合、少なくとも最初に吐出する水性インクに本実施形態に係る水性インクを適用することがよい。これは、最初の水性インクの吐出により、記録媒体の含水率が上がり、最初に吐出する水性インク以降の水性インクを吐出する吐出ヘッドのノズル内での水性インクの乾燥が緩和されるためである。
なお、記録媒体の裏面へ記録に複数の色の水性インクを使用する場合も、少なくとも最初に吐出する水性インクに本実施形態に係る水性インクを適用することがよい。これは、上述したように、最初の水性インクの吐出により、記録媒体の含水率が上がり、最初に吐出する水性インク以降の水性インクを吐出する吐出ヘッドのノズル内での水性インクの乾燥も緩和されるためである。
なお、水性インクの濃縮時粘度Vc1を調整する方法としては、例えば、1)着色剤の分散剤(顔料分散剤)の添加量を変える方法(着色剤の分散剤の添加量を少なくすると濃縮時粘度Vc1が低下する傾向となる)、2)着色剤の分散剤の分子量を変える方法(着色剤の分散剤の分子量を高くすると濃縮時粘度Vc1が低下する傾向となる)、3)着色剤の分散剤のガラス転移温度Tgを変える方法(着色剤の分散剤のガラス転移温度Tgを高くすると濃縮時粘度Vc1が低下する傾向となる)、4)高分子粒子の添加量を変える方法(高分子粒子の添加量を少なくすると濃縮時粘度Vc1が低下する傾向となる)、5)高分子粒子のガラス転移温度Tgを変える方法(高分子粒子のガラス転移温度Tgを高くすると濃縮時粘度Vc1が低下する傾向となる)、6)疎水性溶媒(例えばジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類等)を添加する方法(疎水性溶媒を添加すると濃縮時粘度Vc1が上昇する傾向となる)、7)保湿性溶媒(例えばグリセリン、ジエチレングリコール等)を添加する方法(保湿性溶媒を添加すると濃縮時粘度Vc1が低下する傾向となる)が挙げられる。そして、これら方法を利用して、Vc1/Vi1を調整する。
一方、水性インクの濃縮時粘度Vc1は、着弾ムラを抑制する点から、500mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以上300mPa・s以下がより好ましい。
そして、水性インクの各種の粘度は、TV−20(東機産業製)を測定装置として用い、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定する。
ここで水性インクの組成によっては保湿性溶媒の影響などにより、蒸発時に減量前の水性インクの質量に対して40%の質量になるまで溶媒を蒸発させることができない場合がある。このときはその時点での粘度の測定値を代用する。
まず、着色剤について説明する。
着色剤としては、目的とする色相の水性インクに応じたものを使用すればよく、具体的には、顔料が挙げられる。顔料としては、有機顔料、無機顔料が挙げられる。
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet−19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イエロー顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
自己分散型顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。自己分散型顔料は、例えば、顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理を施すことにより得られる。
また、顔料としては、高分子化合物を顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も挙げられる。
また、顔料としては、黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等も挙げられる。
また、顔料としては、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も挙げられる。
着色剤の体積平均粒径とは、着色剤そのものの粒径、又は着色剤に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。
体積平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA粒度分析計 UPA−UT151 (Microtrac社製)により行う。その測定は、1000倍希釈した水性インクを測定セルに入れて行う。なお、測定時の入力値として、粘度には水性インク希釈液の粘度を、粒子屈折率は着色剤の屈折率を採用する。
高分子粒子について説明する。
高分子粒子は、記録媒体に対する水性インクによる画像の定着性を高める成分である。
なお、高分子粒子は、高分子化合物を粒状化したものであって、前述した高分子分散剤とは別の成分である。
なお、高分子粒子としては、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェル型の高分子粒子も挙げられる。
乳化剤としては、界面活性剤、スルホン酸基、カルボキシル基等の親水性基を有するポリマー(例えば、親水性基がグラフト結合しているポリマー、親水性を持つ単量体と疎水性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)が挙げられる。
高分子粒子の体積平均粒径の測定は、マイクロトラックUPA粒度分析計 UPA−UT151(Microtrac社製)により行う。その測定は、1000倍希釈した水性インクを測定セルに入れて行う。なお、測定時の入力値として、粘度には水性インク希釈液の粘度を、粒子屈折率は高分子粒子の屈折率を採用する。
高分子粒子のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
水について説明する。
水としては、特に不純物の混入、又は微生物の発生を防止するという観点から、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水が好適に挙げられる。
水性有機溶媒について説明する。
水性有機溶媒としては、多価アルコール、多価アルコール誘導体、含窒素溶媒、アルコール、含硫黄溶媒等が挙げられる。水性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も挙げられる。
アルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
界面活性剤について説明する。
水性インクは、界面活性剤として、例えば、HLB(親水基/疎水基バランス「Hydrophile− Lipophile Barance」)が14以下の界面活性剤を含むことが好ましい。HLBが14以下の界面活性剤の量を調整する、また、異なるHLBの界面活性剤を複数種使用することなどにて、水性インクの表面張力の調整がし易くなる。
・HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量)
アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の市販品(なお、括弧内の数値はHLBのカタログ値を示す)としては、例えば、オルフィンE1004(7〜9)、オルフィンE1010(13〜14)、オルフィンEXP.4001(8〜11)、オルフィンEXP.4123(11〜14)、オルフィンEXP.4300(10〜13),サーフィノール104H(4)、サーフィノール420(4)、サーフィノール440(4)、ダイノール604(8)[以上、日信化学工業社]等が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンの市販品(なお、括弧内の数値はHLBのカタログ値を示す)としては、シルフェイスSAG002(12)、シルフェイスSAG503A(11)、シルフェイスSAG005(7)[以上、日信化学工業社]等が挙げられる。
その他の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、好ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤である。
これらの中でも、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等がよい。
これらの中でも、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコールがよい。
その他の添加剤について説明する。
水性インクは、その他の添加剤を含んでもよい。
その他の添加剤としては、インク吐出性改善剤(ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、導電率/pH調整剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物等)、反応性の希釈溶媒、浸透剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、キレート化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
水性インクの好適な物性について説明する。
水性インクのpHは、好ましくは4以上10以下の範囲、より好ましくは5以上9以下の範囲が挙げられる。
ここで、水性インクのpHは、温度23±0.5℃、湿度55±5%R.H.環境下において、pH/導電率計(メトラー・トレド社製MPC227)により測定した値を採用する。
導電率の測定は、MPC227(pH/Conductivity Meter、メトラー・トレド社製)で行う。
ここで、本実施形態に係る水性インクは、例えば、黒インク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、及びこれら色以外の中間色インクのいずれであってもよい。
また、本実施形態に係る水性インクは、かかる水性インクを少なくとも1種含む(好ましくは全てが本実施形態に係る水性インクからなる)インクセットとして使用してもよい。
以下、本実施形態に係る記録装置及び記録方法について説明する。
第1実施形態に係る記録装置は、水性インクを収容し、水性インクを記録媒体の表面に吐出する吐出ヘッドを有する記録装置である。第1実施形態に係る記録装置では、吐出ヘッドにより水性インクを記録媒体の表面に吐出する吐出工程を有する記録方法(第1実施形態に係る記録方法)が実現される。そして、水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクが適用される。
第1実施形態に係る記録装置(記録方法)では、上述のように、水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクが適用することで、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、着弾ムラの発生が抑制される。
一方、第1実施形態に係る記録方法は、吐出工程が、吐出ヘッドとして第1吐出ヘッドにより、上記本実施形態に係る水性インクとして第1水性インクを記録媒体の表面に最初に吐出する第1吐出工程であり、第1吐出ヘッドによる第1水性インクの吐出よりも後に、第2吐出ヘッドにより第2水性インクを記録媒体の表面に吐出する第2吐出工程を更に有する形態であってもよい。つまり、記録方法は、複数の色の各水性インクを各々吐出する吐出工程を有していてもよい。
これら形態の場合、特に、乾燥した記録媒体の吸湿により、記録媒体の表面に最初に第1水性インクを吐出する第1吐出ヘッドの周囲が乾燥し、第1吐出ヘッドのノズル内の第1水性インクの乾燥が顕著となり、着弾ムラが発生しやすい。しかし、記録媒体の表面に最初に吐出する第1水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクを適用することで、着弾ムラの発生が抑制される。
一方で、第1水性インクよりも後に、記録媒体の表面に吐出する第2水性インクとしては、上記本実施形態に係る水性インク以外の水性インクを適用してもよい。これは、上述のように、最初の第1水性インクの吐出により、記録媒体の含水率が上がり、第2吐出ヘッドのノズル内での第2水性インクの乾燥が緩和されるためである。ただし、着弾ムラの発生を抑制する点で、第2水性インクも、上記本実施形態に係る水性インクを適用することがよい。
なお、第1水性インクの濃縮時粘度Vc1と第2水性インクの濃縮時粘度Vcnとの関係が上記式を満たすとは、第2水性インクとして、複数の色の水性インクを使用する場合、第1水性インクの濃縮時粘度Vc1と、全第2水性インクのうち、濃縮時粘度Vcnが最も高い第2水性インクの濃縮時粘度Vcnmaxとの関係が上記式(つまり0.48≦Vcnmax/Vc1)を満たすことを意味する。
第1水性インクの濃縮時粘度Vc1と第2水性インクの濃縮時粘度Vcnとの関係が上記式を満たようにし、第2水性インクの濃縮時粘度Vcnが第1水性インクの濃縮時粘度Vc1×0.48以上から濃縮時粘度Vc1を超えても、乾燥した記録媒体に記録するとき、着弾ムラの発生が抑制される。これは、上述のように、第2吐出ヘッドのノズル内での第2水性インクの乾燥が緩和されるためである。そして、第2水性インクには、第1水性インクに比べ、濃縮時粘度Vcnの特性を緩和し、他の特性を付与することができる。
また、第2水性インクの濃縮時粘度Vcnと初期粘度Vinとの比(Vn/Vin)は、第1水性インクの濃縮時粘度Vc1と初期粘度Vi1との比(Vc1/Vi1)よりも大きいことがよい。例えば、比(Vcn/Vin)を14以上70以下とし、比(Vc1/Vi1)を1以上30未満としてもよい。これにより、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、着弾ムラの発生が抑制しつつ、定着性が向上しやすくなる。これは、上述のように、第2吐出ヘッドのノズル内での第2水性インクの乾燥が緩和されるため、定着性向上のために、高分子粒子(例えばポリマーエマルション)を多く含有した水性インクを用いても吐出性を悪化させず、比(Ncn/Nin)を高めても、着弾ムラの発生が抑制されるためである。
第2実施形態に係る記録装置は、第1水性インクを収容し、第1水性インクを記録媒体の表面に吐出する第1吐出ヘッドと、第1吐出ヘッドにより記録媒体の表面に吐出された第1水性インクを乾燥する乾燥装置と、第2水性インクとして上記本実施形態に係る水性インクを収容し、乾燥装置による第1水性インクの乾燥後、第2水性インクを記録媒体の裏面に吐出する第2吐出ヘッドと、を有する。
第2実施形態に係る記録装置では、第1吐出ヘッドにより第1水性インクを記録媒体の表面に吐出する第1吐出工程と、第1吐出工程により記録媒体の表面に吐出された第1水性インクを乾燥する乾燥工程と、乾燥装置による第1水性インクの乾燥後、第2吐出ヘッドにより第2水性インクを記録媒体の裏面に吐出する第2吐出工程と、を有する記録方法(第2実施形態に係る記録方法)が実現される。
つまり、第2実施形態に係る記録装置及び記録方法は、各々面用の吐出ヘッドにより、記録媒体の両面に記録を実施する形態である。そして、第2水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクが適用される。なお、第1水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクを適用してもよい。
一方、第2実施形態に係る記録方法は、第2吐出工程が、第2吐出ヘッドとして第3吐出ヘッドにより、第2水性インク(上記本実施形態に係る水性インク)として第3水性インクを記録媒体の裏面に最初に吐出する第3吐出工程であり、第3吐出ヘッドによる前記第3水性インクの吐出よりも後に、第4吐出ヘッドにより第4水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第4吐出工程を更に有する形態であってもよい。つまり、記録方法は、複数の色の各水性インクを各々吐出する複数の吐出工程を有していてもよい。
これら形態の場合、特に、第3水性インクの乾燥により、過剰に乾燥した記録媒体の吸湿により、記録媒体の裏面に最初に第3水性インクを吐出する第3吐出ヘッドの周囲が乾燥し、第3吐出ヘッドのノズル内の第3水性インクの乾燥が顕著となり、着弾ムラが発生しやすい。しかし、記録媒体の裏面に最初に吐出する第3水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクを適用することで、着弾ムラの発生が抑制される。
一方で、第3水性インクよりも後に、記録媒体の裏面に吐出する第4水性インクとしては、上記本実施形態に係る水性インク以外の水性インクを適用してもよい。これは、上述のように、最初の第3水性インクの吐出により、記録媒体の含水率が上がり、第4吐出ヘッドのノズル内での第4水性インクの乾燥が緩和されるためである。ただし、着弾ムラの発生を抑制する点で、第4水性インクも、上記本実施形態に係る水性インクを適用することがよい。
なお、第3水性インクの濃縮時粘度Vc1と第4水性インクの濃縮時粘度Vcnとの関係が上記式を満たすとは、第4水性インクとして、複数の色の水性インクを使用する場合、第3水性インクの濃縮時粘度Vc1と、全第4水性インクのうち、濃縮時粘度Vcnが最も高い第4水性インクの濃縮時粘度Vcnmaxとの関係が上記式(つまり0.48≦Vcnmax/Vc1)を満たすことを意味する。
第3水性インクの濃縮時粘度Vc1と第4水性インクの濃縮時粘度Vcnとの関係が上記式を満たようにし、第4水性インクの濃縮時粘度Vcnが第3水性インクの濃縮時粘度Vc1×0.48以上から濃縮時粘度Vc1を超えても、乾燥した記録媒体に記録するとき、着弾ムラの発生が抑制される。これは、上述のように、第4吐出ヘッドのノズル内での第4水性インクの乾燥が緩和されるためである。そして、第4水性インクには、第3水性インクに比べ、濃縮時粘度Vcnの特性を緩和し、他の特性を付与することができる。
また、第4水性インクの濃縮時粘度Vcnと初期粘度Vinとの比(Vn/Vin)は、第3水性インクの濃縮時粘度Vc1と初期粘度Vi1との比(Vc1/Vi1)よりも大きいことがよい。例えば、比(Vcn/Vin)を14以上70以下とし、比(Vc1/Vi1)を1以上30未満としてもよい。これにより、乾燥した記録媒体に記録するとき、着弾ムラの発生が抑制しつつ、定着性が向上しやすくなる。これは、上述のように、第4吐出ヘッドのノズル内での第4水性インクの乾燥が緩和されるため、定着性向上のために、高分子粒子(例えばポリマーエマルション)を多く含有した水性インクを用いても吐出性を悪化させず、比(Ncn/Nin)を高めても、着弾ムラの発生が抑制されるためである。
本実施形態に係る記録装置100は、記録媒体P上に画像を記録する画像記録ユニット10と、画像記録ユニット10に供給する記録媒体Pが収容される前処理ユニット20と、前処理ユニット20から画像記録ユニット10へ供給される記録媒体Pの搬送量等を調整するバッファユニット30と、を備えている。バッファユニット30は、画像記録ユニット10と前処理ユニット20との間に配置されている。
なお、吐出ヘッド12A、12Bは、これに限られず、記録媒体Pの幅よりも短尺状の吐出ヘッドであって、記録媒体Pの幅方向に移動して水性インクを吐出する方式(所謂キャリッジ方式)の吐出ヘッドであってもよい。
吐出ヘッド12A、12Bからのインク液滴量は、水性インクの最大液滴量の範囲である。また、dpiは「dot per inch」を意味する。
一方、吐出ヘッド12Bは上記第2実施形態に係る記録装置及び記録方法の第2吐出ヘッドの一例に該当する。吐出ヘッド12BKは上記第2実施形態に係る記録装置及び記録方法の第3吐出ヘッドの一例に該当する。吐出ヘッド12YB,12MB,12CBは上記第2実施形態に係る記録装置及び記録方法の第4吐出ヘッドの一例に該当する。
同様に、画像記録ユニット10には、吐出ヘッド12Bに対して用紙搬送方向の下流側に、それぞれ、例えば、記録媒体Pの表面が巻き掛けられ、記録媒体Pと接触して従動回転しながら記録媒体の裏面の画像(インク)を乾燥する乾燥ドラム14B(乾燥装置の一例)が配置されている。
そして、乾燥ドラム14Aに対して用紙搬送方向の下流側であって、吐出ヘッド12Bに対して用紙搬送方向の上流側に、記録媒体Pの表面に接触する搬送ローラ18が配置されている。
即ち、例えば、乾燥ドラムの加熱源の温度や、温風送風装置の温風温度は、水性インクの乾燥を早める点や、記録媒体Pの変形の抑制の点から、40℃以上120℃以下の範囲であることが好ましく、60℃以上100℃以下の範囲であることがより好ましい。
なお、この乾燥温度条件は、乾燥ドラム14Aと乾燥ドラム14Bとで、また、温風送風装置16Aと温風送風装置16Bとで、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態に係る記録装置100では、まず、前処理ユニット20の供給ロール20Aから、バッファユニット50を通じて、画像記録ユニット10に記録媒体Pを搬送する。
次に、画像記録ユニット10において、各吐出ヘッド12Aから水性インクを記録媒体Pの表面に吐出する。その後、乾燥ドラム14Aにより、記録媒体Pの表面の画像(インク)を記録媒体Pの裏面側(吐出ヘッド12Aからのインク吐出面とは反対の面)から乾燥する。そして、温風送風装置16Aにより、記録媒体Pの表面に吐出されたインク(画像)を記録媒体Pの表面側(吐出ヘッド12Aからのインク吐出面側)から乾燥する。つまり、乾燥ドラム14A及び温風送風装置16Aにより、記録媒体Pの表面に吐出された水性インクを乾燥する。
そして、記録媒体Pの表面に記録された画像は、搬送ローラ18に接触することで、かかる画像を介して、記録媒体Pを除電する。
続いて、画像記録ユニット10において、各吐出ヘッド12Bから水性インクを記録媒体Pの裏面に吐出する。その後、乾燥ドラム14Bにより、記録媒体Pの裏面の画像(インク)を記録媒体Pの表面側(吐出ヘッド12Bからのインク吐出面とは反対の面)から乾燥する。そして、温風送風装置16Bにより、記録媒体Pの裏面に吐出されたインク(画像)を記録媒体Pの裏面側(吐出ヘッド12Bからのインク吐出面側)から乾燥する。つまり、乾燥ドラム14B及び温風送風装置16Bにより、記録媒体Pの裏面に吐出された水性インクを乾燥する。
次に、冷却ユニット60において、クーリングローラ60Aにより、表面に画像が記録された記録媒体Pを冷却する。
次に、バッファユニット50を通じて、後処理ユニット40は、表面に画像が記録された記録媒体Pを巻取ロール40Aにより巻き取る。
なお、上記のようにして記録された画像を備える記録媒体Pは切断する工程を経て、目的とする大きさへと裁断する。
また、記録装置100は、吐出ヘッド14Aと記録媒体Pの表面用の記録装置(乾燥ドラム14A、温風送風装置16A)、及び、吐出ヘッド14Bと記録媒体Pの裏面用の記録装置(乾燥ドラム14B、温風送風装置16B)が、全て同じ画像記録ユニット10内にある構成であったが、この構成に限定されない。例えば、記録装置100は、画像記録ユニットを2つ有し、一方に吐出ヘッド14Aと記録媒体Pの表面用の記録装置(乾燥ドラム14A、温風送風装置16A)が設けられ、他方に吐出ヘッド14Bと記録媒体Pの裏面用の記録装置(乾燥ドラム14B、温風送風装置16B)が設けられた構成であってもよい。
(黒インクK1)
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製):5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物(Mw=30000):2.5質量%
・アクリル系エマルション(高分子粒子、W−4627:トーヨーケム社製 粒子径120nm):2質量%(固形分)
・プロピレングリコール:10質量%
・ジエチレングリコール:5質量%
・界面活性剤(オルフィンE1010、日信化学工業社製):3質量%
・界面活性剤(サーフィノール104PG−50、日信化学工業社製):0.5質量%
製):1質量%
・イオン交換水:残部
上記組成を混合したのち、5μmのフィルターでろ過を行い、黒インクK1を得た。
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製):5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物(Mw=30000):2.5質量%
・アクリル系エマルション(W−4627:トーヨーケム社製 粒子径120nm): 2 質量%(固形分)
・プロピレングリコール:10質量%
・ジエチレングリコール:3質量%
・界面活性剤(オルフィンE1010、日信化学工業社製):3質量%
・界面活性剤(サーフィノール104PG−50、日信化学工業社製):0.5質量%
製):1質量%
・イオン交換水:残部
上記組成を混合したのち、5μmのフィルターでろ過を行い、黒インクK2を得た。
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製):5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物(Mw=30000):2質量%
・アクリル系エマルション(高分子粒子、W−4627:トーヨーケム社製 粒子径120nm):2質量%(固形分)
・プロピレングリコール:10質量%
・ジエチレングリコール:5質量%
・界面活性剤(オルフィンE1010、日信化学工業社製):3質量%
・界面活性剤(サーフィノール104PG−50、日信化学工業社製):0.5質量%
製):1質量%
・イオン交換水:残部
上記組成を混合したのち、5μmのフィルターでろ過を行い、黒インクK3を得た。
黒インクK1の調製において、スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物、又はアクリル系エマルションの配合量を変更し、表1に示す粘度特性を持つ黒インクK4〜K12を得た。
(シアンインクC1〜C12)
カーボンブラックに代えて、C.I.Pigment Blue 15:3を使用した以外は、黒インクK1〜K12と同様にして、シアンインクC1〜C12を得た。
(マゼンタインクM1〜M12)
カーボンブラックに代えて、C.I.Pigment Red 122を使用した以外は、黒インクK1〜K12と同様にして、マゼンタインクM1〜M12を得た。
(イエローインクY1〜Y12)
カーボンブラックに代えて、C.I.Pigment Yellow 128を使用した以外は、黒インクK1〜K12と同様にして、イエローインクY1〜Y12を得た。
ここで、表1中、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の水性インクの粘度を「60%濃縮時粘度」と表記し、50%減量した減量後の水性インクの粘度を「50%濃縮時粘度」と表記する。
(記録装置の準備)
図1に示す構成と同じ構成で、両面印刷が可能であって、各水性インクを吐出する各吐出ヘッド12A(12KA,12YA,12MA,12CA)、12B(12KB,12YB,12MB,12CB)として、600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl)のピエゾヘッドを備えた記録装置を準備した。なお、記録装置は、記録媒体の表面及び裏面共に、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の水性インクの順番に吐出し、画像記録を実施する。
また、この記録装置の記録媒体Pとして、Next−IJ 70(連帳紙、日本製紙製)を用いた。
−記録装置の詳細−
・記録速度(記録媒体搬送速度) : 100m/min
・乾燥ドラム(乾燥ドラム14A、14B)の設定温度 : 100℃
・温風送風装置(温風送風装置16A、16B)の設定温度 : 100℃
上記の記録装置を用いて、記録媒体の表面に、黒色用の吐出ヘッド12KA(600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl))から黒インクを吐出し、カバレッジ80%のハーフトーンチャートを形成し、乾燥ドラム14A及び送付乾燥装置16Aで記録媒体の表面に形成したハーフトーンチャートを乾燥した。
次に、記録媒体の表面の記録により乾燥した記録媒体の裏面に、黒色用の吐出ヘッド12KB(600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl))から黒インクを吐出し、カバレッジ80%のハーフトーンチャートを形成し、乾燥ドラム14B及び送付乾燥装置16Bで記録媒体の裏面に形成したハーフトーンチャートを乾燥した。その後、クーリングローラ60Aにより冷却を実施した。
そして、記録媒体の裏面に形成したハーフトーンチャートを目視で観察し、着弾ムラについて評価した。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
G1(○):スジムラがない
G2(△):スジが若干ある
G3(×):スジムラが顕著である
G4(××):ノズル抜けによるスジがある。
上記の記録装置を用いて、記録媒体の表面に、黒色用の吐出ヘッド12KA(600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl))から黒インクを吐出し、カバレッジ80%のハーフトーンチャートを形成し、乾燥ドラム14A及び送付乾燥装置16Aで記録媒体の表面に形成したハーフトーンチャートを乾燥した。
次に、記録媒体の表面の記録により乾燥した記録媒体の裏面に、黒色用の吐出ヘッド12KB(600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl))から5plの黒インクを吐出し、その前回の黒インクの吐出から0.36秒休止した後、次に黒インクの吐出を行ったときの着弾位置ズレを測定した。なお、インク吐出の休止期間は、記録速度と非吐出部(画像が形成されない領域、即ち、非画像部)の長さ(記録媒体の搬送方向の長さ)に応じて、調整する。
具体的には、ベタ画像の記録直後に記録した1ドット線を基準にしたとき、ベタ画像の記録後、記録媒体の搬送方向に約12インチの非画像部を空けた直後に記録した1ドット線(0.36秒休止後に記録された1ドット線)との距離が、0.36秒の休止期間に対応した非画像部の長さに対しどの程度ズレているかを測定し、これを着弾位置のズレ量とした。着弾位置のズレの評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
G1(◎):着弾位置のズレ量が22μm以下
G2(○):着弾位置のズレ量が22μmを超え33μm以下
G3(△):着弾位置のズレ量が33μmを超え43μm以下
G4(×):着弾位置のズレ量が43μmを超える
実施例A1と同様の記録装置を用意し、表2〜表4に従って、調製した各色の水性インクを記録装置の各色用のインクカートリッジに充填した。この記録装置を用いて、実施例1と同様にして、各色の水性インクを使用した着弾ムラ及びレイテンシーの評価を実施した。
特に、実施例B1〜B5及び比較例C1〜C4から、乾燥した記録媒体の裏面に最初に吐出する黒インクにおいて、着弾ムラが生じやすいことがわかる。そして、実施例B1〜B5では、この乾燥した記録媒体の裏面に最初に吐出する黒インクにおいて、着弾ムラの発生が抑制されていることがわかる。また、実施例B1〜B5では、レイテンシーの発生も抑制されていることもわかる。
なお、黒インク以降に吐出する他の色のインクにおいては、着弾ムラの発生が緩和されていることがわかる。
12A、12KA、12YA、12MA、12CA 吐出ヘッド
12B、12KB、12YB、12MB、12CB 吐出ヘッド
14A 乾燥ドラム
14B 乾燥ドラム
16A 温風送風装置
16B 温風送風装置
20 前処理ユニット
20A 供給ロール
30 バッファユニット
30A 第1パスローラ
30B ダンサーローラ
30C 第2パスローラ
40 後処理ユニット
40A 巻取ロール
50 バッファユニット
50A 第1パスローラ
50B ダンサーローラ
50C 第2パスローラ
60 冷却ユニット
60A クーリングローラ
100 記録装置
P 記録媒体
R 搬送経路
Claims (13)
- 着色剤と、体積平均粒径10nm以上300nm以下で、着色剤を含まない高分子粒子と、界面活性剤として2種以上のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物と、水及び水性有機溶媒として2種以上の多価アルコールを含む溶媒と、を含有し、
前記溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の水性インクの粘度Vc1と、減量前の水性インクの粘度Vi1との関係が、式:10≦Vc1/Vi1≦70を満たし、
前記減量前の水性インクの粘度Vi1が、6.8mPa/s以上7.9mPa/s以下であり、
前記減量後の水性インクの粘度Vc1が、116mPa・s以上500mPa・s以下であり、
前記高分子粒子の含有量が、水性インクに対して0.1質量%以上10質量%以下であり、
前記2種以上の多価アルコールの含有量が、合計量で、水に対して1質量%以上60質量%以下であり、
前記界面活性剤として2種以上のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の含有量が、合計量で水性インクに対して0.1質量%以上10質量%以下である、
水性インク。 - 請求項1に記載の水性インクを収容し、前記水性インクを記録媒体の表面に吐出する吐出ヘッドを有する記録装置。
- 前記吐出ヘッドが、請求項1に記載の水性インクとして第1水性インクを収容し、前記第1水性インクを前記記録媒体の表面に最初に吐出する第1吐出ヘッドであり、
第2水性インクを収容し、前記第1吐出ヘッドによる前記第1水性インクの吐出よりも後に、前記第2水性インクを前記記録媒体の表面に吐出する第2吐出ヘッドを更に有する請求項2に記載の記録装置。 - 溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第1水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第2水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第2水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である請求項3に記載の記録装置。
- 第1水性インクを収容し、前記第1水性インクを記録媒体の表面に吐出する第1吐出ヘッドと、
前記第1吐出ヘッドにより前記記録媒体の表面に吐出された前記第1水性インクを乾燥する乾燥装置と、
第2水性インクとして請求項1に記載の水性インクを収容し、前記乾燥装置による前記第1水性インクの乾燥後、前記第2水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第2吐出ヘッドと、
を有する記録装置。 - 前記第2吐出ヘッドが、前記第2水性インクとして第3水性インクを収容し、前記第3水性インクを前記記録媒体の裏面に最初に吐出する第3吐出ヘッドであり、
第4水性インクを収容し、前記第3吐出ヘッドによる前記第3水性インクの吐出よりも後に、前記第4水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第4吐出ヘッドを更に有する請求項5に記載の記録装置。 - 溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第3水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第4水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第4水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である請求項6に記載の記録装置。
- 吐出ヘッドにより請求項1に記載の水性インクを記録媒体の表面に吐出する吐出工程を有する記録方法。
- 前記吐出工程が、前記吐出ヘッドとして第1吐出ヘッドにより、請求項1に記載の水性インクとして第1水性インクを前記記録媒体の表面に最初に吐出する第1吐出工程であり、
前記第1吐出ヘッドによる前記第1水性インクの吐出よりも後に、第2吐出ヘッドにより第2水性インクを前記記録媒体の表面に吐出する第2吐出工程を更に有する請求項8に記載の記録方法。 - 溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第1水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第2水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第2水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である請求項9に記載の記録方法。
- 第1吐出ヘッドにより第1水性インクを記録媒体の表面に吐出する第1吐出工程と、
前記第1吐出工程により前記記録媒体の表面に吐出された前記第1水性インクを乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程による前記第1水性インクの乾燥後、第2吐出ヘッドにより第2水性インクとして請求項1に記載の水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第2吐出工程と、
を有する記録方法。 - 前記第2吐出工程が、前記第2吐出ヘッドとして第3吐出ヘッドにより、前記第2水性インクとして第3水性インクを前記記録媒体の裏面に最初に吐出する第3吐出工程であり、
前記第3吐出ヘッドによる前記第3水性インクの吐出よりも後に、第4吐出ヘッドにより第4水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第4吐出工程を更に有する請求項11に記載の記録方法。 - 溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第3水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第4水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第4水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である請求項12に記載の記録方法。
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