JP6808922B2 - 水性インク、記録装置、及び記録方法 - Google Patents

水性インク、記録装置、及び記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、水性インク、記録装置、及び記録方法に関する。
例えば、 特許文献1には、「少なくとも水、色材、有機溶剤および酸価200KOHmg/g以上のビニル重合ポリマーを含有するインキであって、25℃における該インキの粘度(V1)が、4mPa・s<V1<20mPa・sであり、25℃で動的表面張力を測定した際の10mS時の値が35mN/m以下である水性インキ。」が提案されている。
また、特許文献2には、「顔料と、湿潤剤と、水分散性樹脂と、水とを少なくとも含有してなるインクジェット記録用インクであって、インクの水分蒸発率が25%のときに、特定のCasson降伏値及び特定の粘度を満たすインクジェット記録用インク。」が提案されている。
また、特許文献3には、「少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインク。」が提案されている。
特開2014−224248号公報 特開2014−037495号公報 特開2006−096932号公報
上記の「少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインク。」では使用頻度が低いノズルからの吐出状態が不安定になり(=着弾ムラ)、印字物の画像欠陥となる場合がある。
本発明の課題は、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクに比べ、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、着弾ムラの発生を抑制する水性インクを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
に係る発明は、
着色剤と、高分子粒子と、水及び水性有機溶媒を含む溶媒と、を含有し、
前記溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の水性インクの粘度Vc1と、減量前の水性インクの粘度Vi1との関係が、式:10≦Vc1/Vi1≦70を満たす水性インク。
に係る発明は、
前記減量前の水性インクの粘度Vi1が、5mPa・s以上20mPa・s以下であるに記載の水性インク。
に係る発明は、
前記減量後の水性インクの粘度Vc1が、500mPa・s以下である又はに記載の水性インク。
に係る発明は、
のいずれか1項に記載の水性インクを収容し、前記水性インクを記録媒体の表面に吐出する吐出ヘッドを有する記録装置。
に係る発明は、
前記吐出ヘッドが、のいずれか1項に記載の水性インクとして第1水性インクを収容し、前記第1水性インクを前記記録媒体の表面に最初に吐出する第1吐出ヘッドであり、
第2水性インクを収容し、前記第1吐出ヘッドによる前記第1水性インクの吐出よりも後に、前記第2水性インクを前記記録媒体の表面に吐出する第2吐出ヘッドを更に有するに記載の記録装置。
に係る発明は、
溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第1水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第2水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第2水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下であるに記載の記録装置。
に係る発明は、
第1水性インクを収容し、前記第1水性インクを記録媒体の表面に吐出する第1吐出ヘッドと、
前記第1吐出ヘッドにより前記記録媒体の表面に吐出された前記第1水性インクを乾燥する乾燥装置と、
第2水性インクとしてのいずれか1項に記載の水性インクを収容し、前記乾燥装置による前記第1水性インクの乾燥後、前記第2水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第2吐出ヘッドと、
を有する記録装置。
に係る発明は、
前記第2吐出ヘッドが、前記第2水性インクとして第3水性インクを収容し、前記第3水性インクを前記記録媒体の裏面に最初に吐出する第3吐出ヘッドであり、
第4水性インクを収容し、前記第3吐出ヘッドによる前記第3水性インクの吐出よりも後に、前記第4水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第4吐出ヘッドを更に有するに記載の記録装置。
に係る発明は、
溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第3水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第4水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第4水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下であるに記載の記録装置。
10に係る発明は、
吐出ヘッドによりのいずれか1項に記載の水性インクを記録媒体の表面に吐出する吐出工程を有する記録方法。
11に係る発明は、
前記吐出工程が、前記吐出ヘッドとして第1吐出ヘッドにより、のいずれか1項に記載の水性インクとして第1水性インクを前記記録媒体の表面に最初に吐出する第1吐出工程であり、
前記第1吐出ヘッドによる前記第1水性インクの吐出よりも後に、第2吐出ヘッドにより第2水性インクを前記記録媒体の表面に吐出する第2吐出工程を更に有する10に記載の記録方法。
12に係る発明は、
溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第1水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第2水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第2水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である11に記載の記録方法。
13に係る発明は、
第1吐出ヘッドにより第1水性インクを記録媒体の表面に吐出する第1吐出工程と、
前記第1吐出工程により前記記録媒体の表面に吐出された前記第1水性インクを乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程による前記第1水性インクの乾燥後、第2吐出ヘッドにより第2水性インクとしてのいずれか1項に記載の水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第2吐出工程と、
を有する記録方法。
14に係る発明は、
前記第2吐出工程が、前記第2吐出ヘッドとして第3吐出ヘッドにより、前記第2水性インクとして第3水性インクを前記記録媒体の裏面に最初に吐出する第3吐出工程であり、
前記第3吐出ヘッドによる前記第3水性インクの吐出よりも後に、第4吐出ヘッドにより第4水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第4吐出工程を更に有する13に記載の記録方法。
15に係る発明は、
溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第3水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第4水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第4水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である14に記載の記録方法。
に係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクに比べ、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、着弾ムラの発生を抑制する水性インクが提供される。
に係る発明によれば、減量前の水性インクの粘度Vi1が20mPa・s超えの場合に比べ、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、着弾ムラの発生を抑制する水性インクが提供される。
に係る発明によれば、減量後の水性インクの粘度Vc1が500mPa・s超えの場合に比べ、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、着弾ムラの発生を抑制する水性インクが提供される。
に係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクを適用した場合に比べ、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、着弾ムラの発生を抑制する記録装置が提供される。
、又はに係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクを第1水性インクとして適用した場合に比べ、所定の条件で乾燥した記録媒体に記録するとき、記録媒体の表面に最初に吐出する第1水性インクの着弾ムラを抑制する記録装置が提供される。
係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクを第2水性インクとして適用した場合に比べ、記録媒体の両面に記録するとき、所定の条件で乾燥装置による第1水性インクの乾燥で乾燥した記録媒体の裏面に吐出する第2水性インクの着弾ムラを抑制する記録装置が提供される。
、又はに係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクを第3水性インクとして適用した場合に比べ、記録媒体の両面に記録するとき、所定の条件で乾燥装置による第1水性インクの乾燥で乾燥した記録媒体の裏面に最初に吐出する第3水性インクの着弾ムラを抑制する記録装置が提供される。
10に係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクを適用した場合に比べ、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、水性インクの着弾ムラの発生を抑制する記録方法が提供される。
11、又は12に係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクを第1水性インクとして適用した場合に比べ、所定の条件で乾燥した記録媒体に記録するとき、記録媒体の表面に最初に吐出する第1水性インクの着弾ムラを抑制する記録方法が提供される。
13に係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクを第2水性インクとして適用した場合に比べ、記録媒体の両面に記録するとき、所定の条件で乾燥工程による第1水性インクの乾燥で乾燥した記録媒体の裏面に吐出する第2水性インクの着弾ムラを抑制する記録方法が提供される。
14、又は15に係る発明によれば、少なくとも顔料、水及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、25℃におけるインク粘度をη1とし、インク全質量の10質量%相当の水を蒸発させた時の25℃におけるインク粘度をη2とした時、インク粘度比η2/η1が式:0.8<η2/η1<5.0で規定する条件を満たすインクジェットインクを第3水性インクとして適用した場合に比べ、記録媒体の両面に記録するとき、所定の条件で乾燥工程による第1水性インクの乾燥で乾燥した記録媒体の裏面に最初に吐出する第3水性インクの着弾ムラを抑制する記録方法が提供される。
本実施形態に係る記録装置を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
本実施形態に係る水性インクは、着色剤と、高分子粒子と、水及び水性有機溶媒を含む溶媒と、を含有する。そして、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の水性インクの粘度Vc1(以下「濃縮時粘度Vc1」とも称する)と、減量前の水性インクの粘度Vi1(以下「初期粘度Vi1」とも称する)との関係が、式:10≦Vc1/Vi1≦70を満たす。
ここで、所定の条件で乾燥した記録媒体(例えば、含水率5%以下の用紙)に最初に記録するとき、記録媒体の吸湿により、吐出ヘッドの吐出面の周囲が乾燥しやすくなる。吐出ヘッドの吐出面の周囲が乾燥すると、吐出ヘッドのノズル内のメニカス表面(水性インクの表面がつくる曲面)から乾燥が進行し、吐出ヘッドのノズル内で水性インクが濃縮し、増粘するため、吐出量の減少、又は吐出方向性の悪化が生じることがある。このため、着弾ムラが発生することがある。特に、乾燥した記録媒体の吸湿により、吐出ヘッドのノズル内で水性インクの溶媒が急速に蒸発し、水性インクの質量が60%近く減量することもあり、着弾ムラが発生しやすくなる。
なお、水性インクの吐出量が減少し、着弾ムラが生じると、隣接ドットと隙間が埋まり難くなり、例えば、画像中に白いスジとして現れる。また、水性インクの吐出方向性が悪化し、着弾ムラが生じると、隣接ドットと隙間が埋まり難くなると同時に隣接ドットとの重なりが増え、例えば、画像中に黒いスジとして現れる。
そこで、本実施形態に係る水性インクでは、水性インクの濃縮時粘度Vc1と初期粘度Vi1との関係を式:10≦Vc1/Vi1≦70を満たすようにして、水性インクの濃縮時粘度Vc1と初期粘度Vi1との変化量を低減する。これにより、乾燥した記録媒体の吸湿により、水性インクの質量が60%近く減量したときでも、吐出ヘッドのノズル内で水性インクの過剰な増粘を抑え、水性インクの吐出性が確保される。
このため、本実施形態に係る水性インクでは、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、着弾ムラの発生が抑制される。なお、所定の条件での記録媒体の乾燥とは、[実施例]における「記録装置の詳細」で記載した設定温度での「乾燥ドラム及び温風送風装置」による乾燥を示す。ただし、この所定の条件以外で記録媒体を乾燥した場合であっても、着弾ムラの発生が抑制される。
また、本実施形態に係る水性インクでは、吐出ヘッドのノズル内壁面及びのノズルの縁周囲での粗粒の粒子成長を抑制するため、レイテンシーの発生も抑制される。ここで、レイテンシーとは、水性インクの吐出後、時間を空けて、次の吐出したとき、次に吐出したインクの量が減少したり、次に吐出した水性インクの記録媒体上の着弾位置が予定した位置からずれた位置に着弾する吐出不良を示す。
なお、記録媒体の記録に複数の色の水性インクを使用する場合、少なくとも最初に吐出する水性インクに本実施形態に係る水性インクを適用することがよい。これは、最初の水性インクの吐出により、記録媒体の含水率が上がり、最初に吐出する水性インク以降の水性インクを吐出する吐出ヘッドのノズル内での水性インクの乾燥が緩和されるためである。
また、記録媒体の両面に記録を行う場合、記録媒体の表面(おもて面)に水性インクを吐出した後、その水性インクの加熱乾燥を経て、記録媒体の裏面に更に水性インクを吐出する。この場合、記録媒体の表面(おもて面)に吐出した水性インクの乾燥により、記録媒体は含水率が特に低減した乾燥状態となる。このため、記録媒体の裏面に水性インクを吐出する吐出ヘッドのノズル内では、水性インクの蒸発が顕著になり、着弾ムラが発生しやすくなる。しかし、この記録媒体の裏面に吐出する水性インクとして、本実施形態に係る水性インクを適用すると、記録媒体の両面に記録するとき、記録媒体の表面(おもて面)に吐出した水性インクの乾燥で、過剰に乾燥した記録媒体の裏面に吐出する水性インクの着弾ムラを抑制する。
なお、記録媒体の裏面へ記録に複数の色の水性インクを使用する場合も、少なくとも最初に吐出する水性インクに本実施形態に係る水性インクを適用することがよい。これは、上述したように、最初の水性インクの吐出により、記録媒体の含水率が上がり、最初に吐出する水性インク以降の水性インクを吐出する吐出ヘッドのノズル内での水性インクの乾燥も緩和されるためである。
本実施形態に係るインクにおいて、水性インクの濃縮時粘度Vc1と初期粘度Vi1との関係は、着弾ムラを抑制する点から、式:10≦Vc1/Vi1≦70の関係を満たすことが好ましく、式:20≦Vc1/Vi1≦60の関係を満たすことがより好ましい。
なお、水性インクの濃縮時粘度Vc1を調整する方法としては、例えば、1)着色剤の分散剤(顔料分散剤)の添加量を変える方法(着色剤の分散剤の添加量を少なくすると濃縮時粘度Vc1が低下する傾向となる)、2)着色剤の分散剤の分子量を変える方法(着色剤の分散剤の分子量を高くすると濃縮時粘度Vc1が低下する傾向となる)、3)着色剤の分散剤のガラス転移温度Tgを変える方法(着色剤の分散剤のガラス転移温度Tgを高くすると濃縮時粘度Vc1が低下する傾向となる)、4)高分子粒子の添加量を変える方法(高分子粒子の添加量を少なくすると濃縮時粘度Vc1が低下する傾向となる)、5)高分子粒子のガラス転移温度Tgを変える方法(高分子粒子のガラス転移温度Tgを高くすると濃縮時粘度Vc1が低下する傾向となる)、6)疎水性溶媒(例えばジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類等)を添加する方法(疎水性溶媒を添加すると濃縮時粘度Vc1が上昇する傾向となる)、7)保湿性溶媒(例えばグリセリン、ジエチレングリコール等)を添加する方法(保湿性溶媒を添加すると濃縮時粘度Vc1が低下する傾向となる)が挙げられる。そして、これら方法を利用して、Vc1/Vi1を調整する。
また、水性インクの初期粘度Vi1は、着弾ムラを抑制する点から、5mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、6mPa・s以上10mPa・s以下がより好ましい。
一方、水性インクの濃縮時粘度Vc1は、着弾ムラを抑制する点から、500mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以上300mPa・s以下がより好ましい。
ここで、水性インクを溶媒の蒸発により質量を60%減量する方法は、次の通りである。対象となる水性インク5gを開口径5cmのガラス容器に収容し、この容器をホットプレートに置く。そして、ホットプレートの温度を40℃に設定し、水性インクの溶媒が全水性インクの質量に対して60%減量するまで、容器内の水性インクの溶媒を蒸発させる。つまり、水性インクの質量が、減量前の水性インクの質量に対して40%の質量となるまで、溶媒を蒸発させる。
そして、水性インクの各種の粘度は、TV−20(東機産業製)を測定装置として用い、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定する。
ここで水性インクの組成によっては保湿性溶媒の影響などにより、蒸発時に減量前の水性インクの質量に対して40%の質量になるまで溶媒を蒸発させることができない場合がある。このときはその時点での粘度の測定値を代用する。
以下、本実施形態に係る水性インクの詳細について説明する。
本実施形態に係る水性インクは、着色剤と、高分子粒子と、水及び水性有機溶媒を含む溶媒と、を含有する。
(着色剤)
まず、着色剤について説明する。
着色剤としては、目的とする色相の水性インクに応じたものを使用すればよく、具体的には、顔料が挙げられる。顔料としては、有機顔料、無機顔料が挙げられる。
黒色顔料(ブラック顔料)の具体例としては、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven 3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)Regal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上オリオンエンジニアドカーボンズ社製)、No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シアン色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet−19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イエロー顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、着色剤として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが好ましい。使用される顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体が好適に用いられる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体としては、例えば縮合系重合体と付加重合体とが使用される。縮合系重合体としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としては、α,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の付加重合体が挙げられる。親水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体を組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の単独重合体も用いられる。
親水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
疎水性基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
高分子分散剤として好ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有する単量体を共重合させてもよい。
高分子分散剤の重量平均分子量としては、例えば、2000以上50000以下がよい。
これら高分子分散剤は、単独で用いても、二種類以上を併用しても構わない。高分子分散剤の含有量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、顔料に対し、0.1質量%以上100質量%以下であることがよい。
顔料としては、水に自己分散する顔料(以下自己分散型顔料と称する)も挙げられる。
自己分散型顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。自己分散型顔料は、例えば、顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理を施すことにより得られる。
自己分散型顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、Cab−o−jet−400、IJX−157、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、Cab−o−jet−250C、Cab−o−jet−260M,Cab−o−jet−270Y,Cab−o−jet−450C,Cab−o−jet−465M,Cab−o−jet−470Y,Cab−o−jet−480M、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も挙げられる。
自己分散型顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料であることが好ましい。より好ましくは、表面に官能基として少なくともカルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料である。
ここで、顔料としては、樹脂により被覆された顔料等も挙げられる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、DIC社製、東洋インキ社製などの市販のマイクロカプセル顔料がある。なお、市販のマイクロカプセル顔料に限られず、目的に応じて作製したマイクロカプセル顔料を使用してもよい。
また、顔料としては、高分子化合物を顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も挙げられる。
また、顔料としては、黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等も挙げられる。
また、顔料としては、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も挙げられる。
着色剤としては、顔料の他、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉、樹脂粉、又はエマルション、蛍光染料や蛍光顔料等も挙げられる。
着色剤の体積平均粒径は、例えば、10nm以上1000nm以下であることが挙げられる。
着色剤の体積平均粒径とは、着色剤そのものの粒径、又は着色剤に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。
体積平均粒径の測定には、マイクロトラックUPA粒度分析計 UPA−UT151 (Microtrac社製)により行う。その測定は、1000倍希釈した水性インクを測定セルに入れて行う。なお、測定時の入力値として、粘度には水性インク希釈液の粘度を、粒子屈折率は着色剤の屈折率を採用する。
着色剤の含有量(濃度)は、例えば、水性インクに対して1質量%以上25質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましい。
(高分子粒子)
高分子粒子について説明する。
高分子粒子は、記録媒体に対する水性インクによる画像の定着性を高める成分である。
なお、高分子粒子は、高分子化合物を粒状化したものであって、前述した高分子分散剤とは別の成分である。
高分子粒子としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、シリコン−アクリル酸共重合体、アクリル変性フッ素樹脂等の粒子(ラテックス粒子)が挙げられる。
なお、高分子粒子としては、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェル型の高分子粒子も挙げられる。
高分子粒子は、乳化剤を用いて水性インク中に分散させたものであってもよく、乳化剤を用いないで水性インク中に分散させたものであってもよい。
乳化剤としては、界面活性剤、スルホン酸基、カルボキシル基等の親水性基を有するポリマー(例えば、親水性基がグラフト結合しているポリマー、親水性を持つ単量体と疎水性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)が挙げられる。
高分子粒子の体積平均粒径は、画像の光沢性及び耐擦過性の点から、10nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以上200nm以下である。
高分子粒子の体積平均粒径の測定は、マイクロトラックUPA粒度分析計 UPA−UT151(Microtrac社製)により行う。その測定は、1000倍希釈した水性インクを測定セルに入れて行う。なお、測定時の入力値として、粘度には水性インク希釈液の粘度を、粒子屈折率は高分子粒子の屈折率を採用する。
高分子粒子のガラス転移温度は、画像の耐擦過性の点から、−20℃以上80℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以上60℃以下である。
高分子粒子のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
高分子粒子の含有量は、画像の定着性を高める点、吐出安定性、成膜性の点から、水性インクに対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。
(水)
水について説明する。
水としては、特に不純物の混入、又は微生物の発生を防止するという観点から、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水が好適に挙げられる。
水の含有量は、例えば、水性インクに対して10質量%以上95質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
(水性有機溶媒)
水性有機溶媒について説明する。
水性有機溶媒としては、多価アルコール、多価アルコール誘導体、含窒素溶媒、アルコール、含硫黄溶媒等が挙げられる。水性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。
多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
アルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
水性有機溶媒は、1種類で使用しても2種類以上を併用してもよい。
水性有機溶媒の含有量は、水に対して1質量%以上60質量%以下が好ましく、1質量%以上40質量%以下がより好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤について説明する。
水性インクは、界面活性剤として、例えば、HLB(親水基/疎水基バランス「Hydrophile− Lipophile Barance」)が14以下の界面活性剤を含むことが好ましい。HLBが14以下の界面活性剤の量を調整する、また、異なるHLBの界面活性剤を複数種使用することなどにて、水性インクの表面張力の調整がし易くなる。
なお、HLB(親水基/疎水基バランス「Hydrophile− Lipophile Barance」)は、以下の式(グリフィン法)により定義されるものである。
・HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量)
このような界面活性剤としては、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、及びポリエーテル変性シリコーンよりなる群から選択する少なくとも一種が挙げられる。
アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物は、例えば、アセチレングリコールの少なくとも一つの水酸基にエチレンオキサイドを付加させた−O−(CHCHO)−H構造(なお、例えばnは1以上30以下の整数を示す)を持つ化合物である、
アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の市販品(なお、括弧内の数値はHLBのカタログ値を示す)としては、例えば、オルフィンE1004(7〜9)、オルフィンE1010(13〜14)、オルフィンEXP.4001(8〜11)、オルフィンEXP.4123(11〜14)、オルフィンEXP.4300(10〜13),サーフィノール104H(4)、サーフィノール420(4)、サーフィノール440(4)、ダイノール604(8)[以上、日信化学工業社]等が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンは、例えば、シリコーン鎖(ポリシロキサン主鎖)に、ポリエーテル基がグラフト状に結合した化合物、又はブロック状に結合した化合物である。ポリエーテル基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基が挙げられる。ポリエーテル基としては、例えば、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がブロック状又はランダムに付加したポリオキシアルキレン基であってもよい。
ポリエーテル変性シリコーンの市販品(なお、括弧内の数値はHLBのカタログ値を示す)としては、シルフェイスSAG002(12)、シルフェイスSAG503A(11)、シルフェイスSAG005(7)[以上、日信化学工業社]等が挙げられる。
水性インクには、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、及びポリエーテル変性シリコーン以外の、その他の界面活性剤を用いてもよい。
その他の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、好ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤である。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
これらの中でも、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等がよい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール等が挙げられる。
これらの中でも、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコールがよい。
ノニオン性界面活性剤としては、その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント;等も挙げられる。
他の界面活性剤の親水性/疎水性バランス(HLB)は、溶解性等を考慮すると、例えば、3以上20以下の範囲がよい。
界面活性剤は、1種類で使用しても2種類以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、総計で、水性インクに対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上3質量%以下が更に好ましい。
(その他の添加剤)
その他の添加剤について説明する。
水性インクは、その他の添加剤を含んでもよい。
その他の添加剤としては、インク吐出性改善剤(ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、導電率/pH調整剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物等)、反応性の希釈溶媒、浸透剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、キレート化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
(水性インクの物性)
水性インクの好適な物性について説明する。
水性インクのpHは、好ましくは4以上10以下の範囲、より好ましくは5以上9以下の範囲が挙げられる。
ここで、水性インクのpHは、温度23±0.5℃、湿度55±5%R.H.環境下において、pH/導電率計(メトラー・トレド社製MPC227)により測定した値を採用する。
水性インクの導電率は、例えば0.01S/m以上0.5S/m以下の範囲(好ましくは0.01S/m以上0.25S/m以下の範囲、より好ましくは0.01S/m以上0.20S/m以下の範囲)が挙げられる。
導電率の測定は、MPC227(pH/Conductivity Meter、メトラー・トレド社製)で行う。
(用途)
ここで、本実施形態に係る水性インクは、例えば、黒インク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、及びこれら色以外の中間色インクのいずれであってもよい。
また、本実施形態に係る水性インクは、かかる水性インクを少なくとも1種含む(好ましくは全てが本実施形態に係る水性インクからなる)インクセットとして使用してもよい。
〔記録装置/記録方法〕
以下、本実施形態に係る記録装置及び記録方法について説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る記録装置は、水性インクを収容し、水性インクを記録媒体の表面に吐出する吐出ヘッドを有する記録装置である。第1実施形態に係る記録装置では、吐出ヘッドにより水性インクを記録媒体の表面に吐出する吐出工程を有する記録方法(第1実施形態に係る記録方法)が実現される。そして、水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクが適用される。
第1実施形態に係る記録装置(記録方法)では、上述のように、水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクが適用することで、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、着弾ムラの発生が抑制される。
第1実施形態に係る記録装置は、吐出ヘッドが、上記本実施形態に係る水性インクとして第1水性インクを収容し、第1水性インクを前記記録媒体の表面に最初に吐出する第1吐出ヘッドであり、第2水性インクを収容し、第1吐出ヘッドによる第1水性インクの吐出よりも後に、第2水性インクを記録媒体の表面に吐出する第2吐出ヘッドを更に有する形態であってもよい。つまり、記録装置は、複数の色の各水性インクを各々吐出する複数の吐出ヘッドを有していてもよい。
一方、第1実施形態に係る記録方法は、吐出工程が、吐出ヘッドとして第1吐出ヘッドにより、上記本実施形態に係る水性インクとして第1水性インクを記録媒体の表面に最初に吐出する第1吐出工程であり、第1吐出ヘッドによる第1水性インクの吐出よりも後に、第2吐出ヘッドにより第2水性インクを記録媒体の表面に吐出する第2吐出工程を更に有する形態であってもよい。つまり、記録方法は、複数の色の各水性インクを各々吐出する吐出工程を有していてもよい。
そして、これら形態の場合、記録媒体の表面に最初に吐出する第1水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクを適用する。
これら形態の場合、特に、乾燥した記録媒体の吸湿により、記録媒体の表面に最初に第1水性インクを吐出する第1吐出ヘッドの周囲が乾燥し、第1吐出ヘッドのノズル内の第1水性インクの乾燥が顕著となり、着弾ムラが発生しやすい。しかし、記録媒体の表面に最初に吐出する第1水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクを適用することで、着弾ムラの発生が抑制される。
一方で、第1水性インクよりも後に、記録媒体の表面に吐出する第2水性インクとしては、上記本実施形態に係る水性インク以外の水性インクを適用してもよい。これは、上述のように、最初の第1水性インクの吐出により、記録媒体の含水率が上がり、第2吐出ヘッドのノズル内での第2水性インクの乾燥が緩和されるためである。ただし、着弾ムラの発生を抑制する点で、第2水性インクも、上記本実施形態に係る水性インクを適用することがよい。
なお、第2水性インクを記録媒体の表面に吐出する第2吐出ヘッドとして、複数の色の各水性インクを各々吐出する複数の吐出ヘッドを有していてもよい。そして、第2水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクを適用してもよい。
第1実施形態に係る記録装置及び記録方法において、第1水性インクの濃縮時粘度Vc1(溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の第1水性インクの粘度Vc1)と、第2水性インクの濃縮時粘度Vcn(溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の第2水性インクの粘度Vcn)との関係は、式:0.48≦Vcn/Vc1(好ましくは0.48≦Vcn/Vc1≦4.5)を満たし、かつ減量前の第2水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。
なお、第1水性インクの濃縮時粘度Vc1と第2水性インクの濃縮時粘度Vcnとの関係が上記式を満たすとは、第2水性インクとして、複数の色の水性インクを使用する場合、第1水性インクの濃縮時粘度Vc1と、全第2水性インクのうち、濃縮時粘度Vcnが最も高い第2水性インクの濃縮時粘度Vcnmaxとの関係が上記式(つまり0.48≦Vcnmax/Vc1)を満たすことを意味する。
第1水性インクの濃縮時粘度Vc1と第2水性インクの濃縮時粘度Vcnとの関係が上記式を満たようにし、第2水性インクの濃縮時粘度Vcnが第1水性インクの濃縮時粘度Vc1×0.48以上から濃縮時粘度Vc1を超えても、乾燥した記録媒体に記録するとき、着弾ムラの発生が抑制される。これは、上述のように、第2吐出ヘッドのノズル内での第2水性インクの乾燥が緩和されるためである。そして、第2水性インクには、第1水性インクに比べ、濃縮時粘度Vcnの特性を緩和し、他の特性を付与することができる。
また、第2水性インクの濃縮時粘度Vcnと初期粘度Vinとの比(Vn/Vin)は、第1水性インクの濃縮時粘度Vc1と初期粘度Vi1との比(Vc1/Vi1)よりも大きいことがよい。例えば、比(Vcn/Vin)を14以上70以下とし、比(Vc1/Vi1)を1以上30未満としてもよい。これにより、所定の条件で乾燥した記録媒体に最初に記録するとき、着弾ムラの発生が抑制しつつ、定着性が向上しやすくなる。これは、上述のように、第2吐出ヘッドのノズル内での第2水性インクの乾燥が緩和されるため、定着性向上のために、高分子粒子(例えばポリマーエマルション)を多く含有した水性インクを用いても吐出性を悪化させず、比(Ncn/Nin)を高めても、着弾ムラの発生が抑制されるためである。
なお、第1実施形態に係る記録装置及び記録方法では、記録媒体の片面のみ記録する形態であってもよいし、片面に記録後の記録媒体を反転させる機構により、記録媒体の両面に記録する形態であってもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る記録装置は、第1水性インクを収容し、第1水性インクを記録媒体の表面に吐出する第1吐出ヘッドと、第1吐出ヘッドにより記録媒体の表面に吐出された第1水性インクを乾燥する乾燥装置と、第2水性インクとして上記本実施形態に係る水性インクを収容し、乾燥装置による第1水性インクの乾燥後、第2水性インクを記録媒体の裏面に吐出する第2吐出ヘッドと、を有する。
第2実施形態に係る記録装置では、第1吐出ヘッドにより第1水性インクを記録媒体の表面に吐出する第1吐出工程と、第1吐出工程により記録媒体の表面に吐出された第1水性インクを乾燥する乾燥工程と、乾燥装置による第1水性インクの乾燥後、第2吐出ヘッドにより第2水性インクを記録媒体の裏面に吐出する第2吐出工程と、を有する記録方法(第2実施形態に係る記録方法)が実現される。
つまり、第2実施形態に係る記録装置及び記録方法は、各々面用の吐出ヘッドにより、記録媒体の両面に記録を実施する形態である。そして、第2水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクが適用される。なお、第1水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクを適用してもよい。
第2実施形態に係る記録装置及び記録方法では、第1水性インクの乾燥後、記録媒体の裏面に第2水性インクを吐出するため、第1水性インクの乾燥により、記録媒体は含水率が特に低減した乾燥状態となり、第2吐出ヘッドのノズル内では、第2水性インクの蒸発が顕著になり、着弾ムラが発生しやすくなる。しかし、この記録媒体の裏面に吐出する第2水性インクとして、本実施形態に係る水性インクを適用すると、記録媒体の両面に記録するとき、第1水性インクの乾燥で、過剰に乾燥した記録媒体の裏面に吐出する第2水性インクの着弾ムラを抑制する。
第2実施形態に係る記録装置は、第2吐出ヘッドが、第2水性インク(上記本実施形態に係る水性インク)として第3水性インクを収容し、第3水性インクを記録媒体の裏面に最初に吐出する第3吐出ヘッドであり、第4水性インクを収容し、第3吐出ヘッドによる第3水性インクの吐出よりも後に、第4水性インクを記録媒体の裏面に吐出する第4吐出ヘッドを更に有する形態であってもよい。つまり、記録装置は、複数の色の各水性インクを各々吐出する複数の吐出ヘッドを有していてもよい。
一方、第2実施形態に係る記録方法は、第2吐出工程が、第2吐出ヘッドとして第3吐出ヘッドにより、第2水性インク(上記本実施形態に係る水性インク)として第3水性インクを記録媒体の裏面に最初に吐出する第3吐出工程であり、第3吐出ヘッドによる前記第3水性インクの吐出よりも後に、第4吐出ヘッドにより第4水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第4吐出工程を更に有する形態であってもよい。つまり、記録方法は、複数の色の各水性インクを各々吐出する複数の吐出工程を有していてもよい。
そして、これら形態の場合、記録媒体の裏面に最初に吐出する第3水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクが適用される。
これら形態の場合、特に、第3水性インクの乾燥により、過剰に乾燥した記録媒体の吸湿により、記録媒体の裏面に最初に第3水性インクを吐出する第3吐出ヘッドの周囲が乾燥し、第3吐出ヘッドのノズル内の第3水性インクの乾燥が顕著となり、着弾ムラが発生しやすい。しかし、記録媒体の裏面に最初に吐出する第3水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクを適用することで、着弾ムラの発生が抑制される。
一方で、第3水性インクよりも後に、記録媒体の裏面に吐出する第4水性インクとしては、上記本実施形態に係る水性インク以外の水性インクを適用してもよい。これは、上述のように、最初の第3水性インクの吐出により、記録媒体の含水率が上がり、第4吐出ヘッドのノズル内での第4水性インクの乾燥が緩和されるためである。ただし、着弾ムラの発生を抑制する点で、第4水性インクも、上記本実施形態に係る水性インクを適用することがよい。
なお、第4水性インクを記録媒体の裏面に吐出する第4吐出ヘッドも、複数の色の各水性インクを各々吐出する複数の吐出ヘッドを有していてもよい。そして、第4水性インクとして、上記本実施形態に係る水性インクを適用してもよい。
第2実施形態に係る記録装置及び記録方法において、第3水性インクの濃縮時粘度Vc1(溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の第3水性インクの粘度Vc1)と、第4水性インクの濃縮時粘度Vcn(溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の第4水性インクの粘度Vcn)との関係は、式:0.48≦Vcn/Vc1の関係(好ましくは0.48≦Vcn/Vc1≦4.5)を満たし、かつ減量前の第4水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。
なお、第3水性インクの濃縮時粘度Vc1と第4水性インクの濃縮時粘度Vcnとの関係が上記式を満たすとは、第4水性インクとして、複数の色の水性インクを使用する場合、第3水性インクの濃縮時粘度Vc1と、全第4水性インクのうち、濃縮時粘度Vcnが最も高い第4水性インクの濃縮時粘度Vcnmaxとの関係が上記式(つまり0.48≦Vcnmax/Vc1)を満たすことを意味する。
第3水性インクの濃縮時粘度Vc1と第4水性インクの濃縮時粘度Vcnとの関係が上記式を満たようにし、第4水性インクの濃縮時粘度Vcnが第3水性インクの濃縮時粘度Vc1×0.48以上から濃縮時粘度Vc1を超えても、乾燥した記録媒体に記録するとき、着弾ムラの発生が抑制される。これは、上述のように、第4吐出ヘッドのノズル内での第4水性インクの乾燥が緩和されるためである。そして、第4水性インクには、第3水性インクに比べ、濃縮時粘度Vcnの特性を緩和し、他の特性を付与することができる。
また、第4水性インクの濃縮時粘度Vcnと初期粘度Vinとの比(Vn/Vin)は、第3水性インクの濃縮時粘度Vc1と初期粘度Vi1との比(Vc1/Vi1)よりも大きいことがよい。例えば、比(Vcn/Vin)を14以上70以下とし、比(Vc1/Vi1)を1以上30未満としてもよい。これにより、乾燥した記録媒体に記録するとき、着弾ムラの発生が抑制しつつ、定着性が向上しやすくなる。これは、上述のように、第4吐出ヘッドのノズル内での第4水性インクの乾燥が緩和されるため、定着性向上のために、高分子粒子(例えばポリマーエマルション)を多く含有した水性インクを用いても吐出性を悪化させず、比(Ncn/Nin)を高めても、着弾ムラの発生が抑制されるためである。
以下、本実施形態に係る記録装置の一例について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、記録媒体に対して水性インクを(目的とする領域に)吐出することを「画像形成」又は「画像を形成する」と称することがあり、記録媒体に対して水性インクの吐出し、乾燥させて定着まで行われたことを「記録」、「画像記録」又は「画像を記録する」と称することがある。
図1は、本実施形態に係る記録装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係る記録装置100は、記録媒体P上に画像を記録する画像記録ユニット10と、画像記録ユニット10に供給する記録媒体Pが収容される前処理ユニット20と、前処理ユニット20から画像記録ユニット10へ供給される記録媒体Pの搬送量等を調整するバッファユニット30と、を備えている。バッファユニット30は、画像記録ユニット10と前処理ユニット20との間に配置されている。
また、記録装置100は、画像記録ユニット10から排出される記録媒体Pを収容する後処理ユニット40と、画像記録ユニット10から後処理ユニット40へ排出される記録媒体Pの搬送量等を調整するバッファユニット50と、を備えている。バッファユニット50は、画像記録ユニット10と後処理ユニット40との間に配置されている。
更に、記録装置100は、画像記録ユニット10とバッファユニット50との間に配置され、画像記録ユニット10から搬出される記録媒体Pを冷却する冷却ユニット60を備えている。
画像記録ユニット10は、例えば、記録媒体Pを記録媒体Pの搬送経路Rに沿って案内するロール部材(符号省略)と、記録媒体Pの搬送経路Rに沿って搬送される記録媒体Pの表面に水性インク(水性インクの液滴)を吐出する吐出ヘッド(第1の吐出ヘッド)12Aと、吐出ヘッド12Aにより記録媒体Pの表面に1度目の画像形成が行われ、吐出ヘッド12Bにより1度目の画像形成後の記録媒体Pの裏面に2度目の画像形成が行われる。
吐出ヘッド12A、12Bは、例えば、有効な記録領域(水性インクを吐出するノズルの配置領域)が記録媒体Pの幅(記録媒体Pの搬送方向と交差(例えば直交)する方向の長さ)以上とされた長尺状の記録ヘッドである。
なお、吐出ヘッド12A、12Bは、これに限られず、記録媒体Pの幅よりも短尺状の吐出ヘッドであって、記録媒体Pの幅方向に移動して水性インクを吐出する方式(所謂キャリッジ方式)の吐出ヘッドであってもよい。
吐出ヘッド12A、12Bは、水性インクの液滴を熱により吐出する、所謂サーマル方式であってもよいし、水性インクの液滴を圧力により吐出する、所謂圧電方式であってもよく、公知のものが適用される。
吐出ヘッド12A、12Bは、例えば、記録媒体Pに水性インクを吐出してK(ブラック)色の画像を形成する吐出ヘッド12KA、12KBと、Y(イエロー)色の画像を形成する吐出ヘッド12YA、12YBと、M(マゼンタ)色の画像を形成する吐出ヘッド12MA、12MBと、C(シアン)色の画像を形成する吐出ヘッド12CA、12CBと、それぞれを有している。そして、吐出ヘッド12KA、12KB、と、吐出ヘッド12YA、12YBと、吐出ヘッド12MA、12MBと、吐出ヘッド12CA、12CBと、はこの順番で記録媒体Pの搬送方向(以下単に「用紙搬送方向」と記載することがある)に沿って上流側から下流側に記録媒体Pと対向するように並べられている。なお、吐出ヘッドの表記において、K、Y、M、Cを区別しない場合には、符号に付しているK、Y、M、Cを省略する。
吐出ヘッド12KA,12YA,12MA,12CA,12KB,12YB,12MB,12CBは、それぞれ、記録装置100に着脱される各色のインクカートリッジ(不図示)と供給管(不図示)を通じて連結されており、インクカートリッジから各色のインクがそれぞれの吐出ヘッド12KA,12YA,12MA,12CA,12KB,12YB,12MB,12CBへ供給される。
吐出ヘッド12A、12Bは、上記4色のそれぞれに対応した4つの吐出ヘッドを配置する形態に限られず、目的に応じて、他の中間色を加えた4色以上のそれぞれに対応した4つ以上の吐出ヘッドを配置した形態であってもよい。
ここで、吐出ヘッド12A、12Bとしては、例えば、インク滴量lpl以上15pl以下の範囲で水性インクを吐出する低解像度用の吐出ヘッド(例えば600dpiの吐出ヘッド)、インク滴量10pl未満の範囲で水性インクを吐出する高解像度用の吐出ヘッド(例えば1200dpiの吐出ヘッド)のいずれであってもよい。また、吐出ヘッド12A、12Bとして、低解像度用の吐出ヘッド、及び高解像度用の吐出ヘッドの双方を備えていてもよい。
吐出ヘッド12A、12Bからのインク液滴量は、水性インクの最大液滴量の範囲である。また、dpiは「dot per inch」を意味する。
ここで、吐出ヘッド12Aは、上記第1実施形態に係る記録装置及び記録方法の吐出ヘッドの一例、又は上記第2実施形態に係る記録装置及び記録方法の第1吐出ヘッドの一例に該当する。吐出ヘッド12AKは上記第1実施形態に係る記録装置及び記録方法の第1吐出ヘッドの一例に該当する。吐出ヘッド12YA,12MA,12CAは上記第1実施形態に係る記録装置及び記録方法の第2吐出ヘッドの一例に該当する。
一方、吐出ヘッド12Bは上記第2実施形態に係る記録装置及び記録方法の第2吐出ヘッドの一例に該当する。吐出ヘッド12BKは上記第2実施形態に係る記録装置及び記録方法の第3吐出ヘッドの一例に該当する。吐出ヘッド12YB,12MB,12CBは上記第2実施形態に係る記録装置及び記録方法の第4吐出ヘッドの一例に該当する。
画像記録ユニット10には、吐出ヘッド12Aに対して用紙搬送方向の下流側に、例えば、記録媒体Pの裏面が巻き掛けられ、記録媒体Pと接触して従動回転しながら記録媒体の表面の画像(インク)を乾燥する乾燥ドラム14A(乾燥装置の一例)が配置されている。
同様に、画像記録ユニット10には、吐出ヘッド12Bに対して用紙搬送方向の下流側に、それぞれ、例えば、記録媒体Pの表面が巻き掛けられ、記録媒体Pと接触して従動回転しながら記録媒体の裏面の画像(インク)を乾燥する乾燥ドラム14B(乾燥装置の一例)が配置されている。
そして、乾燥ドラム14Aに対して用紙搬送方向の下流側であって、吐出ヘッド12Bに対して用紙搬送方向の上流側に、記録媒体Pの表面に接触する搬送ローラ18が配置されている。
乾燥ドラム14A、14Bの内部には、加熱源(例えばハロゲンヒータ等:不図示)が内蔵されている。乾燥ドラム14Aが加熱源による加熱により記録媒体Pの表面の画像(インク)を、また、乾燥ドラム14Bが加熱源による加熱により記録媒体Pの裏面の画像(インク)を、それぞれ乾燥する。
乾燥ドラム14A、14Bの周囲には、それぞれ、記録媒体P上の画像(インク)を乾燥する温風送風装置16A、16B(乾燥装置の一例)が配置されている。この温風送風装置16Aによる温風によって、乾燥ドラム14Aに巻き掛けられた記録媒体Pの表面の画像(インク)を、また、温風送風装置16Bによる温風によって、乾燥ドラム14Bに巻き掛けられた記録媒体Pの裏面の画像(インク)を、それぞれ乾燥する。
上記のような加熱乾燥を行う乾燥装置を用いる場合、その乾燥条件は以下のようであることが好ましい。
即ち、例えば、乾燥ドラムの加熱源の温度や、温風送風装置の温風温度は、水性インクの乾燥を早める点や、記録媒体Pの変形の抑制の点から、40℃以上120℃以下の範囲であることが好ましく、60℃以上100℃以下の範囲であることがより好ましい。
なお、この乾燥温度条件は、乾燥ドラム14Aと乾燥ドラム14Bとで、また、温風送風装置16Aと温風送風装置16Bとで、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、画像記録ユニット10における乾燥装置は、記録媒体Pの表面用(乾燥ドラム14A、温風送風装置16A)、記録媒体Pの裏面用(乾燥ドラム14B、温風送風装置16B)で同じ構成であったが、この構成に限定されず、それぞれ異なった構成であってもよい。
なお、画像記録ユニット10には、吐出ヘッド12A、12Bに対して用紙搬送方向の下流側には、記録媒体Pの下地層上の画像(インク)を乾燥する近赤外線ヒータ(不図示)、レーザ照射装置等の他の乾燥装置が配置されていてもよい。近赤外線ヒータ、レーザ照射装置等の他の乾燥装置は、乾燥ドラム14A、14B及び温風送風装置16A、16Bの少なくとも一方に代えて配置されてもよいし、又は、乾燥ドラム14A、14B及び温風送風装置16A、16Bに加えて配置されてもよい。
前処理ユニット20は、画像記録ユニット10へ供給される記録媒体Pが巻き付けられている供給ロール20Aを備えており、この供給ロール20Aは、図示せぬフレーム部材に回転可能に支持されている。
バッファユニット30は、例えば、用紙搬送方向に沿って第1パスローラ30A、ダンサーローラ30B及び第2パスローラ30Cが配置されている。ダンサーローラ30Bは、図1中上下に移動することにより、画像記録ユニット10へ搬送される記録媒体Pの張力調整、及び記録媒体Pの搬送量を調整する。
後処理ユニット40は、画像が記録された記録媒体Pを巻き取る搬送部の一例としての巻取ロール40Aを備えている。この巻取ロール40Aが図示せぬモータから回転力を受けて回転することで、記録媒体Pが搬送経路Rに沿って搬送されるようになっている。
バッファユニット50は、例えば、用紙搬送方向に沿って第1パスローラ50A、ダンサーローラ50B及び第2パスローラ50Cが配置されている。ダンサーローラ50Bは、図1中上下に移動することにより、後処理ユニット40へ排出される記録媒体Pの張力調整、及び記録媒体Pの搬送量を調整する。
冷却ユニット60には、複数のクーリングローラ60Aが配置されている。複数のクーリングローラ60Aの間に記録媒体Pを搬送することにより、記録媒体Pを冷却する。
ここで、記録装置100における記録速度、即ち、記録媒体の搬送速度は、特に限定されないが、記録媒体に吐出された水性インクを乾燥する乾燥装置を備えていることから、10m/min以上の高速であってもよい。
次に、記録装置100による動作(記録方法)について説明する。
本実施形態に係る記録装置100では、まず、前処理ユニット20の供給ロール20Aから、バッファユニット50を通じて、画像記録ユニット10に記録媒体Pを搬送する。
次に、画像記録ユニット10において、各吐出ヘッド12Aから水性インクを記録媒体Pの表面に吐出する。その後、乾燥ドラム14Aにより、記録媒体Pの表面の画像(インク)を記録媒体Pの裏面側(吐出ヘッド12Aからのインク吐出面とは反対の面)から乾燥する。そして、温風送風装置16Aにより、記録媒体Pの表面に吐出されたインク(画像)を記録媒体Pの表面側(吐出ヘッド12Aからのインク吐出面側)から乾燥する。つまり、乾燥ドラム14A及び温風送風装置16Aにより、記録媒体Pの表面に吐出された水性インクを乾燥する。
そして、記録媒体Pの表面に記録された画像は、搬送ローラ18に接触することで、かかる画像を介して、記録媒体Pを除電する。
続いて、画像記録ユニット10において、各吐出ヘッド12Bから水性インクを記録媒体Pの裏面に吐出する。その後、乾燥ドラム14Bにより、記録媒体Pの裏面の画像(インク)を記録媒体Pの表面側(吐出ヘッド12Bからのインク吐出面とは反対の面)から乾燥する。そして、温風送風装置16Bにより、記録媒体Pの裏面に吐出されたインク(画像)を記録媒体Pの裏面側(吐出ヘッド12Bからのインク吐出面側)から乾燥する。つまり、乾燥ドラム14B及び温風送風装置16Bにより、記録媒体Pの裏面に吐出された水性インクを乾燥する。
次に、冷却ユニット60において、クーリングローラ60Aにより、表面に画像が記録された記録媒体Pを冷却する。
次に、バッファユニット50を通じて、後処理ユニット40は、表面に画像が記録された記録媒体Pを巻取ロール40Aにより巻き取る。
以上の工程を通じて、記録媒体Pの両面に水性インクによる画像が記録される。
なお、上記のようにして記録された画像を備える記録媒体Pは切断する工程を経て、目的とする大きさへと裁断する。
記録装置100では、記録媒体Pの表面に水性インクを吐出する吐出ヘッド12Aと、記録媒体Pの裏面に水性インクを吐出する吐出ヘッド12Bと、を各々備えた構成について説明したが、これに限られない。例えば、記録装置100は、吐出ヘッド12Bを備えず、吐出ヘッド12Aにより葉紙の記録媒体Pとしての枚葉紙の表面に水性インクを吐出した後、記録媒体Pを反転させる機構により反転させて、再度、吐出ヘッド12Aにより記録媒体Pの裏面に水性インクを吐出する構成であってもよい。
記録装置100では、吐出ヘッド12A、12Bによって水性インクの液滴を記録媒体Pの表面に直接吐出する方式について説明したが、これに限らず、例えば中間転写体に水性インクの液滴を吐出した後に、中間転写体上の水性インクの液滴を記録媒体Pに転写する方式であってもよい。
また、記録装置100は、吐出ヘッド14Aと記録媒体Pの表面用の記録装置(乾燥ドラム14A、温風送風装置16A)、及び、吐出ヘッド14Bと記録媒体Pの裏面用の記録装置(乾燥ドラム14B、温風送風装置16B)が、全て同じ画像記録ユニット10内にある構成であったが、この構成に限定されない。例えば、記録装置100は、画像記録ユニットを2つ有し、一方に吐出ヘッド14Aと記録媒体Pの表面用の記録装置(乾燥ドラム14A、温風送風装置16A)が設けられ、他方に吐出ヘッド14Bと記録媒体Pの裏面用の記録装置(乾燥ドラム14B、温風送風装置16B)が設けられた構成であってもよい。
また、記録装置100では、ロール状の記録媒体P(所謂連帳紙)に水性インクを吐出し、乾燥を経て画像を記録する方式について説明したが、例えば、目的のサイズの枚葉紙に水性インクを吐出し、乾燥を経て画像を記録する方式であってもよい。
前述した本実施形態は、その形態のみに限定的に解釈されるものではなく、本発明の要件を満足する範囲内で実現されることは、言うまでもない。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<黒インクKの調製>
(黒インクK1)
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製):5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物(Mw=30000):2.5質量%
・アクリル系エマルション(高分子粒子、W−4627:トーヨーケム社製 粒子径120nm):2質量%(固形分)
・プロピレングリコール:10質量%
・ジエチレングリコール:5質量%
・界面活性剤(オルフィンE1010、日信化学工業社製):3質量%
・界面活性剤(サーフィノール104PG−50、日信化学工業社製):0.5質量%
製):1質量%
・イオン交換水:残部
上記組成を混合したのち、5μmのフィルターでろ過を行い、黒インクK1を得た。
(黒インクK2)
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製):5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物(Mw=30000):2.5質量%
・アクリル系エマルション(W−4627:トーヨーケム社製 粒子径120nm): 2 質量%(固形分)
・プロピレングリコール:10質量%
・ジエチレングリコール:3質量%
・界面活性剤(オルフィンE1010、日信化学工業社製):3質量%
・界面活性剤(サーフィノール104PG−50、日信化学工業社製):0.5質量%
製):1質量%
・イオン交換水:残部
上記組成を混合したのち、5μmのフィルターでろ過を行い、黒インクK2を得た。
(黒インクK3)
・カーボンブラック(Mogul L:キャボット社製):5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物(Mw=30000):2質量%
・アクリル系エマルション(高分子粒子、W−4627:トーヨーケム社製 粒子径120nm):2質量%(固形分)
・プロピレングリコール:10質量%
・ジエチレングリコール:5質量%
・界面活性剤(オルフィンE1010、日信化学工業社製):3質量%
・界面活性剤(サーフィノール104PG−50、日信化学工業社製):0.5質量%
製):1質量%
・イオン交換水:残部
上記組成を混合したのち、5μmのフィルターでろ過を行い、黒インクK3を得た。
(黒インクK4〜K12)
黒インクK1の調製において、スチレン−アクリル酸共重合体ナトリウム中和物、又はアクリル系エマルションの配合量を変更し、表1に示す粘度特性を持つ黒インクK4〜K12を得た。
<シアンインクCの調製>
(シアンインクC1〜C12)
カーボンブラックに代えて、C.I.Pigment Blue 15:3を使用した以外は、黒インクK1〜K12と同様にして、シアンインクC1〜C12を得た。
<マゼンタインクMの調製>
(マゼンタインクM1〜M12)
カーボンブラックに代えて、C.I.Pigment Red 122を使用した以外は、黒インクK1〜K12と同様にして、マゼンタインクM1〜M12を得た。
<イエローインクYの調製>
(イエローインクY1〜Y12)
カーボンブラックに代えて、C.I.Pigment Yellow 128を使用した以外は、黒インクK1〜K12と同様にして、イエローインクY1〜Y12を得た。
なお、各インクの粘度特性(濃縮時粘度、初期粘度)について、表1に一覧にして示す。着色剤以外、同じ組成の各色のインクは、同じ粘度特性を有するため、まとめて示す。
ここで、表1中、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の水性インクの粘度を「60%濃縮時粘度」と表記し、50%減量した減量後の水性インクの粘度を「50%濃縮時粘度」と表記する。
<実施例A1〜A10、比較例A1〜A2>
(記録装置の準備)
図1に示す構成と同じ構成で、両面印刷が可能であって、各水性インクを吐出する各吐出ヘッド12A(12KA,12YA,12MA,12CA)、12B(12KB,12YB,12MB,12CB)として、600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl)のピエゾヘッドを備えた記録装置を準備した。なお、記録装置は、記録媒体の表面及び裏面共に、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の水性インクの順番に吐出し、画像記録を実施する。
また、この記録装置の記録媒体Pとして、Next−IJ 70(連帳紙、日本製紙製)を用いた。
ここで、記録装置の詳細は、以下の通りである。
−記録装置の詳細−
・記録速度(記録媒体搬送速度) : 100m/min
・乾燥ドラム(乾燥ドラム14A、14B)の設定温度 : 100℃
・温風送風装置(温風送風装置16A、16B)の設定温度 : 100℃
そして、調製した黒色の水性インクを記録装置の黒色用のインクカートリッジに充填した。この記録装置を用いて、次の評価を行った。
(着弾ムラの評価)
上記の記録装置を用いて、記録媒体の表面に、黒色用の吐出ヘッド12KA(600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl))から黒インクを吐出し、カバレッジ80%のハーフトーンチャートを形成し、乾燥ドラム14A及び送付乾燥装置16Aで記録媒体の表面に形成したハーフトーンチャートを乾燥した。
次に、記録媒体の表面の記録により乾燥した記録媒体の裏面に、黒色用の吐出ヘッド12KB(600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl))から黒インクを吐出し、カバレッジ80%のハーフトーンチャートを形成し、乾燥ドラム14B及び送付乾燥装置16Bで記録媒体の裏面に形成したハーフトーンチャートを乾燥した。その後、クーリングローラ60Aにより冷却を実施した。
そして、記録媒体の裏面に形成したハーフトーンチャートを目視で観察し、着弾ムラについて評価した。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
G1(○):スジムラがない
G2(△):スジが若干ある
G3(×):スジムラが顕著である
G4(××):ノズル抜けによるスジがある。
(レイテンシーの評価)
上記の記録装置を用いて、記録媒体の表面に、黒色用の吐出ヘッド12KA(600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl))から黒インクを吐出し、カバレッジ80%のハーフトーンチャートを形成し、乾燥ドラム14A及び送付乾燥装置16Aで記録媒体の表面に形成したハーフトーンチャートを乾燥した。
次に、記録媒体の表面の記録により乾燥した記録媒体の裏面に、黒色用の吐出ヘッド12KB(600dpiのピエゾヘッド(最大インク滴量11pl))から5plの黒インクを吐出し、その前回の黒インクの吐出から0.36秒休止した後、次に黒インクの吐出を行ったときの着弾位置ズレを測定した。なお、インク吐出の休止期間は、記録速度と非吐出部(画像が形成されない領域、即ち、非画像部)の長さ(記録媒体の搬送方向の長さ)に応じて、調整する。
具体的には、ベタ画像の記録直後に記録した1ドット線を基準にしたとき、ベタ画像の記録後、記録媒体の搬送方向に約12インチの非画像部を空けた直後に記録した1ドット線(0.36秒休止後に記録された1ドット線)との距離が、0.36秒の休止期間に対応した非画像部の長さに対しどの程度ズレているかを測定し、これを着弾位置のズレ量とした。着弾位置のズレの評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
G1(◎):着弾位置のズレ量が22μm以下
G2(○):着弾位置のズレ量が22μmを超え33μm以下
G3(△):着弾位置のズレ量が33μmを超え43μm以下
G4(×):着弾位置のズレ量が43μmを超える
<実施例B1〜B5、比較例C1〜C4>
実施例A1と同様の記録装置を用意し、表2〜表4に従って、調製した各色の水性インクを記録装置の各色用のインクカートリッジに充填した。この記録装置を用いて、実施例1と同様にして、各色の水性インクを使用した着弾ムラ及びレイテンシーの評価を実施した。
以下、各例の詳細について、表1〜表4に一覧にして示す。なお、表1〜表4中、「Vc」は各インクの60%濃縮時粘度を示し、「Vi」は各インクの初期粘度を示す。また、表2〜表4中、「Vc1」は最初に吐出する黒インクの各インクの60%濃縮時粘度を示し、「Vcnmax」は、黒インクの後に吐出するイエロー、マゼンタ、及びシアンのインクのうち、最も高い60%濃縮時粘度を示す。
上記結果から、実施例A1〜実施例A10の黒インクは、比較例の黒インクに比べ、乾燥した記録媒体に記録するとき、着弾ムラの発生が抑制されていることがわかる。実施例A1〜実施例A10の黒インクは、レイテンシーの発生も抑制されていることもわかる。
特に、実施例B1〜B5及び比較例C1〜C4から、乾燥した記録媒体の裏面に最初に吐出する黒インクにおいて、着弾ムラが生じやすいことがわかる。そして、実施例B1〜B5では、この乾燥した記録媒体の裏面に最初に吐出する黒インクにおいて、着弾ムラの発生が抑制されていることがわかる。また、実施例B1〜B5では、レイテンシーの発生も抑制されていることもわかる。
なお、黒インク以降に吐出する他の色のインクにおいては、着弾ムラの発生が緩和されていることがわかる。
実施例A2、A4及びA6で、50%濃縮時粘度(溶媒の蒸発により質量を50%減量した減量後の水性インクの粘度)を示したように、50%濃縮時粘度に比べ、60濃縮時粘度の方が大きく、60濃縮時粘度(つまり60濃縮時粘度/初期粘度)を特定の範囲とすることで、乾燥した記録媒体に記録するとき(特に、乾燥した記録媒体の裏面に最初に吐出する水性インクにおいて)、着弾ムラの発生が抑制されることがわかる。
10 画像記録ユニット
12A、12KA、12YA、12MA、12CA 吐出ヘッド
12B、12KB、12YB、12MB、12CB 吐出ヘッド
14A 乾燥ドラム
14B 乾燥ドラム
16A 温風送風装置
16B 温風送風装置
20 前処理ユニット
20A 供給ロール
30 バッファユニット
30A 第1パスローラ
30B ダンサーローラ
30C 第2パスローラ
40 後処理ユニット
40A 巻取ロール
50 バッファユニット
50A 第1パスローラ
50B ダンサーローラ
50C 第2パスローラ
60 冷却ユニット
60A クーリングローラ
100 記録装置
P 記録媒体
R 搬送経路

Claims (13)

  1. 着色剤と、体積平均粒径10nm以上300nm以下で、着色剤を含まない高分子粒子と、界面活性剤として2種以上のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物と、水及び水性有機溶媒として2種以上の多価アルコールを含む溶媒と、を含有し、
    前記溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の水性インクの粘度Vc1と、減量前の水性インクの粘度Vi1との関係が、式:10≦Vc1/Vi1≦70を満たし、
    前記減量前の水性インクの粘度Vi1が、6.8mPa/s以上7.9mPa/s以下であり、
    前記減量後の水性インクの粘度Vc1が、116mPa・s以上500mPa・s以下であり、
    前記高分子粒子の含有量が、水性インクに対して0.1質量%以上10質量%以下であり、
    前記2種以上の多価アルコールの含有量が、合計量で、水に対して1質量%以上60質量%以下であり、
    前記界面活性剤として2種以上のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の含有量が、合計量で水性インクに対して0.1質量%以上10質量%以下である、
    水性インク。
  2. 請求項1に記載の水性インクを収容し、前記水性インクを記録媒体の表面に吐出する吐出ヘッドを有する記録装置。
  3. 前記吐出ヘッドが、請求項1に記載の水性インクとして第1水性インクを収容し、前記第1水性インクを前記記録媒体の表面に最初に吐出する第1吐出ヘッドであり、
    第2水性インクを収容し、前記第1吐出ヘッドによる前記第1水性インクの吐出よりも後に、前記第2水性インクを前記記録媒体の表面に吐出する第2吐出ヘッドを更に有する請求項に記載の記録装置。
  4. 溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第1水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第2水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第2水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である請求項に記載の記録装置。
  5. 第1水性インクを収容し、前記第1水性インクを記録媒体の表面に吐出する第1吐出ヘッドと、
    前記第1吐出ヘッドにより前記記録媒体の表面に吐出された前記第1水性インクを乾燥する乾燥装置と、
    第2水性インクとして請求項1に記載の水性インクを収容し、前記乾燥装置による前記第1水性インクの乾燥後、前記第2水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第2吐出ヘッドと、
    を有する記録装置。
  6. 前記第2吐出ヘッドが、前記第2水性インクとして第3水性インクを収容し、前記第3水性インクを前記記録媒体の裏面に最初に吐出する第3吐出ヘッドであり、
    第4水性インクを収容し、前記第3吐出ヘッドによる前記第3水性インクの吐出よりも後に、前記第4水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第4吐出ヘッドを更に有する請求項に記載の記録装置。
  7. 溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第3水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第4水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第4水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である請求項に記載の記録装置。
  8. 吐出ヘッドにより請求項1に記載の水性インクを記録媒体の表面に吐出する吐出工程を有する記録方法。
  9. 前記吐出工程が、前記吐出ヘッドとして第1吐出ヘッドにより、請求項1に記載の水性インクとして第1水性インクを前記記録媒体の表面に最初に吐出する第1吐出工程であり、
    前記第1吐出ヘッドによる前記第1水性インクの吐出よりも後に、第2吐出ヘッドにより第2水性インクを前記記録媒体の表面に吐出する第2吐出工程を更に有する請求項に記載の記録方法。
  10. 溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第1水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第2水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第2水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である請求項に記載の記録方法。
  11. 第1吐出ヘッドにより第1水性インクを記録媒体の表面に吐出する第1吐出工程と、
    前記第1吐出工程により前記記録媒体の表面に吐出された前記第1水性インクを乾燥する乾燥工程と、
    前記乾燥工程による前記第1水性インクの乾燥後、第2吐出ヘッドにより第2水性インクとして請求項1に記載の水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第2吐出工程と、
    を有する記録方法。
  12. 前記第2吐出工程が、前記第2吐出ヘッドとして第3吐出ヘッドにより、前記第2水性インクとして第3水性インクを前記記録媒体の裏面に最初に吐出する第3吐出工程であり、
    前記第3吐出ヘッドによる前記第3水性インクの吐出よりも後に、第4吐出ヘッドにより第4水性インクを前記記録媒体の裏面に吐出する第4吐出工程を更に有する請求項11に記載の記録方法。
  13. 溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第3水性インクの粘度Vc1と、溶媒の蒸発により質量を60%減量した減量後の前記第4水性インクの粘度Vcnとの関係が、式:0.48≦Vcn/Vc1を満たし、かつ減量前の前記第4水性インクの粘度Vinが5mPa・s以上20mPa・s以下である請求項12に記載の記録方法。
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