JP2006283002A - フレキシブルプリント配線板用接着剤組成物およびそれを用いてなるフレキシブルプリント配線板用接着フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】プレス時の樹脂の流れ出しが少なく、鉛フリーはんだに対応可能なリフローはんだ耐熱性をもつフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物およびフレキシブルプリント配線板用接着フィルムを提供する。
【解決手段】エラストマー(A)、熱硬化性成分(B)、硬化剤(C)、無機充填剤(D)及びシリコーンオリゴマー(E)を含むフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物。前記のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物を用いたフレキシブルプリント配線板用接着フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、フレキシブルプリント配線板(以下「FPC」とも記載する)用接着剤組成物、およびそれを用いてなるフレキシブルプリント配線板用接着フィルムに関する。
近年のFPCは、電子機器の小型化、薄型化、高密度化に対応するため、多層化、配線の狭ピッチ化が進んでいる。一般に、多層化FPCは、片面または両面に配線を形成したFPC実装を、接着フィルムを用いて積層して製造される。この時に使用する積層用の接着フィルムの耐熱性が低く、プレス時に流れ出すと、配線パターンにかかり断線の原因となったり、層間絶縁層の厚みがばらついたりする原因となる。特に配線の狭ピッチ化の進んだFPCでは流れ出し量が少なくても、断線を起こしやすくなる。
さらに、近年のFPC実装では環境負荷を低減するため、鉛フリーはんだを用いるが、鉛フリーはんだの溶融温度は鉛はんだと比較して高いため、はんだの溶融工程でリフロー炉の設定温度を高くしなければならない。しかし、従来の接着フィルムの耐熱性ではこの温度に対応できず、フクレ、ハガレなどが発生しやすい。
耐熱性を向上させるための手法として、無機充填剤を併用する方法がある。しかし、無機充填剤は分散性が悪く、凝集したり沈降したりする問題がある。また、沈降が著しい場合には、無機充填剤が容器の底に溜まり、固まってしまい、作業性が非常に悪くなる。
無機充填剤の分散性を向上させる手法としては、カップリング剤等の表面処理剤により予め表面を処理した無機充填剤を用いる方法がある(特許文献1、2、および3参照)。
現在、更なる機能性向上を目的として、樹脂材料への無機充填剤の配合量は増加する傾向にある。無機充填剤の配合量の増加に伴い、上記の沈降はますます顕著となり、これまで以上に優れた分散性やチキソトロピー性が必要となる。
特開昭63−230729号公報 特公昭62−40368号公報 特開昭61−272243号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の表面処理剤は、種類が非常に限られているため、各種樹脂に適した表面処理剤を選択するのが困難であるという問題を有する。
本発明は、プレス時の流れ出しが抑制され、さらに、用いる樹脂を選ばず、鉛フリーはんだ付けのリフロー炉の温度に対応できる耐熱性を向上しうる接着フィルムを得ることができ、さらに、フィルム作製時の作業性に優れるフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者等はこれらの問題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、無機充填剤とシリコーンオリゴマーとを併用することにより、無機充填剤の凝集、沈降が抑制されて分散性が向上すること、および、シリコーンオリゴマーは様々な樹脂との親和性を有することに着目し、これにより様々な樹脂に対して無機充填剤の添加量を増加させうることを見出し本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、[1]エラストマー(A)、熱硬化性成分(B)、無機充填剤(C)、硬化剤(D)及びシリコーンオリゴマー(E)を含むフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物に関する。
また、本発明は、[2]前記熱硬化性成分(B)が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂又はこれらの混合物である上記[1]に記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物に関する。
また、本発明は、[3]エラストマー(A)が、前記熱硬化性成分(B)と反応する官能基を有する上記[1]または上記[2]に記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物に関する。
また、本発明は、[4]前記シリコーンオリゴマー(E)が、重合度が2〜70であり、水酸基と反応する官能基を1種以上有し、RSiO2/2、RSiO3/2及びSiO4/2よりなる群から選択される少なくとも1種のシロキサン単位を有し、前記シロキサン単位において、前記Rは有機基であり、前記Rが複数含まれる場合には、前記Rは同一であってもよいし、異なっていてもよい上記[1]ないし上記[3]のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物に関する。
また、本発明は、[5]上記[1]ないし上記[4]のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物を用いてなるフレキシブルプリント配線板用接着フィルムに関する。
本発明によれば、無機充填剤の分散性が向上することで作業性の低下が抑制された接着剤組成物を得ることができる。
本発明によれば、シリコーンオリゴマーを適宜選択することにより、様々な樹脂と無機充填剤とを併用することができる。
また、本発明の接着剤組成物を用いることで、鉛フリーはんだに対応可能なリフローはんだ耐熱性をもち、かつ、プレス時の流れ出しが少ないフレキシブルプリント配線板用接着フィルムを提供することができる。
本発明の第一は、エラストマー(A)、熱硬化性成分(B)、無機充填剤(C)、硬化剤(D)及びシリコーンオリゴマー(E)を含むフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物である。
以下、本発明の接着剤組成物の各構成要素である(A)、熱硬化性成分(B)、無機充填剤(C)、硬化剤(D)及びシリコーンオリゴマー(E)ならびに接着剤組成物について具体的に説明する。
[エラストマー(A)]
接着剤組成物にエラストマーを含むことにより、接着フィルムの仮付け性を向上させることができる。FPCを他のFPCやリジッド基板と接続する際には、FPCは機械的強度が低いため、ポリイミドフィルムやガラスエポキシ基板の補強材で補強することがある。これらの補強材とFPCとを接着するためにも接着フィルムが使用されている。FPCと補強材とを貼り合わせる方法は、100℃程度の温度で、接着フィルムを用いて補強材とFPCとを仮付けし、プレスを行う。そのため、接着フィルムは、FPCやリジッド基板に対する仮付け性を有していることが望ましい。
本発明に使用されるエラストマー(A)としては特に限定されず、従来公知のエラストマーを用いることができる。例えば、エラストマーとして、アクリルゴム;アクリル酸アルキルエステル(メタアクリル酸エステルも含む)を主成分とし、ビニル単量体および必要に応じてアクリロニトリル、もしくはスチレン等を含む共重合体;ポリイソプレンゴム;ポリブタジエンゴム;1,2−ポリブタジエンゴム;スチレン−ブタジエンゴム;アクリロニトリル−ブタジエンゴム(以下、NBRとも記載する);エチレン−ブタジエンゴム;カルボキシル化ニトリルゴム;ポリ(オキシプロピレン);ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール;ポリオレフィングリコール;ポリ−ε−カプロラクトン;スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体;ブチルゴム;クロロプレンゴム;ニトリルゴム;アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体;スチレン−イソプレン共重合体;スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体;またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体などが好ましく挙げられ、より好ましくはアクリルゴム、NBR、エチレン−ブタジエンゴムまたはポリブタジエンゴムであり、特に好ましくはアクリルゴムまたはNBRである。アクリルゴムは耐熱性に優れるという利点を有する。
前記ポリブタジエンゴムまたは1,2−ポリブタジエンゴムはカルボキシル基または水酸基で置換されていてもよい。前記スチレン−ブタジエンゴムは水酸基で置換されていてもよい。前記NBRはカルボキシル基、水酸基、(メタ)アクリロイル基またはモルホリン基で置換されていてもよい。前記ポリ(オキシプロピレン)は水酸基またはアルコキシシリル基で置換されていてもよい。
エラストマー(A)は、熱硬化性成分(B)と反応する官能基を有することが好ましい。エラストマー(A)と熱硬化性成分(B)とが反応すると、耐熱性が向上するという利点がある。熱硬化性成分(B)の種類にもよるが、カルボキシル基、エポキシ基、または水酸基などを上記官能基として好ましく挙げることができ、反応性、汎用性等の面から、カルボキシル基またはエポキシ基がより好ましい。
エラストマー(A)は接着剤組成物を100質量部として10〜90質量部含まれることが好ましく、より好ましくは25〜80質量部である。エラストマー(A)の濃度が10質量部以上であると本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムの仮付け性に優れ、濃度が90質量部以下であると、接着剤組成物の作業性が向上するか、または本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムのリフローはんだ耐熱性が向上するか、もしくはプレス時の流れ出しが抑制される。
[熱硬化性成分(B)]
接着剤組成物に熱硬化性成分を含むことにより、仮付け性またはリフローはんだ耐熱性を向上させることができる。
仮付け性を有することにより生ずる利点については、上述のエラストマー(A)の項に記載したとおりであるが、従来技術では、表面処理剤を用いずに接着フィルムの耐熱性を向上させるために、接着フィルムに含まれる樹脂としてガラス転移温度の高いものを用い、その結果、接着フィルムの仮付け性が低下してしまうことがあった。
つまり、表面処理剤に依存しない従来技術では、接着剤組成物の作業性を向上させようとすると接着フィルムの仮付け性および耐熱性が犠牲となり、接着フィルムの仮付け性または耐熱性を向上させようとすると接着剤組成物の作業性が犠牲となっていた。
しかしながら、本発明では、無機充填剤が接着フィルムの耐熱性を向上させる役割を担うため、熱硬化性成分として、ガラス転移温度の高い樹脂を用いずに済み、仮付け性の低下を抑制することができる。無機充填剤の詳細については後述する。
また、後述するように、本発明ではシリコーンオリゴマーにより無機充填剤の分散性を向上させるため、従来公知の表面処理剤を用いた場合と比較して、様々な種類の熱硬化性成分を使用することができる。
熱硬化性成分(B)の硬化後のガラス転移温度は、30〜220℃が好ましく、より好ましくは50〜200℃である。ガラス転移温度が30℃以上であるとリフローはんだ耐熱性に優れるか、またはプレス時の流れ出しを抑制することができ、220℃以下であると仮付け性に優れる。
本発明で使用される熱硬化性成分(B)として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、植物油変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シアネート樹脂、マレイミド樹脂、またはベンゾシクロブテン樹脂が好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、または植物油変性フェノール樹脂であり、さらに好ましくはエポキシ樹脂、またはフェノール樹脂である。エポキシ樹脂、またはフェノール樹脂は反応性、耐熱性に優れる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のジグリシジルエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、ならびにこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、および水素添加物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらの中では特にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、またはフェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒドとを酸またはアルカリを触媒として加え反応させたもので、フェノール類としては、フェノール、メタクレゾール、パラクレゾール、オルソクレゾール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール等が好ましく挙げられ、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、またはベンズアルデヒド等が好ましく挙げられ、より好ましくは、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドである。フェノール樹脂としてより具体的には、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、またはロジンフェノール樹脂などが好ましく挙げられ、より好ましくはレゾール型フェノール樹脂またはノボラック型フェノール樹脂である。
熱硬化性成分(B)は接着剤組成物を100質量部として5〜90質量部含まれることが好ましく、より好ましくは10〜50質量部である。熱硬化性成分(B)の濃度が5質量部以上であると、本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムのリフローはんだ耐熱性に優れ、濃度が90質量部以下であると、接着剤組成物の作業性が向上するか、または本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムの仮付け性が向上するか、もしくはプレス時の流れ出しが抑制される。
[無機充填剤(C)]
接着剤組成物に無機充填剤を含むことにより、耐熱性を向上させることができ、特にプレス時の流れ出しを抑制することができる。また、無機充填剤は弾性率を向上させる効果も有する。
本発明では、無機充填剤(C)とシリコーンオリゴマー(E)とを併用するため、無機充填剤(C)の凝集、沈降を抑制することができ、さらには無機充填剤(C)の添加量を従来よりも増加させることもできる。
本発明で使用される無機充填剤(C)として特に制限はなく、電気絶縁性のものであれば使用することができる。
例えば、水酸化アルミニウム、もしくは水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;酸化アルミニウム、もしくは酸化カルシウム等の金属酸化物;酸化ケイ素;マイカ;タルク;またはクレー等が好ましく挙げられる。より好ましくは水酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素である。水酸化アルミニウムや酸化ケイ素は、イオン性不純物が少なく、入手し易く、低コストであることから好適である。これらは、単独あるいは必要に応じて2種以上を併用して用いることができる。
無機充填剤(C)の形状、粒径については特に限定されないが、形状は球状であることが好ましく、粒径は0.01〜50μmが好ましく、より好ましくは0.1〜15μmである。無機充填剤(C)が球状であると分散性がより向上する。また、粒径が0.01μm以上であると粒径に見合った効果を得ることができ、50μm以上であると耐熱性を向上させる効果に優れる。
無機充填剤(C)は接着剤組成物を100質量部として5〜90質量部含まれることが好ましく、より好ましくは5〜50質量部である。無機充填剤(C)の濃度が5質量部以上であると、本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムのプレス時の流れ出しが抑制され、濃度が90質量部以下であると、接着剤組成物の作業性が向上するか、または本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムのリフローはんだ耐熱性、もしくは仮付け性が向上する。
[硬化剤(D)]
接着剤組成物に硬化剤含むことにより、耐熱性を向上させることができ、特にリフローはんだ耐熱性を向上させることができる。
本発明で使用される硬化剤(D)は、接着剤組成物の構成要素同士の間に介在してこれらを連結したり、前記構成要素同士が結合するための触媒として作用したりする。これらは、従来公知のものを使用することができ、例えば、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン、芳香族ポリアミン、三フッ化ホウ素−アミン錯体、酸無水物、トリフェニルフォスフィン、ジアザビシクロウンデセン、ヒドラジン、多官能性フェノール、有機リン系化合物、第3級アミン、または第4級アンモニウム塩などを好ましく使用できる。より好ましくは、イミダゾール誘導体またはジシアンジアミドである。なお、これら硬化剤(D)は単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
イミダゾール誘導体としては、1−アルキル−2−フェニルイミダゾール、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール、または1−シアノアルキル−2−フェニルイミダゾールなどが好ましく挙げられ、より好ましくは、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール、または1−シアノアルキレン−2−フェニルイミダゾールである。前記アルキルとしては、炭素数1〜20までの直鎖状のものが好ましい。前記アルキレンとしては、炭素数1〜20までの直鎖状のものが好ましい。
芳香族アミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、またはメタフェニレンジアミンなどが好ましい。
三フッ化ホウ素−アミン錯体としては、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体などが好ましい。
酸無水物としては、無水ピロメリット酸、無水フタル酸、または無水トリメリット酸などが好ましい。
多官能性フェノールとしては、フェノールノボラックやクレゾールノボラックなどが好ましい。
硬化剤(D)は接着剤組成物を100質量部として0.001〜10質量部含まれることが好ましく、より好ましくは0.1〜7質量部である。硬化剤(D)の濃度が0.001質量部以上であると、本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムのリフローはんだ耐熱性に優れ、濃度が10質量部以下であると、接着剤組成物の作業性が向上するか、または本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムの仮付け性が向上するか、もしくはプレス時の流れ出しが抑制される。
[シリコーンオリゴマー(E)]
接着剤組成物にシリコーンオリゴマーを含むことにより、無機充填剤の凝集、沈降を抑制して分散性を向上させることができる。このため、接着剤組成物の作業性を向上させるか、または本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムのリフローはんだ耐熱性が向上するか、もしくはプレス時の流れ出しが抑制される。
また、従来公知の表面処理剤ではなく、シリコーンオリゴマーにより無機充填剤の分散性を向上させるため、シリコーンオリゴマーの構造を適宜選択することにより、様々な熱硬化性成分を使用することができる。
本発明で使用されるシリコーンオリゴマー(E)は、末端に水酸基と反応する官能基を1種以上有することが望ましい。シリコーンオリゴマー(E)が水酸基と反応する官能基を有していると、熱硬化性成分との親和性が向上し、無機充填剤の分散性が向上するという利点を有する。水酸基と反応する官能基としてはメトキシ基、水酸基、エトキシ基、プロポキシ基またはフェノキシ基などが好ましく挙げられ、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基または水酸基である。
本発明に用いられるシリコーンオリゴマー(E)は、予め3次元架橋していることが好ましい。このため、2官能性シロキサン単位であるRSiO2/2、3官能性シロキサン単位であるRSiO3/2および4官能性シロキサン単位であるSiO4/2からなる群より選択される少なくとも一種類のシロキサン単位を含有することが好ましい。以下に、RSiO2/2、RSiO3/2およびSiO4/2の化学構造を示す。
Figure 2006283002
前記シロキサン単位において、Rは有機基であり、Rが複数含まれる場合には、Rは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
符号Rで示される有機基としては、炭素数1〜5の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基、炭素数2〜12の直鎖型もしくは分岐型のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、または水酸基などが好ましく挙げられる。
炭素数1〜6の直鎖型または分岐型のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基またはt−ブチル基などが好ましく挙げられ、より好ましくはメチル基またはエチル基である。
炭素数2〜12の直鎖型または分岐型のアルケニル基としては、ビニル基、またはアリル基などが好ましく挙げられる。
炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基などが好ましく挙げられる。
例えば、2官能性シロキサン単位からなるもの、3官能性シロキサン単位からなるもの、4官能性シロキサン単位からなるもの、2官能性シロキサン単位と3官能性シロキサン単位とからなるもの、3官能性シロキサン単位と4官能性シロキサン単位とからなるもの、2官能性シロキサン単位と4官能性シロキサン単位とからなるもの、及び2官能性シロキサン単位と3官能性シロキサン単位と4官能性シロキサン単位とからなるものがあげられる。これらの中では4官能性シロキサン単位がシリコーンオリゴマーの全量に対して15〜100モル%含まれることが好ましい。
また、シリコーンオリゴマー(E)の重合度は2〜70が好ましく、より好ましくは6〜70であり、さらに好ましくは10〜50である。重合度が2以上であると、効果的な3次元架橋構造を得ることができ、70以下であると、塗布ムラが生じ難いため好ましい。
本発明において、重合度はGPCの測定結果から換算することができる。下記表に本発明で用いられるGPCの仕様および測定条件を示す。
Figure 2006283002
本発明のシリコーンオリゴマー(E)の配合量は、無機充填剤(C)の質量に対して0.005〜50質量%が好ましい。0.005質量%以上であると無機充填剤(C)の凝集、沈降の抑制に優れ、50質量%以下であると添加量に見合った効果を得ることができる。
シリコーンオリゴマー(E)は接着剤組成物を100質量部として0.0001〜20質量部含まれることが好ましく、より好ましくは0.001〜10質量部である。シリコーンオリゴマー(E)濃度が0.0001質量部以上であると、本発明の接着剤組成物の無機充填剤(C)の分散性が向上し、接着フィルムの外観が良好になり、機械的強度が向上するか、またはおよびリフローはんだ耐熱性に優れ、濃度が10質量部以下であると、無機充填剤(C)による補強効果を損なうことなく分散性を確保できるため、フィルム作製時における、流れ出し性が良好になる。
以下にシリコーンオリゴマーの製造方法を例示するが、本発明は以下の方法に限定されない。攪拌装置およびコンデンサーを備えた容器に、シラン化合物とアルコールとを入れる。次に水および触媒を加え、加熱しながら攪拌を行う。
前記シラン化合物としては特に限定されないが、上記シロキサン単位を得られうるものであると好ましい。前記アルコールとしては特に限定されないが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、またはイソ−プロパノールなどが挙げられる。触媒としては酢酸、塩酸、マレイン酸またはリン酸などが好ましい。加熱温度は40〜60℃が好ましい。攪拌時間は6〜10時間が好ましい。
[接着剤組成物]
本発明の接着剤組成物は、本発明を阻害しない範囲で、エラストマー(A)、熱硬化性成分(B)、無機充填剤(C)、硬化剤(D)及びシリコーンオリゴマー(E)以外の成分を含むことができる。
本発明の接着剤組成物は、溶媒または分散媒に溶解または分散された接着剤含有液として使用することもできる。有機溶媒に溶解または分散することにより、接着剤組成物の粘度が下がり、作業性が向上したり、均一な膜厚の接着フィルムを作製し易くなったりする。
溶媒または分散媒としては特に限定されず、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサン、もしくはイソホロン等のケトン系溶媒;トルエン、キシレン、もしくはピリジン等の芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、もしくはベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;またはN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、もしくはN,N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒を用いることができる。
[製造例]
本発明の接着剤組成物は特に限定されないが、例えば以下の方法により作製することができる。
無機充填剤(C)をエラストマー(A)または熱硬化性成分(B)と混合する前に、無機充填剤(C)とシリコーンオリゴマー(E)とを混合することにより、シリコーンオリゴマー(E)が無機充填剤(C)の表面に行き渡り、無機充填剤(C)と、エラストマー(A)または熱硬化性成分(B)との親和性を高めることができ、無機充填剤(C)の凝集、沈降を抑制し易くなる。
具体的には、無機充填剤(C)とシリコーンオリゴマー(E)とを、10〜60分、15〜35℃で攪拌する。次に、エラストマー(A)、熱硬化性成分(B)および硬化剤(D)を混合することで接着剤組成物を得ることができる。
接着剤組成物に溶媒または分散媒を加えることにより接着剤含有液を得ることができる。溶媒または分散媒は、接着剤組成物の作製中に添加してもよいし、作製後に添加してもよいが、好ましくは無機充填剤(C)とシリコーンオリゴマー(E)とを混合する前に、無機充填剤に添加する。溶媒または分散媒は上述したとおりであり、溶媒または分散媒の添加量は接着剤含有液の粘度などにより適宜決定することができる。
本発明の第2は、上述のFPC用接着剤組成物を用いてなるFPC用接着フィルムである。
上述の接着剤用組成物は、シリコーンオリゴマーを含むため、無機充填剤(C)の分散性に優れる。このため、上述の接着剤組成物を用いてなる接着フィルムは、仮付け性を有し、鉛フリーはんだに対応可能なリフローはんだ耐熱性を有し、かつ、プレス時の流れ出しが少ないという利点を有する。
本発明の接着フィルムの厚みや形状などは特に限定されず、使用部位や使用目的に応じて適宜決定することができる。
[製造例]
本発明の接着フィルムは特に限定されないが、以下の方法により作製することができる。
上述の接着剤組成物の作製中または作製後に溶媒または分散媒を添加して接着剤含有液を作製する。次に、接着剤含有液を離型紙上にコーティングし、接着剤含有液を乾燥して、溶媒または分散媒を除去することで得られる。
前記溶媒または前記分散媒としては、接着剤組成物の項に記載したものを用いることができる。前記離型紙としては、特に制限されるものではないが、例えば、上質紙、クラフト紙、もしくはグラシン紙などの紙の少なくとも片面に、クレー、ポリエチレン、もしくはポリプロピレンなどの目止剤からなる塗布層を設け、その上にシリコーン系、フッ素系、もしくはアルキド系の離型剤が塗布されたもの;または、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、もしくはプロピレン−α−オレフィン共重合体等の各種オレフィンフィルムや、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム上に上記離型剤を塗布したものが挙げられる。電子材料用途として汎用的に使用されているため入手面、また、価格等の面から、上質紙の片面もしくは両面にポリエチレンによる目止処理をして、その上にシリコーン系離型剤を用いたものや、ポリエチレンテレフタレート上にシリコーン系離型剤を用いたものが好ましい。コーティング方法としては、特に制限されないが、コンマコーター、リバースロールコーター等を用いたコーティング方法が挙げられる。
次に本発明を実施例および比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
(1)シリコーンオリゴマー溶液の製造
撹拌装置、コンデンサー及び温度計を備えたガラスフラスコに、テトラメトキシシラン40g及びメタノール93gを入れ、次いで、酢酸0.47g及び蒸留水18.9gを添加し、50℃で8時間撹拌し、シリコーンオリゴマーを合成した。
得られたシリコーンオリゴマーを用いてGPCによる測定と、測定結果の換算とを行ったところ、得られたシリコーンオリゴマーの重合度は20であった。GPCによる測定条件は、上記表1に記載したとおりである。
また、得られたシリコーンオリゴマーを用いて赤外分光光度計(型番FT210、株式会社堀場製作所製)による測定を行ったところ、得られたシリコーンオリゴマーは、水酸基と反応する官能基としてメトキシ基およびシラノール基を有していることがわかった。
得られたシリコーンオリゴマー溶液10gにメタノール90gを加えて、固形分10質量%のシリコーンオリゴマー含有液を作製した。
(2)FPC用接着剤含有液の調製
無機充填剤である酸化ケイ素(アエロジル200、日本アエロジル株式会社製)をメチルエチルケトンに分散させた後、前記(1)で作製したシリコーンオリゴマー含有液を加え、30分間室温(25℃)にて撹拌した。次に、エラストマーであるアクリルゴム、WS023DR、帝国化学産業株式会社製、熱硬化性成分と反応する官能基としてカルボキシル基を有する)、熱硬化性成分であるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(YDCN703、東都化成株式会社製)、熱硬化性成分であるレゾール型フェノール樹脂(ヒタノール2181、日立化成工業株式会社製)を加えた。次に、硬化剤(2P4MZ、イミダゾール化合物、化学構造:2−フェニル−4−メチルイミダゾール、四国化成工業株式会社製)を混合し、接着剤含有液を作製した。
得られた接着剤含有液は、接着剤組成物を100質量部として、エラストマーを48.9984質量部、熱硬化性成分を34質量部、無機充填剤を16質量部、硬化剤を1質量部、シリコーンオリゴマーを0.0016質量部含む。また、熱硬化性成分は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを、質量比で3:5の割合で含む。
接着剤組成物の溶媒であるメチルエチルケトンは、接着剤組成物に対して4質量倍と、なるように添加された。
(3)FPC用接着フィルムの作製
離型紙にバーコーターを用いて接着剤含有液を塗布した後、熱風乾燥機中で、90℃3分間乾燥した。離型紙上に得られた接着フィルムの厚みは12.5μmであった。離型紙は、75μm厚のポリエチレンテレフタレートの上にシリコーン系離型剤の層が形成されているものを用いた。
(実施例2)
以下に記載の事項以外は実施例1と同様にしてFPC用接着フィルムを得た。
実施例2では、無機充填剤として水酸化アルミニウム(ハイジライトH−42M、昭和電工株式会社製)を用い、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を住友化学株式会社製のESCN220Sにし、レゾール型フェノール樹脂を日立化成工業株式会社製のヒタノール2400にし、硬化剤を四国化成工業株式会社製の2PZ−CNS(イミダゾール化合物、化学構造:1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト)とした。
得られた接着剤含有液は、接着剤組成物を100質量部として、エラストマーを41.9971質量部、熱硬化性成分を28質量部、無機充填剤を29質量部、硬化剤を1質量部、シリコーンオリゴマーを0.0029質量部含む。熱硬化性成分は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを、質量比で1:1の割合で含む。
(実施例3)
以下に記載の事項以外は実施例1と同様にしてFPC用接着フィルムを得た。
実施例3では、エラストマーとしてアクリロニトリル−ブタジエンゴム(Nipol 1072J、日本ゼオン株式会社製、熱硬化性成分と反応する官能基としてカルボキシル基を有する)を用いた。
(実施例4)
以下に記載の事項以外は実施例1と同様にしてFPC用接着フィルムを得た。
実施例4では、エラストマーとしてアクリロニトリル−ブタジエンゴム(Nipol 1072J、日本ゼオン株式会社製、熱硬化性成分と反応する官能基としてカルボキシル基を有する)を用い、レゾール型フェノール樹脂を日立化成工業株式会社製のヒタノール2400にし、硬化剤をジシアンジアミドにした。
得られた接着剤含有液は、接着剤組成物を100質量部として、エラストマーを27.996質量部、熱硬化性成分を28質量部、無機充填剤を43質量部、硬化剤を1質量部、シリコーンオリゴマーを0.004質量部含む。熱硬化性成分は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを、質量比で1:1の割合で含む。
(実施例5)
以下に記載の事項以外は実施例1と同様にしてFPC用接着フィルムを得た。
実施例5ではエラストマーとしてアクリロニトリル−ブタジエンゴム(Nipol 1072J、日本ゼオン株式会社製、熱硬化性成分と反応する官能基としてカルボキシル基を有する)を用い、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を住友化学株式会社製のESCN220Sにし、レゾール型フェノール樹脂を日立化成工業株式会社製のヒタノール2400にし、硬化剤をジシアンジアミドにした。
得られた接着剤含有液は、接着剤組成物を100質量部として、エラストマーを62.999質量部、熱硬化性成分を27質量部、無機充填剤を9質量部、硬化剤を1質量部、シリコーンオリゴマーを0.001質量部含む。熱硬化性成分は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを、質量比で2:1の割合で含む。
(実施例6)
以下に記載の事項以外は実施例1と同様にしてFPC用接着フィルムを得た。
実施例6ではエラストマーとしてアクリルゴム(SGP3、ナガセケムラックス製、熱硬化性成分と反応する官能基としてエポキシ基を有する)を用いた。
得られた接着剤含有液は、接着剤組成物を100質量部として、エラストマーを48.9984質量部、熱硬化性成分を34質量部、無機充填剤を16質量部、硬化剤を1質量部、シリコーンオリゴマーを0.0016質量部含む。また、熱硬化性成分は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを、質量比で3:5の割合で含む。
(比較例1)
シリコーンオリゴマー含有液を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてFPC用接着フィルムを得た。
得られた接着剤含有液は、接着剤組成物を100質量部として、エラストマーを49質量部、熱硬化性成分34質量部、無機充填剤を16質量部、硬化剤を1質量部含む。
(比較例2)
無機充填剤およびシリコーンオリゴマー含有液を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてFPC用接着フィルムを得た。
得られた接着剤含有液は、接着剤組成物を100質量部として、エラストマーを59質量部、熱硬化性成分40質量部、硬化剤を1質量部含む。
(比較例3)
以下に記載の事項以外は実施例1と同様にしてFPC用接着フィルムを得た。
熱硬化性成分と硬化剤とを使用しなかった。
得られた接着剤含有液は、接着剤組成物を100質量部として、エラストマーを82.988質量部、無機充填剤を17質量部、シリコーンオリゴマーを0.002質量部含む。
(比較例4)
以下に記載の事項以外は実施例1と同様にしてFPC用接着フィルムを得た。
エラストマーを使用しなかった。
得られた接着剤含有液は、接着剤組成物を100質量部として、熱硬化性成分を81.988質量部、無機充填剤を17質量部、硬化剤を1質量部、シリコーンオリゴマーを0.002質量部含む。
実施例1〜5、比較例1〜4の接着フィルムを用い、下記に示す各評価試験を行った。
(T型剥離接着強さ試験)
厚さ25μmのポリイミドフィルム(Kapton100H、デュポン社製)と離型紙上に形成された接着フィルムとを、100℃のラミネートロール(線圧5kg/cm、ラミネート速度1m/分)にて貼り合せた後、離型紙をはがした。次に、接着フィルムの前記ポリイミドフィルムが貼りついていない面に、別の厚さ25μmのポリイミドフィルム(Kapton100H、デュポン社製)を100℃のラミネートロール(線圧5kg/cm ラミネート速度1m/分)にて貼り合せた。その後、温度170℃、圧力1MPaで3分間プレスを行った。次に、熱風乾燥機中で150℃、2時間の後硬化処理を行ったものを試験片とした。
硬化した試験片をJIS K 6854−3に準拠し、T型剥離接着強さを測定した。剥離温度は、23℃、剥離速度は10mm/分で行った。T型剥離接着強さ試験の結果を下記表2および表3に示す。T型剥離接着強さが大きい程、仮付け性に優れる。
(リフローはんだ耐熱性試験)
厚さ35μmの圧延銅箔と離型紙上に形成された接着フィルムとを、100℃のラミネートロール(線圧5kg/cm、ラミネート速度1m/分)にて貼り合せた後、離型紙をはがした。次に、接着フィルムの前記ポリイミドフィルムが貼りついていない面に、別の厚さ35μmの圧延銅箔を100℃のラミネートロール(線圧5kg/cm、ラミネート速度1m/分)にて貼り合せた。その後、温度170℃、圧力1MPaで3分間プレスを行った。次に、熱風乾燥機中で150℃2時間の後硬化を行ったものを試験片とした。
上記試験片をJIS C 6481に準拠し、温度40℃、相対湿度80%という加湿条件下に12時間放置した後、リフローはんだ付け装置(日本パルス研究所製 RF430)を用いて、サンプル表面最高温度260℃となるように、試験片を加熱し、接着剤層のフクレの有無を観測した。リフローはんだ耐熱性試験の結果を下記表2および表3に示す。
(流れ出し試験)
厚さ25μmのポリイミドフィルム(Kapton100H、デュポン社製)と離型紙上に形成された接着フィルムとを、100℃のラミネートロール(線圧5kg/cm、ラミネート速度1m/分)にて貼り合せた後、離型紙をはがした。次に、接着フィルムの前記ポリイミドフィルムが貼りついていない面に、別の厚さ25μmのポリイミドフィルム(Kapton100H、デュポン社製)を100℃のラミネートロール(線圧5kg/cm、ラミネート速度1m/分)にて貼り合せて試験片とした。
上記試験片を80mm×80mmに切出し、温度160℃、圧力3MPaで20分間プレスを行った。その後、四辺それぞれの最大はみ出し部分をノギスにて測定し、その平均を流れ出し量(mm)とした。流れ出し試験の結果を下記表2および表3に示す。
Figure 2006283002
Figure 2006283002
シリコーンオリゴマー(E)を含まない比較例1は、無機充填剤に沈降が見られ、リフローはんだ耐熱性試験でフクレが発生した。無機充填剤(C)とシリコーンオリゴマー(E)を含まない比較例2は、接着剤の流れ出しが多くなった。熱硬化性成分(B)を含まない比較例3は、常態はく離接着強さ、リフローはんだ耐熱性が低下した。エラストマー(A)を含まない比較例4は、常態はく離接着強さが低かった。
これらの比較例に対し、本発明のエラストマー(A)、熱硬化性成分(B)、無機充填剤(C)、硬化剤(D)及びシリコーンオリゴマー(E)を含むフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物では、流れ出し、常態はく離接着強さ、リフローはんだ耐熱性のいずれにも優れる。
本発明によれば、エラストマー、熱硬化性成分、硬化剤、無機充填剤、シリコーンオリゴマーを必須成分として用いることで、プレス時の樹脂の流れ出しが少なく、かつ、鉛フリーはんだに対応可能なリフローはんだ耐熱性をもつFPC用接着剤組成物および接着フィルムを提供することができる。

Claims (5)

  1. エラストマー(A)、熱硬化性成分(B)、無機充填剤(C)、硬化剤(D)及びシリコーンオリゴマー(E)を含むフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物。
  2. 前記熱硬化性成分(B)は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂又はこれらの混合物である請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物。
  3. 前記エラストマー(A)は、前記熱硬化性成分(B)と反応する官能基を有する請求項1または請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物。
  4. 前記シリコーンオリゴマー(E)は、
    重合度が2〜70であり、
    水酸基と反応する官能基を1種以上有し、
    SiO2/2、RSiO3/2及びSiO4/2よりなる群から選択される少なくとも1種のシロキサン単位を有し、
    前記シロキサン単位において、
    前記Rは有機基であり、
    前記Rが複数含まれる場合には、前記Rは同一であってもよいし、異なっていてもよい請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物を用いてなるフレキシブルプリント配線板用接着フィルム。
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