JP2009253213A - フレキシブルプリント配線板用接着剤組成物およびそれを用いたフレキシブルプリント配線板用接着フィルム、及びフレキシブルプリント配線板用カバーレイフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 難燃でプレス時の樹脂の流れ出しが少なく、鉛フリーはんだに対応可能なリフローはんだ耐熱性をもつフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物、接着フィルム及びカバーレイフィルムを提供する。
【解決手段】 エラストマー(A)、熱硬化性成分(B)、硬化剤(C)、無機充填剤(D)及びシリコーンオリゴマー(E)を含むフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物であって、熱硬化性成分(B)としてビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂の少なくとも一方と、ノボラック型エポキシ樹脂の混合物と、フェノール樹脂を用いるフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性でプレス時の樹脂の流れ出しが少なく、かつ、鉛フリーはんだに対応可能なリフローはんだ耐熱性をもつフレキシブルプリント配線板(以下FPC)用接着剤組成物およびそれを用いたFPC用接着フィルム、及びFPC用カバーレイフィルムに関する。
近年のFPCは、電子機器の小型化、薄型化、高密度化に対応するため、多層化、配線の狭ピッチ化等が進んでいる。一般に、多層FPCは、片面または両面に配線を形成したFPC実装を、接着フィルムを用いて積層して製造される。この時に、使用する多層用の接着フィルムの耐熱性が低く、プレス時に流れ出すと、配線パターンにかかり断線の原因となったり層間絶縁層の厚みばらついたりする原因となる。特に配線の狭ピッチ化の進んだFPCでは流れ出し量が少なくても、断線を起こしやすくなる。また、ドリル加工時にスミヤが発生するなど流れ出し性やドリル加工性が問題になっている。
さらに、近年のFPC実装では、環境負荷を低減するため、鉛フリーはんだを用いるが、鉛フリーはんだの溶融温度は鉛はんだと比較して高いため、はんだの溶融工程でリフロー炉の設定温度を高くしなければならない。しかし従来の接着フィルムの耐熱性ではこの温度に対応できず、フクレ、ハガレなどが発生しやすい。
一方、FPCは、リジッド基板と比較し、機械的強度がないため、他のFPCやリジッド基板と接続する際に、ポリイミドフィルムやガラスエポキシ基板などを補強材として用いて補強する。これらの補強材とFPCを接着するために接着フィルムが使用されている。補強材の貼り合わせ方法は、100℃程度の温度で、接着フィルムを用いて補強材とFPCとを仮付け固定し、さらにプレス加工を行う。そのため、接着フィルムは、被着体である補強材やFPCへの仮付け性と、かつ、プレス時の流れ出し性を抑える必要がある。また、硬化後においては、鉛フリーはんだに対応可能なリフローはんだ耐熱性が要求される。
耐熱性を向上させる手法としては、樹脂の高Tg(ガラス転移温度)化等が提案されているが、はく離接着強さが低下してしまいフィルムが硬く作業性が劣るなどの問題があり、上記特性を充分に満足させるためには、樹脂の改良だけでは不充分となってきた。
さらに、耐熱性を向上させるための他の手法として、無機充填剤を併用する方法がある。しかし、通常、無機充填剤を樹脂ワニスに配合すると、分散性や、無機充填剤が沈降する問題がある。また、沈降が著しい場合には、無機充填剤が容器の底に溜まり、凝集等により固まってしまい、撹拌だけでは充分な分散は困難となる。
充填剤の分散性を向上させる手法としては、カップリング剤等の表面処理剤により予め表面を処理した充填剤を用いる方法がある(引用文献1、2、3参照)。しかしながら、市販されている処理充填剤の種類が非常に限られているため、各種樹脂配合系に適した処理充填剤を選択するのは困難であった。一方、更なる機能性向上を目的として、樹脂材料への充填剤の配合量は増加する傾向にある。充填剤の配合量の増加に伴い、上記の沈降はますます顕著となり、これまで以上に優れた分散性やチキソトロピー性が必要となる。これら特性を満足させることは、従来行われているカップリング剤による処理方法では困難となってきている。
特開昭63−230729号公報 特公昭62−40368号公報 特開昭61−272243号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、無機充填剤と樹脂との界面の接着性を向上させ、難燃で鉛フリーはんだに対応可能なリフローはんだ耐熱性をもち、かつ、プレス時の流れ出しが少ないフレキシブルプリント配線板(FPC)用接着剤組成物およびそれを用いたFPC用接着フィルム、FPC用カバーレイフィルムを提供することである。
これら問題を、解決する為に鋭意研究を重ねた結果、エラストマー、特定の熱硬化性成分、無機充填剤、シリコーンオリゴマー、硬化剤を必須成分として用いることで、難燃で鉛フリーはんだに対応できるリフローはんだ耐熱性をもち、かつ、プレス後の流れ出しが少なくなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、[1] エラストマー(A)、熱硬化性成分(B)、無機充填剤(C)、硬化剤(D)及びシリコーンオリゴマー(E)を含むフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物であって、熱硬化性成分(B)としてビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂の少なくとも一方と、ノボラック型エポキシ樹脂の混合物と、フェノール樹脂を用いるフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物に関する。
また、本発明は、[2] 熱硬化性成分(B)の各エポキシ樹脂のエポキシ当量が、150〜1000である上記[1]に記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物に関する。
また、本発明は、[3] (A)+(B)+(D)+(E)の総計100重量部に対して、無機充填剤(C)が、50〜200重量部である上記[1]または上記[2]に記載のフレキシブル配線板用接着剤組成物に関する。
また、本発明は、[4] エラストマー(A)が、熱硬化性成分(B)のいずれかと反応する官能基を有する上記[1]ないし上記[3]のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物に関する。
また、本発明は、[5] シリコーンオリゴマー(E)が、2官能性シロキサン単位(RSiO2/2)、3官能性シロキサン単位(RSiO3/2)及び4官能性シロキサン単位(RSiO4/2)(式中、Rは有機基であり、シリコーンオリゴマー中のR基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)から選ばれる少なくとも1種類のシロキサン単位を含有し、重合度が2〜70で、末端に水酸基と反応する官能基を1個以上有するシリコーンオリゴマーである上記[1]ないし上記[4]のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物に関する。
また、本発明は、[6]上記[1]ないし上記[5]のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物を用いたフレキシブルプリント配線板用接着フィルムに関する。
また、本発明は、[7]上記[1]ないし上記[5]のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物を用いたフレキシブルプリント配線板用カバーレイフィルムに関する。
本発明によれば、エラストマー(A)、特定の熱硬化性成分(B)、無機充填剤(C)、硬化剤(D)、シリコーンオリゴマー(E)を必須成分として含有し、無機充填剤の配合量を特定範囲に調整したフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物とすることにより、難燃で鉛フリーはんだに対応可能なリフローはんだ耐熱性をもち、かつ、プレス後の流れ出しが少ないフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物、それを用いた接着フィルム及びカバーレイフィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明に使用されるエラストマー(A)として、アクリルゴム、アクリル酸アルキルエステル(メタアクリル酸エステルも含む)を主成分としビニル単量体と必要に応じてアクリロニトリル、スチレン等を含む共重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエン、カルボキシル基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、カルボキシル基末端1,2−ポリブタジエン、水酸基末端1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、水酸基末端スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル基、水酸基、(メタ)アクリロイル基またはモルホリン基をポリマ末端に含有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水酸基末端ポリ(オキシプロピレン)、アルコキシシリル基末端ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール、ポリ−ε−カプロラクトン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、ブチルゴム、クロロプレンゴム、二トリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられ、これらに制限するものではない。
これらのエラストマー(A)としては、ビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂の少なくとも一方と、ノボラック型エポキシ樹脂またはフェノール樹脂のいずれか、または、その両方と反応する官能基を有することが好ましい。本発明で使用するエラストマー(A)は、分子量、組成等に特に制限なく使用することができる。
上記の本発明で使用されるエラストマー(A)の特定のエポキシ樹脂またはフェノール樹脂のいずれか、またはその両方と反応する官能基として、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基等があげられる。官能基としては、これらに制限されるものではないが、反応性、汎用性等の面から、カルボキシル基が好ましい。
本発明で使用される熱硬化性成分(B)としては、ビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂の少なくとも一方と、ノボラック型エポキシ樹脂の混合物と、フェノール樹脂を用いる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂もしくはビスフェノールF型エポキシ樹脂の少なくともどちらか一方とノボラック型エポキシ樹脂の混合物である。エポキシ樹脂は、エポキシ当量が150〜1000(g/当量)である。また、電食防止の点から加水分解塩素が500ppm以下のものが好ましい。エポキシ当量が150未満では、プレス時の樹脂の流れ出し量が少なすぎる傾向であり、エポキシ当量が1000を超えるとプレス時の樹脂の流れ出しが大きくなる傾向がある。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂もしくはビスフェノールF型エポキシ樹脂とノボラック型エポキシ樹脂の配合比は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂もしくはビスフェノールF型エポキシ樹脂がエポキシ樹脂の総量100重量部に対し、40〜90重量部で、ノボラック型エポキシ樹脂は、10〜60重量部の範囲とするのが好ましい。これらの範囲で接着性、プレス時の流れ出し性が良好な範囲となる。
本発明で用いるフェノール樹脂には、従来公知のものを使用することができる。例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、フェノール類又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、フェノール類又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトールノボラック樹脂等のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、パラキシリレン又はメタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂とフェノール樹脂は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し、フェノール樹脂の水酸基1当量の比(エポキシ基/水酸基)が、0.80〜1.20の範囲となるように、好ましくは、0.90〜1.10、さらに好ましくは、0.95〜1.05となるように配合することが好ましい。少なければ未硬化のエポキシ樹脂が残り、Tg(ガラス転移温度)が低くなり耐熱性が低下する傾向があり、多すぎると、未反応のフェノール樹脂が残り、絶縁性が低下する傾向がある。
本発明で使用される無機充填剤(C)として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、酸化アルミニウム、酸化カルシウム等の金属酸化物が挙げられる。本発明においては、無機充填剤として、特に水酸化アルミニウムを使用することが好ましい。水酸化アルミニウムは、イオン性不純物が少なく、低コストであることから、FPCを含め、電子材料用途として汎用されていることから好適である。これらは、単独あるいは必要に応じて2種以上併用して用いることができる。無機充填剤の形状、粒径については特に制限はなく、通常、粒径0.01〜50μm、好ましくは0.1〜15μmのものが好適に用いられる。これらの無機充填剤の配合量は、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の総計100重量部に対して50〜200重量部の範囲が好ましい。50重量部未満では、難燃性が不足し、また、200重量部を超えると、常態はく離接着強さが低下する傾向がある。
本発明で使用される硬化剤(D)は、樹脂の硬化剤および硬化触媒として作用する。これらは、従来公知の種々のものを使用することができ、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、無水ピロメリット酸、芳香族ポリアミン、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、1−アルキル−2−フェニルイミダゾール、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の有機酸、ジシアンジアミド、トリフェニルフォスフィン、ジアザビシクロウンデセン、ヒドラジン、フェノールノボラックやクレゾールノボラック等の多官能性フェノール、有機リン系化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等の公知のものが使用できる。なお、これら硬化剤(硬化触媒)は単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
これらの硬化剤の必要な量は、アミン類の場合は、アミンの活性水素の当量と、エポキシ樹脂のエポキシ当量がほぼ等しくなる量が好ましい。硬化促進剤であるイミダゾールの場合は、単純に活性水素との当量比とならず、経験的にエポキシ樹脂100重量部に対して、0.001〜10重量部必要となる。多官能フェノール類や酸無水物類の場合、エポキシ樹脂1当量に対して、フェノール性水酸基やカルボキシル基0.6〜1.2当量必要である。これらの硬化剤の量は、少なければ未硬化のエポキシ樹脂が残り、Tg(ガラス転移温度)が低くなり耐熱性が低下する傾向があり、多すぎると、未反応の硬化剤が残り、絶縁性が低下する傾向がある。
本発明で使用されるシリコーンオリゴマー(E)は、末端に水酸基と反応する官能基を一つ以上有していれば、その分子量や構造等に特に制限はない。
本発明に用いられるシリコーンオリゴマー(E)は、予め3次元架橋していることが好ましい。このため、2官能性シロキサン単位であるRSiO2/2、3官能性シロキサン単位であるRSiO3/2および4官能性シロキサン単位であるSiO4/2からなる群より選択される少なくとも一種類のシロキサン単位を含有することが好ましい。以下に、RSiO2/2、RSiO3/2およびSiO4/2の化学構造を示す。
Figure 2009253213
前記シロキサン単位において、Rは有機基であり、Rが複数含まれる場合には、Rは同一であってもよいし、異なっていてもよい。符号Rで示される有機基としては、炭素数1〜5の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基、炭素数2〜12の直鎖型もしくは分岐型のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、または水酸基などが好ましく挙げられる。
炭素数1〜6の直鎖型または分岐型のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基またはt−ブチル基などが好ましく挙げられ、より好ましくはメチル基またはエチル基である。炭素数2〜12の直鎖型または分岐型のアルケニル基としては、ビニル基、またはアリル基などが好ましく挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基などが好ましく挙げられる。
本発明に用いられるシリコーンオリゴマー(E)は、予め3次元架橋していることが好ましく、従って、2官能性シロキサン単位(RSiO2/2)、3官能性シロキサン単位(RSiO3/2)および4官能性シロキサン単位(RSiO4/2)から選らばれる少なくとも一種類のシロキサン単位を含有し、シリコーンオリゴマーの重合度は、2〜70(GPCによる重量平均分子量からの換算)のものであると好ましい。例えば、2官能性シロキサン単位からなるもの、3官能性シロキサン単位からなるもの、4官能性シロキサン単位からなるもの、2官能性シロキサン単位と3官能性シロキサン単位からなるもの、3官能性シロキサン単位と4官能性シロキサン単位からなるもの、2官能性シロキサン単位と4官能性シロキサン単位からなるもの、及び2官能性シロキサン単位と3官能性シロキサン単位と4官能性シロキサン単位からなるものが挙げられる。また、シリコーンオリゴマーの重合度は、2〜70のものであるが、好ましくは、重合度6〜70であり、より好ましくは10〜50である。重合度が2未満では、充分な3次元架橋構造が得られず、重合度が70を超えるシリコーンオリゴマーを用いると、表面処理の際に処理むらが起こり、耐熱性が低下することがある。
本発明のシリコーンオリゴマー(E)の配合量は、無機充填剤(C)に対して0.01〜50重量%が好ましい。0.01重量%未満では、界面接着性向上の効果が不充分となることがあり、50重量%を超えると、耐熱性等が低下する傾向がある。
本発明のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物は、有機溶剤に溶解または分散して使用できる。有機溶剤としては特に制限はなく、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤を用いてもよい。
本発明で用いるエラストマー(A)は、接着剤組成物100重量部に対し、10〜90重量部含まれることが好ましい。より好ましくは25〜80重量部である。エラストマー(A)の濃度が10重量部以上であると本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムの仮付け性に優れ、濃度が90重量部以下であると、接着剤組成物の作業性が向上するか、または本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムのリフローはんだ耐熱性が向上するか、もしくはプレス時の流れ出しが抑制される。
本発明で用いる熱硬化性成分(B)は、接着剤組成物を100重量部として5〜90重量部含まれることが好ましく、より好ましくは10〜50重量部である。熱硬化性成分(B)の濃度が5重量部以上であると、本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムのリフローはんだ耐熱性に優れ、濃度が90重量部以下であると、接着剤組成物の作業性が向上するか、または本発明の接着剤組成物からなる接着フィルムの仮付け性が向上するか、もしくはプレス時の流れ出しが抑制される。
本発明のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物は、本発明を阻害しない範囲で、エラストマー(A)、熱硬化性成分(B)、無機充填剤(C)、硬化剤(D)及びシリコーンオリゴマー(E)以外の成分を含むことができる。
本発明の接着剤組成物は、溶剤に溶解または分散された接着剤含有液として使用することもできる。溶剤に溶解または分散することにより、接着剤組成物の粘度が下がり、作業性が向上したり、均一な膜厚の接着フィルムを作製し易くなったりする。溶剤としては特に制限されず、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサン、もしくはイソホロン等のケトン系溶媒;トルエン、キシレン、もしくはピリジン等の芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、もしくはベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;またはN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、もしくはN,N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒を用いることができる。
本発明の接着剤組成物は特に制限されないが、例えば以下の方法により作製することができる。
無機充填剤(C)をエラストマー(A)または熱硬化性成分(B)と混合する前に、無機充填剤(C)とシリコーンオリゴマー(E)とを混合することにより、シリコーンオリゴマー(E)が無機充填剤(C)の表面に行き渡り、無機充填剤(C)と、エラストマー(A)または熱硬化性成分(B)との親和性を高めることができ、無機充填剤(C)の凝集、沈降を抑制し易くなる。具体的には、無機充填剤(C)とシリコーンオリゴマー(E)とを、10〜60分、15〜35℃で攪拌する。次に、エラストマー(A)、熱硬化性成分(B)および硬化剤(D)を混合することで接着剤組成物を得ることができる。 接着剤組成物にさらに溶剤を加えることにより接着剤含有液を得ることができる。溶剤は、接着剤組成物の作製中に添加してもよいし、作製後に添加してもよいが、好ましくは無機充填剤(C)とシリコーンオリゴマー(E)とを混合する前に、無機充填剤に添加する。溶剤は上述したとおりであり、溶剤の添加量は接着剤含有液の粘度などにより適宜決定することができる。
本発明は、上述のFPC配線板用接着剤組成物を用いてなるFPC用接着フィルムである。上述の接着剤用組成物は、シリコーンオリゴマーを含むため、無機充填剤(C)の分散性に優れる。このため、上述の接着剤組成物を用いてなる接着フィルムは、仮付け性を有し、鉛フリーはんだに対応可能なリフローはんだ耐熱性を有し、かつ、プレス時の流れ出しが少ないという利点を有する。本発明の接着フィルムの厚みや形状などは特に限定されず、使用部位や使用目的に応じて適宜決定することができる。
本発明の接着フィルムは特に限定されないが、以下の方法により作製することができる。上述の接着剤組成物の作製中または作製後に溶剤を添加して接着剤含有液を作製する。次に、接着剤含有液を離型紙上にコーティングし、接着剤含有液を乾燥して、溶剤を除去することで得られる。
前記離型紙としては、特に制限されるものではないが、例えば、上質紙、クラフト紙、もしくはグラシン紙などの紙の少なくとも片面に、クレー、ポリエチレン、もしくはポリプロピレンなどの目止剤からなる塗布層を設け、その上にシリコーン系、フッ素系、もしくはアルキド系の離型剤が塗布されたもの;または、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、もしくはプロピレン−α−オレフィン共重合体等の各種オレフィンフィルムや、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム上に上記離型剤を塗布したものが挙げられる。電子材料用途として汎用的に使用されているため入手面、また、価格等の面から、上質紙の片面もしくは両面にポリエチレンによる目止処理をして、その上にシリコーン系離型剤を用いたものや、ポリエチレンテレフタレート上にシリコーン系離型剤を用いたものが好ましい。コーティング方法としては、特に制限されないが、コンマコーター、リバースロールコーター等を用いたコーティング方法が挙げられる。
次に本発明を実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
(評価方法)
(1)常態はく離接着強さ
25μmのポリイミドフィルムKapton100H(デュポン社製)とセパレータ(離型紙)のついた接着フィルムの接着フィルム面を、100℃のラミネートロール(線圧5kg/cm ラミネート速度1m/分)にて貼り合せた後、上記のセパレータをはがした接着フィルム面に25μmのポリイミドフィルムKapton100Hを100℃のラミネートロール(線圧5kg/cm ラミネート速度1m/分)にて貼り合せた。その後、プレス(温度170℃、圧力1MPa、3分間)を行い、150℃、2時間の後硬化を行ったものを試験片とした。硬化した試験片をJIS K 6854−3に準拠し、T形はく離接着強さを測定した。はく離温度は、23℃、はく離速度は10mm/分で行った。
(2)リフローはんだ耐熱
35μmの圧延銅箔とセパレータのついた接着フィルムの接着フィルム面を100℃のラミネートロール(線圧5kg/cm、ラミネート速度1m/分)にて貼り合せた後、上記のセパレータをはがした接着フィルム面に35μmの圧延銅箔を100℃のラミネートロール(線圧5kg/cm、ラミネート速度1m/分)にて貼り合せた。その後、プレス(温度170℃、圧力1MPa、3分間)を行い、150℃2時間の後硬化を行ったものを試験片とした。上記試験片をJIS C 6481に準拠し、加湿条件(温度40℃、相対湿度80%)に12時間放置した後、リフローはんだ付け装置(日本パルス研究所製 RF430)を用いて、サンプル表面最高温度260℃となるように、試験片を加熱し、接着剤層のフクレの有無を観測した。
(3)流れ出し性
25μmのポリイミドフィルムKapton100Hとセパレータのついた接着フィルムの接着フィルム面を、100℃のラミネートロール(線圧5kg/cm、ラミネート速度1m/分)にて貼り合せた後、上記のセパレータをはがした接着フィルム面に25μmのポリイミドフィルムKapton100Hを100℃のラミネートロール(線圧5kg/cm、ラミネート速度1m/分)にて貼り合せ試験片とした。上記試験片を80mm×80mmに切出し、プレス(160℃×3MPa×20分)を行った。その後、四辺それぞれの最大はみ出し部分をノギスにて測定し、その平均を流れ出し量(mm)とした。
(4)難燃性
難燃性の評価は、難燃性の規格UL94VTMによる試験(薄手材料垂直燃焼試験)を行い、VTM−0に合格したものを○で表し、不合格のものを×で表した。
(実施例1)
(1)シリコーンオリゴマー溶液の製造
撹拌装置、コンデンサー及び温度計を備えたガラスフラスコに、テトラメトキシシラン40g及びメタノール93gを配合した溶液を入れ、次いで、酢酸0.47g及び蒸留水18.9gを添加し、50℃で8時間撹拌し、シロキサン単位の重合度が20(GPCによる重量平均分子量から換算、以下同じ)のシリコーンオリゴマーを合成した。得られたシリコーンオリゴマーは、水酸基と反応する末端官能基としてメトキシ基及び/又はシラノール基を有するものである。
得られたシリコーンオリゴマー溶液にメタノールを加えて、固形分1重量%のシリコーンオリゴマー処理液を作製した。
(2)フレキシブルプリント配線板用接着材組成物の接着剤溶液の調整
無機充填剤(C)としてBF013(水酸化アルミニウム;日本軽金属株式会社製商品名)150重量部をメチルエチルケトンに分散させた後、シリコーンオリゴマーとして実施例1の(1)で作製したシリコーンオリゴマー処理液を15重量部となるよう加え、30分間室温(25℃)にて撹拌した溶液に、エラストマー(A)としてWS023DR(アクリルゴム;帝国化学産業株式会社製商品名、熱硬化性成分と反応する官能基としてカルボキシル基を有する)65重量部、熱硬化性成分(B)のエポキシ樹脂としてEP1001(ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名、エポキシ当量475)を25重量部とYDCN703(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;東都化成株式会社製商品名、エポキシ当量208))を5重量部、フェノール樹脂としてCRG−951(ノボラック型フェノール樹脂;昭和高分子株式会社製商品名)5重量部を加えた。さらに上記混合液に、硬化剤(D)として2P4MZ(四国化成工業株式会社製商品名、2−フェニル−4−メチルイミダゾール)1.0重量部を混合したものを接着剤溶液とした。
(2)接着フィルムの作製
75μm厚のポリエチレンテレフタレートの上にシリコーン系離型剤を塗布したセパレータ(以下、セパレータ)に乾燥後の接着剤厚みが12.5μmになるように接着剤溶液を塗付し、熱風乾燥機中で90℃、3分間乾燥して接着フィルムを作製した。
(実施例2)
実施例1において、EP1001を、YDF170(ビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成株式会社製商品名、エポキシ当量170))20重量部、CRG−951を、BRP−2444(レゾール型フェノール樹脂;昭和高分子株式会社製商品名)10重量部、BF013を200重量部、シリコーンオリゴマー処理液を30重量部、2P4MZを、2PZCNS(四国化成工業株式会社製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト)1.0重量部とした以外は、実施例1と同様に行い接着フィルムを作製した。
(実施例3)
実施例1において、WS023DRを、Nipol 1072J(日本ゼオン株式会社製商品名、熱硬化性成分と反応する官能基としてカルボキシル基を有する)60重量部、EP1001を15重量部、YDCN703を10重量部、CRG−951を15重量部、BF013を100重量部とした以外は、実施例1と同様に行い接着フィルムを作製した。
(実施例4)
実施例3において、Nipol 1072Jを50重量部、EP1001を25重量部、YDCN703を15重量部、CRG−951の替わりに、BRP−2444を10重量部、2P4MZの替わりに、ジシアンジアミド1.0重量部、BF013をハイジライトH−42M(水酸化アルミニウム;昭和電工株式会社製商品名)50重量部、シリコーンオリゴマー処理液を8.0重量部とした以外は、実施例3と同様に行い接着フィルムを作製した。
(実施例5)
実施例1において、WS−023DRを55重量部、YDCN703を20重量部、EP1001の替わりに、YDF170を30重量部、CRG−951の替わりに、BRP−2444を5重量部、2P4MZの替わりに、ジシアンジアミド1.0重量部、BF013の替わりにハジライトH−42Mを100重量部、シリコーンオリゴマー処理液を15重量部とした以外は、実施例1と同様に行い接着フィルムを作製した。
以上の実施例1〜実施例5の結果を、配合と流れ出し性、常態はく離接着強さ、リフローはんだ耐熱性、難燃性の測定結果と共に表1に示した。
Figure 2009253213
表中の部数は溶剤を除いた重量部比
流れ出し量の評価;○:0.5mm未満 ×:0.5mm以上
難燃性評価;○:合格、×:不合格
(比較例1)
実施例1において、BF013を0重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例2)
実施例1において、EP1001の替わりにYDF170を25重量部、BF013を300重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例3)
実施例2において、YDF170を25重量部、YDCN703を0重量部、BF013を100重量部、シリコーンオリゴマー処理液を15重量部とした以外は、実施例2と同様に行った。
(比較例4)
実施例1において、WS023DRを100重量部、EP1001を0重量部、YDCN703を0重量部、CRG−951を0重量部、2P4MZを0重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例5)
実施例1において、WS023DRを0重量部、YDF170を80重量部、CRG−951を20重量部、2PZCNSを1重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例6)
実施例1において、WS023DRを70重量部、EP1001を0重量部、YDCN703を5重量部、YDF170を0重量部、BF013をアエロジル200(酸化珪素;日本アエロジル株式会社製商品名)100重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例7)
実施例1において、シリコーンオリゴマーを0重量部にした以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例8)
実施例1において、EP1001を0重量部、YDCN703を30重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
以上の比較例1〜比較例9の結果を表2に一覧にして示した。
Figure 2009253213
表中の部数は溶剤を除いた重量部比
流れ出し量の評価;○:0.5mm未満 ×:0.5mm以上
無機充填剤(C)を含まない比較例1は、難燃性が不合格となった。無機充填剤(C)を多量に含む比較例2は、常態はく離接着強さが低下した。熱硬化成分(B)でノボラック型エポキシ樹脂を含まない比較例3は、接着剤の流れ出しが多くなった。熱硬化性成分(B)を含まない比較例4は、常態はく離接着強さ、リフローはんだ耐熱性が低下した。エラストマー(A)を含まない比較例5は、常態はく離接着強さが低かった。無機充填剤(C)を酸化珪素に変更し、ノボラック型エポキシ樹脂とフェノール樹脂を用いた比較例6は、難燃性が不合格であり、同様にノボラック型エポキシ樹脂を増加した比較例8では接着強さが低下した。シリコーンオリゴマーを用いない比較例7は、充填剤の分散が悪く良好な接着フィルムを形成できなかった。比較例2でシリコーンオリゴマーの代わりに、シランカップリング剤(例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤、エポキシ基を有するシランカップリング剤)を配合したが、充填剤を多量に配合する場合、シリコーンオリゴマーの方が分散性にはるかに優れていた。
これらの比較例に対し、本発明のエラストマー(A)、特定の熱硬化性成分(B)、無機充填剤(C)、硬化剤(D)及びシリコーンオリゴマー(E)を含むフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物では、流れ出し性、常態はく離接着強さ、リフローはんだ耐熱性、難燃性のいずれにも優れる。
本発明によれば、エラストマー、特定の熱硬化性成分、硬化剤、無機充填剤、シリコーンオリゴマーを必須成分として用いることで、難燃でプレス時の樹脂の流れ出しが少なく、かつ、鉛フリーはんだに対応可能なリフローはんだ耐熱性をもつFPC用接着剤組成物接着フィルムおよびカバーレイフィルムを提供することができる。

Claims (7)

  1. エラストマー(A)、熱硬化性成分(B)、無機充填剤(C)、硬化剤(D)及びシリコーンオリゴマー(E)を含むフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物であって、熱硬化性成分(B)としてビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂の少なくとも一方と、ノボラック型エポキシ樹脂の混合物と、フェノール樹脂を用いるフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物。
  2. 熱硬化性成分(B)の各エポキシ樹脂のエポキシ当量が、150〜1000である請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物。
  3. (A)+(B)+(D)+(E)の総計100重量部に対して、無機充填剤(C)が、50〜200重量部である請求項1または請求項2に記載のフレキシブル配線板用接着剤組成物。
  4. エラストマー(A)が、熱硬化性成分(B)のいずれかと反応する官能基を有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物。
  5. シリコーンオリゴマー(E)が、2官能性シロキサン単位(RSiO2/2)、3官能性シロキサン単位(RSiO3/2)及び4官能性シロキサン単位(RSiO4/2)(式中、Rは有機基であり、シリコーンオリゴマー中のR基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)から選ばれる少なくとも1種類のシロキサン単位を含有し、重合度が2〜70で、末端に水酸基と反応する官能基を1個以上有するシリコーンオリゴマーである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物を用いたフレキシブルプリント配線板用接着フィルム。
  7. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用接着剤組成物を用いたフレキシブルプリント配線板用カバーレイフィルム。
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