JP2006282727A - エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む粉体及びそれからなる粉体塗料 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む粉体及びそれからなる粉体塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】 粉体塗装を行った場合に、EVOHあるいはEVOH組成物の本来有する好適な性能を有しながら、良好な耐衝撃性と耐洗浄剤性を達成できる樹脂混合物粉体、およびそれを用いた多層構造体を得る事。
【解決手段】 エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)、該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と親和性を有する樹脂(B)からなる樹脂組成物と、酸化防止剤(C)からなる粉体(P)であって、該粉体(P)中、(A)と(B)との重量比A/Bが40/60〜98/2であり、かつ、(A)と(B)との合計と、(C)との重量比(A+B)/Cが100/0.005〜100/20である粉体、およびそれを粉体塗料として用いて基材上に塗布してなる多層構造体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む粉体及びそれからなる粉体塗料に関する。また、当該粉体塗料を基材上に塗布してなる多層構造体および排水パイプに関する。
従来、主として金属等からなる基材を錆、腐食あるいは溶剤から守る手法として、粉体塗装が注目されている。粉体塗装は、特に近年において、環境負荷を低減するために溶剤系塗料の使用が控えられていること、そして生産速度の向上、コスト低減なども期待できることから、将来的に有望な塗装法として期待されている。粉体塗装用樹脂としては、ポリエチレン、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などからなる粉体が、用いられている。
しかしながら、これらの樹脂はガスバリア性及び/又は耐薬品性が不充分であるため塗膜をかなり厚くする必要があった。あるいは、金属表面とかかる樹脂からなる塗膜との層間接着性が不充分であるため、塗装前にプライマーなどで金属表面を前処理する必要があった。
上記問題を解決するために、粉体塗装用樹脂としてエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記することがある)粉末を用いる方法が特許文献1に開示されている。
さらに、EVOH粉末が塗布された成形品において、塗膜厚みの均一性を改善し、かつ、塗膜表面の耐衝撃性を改善する方法として、エチレン含有量15〜70モル%、酢酸ビニル成分のケン化度が80モル%以上、メルトインデックスが1〜100g/10分のEVOH100重量部に対し、酸性化合物を0.0001〜1重量部含有し、かつ沸点200℃以下の低沸点化合物を0.1〜1重量部含有する粉体塗装用樹脂組成物が特許文献2に開示されている。当該公報には、前記沸点200℃以下の低沸点化合物としては、安全性及び環境の面から水が好適である旨が記載されている。また、前記沸点200℃以下の低沸点化合物の含有量が1重量部以上の場合は、急激な昇温を伴う溶射法において、塗膜表面の凸凹が激しくなる旨も記載されている。
加えて、特許文献3に、EVOH,ポリアミドおよびオレフィン−不飽和カルボン酸共重合体からなる粉体塗装用樹脂組成物が、良好な耐衝撃性、耐有機溶剤性、耐衝撃性を有する事が開示されている。
また特許文献4に、EVOHと融点が160℃以下のポリアミド系樹脂を含有する樹脂組成物が、良好な耐アルカリ接着性、耐衝撃性を有する事が開示されている。
更には特許文献5に、EVOH,ポリアミドおよびオレフィン−不飽和カルボン酸共重合体からなる粉体塗装用樹脂組成物に、熱劣化防止の観点から酸化防止剤を樹脂組成物および粉体塗料に添加することが開示されているが、特定の酸化防止剤を特定量添加することについては記載がなく、そのような粉体を粉体塗料としてパイプ等に塗布した多層構造体の洗浄剤耐性が向上することについて記載も示唆もない。また、リン酸系熱安定剤との併用についても記載されていない。
この発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
特開平3−115472号公報 特開平9−241537号公報 特開2000−248205号公報 特開2002−363476号公報 特開2000−248205号公報
上記技術によりEVOHあるいはEVOH樹脂組成物からなる粉体を塗装した場合、耐衝撃性が改善された、耐有機溶媒性、耐酸、耐アルカリ性も良好な塗膜が得られる。しかし、これをトイレ・台所・洗濯機などから出る生活廃水の排水パイプの塗装に使用する場合、各種殺菌剤や漂白剤、トイレ洗浄剤等に含まれる塩素化合物に対する耐性が要求されるが、EVOHの塩素化合物に対する耐性は高くなく、特に次亜塩素酸塩などの強力な洗浄剤に長時間さらされると容易に樹脂の劣化が進行し、塗膜の強度は急速に低下する。また、建築/建設現場で排水パイプ等を施工する場合、パイプ等を他の硬い物に全く接触させずに工事を行うのは非常に困難であるが、この時塗膜の耐衝撃性が不十分であると、塗膜にクラックが発生や、激しいときは塗膜の剥落が発生する。こうなると、塗装の機能である良好な外観の保持や、防食性などが失われる。
よって、排水パイプ等の塗装には、良好な耐洗浄剤性と耐衝撃性を併せ持つ塗料が求められてきた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、EVOHあるいはEVOH組成物の本来有する好適な性能を有しながら、良好な耐衝撃性と耐洗浄剤性を有する粉体を提供することを目的とするものである。また、そのような粉体からなる粉体塗料及び該粉体塗料を基材上に塗布してなる多層構造体および排水パイプを提供することを目的とするものである。さらに、吸湿した粉体を用いて粉体塗装を行った場合でも、平滑性に優れ、光沢良好な塗膜を得られる粉体を提供することも本発明の目的である。
上記課題は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)、該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と親和性を有する樹脂(B)からなる樹脂組成物と、酸化防止剤(C)を含有する粉体(P)であって、該粉体(P)中、(A)と(B)との重量比A/Bが40/60〜98/2であり、かつ、(A)と(B)との合計と、(C)との重量比(A+B)/Cが100/0.005〜100/20である粉体を、提供することによって達成される。
この時、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が、エチレン含有量が2〜60モル%、ケン化度が85モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体であることが好適である。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と親和性を有する樹脂(B)が、水酸基と反応し得る官能基を有する熱可塑性樹脂であることが好適である。
この水酸基と反応し得る官能基が、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸塩基、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボロン酸無水物基、ボロン酸塩基、イソシアネート基、エステル結合、ウレタン結合およびアミド結合からなる群より選ばれる、少なくとも1種の官能基であれば、より好適である。
更に、この水酸基と反応し得る官能基を有する熱可塑性樹脂が、水酸基と反応し得る官能基を有するポリオレフィン(B1)、水酸基と反応し得る官能基を有する、芳香族ビニル重合体ブロックと水添共役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体(B2)、ガラス転移温度が−150〜25℃、結晶融解熱が30J/g以下のポリエステル(B3)、熱可塑性ポリウレタン(B4)およびポリアミド樹脂(B5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂であれば、より好ましい。
上記の芳香族ビニル重合体ブロックと水添共役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体(B2)が、水酸基と反応し得る官能基として、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸塩基、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボロン酸無水物基およびボロン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を10〜1000μeq/g有する熱可塑性樹脂であることが好適である。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と親和性を有する樹脂(B)が、コア成分のガラス転移温度が−10℃以下、かつシェル成分のガラス転移温度が30℃以上であるコアシェル重合体粒子(B6)、および、エチレン含有量70〜95モル%、ケン化度85モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B7)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることも、好適である。
前記の酸化防止剤(C)が、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびビタミンE系酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤であることが好適である。
加えて、粉体(P)がさらにリン系熱安定剤(D)を含有すれば、より好ましい。
また、粉体(P)中、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と該エチレン−ビニルアルコール共重合体と親和性を有する樹脂(B)との合計に対する、酸化防止剤(C)とリン系熱安定剤(D)との合計との重量比(A+B)/(C+D)が100/0.005〜100/20であれば、更に好適である。
粉体(P)が無機物微粒子(E)を含有することも好適であり、この無機物微粒子(E)が、一次粒子の平均粒子系が1〜100nmのシリカ粒子またはアルミナ粒子であれば、より好ましい。
更に、粉体(P)の粒子径が22〜850μmであることが好適である。
上記粉体からなる粉体塗料は本発明の好適な実施態様である。また、当該粉体塗料を基材上に塗布してなる多層構造体も本発明の好適な実施態様である。この多層構造体は良好な洗浄剤耐性を有する事が期待できる。更に、当該粉体塗料を基材上に塗布してなる洗浄剤耐性に優れた排水パイプも本発明の好適な実施態様である。
本発明の樹脂混合物を粉体塗料として用いた場合、基材に塗布された塗膜が非常に塗膜の耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性に優れたものが得られる。特に、通常のEVOH組成物では達成する事のできない、良好な耐洗浄剤性が得られる点で、本発明は優れている。
本発明で用いられるEVOH(A)としては、エチレン−ビニルエステル共重合体をケン化して得られるものが好ましい。EVOHの製造時に用いるビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。また、本発明の目的が阻害されない範囲であれば、他の共単量体、例えば、プロピレン、ブチレン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸又はそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸又はその塩;アルキルチオール類;N−ビニルピロリドンなどのビニルピロリドン等を共重合することもできる。
EVOH(A)として、ケイ素を含有するオレフィン性不飽和単量体で変性されてなり、かつその変性量が0.0002〜0.5モル%である変性EVOHを用いることが好ましい。このEVOHからなる粉体を基材に塗布した場合、塗膜と基材との間の層間接着強度が改善される。特に、基材が金属である場合に改善効果が大きい。ケイ素を含有するオレフィン性不飽和単量体によるEVOHの変性量が0.0002モル%に満たない場合は、塗膜と基材との間の層間接着強度の改善効果が充分に得られない。一方、変性量が0.5モル%を超える場合は、樹脂の溶融時の流動性が低下して、塗膜表面に凹凸を生じやすい。ケイ素を含有するオレフィン性不飽和単量体による、より好適なEVOHの変性量は0.001〜0.1モル%であり、更に好適には0.005〜0.07モル%であり、最適には0.01〜0.05モル%である。
ここで、ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
本発明に用いられるEVOH(A)のエチレン含有量は2〜60モル%であることが好ましい。エチレン含有量が60モル%を超える場合、得られるEVOH(A)のガスバリア性及び耐薬品性が不十分になるおそれがある。エチレン含有量の上限は57モル%以下であることがより好ましく、54モル%以下であることがさらに好ましく、51モル%以下であることが最適である。一方、エチレン含有量が2モル%に満たない場合、得られるEVOH(A)を含有する粉体塗料は得られる塗膜が硬すぎて、塗膜の耐衝撃性が不充分になるおそれがある。更に、エチレン含有量が低いほど得られるEVOH(A)の融点が高くなる一方、分解開始温度が低くなる傾向にあるため、粉体塗装が可能な運転条件の範囲が狭くなる。この観点より、EVOH(A)のエチレン含有量の下限はより好適には5モル%以上であり、さらに好適には10モル%以上であり、特に好ましくは15モル%以上であり、最適には20モル%以上である。なお、EVOH(A)は、エチレン含有量の異なる2種類以上のEVOHの配合物であってもよく、その場合には、配合重量比から算出される平均値をエチレン含有量とする。
さらに、本発明に用いられるEVOH(A)のビニルエステル成分のケン化度は好ましくは90モル%以上である。ビニルエステル成分のケン化度は、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり、最適には99モル%以上である。ケン化度が90モル%未満では、塗膜のガスバリア性及び耐薬品性が不充分となるおそれがある。なおここで、EVOH(A)がケン化度の異なる2種類以上のEVOHの配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をケン化度とする。
EVOH(A)のエチレン含有量及びケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
さらに、EVOH(A)として、本発明の目的を阻外しない範囲内で、ホウ素化合物をブレンドしたEVOHを用いることもできる。ここでホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物のうちでもオルトホウ酸(以下、単にホウ酸と表示する場合がある)が好ましい。
EVOH(A)として、ホウ素化合物をブレンドしたEVOH(A)を用いる場合、ホウ素化合物の含有量は好ましくはホウ素元素換算で20〜2000ppm、より好ましくは50〜1000ppmである。この範囲内でホウ素化合物をブレンドすることで、折り曲げなどの大きな変形を加えた時にもクラックが入りにくいという効果が得られる。
また、EVOH(A)として、リン酸化合物を配合したEVOH(A)を用いてもよい。これにより樹脂の品質(着色等)を安定させることができる場合がある。本発明に用いられるリン酸化合物としては特に限定されず、リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等を用いることができる。リン酸塩としては第一リン酸塩、第二リン酸塩、第三リン酸塩のいずれの形で含まれていても良いが、第一リン酸塩が好ましい。そのカチオン種も特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。これらの中でもリン酸二水素ナトリウム及びリン酸二水素カリウムが好ましい。リン酸化合物を配合したEVOH(A)を用いる場合の、リン酸化合物の含有量は、好適にはリン酸根換算で200ppm以下であり、より好適には5〜150ppmであり、最適には5〜100ppmである。
本発明に用いられるEVOH(A)の固有粘度は0.057L/g以上であることが好ましい。EVOH(A)の固有粘度はより好ましくは0.059〜0.110L/gの範囲内であり、さらに好ましくは0.062〜0.097L/gであり、特に好ましくは0.066〜0.087L/gである。EVOH(A)の固有粘度が0.110L/gを超える場合、粉体塗料として用いた場合に、樹脂の流動性が低くなり、塗膜表面に凹凸を生じるおそれがある。また、EVOH(A)の固有粘度が0.057L/g未満の場合、塗膜の厚みの不均一を生じるおそれがある。
本発明に用いられるEVOH(A)の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)は3〜150g/10分であり、より好適には0.5〜120g/10分、更に好適には8〜90g/10分、特に好適には10〜60g/10分である。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。MFRの異なる2種以上のEVOH(A)を混合して用いることもできる。
本発明のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と親和性を有する樹脂(B)は特に限定されるものではないが、水酸基と反応し得る官能基を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。
水酸基と反応し得る好適な官能基としては、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸塩基、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボロン酸無水物基、ボロン酸塩基、イソシアネート基、エステル結合、ウレタン結合およびアミド結合などが例示される。
本発明における、EVOH(A)と、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)の重量比、A/Bは40/60〜98/2が好適である。(B)の重量分率が60%を超えると、EVOHの持つ良好な表面硬度・耐薬品性・接着性などの性質が悪化し、2%に満たない場合は耐衝撃性の改善が不十分となる。A/Bのより好適な範囲は55/45〜97/3、更に好適には50/50〜96/4、最も好適には60/40〜95/5である。
水酸基と反応し得る官能基を有するポリオレフィン(B1)としては、高密度もしくは低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1などの単独重合体、およびエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどから選ばれたα−オレフィン同士の共重合体あるいはα−オレフィンと他の共重合体成分との共重合体などを、カルボン酸、カルボン酸塩、およびボロン酸基または水の存在下でボロン酸基に転化しうるホウ素含有基、イソシアネート基、アミド基、エポキシ基などで変性したものが挙げられる。これらの内、カルボン酸、カルボン酸塩、およびボロン酸基または水の存在下でボロン酸基に転化しうるホウ素含有基の、少なくとも1種類で変性されたポリオレフィンが、少量の添加で耐衝撃性改善の効果が得られる事、および経済性より望ましい。
変性の方法としては、上記官能基を有するビニル化合物を共重合する方法や、ポリオレフィン中に微量存在する二重結合に付加させる方法、グラフト化して側鎖に官能基を導入する方法などが例示される。共重合以外の変性方法については、溶液中で反応させる方法や、押出機内で反応させる方法など、特に限定はされない。
本発明における、水酸基と反応し得る官能基を有する、芳香族ビニル重合体ブロックと水添共役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体(B2)としては、ビニル芳香族化合物の重合体ブロック(S)と、不飽和度が20モル%を超えない共役ジエン化合物ブロック(O)とからなり、一般にS−OあるいはS−O−Sの構造で表されるブロック共重合体水添物(a)100重量部に、水酸基と反応し得る官能基を有する化合物、またはその誘導体を0.1〜10重量部付加反応して変性した変性ブロック共重合体水添物が挙げられる。
S−OあるいはS−O−Sの分子構造は、直線状、分岐状、放射状またはこれらの組み合わせなどいずれであっても良く、S−O構造とS−O−S構造を混合して使用しても良い。また、ブロック共重合体水添物(B2)として、無変性のブロック共重合体水添物と、変性ブロック共重合体水添物の混合物を使用しても良い。
ブロック共重合体水添物(B2)におけるビニル芳香族化合物の含有量は10〜90重量%、好ましくは10〜50重量%であり、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等から1種あるいは2種以上選択して使用できる。共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等から1種あるいは2種以上選択して使用できる。
ブロック共重合体水添物(B2)における、水酸基と反応し得る官能基としては、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸塩基、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボロン酸無水物基およびボロン酸塩基などが好適なものとして例示される。これらの官能基単独、または複数使用しても良い。水酸基と反応し得る官能基の量は、ブロック共重合体水添物に対して10〜1000μeq/gが好適である。より好適には20〜500μeq/g、更に好適には40〜250μeq/gである。
本発明の、ガラス転移温度が−150〜25℃、結晶融解熱が30J/g以下のポリエステル系樹脂(B3)は、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸や、アジピン酸、セパシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸を1種類以上と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの炭素数2〜6のジオール成分を重縮合した物である。ガラス転移温度が−150℃未満の場合、ポリエステル樹脂が膠着しやすいため、EVOH(A)との混合操作が行いにくく、25℃を超える場合は耐衝撃性の改善効果が不十分になる。また、結晶融解熱が30J/gを超える場合も耐衝撃性の改善効果が不十分になる。より好適なガラス転移温度の範囲は−80〜−10℃である。また、結晶融解熱は10〜20J/gである事がより好ましい。
ポリエステル樹脂(B3)のガラス転移温度は樹脂中の芳香族酸と脂肪族酸の比率によってコントロール可能で、脂肪族酸の量を増やす事によりガラス転移温度を下げる事が出来る。また、結晶融解熱については、樹脂の結晶性を乱す成分(例えばフタル酸)を増量すれば、低下させる事が出来る。
なお、ポリエステル樹脂(B3)のガラス転移温度は、示差走査型熱量計(DSC)で昇温速度10℃/分の条件で測定され、結晶融解熱はDSCで昇温速度20℃/分の条件で測定される。
本発明における熱可塑性ポリウレタン(B4)とは、溶融成形可能なポリウレタン樹脂であり、通常高分子ジオール及び有機ジイソシアネート、及び/または低分子ジオールなどの2または3成分よりなる。
高分子ジオールとは、重縮合、付加重合(例えば開環重合)または重付加などによって得られる高分子化合物のジオールであり、代表的なものとしてはポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、またはこれらの共縮合物が上げられる。これらは単独、あるいは2種類以上を混合して使用しても良い。これら高分子ジオールの平均分子量は500〜3000、好ましくは500〜2500の範囲にあるのが好ましい。
有機ジイソシアネートとしては、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4‘−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族、脂環族または脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。これらは単独、あるいは2種類以上を混合して使用しても良い。
低分子量ジオールとしては、分子量が500未満の低分子ジオール、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼンなど、芳香族、脂環族または脂肪族ジオールが挙げられる。これらは単独、あるいは2種類以上を混合して使用しても良い。
本発明におけるポリアミド樹脂(B5)とは、特に限定されるものではないが、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,12)等の脂肪族ポリアミド単独重合体;カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,12)等の脂肪族ポリアミド共重合体;ポリメタキシリレンジアンモニウムアジペート(MX−ナイロン)、ヘキサメチレンジアンモニウムテレフタレート/ヘキサメチレンジアンモニウムイソフタレート共重合体(ナイロン−6T/6I)等の芳香族ポリアミドがあげられる。これらのポリアミド樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
これらのポリアミド樹脂のうち、カプロアミド成分を含むポリアミド樹脂(例えば、ナイロン−6、ナイロン−6,12、ナイロン−6/12、ナイロン−6/6,6等)が好ましい。
本発明における、コア成分のガラス転移温度が−10℃以下、かつシェル成分のガラス転移温度が30℃以上であるコアシェル重合体粒子(B6)とは、主として熱可塑性樹脂でなる多層構造(2層構造以上)の粒子であり、ガラス転移点が30℃以上の樹脂の外殻層(シェル成分)とガラス転移温度が−10℃以下の樹脂の核部分(コア成分)を有する。シェル成分のガラス転移温度が30℃未満の場合は、粒子間の粘着力・凝集力が大きくなるため、EVOH(A)への均一な分散が困難になる。また、コア成分のガラス転移温度が−10℃を超える場合は、耐衝撃性の改善効果が不十分になる。コアシェル重合体粒子(B6)の外殻層および/または核部分は、上記のガラス転移温度を満たす複数の樹脂層で形成されてもよく、その場合は3層構造以上の粒子となる。
コアシェル重合体粒子(B6)の構成は特に限定されるものではないが、コア成分としては、ブタジエン、イソプレンなどのジエン系重合体を用いる事が、耐衝撃性改善の観点から好ましく、また、共役ジエン系単量体と共重合可能なビニル系単量体、例えばスチレンやアクリロニトリルなどとジエン系単量体との共重合体を用いる事も好適である。シェル成分として一般的な樹脂としては、メタクリル酸メチル、メタルクリル酸エチルなどのメタクリル酸エステルの重合体や、メタクリル酸エステルとスチレンなどの芳香族ビニル化合物やアクリロニトリルなどとの共重合体が、好適に用いられる。更に、シェル成分を、共重合・グラフト化などにより少量のカルボン酸化合物などEVOHと親和性を有する官能基で変性する事も、EVOH(A)への良好な分散性を得るために好ましい。
コアシェル重合体粒子(B6)の製造法は特に限定されないが、まず、共役ジエン系単量体を用いて乳化重合を行い、次いで、シェル成分を形成しうる単量体を反応系に投入して乳化重合を行う事により、目的のコアシェル重合体粒子を得る方法などが例示される。乳化重合法においては、公知の手段に従って、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタンなどの連鎖移動剤を必要に応じて用いる事ができる。なお、乳化重合後、ポリマーラテックスからのコアシェル重合体粒子(B6)の分離取得は公知の方法に従って、例えば凝固乾燥によって行う事ができる。
本発明におけるエチレン含有量70〜95モル%、ケン化度85モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B7)とは、特に限定はされないが、エチレンと酢酸ビニルを高圧法で共重合した重合体をメタノールに溶解して水酸化ナトリウムを触媒としてケン化したものなどが例示される。エチレン含有量が70モル%未満では耐衝撃性改善効果が不十分であり、95モル%を超える場合はEVOH(A)との相溶性不足により均一な分散が困難となる。また、ケン化度が85モル%未満の場合もEVOH(A)との相溶性が不足による分散不良を生ずる。更に、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を、共重合・グラフト化などにより少量のカルボン酸化合物などEVOHと親和性を有する官能基で変性する事も、EVOH(A)への良好な分散性を得るために好ましい。具体的な手法としては、マレイン酸の無水物・エステルなどを少量共重合する事が例示される。
本発明の酸化防止剤(C)としては、必ずしも限定されるわけではないが、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびビタミンE系酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を用いることが好適である。これら酸化防止剤の例としては、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾビラン−6−オール、などが例示される。中でも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾビラン−6−オールは、少量の添加で効果を発揮する事ができ、好適である。これらの酸化防止剤は単独、または複数を組み合わせて使用しても良い。
これらの酸化防止剤は、通常は樹脂の溶融成形時、あるいは成形後の使用条件での、空気中の酸素による劣化を防止されるために添加されるが、EVOH(A)と、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)からなる樹脂組成物に、酸化防止剤を添加することにより、殺菌剤や漂白剤、トイレ洗浄剤等に含まれる塩素化合物に長時間さらされても、外観・強度の悪化を実用上問題ない範囲に止める事が可能となる。もちろん、通常の酸化防止剤の効果である、空気中の酸素による劣化の抑制も期待できる。
本発明における酸化防止剤(C)の、EVOH(A)と、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)からなる樹脂組成物への添加方法は特に限定されないが、(A)、(B)および(C)をタンブラー等で混合するいわゆるドライブレンドを行うか、または別々に計量フィーダーを用いて、各成分を所定の組成比および所定の量になるように押出機に供給して溶融混練する方法、(A)および(B)を適当な溶媒に溶解し、その溶液に(C)を溶解/分散させた後、適当な方法で溶媒を除去する方法、あるいは、(A)または(B)を適当な溶媒に溶解し、その溶液に(C)を溶解/分散させて溶媒を除去した後、押出機で(B)または(A)を溶融混練する方法や、(A)+(B)の樹脂粉体に(C)の粉末を添加・混合する方法などが例示される。これらの内、工数・加工コスト低減の観点から、(A)、(B)および(C)をタンブラー等で混合するか、または別々に計量フィーダーを用いて、各成分を所定の組成比および所定の量になるように押出機に供給して溶融混練する方法が好ましい。
EVOH(A)と、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)からなる樹脂組成物に対する酸化防止剤(C)の含有量は、(A)と(B)との合計と、(C)との重量比(A+B)/Cが100/0.005〜100/20の範囲にある事が好適である。(C)の含有量が(A+B)100重量部に対して0.005重量部未満である場合は耐洗浄剤性の改善が不十分であり、20重量部を超える場合は均一に分散させる事が困難であり、また樹脂層表面へのブリードアウト等により、外観が悪化しやすい。(A)と(B)との合計と、(C)との重量比(A+B)/Cのより好適な範囲は100/0.01〜100/10であり、更に好適には100/0.03〜100/5、最も好適には100/0.05〜100/1である。
上記の酸化防止剤は、それのみでも効果を発揮するが、リン系熱安定剤(D)を併用すれば、より高い耐洗浄剤性を得る事ができる。本発明におけるリン系熱安定剤(D)としては特に限定はされないが、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、などが例示される。これらのリン系熱安定剤は単独、または複数を組み合わせて使用しても良い。
EVOH(A)と、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)からなる樹脂組成物に対する酸化防止剤(C)とリン系熱安定剤(D)の含有量は、(A)と(B)との合計と、(C)と(D)との合計との重量比(A+B)/(C+D)が100/0.005〜100/20の範囲にある事が好適である。(C+D)の含有量が(A+B)100重量部に対して0.005重量部未満である場合は耐洗浄剤性の改善が不十分であり、20重量部を超える場合は均一に分散させる事が困難であり、また樹脂層表面へのブリードアウト等により、外観が悪化しやすい。(A)と(B)との合計と、(C)と(D)との合計との重量比(A+B)/(C+D)のより好適な範囲は100/0.02〜100/10であり、更に好適には100/0.06〜100/5、最も好適には100/0.1〜100/1である。
本発明における酸化防止剤(C)およびリン系熱安定剤(D)の、EVOH(A)と、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)からなる樹脂組成物への添加方法は特に限定されないが、(A)、(B)、(C)、(D)をタンブラー等で混合するか、または別々に計量フィーダー用いて、各成分を所定の組成比および所定の量になるように押出機に供給して溶融混練する方法、(A)および(B)を適当な溶媒に溶解し、その溶液に(C)および(D)を溶解/分散させた後、適当な方法で溶媒を除去する方法、あるいは、(A)または(B)を適当な溶媒に溶解し、その溶液に(C)および(D)を溶解/分散させて溶媒を除去した後、押出機で(B)または(A)を溶融混練する方法や、(A)および(B)の樹脂組成物を含有する粉体に(C)+(D)の粉末を添加・混合する方法などが例示される。これらの内、工数・加工コスト低減の観点から、(A)、(B)、(C)および(D)をタンブラー等でドライブレンド、あるいは計量フィーダーにて別々に、所定量を押出機に供給して溶融混練する方法が好ましい。
また、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、本発明に用いられる粉体(P)に、可塑剤、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、架橋剤、充填剤、各種繊維等の補強剤等を適量添加することも可能である。特に、本発明の粉体(P)を粉体塗料として用いる場合は、顔料が配合された粉体(P)を用いることが好ましい。これらは、粉体(P)を粉砕する前に粉体(P)に溶融混練しても良いし、粉砕後にドライブレンドしても良いが、粉体(P)中に均一に分散させる観点から、粉砕前にEVOH(A)と、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)からなる樹脂組成物を製造する際に溶融混練することがより好ましい。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、これら添加剤の分散性を向上させるため、高級脂肪酸などの分散剤を添加しても良い。
また、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、本発明に用いられる粉体(P)として、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)以外の熱可塑性樹脂を配合した樹脂組成物を用いることも可能である。熱可塑性樹脂としては各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、結晶融解熱が30J/g以上のポリエステル、ポリスチレン、およびポリアクリロニトリルなどが用いられる。
上記のようにして得られた樹脂組成物は既に粉体である場合を除き、粉体化する必要がある。その加工方法は特に限定はされないが、凍結粉砕やジェットミルなどを使った機械的粉砕法、さらに樹脂混合物を適当な溶媒などに溶解させた後、貧溶媒中で微粉状に分散・析出させる方法などが例示される。
粉体(P)が無機物微粒子(E)を含有することも、塗膜外観の改善の面から好ましい。この無機物微粒子(E)が、一次粒子の平均粒子系が1〜100nmのシリカ粒子またはアルミナ粒子であれば、より好ましい。無機物の微粉末は、通常、個々の粒子がゆるく凝集した二次粒子を形成しているが、本発明においては、この二次粒子を形成している個々の粒子の径を無機物微粒子(E)の一次粒子の平均径とする。一次粒子の平均径は、透過型電子顕微鏡にて撮影した写真上で一次粒子直径を測定することにより求められる。
無機物微粒子(E)の一次粒子の平均径が1nmに満たない場合は、当該無機物微粒子(E)の製造が困難になる他、粉体(P)および無機物微粒子(E)を混合する際に、均質に混合することが難しくなる。そのため、樹脂混合物を粉体塗料として用いた場合に、塗膜の均一性が不充分になる。一方、無機物微粒子(E)の一次粒子の平均径が100nmを超える場合においても、樹脂混合物を粉体塗料として用いた場合に、塗膜の均一性・平滑性が不充分になる。
本発明に用いられる無機物微粒子(E)の一次粒子の平均径の下限は、より好適には3nm以上であり、さらに好適には5nm以上であり、最も好適には7nm以上である。一方、本発明に用いられる無機物微粒子(E)の一次粒子の平均径の上限は、より好適には85nm以下であり、さらに好適には70nm以下であり、最も好適には55nm以下である。
本発明に用いられる無機物微粒子(E)としては特に限定されないが、シリカ、酸化アルミニウム、タルク、酸化チタンおよび炭酸カルシウムなどが好適なものとして例示される。これらの内、タルク、酸化チタンおよび炭酸カルシウムはそれぞれ固有の色を有するため、本発明の樹脂混合物を顔料などで着色する際に妨げとなる虞がある。また、本発明の樹脂混合物を粉体塗料として用いた場合、透明な塗膜を基材上に形成することを要求されるときなども、無機物微粒子(E)が透明性に優れることが望ましい。かかる観点からは、本発明に用いられる無機物微粒子(E)としては、透明性の良好なシリカおよび酸化アルミニウムが特に好適である。
また、正確な理由は不明であるが、本発明に用いられる無機物微粒子(E)として、その表面が疎水化処理された無機物微粒子(E)を用いることにより、本発明の効果を一層顕著に奏することができる。すなわち、本発明の樹脂混合物を粉体塗料として用いた場合に、塗膜の均一性が、より一層改善される。無機微粒子(E)の表面の疎水化処理は公知の方法が行うことが可能であり、ハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類、シロキサン類などで処理する方法が例示される。
本発明において、無機物微粒子(E)の粉体(P)中の含有量は特に制限される物ではないが、粉体(P)100重量部に対して無機物微粒子(E)を0.0001〜2重量部が好ましい。特に、より好適な実施態様では、前記粉体(P)が、樹脂混合物粉体の表面に無機物微粒子(E)が付着していることを特徴とする。
また、本発明に用いられる粉体(P)の粒子径は、22〜850μmである事が好適である。すなわち、JIS規格Z−8801に示される標準ふるい規格で、呼び寸法850μmのふるいを通過し、22μmのふるいを通過しないものを、粉体(P)全体の内、80重量%以上含むものである。かかる粒子径の粉体(P)を用いることにより、本発明のエチレン−ビニルアルコール共重合体を主成分とする樹脂混合物の粉体を粉体塗料として用いた場合、塗膜表面の均一性に優れた成形物を得ることができる。粉体(P)全体の内、22μmのふるいを通過するものが20重量%以上である場合、粉体(P)の粒子間の凝集が起きやすく塗膜表面に凹凸ができやすい。一方、粉体(P)全体の内、850μmのふるいを通過するものが80重量%に満たない場合も、同様に塗膜表面に細かい凹凸ができやすく平滑性に劣る。本発明に用いられる粉体(P)の粒子径は、より好適には26〜710μm、更に好適には32〜600μm、最も好適には38〜500μmである。
本発明における、粉体(P)と無機物微粒子(E)を混合する方法は特に限定されない。好適な方法としては、粉体(P)と無機物微粒子(E)をドライブレンドする方法、EVOH(A)と、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)からなる樹脂組成物のペレットおよび無機物微粒子(E)をドライブレンドした後、得られた組成物を粉砕する方法、粉体(P)の粉体および無機物微粒子(E)を液体(水など)に懸濁し、充分攪拌した後に脱液・乾燥する方法、粉体(P)を乾燥状態で攪拌しながら、無機物微粒子(E)を液体(水など)に懸濁した懸濁液を添加し、充分混合した後に脱液・乾燥する方法などが好適なものとして例示される。これらの中でも、簡便性および生産性の観点から、前記の粉体(P)と無機物微粒子(E)をドライブレンドする方法、または前記のEVOH(A)と、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)からなる樹脂組成物のペレットおよび無機物微粒子(E)をドライブレンドした後、得られた混合物を粉砕する方法がより好ましい。
本発明の粉体(P)の含水率は特に限定されないが、本発明の樹脂混合物を粉体塗料として用いた場合に得られる塗膜の均一性の観点からは、樹脂混合物の含水率の上限は6重量%未満であることが好ましく、4重量%以下であることがより好ましく、3重量%以下であることがさらに好ましく、2.5重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂混合物は、好適には粉体塗料として用いられる。かかる粉体塗料は、さまざまな粉体塗装方法で使用可能である。粉体塗装法としては、流動浸漬法、静電塗装法、溶射法、回転成型法等があげられる。塗装温度条件は、塗装方法・該共重合体の融点等により異なるが、基材表面温度で150〜300℃程度が好ましい。
本発明の樹脂混合物を用いた塗装の対象となる基材としては、鋼管、鋼板などの金属があげられる。通常これら金属は、塗膜との接着性、耐食性、外観などを改善するため、脱脂、リン酸塩処理、メッキなどの前処理を必要に応じて実施される。また、本発明の樹脂混合物は、陶器、セラミック、ガラス、プラスチックなどの塗装にも使用できる。
本発明の樹脂混合物からなる粉体塗料を、上述のように、金属を代表とする基材上に粉体塗装により塗布することで、多層構造体が得られる。この時、必要に応じて他の樹脂層との多層化を行うことは自由である。他の樹脂層との多層化を行った際の前記多層構造体の構成としては、基材をM、本発明の樹脂混合物を塗布してなる層をE、他の樹脂層をP1、P2で表わすと、M/E/P1、M/P1/E、M/P1/E/P2等、種々の構成があげられるが、これに限定されない。
本発明の樹脂混合物を塗布してなる層と積層される他の樹脂としては、各種ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィンの単独またはその共重合体;カルボン酸変性ポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル・ポリエステルエラストマー;ナイロン−11、ナイロン−12等の各種ポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;アクリル系樹脂;ポリウレタンエラストマーなどの熱可塑性樹脂や、熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、またはこれらの樹脂の変性物の単品または混合物が挙げられる。
本発明の樹脂混合物からなる層と他の樹脂層を複合する方法は特に限定されないが、粉体塗装を複数回行う方法、樹脂混合物と、1種又はそれ以上の他の樹脂からなる混合物を溶融させ、親和性の差により相分離させて一度の塗装で2層以上の樹脂層を得る方法などが例示される。これらの内、粉体塗装を複数回行う方法が樹脂間の親和性等を考慮する必要がなく、簡便に実施可能である。
このようにして得られた、粉体(P)より形成された層を含む多層構造体は、EVOHの良好な耐溶剤性・ガスバリア性に加え、改善された耐洗浄剤性・耐衝撃性を有する。
また、本発明の粉体を用いてパイプ形状の基材に粉体塗装を実施すれば、EVOHの良好な耐溶剤性・ガスバリア性を有し、かつ実用上問題のない耐洗浄剤性・耐衝撃性を有する排水パイプを得る事ができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。以下「%」、「部」とあるのは特に断わりのない限り重量基準である。
合成例1
容積200Lの重合反応容器に、酢酸ビニル83.1kg、メタノール8.4kgを仕込み、エチレンガスを用いて重合容器内の酸素を置換した。重合容器内の温度を60℃に調整し、エチレンガスを容器内に導入・加圧して圧力を6.18MPaに昇圧した。温度・圧力が安定した時点で、アゾビスイソバレロニトリル150gをメタノール3kgに溶解したものを重合容器内に投入し、重合反応を開始させた。4時間後に重合容器内の温度を20℃に冷却すると同時に、酢酸銅0.2gを20kgのメタノールに溶解させた物を容器内に投入し、重合反応を停止させた。終了時の酢酸ビニルの重合率は35モル%であった。
重合容器内のエチレンガスをパージした後、重合液を容器から抜き取り、20Lのメタノールで希釈した。この液を塔型容器の塔頂よりフィードし、塔底よりメタノールの蒸気をフィードして、重合液内に残る未反応モノマーをメタノール蒸気と共に除去してエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を得た。ポリマー中のエチレン含有量は47モル%、溶液中のポリマー濃度は43%であった。
得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液をケン化反応器に仕込み、苛性ソーダ/メタノール溶液(80g/L)を共重合体中のビニルエステル成分に対し、0.4当量となるように添加し、メタノールを添加してポリマー濃度が20%になるように調整した。60℃に昇温し反応器内に窒素ガスを吹き込みながら約4時間攪拌した。4時間後、酢酸を添加した。得られた、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)のケン化度は、99.5モル%だった。
得られたEVOHのメタノール溶液を80℃に加熱し、ポリマー濃度が43.3%になるまで過剰のメタノールを蒸発させた。このようにして得られたEVOHのメタノール溶液100重量部に対し5.61重量部の水を加えて、ポリマー濃度41%のメタノール/水溶液を得た。この時の溶媒組成は、メタノール/水=91/9重量%であった。このEVOHのメタノール/水溶液を、円形の開口部を有する金板から、5℃のメタノール/水=10/90重量%の組成を持つ浴中に、押し出してストランド状の析出物を得た。得られたストランドを切断することで直径約3mm、長さ約5mmのEVOHペレットを得た。得られたEVOHペレットを遠心分離機で脱液し、さらに大量の水を加え脱液する操作を繰り返した。
こうして得られたEVOHの含水ペレット100重量部(含水率55%)を、酢酸0.4g/L、酢酸カルシウム0.28g/L、リン酸二水素カリウム0.075g/Lを含有する水溶液845重量部に25℃で6時間浸漬した。浸漬後脱液し、80℃で3時間、引き続いて107℃で24時間熱風乾燥機を用いて乾燥を行い、乾燥EVOHペレットを得た。得られた乾燥EVOHペレットを用いて、EVOHが含有するカルボン酸、リン酸化合物、および各種金属イオンの量を、以下の方法に従って測定した。
(1)カルボン酸の含有量の定量
乾燥EVOHペレット20gをイオン交換水100mlに投入し、95℃で6時間加熱抽出した。抽出液を、フェノールフタレインを指示薬として、1/50規定のNaOHで中和滴定し、得られた酸のモル数に分子量をかけて、酸の含有量を定量した。更に、該抽出液を用いて、カラムに株式会社横河電機製のSCS5−252を使用し、溶離液として0.1%のリン酸水溶液を用いたイオンクロマトグラフィーによりそれぞれのカルボキシルアニオンを同定した。
(2)アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの定量
試料とする乾燥EVOHペレット10gを0.01規定の塩酸水溶液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶液をイオンクロマトグラフィーにて定量分析し、金属イオンの量を定量した。カラムは、株式会社横河電機製のICS−C25を使用し、溶離液は5.0mMの酒石酸と1.0mMの2,6−ピリジンジカルボン酸を含む水溶液とした。なお、定量に際してはそれぞれ塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液および塩化カルシウム水溶液など各種金属塩の水溶液で作成した検量線を用いた。こうして得られたアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの量から、乾燥ペレット中のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の量を金属元素換算の値で得た。
(3)リン酸系化合物の定量
試料とする乾燥EVOHペレット10gを0.01規定の塩酸水溶液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶液を、イオンクロマトグラフィーを用いて定量分析し、リン酸イオンの量を定量した。カラムは、株式会社横河電機製のICS−A23を使用し、溶離液は2.5mMの炭酸ナトリウムと1.0mMの炭酸水素ナトリウムを含む水溶液とした。なお、定量に際してはリン酸二水素ナトリウム水溶液で作成した検量線を用いた。こうして得られたリン酸イオンの量から、リン酸系化合物の含有量をリン酸根換算で得た。
得られた乾燥EVOHペレット中に含まれるカルボン酸は酢酸であり、その含有量は310ppmであった。また前記EVOHペレット中に含まれるカルシウム塩の含有量は金属元素換算で72ppm、カリウム塩の含有量は金属元素換算で37ppm、リン酸化合物の含有量はリン酸根換算で52ppmであった。また、得られたEVOH樹脂ペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は30g/10分であった。
(4)固有粘度
試料とする乾燥EVOHペレット0.20gを精秤し、これを含水フェノール(水/フェノール=15/85)40mlに60℃にて3〜4時間加熱溶解させ、温度30℃にて、オストワルド型粘度計にて測定し(t0=90秒)、下式により固有粘度[η]を求めた。
[η]=(2×(ηsp−lnηrel))1/2/C (L/g)
ηsp= t/ t0−1
ηrel= t/ t0
C ;EVOH濃度(g/l)
・t0:ブランク(含水フェノール)が粘度計を通過する時間
・t:サンプルを溶解させた含水フェノール溶液が粘度計を通過する時間
前記EVOHの固有粘度[η]は、0.0740L/gであった。
EVOH(A)として、合成例1で得られた乾燥EVOHペレットを90部、水酸基と反応し得る官能基を有するポリオレフィン(B1)として、三井化学株式会社製アドマーNF−550(無水マレイン酸変性線形低密度ポリエチレン)を10部、酸化防止剤(C)として、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製のイルガノックス1098(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)を0.1部、リン系熱安定剤(D)として、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製のイルガフォス168を0.1部、タンブラーを用いてドライブレンドし、これを、混練部を持つ小型二軸押出機(東洋精機製ラボプラストミル小型押出機2D25W型)に投入してブレンドペレットを得た。押出温度は190℃、スクリュー回転数は150rpm、吐出量は約6kg/時であった。また、得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は25g/10分であった。
前記ブレンドペレットを液体窒素で冷却して粉砕機にかけ、粒子径45〜425μmの粉体を得た(すなわち得られた粉体は、JISの標準ふるい規格で呼び寸法425μmのふるいを通過し、45μmのふるいを通過しないものを、粉体全体の内、80重量%以上含むものである)。この粉体100部に、無機物微粒子(E)として日本アエロジル株式会社製アエロジルR972(一次粒子の平均径16nmのシリカ粉末、ジメチルシリル基表面処理品)0.1部を添加してよく振り混ぜ、エチレン−ビニルアルコール共重合体を主成分とする樹脂混合物からなる粉体(P)を得た。この時の樹脂混合物粉体中の含水率は1.4%であった。なお、樹脂混合物粉体中の含水率は以下の方法に従って測定した。
(5)EVOH組成物の含水率の定量
METTLER社製HR73ハロゲン水分率分析装置を用いて、乾燥温度180℃、乾燥時間20分、サンプル量約2gの条件でEVOH組成物の含水率(X)を測定した。
0.8mm厚×50mm×100mmの鉄板を、表面を洗剤で洗浄した。この鉄板に対し、流動浸漬法により、上記製造したEVOH組成物からなる粉体塗料の塗装を行った。予め前記鉄板を予熱した後、流動室に多孔板を通して空気を吹き込み、前記樹脂粉末を流動させて、この流動層中に前記鉄板からなる基材を懸垂することにより浸漬し、そのあと後加熱を行った。流動浸漬条件を以下に示す。
・鉄板の予熱:温度280℃、時間10分
・浸漬時間 :5秒
・後加熱 :温度200℃、時間5分
以上のようにして、得られた粉体で塗装された鉄板を用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性を、以下の基準に従って評価した。
(6)耐衝撃性
得られた樹脂混合物粉体で塗装された鉄板の粉体塗装された面を上にしてコンクリート床上に置き、1mの高さから530gの鉄球を鉄板の中心部に落とし、塗膜の破損状況を確認した。
判定 基準
A(合格) :クラック発生せず
B(合格) :細かいクラックが発生するも、塗膜の剥離なし
C(不合格):大クラックが発生し、塗膜が剥落
(7)鉛筆硬度
JIS K5400の8.4.2に規定される鉛筆引っかき値の手かき法にて、塗膜の鉛筆硬度を評価した。
(8)塗膜の均一性
得られた塗膜の外観を目視にて観察し、以下のように判定した。
判定 基準
A(合格) :塗膜の均一性良好
B(合格) :若干凹凸あるも実用上問題なし
C(不合格):かなり凹凸があり実用困難
(9)耐洗浄剤性
0.8mm厚×50mm×100mmの鉄板を用いる代わりに、1mm厚×Φ50mm(外径)×100mm長の鉄製パイプを用いて、上記鉄板と同じ条件で粉体塗装を行い、塗装済み排水パイプのテストピースを得た。このテストピースを用いて、耐洗浄剤性を以下の基準に従って評価した。
花王株式会社製トイレハイター(界面活性剤、水酸化ナトリウム、次亜塩素酸塩含有)を水で希釈して10%溶液を調整。この溶液に、得られた粉体で塗装された排水パイプのテストピースを、40℃で2週間浸漬し、浸漬前後での外観変化を確認した。
判定 基準
A(合格) :外観の変化無し
B(合格) :光沢が若干落ちるが、塗膜強度に顕著な変化無し
C(不合格):光沢が無くなり、手でこすると粉状に劣化した樹脂が剥落
上記基準に基づき、本実施例で得られたEVOH粉体で塗装された鉄板を用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性を評価した。耐衝撃性はB判定、塗膜の均一性・耐洗浄剤性はいずれもA判定、鉛筆硬度はFであった。
EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)として、水酸基と反応し得る官能基を有する芳香族ビニル重合体ブロックと水添共役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体(B2)である、旭化成株式会社製タフテックM1962(無水マレイン酸変性スチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマー)を使用した以外は、実施例1と同様にしてブレンドペレットを得た。得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は22g/10分であった。このブレンドペレットを、実施例1と同様にして粉砕、無機物微粒子(E)とのブレンドを行い、更に実施例1と同様にして、得られた粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行って得られた、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)として、ガラス転移温度が−150〜25℃、結晶融解熱が30J/g以下のポリエステル(B3)である、東レ・デュポン株式会社製ハイトレル4057(ポリブチレンテレフタレート−ポリエーテル系ブロック共重合体)を使用した以外は、実施例1と同様にしてブレンドペレットを得た。得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は24g/10分であった。このブレンドペレットを、実施例1と同様にして粉砕、無機物微粒子(E)とのブレンドを行い、粉体を得た。この時の粉体中の含水率は1.2%であった。更に実施例1と同様にして、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、得られた粉体で塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)として、熱可塑性ポリウレタン(B4)である、株式会社クラレ製クラミロンU1180(ポリエステル系熱可塑性ポリウレタン)を使用し、ブレンドペレット製造時の押出温度を180℃に変更した以外は、実施例1と同様にしてブレンドペレットを得た。得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は20g/10分であった。このブレンドペレットを、実施例1と同様にして粉砕、無機物微粒子(E)とのブレンドを行い、樹脂混合物からなる粉体を得た。この時の粉体中の含水率は1.0%であった。更に実施例1と同様にして、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)として、ポリアミド樹脂(B5)である、東レ株式会社製アミランCM6541X3(6/12共重合ポリアミド)を使用した以外は、実施例1と同様にしてブレンドペレットを得た。得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は28g/10分であった。このブレンドペレットを、実施例1と同様にして粉砕、無機物微粒子(E)とのブレンドを行い、樹脂混合物からなる粉体を得た。この時の粉体中の含水率は1.1%であった。更に実施例1と同様にして、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例5において、EVOH(A)とポリアミド樹脂(B5)の重量比A/Bを50/50に変更した以外は、実施例5と同様にしてブレンドペレットを得た。得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は17g/10分であった。このブレンドペレットを、実施例1と同様にして粉砕、無機物微粒子(E)とのブレンドを行い、樹脂混合物からなる粉体を得た。この時の粉体中の含水率は1.3%であった。更に実施例1と同様にして、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)として、コア成分のガラス転移温度が−10℃以下、かつシェル成分のガラス転移温度が30℃以上であるコアシェル重合体粒子(B6)である、呉羽化学株式会社製パラロイドEXL2314(カルボン酸変性アクリル系コアシェルポリマー)を使用した以外は、実施例1と同様にしてブレンドペレットを得た。得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は28g/10分であった。このブレンドペレットを、実施例1と同様にして粉砕、無機物微粒子(E)とのブレンドを行い、粉体を得た。この時の粉体中の含水率は1.0%であった。更に実施例1と同様にして粉体を製造し、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)として、エチレン含有量70〜95モル%、ケン化度85モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B7)である、東ソー株式会社製メルセンH6960(エチレン含有量90モル%、ケン化度90モル%以上)を使用した以外は、実施例1と同様にしてブレンドペレットを得た。得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は32g/10分であった。このブレンドペレットを、実施例1と同様にして粉砕、無機物微粒子(E)とのブレンドを行い、粉体を得た。この時の粉体中の含水率は1.1%であった。更に実施例1と同様にして粉体を製造し、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例5における樹脂混合物のブレンドペレット作成時に、酸化防止剤(C)であるイルガノックス1098の添加量を0.2部に、リン系熱安定剤(D)であるイルガフォス168の添加量を0部にした以外は、実施例5と同様にしてブレンドペレットを得た。得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は27g/10分であった。このブレンドペレットを、実施例1と同様にして粉砕、無機物微粒子(E)とのブレンドを行い、粉体を得た。この時の粉体中の含水率は1.1%であった。更に実施例5と同様にして粉体を製造し、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1で得た樹脂混合物のブレンドペレットを粉砕した粉体に、無機物微粒子(E)をブレンドしなかった以外は実施例1と同様にして、粉体を得た。この時の粉体中の含水率は0.9%であった。更に実施例1と同様にして粉体を製造し、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
合成例2
合成例1において、重合反応容器に仕込む原料として、酢酸ビニル83.1kg、メタノール8.4kgに加え、ビニルトリメトキシシラン24.1gを反応容器に仕込んだ以外は合成例1と同様にして、ビニルトリメトキシシランで変性されたEVOH樹脂ペレットを得た。このEVOHペレット中の酢酸含有量は308ppm、カルシウム塩の含有量は金属元素換算で70ppm、カリウム塩の含有量は金属元素換算で35ppm、リン酸化合物の含有量はリン酸根換算で51ppmであった。また、得られたEVOH樹脂ペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は10g/10分であった。
EVOH(A)として、上記の変性EVOHを用いた以外は実施例5と同様にして、粉体を得た。この時の樹脂混合物粉体中の含水率は0.9%であった。更に実施例5と同様にして粉体を製造し、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例1
実施例1における樹脂混合物のブレンドペレット製造時に、合成例1で得られた乾燥EVOHペレットを100部として、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)を添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてブレンドペレットを得た。得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は30g/10分であった。このブレンドペレットを、実施例1と同様にして粉砕、無機物微粒子(E)とのブレンドを行い、粉体を得た。この時の樹脂混合物粉体中の含水率は1.3%であった。更に実施例1と同様にして粉体を製造し、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例2における樹脂混合物のブレンドペレット製造時に、酸化防止剤(C)およびリン系熱安定剤(D)を添加しないこと以外は、実施例2と同様にしてブレンドペレットを得た。得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は21g/10分であった。このブレンドペレットを、実施例1と同様にして粉砕、無機物微粒子(E)とのブレンドを行い、粉体を得た。この時の樹脂混合物粉体中の含水率は1.1%であった。更に実施例1と同様にして粉体を製造し、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例3
実施例1における樹脂混合物のブレンドペレット作成時に、水酸基と反応し得る官能基を有するポリオレフィン(B1)の代わりに、水酸基と反応し得る官能基を有さないポリオレフィンである日本ポリエチレン株式会社ノバテックLC600Aを使用した以外は、実施例1と同様にしてブレンドペレットを得た。得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は28g/10分であった。このブレンドペレットを、実施例1と同様にして粉砕、無機物微粒子(E)とのブレンドを行い、粉体を得た。この時の樹脂混合物粉体中の含水率は1.0%であった。更に実施例1と同様にして粉体を製造し、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例4
実施例2における樹脂混合物のブレンドペレット作成時に、EVOH(A)の添加量を30部、水酸基と反応し得る官能基を有する芳香族ビニル重合体ブロックと水添共役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体(B2)である、旭化成株式会社製タフテックM1962の添加量を70部に変更した以外は、実施例2と同様にしてブレンドペレットを得た。得られたブレンドペレットのMFR(190℃、2160g荷重下で測定)は20g/10分であった。このブレンドペレットを、実施例1と同様にして粉砕、無機物微粒子(E)とのブレンドを行い、粉体を得た。この時の樹脂混合物粉体中の含水率は1.0%であった。更に実施例1と同様にして更に実施例1と同様にして粉体を製造し、この粉体を用いて鉄板およびパイプに流動浸漬法にて粉体塗装を行い、粉体塗装された鉄板およびパイプを用いて、耐衝撃性・塗膜の硬度(鉛筆硬度)・塗膜の均一性・耐洗浄剤性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2006282727
実施例1〜11の本発明の粉体塗料は、基材に粉体塗装したときに、良好な塗膜の耐衝撃性・塗膜の均一性・耐洗浄剤性を示し、EVOH樹脂の特性である良好な表面硬度も概ね保持している。親和性を有する樹脂(B)の量が多い実施例6では表面硬度が若干劣ったが、許容範囲内であった。また、リン系熱安定剤(D)を含まない実施例9では耐洗浄剤性が若干劣るが許容範囲内であった。無機物微粒子(E)を含まない実施例10では耐衝撃性・塗膜の均一性が若干劣るが許容範囲内であった。
これに対して、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)を含まない比較例1の粉体を粉体塗料として用いた場合、およびEVOH(A)と親和性を有しない樹脂を含む比較例3の粉体を粉体塗料として用いた場合は、いずれも充分な耐衝撃性は得られなかった。
また、酸化防止剤(C)とリン系熱安定剤(D)を含まない樹脂混合物粉体を粉体塗料して用いた比較例2では、前記粉体塗料を基材に粉体塗装した場合に得られる塗膜は耐洗浄剤性が不良で、排水パイプの塗装用には不適当であった。
更に、EVOH(A)と、EVOH(A)と親和性を有する樹脂(B)との重量比A/Bが40/60よりも(B)の量を増やした比較例4では、EVOH樹脂の特徴である良好な表面硬度が失われた。
本発明の粉体塗料を、金属等の基材に塗布した多層構造体は、塩素化合物等を含有する各種殺菌剤や漂白剤、トイレ洗浄剤等に長時間曝される生活排水および建築/建設現場の排水パイプに利用される。

Claims (17)

  1. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)、該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と親和性を有する樹脂(B)からなる樹脂組成物と、酸化防止剤(C)からなる粉体(P)であって、該粉体(P)中、(A)と(B)との重量比A/Bが40/60〜98/2であり、かつ、(A)と(B)との合計と、(C)との重量比(A+B)/Cが100/0.005〜100/20である粉体。
  2. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が、エチレン含有量が2〜60モル%、ケン化度が85モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体である、請求項1に記載の粉体。
  3. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と親和性を有する樹脂(B)が、水酸基と反応し得る官能基を有する熱可塑性樹脂である、請求項1または2に記載の粉体。
  4. 水酸基と反応し得る官能基が、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸塩基、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボロン酸無水物基、ボロン酸塩基、イソシアネート基、エステル結合、ウレタン結合およびアミド結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基である、請求項3に記載の粉体。
  5. 水酸基と反応し得る官能基を有する熱可塑性樹脂が、水酸基と反応し得る官能基を有するポリオレフィン(B1)、水酸基と反応し得る官能基を有する、芳香族ビニル重合体ブロックと水添共役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体(B2)、ガラス転移温度が−150〜25℃、結晶融解熱が30J/g以下のポリエステル(B3)、熱可塑性ポリウレタン(B4)およびポリアミド樹脂(B5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である、請求項3または4に記載の粉体。
  6. 芳香族ビニル重合体ブロックと水添共役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体(B2)が、水酸基と反応し得る官能基として、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸塩基、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボロン酸無水物基およびボロン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を10〜1000μeq/g有する、請求項5に記載の粉体。
  7. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と親和性を有する樹脂(B)が、コア成分のガラス転移温度が−10℃以下、かつシェル成分のガラス転移温度が30℃以上であるコアシェル重合体粒子(B6)、および、エチレン含有量70〜95モル%、ケン化度85モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B7)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項1または2に記載の粉体。
  8. 酸化防止剤(C)が、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびビタミンE系酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粉体。
  9. 粉体(P)がさらにリン系熱安定剤(D)を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の粉体。
  10. 粉体(P)中の、(A)と(B)との合計と、(C)と(D)との合計との重量比(A+B)/(C+D)が100/0.005〜100/20である、請求項9に記載の粉体。
  11. 粉体(P)がさらに無機物微粒子(E)を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の粉体。
  12. 無機物微粒子(E)が、一次粒子の平均粒子系が1〜100nmのシリカ粒子またはアルミナ粒子である、請求項11の粉体。
  13. 粒子径が22〜850μmである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の粉体。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の粉体からなる粉体塗料。
  15. 請求項14に記載の粉体塗料を、基材に塗布してなる多層構造体。
  16. 請求項14に記載の粉体塗料を、基材に塗布してなる洗浄剤耐性に優れた多層構造体。
  17. 請求項14に記載の粉体塗料を、基材に塗布してなる洗浄剤耐性に優れた排水パイプ。
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