JP2009255562A - 面材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材20の少なくとも一方の表面上に、特定のゴム変性スチレン系樹脂に所定量のポリアミド系樹脂を配合した熱可塑性樹脂組成物を成形してなる印刷用フィルム10を積層して成り、当該印刷用フィルム10には、前記基材20と反対側の表面上の少なくとも一部に図柄層13を積層して成る面材。
【選択図】図1
Description
なお、一般に「フィルム」の語は厚さ0.254mm(1/100インチ)以下のものを指すが、本発明における「フィルム」の語はそれよりも厚い「シート」をも包含する。
基材の少なくとも一方の表面上に、以下に記載の印刷用フィルムを積層して成り、当該印刷用フィルムには、前記基材と反対側の表面上の少なくとも一部に図柄層を積層して成る、ことを特徴とする面材。
<印刷用フィルム>
ゴム変性スチレン系樹脂(A)25〜75質量%、及び、ポリアミド系樹脂(B)25〜75質量%(ただし、(A)及び(B)の合計は100質量%である)を含有する熱可塑性樹脂組成物(I)を成形してなる印刷用フィルムであって、
前記成分(A)は、ゴム質重合体(a)の存在下にビニル系単量体(b1)を重合して得られるグラフト共重合体(A1)、または、当該グラフト共重合体(A1)とビニル系単量体(b2)の(共)重合体(A2)との混合物からなり、
前記ビニル系単量体(b1)及びビニル系単量体(b2)は、何れも、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を必須単量体成分として含有し、
前記ビニル系単量体(b1)及びビニル系単量体(b2)の少なくとも何れか1方は、さらに、水酸基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物及びオキサゾリン基含有不飽和化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有ビニル系単量体を含有し、
前記成分(A)中の前記官能基含有ビニル系単量体の含有量は前記成分(A)の全量を100質量%として0.1〜1.2質量%であり、
前記成分(A)のアセトン可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン、30℃)は0.15〜1.5dl/gであり、
前記熱可塑性樹脂組成物(I)は、前記成分(A)と前記成分(B)の合計100質量部に対して5〜30質量部のゴム質重合体(a)を含有する、印刷用フィルム。
本発明で使用する印刷用フィルムは、ゴム変性スチレン系樹脂(A)25〜75質量%、及び、ポリアミド系樹脂(B)25〜75質量%(ただし、(A)及び(B)の合計は100質量%である)を含有する熱可塑性樹脂組成物(I)を成形して得られる。そして、本発明の特に好ましい態様において、熱可塑性樹脂組成物(I)は、前記成分(A)と前記成分(B)の合計100質量部に対して7〜18質量部の無機充填材(C)を含有する。
以下、各成分について詳細に説明する。
本発明で使用する成分(A)は、ゴム質重合体(a)の存在下にビニル系単量体(b1)を重合して得られるグラフト共重合体(A1)、または、当該グラフト共重合体(A1)とビニル系単量体(b2)の(共)重合体(A2)との混合物からなるゴム変性スチレン系樹脂である。(共)重合体(A2)は、ゴム質重合体(a)の不存在下にビニル系単量体(b2)を重合して得られる。
上記ゴム質重合体(a)としては、特に限定されず、例えば、共役ジエン系ゴム質重合体、非共役ジエン系ゴム質重合体が挙げられる。共役ジエン系ゴム質重合体としては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、及びこれらの水素添加物が挙げられる。非共役ジエン系ゴム質重合体としては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−オクテン・非共役ジエン共重合体等のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム;アクリル系ゴム;シリコーン系ゴム;シリコーン・アクリル系IPNゴム等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのゴム質重合体(a)のうち、本発明では、共役ジエン系ゴム質重合体が好ましい。
尚、上記ゲル含率は、以下の方法により求めることができる。まず、ゴム質重合体(a)の1グラムをアセトン(アクリル系ゴムの場合はアセトニトリル)20mlに投入し、25℃の温度条件下で、攪拌機を用い、1,000rpmで2時間攪拌する。その後、遠心分離機(回転数;22,000rpm)で1時間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分を秤量(質量をW1グラムとする。)し、下記式により算出する。
[数1]
ゲル含率(質量%)=〔W1(g)/1(g)〕×100
尚、ゲル含率は、ゴム質重合体(a)の製造時に、単量体の種類及び量、分子量調節剤の種類及び量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜選択することにより調整される。
上記ビニル系単量体(b1)としては、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物が必須成分として使用され、所望により、水酸基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物及びオキサゾリン基含有不飽和化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有ビニル系単量体が使用される。これらの官能基含有
ビニル系単量体を使用することにより、本発明における成分(A)と成分(B)との相溶性を改善することができる。
但し、本発明では、ビニル系単量体(b1)及びビニル系単量体(b2)の少なくとも何れか1方は上記官能基含有ビニル系単量体を含有する必要があるので、ビニル系単量体(b2)が上記官能基含有ビニル系単量体を含有しない場合、ビニル系単量体(b1)は上記官能基含有ビニル系単量体を含有する必要がある。なお、本明細書中、上記官能基含有ビニル系単量体を含有しないビニル系単量体(b1)をビニル系単量体(b1−1)と、上記官能基含有ビニル系単量体を含有するビニル系単量体(b1)をビニル系単量体(b1−2)と、記載することもある。
上記ビニル系単量体(b2)としては、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物が必須成分として使用され、所望により、水酸基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物及びオキサゾリン基含有不飽和化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有ビニル系単量体が使用される。
但し、本発明では、ビニル系単量体(b1)及びビニル系単量体(b2)の少なくとも何れか1方は上記官能基含有ビニル系単量体を含有する必要があるので、ビニル系単量体(b1)が上記官能基含有ビニル系単量体を含有しない場合、ビニル系単量体(b2)は上記官能基含有ビニル系単量体を含有する必要がある。なお、本明細書中、上記官能基含有ビニル系単量体を含有しないビニル系単量体(b2)をビニル系単量体(b2−1)と、上記官能基含有ビニル系単量体を含有するビニル系単量体(b2)をビニル系単量体(b2−2)と、記載することもある。
本発明で使用する成分(A)は、グラフト共重合体(A1)、または、当該グラフト共重合体(A1)とビニル系単量体(b2)の(共)重合体(A2)との混合物から本質的に構成される。
成分(A1−1):ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を必須成分として含有するビニル系単量体(b1−1)(但し官能基含有ビニル系単量体を含有しない)を重合して得られるグラフト共重合体。
成分(A1−2):ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物、並びに、水酸基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物及びオキサゾリン基含有不飽和化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有ビニル系単量体を必須成分として含有するビニル系単量体(b1−2)
を重合して得られるグラフト共重合体。
成分(A2−1):ゴム質重合体(a)の不存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を必須成分として含有するビニル系単量体(b2−1)(但し官能基含有ビニル系単量体を含有しない)を重合して得られる(共)重合体。
成分(A2−2):ゴム質重合体(a)の不存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物、並びに、水酸基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物及びオキサゾリン基含有不飽和化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有ビニル系単量体を必須成分として含有するビニル系単量体(b2−2)を重合して得られる(共)重合体。
上記重合開始剤は、反応系に一括して又は連続的に添加することができる。また、上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体の全量を100質量部とした場合、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.5〜2質量部である。
上記乳化剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b1)の全量を100質量部とした場合、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部である。
上記グラフト共重合体(A1)のグラフト率は、通常20〜170%であり、好ましくは20〜150%、更に好ましくは30〜150%である。このグラフト率が20%未満では、フィルムに成形した際に、表面にフローマークが発生する場合があり、機械的強度が十分でない場合がある。また、グラフト率が170%を超えると、グラフト共重合体(A1)の粘度が高くなり、薄肉化が困難になる場合がある。
なお、上記グラフト共重合体(A1)のグラフト率は、その製造時に用いる連鎖移動剤の種類及び使用量、重合開始剤の種類及び使用量、重合時の単量体成分の添加方法及び添加時間等を適宜選択することにより調整することができる。
[数2]
グラフト率(質量%)={(S−T)/T}×100
上記式中、Sはグラフト共重合体1グラムをアセトン(ゴム質重合体がアクリル系ゴムの場合はアセトニトリル)20mlに投入し、25℃の温度条件下で、振とう機により2時間振とうした後、5℃の温度条件下で、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Tはグラフト共重合体1グラムに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。このゴム質重合体の質量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトル(IR)により求める方法等により得ることができる。
また、上記(共)重合体(A2)の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、通常0.15〜1.5dl/g、好ましくは0.2〜1.2dl/g、より好ましくは0.2〜0.9dl/gである。上記極限粘度[η]が0.15未満では、耐熱性、機械的強度が十分でなくなる可能性がある。上記極限粘度[η]が1.5を超えると、製膜性が十分でなくなる可能性がある。
上記極限粘度は、製造時に用いる連鎖移動剤の種類及び使用量、重合開始剤の種類及び使用量、重合温度等を適宜選択することにより調整することができる。
本発明で使用する成分(B)としては、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、又は、二塩基酸とジアミン等の重縮合によって得られるポリアミドが挙げられる。具体的には、ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドン等の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン等のジアミンと、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸等のジカルボン酸と重縮合せしめて得られる重合体又はこれらの共重合体、例えば、ナイロン4、6、7、8、11、12、6.6、6.9、6.10、6.11、6.12、6T、6/6.6、6/12、6/6T、6T/6I、MXD6等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。
本発明で使用する成分(C)としての無機充填材は、周知の無機充填材を使用することができ、形状は特に制限されず、繊維状、板状、針状、球状、粉末等いずれの形状であってもよい。無機充填材の種類としては、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、ガラスビーズ、バルーン、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、クレー、カーボンブラック、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム等が挙げられ、単独または二種以上の混合物として用いることができる。無機充填材としては、印刷用フィルムの強度、表面外観のバランスに優れ、入手もし易い点から、好ましくは、ガラス繊維、マイカ、タルク、ウォラストナイトである。
本発明における熱可塑性樹脂組成物(I)は、上記成分(A)、上記成分(B)及び上記成分(C)を所定の配合比率で混合し溶融混練することにより得られる。なお、上記成分(C)は、本発明の好ましい態様で使用される任意成分である。
直接印刷法としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、等の公知の印刷法を挙げることができる。
別法として、特開2005−178276号公報に記載のように、予め図柄が印刷されたPETフィルムから本発明で使用する印刷用フィルムの表面に図柄を転写させる方法で印刷層を形成することもできる。
透明樹脂層は、通常、熱可塑性樹脂の成形樹脂層からなる。当該熱可塑性樹脂は、透明であれば特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリアミド系樹脂、四フッ化エチレン系樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂等が使用できる。これらの熱可塑性樹脂のうち、印刷層への密着性の点から、アクリル系樹脂を使用することが好ましい。アクリル系樹脂としては、メチルメタクリレートを構成単量体成分として含有するものが好ましい。
本発明の面材は、基材20の少なくとも一方の表面上に、印刷用フィルム10を積層して成り、印刷用フィルム10には、前記基材20と反対側の表面上の少なくとも一部に図柄層13を積層して成る、ことを特徴とする。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、EVA、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上の組み合わせで使用できる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上の組み合わせで使用できる。
上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、リサイクル樹脂又はリサイクル樹脂と非リサイクル樹脂の混合物であってもよい。
上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂には、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、ワラストナイト、ガラスのミルドファイバー、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、黒鉛、木粉、有機繊維、熱硬化性樹脂の粉砕粒子等の充填剤を、1種単独で又は2種類以上を組み合わせて配合することができる。
上記充填剤の配合量は、上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂100質量部当たり、通常3〜300質量部、好ましくは3〜150質量部である。
上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂には、上記充填剤以外に、必要に応じて酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤等を添加してもよい。
上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、発泡剤を添加した発泡成形体であってもよく、発泡倍率は、通常1.05〜20倍、好ましくは1.2〜15倍である。
有機質材料としては、例えば、インシュレーションボード、MDF(中質繊維板)、ハードボード、ポーティクルボード、ランバーコア、LVL(単板積層材)、OSB(配向性ボード)、PSL(パララム)、WB(ウェハーボード)、硬質繊維板、軟質繊維板、ランバーコア合板、ボードコア合板、特殊コア−合板、ベニアコア−ベニヤ板、タップ樹脂を含浸させた紙の積層シート・板、(古)紙等を砕いた細かい小片・線状体に接着剤を混合して加熱圧縮したボード、各種の木材等が挙げられる。
無機質材料としては、例えば、ケイ酸カルシウムボード、フレキシブルボード、ホモセメントボード、せっこうボード、シージングせっこうボード、強化せっこうボード、石膏ラスボード、化粧せっこうボード、複合せっこうボード、更に、鉄、アルミニウム、銅、各種の合金等の金属等が挙げられる。
金属が基材20として使用される場合、多くは金属板で使用される。金属板としては、例えば、一般的に樹脂被覆金属板の基材として使用されている金属板が使用され、具体的には、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム・亜鉛複合メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム系合金板等が挙げられる。これら金属板は、厚さ、熱処理条件、メッキの厚さ等に関しても特に制限はなく、また、金属板の表面処理も、リン酸塩処理、クロメート処理等が施されていてもよい。
基材20の形状は、本発明の面材の用途に応じて各種の形状をとるが、通常、板状(表面が平面でなくてもよく、丸み、凹凸等の変形があってもよい)、さらには、板状より厚みのある成形体等が挙げられる。
保護フィルム30の材質としては、特に限定されないが、上記に示されている基材20の成形材料が挙げられ、更に、ゴム状重合体、紙、クロス等が挙げられる。好ましくはABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂等のゴム強化樹脂であり、上記の性能に優れる。
また、基材20は、一層で構成してもよく、また、2層以上で構成してもよい。図3は、第1基材層20aと第2基材層20bの2層で構成した例を示し、第1基材層20aの面上(第2基材層20bと反対側の面上)に、印刷用フィルム10を設けている。2層以上で構成する場合には、各層は同じ材料で構成してもよく、又、異なった材料で構成してもよい。
印刷用フィルム10が積層されていない表面(図3に示す例では第2基材層20bの下面)には、意匠性を高めるために、図柄及び着色等が施されていてもよい。
印刷用フィルム10と基材20との積層における接着は、接着剤、粘着剤等を使用する方法、加熱・圧着する方法が挙げられる。
また、接着力を高めるために、接着面の一方又は両方に、必要に応じて、コロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、プラズマ処理、UV処理、イオンボンバード処理、電子線処理、溶剤処理、アンカーコート処理等の処理がなされていてもよい。
本発明の面材は、各種製品の部材として使用することにより、製品の意匠性を、従来の方法に比べ低コストで高めることができる。更に、長期使用における図柄の劣化が少なく、耐久性に優れる。
具体的部材としては、例えば、床材、壁材、天井材、扉材、タンス部材などの家具部材、各種手摺り、テーブル部材、机部材、本箱、窓枠、瓦、雨樋、デッキ材、木口材、外装材、流し台、システムキッチン、ベッド部材、階段部材、壁パネル、額縁、鉛筆、筆、幅木、回り縁、みきり縁、椅子材、サッシ部材、パラボラアンテナ部材、竹垣、エアコンダクトカバー、浴室部材、パネル水槽部材、看板、表示板、案内板、事務用品関連分野、車両の内・外装、OA・家電各パーツなどに使用できる。
下記の参考例及び実施例における、各種評価項目の測定方法を以下に示す。
ISO1133に準じ、測定温度240℃、荷重98Nの条件で測定を行った。測定値の単位は、g/10分である。
展色印刷前のフィルムを1インチ幅×300mm長に切り、これに500g荷重を吊り下げた試験サンプルを130℃に保持した恒温槽内に10秒間放置し、放置前に測定した100mm長(L0)に対する伸び(L1)を測定し、L1/L0×100(%)として求めた。
フィルムの一方の表面に硬化性溶剤系インクを用いて展色印刷し、その後、温度23℃及び湿度50%RHの恒温恒湿室に24時間静置して印刷層を塗工した。その後、JIS K−7128に基づき、エレメンドルフ測定機(東洋精機(株)製)を用いてフィルムのMD方向/TD方向の両方についてエレメンドルフ引張強度を測定した。
なお、本明細書において、MD方向はTダイからの樹脂の押出方向、TD方向はMD方向に対して直角の方向を意味する。
振子式フィルム衝撃試験機(フィルムインパクトテスター:安田精機製作所製)を用いて、100mm×100mmのフィルムのフィルムインパクト(塗工前)を測定した。評価は、衝撃球半径:6.35mm、追加ウェイト:1390gの条件で行った。また、上記フィルムの一方の表面に硬化性溶剤系インクを用いて展色印刷し、その後、温度23℃及び湿度50%RHの恒温恒湿室に24時間静置して印刷層を塗工した。その後、上記と同様の方法で塗工面からのフィルムインパクト(塗工後)を測定した。そして、下記式に従い、フィルムインパクト保持率を求めた。
上記同様の塗工後のフィルムから100mm(MD)×100mm(TD)の試験片を切り出し、MD方向の対称軸に沿って折り曲げ、その後TD方向の対称軸に沿って折り曲げた。折り曲げた試験片を、JIS−Z0237に準拠し、手動式圧着ロール(2000g)を用い、5mm/秒の速度で、各折り目上を2往復させた。その後、折り目をひろげて元の状態に戻し、試験片の状態を目視にて観察した。評価はn=5回で行った。以下に判断基準を示した。
○:n=5回すべてにおいて折り目が割れていない。
△:折り目が割れていたものがあった。
×:n=5回すべてにおいて折り目が割れている。
フィルムの一方の表面に硬化性溶剤系インクを用いて展色印刷し、その後、温度23℃及び湿度50%RHの恒温恒湿室に24時間静置して印刷層を形成した。そして、印刷層の表面に、幅18mm及び長さ約75mmの粘着テープ(ニットウ社製)を貼り付け、指圧でしごいて密着させ、その後、一気に剥がした。印刷層が残存しているかどうかを目視で観察し、下記基準に従って判定した。尚、粘着テープの貼り付け及び引き剥がしは、JIS−K5600−5−6に準じて行った。
○:密着性が良好であり、実用上問題ない、
×:印刷層が剥離。
フィルムを製膜する際に下記基準で評価を行った。
○:安定して製膜を行うことができ、表面が均一で美麗なフィルムが得られる。
△:時々フィルムの端部が蛇行したり、破断が生じる。
×:安定して製膜を行うことができず、表面が不均一で美麗なフィルムが得られない。
直径9cm×高さ40cmの筒状物の外周面に、300mm幅(MD)×215mm長(TD)にカットした展色印刷前のフィルムを巻きつけ、下記の基準で評価した。なお、フィルムは、そのMD方向が筒状物の周方向に沿うようにした。
○:フィルム全体を筒状物に巻き付けられる。
×:フィルム全体を筒状物に巻き付けられない。
展色印刷前のフィルムを15mm幅(MD)×100mm長(TD)に切り、恒温恒湿槽(40℃×90%)内に24時間放置した後、フィルムのTD方向の寸法変化率を下記式に従って求めた。
製膜時にキャストロール上のシートを目視で評価した。
○:シート状の熱可塑性樹脂がキャストロールから剥がれて、キャストロールに巻きつかない。
×:シート状の熱可塑性樹脂がキャストロールから剥がれずに、キャストロールに巻きつく。
製膜後のシート外観を目視で評価した。
○:しわがなく、キャストロール面が転写されている。
×:しわがあり、キャストロール面が転写されていない。
表1記載の重合方法で得られ、表1記載の共重合割合及び物性値を備えた重合体を使用した。
B1:ナイロン6;NOVAMID 1015J(商品名:三菱エンジニアリングプラスチック社製)、相対粘度3.0(98%硫酸法)。
B2:ナイロン6;NOVAMID 1020J(商品名:三菱エンジニアリングプラスチック社製)、相対粘度3.5(98%硫酸法)。
C1:日本タルク社製「ミクロエースK−1」を用いた。このものの平均粒径D50(レーザー回折法)は8μm、見掛け密度(JIS−K5101)は0.25g/mlであった。
C2:日本タルク社製「ミクロエースP−3」を用いた。このものの平均粒径D50(レーザー回折法)は5μm、見掛け密度(JIS−K5101)は0.16g/mlであった。
D1:ステアリン酸カルシウム;Ca−St(商品名:日東化成工業製)
D2:ペンタエリストールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];IRGANOX 1010(商品名:チバスペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
参考例1A〜10A及び参考比較例1A〜5A(無機充填剤を含有しない系):
表2−1〜表2−3に記載の配合割合で、各表に記載の各成分をヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX44、バレル設定温度250℃)で混練し、ペレット化した。得られたペレットを用い、下記方法によりフィルムを製造した。
まず、Tダイ(ダイ幅;1400mm、リップ間隔;0.5mm)を備え、スクリュー
径65mmの押出機を備えたフィルム成形機を用い、押出機にペレットを供給して、Tダイから、溶融温度270℃で樹脂を吐出させ、軟質フィルムとした。その後、この軟質フィルムをエアーナイフによりキャストロールに面密着させ、冷却固化しフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2−1〜表2−3に示した。
尚、フィルムの肉厚は、シックネスゲージ(型式「ID−C1112C、ミツトヨ社製)を用い、フィルム製造開始から1時間経過後のフィルムを切り取り、フィルム幅方向の中心、及び、中心より両端に向けて、10mm間隔で肉厚を測定し、その平均値とした。フィルムの端部から20mmの範囲にある測定点の値は、上記平均値の計算から除去した。
これに対し、参考比較例1Aは、成分(B)の配合量が本発明の範囲外で高く、耐吸湿性が劣る。
参考比較例2Aは、成分(B)の配合量が本発明の範囲外で低く、耐溶剤性(割れ性等)が劣る。
参考比較例3Aは、ビニル系単量体として官能基含有不飽和化合物を使用しなかった例であり、TD方向とMD方向の引き裂き強度の差が大きく、機械的強度が不均一であった。
参考比較例4Aは、ビニル系単量体として官能基含有不飽和化合物を多量に配合した例であり、製膜性に劣る。
参考比較例5Aは、ゴム量が本発明の範囲外で高く、製膜性に劣る。
参考例1Aのフィルムの印刷面に、透明樹脂フィルムを150℃、20kg/cm2、15分のプレス条件で熱圧着して透明樹脂層を積層して化粧フィルムを作成した。なお、透明フィルムとして、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/スチレン=81/16/3の割合(質量比、3成分の合計は100質量部)の共重合体からなる厚さ50μmのアクリル系樹脂フィルムを用いた。その結果、製膜性に問題はなく、美麗な外観の化粧フィルムが得られた。
参考例5Aのフィルムを用いた以外、参考例11Aと同様の方法で化粧フィルムを作成した。その結果、製膜性に問題はなく、美麗な外観の化粧フィルムが得られた。
表3−1及び表3−2に記載の配合割合で、各表に記載の各成分をヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX44、バレル設定温度250℃)で混練し、ペレット化した。得られたペレットを用い、下記方法によりフィルムを製造した。
まず、Tダイ(ダイ幅;1400mm、リップ間隔;0.5mm)を備え、スクリュー径65mmの押出機を備えたフィルム成形機を用い、押出機にペレットを供給して、Tダイから、溶融温度270℃で樹脂を吐出させ、軟質フィルムとした。その後、この軟質フィルムをエアーナイフにより、所定の表面温度に設定したキャストロールに面密着させ、冷却固化しフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表3−1及び表3−2に示した。
尚、フィルムの肉厚は、前記の参考例1Aと同様にして求めた。
参考例1Bのフィルムの印刷面に、透明樹脂フィルムを150℃、20kg/cm2、15分のプレス条件で熱圧着して透明樹脂層を積層して化粧フィルムを作成した。なお、透明フィルムとして、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/スチレン=81/16/3の割合(質量比、3成分の合計は100質量部)の共重合体からなる厚さ50μmのアクリル系樹脂フィルムを用いた。その結果、製膜性に問題はなく、美麗な外観の化粧フィルムが得られた。
参考例5Bのフィルムを用いた以外、参考例13Bと同様の方法で化粧フィルムを作成した。その結果、製膜性に問題はなく、美麗な外観の化粧フィルムが得られた。
実施例1〜4:
前記の参考例3A、6A、8A、10Aで得られた各印刷用フィルムからA4サイズ(縦297mm、横210mm)の印刷用フィルムを切り出し、このA4サイズの印刷用フィルムの一方の表面に硬化性溶剤インクを用いて印刷し、その後、温度23℃及び湿度50%RHの恒温恒湿に24時間静置して印刷層を積層した。そして、印刷層を積層した上記のフィルムとを用いて、次の要領で図3に示す面材を作成した。
第1基材層(20a)の形成にはMDF(厚さ15mm、縦297mm、横210mm)を使用し、第2基材層(20b)の形成には、テクノポリマー社製の商品「バリューテックNSG100」(厚さ0.5mm、縦297mm、横210mm)を使用した。「バリューテックNSG100」の色調は酸化チタンで着色されて白色である。
上記のMDFと「バリューテックNSG100」との接着は、中央理化工業社製の接着組成物(BA−20/BA−11B=100/2.5(部):何れも商品名)を用い、塗布量80g/m2(ドライ)、室温(25〜30℃)、0.5N/cm2×2日圧締の条件で行った。
13:図柄層(印刷層)
15:透明樹脂層
20:基材層
20a:第1基材層
20b:第2基材層
30:保護フィルム
Claims (12)
- 基材の少なくとも一方の表面上に、以下に記載の印刷用フィルムを積層して成り、当該印刷用フィルムには、前記基材と反対側の表面上の少なくとも一部に図柄層を積層して成る、ことを特徴とする面材。
<印刷用フィルム>
ゴム変性スチレン系樹脂(A)25〜75質量%、及び、ポリアミド系樹脂(B)25〜75質量%(ただし、(A)及び(B)の合計は100質量%である)を含有する熱可塑性樹脂組成物(I)を成形してなる印刷用フィルムであって、
前記成分(A)は、ゴム質重合体(a)の存在下にビニル系単量体(b1)を重合して得られるグラフト共重合体(A1)、または、当該グラフト共重合体(A1)とビニル系単量体(b2)の(共)重合体(A2)との混合物からなり、
前記ビニル系単量体(b1)及びビニル系単量体(b2)は、何れも、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を必須単量体成分として含有し、
前記ビニル系単量体(b1)及びビニル系単量体(b2)の少なくとも何れか1方は、さらに、水酸基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物及びオキサゾリン基含有不飽和化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有ビニル系単量体を含有し、
前記成分(A)中の前記官能基含有ビニル系単量体の含有量は前記成分(A)の全量を100質量%として0.1〜1.2質量%であり、
前記成分(A)のアセトン可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン、30℃)は0.15〜1.5dl/gであり、
前記熱可塑性樹脂組成物(I)は、前記成分(A)と前記成分(B)の合計100質量部に対して5〜30質量部のゴム質重合体(a)を含有する、印刷用フィルム。 - 熱可塑性樹脂組成物(I)は、前記成分(A)と前記成分(B)の合計100質量部に対して7〜18質量部の無機充填材(C)を含有する請求項1に記載の面材。
- 前記無機充填材(C)がタルクである請求項2に記載の面材。
- 前記熱可塑性樹脂組成物(I)は、前記成分(A)と前記成分(B)の合計100質量部に対して10〜22質量部のゴム質重合体(a)を含有する請求項1〜3の何れかに記載の面材。
- 前記ゴム質重合体(a)が共役ジエン系ゴムである請求項1〜4の何れかに記載の面材。
- 前記成分(A1)は、下記成分(A1−1)及び/又は下記成分(A1−2)である請求項1又は2に記載の面材。
成分(A1−1):ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物をからなるビニル系単量体(b1−1)を重合して得られるグラフト共重合体。
成分(A1−2):ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物、並びに、水酸基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物及びオキサゾリン基含有不飽和化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有ビニル系単量体からなるビニル系単量体(b1−2)を重合して得られ
るグラフト共重合体。 - 前記成分(A2)は、下記成分(A2−1)及び/又は下記成分(A2−2)である請求項1又は2に記載の面材。
成分(A2−1):ゴム質重合体(a)の不存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物をからなるビニル系単量体(b2−1)を重合して得られる(共)重合体。 成分(A2−2):ゴム質重合体(a)の不存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物、並びに、水酸基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物及びオキサゾリン基含有不飽和化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基含有ビニル系単量体からなるビニル系単量体(b2−2)を重合して得られる(共)重合体。 - 前記印刷用フィルムには、更に、前記基材と反対側の表面上に最上層として透明樹脂層を被覆して成る、請求項1〜7の何れかに記載の面材。
- 前記図柄層を、直接印刷法により積層して成る、請求項1〜8の何れかに記載の面材。
- 前記基材の他方の表面上に、ゴム強化樹脂を含む樹脂組成物から成るフィルムを設けて成る、請求項1〜9の何れかに記載の面材。
- 建築製品、電気製品、車両製品、家具製品、厨房用製品及び雑貨製品の面材に使用される請求項11〜12の何れかに記載の面材。
- システムキッチンに使用される請求項11〜12の何れかに記載の面材。
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