JP2008101142A - 黒色系複合粉体及びその製造方法、樹脂組成物、石目調成形品、積層品並びに塗料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の黒色系複合粉体は、雲母粉〔A〕と、下記条件においてΔT1≦73℃である黒色系無機顔料粉体〔B〕と、が接着層を介して複合化している。
〔試験条件〕100質量部のABS樹脂と、5質量部の上記黒色系無機顔料粉体〔B〕とよりなる混合物を用いて、80mm×55mm×2.5mmの成形品を作製し、この成形品を、温度25±2℃及び湿度50±5%RHの環境下で状態調節した後、成形品の表面に赤外線(ランプ出力100W、ランプと成形品との距離200mm)を60分間照射し、成形品の表面温度について赤外線照射前後の温度変化(上昇温度)ΔT1を求める。
【選択図】なし
Description
また、雲母に、金属酸化物を被覆してなる光輝性を有する複合物も知られている(例えば、特許文献2等)。
1.雲母粉〔A〕と、下記条件による測定においてΔT1≦73℃である黒色系無機顔料粉体〔B〕と、が接着層を介して複合化していることを特徴とする黒色系複合粉体。
[試験条件]
100質量部のABS樹脂(商品名「テクノABS 110」、テクノポリマー社製)と、5質量部の上記黒色系無機顔料粉体〔B〕とよりなる混合物を用いて、長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.5mmの成形品を作製し、この成形品を、温度25±2℃及び湿度50±5%RHの環境下で状態調節した後、成形品の表面に赤外線(ランプ出力100W、ランプと成形品との距離200mm)を60分間照射し、成形品の表面温度について赤外線照射前後の温度変化(上昇温度)ΔT1を求める。
2.上記黒色系無機顔料が、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物である上記1に記載の黒色系複合粉体。
3.上記黒色系無機顔料が、Fe、Cr及びMnから選ばれる少なくとも2種の元素を含む酸化物である上記2に記載の黒色系複合粉体。
4.上記黒色系無機顔料が、Co元素及びNi元素を含む酸化物であり、該酸化物中のCo元素及びNi元素の含有量の比Co/Niが5/95〜95/5である上記2に記載の黒色系複合粉体。
5.上記黒色系無機顔料粉体〔B〕の含有割合が、上記雲母粉〔A〕100質量部に対して0.05〜20質量部である上記1乃至4のいずれかに記載の黒色系複合粉体。
6.更に、着色剤〔D〕を備え、且つ、該着色剤〔D〕の含有割合が、上記黒色系無機顔料粉体〔B〕及び該着色剤〔D〕の合計を100質量%とした場合に、0.08〜30質量%である上記1乃至5のいずれかに記載の黒色系複合粉体。
7.雲母粉〔A〕と、下記条件による測定においてΔT1≦73℃である黒色系無機顔料粉体〔B〕と、接着剤〔C〕と、必要に応じて着色剤〔D〕とを混合する工程を備えることを特徴とする黒色系複合粉体の製造方法。
[試験条件]
100質量部のABS樹脂(商品名「テクノABS 110」、テクノポリマー社製)と、5質量部の上記黒色系無機顔料粉体〔B〕とよりなる混合物を用いて、長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.5mmの成形品を作製し、この成形品を、温度25±2℃及び湿度50±5%RHの環境下で状態調節した後、成形品の表面に赤外線(ランプ出力100W、ランプと成形品との距離200mm)を60分間照射し、成形品の表面温度について赤外線照射前後の温度変化(上昇温度)ΔT1を求める。
8.上記1乃至6のいずれかに記載の黒色系複合粉体と、樹脂とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
9.下記条件による測定においてΔT2≦73℃である上記8に記載の樹脂組成物。
[試験条件]
上記樹脂組成物を用いて、長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.5mmの成形品を作製し、この成形品を、温度25±2℃及び湿度50±5%RHの環境下で状態調節した後、成形品の表面に赤外線(ランプ出力100W、ランプと成形品との距離200mm)を60分間照射し、成形品の表面温度について赤外線照射前後の温度変化(上昇温度)ΔT2を求める。
10.上記8又は9に記載の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする石目調成形品。
11.上記石目調成形品がフィルム又はシートである上記10に記載の石目調成形品。
12.上記8又は9に記載の樹脂組成物を成形してなる層と、他の樹脂組成物を成形してなる層とが積層されていることを特徴とする積層品。
13.上記1乃至6のいずれかに記載の黒色系複合粉体を含有することを特徴とする塗料。
上記黒色系無機顔料が、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物である場合には、成形品、皮膜等の表面における低蓄熱性に優れる。
上記黒色系無機顔料が、Fe、Cr及びMnから選ばれる少なくとも2種の元素を含む酸化物である場合、並びに、Co元素及びNi元素を含む酸化物であり、この酸化物中のCo元素及びNi元素の含有量の比Co/Niが5/95〜95/5である場合には、特に低蓄熱性に優れる。
本発明の黒色系複合粉体が、着色剤〔D〕、例えば、酸化チタン等からなる粉体を更に備える場合には、上記の雲母粉〔A〕及び黒色系無機顔料粉体〔B〕の混合色に由来する色及び/又はその濃度を変化させることができ、様々な用途に適用することができる。
本発明の黒色系複合粉体の製造方法によれば、雲母粉〔A〕と、黒色系無機顔料粉体〔B〕とが接着剤〔C〕により一体化した複合粉体を効率よく製造することができる。
本発明の樹脂組成物によれば、石目調模様が鮮明に形成された、低蓄熱性及び耐熱性に優れる成形品を容易に得ることができる。
本発明の石目調成形品及び積層品によれば、上記本発明の樹脂組成物を含む表面においては、石目調模様が鮮明であるだけでなく、低蓄熱性及び耐熱性に優れる。蓄熱が少ないことにより、成形品が屋外で用いられた場合に、太陽光による変形を抑制することができる。また、人体に触れてやけど等の発症を抑制することもできる。
本発明の塗料によれば、石目調模様を鮮明に形成でき、低蓄熱性に優れ、被塗装物への密着性に優れる。
本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
1−1.黒色系複合粉体
本発明の黒色系複合粉体は、雲母粉〔A〕と、下記試験条件1による測定においてΔT1≦73℃である黒色系無機顔料粉体〔B〕と、が接着層を介して複合化していることを特徴とする。
[試験条件1]
100質量部のABS樹脂(商品名「テクノABS 110」、テクノポリマー社製)と、5質量部の上記黒色系無機顔料粉体〔B〕とよりなる混合物を用いて、長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.5mmの成形品を作製し、この成形品を、温度25±2℃及び湿度50±5%RHの環境下で状態調節した後、成形品の表面に赤外線(ランプ出力100W、ランプと成形品との距離200mm)を60分間照射し、成形品の表面温度について赤外線照射前後の温度変化ΔT1を求める。このΔT1は、赤外線照射によって上昇した温度であり、以下、「蓄熱温度」ともいう。
上記試験条件1の具体的な操作は、後述する〔実施例〕において説明する。
尚、上記例示した中で、CoOを単独で用いた場合、その成形品は、太陽光を受光したときに赤外線の強度等によって成形品の表面に白化が発生したり、紫外線によって揮散したりすることがあるため、CoOを用いる場合は、他の化合物と組み合わせて用いることが好ましい。
また、上記黒色系無機顔料粉体〔B〕として、Co元素及びNi元素を含む酸化物、例えば、(Ni,Co,Fe)(Fe,Cr)2O4等からなる粉体を用いる場合、この酸化物中のCo元素及びNi元素の含有量の比Co/Niは、好ましくは5/95〜95/5であり、より好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは15/85〜85/15である。上記範囲とした黒色系無機顔料粉体〔B〕を含有する成形材料、塗料等とすることによって、太陽光等による蓄熱の少ない成形品、皮膜等を形成することができる。
上記着色剤〔D〕が上記黒色系無機顔料粉体〔B〕以外の顔料である場合、無機化合物でも有機化合物でもよいが、好ましくは、無機化合物であり、例えば、酸化物、炭化物、窒化物、炭酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、シリカ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。炭化物としては、炭化珪素等が挙げられる。窒化物としては、窒化ホウ素、窒化珪素等が挙げられる。炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。ケイ酸塩としては、タルク、カオリン等が挙げられる。
また、上記着色剤〔D〕が染料である場合、例えば、アントラキノン系染料、ペリレン系染料、ペリノン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、アゾ系染料、トリフェニル系染料、チアゾール系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、インドフェノール系染料、ケトン系染料、チアジン系染料、インジゴ系染料等が挙げられる。
本発明において、上記着色剤〔D〕としては、上記黒色系無機顔料粉体〔B〕以外の顔料であることが好ましく、特に、上記試験条件1による測定を行った場合に、ΔT1≦73℃を満たし、且つ、上記の雲母粉〔A〕及び黒色系無機顔料粉体〔B〕の混合色に由来する色の濃度を変化させることが容易な、酸化チタンからなる粉体が好ましい。
本発明の黒色系複合粉体において、上記接着層の構成材料の含有割合は、上記の雲母粉〔A〕及び黒色系無機顔料粉体〔B〕の合計、又は、上記の雲母粉〔A〕、黒色系無機顔料粉体〔B〕及び着色剤〔D〕の合計を100質量部とした場合、いずれも、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは2〜15質量部である。上記範囲であれば、石目調外観性に優れる。
本発明の黒色系複合粉体の製造方法は、雲母粉〔A〕と、上記試験条件1による測定においてΔT1≦73℃である黒色系無機顔料粉体〔B〕と、接着剤〔C〕と、必要に応じて着色剤〔D〕とを混合する工程(以下、「混合工程」という。)を備えることを特徴とする。
上記接着剤〔C〕としては、フェノール樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フラン樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の硬化樹脂又は未硬化樹脂を含む組成物を形成することができるプレポリマーを含む組成物(以下、「プレポリマー組成物」という。)を用いることができる。このプレポリマー組成物は、水系であってよいし、溶剤系であってもよい。また、媒体を含まない組成物であってもよい。更に、重合開始剤、架橋剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線防止剤等を含んでもよい。尚、上記樹脂のうち、フェノール樹脂、アクリル系樹脂等が好ましい。
上記の雲母粉〔A〕及び黒色系無機顔料粉体〔B〕の各使用量について、上記雲母粉〔A〕を100質量部とした場合、上記黒色系無機顔料粉体〔B〕の使用量は、好ましくは0.05〜20質量部であり、より好ましくは0.1〜20質量部、更に好ましくは0.5〜15質量部である。
また、上記着色剤〔D〕を使用する場合の使用量は、上記の黒色系無機顔料粉体〔B〕及び着色剤〔D〕の合計を100質量%とした場合に、好ましくは0.08〜30質量%、より好ましくは0.3〜25質量%、更に好ましくは0.8〜20質量%である。
更に、上記接着剤〔C〕は、本発明の黒色系複合粉体を製造した際において、形成された接着層の質量が、上記の雲母粉〔A〕及び黒色系無機顔料粉体〔B〕の合計、又は、上記の雲母粉〔A〕、黒色系無機顔料粉体〔B〕及び着色剤〔D〕の合計を100質量部とした場合、いずれも、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは2〜15質量部となるように調整して用いられる。即ち、上記接着剤〔C〕として、上記プレポリマー組成物を用い、水系又は溶剤系の組成物である場合には、固形分濃度等を考慮して使用量が決定される。
混合方法の具体例は、以下の通りである。
(1)各原料を一括して混合用容器へ投入した後、撹拌等を行う方法。
(2)接着剤〔C〕の存在下(攪拌下)に、他の原料を一括して投入し、撹拌等を行う方法。
(3)接着剤〔C〕の存在下(攪拌下)に、他の原料を連続して又は分割して投入しながら撹拌等を行う方法。
(4)雲母粉〔A〕及び接着剤〔C〕を混合した後、他の原料を一括して投入し、撹拌等を行う方法。
(5)雲母粉〔A〕及び接着剤〔C〕を混合した後、他の原料を連続して又は分割して投入しながら撹拌等を行う方法。
(6)接着剤〔C〕以外の原料成分を混合した後、接着剤〔C〕を一括して投入し、撹拌等を行う方法。
(7)接着剤〔C〕以外の原料成分を混合した後、接着剤〔C〕を連続して又は分割して投入しながら撹拌等を行う方法。
本発明の樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、上記本発明の黒色系無機顔料粉体と、樹脂とを含有することを特徴とする。
本発明の組成物は、下記試験条件2による測定において、好ましくはΔT2≦73℃、より好ましくはΔT2≦71℃、更に好ましくはΔT2≦69℃である。尚、ΔT2>73℃であると、低蓄熱性効果が十分でない傾向にある。
[試験条件2]
本発明の組成物を用いて、長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.5mmの成形品を作製し、この成形品を、温度25±2℃及び湿度50±5%RHの環境下で状態調節した後、成形品の表面に赤外線(ランプ出力100W、ランプと成形品との距離200mm)を60分間照射し、成形品の表面温度について赤外線照射前後の温度変化(上昇温度)ΔT2を求める。このΔT2も、上記ΔT1と同様、蓄熱温度を意味する。上記試験条件2の具体的な操作は、後述する〔実施例〕において説明する。
従って、本発明の組成物における、上記樹脂と、上記本発明の黒色系無機顔料粉体との含有割合については、上記ΔT2の条件が満たされるように選択され、樹脂100質量部に対して、黒色系無機顔料粉体の含有量の上限が、好ましくは20質量部、より好ましくは15質量部、更に好ましくは10質量部である。但し、下限は、通常、0.5質量部である。上記範囲の含有割合であれば、耐衝撃性及び石目調外観性に優れる。
この熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を有する重合体を含むものであれば、特に限定されず、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂等のゴム強化樹脂;ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体等のスチレン系(共)重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリ塩化ビニル、エチレン・塩化ビニル重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステルの1種以上を用いた(共)重合体等のアクリル系樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;液晶ポリマー;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;生分解性プラスチック等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、ゴム強化樹脂;オレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂及びポリカーボネート樹脂のアロイ;ポリエステル系樹脂、ゴム強化樹脂及びポリカーボネート樹脂のアロイが好ましい。
このゴム強化樹脂は、ゴム質重合体(以下、「ゴム質重合体(a)」という。)の存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(以下、「ビニル系単量体(b)」という。)を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(以下、「ゴム強化ビニル系樹脂(A1)」という。)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)及びビニル系単量体の(共)重合体(以下、「(共)重合体(A2)」という。)の混合物、からなるものである。
また、上記非ジエン系重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体;エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・ブテン−1・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体等のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体;ウレタン系ゴム;アクリル系ゴム;シリコーンゴム;シリコーン・アクリル系IPNゴム等が挙げられる。
尚、上記各共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。
また、溶液重合等によりゴム質重合体(a)を製造した場合には、再乳化等の方法により、所定の平均粒子径を有する重合体とさせることができる。再乳化により得られたゴム質重合体(a)の分散液も、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を乳化重合により製造するのに好適である。
従って、上記ビニル系単量体(b)としては、芳香族ビニル化合物(b1)の1種以上、あるいは、芳香族ビニル化合物の1種以上と、該芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物の1種以上とを組み合わせた単量体を用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(1)芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物。
(2)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物。
(3)芳香族ビニル化合物のみを重合して得られた(共)重合体の1種以上。
(4)(メタ)アクリル酸エステル化合物のみを重合して得られた(共)重合体の1種以上。
(5)芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
(6)芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
(7)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
(8)芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物を除く他の化合物とを重合して得られた共重合体の1種以上。
これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b)を、好ましくは乳化重合、溶液重合、塊状重合することにより、製造することができる。
尚、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造の際には、ゴム質重合体(a)及びビニル系単量体(b)は、反応系において、ゴム質重合体(a)全量の存在下に、ビニル系単量体(b)を一括添加してもよいし、分割又は連続添加してもよい。また、これらを組み合わせた方法でもよい。更に、ゴム質重合体(a)の全量又は一部を、重合途中で添加して重合してもよい。
ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を100質量部製造する場合、ゴム質重合体(a)の使用量は、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは10〜70質量部、更に好ましくは15〜60質量部である。
上記重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレイト、tert−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、上記重合開始剤は、反応系に一括して又は連続的に添加することができる。また、上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b)全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%である。
尚、複数のゴム強化ビニル系樹脂(A1)を併用する場合には、単離した後、混合してもよいが、他の方法として、各樹脂を各々含むラテックスを製造してから混合し、その後、凝固する等により、混合されたゴム強化ビニル系樹脂(A1)とすることができる。
ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラム中のゴム成分をxグラム、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラムをアセトン(但し、ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合には、アセトニトリルを使用。)に溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、次式により求められる値である。
グラフト率(質量%)={(y−x)/x}×100
尚、上記グラフト率及び極限粘度[η]は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造するときの、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を変えることにより、容易に制御することができる。
このオレフィン系樹脂は、炭素数が2以上のα−オレフィンからなる単量体単位を含む重合体であれば、特に限定されない。好ましいオレフィン系樹脂は、炭素数2〜10のα−オレフィンからなる単量体単位を含む重合体である。従って、炭素数2〜10のα−オレフィンからなる単量体単位の1種以上を主として含む(共)重合体;炭素数2〜10のα−オレフィンからなる単量体単位の1種以上と、このα−オレフィンと共重合可能な化合物からなる単量体単位の1種以上とを主として含む共重合体等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記オレフィン系樹脂の融点(JIS K7121に準拠)は、好ましくは40℃以上である。
また、上記オレフィン系樹脂の分子量は特に限定されないが、成形性の観点から、メルトフローレート(JIS K7210に準拠。以下、「MFR」ともいう。)は、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分であり、各値に相当する分子量を有するものが好ましい。
このポリエステル系樹脂は、分子の主鎖中にエステル結合を有する樹脂であれば、特に限定されず、飽和ポリエステル樹脂であってよいし、不飽和ポリエステル樹脂であってもよい。これらのうち、飽和ポリエステル樹脂が好ましい。また、単独重合ポリエステルであってよいし、共重合ポリエステルであってもよい。更に、結晶性樹脂であってよいし、非晶性樹脂であってもよい。
上記ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸等)、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸等の炭素数8〜16程度の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体等、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸等の炭素数8〜12程度の脂環式ジカルボン酸又はその誘導体等、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の炭素数2〜40程度の脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体等が挙げられる。
これらジカルボン酸成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらジヒドロキシ成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらオキシカルボン酸成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらラクトン酸成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、上記化合物以外に、必要に応じて、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール等の多官能性単量体を併用してもよい。
このポリカーボネート樹脂は、主鎖にカーボネート結合を有するものであれば、特に限定されず、芳香族ポリカーボネートでよいし、脂肪族ポリカーボネートでもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。本発明においては、耐衝撃性、耐熱性等の観点から、芳香族ポリカーボネートが好ましい。尚、このポリカーボネート樹脂は、末端が、R−CO−基、R’−O−CO−基(R及びR’は、いずれも有機基を示す。)に変性されたものであってもよい。このポリカーボネート樹脂は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ポリカーボネート樹脂は、全体としての粘度平均分子量が上記範囲に入るものであれば、異なる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
このポリアミド系樹脂は、主鎖に酸アミド結合(−CO−NH−)を有する樹脂であれば、特に限定されない。上記ポリアミド系樹脂は、通常、環構造のラクタム又はアミノ酸の重合、あるいは、ジカルボン酸及びジアミンの縮重合により製造される。従って、このポリアミド系樹脂としては、ホモポリアミド、コポリアミド等を用いることができる。単独で重合可能な単量体としては、ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、ピペリドン等が挙げられる。
また、ジカルボン酸及びジアミンを縮重合させる場合のジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。
尚、ポリアミド系樹脂の末端は、カルボン酸、アミン等で封止されていてもよい。カルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。また、アミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン等の脂肪族第1級アミン等が挙げられる。
上記ポリアミド系樹脂は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
この硬化性樹脂としては、それ自身で、又は、硬化剤等により硬化樹脂を生成する重合体を含むものであれば、特に限定されず、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン系樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物は、目的、用途等に応じて、添加剤を含有したものとすることができる。この添加剤としては、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、難燃剤、老化防止剤、可塑剤、抗菌剤、着色剤等が挙げられる。
尚、上記樹脂が、硬化性樹脂である場合には、硬化性樹脂組成物が、更に、重合性単量体、重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、増感剤、カップリング剤、有機溶剤等を含むものであってもよい。
上記充填剤の含有量は、上記樹脂100質量部に対して、通常、5〜50質量部である。
上記熱安定剤の含有量は、上記樹脂100質量部に対して、通常、0.1〜5.0質量部である。
上記酸化防止剤の含有量は、上記樹脂100質量部に対して、通常、0.1〜5.0質量部である。
上記紫外線吸収剤の含有量は、上記樹脂100質量部に対して、通常、0.05〜5.0質量部である。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、本発明の組成物に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記老化防止剤の含有量は、上記樹脂100質量部に対して、通常、0.1〜5.0質量部である。
上記可塑剤の含有量は、上記樹脂100質量部に対して、通常、0.5〜10質量部である。
上記抗菌剤の含有量は、上記樹脂100質量部に対して、通常、0.05〜5.0質量部である。
上記着色剤の含有量は、上記樹脂100質量部に対して、通常、0.1〜10質量部である。
本発明の組成物が、熱可塑性樹脂組成物である場合、原料成分を、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等に供給し、混練することにより製造することができる。原料成分の供給方法は特に限定されず、各々の成分を一括配合して混練してもよく、多段、分割配合して混練してもよい。尚、混練温度は、熱可塑性樹脂の種類により選択されるが、例えば、熱可塑性樹脂が、ゴム強化樹脂である場合、混練温度は、通常、200〜280℃、好ましくは210〜270℃である。
尚、硬化性樹脂組成物は、通常、原料成分を、チェンジ缶式ミキサー、プラネタリーミキサー、ディスパー、ヘンシェルミキサー、ニーダー、インクロール、押出機、3本ロールミル、サンドミル等の攪拌装置を用いて混合し、均一に分散させることにより調製される。このとき、撹拌条件等によっては、摩擦熱により、例えば、重合開始剤が活性化される等の不具合を生じることがあるため、40℃以下等低い温度に保つべく冷却しながら混合することが好ましい。
本発明の石目調成形品は、上記本発明の組成物を成形してなることを特徴とする。上記本発明の組成物が、熱可塑性樹脂組成物である場合には、射出成形、シート押出成形、異形押出成形、真空成形、カレンダー成形、Tダイ成形、インフレーション成形、発泡成形等の公知の成形法により、目的、用途に応じた形状を有する成形品とすることができる。即ち、本発明の成形品は、上記本発明の組成物(熱可塑性樹脂組成物)を含む。
また、上記本発明の組成物が、硬化性樹脂組成物である場合には、例えば、金型に注入し、必要に応じて、静置、加熱、光照射又は電子線照射することにより、目的、用途に応じた形状を有する成形品とすることができる。
上記薄肉体の厚さは、通常、0.05〜5mmである。また、上記薄肉体は、その厚さに関係なく、更に、不定形状の、例えば、角部を有する物体に巻き付けたときの折り曲げ部周辺における、石目調模様も鮮明となる。
また、上記薄肉体、肉厚成形体等の石目調成形品に、意匠性を付与するために、必要に応じて、グラビア法、フレキソグラフ法、シルクスクリーン法等による印刷を行い、印刷体等として使用することができる。
上記用途においては、本発明の石目調成形品として、積層体等の複合体を用いる場合、他の部材を構成する材料としては、重合体(樹脂、ゴム等)、木材、金属、合金、無機化合物等が挙げられる。
また、上記用途において、特に、屋外で用いられ且つ人体に触れる成形品の場合には、抗菌剤を含有することにより、その効果をも併せ持つこととなり、例えば、光触媒作用を有する酸化チタン系材料を含有することにより、防汚性、親水性等を付与することもできる。
本発明の積層品は、上記本発明の組成物を成形してなる層(以下、「X層」という。)と、他の樹脂組成物を成形してなる層(以下、「Y層」という。)とが積層されていることを特徴とする。X層及びY層の厚さは、特に限定されず、シート、フィルム等の薄肉体、肉厚成形体が挙げられる。X層は、好ましくは薄肉体である。X層及びY層の厚さは、同一であってよいし、部分的又は全体的に異なってもよい。従って、本発明の積層品も、全体として均一の厚さであってよいし、部分的に異なる厚さであってもよい。
本発明の積層品の層構成は、特に限定されず、X層及びY層がともに少なくとも1層から構成される。好ましい層構成は、外面がX層/内面がY層、外面がY層/内面がX層、外面がX層/中間がY層/内面がX層であり、特に好ましい層構成は、外面がX層/内面がY層である。
塩化ビニル系樹脂は、安価であり、そして、成形加工性に優れることから、広く使用されている。石目調等の黒色系顔料含有組成物で成形された成形品を屋外で使用すると、太陽光吸収蓄熱で製品の温度が上昇し、その結果、耐熱性の低い塩化ビニル系樹脂等の製品は、変形し使用できない。しかし、上記外面がX層/内面がY層の積層品において、Y層を形成する他の樹脂組成物が耐熱性の低い塩化ビニル系樹脂等であっても、X層が低蓄熱性であることから、Y層の温度上昇が抑制され、使用に耐える。従って、Y層を形成する他の樹脂組成物として、熱変形温度(ASTM D648,18.5kg/cm2)が85℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下の熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物を使用することにより、優れた効果を発揮する。
上記Y層を形成する他の樹脂組成物としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、HIPS樹脂等のゴム強化樹脂;ポリスチレン、ポリスルホン等の熱可塑性樹脂又はこれらを含む熱可塑性組成物が挙げられる。尚、上記Y層は着色されていてもよい。尚、この場合のX層及びY層の好ましい厚さは、それぞれ、0.01〜10mm、及び、0.1〜30mmである。
(1)X層用成形体と、Y層用成形体とを、接着剤を用いて接着積層する方法
(2)X層用成形体と、Y層用成形体とを、常温又は加熱下で圧着する方法
(3)上記本発明の組成物と、他の樹脂組成物とを共押出する方法
本発明の塗料(以下、「本発明の塗料組成物」という。)は、上記本発明の黒色系複合粉体を含有することを特徴とする。本発明の塗料組成物は、低蓄熱性の黒色系塗料として極めて有用である。
本発明の塗料組成物は、水分散系塗料、非水分散系塗料及び粉体塗料のいずれでもよいが、水分散系塗料組成物であることが好ましい。
上記被膜形成用ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カゼイン、スチレンマレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性樹脂;アクリル系重合体、ポリエステル、スチレン・ブタジエン系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の水分散性樹脂等を用いることができる。
上記分散媒としては、水単独であってよいし、水と、水溶性有機溶剤との混合物であってもよい。後者の場合、水溶性有機溶剤の含有割合は、水100質量部に対して、通常、1〜50質量部である。
尚、上記水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコール;ブチルセロソルブ等の多価アルコールのアルキルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、本発明の塗料組成物において、上記黒色系複合粉体は、着色剤として作用するが、他の顔料、染料等からなる他の着色剤を更に配合してもよく、その場合、他の着色剤の含有量は、上記黒色系複合粉体100質量部に対して、通常、1〜50質量部である。
尚、被塗装物としては、一般の建造物のほか、各種部材等が挙げられる。
1−1.蓄熱温度(赤外線照射前後の温度変化ΔT1又はΔT2)
温度25±2℃及び湿度50±5%RHに調節された室に、5部の下記の黒色系無機顔料粉体〔B〕と、100部のABS樹脂(商品名「テクノABS 110」、テクノポリマー社製)とよりなる樹脂組成物を用いて得られた、長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.5mmの板状成形品(P)、並びに、下記の実施例あるいは比較例により製造された複合粉体又は混合粉体と、各樹脂成分とよりなる樹脂組成物を用いて得られた、長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.5mmの板状成形品(Q)、を5時間静置した。その後、上記板状成形品(P)及び(Q)の表面に、それぞれ、赤外線(ランプ出力100W、ランプと各成形品との距離200mm)を60分間照射して、照射後の表面温度を、表面温度計を用いて測定し、赤外線照射前後の温度変化(上昇温度)ΔT1及びΔT2求めた。
電子顕微鏡により、100個の粒子を観察し、平均値を求めた。
1−3.複合粉体の平均粒径(mm)
日機装社製マイクロトラック粒度分布計(レーザー回折法)により測定した。
上記1−1にて得られた板状成形品(Q)の表面を目視観察した。判定基準は、以下の通りである。
○;石目調模様が鮮明である。
×;石目調模様が不鮮明である。
後述(実施例2−1等)の積層板(長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.6mm)の石目調模様を有する面に、赤外線(ランプ出力100W、ランプと各成形品との距離200mm)を60分間照射して、積層板の変形の程度を目視観察した。判定基準は、以下の通りである。尚、この積層板の下層(厚さ2.3mm)を構成する塩化ビニル樹脂組成物のみに対し、同条件で赤外線を照射した場合、変形が全くないことを確認した。
○;変形が全くなかった。
×;実用で問題となる変形が見られた。
2−1.雲母粉〔A〕
(1)A1;平均粒径0.1mm及び厚さ10μmの雲母
(2)A2;平均粒径0.3mm及び厚さ30μmの雲母
(3)A3;平均粒径1mm及び厚さ100μmの雲母
(4)A4;平均粒径5mm及び厚さ500μmの雲母
(1)B1;商品名「フェローカラー42−703A」、日本フェロー社製、Fe及びCrの複合酸化物(化学組成は、Cr2O3;88〜91%、Fe2O3;7〜10%であり、色は黒色である。ΔT1は、50℃であり、平均粒径は、1〜5μmである。)
(2)B2;商品名「フェローカラー42−350A」、日本フェロー社製、Fe及びMnの複合酸化物(色は黒色である。ΔT1は、46℃であり、平均粒径は、1〜5μmである。)
(3)B3;商品名「フェローカラー42−303B」、日本フェロー社製、Cu、Cr及びMnの複合酸化物(色は黒色である。ΔT1は、47℃であり、平均粒径は、1〜5μmである。)
(4)B4;商品名「AE801ブラック」、川村化学社製、Ni、Co、Fe及びCrの複合酸化物(Ni/Co=50/50であり、色は黒色である。ΔT1は、50℃であり、平均粒径は、1〜5μmである。)
(5)B5;商品名「AG235ブラック」、川村化学社製、Ni、Co、Fe及びCrの複合酸化物(Ni/Co=70/30であり、色は黒色である。ΔT1は、50℃であり、平均粒径は、1〜5μmである。)
(1)酸化チタン
商品名「CR−60−2」、石原産業社製(ΔT1は、40℃である。)
(2)カーボンブラック
商品名「三菱カーボン#45」、三菱化学社製(ΔT1は、85℃である。)
レゾールタイプの液状フェノール樹脂(商品名「PR−51708」、住友デュレス社製)を用いた。
体積平均粒子径100nmのアクリル系ゴム(乳化重合によるアクリル酸n−ブチル99部及びメタクリル酸アリル1部の共重合体)の存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られた共重合樹脂であって、アクリル系ゴム/スチレン/アクリロニトリル=50/37/13(%)であり、グラフト率が60%であり、アセトニトリル可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.46dl/gである、ゴム強化ビニル系樹脂と、スチレン/アクリロニトリル=76/24(%)であり、極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.5dl/gである、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを、40/60(%)で混練してなるゴム強化樹脂を用いた。
実施例1−1
上記雲母粉A2と、上記黒色系無機顔料粉体B1と、上記接着剤とを、表1に示す割合でヘンシェルミキサーに投入し、ジャケット温度を50℃に調整し、1000rpmで5分間混合した。その後、この混合物を、乾燥浴槽内が窒素ガスで置換されているギヤーオーブン内に静置し、120℃で12時間加熱した。
次いで、この加熱処理物を、ヘンシェルミキサーに投入し、ジャケット温度を20℃に調整し、500rpmで2分間混合することにより、黒色系複合粉体CP1を得た。この黒色系複合粉体CP1の色は、黒色であり、平均粒径は、0.31mmであった。
表1に示す配合処方で処理した以外は、実施例1−1と同様にして黒色系複合粉体CP2〜CP14を得た。各粉体の色及び平均粒径は表1に併記した。
表1に示す配合処方で、実施例1−1と同様の操作を行い、黒色系混合粉体CP15〜CP16を得た。
実施例2−1
上記樹脂R1と、上記黒色系複合粉体CP1とを、表2に示す割合で混合した後、シリンダー設定温度210℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。次いで、射出成形により、長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.5mmの板状成形品を得た。この板状成形品について、ΔT2(℃)及び成形外観性の評価を行った。
また、上記樹脂組成物からなるペレット、及び、下記の塩化ビニル樹脂組成物からなるペレットを、それぞれ、20mmφ押出機(シリンダー設定温度200℃)及び40mmφ押出機(シリンダー設定温度170℃)に供給して、各押出機にてスクリュー回転数及び引き取り速度を適宜、調節しながら共押出し、厚さが、それぞれ、0.3mm及び2.3mmである積層板(長さ80mm、幅55mm)を得た。この積層板について、耐熱変形性の評価を行った。
以上の結果を表2に併記した。
ポリ塩化ビニル(分子量1000) 100
ポリメタクリル酸メチル(分子量200万) 2
強化剤(アクリル系ゴム) 4
炭酸カルシウム 10
安定剤(Ca/Zn、ワンパック品) 4.2
表2に示す割合で、樹脂、複合粉体等を用い、実施例2−1と同様にして、板状成形品及び積層板を作製し、評価を行った。その結果を表2に示した。
実施例3
上記実施例2−1で得られた樹脂組成物と、上記塩化ビニル樹脂組成物とを、Tダイ付き押出機に供給し、上記実施例2−1の共押出条件で共押出することにより、各層の厚さが、それぞれ、0.5mm及び1mmである2層型積層シートを製造した。
得られた2層型積層シートは、密着性に優れ、鮮明な石目調模様を確認することができた。
実施例4
重量平均粒子径が150nmであるアクリル系重合体粒子(アクリル酸n−ブチル・メタクリル酸n−ブチル共重合体)を含むエマルション30部と、上記実施例1−9で得られた複合粉体CP9を50部と、ブチルベンジルフタレート(可塑剤)0.1部と、水とを、分散用の容器に入れ、ディスパーにて5分間攪拌し、塗料組成物(固形分濃度45%)を得た。
その後、得られた塗料組成物を、ABS樹脂からなる平板上にアプリケーターを用いて塗布し(被膜厚さ30μm)、30℃で乾燥した。皮膜の外観性を目視観察したところ、鮮明な石目調模様が確認された。
Claims (13)
- 雲母粉〔A〕と、下記条件による測定においてΔT1≦73℃である黒色系無機顔料粉体〔B〕と、が接着層を介して複合化していることを特徴とする黒色系複合粉体。
[試験条件]
100質量部のABS樹脂(商品名「テクノABS 110」、テクノポリマー社製)と、5質量部の上記黒色系無機顔料粉体〔B〕とよりなる混合物を用いて、長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.5mmの成形品を作製し、この成形品を、温度25±2℃及び湿度50±5%RHの環境下で状態調節した後、成形品の表面に赤外線(ランプ出力100W、ランプと成形品との距離200mm)を60分間照射し、成形品の表面温度について赤外線照射前後の温度変化(上昇温度)ΔT1を求める。 - 上記黒色系無機顔料が、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物である請求項1に記載の黒色系複合粉体。
- 上記黒色系無機顔料が、Fe、Cr及びMnから選ばれる少なくとも2種の元素を含む酸化物である請求項2に記載の黒色系複合粉体。
- 上記黒色系無機顔料が、Co元素及びNi元素を含む酸化物であり、該酸化物中のCo元素及びNi元素の含有量の比Co/Niが5/95〜95/5である請求項2に記載の黒色系複合粉体。
- 上記黒色系無機顔料粉体〔B〕の含有割合が、上記雲母粉〔A〕100質量部に対して0.05〜20質量部である請求項1乃至4のいずれかに記載の黒色系複合粉体。
- 更に、着色剤〔D〕を備え、且つ、該着色剤〔D〕の含有割合が、上記黒色系無機顔料粉体〔B〕及び該着色剤〔D〕の合計を100質量%とした場合に、0.08〜30質量%である請求項1乃至5のいずれかに記載の黒色系複合粉体。
- 雲母粉〔A〕と、下記条件による測定においてΔT1≦73℃である黒色系無機顔料粉体〔B〕と、接着剤〔C〕と、必要に応じて着色剤〔D〕とを混合する混合工程を備えることを特徴とする黒色系複合粉体の製造方法。
[試験条件]
100質量部のABS樹脂(商品名「テクノABS 110」、テクノポリマー社製)と、5質量部の上記黒色系無機顔料粉体〔B〕とよりなる混合物を用いて、長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.5mmの成形品を作製し、この成形品を、温度25±2℃及び湿度50±5%RHの環境下で状態調節した後、成形品の表面に赤外線(ランプ出力100W、ランプと成形品との距離200mm)を60分間照射し、成形品の表面温度について赤外線照射前後の温度変化(上昇温度)ΔT1を求める。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の黒色系複合粉体と、樹脂とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
- 下記条件による測定においてΔT2≦73℃である請求項8に記載の樹脂組成物。
[試験条件]
上記樹脂組成物を用いて、長さ80mm、幅55mm及び厚さ2.5mmの成形品を作製し、この成形品を、温度25±2℃及び湿度50±5%RHの環境下で状態調節した後、成形品の表面に赤外線(ランプ出力100W、ランプと成形品との距離200mm)を60分間照射し、成形品の表面温度について赤外線照射前後の温度変化(上昇温度)ΔT2を求める。 - 請求項8又は9に記載の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする石目調成形品。
- 上記石目調成形品がフィルム又はシートである請求項10に記載の石目調成形品。
- 請求項8又は9に記載の樹脂組成物を成形してなる層と、他の樹脂組成物を成形してなる層とが積層されていることを特徴とする積層品。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の黒色系複合粉体を含有することを特徴とする塗料。
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