JP2006282476A - 塩化ナトリウムの結晶の製造方法 - Google Patents

塩化ナトリウムの結晶の製造方法 Download PDF

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Shigesuke Hidaka
重助 日高
Yoshiyuki Shirakawa
善幸 白川
Atsuko Shimozaka
厚子 下坂
Kazunori Kadota
和紀 門田
Tomotsugu Tanida
智嗣 谷田
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Abstract

【課題】 特別な加熱や冷却を必要とせずに、簡単に、塩化ナトリウム水溶液から、表面積の大きな特異な形状の結晶を得る方法を提供する。
【解決手段】 塩化ナトリウム水溶液と酢酸を混合して、固液分離する。水と酢酸の混合割合を調整するだけで、表面積の大きな変化に富んだ形状の結晶を得ることが可能となるものであり、塩化ナトリウムの飽和水溶液と酢酸を体積比率で約1:4で混合すると、中心から放射状に柱状体が延びた結晶を得ることができる。
【選択図】 図3

Description

塩化ナトリウムの新規な結晶の製造方法に関する。
従来、塩化ナトリウムについて、特種な結晶(8〜14面体結晶)を得る方法として、塩化ナトリウム水溶液中にヘキサメタリン酸ナトリウムやアクリル酸ナトリウムを添加する方法が提案されている(特許文献1,2参照)。しかし、これらの方法は、(1)恒温加熱水槽、冷却器及び晶析器、又は(2)蒸発缶、溶液槽、加熱管及び真空ポンプというように、加熱や冷却に多大なエネルギーを要し、しかも結晶の取り出しまでに数時間以上を要するものであった。
特公平5−80408号公報 特公平5−80409号公報
本発明は、特別な加熱や冷却を必要とせずに、簡単に、塩化ナトリウム水溶液から、表面積の大きな特異な形状の結晶を得る方法を提供することを課題とする。
本発明では、塩化ナトリウム水溶液と酢酸を混合して、固液分離するという方法で上記課題を解決した。
すなわち、本発明では、塩化ナトリウム水溶液と酢酸の混合率の変化によって、塩化ナトリウムの結晶析出に重要な過飽和度が変化し、更にpHの影響によって、多様な塩化ナトリウム結晶の生成を可能とするものである。更に、本発明では、液混合における撹拌速度を制御するなどして、凝集体の制御も可能となる。
本発明において、塩化ナトリウム水溶液は、塩化ナトリウムの高濃度水溶液、特に飽和水溶液または過飽和水溶液であるのが好ましい。酢酸は、混合系において体積比率で20%以上となる量で、塩化ナトリウム水溶液と混合すればよいが、特に、80%以上となるようにするのが好ましい。なお、酢酸に水に含まれてもよいが、塩化ナトリウムの溶解度に影響を及ぼすので、できるだけ水を含まないものを使用するのが好ましい。また、不純物は、結晶構造に影響を及ぼすので、塩化ナトリウム及び酢酸共に純度の高いものを使用するのがよい。
かかる本発明の方法は、常温で実施可能であり、塩化ナトリウム水溶液と酢酸を混合すると、一瞬で溶液が混ざり合い、図1の水と酢酸との混合溶液中における塩化ナトリウムの溶解度曲線に示すように塩化ナトリウムの溶解度が減少し、図2に示すように過飽和度が大きくなって結晶が析出するため、1分以内で、結晶を得ることが可能となる。
なお、酢酸を塩化ナトリウム飽和水溶液の約4倍の体積比率で混合した場合すなわち酢酸の混合体積比率を、混合系の80%以上とした場合には、後の実施例に示す如く、中心から放射状に柱状体が延びた新規な形状の表面積の大きな塩化ナトリウム結晶を得ることができる。また、酢酸の混合割合を更に増すことによって、より表面積の大きな結晶を得ることが可能となる。このように中心から放射状に柱状体が延びた形状の塩化ナトリウム結晶となるのは、つぎのような理由からと考えられる。酢酸の混合比率を多くすると、解離した酢酸イオンCH3COO-が多くなり、塩化ナトリウムの結晶のナトリウムイオンNa+の部分に付着して結晶の角の成長が抑制された形となり、結晶が成長する際にその部分が活性となって反応しやすくなって、結晶が凝集した結果、放射状に柱状体が延びた形状の結晶となる。
本発明の方法では、特種な装置を使用することなく、常温でも、塩化ナトリウム水溶液と酢酸を混合するだけで、瞬時に、塩化ナトリウムの結晶を析出させることができる。また、水と酢酸の混合割合を調整するだけで、表面積の大きな変化に富んだ形状の結晶を得ることが可能となる。
更に、酢酸は食用に使用できるものであるので、本発明の方法は、環境に優しく、また、本発明で得られる結晶は食用にも安心して使用できるものとなる。得られる結晶の構造は従来と著しく異なり、表面積の大きなものとなるので、従来の食塩に比して風味の良い食塩を提供することができる。
水と酢酸との混合溶液中における塩化ナトリウムの溶解度曲線(20℃)は、図1の通りとなる。また、過飽和度曲線は図2に示される。
本発明の実施例を次に示すが、実施例はいずれも、純度99.98%の塩化ナトリウムと純度99.7%の酢酸を使用し、20℃で実施した。
実施例1
塩化ナトリウムの飽和水溶液1mL(水100gに対する塩化ナトリウムの溶解度は35.8g)を塩化ナトリウムの飽和酢酸溶液4mL(酢酸100gに対する塩化ナトリウムの溶解度は0.017g)に添加混合したところ、直ぐに塩化ナトリウムの結晶が析出した。
結晶の多くは、図3に示すように中心から放射状に4本以上の柱状体が延びた形状をなすものであった。
実施例2
塩化ナトリウムの飽和水溶液と塩化ナトリウムの飽和酢酸溶液を体積比率で(a)2:3、(b)3:2、(c)4:1と変化させて混合した。これらの場合に析出した塩化ナトリウムの結晶の顕微鏡写真を、図4に示す。
図4の(c)のように水が多い場合には、直方体形状の結晶が析出し、(b)(a)と酢酸が増えるに従って、直方体形状の各壁面の中央部に窪みが生じた結晶となっている。
図1は、水と酢酸との混合溶液中における塩化ナトリウムの溶解度曲線(20℃)を示す。 図2は、塩化ナトリウムの過飽和度曲線を示す。 図3は、本発明の実施例で得た塩化ナトリウム結晶の顕微鏡写真である。 図4は、本発明の実施例において、塩化ナトリウムの飽和水溶液と塩化ナトリウムの飽和酢酸溶液の混合割合を変化させて得た塩化ナトリウム結晶の顕微鏡写真である。

Claims (4)

  1. 塩化ナトリウム水溶液と酢酸を混合して、固液分離することを特徴とする塩化ナトリウムの結晶の製造方法。
  2. 塩化ナトリウム水溶液は、塩化ナトリウムの飽和水溶液または過飽和水溶液であり、かつ酢酸は、混合系において体積比率で20%以上となる量で使用する請求項1の製造方法。
  3. 塩化ナトリウム水溶液は、塩化ナトリウムの飽和水溶液または過飽和水溶液であり、かつ酢酸は、混合系において体積比率で80%以上となる量で使用する請求項1の製造方法。
  4. 中心から放射状に柱状体が延びた形状の塩化ナトリウム結晶体。
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