JP2006282453A - 水素含有ガスの製造方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水蒸気と炭化水素系燃料とが混合された原料ガスf1に対して酸素含有ガスOを混合し触媒反応室5に導き、部分酸化反応及び水蒸気改質反応により水素含有ガスを得る改質を実行するに、触媒反応室5の前室9を、部分酸化下限温度T1以上、水蒸気改質下限温度T2未満の温度で、混合室8から触媒反応室5に到達するのに要する移流時間で混合ガスF2が自着火する温度である自着火温度T3未満の温度とする。
【選択図】 図3
Description
この種の炭化水素系燃料の触媒改質反応としては、部分酸化反応と水蒸気改質反応が知られている。
前記部分酸化反応は、下記化1に示す化学式に従ったものであり、所謂、発熱反応である。
この改質技術はオートサーマル改質とも呼ばれ、この改質では、化1と化2に示された反応が同時に起こる。
1 特許文献1に開示の図2に示す構成の問題点
この構成にあっては、部分酸化反応を前段無触媒反応室で行うが、触媒反応を利用しないために、部分酸化を確実に得ることが難しく、制御性がよくない。
2 特許文献1に開示の図3〜5に示す構成の問題点
これらの構成にあっては、触媒反応室が独立の2室に分割されているため、部分酸化反応で発生した熱を充分に水蒸気改質に利用できない。さらに、改質触媒層の前側に触媒を配設しない前室が設けられているが、この前室にあっては、触媒層の温度状態によっては、この前室において部分酸化が始まるとともに触媒層内でのガス温度が上昇しすぎて、反応に有害なカーボンの発生が起こる等の問題が発生する場合もある。
前記混合室で得られた混合ガスを触媒反応室の上流側に設けた前室を介して前記触媒反応室に導き、前記混合ガスを改質触媒に接触させて、部分酸化反応及び水蒸気改質反応により水素含有ガスを得る改質工程とを実行する水素含有ガスの製造方法の特徴手段は、
前記改質触媒が前記部分酸化反応を起こす下限温度を部分酸化下限温度、前記水蒸気改質反応を起こす下限温度を水蒸気改質下限温度として、前記部分酸化下限温度以上、前記水蒸気改質下限温度未満の温度で、
前記混合室から前記触媒反応室に前記混合ガスが到達するのに要する移流時間で前記混合ガスが自着火する温度である自着火温度に対して、当該自着火温度未満の温度に、
前記混合室及び前記前室の温度を設定して前記混合ガスを前記触媒反応室に導入して、水素含有ガスを製造することにある。
さて、触媒が特定されると、その部分酸化下限温度及び水蒸気改質下限温度は、ともに触媒固有の特性温度として決まる。一方、混合室から触媒反応室に至るまでに、反応系の物理的構成によって混合ガスの移流時間が決まる。
一方、上限温度に関しては、水蒸気改質下限温度及び自着火温度未満の温度にして、混合ガスの着火が混合室あるいは前室で発生するのを防止して系を安定させる。
水蒸気と炭化水素系燃料とが混合された原料ガスに対して酸素含有ガスを混合する混合室と、
前記混合室で得られた混合ガスを触媒反応室の上流側に設けた前室を介して前記触媒反応室に導き、前記混合ガスを改質触媒に接触させて、部分酸化反応及び水蒸気改質反応により水素含有ガスを得る水素含有ガスの製造装置であって、
前記改質触媒が前記部分酸化反応を起こす下限温度を部分酸化下限温度、前記水蒸気改質反応を起こす下限温度を水蒸気改質下限温度として、前記部分酸化下限温度以上、前記水蒸気改質下限温度未満の温度で、
前記混合室から前記触媒反応室に前記混合ガスが到達するのに要する移流時間で前記混合ガスが自着火する温度である自着火温度に対して、当該自着火温度未満の温度に、
前記混合室及び前記前室の温度を設定する温度設定手段を備えた水素含有ガスの製造装置とできる。
前記前室を流れる前記混合ガスの温度を、前記前室上限温度未満、前記前室下限温度より高い温度に維持することが好ましい。
この方法を使用する水素含有ガスの製造装置としては、
前記部分酸化下限温度と前記混合ガスの露点温度とに関して高い側の温度を前室下限温度とし、前記自着火温度を前室上限温度として、
前記前室を流れる前記混合ガスの温度を、前記前室上限温度未満、前記前室下限温度より高い温度に維持する前室混合ガス温度維持手段を備えた水素含有ガスの製造装置とすることとできる。
先にも示したように、触媒反応室の反応状態は、その上流側の状態に従う。よって、この部位の温度を触媒反応室の代表温度に従って制御することで、触媒反応室内の状態を所望の状態にもって行ける。
原料ガスが導入される原料ガス室の下流側に前記混合室を備えて、前記混合室において前記混合工程を実行し、
前記混合室から前記前室を介して前記混合ガスを前記触媒反応室に導入して水素含有ガスを製造するに、
前記原料ガス室に於ける前記原料ガスの最低流速より、前記混合室及び前記前室における前記混合ガスの流速を高くすることが好ましい。
水素含有ガスの製造装置としては、
原料ガスが導入される原料ガス室の下流側に前記混合室を備え、
前記原料ガス室に於ける前記原料ガスの最低流速より、前記混合室及び前記前室における前記混合ガスの流速を高くすることとなる。
火炎伝播抑制手段を配設することで、前室で極局部的な自着火が発生しても、その伝播を抑え、反応系を安定化できる。
このようにすることで、触媒反応室からの熱が前室に伝わるのを防止でき、両室を熱的に独立したものとすることで、触媒反応室入口近傍での状態を安定化できる。
触媒反応室に供給する混合ガスの硫黄化合物濃度が上がるに従って、触媒反応室内で発生する反応のピーク温度は上昇する傾向を有する。そして、改質触媒がルテニウムの場合、硫黄化合物濃度を1ppb以下とすることにより、触媒反応室内のピーク温度を安定した反応が得られる温度とできる。ここで、1ppb以下であればよく、その下限を問うものではない。この濃度が低下することで改質触媒の劣化も避けられる。
〔GTL製造プロセス〕
図1は、本願に係る水素含有ガス製造装置1を、水素含有ガスを原ガスとするGTL反応器2の上流側に備えたGTL(Gas To Liquids)製造プロセス3の構成を示したものである。同図に示すように、このシステム3は、本願の水素含有ガス製造装置1をGTL反応器2の上流側に備えて構成されており、水素含有ガス製造装置1には、天然ガス等の炭化水素系燃料f、水蒸気s及び酸素含有ガスである酸素Oが供給され、改質の後、水素リッチガスhがGTL反応器2に送られる。
炭化水素系燃料としては、前記天然ガスの他、ガス状態にあるアルコール、エーテル、LPG、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油、重油、アスファルテン油、オイルサンド油、石炭液化油、シェールオイル、GTL(Gas To Liquidsで製造された液体燃料)、廃プラスチック油及びバイオフューエル等を採用できる。
この種の改質触媒としては、具体的には、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム、ルテニウムなどの貴金属系触媒が好ましく用いられ、その他、ニッケル系、コバルト系などの触媒も適用することができる。また、金属は1種類のみを用いてもよく、また、必要に応じて2種類以上を併用することもできる。これらの触媒はどのような形状でもよく、担体の制限も特にないが、望ましくはアルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、マグネシア、カルシアから選ばれる1種を主成分とする担体が好ましく、この担体に担持して、タブレット状、球状、リング状の成型品の形で使用するか、ハニカム状に成型して使用するのが好ましい。
この種の触媒の製造に関して代表例を、アルミナ担体にルテニウムを担持させる場合に関して説明すると、例えば、球状のアルミナ担体(直径4〜6mm)を塩化ルテニウム(RuCl3・3H2O)水溶液に浸漬し、空気中80℃で2時間乾燥した後、固定化(NaOH水溶液による処理)、水素還元することにより調製できる。
この水素含有ガス製造装置1は、先に説明した炭化水素系燃料fに対する、脱硫、水蒸気添加、酸素混合及び改質までの工程を受持つように構成されている。
前記脱硫は脱硫室6において実行され、脱硫室6から送出される炭化水素系燃料fに水蒸気sを混合した原料ガスf1が生成される。図2は、この装置1における、原料ガス室7、混合室8、前室9及び触媒反応室5の具体的構成を示したものである。本願は、前室9の構成及びその使用形態に特徴があるため、同図には触媒反応室5の上部側のみを示している。触媒反応室5の下部側に設けられる出側は、出口5bを介して接続管5cでGTL反応器2の水素導入口2aに接続されている。
前記脱硫室6には酸化銅、酸化亜鉛等を混合した銅亜鉛系高次脱硫触媒等の脱硫触媒c2が配設され、この室6で、硫黄化合物濃度を1ppb以下にする。この濃度に脱硫することで、触媒反応室5に導かれる混合ガスの硫黄化合物濃度も1ppb以下となる。
上記した銅亜鉛系高次脱硫触媒の他、銀系触媒、さらには、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、コバルト、パラジウム、イリジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、金等を含む脱硫触媒も採用可能である。
脱硫を経た炭化水素系燃料fは、別途水蒸気供給管10を経て供給される水蒸気sを添加される。ここで、炭化水素系燃料fに対する水蒸気s量は、燃料中に含まれる炭素Cに対する水蒸気H2Oの割合をモル比で〔H2O/C〕として、0.1〜3.0(好ましくは0.1〜1.0)とされる。また、この部位での温度は200〜400℃(好ましくは200〜300℃)程度である。このようにして得られるガスを本願にあっては、原料ガスf1と呼ぶ。
図2に示すように、改質ユニット11は、ユニットの上部側に、原料ガス室7、混合室8及び前室9を備えて構成されており、その下側に触媒反応室5を備えている。
改質ユニット11の上部側は、概略二重管構造とされており、その内管11a内を介して前記パージガスpが前記前室9の下部域に供給できるように構成されている。さらに、図2に示すように、この内管11a内には温度計測用の熱電対t1が前室概中間部位まで延出して配設されており、前室9の代表温度(入口温度)を計測可能に構成されている。
図2に示すように、原料ガス室7は水蒸気sが混合された原料ガスf1が導入される導入口7aと、この導入口7aが開口する中間路部7bと、この中間路部7bより流路断面が大きな流路拡大部7cを備えて構成されている。この流路拡大部7cの下手側に、混合室8が設けられている。
混合室8は、所謂、シェルアンドチューブ型の混合構造が採用されており、前記流路拡大部7cから原料ガスf1が流入するチューブ8a内の流路に、その外側に設けられる酸素室8bから、酸素Oが流入するように構成されている。従って、原料ガスf1に対して酸素Oが流入することで、このチューブ8a内で原料ガスf1と酸素Oとが混合した混合ガスf2を形成できる。
同図に示すように、前記チューブ8aは、混合室8を区画する仕切り板8c,8cの離間距離を越えて下部側の延出されており、この流路を流下することで、充分な混合状態が得られるように構成されている。
ここで、炭化水素系燃料fに対する酸素O量は、燃料中に含まれる炭素Cに対する酸素O2の割合をモル比で〔O2/C〕として、0.05〜1.0(好ましくは0.3〜0.7)とされる。また、この部位での温度は200〜400℃(好ましくは200〜300℃)程度である。このようにして得られるガスを本願にあっては、混合ガスf2と呼ぶ。
前室9は、触媒反応室5に対する調整室としての役割を果たすように設けられており、先に説明したチューブ8aが延出される導入部9aと、この導入部9aと触媒反応室5との間に設けられる調整部9bとを備えて構成されている。
前記導入部9aには、図示するようにチューブ8aが下方に侵入・延出されており、これらチューブ8aの先端から混合ガスf2が放出される。前記チューブ8aの外周部位9cは中実とされており、ガスが滞留することはない。さらに、前記内管11aを介して先に説明したパージガスpが導入部9aの先端に供給される構造が採用されており、上記パージガスpの供給及びチューブ8a外側の中実構造により、混合ガスf2の上側への上昇及び滞留は起こらない。
さて、これまで説明してきた構成において、混合室8及び前室9における混合ガスf2の流速は、原料ガス室7に於ける前記原料ガスf1の最低流速より高くなるように流路断面積が設定されており、混合ガスf2のこの室内での滞留時間をできるだけ短くする構成が採用されている。
さらに図2に示す例では、前記調整部9bのガス流路9d内に通気性を有する断熱材料9hが配設され、触媒反応室5と前室9との境界における断熱と混合未反応ガスの対流防止が確保されている。
触媒反応室5は、本願に係る水素含有ガス製造装置1の主要部となる部位であり、これまでも示したように改質触媒c1が配設される部位である。
また、触媒反応室5に供給する総ガス流量を時間あたりの気体空間速度(但し、標準状態換算の値)で750h−1〜300000h−1(好ましくは10000h−1〜300000h−1、より好ましくは50000h−1〜300000h−1)の範囲としている。
即ち、本願装置1では、触媒反応室5への混合ガスf2の入口温度を適正化すべく工夫が成されている。例えば、これまで説明してきた構成において、混合ガスf2のガス流路9dを比較的小として、この流路9dにおける流速を上げることで、混合ガスf2の前室9内での滞留時間を一定時間以下としている。また、触媒反応室5と前室9との境界における断熱を高いものとして、触媒反応室5の温度が前室9に影響しないようにしている、さらには、パージガスpを前室9に導入して混合ガスf2の逆流及び滞留を防止している等が、本願におけるハード側の工夫点である。
一方、図2に示すように、先に説明した改質ユニット11の上部及び下部側からユニット11内に挿入される熱電対t1,t2により、前室9の調整部9bの入口及び出口(触媒反応室の入口5a)における温度、及び触媒反応室5内の流れ方向における温度もモニター可能に構成されている。
そして、制御装置13からの制御指令に従って、水素含有ガス製造装置1内への炭化水素系燃料投入量、水蒸気投入量、酸素投入量を調整可能とされている。
さらに、この温度設定手段13aに対して、部分酸化下限温度と混合ガスf2の露点温度T4とに関して高い側の温度を前室下限温度とし、混合ガスf2の自着火温度を前室上限温度として、前室9を流れる混合ガスf2の温度を、前室上限温度未満、前室下限温度より高い温度に維持する前室混合ガス温度維持手段(図1には単に温度維持手段と記載)13bが備えられている。
下限温度
部分酸化下限温度は混合ガスf2が改質触媒c1に接触して部分酸化反応を起こす下限温度T1であり、触媒反応室5に収納される改質触媒c1によって、この下限温度T1は決まる。例えば、改質触媒c1が上述のようなルテニウム系触媒である場合は200℃程度であり、改質触媒c1がロジウム系触媒である場合は300℃程度である。従って、制御装置13に設けられる記憶手段13c内には、この部分酸化下限温度が記憶格納されており、制御装置13側でこの部分酸化下限温度T1を適宜読み出し利用可能に構成されている。
水蒸気改質下限温度は混合ガスf2が改質触媒c1に接触して水蒸気改質反応を起こす下限温度T2であり、触媒反応室5に収納される改質触媒c1によって、この水蒸気改質下限温度T2は決まる。例えば、改質触媒c1が上述のようなルテニウム系触媒である場合は400℃程度であり、改質触媒c1がニッケル系触媒である場合は400℃程度である。従って、制御装置13に設けられる記憶手段13c内には、この水蒸気改質下限温度T2が記憶格納されており、制御装置13側でこの水蒸気改質下限温度T2を適宜読み出し利用可能に構成されている。
そこで、記憶手段13cに、前記最大の移流所要時間(滞留時間)で、初めて着火する混合ガスf2の組成状態に従った自着火温度T3が記憶されており、この温度と、上記水蒸気改質下限温度T2との関係で上限温度を得ることが可能とされている。このような、滞留時間(図上「着火遅れ時間」と表示)と自着火温度T3(図上「混合ガス温度」と表示)との関係を混合ガスf2に関して示したのが図4である。同図は、混合ガスf2が、炭化水素系燃料が天然ガスで、〔N2/C〕、〔O2/C〕が、それぞれ(0.6〜1.0)と、(0.1あるいは0.4)である場合を示している。この状態における混合ガスの圧力は4MPaである。
そこで、前記温度設定手段13a,前記前室混合ガス温度維持手段13bが、上記前室上限温度及び下限温度に関する要件を満たした状態で触媒反応室5の代表温度に従って、前室9における混合ガスf2の温度を調整する構成が採用されている。例えば、触媒反応室5内に収納されている触媒c1の劣化に伴い、部分酸化反応が遅れ、触媒反応室5の温度が水蒸気改質反応を起こすのに遅れが生じる(結果的には触媒反応室5におけるピーク温度位置が下流側へ移動したり、ピーク温度が上がったりする)。そこで、前記前室の温度を調整可能に構成されているのである。
この種の温度調整に関しては、炭化水素系燃料に対する水蒸気量あるいは酸素量の調整によりこれを実行することができる。
1 前室9内の混合ガス温度が前室上限温度(自着火下限温度)及び前室下限温度(部分酸化下限温度と露点温度の高い方)内にある場合
この場合は、触媒反応室5における反応は一応適切な状態にあると推定される。但し、このような適正な状態にあっても、触媒反応室5の状態を安定した状態に保つため、前室9に於ける混合ガスf2の温度を、前記前室上限温度及び前室下限温度との範囲内で、前記触媒反応室5の温度(例えばピーク温度)に従って制御する。このようにすることで、安定且つ適正な作動状態を維持できる。
本願の別実施の形態に関して説明する。
(1) 上記の実施の形態にあっては、混合室から延出されるチューブとほぼ同径のガス流路を前室の調整部内に設け、チューブ、ガス流路を介して混合ガスの流速を比較的高く維持して滞留時間を短くし、触媒反応室に混合ガスを導く例を示したが、図5に示すように、チューブ8aの出口より下流側に合流路90を設け、この合流路90を介して触媒反応室5に混合ガスf2を流入させるようにしてもよい。但し、この合流路90の断面積は、この部位の温度条件下の自着火おくれ時間に満たない時間で触媒反応室に到達する流速を実現できるものとする。このようにすると、混合ガスf2の性状を均一化し、触媒反応室5の入口近傍における混合ガスf2の触媒反応室断面方向への拡散を良好なものとできる。
(2) 上記の実施の形態にあっては、水素含有ガス製造装置に、前記温度設定手段13a,前室混合ガス温度維持手段13bを設け、積極的に炭化水素系燃料に対する水蒸気、酸素の投入量を制御して、触媒反応部の反応を適正な状態に維持したが、通常運転状態がほぼ確定している場合は、先に説明した改質ユニット11における各室7,8,9での流速がほぼ決定することから、前室9における混合ガスの温度が適切となるようにその流路断面構成を構成してもよい。
即ち、改質触媒c1によって部分酸化下限温度が決り、混合ガスf2のガス組成が決まると、その露点温度は決まることから、本願にいう前室下限温度は決まる。
一方、前室上限温度に関しては、改質触媒c1によって水蒸気改質下限温度が決り、混合ガスf2が流れるチューブ8a内および、その下流側の調整部9bのガス流路9dの形状により、混合ガスf2が混合室8から触媒反応室5に到達するまでの最大の時間が決まる。そこで、先に説明したような図4に示す混合ガスの温度と滞留時間との関係を予め求めておき、上記滞留時間分だけ混合ガスf2が前室に留まった場合にも、混合ガスf2が自着火しない温度を、前室上限温度とすることで、本願の目的を達成することができる。
(3) 上記の実施の形態にあっては、前室における混合ガスの温度を、触媒反応室の代表温度に従って制御する例を示したが、基本的には、触媒反応部の入口で部分酸化反応を発生できればよいため、先に説明した,温度設定手段13a,前室混合ガスの温度維持手段13bの制御を構成するに、前室における混合ガスの温度を、前室下限温度側に導くように構成することもできる。
この場合、改質に必要となる部分酸化反応の発生を確保しながら、触媒反応部で問題となり易いカーボンの発生を回避する方向に反応を制御できる。
(4) 上記の実施の形態にあっては、前室における混合ガスの滞留時間と、その滞留時間分だけ混合ガスが前室に留まった場合に、混合ガスが自着火を起こさない温度に前室を設定して改質を行う例を示したが、前室内に積極的に火炎伝播を阻止する手段を設けてもよい。
図6は、このような例を示したものであり、チューブ8aの先端にフレームアレスタ60を配設するとともに、ガス流路9dの内壁61及びよどみを発生する部位62に火炎伝播防止用に金塗覆処理wを施している。このようにしても、前室9での火炎形成・伝播を防止することができる。このように、前室9内に、触媒反応室5から上流側への火炎伝播を抑制する構成を火炎伝播抑制手段と呼ぶ。
(5) これまで説明してきた実施の形態にあっては、炭化水素系燃料に対して水蒸気を添加し、部分酸化反応を経た後、水蒸気改質反応を起こさせる例を示したが、所謂、二酸化炭素改質反応を起こさせてもよい。この二酸化炭素改質反応も吸熱反応であり、反応形態は以下に示す化3に従うものとなる。
このような反応形態にあっても、本願に係る水素含有ガスの製造方法及び装置では、前室、それに続く触媒反応室での状態を所望の良好なものとできる。
2 GTL反応器
5 触媒反応室
7 原料ガス室
8 混合室
8a チューブ
8b 酸素室
9 前室
11 改質ユニット
13 制御装置
13a 温度設定手段
13b 温度維持手段
13c 記憶手段
c1 改質触媒
c2 脱硫触媒
f 炭化水素系燃料
f1 原料ガス
f2 混合ガス
h 水素リッチガス
O 酸素
p パージガス
s 水蒸気
Claims (15)
- 水蒸気と炭化水素系燃料とが混合された原料ガスに対して酸素含有ガスを混合室で混合する混合工程と、
前記混合室で得られた混合ガスを触媒反応室の上流側に設けた前室を介して前記触媒反応室に導き、前記混合ガスを改質触媒に接触させて、部分酸化反応及び水蒸気改質反応により水素含有ガスを得る改質工程とを実行する水素含有ガスの製造方法であって、
前記改質触媒が前記部分酸化反応を起こす下限温度を部分酸化下限温度、前記水蒸気改質反応を起こす下限温度を水蒸気改質下限温度として、前記部分酸化下限温度以上、前記水蒸気改質下限温度未満の温度で、
前記混合室から前記触媒反応室に前記混合ガスが到達するのに要する移流時間で前記混合ガスが自着火する温度である自着火温度に対して、前記自着火温度未満の温度に、
前記混合室及び前記前室の温度を設定して前記混合ガスを前記触媒反応室に導入する水素含有ガスの製造方法。 - 前記部分酸化下限温度と前記混合ガスの露点温度とに関して高い側の温度を前室下限温度とし、前記自着火温度を前室上限温度として、
前記前室を流れる前記混合ガスの温度を、前記前室上限温度未満、前記前室下限温度より高い温度に維持する請求項1記載の水素含有ガスの製造方法。 - 前記前室の温度を、前記前室下限温度側に導く請求項2記載の水素含有ガスの製造方法。
- 前記触媒反応室の代表温度に従って、前記混合室又は前記前室あるいはそれらの両方の温度を調整する請求項1又は2記載の水素含有ガスの製造方法。
- 前記原料ガスが導入される原料ガス室の下流側に前記混合室を備えて、前記混合室において前記混合工程を実行し、
前記混合室から前記前室を介して前記混合ガスを前記触媒反応室に導入して水素含有ガスを製造するに、
前記原料ガス室に於ける前記原料ガスの最低流速より、前記混合室及び前記前室における前記混合ガスの流速を高くする請求項1〜4のいずれか1項記載の水素含有ガスの製造方法。 - 前記前室の前記触媒反応室との境界側部位に、断熱材料層を配設する請求項1〜5のいずれか1項記載の水素含有ガスの製造方法。
- 前記前室内に、前記触媒反応室から上流側への火炎伝播を抑制する火炎伝播抑制手段を配設する請求項1〜6のいずれか1項記載の水素含有ガスの製造方法。
- 前記触媒反応室に導入される混合ガスの硫黄化合物濃度を1ppb以下にする請求項1〜7のいずれか1項記載の水素含有ガスの製造方法。
- 水蒸気と炭化水素系燃料とが混合された原料ガスに対して酸素含有ガスを混合する混合室と、
前記混合室で得られた混合ガスを触媒反応室の上流側に設けた前室を介して前記触媒反応室に導き、前記混合ガスを改質触媒に接触させて、部分酸化反応及び水蒸気改質反応により水素含有ガスを得る水素含有ガスの製造装置であって、
前記改質触媒が前記部分酸化反応を起こす下限温度を部分酸化下限温度、前記水蒸気改質反応を起こす下限温度を水蒸気改質下限温度として、前記部分酸化下限温度以上、前記水蒸気改質下限温度未満の温度で、
前記混合室から前記触媒反応室に前記混合ガスが到達するのに要する移流時間で前記混合ガスが自着火する温度である自着火温度に対して、当該自着火温度未満の温度に、
前記混合室及び前記前室の温度を設定する温度設定手段を備えた水素含有ガスの製造装置。 - 前記部分酸化下限温度と前記混合ガスの露点温度とに関して高い側の温度を前室下限温度とし、前記自着火温度を前室上限温度として、
前記前室を流れる前記混合ガスの温度を、前記前室上限温度未満、前記前室下限温度より高い温度に維持する前室混合ガス温度維持手段を備えた請求項9記載の水素含有ガスの製造装置。 - 前記前室の温度を、前記前室下限温度側に導く請求項10記載の水素含有ガスの製造装置。
- 前記触媒反応室の代表温度に従って、前記混合室又は前記前室あるいはそれらの両方の温度を調整する請求項9又10記載の水素含有ガスの製造装置。
- 前記原料ガスが導入される原料ガス室の下流側に前記混合室を備え、
前記原料ガス室に於ける前記原料ガスの最低流速より、前記混合室及び前記前室における前記混合ガスの流速を高くする請求項9〜12のいずれか1項記載の水素含有ガスの製造装置。 - 前記前室の前記触媒反応室との境界側部位に、通気性を有する断熱材料層を備えた請求項9〜13のいずれか1項記載の水素含有ガスの製造装置。
- 前記前室内に、前記触媒反応室から上流側への火炎伝播を抑制する火炎伝播抑制手段を備えた請求項9〜14のいずれか1項記載の水素含有ガスの製造装置。
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JP2005104659A JP4781704B2 (ja) | 2005-03-31 | 2005-03-31 | 水素含有ガスの製造方法及び装置 |
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