JP2006281114A - 廃棄物の処理方法および処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 風力選別機により異物が除去された廃棄物をセメント製造の原料や燃料とするにあたり、風力選別機において発生した悪臭を含む排気ガスを無害化する。
【解決手段】風力選別機により異物が除去された廃棄物をセメント製造の原料や燃料とするための廃棄物の処理方法において、風力選別後の悪臭を含む排気ガスをセメント製造装置に供給する。また、風力選別後の悪臭を含む排気ガスを、異物が除去された廃棄物をセメント製造装置に供給するための輸送源として利用しながらセメント製造装置に供給する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、廃棄物の前処理方法を改善し、廃棄物の有効利用を促進するための廃棄物の処理方法および処理装置に関する。
近年、廃棄物の埋立場所の逼迫や環境への悪影響により、廃棄物の埋立処分が困難になりつつあり、廃棄物を有効利用する試みがなされている。例えば、セメントの分野において、廃棄物はセメントを製造するための原料や燃料として積極的に利用されている。
廃棄物は一般に大きさが様々であり、かつ金属等の異物が混入している場合も多いため、セメント製造の原料や燃料として利用するためには前処理を施す必要がある。例えば、下記に示す特許文献1には、プラスチックを主体とする廃棄物を破砕した後、風力選別装置で分級するプラスチック廃棄物の選別方法が記載されている。
廃棄物の中にはアンモニアや硫黄化合物を代表とする悪臭を伴うものがあり、風力選別を行うと悪臭を含む排気ガスが大量に発生するため、排気ガスをそのまま大気中に放出することは避けなければならず、何らかの処理を行う必要がある。悪臭を伴わない廃棄物のみを分別・処理すればよいが、廃棄物を分別するためには多大な労力を要するため、大量の廃棄物を有効利用する目的に照らせば現実的な処理方法とは言えない。
特開2002−239468号公報
本発明は、悪臭を伴い種々の異物が混入している廃棄物の前処理方法を改善し、廃棄物をセメント製造における原料や燃料として有効利用するための廃棄物の処理方法および装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、セメント製造において高温・大量の空気を使用していることに着目し本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、風力選別機により異物が除去された廃棄物をセメント製造の原料や燃料とするための廃棄物の処理方法において、風力選別後の排気ガスをセメント製造装置に供給することを特徴とする廃棄物の処理方法および処理装置である。
また、別の発明としては、風力選別機により異物が除去された廃棄物をセメント製造の原料や燃料とするための廃棄物の処理方法において、風力選別後の排気ガスを、異物が除去された廃棄物をセメント製造装置に供給するための輸送源として利用しながらセメント製造装置に供給することを特徴とする廃棄物の処理方法および処理装置である。
本発明によれば、風力選別において発生する悪臭を含む排気ガスを無害化することができる。また、悪臭を含む排気ガスを風力選別後の廃棄物を輸送するための輸送用ガスとして利用することによって、前処理からセメント製造装置に至る工程全体のガス容量を低減しながら同時に悪臭問題を解決することが可能となる。これにより、多種多様な大量の廃棄物をセメント製造の貴重なエネルギー資源として有効利用することができるようになり、埋立処分地の延命化を図ることができる。
また、廃棄物の破砕、磁選、風力選別等の前処理工程とセメント製造工程とを連動一体化させ、廃棄物を原料や燃料としたセメント製造プロセスの連続安定操業を実現することが可能となる。
図1を用いて本発明を詳細に説明する。図1は本発明の第一の実施の形態に係る廃棄物の前処理工程の概略図を示す。廃棄物10は、一次破砕機1において一次破砕(解砕・粗砕)される。次に、一次破砕された破砕物はコンベア9により磁選式分離機2に送られ、廃棄物中で最も硬質である鉄類6が除去される。鉄類が除去された破砕物は、コンベア9により風力選別機3に送られる。風力選別機3には、送風機18により空気12が送られ、廃棄物に混在する重く破砕し難い、非鉄金属、岩石、コンクリート、瓦、煉瓦などの硬質の異物7と、それ以外のものが分離される。風力選別後の悪臭を伴う排気ガスは、集塵機15に送られてダストが分離された後、供給手段としての排気ファン17によりセメント製造装置5に送られ、無害化処理される。一方、風力選別後の廃棄物はコンベア9によって二次破砕機4に送られて更に細かく二次破砕され、セメント製造の原料や燃料としてセメント製造装置5に送られる。
本発明で用いられる廃棄物とは、プラスチック、木屑、木材、紙、ゴム、畳、布袋、固形燃料(RDF類),可燃性建設廃材等であり、これらが混在し、かつ金属片や、非鉄金属、岩石、コンクリート、瓦、煉瓦等の異物を含む雑多な廃棄物をいう。
風力選別後の排気ガスの一部は、図2に示すように風力選別用の空気源として循環利用することもできる。具体的には、集塵機15の除塵した排ガス16を、風力選別機3の空気吹込み口12から吹き込むことにより、再び風力選別機の吹込み空気として再利用するものである。これにより、空気吹込み口12でのダストによる閉塞防止が可能になることや、悪臭のある空気を密閉することができ、また総空気の使用量を低減してセメント製造装置で処理すべき排ガス総量を低減することが可能である。集塵機15としてはバグフィルターが挙げられる。
風力選別後の排気ガスが送られるセメント製造装置5としては、図3に示すように、窯尻28、仮焼成炉29、プレヒーター30、クリンカクーラー19、キルンバーナー31、NSP排ガスファン27等が挙げられ、クリンカクーラー19の高温部への供給が総合熱効率の観点から特に好ましい。クリンカクーラー19の高温部に供給される冷却用空気に対する風力選別後の排気ガスの比率は、3乃至25容量%、好ましくは6乃至15容量%である。これにより、排気ガス16は、無害化されると同時にセメント製造に必要な燃焼用空気として有効利用される。
セメント製造装置5において無害化処理された風力選別後の排気ガスを、再び風力選別機3に戻すことも可能である。例えば、風力選別後の排気ガスをクリンカクーラー19や排ガスファン27に導入して無害化処理した後のセメント製造装置5の最下流である電気集塵機25の出口ガスを、送風機18に導入する。これによって、排ガスの有効利用を図ることができると同時に、廃棄物を予備乾燥することが可能である。
二次破砕機4によって二次破砕された廃棄物を供給するセメント製造装置5としては、仮焼成炉やロータリーキルン窯前が挙げられる。仮焼成炉において、最長径が70mm以下で厚みが5mm以下の廃棄物であれば、吹込み燃焼することができる。また、ロータリーキルン窯前において、最長径が70mm以下で厚みが1mm以下であれば、吹込み燃焼することができる。燃料としての石炭や、石灰石や粘土等のセメント原料に対する破砕機4によって破砕された廃棄物の混合割合は、石炭100重量部に対して廃棄物が20重量部であり、セメント原料100重量部に対して廃棄物が2重量部である。廃棄物をセメント製造装置5に供給する手段としては、図示しない送風機による空気輸送が挙げられるが、図1に示すように風力選別後の排気ガス16を廃棄物の輸送用ガスとして利用することができる。すなわち、送風機に風力選別後の排気ガス16を導入し輸送用空気の代替とする。これにより、廃棄物をセメント製造装置の原料や燃料として輸送しながら、同時に悪臭を含む排気ガスも無害化することができる。悪臭を含む排気ガスを送風機に供給するための供給手段としては、排気ファン17や図示しない別の送風機が挙げられる。
尚、二次破砕機4とセメント製造装置5の間には図示しない中継タンクを設けることにより、セメント製造装置5の稼動状況に応じた廃棄物の供給が可能となる。この場合においても、風力選別後の排気ガスを中継タンクからセメント製造装置への輸送用ガスとして利用することが可能である。
以下において、一次破砕機1、風力選別機3、二次破砕機4の具体的態様を更に詳細に説明する。一次破砕機1に投入する廃棄物10のサイズは最長辺が300mm以下、圧縮梱包品で最長辺が1.5m以下であるのが好ましい。一次破砕機1としては、硬質の異物があっても容易に剥離・分離できるものであれば特に制限されないが、例えば二軸破砕機が用いられ、廃棄物10は、最長径で10乃至100mm程度の大きさに解砕・粗砕される。二軸破砕機は破砕用ローターを二本有しており、ローターの相対回転数が比較的遅く、硬質の異物が可燃性廃棄物と接着・固定されていても容易に剥離でき、大きな異物が単独で存在していても破砕機の回転歯を破損することは少ない。このことは、廃棄物10を一軸プレス方式の破砕機に投入して連続破砕処理を行ったところ、2ヶ月間で4回破砕機の回転歯が破損したのに対し、廃棄物10を二軸破砕機で4ヶ月間連続して破砕処理を行った場合、回転歯の破損トラブルが特に認められなかったことからも、廃棄物10の破砕にあたり二軸破砕機の効果を窺い知ることができる。
風力選別機3においては、側面の空気吹き込み口12から空気を送り、風力で飛びやすいもの、即ち、次の二次破砕機4で破砕可能な軟らかく軽いものや小さいものは、空気吹込み口12から遠方のホッパー13または集塵機15によって捕集される。一方、風力で飛び難いもの、すなわち、二次破砕機4で破砕し難い、前記非鉄金属、岩石、コンクリート、瓦、煉瓦などの硬質の異物は、直ちに重力により下方に落下して下部ホッパー14に捕集され、異物7として分離除去される。風力選別機3の種類としては、循環型、吸引式、吹上げ式、竜巻式、穀物等の農産用などが挙げられる。尚、風力選別機3における一次破砕物と空気量比は50〜400g/m3が好ましく、100〜250g/m3がより好ましい。
風力選別後の廃棄物は、セメント製造装置5における原料や燃料とするために相応しい最長径である10乃至70mm程度のサイズに破砕するため、二次破砕を行う。二次破砕機4としては一軸プレス式破砕機が好ましい。一軸プレス式破砕機は、破砕用ローターを一本有しており、被破砕物は固定歯と回転歯で破砕される。そして、回転歯が比較的高速で回転し、一軸プレス式破砕機下部の通過篩の目が小さく、また、前の風力選別工程で破砕し難い硬質の異物7が分離除去されて被破砕物は軽く軟らかいものがほとんどであるので、被破砕物を前記のように細かく破砕することに好適である。
一次破砕機1および二次破砕機4は、予備機を設置すれば破砕機の定期的な補修や予期せぬ破砕機の故障が生じても操業を維持可能である。
本発明は、悪臭を伴う廃棄物をセメント製造の原料や燃料として有効利用する際に利用可能である。
本発明の第一の実施の形態に係る廃棄物の前処理工程の概略図を示す。 本発明の第二の実施の形態に係る廃棄物の前処理工程の概略図である。 本発明を実施するためのセメント製造装置の概略図である。
符号の説明
1 1次破砕機
2 磁選式分離機
3 風力選別機
4 2次破砕機
5 セメント製造装置
6 鉄類
7 異物(非鉄金属、岩石、コンクリート、瓦、煉瓦など)
8 空気輸送管
9 コンベア
10 廃棄物
11 破砕製品
12 空気吹き込み口
13 遠方ホッパー
14 下部ホッパー
15 集塵機
16 排気ガス
17 排気ファン
18 送風機
19 クリンカクーラー
20 ロータリーキルン
21 NSP(仮焼炉付きサスペンジョン・プレヒーター)
22 セメント原料乾燥機
23 キルン排ガス調湿塔
24 セメント原料粉砕機
25 電気集塵機
26 排ガス煙突
27 NSP排ガスファン
28 窯尻
29 仮焼成炉
30 プレヒーター
31 キルンバーナー

Claims (7)

  1. 風力選別機により異物が除去された廃棄物をセメント製造の原料や燃料とするための廃棄物の処理方法において、風力選別後の排気ガスをセメント製造装置に供給することを特徴とする廃棄物の処理方法。
  2. 前記風力選別後の排気ガスの一部を風力選別機に戻す請求項1記載の廃棄物の処理方法。
  3. 前記セメント製造装置は、窯尻、仮焼成炉、プレヒーター、クリンカクーラーおよびキルンバーナーのうち少なくとも一つである請求項1または2に記載の廃棄物の処理方法。
  4. 前記風力選別の前に、廃棄物の破砕工程と磁選工程を含む請求項1乃至3いずれか1項に記載の廃棄物の処理方法。
  5. 廃棄物から異物を除去するための風力選別機と、風力選別後の排気ガスをセメント製造装置に供給するための供給手段とを備える廃棄物の処理装置。
  6. 風力選別機により異物が除去された廃棄物をセメント製造の原料や燃料とするための廃棄物の処理方法において、風力選別後の排気ガスを、異物が除去された廃棄物をセメント製造装置に供給するための輸送源として利用しながらセメント製造装置に供給することを特徴とする廃棄物の処理方法。
  7. 廃棄物から異物を除去するための風力選別機と、異物が除去された廃棄物をセメント製造装置に供給するための輸送用手段として風力選別後の排気ガスを供給するための供給手段とを備える廃棄物の処理装置。
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