JP2006281062A - リン含有水の晶析処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高濃度リン含有水に対してカルシウムを多量に添加することなく、かつ安定運転を確保することができるリン含有水の晶析処理方法を提供する。
【解決手段】 流動床式の晶析槽を多段に配置するとともに、初段晶析槽10aと中段晶析槽10bでは流入させる被処理水22のリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が準安定域に属するように運転し、最終段晶析槽10cでは当該晶析槽に流入させる被処理水22aのリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が準安定域と凝集域の境界部に属するように運転する。この際、最終段以外の晶析槽では流入させる被処理水のpHを7程度に調整し、最終段晶析槽では流入させる被処理水のpHを8程度に調整することが望ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明はリン含有水の晶析処理方法に係り、特にリンの濃度が100mg/L以上のリン含有水に対して好適なリン含有水の晶析処理方法に関する。
カルシウムイオンを共存させたリン含有水を晶析槽に通水して種晶表面にリン酸カルシウム化合物を晶析させ、リンを除去するようにした晶析処理方法が知られている。
この晶析処理方法によれば、リン含有水中のリンをリン酸カルシウム化合物として比較的安価に除去することができ、得られたリン酸カルシウム化合物は肥料などに有効利用できる。晶析槽の型式としては固定床式と流動床式がある。流動床式では粒子状の種晶を充填した晶析槽に被処理水を上向流で循環させて晶析槽内に種晶の流動床を形成する。カルシウムが共存する被処理水が流動床を通過する過程で種晶の表面にリン酸カルシウム化合物を晶析させる。
流動床式は懸濁物質による閉塞や偏流の問題がなく、固定床式に比べて運転管理が容易であり実用的である。特許文献1には流動床式の晶析槽を用いて、リン含有水を晶析処理する方法が開示されている。
特許文献1に開示された方法では、リン含有水のリンイオン濃度(以下、単にリン濃度という)に対してカルシウムイオン濃度(以下、単にカルシウム濃度という)が10〜15モル倍となるようにカルシウムを添加し、晶析槽内のpHを9〜11となるようにpH制御する。この方法によればリン濃度が数mg/L〜数十mg/L程度の低濃度リン含有水をSV=10〜20hr−1程度の高速処理により、リン濃度1mg/L以下の処理水にすることができるとされている。
特開2001―334274号公報
しかしながら、特許文献1に開示された方法はリン濃度が数十mg/L以下の低濃度リン含有水に適用可能な処理方法であって、リン濃度が100mg/L以上の高濃度リン含有水に適用することは困難である。すなわち、種晶の表面に晶析するリン酸カルシウム化合物は主に分子式がCa(PO)OHで表されるリン酸ヒドロキシアパタイトであり、このリン酸ヒドロキシアパタイトが晶析するためのリンに対するカルシウムの反応モル比は5/3=1.7である。特許文献1に開示された方法は、この反応モル比に対して大過剰のカルシウムを添加する方法であり、処理のために多量のカルシウムを必要とする。また、後述の図2に示したようにリン濃度が100mg/L以上の場合にはカルシウム濃度が130mg/L程度でも相関関係が凝集域に属することになる。このため、晶析槽では晶析反応が進行する以前に反応凝集物であるリン酸カルシウムCa(PO)などが生成し、このリン酸カルシウムが微細懸濁物として処理水中に多量に浮遊することになり、不安定運転を招く。
本発明の目的は上記従来技術の問題点を改善し、リンの濃度が例えば100mg/L以上の高濃度リン含有水に対してもカルシウムを多量に添加することなく、かつ安定運転を確保することができるリン含有水の晶析処理方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明に係るリン含有水の晶析処理方法は、粒子状の種晶を充填した晶析槽にリンとカルシウムが共存する被処理水を上向流で循環させて前記晶析槽内に前記種晶の流動床を形成し、前記被処理水が前記流動床を通過する過程で前記種晶の表面にリン酸カルシウム化合物を晶析させるようにしたリン含有水の晶析処理方法において、前記晶析槽を多段に配置するとともに、最終段以外の晶析槽では流入させる被処理水のリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が準安定域に属するように運転し、最終段の晶析槽では流入させる被処理水のリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が準安定域と凝集域の境界部に属するように運転することを特徴とする。
また、本発明に係るリン含有水の晶析処理方法は、前記多段に配置した晶析槽の内、初段の晶析槽においては流入するリン含有水中のリン量に対するカルシウム量が晶析反応の反応当量以下となるように、カルシウムの添加量を調整することを特徴とする。さらに、本発明に係るリン含有水の晶析処理方法は、前記最終段以外の晶析槽では流入させる被処理水のpHを7程度に調整し、前記最終段晶析槽では流入させる被処理水のpHを8程度に調整することを特徴とする。
本発明によれば、最終段以外の晶析槽では被処理水のリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が準安定域に属するように運転して、安定した晶析処理を行う。また、仕上げ工程である最終段晶析槽では流入させる被処理水のリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が準安定域と凝集域の境界部に属するように運転することによって、リンの除去性能を最大限に発揮させる。このため、全体としてリンの濃度が例えば100mg/L以上の高濃度リン含有水に対してカルシウムを多量に添加することなく、かつ安定運転を確保したリン含有水の晶析処理を実現することができる。
また、前記多段に配置した晶析槽の内、初段の晶析槽においては流入するリン含有水中のリン量に対するカルシウム量が晶析反応の反応当量以下となるように、カルシウムの添加量を調整することによって、初段の晶析槽における準安定域での運転を確実に実施することができる。
また、最終段以外の晶析槽では流入させる被処理水のpHを7程度に調整し、最終段晶析槽では流入させる被処理水のpHを8程度に調整することによって、より一層、カルシウムの添加量を削減し、かつ処理水中のカルシウム濃度を低減させたリン含有水の晶析処理を実現することができる。
図1は本発明に係るリン含有水の晶析処理方法の実施形態を示す系統図である。本実施形態では晶析槽が初段晶析槽10aと中段晶析槽10bと最終段晶析槽10cの3段で形成され、各晶析槽にはそれぞれ混合調整槽12a,12b,12cが付設されている。
リン含有水である原水14はまず、初段の混合調整槽12aに流入する。この混合調整槽12aには初段晶析槽10aからの循環水16が流入し、原水14と循環水16がこの混合調整槽12aで混合される。混合調整槽12aにはカルシウム化合物18とpH調整剤20が添加され、混合調整槽12aから初段晶析槽10aに向けて供給される被処理水22の性状が晶析処理に適した状態となるように調整される。
図2は水中のリン濃度とカルシウム濃度との相関関係を示す特性図である。水中のリン濃度とカルシウム濃度との相関関係はpHの影響を大きく受け、pHが1程度変化しても相関関係は左右に大きくシフトする。図2はpHが7の時の特性図であり、図中の曲線Aは溶解度曲線、曲線Bは過溶解度曲線である。溶解度曲線Aよりも左下のエリアは安定域であり、水中のリンとカルシウムはそれぞれイオン状で安定に存在している。溶解度曲線Aと過溶解度曲線Bに挟まれたエリアは準安定域であり、水中に核となる種晶が存在すると種晶表面にリン酸カルシウム化合物が晶析する。準安定域の溶解度曲線Aに近い部分では晶析反応の進行が遅く、種晶表面に緻密なリン酸カルシウム化合物が晶析する。逆に準安定域の過溶解度曲線Bに近い部分では晶析反応の速度が大きく、種晶表面に粗いリン酸カルシウム化合物が晶析する。過溶解度曲線Bよりも右側のエリアは凝集域であり、リンとカルシウムが活発に反応して種晶の有無に関係なくリン酸カルシウムCa(PO)などを生成する。凝集域で生成したこれらの凝集物は水中に微細懸濁物として存在することになり、水質の低下をもたらす。
なお、過溶解度曲線Bは前記したようにpHによって左右に大きくシフトするが、pHが一定の場合でも水温や水中のリン、カルシウム以外の共存物質によって多少移動する。また、過溶解度曲線Bの近傍のエリアでは晶析反応と凝集反応が併行して進行するケースが多い。本発明ではこの過溶解度曲線Bに沿った近傍のエリアを準安定域と凝集域の境界部Cとして定義する。
前記した混合調整槽12aでは被処理水22が晶析処理に適した状態となるように、すなわち被処理水22のリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が図2に示した準安定域に属するように被処理水22中のリン濃度に応じてカルシウム化合物18及びpH調整剤20の添加量を調整する。pH調整剤20は被処理水22のpHが例えば一定値の7となるように添加される。
また、カルシウム化合物18は被処理水22のpHが例えば一定値の7とされた条件において、被処理水22のリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が図2に示した準安定域のなるべく中央部に位置するように添加される。前記したように、準安定域の溶解度曲線Aに近い部分では晶析反応の進行が遅く、処理効率が低下する。また、準安定域の過溶解度曲線Bに近い部分では晶析反応の進行は速いが運転が不安定になる。このため、多段に配置した晶析槽の内、初段の晶析槽においては流入するリン含有水中のリン量に対するカルシウム量が多くても晶析反応の反応当量以下となるように、カルシウム化合物18の添加量を調整する。
カルシウム化合物18としては中性の塩化カルシウムが好ましく用いられる。水酸化カルシウムはカルシウム源としても酸性を中和するpH調整剤としても機能する。したがって、原水が酸性である場合にはカルシウム化合物18の一部として水酸化カルシウムを用い、最終的なカルシウム濃度の調整剤として塩化カルシウムを補うようにすることもできる。
混合調整槽12aで上記の混合と調整がなされた被処理水22は初段晶析槽10aの底部から当該初段晶析槽10aに上向流で循環される。初段晶析槽10aには粒子状の種晶が充填されており、被処理水22の上向流によって初段晶析槽10a内に種晶の流動床24が形成される。種晶としては粒子径が0.5〜2mm程度のリン酸カルシウム化合物が適しており、例えばリン鉱石、骨炭が好ましく用いられる。又は本発明の実施によって回収した晶析物を加工し、一定の粒径に粒度調整したものを種晶として用いることもできる。
被処理水22が流動床24を通過する過程で、被処理水22は種晶と接触する。すると種晶が核となって種晶表面にリン酸ヒドロキシアパタイトに代表されるリン酸カルシウム化合物が晶析する。その結果、被処理水22中のリンが除去される。流動床24を通過した被処理水22は初段晶析槽10aの上部から取り出され、原水14の流量に見合った量の被処理水26が次段の混合調整槽12bに向けて分流される。残りの被処理水は循環水16として混合調整槽12aに循環される。この循環水16は高濃度リン含有水である原水14を希釈して被処理水22のリン濃度を引き下げるとともに、流動床24を形成させるために必要な被処理水22の上向流速を確保するように機能する。
循環比は原水14と循環水16の合計値である被処理水量と原水量との比である(被処理水量)/(原水量)で定義され、この循環比が通常10〜30となるように被処理水22の上向流速や初段晶析槽10aの内径、流動床24の層高が選定される。被処理水22の上向流速は通常50〜120m/hrの範囲で選定される。上向流速が過小であると良好な流動床が形成されず、偏流や閉塞の問題が発生する。上向流速が過大であると流動床を形成している種晶が被処理水22の上向流に乗って初段晶析槽10aの上部から溢流し、運転不安定を招く。
長期間の運転によって種晶表面での晶析が継続すると、種晶は晶析したリン酸カルシウム化合物によって肥大化し流動性が低下する。したがって、適当なタイミングで肥大化した種晶を初段晶析槽10aから抜き出して、新規の種晶に更新する。回収した肥大化種晶は肥料などに有効利用する。又は前記したように肥大化種晶を破砕やその他の手段を用いて一定の粒径に粒度調整し、種晶として再利用することもできる。
中段晶析槽10bや最終段晶析槽10cにおいても上記初段晶析槽10aと同様の考え方で装置の設計がなされ、晶析槽に流入させる被処理水のpHを一定の7に調整しつつ、カルシウム濃度を一定に保持した運転を行う。ただし、最終段晶析槽10cは晶析処理としての仕上げ工程であるため、前段の初段晶析槽10aや中段晶析槽10bとは異なる方針で被処理水のカルシウムの濃度調整がなされる。
すなわち、混合調整槽12cに流入する被処理水26aは既に前段の初段晶析槽10aや中段晶析槽10bにおいて大部分のリンが除去されているため、リン濃度が低いレベルにある。さらに、この被処理水26aを循環水16で希釈した被処理水22aはリン濃度がより一層、低いレベルにある。かつ、最終段晶析槽10cは仕上げ工程として処理水28中のリン濃度を最小にしたい要請がある。
そこで、混合調整槽12cでは最終段晶析槽10cに流入させる被処理水22aのリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が準安定域と凝集域の境界部Cに属するように調整する。この境界部Cでは晶析反応速度が大きく、かつ凝集反応が併行して進む可能性が強いエリアである。ただし、晶析、凝集いずれの反応も水中のリンイオンを減少させる反応である。したがって、被処理水22aを境界部Cに属するように調整すれば、被処理水22aが最終段晶析槽10cを通過する過程で晶析反応が効率よく促進する。また、凝集反応が多少、併行しても前記したように被処理水22aのリン濃度が低いレベルにあるので、凝集反応によって生成するリン酸カルシウムの微細懸濁物の量は微少であり、処理水28の濁度を大きく悪化させる程度ではない。このため、最終段晶析槽10cではリンの除去性能を最大限に発揮させて処理水28のリン濃度を引き下げる効率のよい晶析処理を実現することができる。
図3は上記実施形態の晶析処理方法を実用レベルで例示した物質収支図である。原水14は例えばaに示したように流量Q=1000mg/h、リン濃度P=300mg/L、リン量PW=300g/h、カルシウム濃度Ca=0mg/L、とする。この原水14を循環比=21で希釈すると、被処理水22はbに示したように流量Q=21000mg/h、リン濃度P=129mg/Lとなる。このリン濃度P=129mg/Lの被処理水22が図2の準安定域に属するようにカルシウム濃度をCa=70mg/Lに調整する。
被処理水22を初段晶析槽10aに通水することによって、初段晶析槽10aではcに示したように原水14中のリン量PW=300g/hの60%に相当するリン量PW=180g/hが晶析によって除去されると仮定する。この時に分子式Ca(PO)OHで表されるリン酸ヒドロキシアパタイトが晶析することによって消費されるカルシウム量はリン量に対して2倍のCaW=360g/hである。
初段晶析槽10aを経た被処理水の内、原水14の流量Q=1000mg/hに見合う量の被処理水26が中段晶析槽10b側に送られる。この被処理水26の性状はaに示したようにリン濃度P=120mg/L、カルシウム濃度Ca=53mg/Lとなる。初段晶析槽10aにおける循環水16はdに示したように流量Q=20000mg/h、リン濃度P=120mg/L、リン量PW=2400g/h、カルシウム濃度Ca=53mg/L、カルシウム量CaW=1057g/hと計算される。また、カルシウム化合物18の添加量はeに示したようにカルシウム量CaW=413g/hと計算される。
中段晶析槽10bでも被処理水26を循環比=21で希釈すると、被処理水22はbに示したように流量Q=21000mg/h、リン濃度P=40mg/Lとなる。このリン濃度P=40mg/Lの被処理水22が図2の準安定域に属するようにカルシウム濃度をCa=100mg/Lに調整する。
被処理水22を中段晶析槽10bに通水することによって、中段晶析槽10bでは例えばcに示したように被処理水26中のリン量PW=120g/hの70%に相当するリン量PW=84g/hが晶析によって除去され、カルシウム量はCaW=168g/hが消費される。
中段晶析槽10bを経た被処理水の内、原水14の流量Q=1000mg/hに見合う量の被処理水26aが最終段晶析槽10c側に送られる。被処理水26aの性状はaに示したようにリン濃度P=36mg/L、カルシウム濃度Ca=92mg/Lとなる。中段晶析槽10bにおける循環水16はdに示したように流量Q=20000mg/h、リン濃度P=36mg/L、リン量PW=720g/h、カルシウム濃度Ca=92mg/L、カルシウム量CaW=1840g/hと計算される。また、カルシウム化合物18の添加量はeに示したようにカルシウム量CaW=207g/hと計算される。
最終段晶析槽10cでも被処理水26aを循環比=21で希釈すると、被処理水22はbに示したように流量Q=21000mg/h、リン濃度P=9mg/Lとなる。このリン濃度P=9mg/Lの被処理水22aが図2の準安定域と凝集域との境界部Cに属するようにカルシウム濃度をCa=250mg/Lに調整する。
被処理水22aを最終段晶析槽10cに通水することによって、最終段晶析槽10cでは例えばcに示したように被処理水26a中のリン量PW=36g/hの78%に相当するリン量PW=28g/hが晶析によって除去され、カルシウム量はCaW=56g/hが消費される。
最終段晶析槽10cを経た処理水の内、原水14の流量Q=1000mg/hに見合う量の処理水28が系外に排出される。被処理水28の性状はaに示したようにリン濃度P=8mg/L、カルシウム濃度Ca=247mg/Lとなる。最終段晶析槽10cにおける循環水16はdに示したように流量Q=20000mg/h、リン濃度P=8mg/L、リン量PW=160g/h、カルシウム濃度Ca=247mg/L、カルシウム量CaW=4947g/hと計算される。また、カルシウム化合物18の添加量はeに示したようにカルシウム量CaW=211g/hと計算される。
図4は図3に示した物質収支の集約図である。原水14中のリン量PW=300g/hに対し、3段の晶析槽で添加されるカルシウムの合計量はCaW=831g/hである。3段の晶析槽で除去されるリンの合計量はPW=292g/h、消費されるカルシウムの合計量はCaW=584g/hである。原水14中のリンの約97%が晶析処理によって除去され、リン濃度がP=8mg/Lの浄化された処理水28が得られる。原水14中のリン量PW=300g/hに対して添加したカルシウムの合計量はCaW=831g/hであり、添加カルシウムのリンに対する重量比は831/300=2.8と計算され、これをモル比に換算すると2.1と計算される。すなわち、本実施形態の方法によれば、前記特許文献1に開示されたカルシウムのモル比10〜15に比べて5分の1以下にカルシウムの添加量を低減できる。また、添加したカルシウムが晶析反応のために有効に消費された率は584/831=70%であり、この種の化学反応を利用した水処理方法としては相当にすぐれた利用率を示す。
図3に示した物質収支は原水中にカルシウムイオンが含まれていない例である。原水がカルシウムイオンを含んでいる場合には、上記したカルシウムの添加量がその分、少なくて済む。
図3に示した物質収支図の主要点b,a,b,a,b,aのリン濃度とカルシウム濃度を図2にプロットして示す。図2においてb→aの線は初段晶析槽10aにおける被処理水の入り出口状態を、b→aの線は中段晶析槽10bにおける被処理水の入り出口状態を、b,aは最終段晶析槽10cにおける被処理水の入り出口状態をそれぞれ示している。初段晶析槽10a及び中段晶析槽10bでは準安定域の中央部での反応速度が比較的大きく、かつ安定した晶析処理が進行することが分かる。また、最終段晶析槽10cでは過溶解度曲線B近傍の境界部Cでのリン除去を優先させた晶析処理が進行することが分かる。
なお、被処理水のpHを7から例えば8に上げると図2に過溶解度曲線B’で示したように過溶解度曲線が左側に大きくシフトする。したがって、本実施形態において最終段晶析槽10cに流入させる被処理水のpHを8に引き上げることによって、流入させる被処理水のカルシウム濃度をb’点で示した150mg/L程度に下げることができる。その結果、図3に示した物質収支例に比べて最終段晶析槽10cに流入させる被処理水22aと処理水28のカルシウム濃度を相対的に低くでき、カルシウムの添加量も削減できる。
このように、最終段以外の晶析槽では被処理水のpHを7程度に調整し、最終段晶析槽では被処理水のpHを8程度に調整する運転をすると、最終段晶析槽で添加するカルシウム量を削減し、かつ処理水のカルシウム濃度を低くできるという格別の効果が得られる。
上述のとおり、本実施形態のリン含有水の晶析処理方法では比較的リン濃度が高い初段晶析槽10aと中段晶析槽10bでは流入させる被処理水のリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が準安定域に属するように運転して、安定した晶析処理を行う。また、仕上げ工程である最終段晶析槽10cではリン濃度が低い被処理水のリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が準安定域と凝集域の境界部Cに属するように運転することによって、リンの除去性能を最大限に発揮させることができる。このため、全体としてリンの濃度が100mg/L以上の高濃度リン含有水に対してカルシウムを多量に添加することなく、かつ安定運転を確保したリン含有水の晶析処理を実現することができる。
上記実施形態では流動床式の晶析槽を3段に配置した場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限らず、リン含有水のリン濃度が例えば200mg/L以下と比較的低い場合には晶析槽を2段に配置してもよい。また、リン濃度が例えば500mg/L以上と比較的高い場合には晶析槽を4段以上に配置してもよい。また、本発明はリン濃度が100mg/L以下のリン含有水に対しても必要に応じて適用することができる。
本発明に係るリン含有水の晶析処理方法の実施形態を示す系統図である。 水中のリン濃度とカルシウム濃度との相関関係を示す特性図である。 本発明に係る晶析処理方法を実用レベルで例示した物質収支図である。 図3に示した物質収支の集約図である。
符号の説明
10a………初段晶析槽、10b………中段晶析槽、10c………最終段晶析槽、12a,12b,12c………混合調整槽、14………原水、16………循環水、18………カルシウム化合物、20………pH調整剤、22,22a………被処理水、24………流動床、26,26a………被処理水、28………処理水、A………溶解度曲線、B………過溶解度曲線、C………境界部。

Claims (3)

  1. 粒子状の種晶を充填した晶析槽にリンとカルシウムが共存する被処理水を上向流で循環させて前記晶析槽内に前記種晶の流動床を形成し、前記被処理水が前記流動床を通過する過程で前記種晶の表面にリン酸カルシウム化合物を晶析させるようにしたリン含有水の晶析処理方法において、前記晶析槽を多段に配置するとともに、最終段以外の晶析槽では流入させる被処理水のリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が準安定域に属するように運転し、最終段の晶析槽では流入させる被処理水のリン濃度とカルシウム濃度の相関関係が準安定域と凝集域の境界部に属するように運転することを特徴とするリン含有水の晶析処理方法。
  2. 前記多段に配置した晶析槽の内、初段の晶析槽においては流入するリン含有水中のリン量に対するカルシウム量が晶析反応の反応当量以下となるように、カルシウムの添加量を調整することを特徴とする請求項1に記載のリン含有水の晶析処理方法。
  3. 前記最終段以外の晶析槽では流入させる被処理水のpHを7程度に調整し、前記最終段晶析槽では流入させる被処理水のpHを8程度に調整することを特徴とする請求項1に記載のリン含有水の晶析処理方法。
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