JP2006275858A - 蛍光検出方法、蛍光検出用ビーズの作製方法及び蛍光検出用ビーズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マイクロビーズ12を、予め、蛍光緩和時定数の異なる2種類の蛍光色素を混合して染色しておき、蛍光検出の際、プローブに生体物質等が結合したマイクロビーズ12の蛍光を検出して蛍光緩和時定数を計測することにより、生体物質が結合したマイクロビーズの種類を識別する。生体物質には、マイクロビーズに染色された蛍光色素と異なる種類の蛍光色素が設けられており、蛍光検出の際、ビーズをレーザ光で照射し、その時発する蛍光をフィルタリングして、生体物質に設けられた蛍光色素の蛍光を検出するとともに、マイクロビーズ12の蛍光色素の蛍光緩和時定数を計測する。
【選択図】図1
Description
具体的には、フローサイトメータは、細胞、DNA、RNA、酵素、蛋白等の生体物質が測定対象物として含まれる混濁液に、識別可能な蛍光色素で染色されてラベル化されたマイクロビーズを蛍光試薬として混ぜた後、圧力を与えて毎秒10m程度の速度で管路内を流れるシース液にマイクロビーズを流してフローセルを形成する。このフローセル中のマイクロビーズにレーザ光を照射することにより、マイクロビーズが発する蛍光と、このマイクロビーズに結合した生体物質が発する蛍光とを受光する。そして、これらの蛍光からマイクロビーズの蛍光をラベルとして識別することで、その生体物質が結合するプローブの種類を特定することができる。
前記ビーズを、予め、蛍光緩和時定数の異なる2種類の蛍光色素を混合して染色しておき、蛍光検出の際、ビーズの蛍光を検出して蛍光緩和時定数を計測することにより、ビーズの種類を識別することを特徴とする蛍光検出方法を提供する。
ここで、プローブは、例えばpHや酸化還元電位等の測定環境の状況に対して広く反応する物質や、DNA、抗体等の所定の物質と結合する性質を持つもの(特異的な結合をするもの)が例示される。
その際、前記所定の物質には、ビーズに染色された蛍光色素と異なる種類の蛍光色素が設けられており、蛍光検出の際、ビーズをレーザ光で照射し、その時発する蛍光をフィルタリングして、前記ビーズに結合した所定の物質に設けられた蛍光色素の蛍光を検出するとともに、前記ビーズの蛍光色素の蛍光緩和時定数を計測することが好ましい。
フローサイトメータ10は、レーザ光をパルス変調方式で変調してマイクロビーズに照射するものである。
フローサイトメータ10は、レーザ光を測定対象とするマイクロビーズ12に照射し、マイクロビーズ12を染色した蛍光色素の発する蛍光の光信号及びマイクロビーズ12のプローブに結合した物質に設けられた蛍光色素の蛍光の光信号を検出して信号処理する信号処理装置(蛍光検出装置)20と、信号処理装置20で得られた処理結果からマイクロビーズ12のプローブに結合する物質の分析を行なう分析装置50とを有する。なお、本実施形態では、プローブとして、DNA、抗体等の所定の物質と結合する性質を持つもの(特異的な結合をするもの)を用いるが、本発明においては、この他にpHや酸化還元電位等の測定環境の状況に対して広く反応する物質を用いることもでき、又これらに限定されるものではない。
レーザ光源部22は、350nm〜800nmの可視光のパルスレーザ光を出射する部分で、主に赤色のレーザ光Rを極めて短時間のパルス幅でパルスレーザ光として断続的に出射するR光源22r、緑色のレーザ光Gを極めて短時間のパルス幅でパルスレーザ光として断続的に出射するG光源22gおよび青色のレーザ光Bを極めて短時間のパルス幅でパルスレーザ光として出射するB光源22bと、特定の波長帯域のレーザ光を透過し、他の波長帯域のレーザ光を反射するダイクロイックミラー23a1,23a2と、レーザ光R,GおよびBからなるレーザ光を管路30中の測定点に集束させるレンズ系23cと、を有して構成される。
パルスレーザ光のパルス幅は、蛍光色素の発する蛍光をバックグラウンドノイズと区別して効率よく検出できるように設定され、例えば0.5ナノ秒〜4ナノ秒である。
ダイクロイックミラー23a1は、レーザ光Rを透過し、レーザ光Gを反射するミラーであり、ダイクロイックミラー23a2は、レーザ光RおよびGを透過し、レーザ光Bを反射するミラーである。
この構成によりレーザ光R,GおよびBが合成されて、測定点のマイクロビーズ12を照射する照射光となる。
これらの蛍光は、マイクロビーズ12の蛍光色素及びマイクロビーズ12のプローブと結合する物質等に設けられた色素が発するものである。
図4は、受光部26の一例の概略の構成を示す概略構成図である。
レンズ系26aは、受光部26に入射した光信号を光電変換器27a〜27cの受光面に集束させるように構成されている。
ダイクロイックミラー26b1,26b2は、所定の範囲の波長帯域の蛍光を反射させて、それ以外は透過させるミラーである。バンドパスフィルタ26c1〜26c3でフィルタリングして光電変換器27a〜27cで所定の波長帯域の蛍光の光信号を取り込むように、ダイクロイックミラー26b1,26b2の反射波長帯域および透過波長帯域が設定されている。
バンドパスフィルタ26c1〜26c3のうち、1つは、マイクロビーズ12に結合する物質に設けられる蛍光色素の発する蛍光を透過し、他の2つのうち少なくとも1つは、マイクロビーズ12の蛍光色素の発する蛍光を透過するように波長帯域が設定される。
光源制御部28aは、受光部24から出力される検出信号がトリガ信号として入力されると、瞬時にレーザ光の出射のオン/オフを制御するパルス制御信号を生成するように構成される。
光源制御部28aは、このパルス制御信号を巡回的に繰り返し生成し、レーザドライバ34r、レーザドライバ34g、レーザドライバ34bの制御信号として供給されるように構成されている。
A/D変換器28cは、受光部26の光電変換器27a〜27cで生成されて増幅された受光信号をA/D変換によりサンプリングする。サンプリングされた受光信号は演算処理部28dにて演算処理に供される。
したがって、本発明では、蛍光緩和時定数の異なる2種類の蛍光色素の比率を変えて混合することにより、自在に蛍光緩和時定数が変化することを利用する。すなわち、マイクロビーズに、蛍光緩和時定数の異なる2種類の蛍光色素を予め定めた比率で混合して染色し、この染色されたマイクロビーズの蛍光緩和特性を調べ、蛍光緩和時定数によってそのマイクロビーズの種類を識別する。
なお、マイクロビーズ12は、パルス制御信号の生成によって所定の周期で断続的にオン/オフが制御されるので、レーザ光の照射開始とともに蛍光を発し、時間の経過とともにその蛍光強度は減衰する。したがって、この蛍光強度の時系列データを得ることで、蛍光緩和時定数を知ることができる。これにより、レーザ光の照射するマイクロビーズ12の種類を識別することができる。マイクロビーズ12の種類ごとに、プローブの種類を変えることで、物質がどのプローブと結合したかを知ることができる。
Q-dot525の基準濃度を20nMとした溶液Aと、Cascade Blue の基準濃度を20μMとした溶液Bを、下記の比率で混合して、直径1.5m、深さ3mmのスポットサンプル収納部分にサンプル溶液1〜9を作製したものである。
図8は、このとき発する蛍光の位相遅れの結果を示すグラフである。このグラフによると、位相遅れは蛍光緩和時定数に応じて変化し、しかも、溶液Aと溶液Bの比率の順番に対応して位相遅れの大きさがサンプル溶液1〜9の順番になっている。このことから、蛍光色素の比率によって蛍光緩和時定数が変化することがわかる。
このように、異なる2種類の蛍光色素の比率を変化させることで、蛍光色素の蛍光緩和時定数を変化させることができる。
分析装置50は、制御・処理部28から供給される識別結果の情報を用いて、物質が結合するマイクロプローブ12の種類を識別し、マイクロビーズ12に結合する物質の特性を分析する装置である。分析装置50では、物質に設けた蛍光色素の種類が既知であり、この蛍光色素が励起されるレーザ光の波長帯域もわかっているので、制御・処理部28から供給される情報を用いて、上記物質がどのプローブと結合するか、または結合しやすいかを知ることができる。
こうして、分析装置50は短時間に分析をすることができる。
フローサイトメータ10は以上のように構成される。
マイクロビーズ12は、蛍光緩和時定数が異なるように2種類の蛍光色素が比率を変えて混合され染色されており、しかも、異なる蛍光緩和時定数毎に、マイクロビーズ12に異なるプローブを設けている。このため、蛍光色素の蛍光緩和時定数が既知となると、生体物質等の物質が結合するプローブの種類を特定することができる。このため、マイクロビーズ12は、異なる蛍光緩和時定数を有する複数の種類が設定されている。
制御・処理装置28では、マイクロビーズ12が通過するときの検出信号をトリガ信号とし、このトリガ信号に同期して、図6に示すようなパルス変調信号を生成する。このパルス変調信号は、レーザ光源部22からのレーザ光の出射のオン/オフを制御する制御信号として用いるために、レーザドライバ34r,34g,34bに供給される。
レーザ光源部22では、この制御信号に従って各レーザ光の出射のオン/オフが制御され、レーザ光が出射される。このレーザ光は測定点を通過するマイクロビーズ12中の蛍光色素及びマイクロビーズ12に結合した生体物質等の物質に付けた蛍光色素の蛍光を励起させるために用いられ、このレーザ光の照射により蛍光色素が発する蛍光は、受光部26にて受光される。その際、蛍光色素からの蛍光は、パルス変調されたレーザ光に励起して生じるため、レーザ光のパルス変調に対応して蛍光強度も変調して蛍光を発する。
ここで、パルス変調されるレーザ光は、マイクロビーズ12が測定点を通過する数μ〜数10μ秒の間に、0.510μ秒を1周期とする、一連のパルス変調の制御信号が数回〜数10回、断続的に巡回される。
このサンプリングされた受光信号から、巡回して生成されるパルス変調信号に対応させて、蛍光強度の時系列データを平均化処理することにより、図7に示すような蛍光緩和特性が求められる。
この蛍光緩和特性の波形において、最大となる蛍光強度に対して、蛍光強度が37%になる時間が蛍光緩和時定数として求められる。この蛍光緩和時定数の値から、マイクロビーズ12の蛍光色素の混合する比率を特定して、どの種類のマイクロビーズ12を計測したのかを知ることができる。
このような、マイクロビーズ12は、レーザ光を照射したときの蛍光緩和時定数が異なる2種類の蛍光色素を予め定めて混合する比率を定めて染色することにより、2種類の蛍光緩和時定数のいずれとも異なる蛍光緩和時定数を有するようにすることができる。
2種類の蛍光色素の例として、1つの種類は、FITC(同仁化学社他製)、PE(和光純薬工業社他製)、Alexa Fluor(Molecular Probes社製)、Cy Dye(Amersham Biosciense社製)、Rhodamine(和光純薬工業社他製)、Cascade Blue(Molecular Probes社製)、Cascade Yellow(Molecular Probes社製)、Naphtofluorescein(Sigma社製)の中から選択される蛍光色素であり、他の種類は、Q-Dot(Quantum Dot社製)、Evic-Tag(Ocean Optics社製)の中から選ばれる半導体量子蛍光色素であることが好ましい。前者の蛍光色素は、後者の蛍光色素に比べて蛍光緩和時定数が長い。この2種類の蛍光色素の混合する比率を変えることで、蛍光緩和時定数を大きく変化させることができる。
光電変換器から出力される蛍光信号を増幅し、レーザ光の変調に用いた変調信号とミキシングし、ローパスフィルタを通して検波する。これにより、蛍光信号のcos成分の信号が抽出される。さらに、蛍光信号は、レーザ光の周波数変調に用いた変調信号に対して位相を90度ずらした信号とミキシングし、ローパスフィルタを通して検波する。これにより、蛍光信号のsin成分の信号が抽出される。
抽出されたsin成分及びcos成分の信号を用いて、蛍光信号の、変調信号に対する位相ずれ角度(位相遅れ角度)を求めることができる。
cos(θ)=1/(1+(ωτ)2)(1/2) (1)
sin(θ)=ωτ/(1+(ωτ)2)(1/2) (2)
ここで、θは位相ずれ角度であり、ωはレーザ光の変調周波数であり、τは蛍光緩和時定数である。
この蛍光緩和時定数τは、上述したように、蛍光色素の種類によって変わるものであり、また、2種類の蛍光色素の比率を変えて混合すると、比率に応じて蛍光緩和時定数τも変わる。このため、蛍光緩和時定数τを求めることで、2つの蛍光色素の比率を特定することができる。
このように、蛍光検出用マイクロビーズに、所定の周波数で強度変調したレーザ光を照射し、そのとき発する蛍光を計測することにより、発する蛍光の種類を識別することができ、これによりマイクロビーズの種類を識別することができる。
しかし、フローサイトメータでは、マイクロビーズ12の染色された蛍光色素の蛍光緩和時定数を求めることで、マイクロビーズを数100種類に識別可能とすることができることから、本発明のマイクロビーズは、短時間に生体物質の特性を分析するフローサイトメータに好適に用いることができる。
このような数100種類のマイクロビーズを、マイクロビーズの種類ごとに種類の異なるプローブを設けておき、このマイクロビーズを検査対象とする生体物質等を含む混濁液に混ぜ、フローサイトメータで蛍光検出することにより、一度の処理で多数の種類のプローブに生体物質が結合するか否かを調べることができる。
12 マイクロビーズ
20 信号処理装置
22 レーザ光源部
22r R光源
22g G光源
22b B光源
23a1,23a2,23b1,23b2 ダイクロイックミラー
23c.26a レンズ系
24,26 受光部
26c1,26c2,26c3 バンドパスフィルタ
27a〜27c 光電センサ
28 制御・処理部
28a 光源制御部
28b 信号処理部
28c A/D変換器
28d 演算処理部
30 管路
32 回収容器
34r,34g,34b レーザドライバ
Claims (5)
- 蛍光色素で染色されており、プローブが表面に設けられたビーズが発する蛍光を用いて、ビーズの種類を識別する蛍光検出方法であって、
前記ビーズを、予め、蛍光緩和時定数の異なる2種類の蛍光色素を混合して染色しておき、
蛍光検出の際、ビーズの蛍光を検出して蛍光緩和時定数を計測することにより、ビーズの種類を識別することを特徴とする蛍光検出方法。 - 前記プローブは、所定の物質が結合するものであり、所定の物質が結合したビーズの蛍光を検出して、所定の物質が結合したビーズの種類を識別する請求項1に記載の蛍光検出方法。
- 前記所定の物質には、ビーズに染色された蛍光色素と異なる種類の蛍光色素が設けられており、
蛍光検出の際、ビーズをレーザ光で照射し、その時発する蛍光をフィルタリングして、前記ビーズに結合した所定の物質に設けられた蛍光色素の蛍光を検出するとともに、前記ビーズの蛍光色素の蛍光緩和時定数を計測する請求項2に記載の蛍光検出方法。 - 蛍光色素で染色されており、プローブが表面に設けられたビーズの作製方法であって、
レーザ光を照射したときの蛍光緩和時定数が異なる2種類の蛍光色素を混合して染色することにより、前記蛍光検出用ビーズが、前記2種類の蛍光緩和時定数のいずれとも異なる蛍光緩和時定数を有するように設定したことを特徴とする蛍光検出用ビーズの作製方法。 - 蛍光色素で染色されており、プローブが表面に設けられた蛍光検出用ビーズであって、
前記蛍光色素は、レーザ光を照射したときの蛍光緩和時定数が異なる2種類の蛍光色素を混合することにより、前記2種類の蛍光緩和時定数のいずれとも異なる蛍光緩和時定数を有することを特徴とする蛍光検出用ビーズ。
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