JP2006266905A - クロロフィル分析装置及びクロロフィルの分析方法 - Google Patents

クロロフィル分析装置及びクロロフィルの分析方法 Download PDF

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彰英 伊藤
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Abstract

【課題】クロロフィルを含むサンプルに変調された励起光を照射し、発せられた蛍光の蛍光緩和時定数からクロロフィル類を分別定量することができるクロロフィルの分析装置の提供。
【解決手段】光源制御部、励起光源部、サンプル保持部、受光/センサ部及び解析部とを備えるクロロフィルの分析装置であって、光源制御部は、励起光源部が発する光の振幅および・または強度を時間に応じて変調し、励起光源部は、サンプル中のクロロフィル類を励起させて蛍光を生ぜしめるための励起エネルギーを与えることができる光を出射し、サンプル保持部は、励起光源部から出射された光が測定対象物に当たるように測定対象物を保持し、受光/センサ部は、測定対象物中に含まれる物質が発した蛍光を信号化して出力し、解析部は、受光/センサ部から出力された蛍光信号から、測定対象物中に含まれるクロロフィル類を分別定量する、クロロフィルの分析装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、変調した励起光を測定対象物に照射し、この照射によって生成した蛍光を、蛍光緩和時定数を一パラメータとして複数のクロロフィル類分別定量するクロロフィル分析装置及びクロロフィルの分析方法に関する。
クロロフィルと総称されるものには、クロロフィルa、b、c、d、e及びバクテリオクロロフィル、バクテリオピリジンがある。生物種によりその分布は異なっているが、複数種類のクロロフィルを有する種もある。例えば、高等植物は、クロロフィルaとクロロフィルbとを含有している。
従来、植物中のクロロフィルを定量するに際しては、測定対象物である植物の一部、例えば葉から、アセトンやメタノール等の有機溶媒を用いてクロロフィルを抽出し、その抽出溶液について吸光度や蛍光強度を測定していた。このような従来の測定方法において、クロロフィルの総量だけでなく、個々のクロロフィルについて定量する必要がある場合には、その個々のクロロフィルに特有の波長を測定波長として選択し、個々に測定を行っていた。
しかし、このような従来の方法では、植物の粉砕、有機溶媒による抽出等の前処理が必要であるという問題、個々のクロロフィルに特有の波長が近接しており、そのため、各クロロフィルについて正確な定量が困難であるという問題があった。
前者に関しては、非特許文献1乃至3に記載されているように、例えばWalz社のPAMシリーズを利用することで、植物中に含まれているクロロフィルを、非破壊で蛍光定量することができるようになった。しかし、これらの文献にも、クロロフィル類の個別又は分別定量に関する記載はない。
ところで、医療、生物分野では、蛍光測定装置としてフローサイトメータがしばしば使用されている。フローサイトメータには、レーザ光を照射することにより、測定対象物に蛍光を生じさせてその蛍光を受光し、測定対象物の種類を識別する蛍光検出装置が組み込まれている。
具体的には、フローサイトメータでは、細胞、DNA、RNA、酵素、蛋白等の生体物質を蛍光試薬でラベルし、それらを含む混濁液を、圧力を与えて毎秒10m程度の速度で管路内を流れるシース液とともに流してフローセルを形成する。また、測定対象物が蛍光を発する物質である場合には、蛍光試薬によるラベルは必要がない。このフローセル中の測定対象物にレーザ光を照射することにより、測定対象物に付着した蛍光色素が蛍光を発する。この蛍光を受光し、識別することで、測定対象物を特定する。
フローサイトメータでは、例えば、細胞内のDNA、RNA、酵素、蛋白質等の細胞内における相対量を計測し、またこれらの物質の働きを短時間で解析することができる。あるいは、特定のタイプの細胞や染色体のみを蛍光によって識別し、特定のタイプの細胞や染色体のみを生きた状態で短時間で選別収集するセル・ソータ等が用いられる。これの使用においては、より多くの測定対象物を短時間に蛍光の情報から特定することが要求されている。
非特許文献4には、例えば488nm、595nm、633nm等の波長の異なる複数のレーザ光を測定対象物に照射し、各レーザ光によって発せられた、蛍光色素に由来する波長帯域の異なる複数の蛍光をバンド・パス・フィルタを用いて分離し、光電子倍増管(PMT)で検出するフローサイトメータが開示されている。これにより、複数の蛍光試薬(蛍光色素)からの蛍光を識別して複数の測定対象物を同時に特定することが可能となるとされている。
しかし、測定対象物であるクロロフィルを含めて複数種類の蛍光を発する物質を含有するサンプル、例えば葉面を、非破壊で、しかもクロロフィルの種類毎に分別定量できる装置や、蛍光測定によるクロロフィルの種類ごとの分析方法は知られていない。
http://www.biol.s.u.-tokyo.ac.jp/users/sonoike/keikou.htm (2005年2月16日検索) http://hostgk3.biology.tohoku.ac.jp/Hikosaka/fluorescence.html (2005年2月 16日検索) http://www.namoto.com/WALZ_101.htm (2005年2月16日検索) http://www.bdbiosciences.com/pharmingen/protocols/Fluorochrome_Absorption.shtm (2005年1月23日検索)
本発明は、上記の技術背景に鑑み、クロロフィルを含むサンプルに変調された励起光を照射し、そのサンプルから発せられた蛍光の蛍光緩和時定数からクロロフィル類を分別定量することができる、クロロフィルの分析装置及び分析方法の提供を目的とする。
本発明は、以下のクロロフィルの分析装置を提供する。
(1)光源制御部、励起光源部、サンプル保持部、受光/センサ部及び解析部とを備えるクロロフィルの分析装置であって、
光源制御部は、励起光源部が発する光の振幅および・または強度を時間に応じて変調し、
励起光源部は、サンプル保持部に存在するサンプル中のクロロフィル類を励起させて蛍光を生ぜしめるための励起エネルギーを与えることができる光を出射し、
サンプル保持部は、励起光源部から出射された光が測定対象物に当たるように測定対象物を保持し又は通過させ、
受光/センサ部は、サンプル保持部において測定対象物中に含まれる物質が発した蛍光を受光し信号化して出力し、そして、
解析部は、光源制御部において励起光源部が発する光を変調させた条件及び受光/センサ部から出力された蛍光信号から、測定対象物中に含まれるクロロフィル類を分別定量する、
クロロフィルの分析装置。
(2)励起光源部がレーザ光を発する、(1)に記載のクロロフィルの分析装置。
(3)前記時間に応ずる変調が、高周波重畳変調、特定形状波変調、正弦波変調及びリニア変調からなる群から選択されるいずれかの方法により、レーザ光を変調させる、(2)に記載のクロロフィルの分析装置。
(4)前記解析部は、変調した励起信号に対する前記蛍光を受光した信号の位相遅れを求めて蛍光緩和時間を算出する(1)ないし(3)のいずれかに記載のクロロフィルの分析装置。
また、本発明は、以下のクロロフィルの分析方法を提供する。
(A)クロロフィルの分析方法であって、励起光源から出射される励起光を変調しつつ励起光源から励起光を出射する工程と、出射された励起光によって測定対象物中の物質が発する蛍光を受光し信号化して出力する工程と、励起光を変調させた条件と、測定対象物中の物質が発する蛍光に基づいて出力された信号とから、測定対象物中に含まれるクロロフィル類を分別定量する工程とを含む、クロロフィルの分析方法。
(B)測定対象がクロロフィルaおよび・またはクロロフィルbであり、変調される励起光が430〜460nmのレーザ光である、(A)に記載のクロロフィルの分析方法。
本発明により、バックグラウンドの蛍光を検出することなく、複数のクロロフィル類を、短時間で個別に精度高く測定できる。
本発明は、クロロフィルを含有する葉面等をサンプルとして、非破壊での複数のクロロフィル類の個別定量に適用できる。
したがって、本発明によれば、経時によるクロロフィル類の量の変化を追跡することができるので、環境汚染のモニタリングが可能となる。また、複数種のクロロフィル類を区別して分別定性、分別定量できるのでより精度の高い測定が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
クロロフィルは、植物の緑葉の緑色色素であり、クロロフィルと総称されるものには、クロロフィルa、b、c、d、e及びバクテリオクロロフィル、バクテリオピリジンがある。植物の種類により、含有するクロロフィルは異なるが、多くの植物は複数種類のクロロフィルを含有している。例えば高等植物は、クロロフィルaとクロロフィルbとを含有している。本発明の装置及び方法は、蛍光測定法を適用し、非破壊で、これら複数種類のクロロフィルの分別又は個別の測定を可能とする。
以下、本発明のクロロフィルの分析装置を、励起光源としてレーザ光を用いた好適例を基に詳細に説明する。
図1は、本発明の分析装置10の概略構成図である。
分析装置10は、レーザ光を変調させる光源制御部21、励起光源であるレーザ光を照射する励起光源部22、測定対象である葉面等のサンプル12を保持するサンプル保持部30、サンプル12中のクロロフィル類が発する蛍光を受光し、それを信号処理する受光/センサ部26、及び光源制御部21での変調条件と受光/センサ部26から発せられる信号からクロロフィル類の分析を行う解析部28とを備える。
励起光源部22は、サンプル中のクロロフィル類を励起させて蛍光を生ぜしめるための励起エネルギーを与えることができる光を出射する部分、例えば、特定の波長のレーザ光を出射する部分である。
レーザ光の波長は、クロロフィルaに蛍光を生じせしめるためには430nmを選択することが好ましく、クロロフィルbに蛍光を生じせしめるためには460nmを選択することが好ましく、クロロフィルaとクロロフィルbとを同時に測定するためには、430〜460nm、特に440nmを選択することが好ましい。
なお、光源は、一定の波長で光を出射できるものであればよいので、半導体レーザ光やガスレーザ光のようなレーザ光に限らず、回折格子、フィルタ等を介したキセノンランプ、タングステンランプ、重水素ランプ等も使用することができる。また、レーザ光は単色光であってもよいし、複数種類の波長のレーザ光をレンズを通過させることによって光路中の所定の位置に集束させたものであってもよい。後者の一例として、λ1=405nm、λ2=533nm及びλ3=650nmのレーザ光を使用する例が挙げられる。レーザ光を使用する場合、その出力は、例えば5〜100mW程度である。単色光を用いれば異なる物質間の近似した蛍光発光またはその減衰状態を分別検出・測定できるので好ましい。
励起光源部22から出射されたレーザ光は、特定の波長帯域のレーザ光を透過し、他の波長帯域のレーザ光を反射するダイクロイックミラー23を透過した後、レンズ25で集束されてサンプルである葉面12の所定位置に当たる。レンズ25は、サンプルの測定個所の大小に応じて励起光の照射面積を調整するために使用されている。レンズに代わって絞りを使用してもよい。なお、測定条件やサンプルの状態によっては、レンズや絞りはなくてもよい。
励起光源部22から出射される光は、光源制御部21で制御されて変調されたものである。すなわち、光源制御部21は、励起光源部22が発する光を所望の条件で変調させる部分である。励起光源がレーザ光である場合、その変調は、複数種のクロロフィル類がそれぞれ発する蛍光の減衰、例えば、高周波重畳変調、振幅変調、特定形状波変調、正弦波変調及びリニア変調からなる群から選択されるいずれかの方法により行うことができる。
光源制御部21は、例えば、図2に示すように、レーザ光の強度を所定の周波数で変調(振幅変調)するための変調信号を生成する部分である信号生成部40と、コントローラ44とを有する。クロロフィルの変調周波数は、例えば10〜50MHzである。
信号生成部40は、発振器46、パワースプリッタ48及びアンプ50、52を有し、生成される変調信号を励起光源部22のパワースプリッタ35に供給するとともに、後述する解析部28に供給する部分である。なお、好ましい変調信号は、所定の周波数の正弦波信号であり、周波数は10〜50MHzの範囲に設定される。
解析部28に変調信号を供給するのは、後述するように、解析部28での蛍光信号の解析には、データの一つとして変調条件が必要であるからである。
コントローラ44は、信号生成部40に所定の周波数の正弦波信号を生成させるように制御するとともに、励起光源部22のレーザドライバを符号化系列信号を用いてレーザ光の出射のオン/オフを制御する。
コントローラ44は、各部分の動作制御のための指示を与えるシステム制御器60を有する。システム制御器60は、レーザ光の強度変調のために、発振器46の発振周波数を定める。さらに、システム制御器60は、レーザドライバにレーザ光の出射のオン/オフを制御するパルス制御信号を生成する。なお、パルス制御信号については後記する。
サンプル保持部30は、励起光源部22から出射された励起光、即ちレーザ光が測定対象物である葉面12に当たるように葉面12を保持する。レーザ光が葉面12中のクロロフィル類に当たると、クロロフィル類から蛍光が発せられる。この蛍光は、ダイクロイックミラー23によってその進行方向が90度変更され、受光/センサ部26中の受光子26aに到達する。葉面12中に、クロロフィル以外であって出射された特定波長のレーザ光で蛍光を発する物質が含まれている場合には、そのような物質の発する蛍光も、受光子26aに到達する。葉面の複数種のクロロフィルの分別定量は、場所によって、または同一場所の葉の厚さの表面や深部、表裏面によっても異なることが予想されるのでサンプル保持部30は位置制御機構や位置信号の送受信機構を有することが好ましい。
図1に示されたサンプル保持部30は、葉面12の茎部を挟持することができる部材であるが、本発明の分析装置で測定されるサンプルは、固体に限定されない。したがって、サンプルが液体である場合、例えばクロロフィルの抽出液である場合には、サンプル保持部30は、その中に液体を保持できる例えばキュベットであることができ、あるいは、本発明の分析装置がフローサイトメータである場合には、サンプル保持部30はシース液が通過する管路であることができる。
受光/センサ部26は、クロロフィルが発した蛍光を受光する受光子26aと、受光子26aが受光した蛍光を信号化して出力するセンサ部26bとを備える。
受光子26aとして使用できるものとしては、光電管、光電子倍増管、光導電セル、接合型光センサ(具体的にはフォト・ダイオード、アバランシェ・フォト・ダイオード、フォト・トランジスタ、PDS等)、CCD、MOS、SIT等が挙げられる。葉面より発せられる蛍光は極めて微弱であるため、例えば光電子倍増管のような検出感度の高い検出器を用いることが好ましい。
センサ部26bは、受光子26aが受光した蛍光を電気信号に変換して出力する。
図1に示すように、受光/センサ部26の手前にフィルタ27を設け、不要なあるいはバック・グラウンドとなるような蛍光を排除することが好ましい。フィルタ27の例としては、干渉フィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等を挙げることができ、これらは単独で又は二つ以上を組み合わせて使用することができる。
クロロフィルaとクロロフィルbとを測定する場合、クロロフィルaの蛍光は680nm、クロロフィルbの蛍光は650nmであるので、フィルタ27は、650nm未満の波長の蛍光をカットできるものであることが好ましく、さらに、680nm超の波長の蛍光もカットできるものであることが好ましい。
解析部28では、光源制御部21において励起光源部22が発する光を変調させた条件及び受光/センサ部26から出力された蛍光信号から、測定対象物中に含まれるクロロフィル類を分別定量する。解析部28に用いる装置としては、コンピュータ、ワンチップマイコン等が挙げられる。クロロフィルの定量のための具体的な方法は後述するが、本発明の分析装置10がレーザ光をパルス変調させてクロロフィル類に蛍光を生じさせるものである場合には、この解析部28において、受光/センサ部26から送られてきた蛍光信号や、光源制御部から送られてきた変調条件に関する情報から、蛍光緩和時定数が算出される。
蛍光物質が励起状態から基底状態へエネルギー遷移をするとき、蛍光強度は徐々に弱まり一定時間で基底状態に戻る。この減衰曲線は、図6(a)に示され、以下の式で表される。
Figure 2006266905
式中、τは、蛍光緩和時定数と呼ばれ、それぞれの蛍光物質に固有の値を持つ。励起光の強度を正弦波で変化させると、検出される蛍光は減衰する時間の分だけ遅れが生じるようになる(位相差ψ)。位相差ψと蛍光緩和時定数τの関係は、図6(b)および以下の式で表され、位相差(ψ)と周波数(ω)の関係から蛍光緩和時定数を求める。
Figure 2006266905
以上、測定対象物が固体、具体的には葉面である場合について説明したが、本発明の分析装置が液体サンプルを測定する装置である場合について、若干言及する。
本発明の分析装置がフローサイトメータであり、測定されるサンプルが例えばシース液である場合には、受光/センサ部は、例えば図3に示すように、励起光源部22とサンプルとを結ぶ直線の延長上(受光/センサ部24)と、その直線に直角な方向(受光/センサ部26)の二カ所に設けるとよい。
この例では、サンプル保持部30は、シース液が通過する管路である。また、受光/センサ部24は、サンプル保持部30である管路を挟んで励起光源部22と対向するように配置されており、測定点を通過するクロロフィルによってレーザ光が前方散乱することにより、クロロフィルが測定点を通過する旨の検出信号を出力する光電変換器を備える。この受光/センサ部24から出力される信号は、解析部28に供給され、解析部28においてクロロフィルが管路中の測定点を通過するタイミングを知らせるトリガ信号として用いられる。
一方、もう一つの受光部26は、励起光源部22から出射されるレーザ光の出射方向に対して垂直方向であって且つサンプル保持部30である管路中のクロロフィルの移動方向に対して垂直方向に配置されており、測定点にてクロロフィルが発する蛍光を受光する光電変換器を備える。
次に、解析部28でのクロロフィル類の分別定量について、レーザ光を正弦波でパルス変調した場合を例に説明する。
解析部28中の信号処理部では、受光/センサ部26から出力される蛍光信号を用いて、レーザ光の照射によりクロロフィル類が発する蛍光の位相遅れに関する情報を抽出する。信号処理部は、受光/センサ部26から出力される蛍光信号を増幅するアンプと、増幅された蛍光信号のそれぞれを信号生成部40から供給された正弦波信号である変調信号を分配するパワースプリッタと、この変調信号を参照信号として増幅された蛍光信号と合成するIQミキサとを有して構成される。
IQミキサは、受光/センサ部26から供給される蛍光信号を、信号生成部40から供給される変調信号を参照信号として合成する部分である。具体的には、IQミキサは、図4に示すように、参照信号を蛍光信号(RF信号)と乗算して、蛍光信号のcos成分と高周波成分を含む処理信号を算出するとともに、参照信号の位相を90度シフトさせた信号を蛍光信号と乗算して、蛍光信号のsin成分と高周波成分を含む処理信号を算出する。このcos成分を含む処理信号及びsin成分を含む処理信号は、コントローラ44に供給される。
このパルス制御信号は、互いに直交する複数の符号化系列信号の中から選択された1つの符号化系列信号によって作られたものである。この符号化系列信号は、1ビットの信号値で構成され、所定の符号長さのビット数で符号化されている。
以下、符号化系列信号について説明する。
コントローラ44は、系列符号C={a,a,a,………,aN−1}(Nは自然数で符号長さを表す)を用いて基準となる符号化系列信号を生成するとともに、さらにこの系列符号Cをq1ビット、ビット方向にビットシフトさせた系列符号Tq1・c(Tq1は、ビット方向にq1ビット、ビットシフトする作用素である)を用いて符号化系列信号を生成する。ここで、系列符号Tq1・Cは、{aq1,aq1+1,aq1+2,………,aq1+N−1}である。さらに、系列符号Cをq2ビット(例えば、q2=2×q1)、ビット方向にビットシフトさせた系列符号Tq2・Cを用いて符号化系列信号を生成する。
この符号化系列信号を生成するために用いられる系列符号C,Tq1・C,Tq2・Cは、互いに直交する特性を有するので、生成される符号化系列信号も互いに直交する。
系列符号Cの一例として、下記に示すように、例えば係数hと(j=1〜8の整数)および初期値a(kは0〜7の整数)とを用いて符号化されるPN系列(Psuedorandaom Noise系列)が挙げられる。このPN系列は、例えば下記式(1)により定義することができる。式(1)では次数を8次としている。ここで、Nは上記系列符号の符号長さであり、例えばN=255(=28−1)ビットとされる。
Figure 2006266905
系列符号CがPN系列符号である場合、符号長さがNの巡回符号となるので、aN=a0,aN+1=a1,………となる。また、系列符号Cと同じ符号長さNの別の系列符号をC’={b0,b1,b2,………,bN-1}}とし、上記作用素Tを系列符号C’作用させた系列符号T・C’={bq,bq+1,bq+2,………,bq+N-1}}として、系列符号CとC’との間の相互相関関数Rcc'(q)を下記式(2)のように定義する。ここで、NAは系列符号における項aiと項bq+iの(iは0以上N−1以下の整数)一致する数であり、NDは系列符号における項aiと項bq+iの不一致の数である。また、NAとNDの和は符号長さNとなる(NA+ND=N)。ここで、iとq+iはmod(N)で考える。
Figure 2006266905
上記PN系列において2つの系列符号を項毎にmod(2)で加算した結果はもとのPN系列を巡回シフトしたPN系列になる性質があり、PN系列の値が0となる個数は値が1となる個数より1つだけ少ないので、NA−ND=−1となる。これより、PN系列において下記式(3)および(4)に示す値を示す。
Figure 2006266905
Figure 2006266905
上記式(3)よりビットシフト量が0、すなわちq=0の場合、式(3)に示すようにRcc’(q)の値は1となり、自己相関性を有する。一方、ビットシフト量が0でない、すなわちq>0の場合、式(4)に示すようにRcc’(q)は−(1/N)となる。ここで符号長さNを大きくすることにより、Rcc’(q)(q>0)の値は0に近づく。
すなわち、系列符号CとC’は自己相関性を持ち、かつ直交性を有するといえる。
このような自己相関性および直交性を有する系列符号を用いて、値が0と値1の2値からなる符号化系列信号を生成する。
図5(a)は、3種類の、互いに異なる波長のレーザ光を励起光として用いた場合における、生成される符号化系列信号の一例を示している。コード1の符号化系列信号は、符号長さN=255ビットの信号であり、符号長さNと時間分解幅Δtとの積は、図5(a)中の時刻0〜tの時間となる。この信号において値が1のときレーザ光を出射し、値が0のときレーザ光を出射しないようにして断続的にレーザ光源の出射のオン/オフが制御される。
ここで、コード2の符号化系列信号の時刻0における信号は、コード1の時刻tにおける信号に対応しており、コード2の時刻0以降の信号が、コード1の時刻t以降の信号に対応して生成されている。同様に、コード3の符号化系列信号の時刻0における信号は、コード1の時刻t(例えば、t=2×t)における信号に対応しており、コード3の時刻0以降の信号が、コード1の時刻t以降の信号に対応して生成されている。
光源制御部21は、これらの信号を巡回的に繰り返し生成し、各コードは各レーザドライバにパルス制御信号として供給されるように構成されている。
なお、本発明における符号化系列信号は上記PN系列の系列符号を用いて生成されるが、本発明における自己相関性および直交性を有する符号化系列信号の生成は、上記方法に限定されず、自己相関性および直交性を有する符号化系列信号を生成する限りにおいてどのような方法を用いてもよい。
図5(b)は、符号化系列信号によるパルス変調と、レーザ光の周波数による強度変調との関係を示している。パルス変調によりレーザ光がオン状態の場合、レーザ光は少なくともオン状態の時間に比べて短い周期で強度が振動するように変調されている。
コントローラ44のシステム制御器60は、図5(a)に示すような系列符号を用いて符号化系列信号を生成し、レーザドライバにレーザ光の出射のオン/オフを制御するパルス制御信号として供給する。
なお、コントローラ44のA/D変換器66におけるサンプリングは、後述するように符号化系列信号と蛍光信号との相関関数を効率良く演算するために、サンプリングの時間分解幅(サンプリング間隔)を、符号化系列信号の時間分解幅に揃えられるのが好ましい。例えば符号化系列信号の時間分解幅が4ナノ秒であれば蛍光信号のサンプリングの時間分解幅も4ナノ秒あるいはその整数分の1とするのが好ましい。
解析部28は、蛍光のレーザ光に対する位相遅れ角度を求め、さらに、この位相遅れ角度から蛍光緩和時定数(蛍光緩和時間)を求める。解析部28は、本発明における蛍光緩和時間(蛍光緩和時定数)を算出する部分でもあり、例えばコンピュータにより構成される。なお、複数の互いに波長の異なるレーザ光を用いた場合には、受光/センサ部26から出力された蛍光信号が、どのレーザ光の照射によるものかを特定することもできる。
蛍光信号のcos成分及びsin成分を含む処理信号には、符号化系列信号の情報が含まれているので、解析部28では、この処理信号に対して、まず、符号化系列信号の自己相関性及び直交性を用いて、符号化識別変換を行い、蛍光信号のcos成分及びsin成分の値を抽出する。このcos成分及びsin成分の値を用いて蛍光のレーザ光に対する位相遅れ角度を求める。この位相遅れ角度から蛍光緩和時定数(蛍光緩和時間)を求め、クロロフィルの種類を識別する。
複数の互いに波長の異なるレーザ光を用いた場合には、この計算処理は、レーザ光毎に行われる。さらに、上記符号化識別変換において用いられた符号化系列信号を知ることにより、蛍光信号がどのレーザ光の照射によるものかを特定することもできる。
なお、求められた位相ずれ角度は、蛍光色素の発する蛍光の蛍光緩和時定数に依存しており、例えば1次緩和過程で表した場合、cos成分及びsin成分は、下記式(5),(6)で表される。
Figure 2006266905
Figure 2006266905
ここで、θは位相ずれ角度であり、ωはレーザ光の変調周波数であり、τは蛍光緩和時定数である。
蛍光信号のcos成分及びsin成分の比tan(θ)から位相ずれ角度θを求め、この位相ずれ角度θを用いて、上記式(5)、(6)から、蛍光緩和時定数τを求めることができる。
この蛍光緩和時定数τは、上述したように、蛍光放射物質の種類によって変わるものであり、また、2種類の蛍光放射物質が存在する場合には、その存在比率に応じて蛍光緩和時定数τも変わる。このため、蛍光緩和時定数τを求めることで、2種類のクロロフィルの比率を特定することができる。
このように、クロロフィル類を含有するサンプルに、強度変調したレーザ光を照射し、その際にクロロフィル類が発する蛍光を検出することにより、発する蛍光の種類を識別することができ、これによりクロロフィル類を特定することができる。
クロロフィル類が発する蛍光の信号は、システム制御器60で生成された既知の符号化系列信号に従って変調された(出射を制御した)レーザ光による蛍光信号である。このため、この蛍光信号もシステム制御器60で生成された符号化系列信号に従って光強度が変調した信号となっている。したがって、励起光源として互いに波長が異なる複数のレーザ光を使用した場合には、システム制御器60で生成された入力信号であるコード(符号化系列信号)と応答信号である蛍光信号とを同期させて相関関数を調べることにより、蛍光信号がどのコードによって変調されたレーザ光による蛍光信号を含んでいるかを知ることができる。すなわち、システム制御器60で生成されたコードと蛍光信号との相関関数を演算し、蛍光信号と高い相関値を持つコードがある場合、蛍光信号は、このコード(符号化系列信号)によって変調されたレーザ光による蛍光信号として含んでいるといえる。一方、相関が極めて低いか、無相関を示すコードは、このコードによって変調されたレーザ光による蛍光信号として含んでいないといえる。
解析部28は、入力信号であるコードと応答信号である蛍光信号との相関関数を、巡回するコードの周期にしたがって繰り返し平均化処理することにより、安定した値として求める。求めた値によって、受光した蛍光がどのレーザ光により励起されたものであるかを特定する。また、受光子26aが受光する光の波長帯域もわかっているので、蛍光の種類、即ちクロロフィルの種類も特定することができる。
こうして、蛍光信号から、特定波長のレーザ光の照射により放射された蛍光の信号を含んでいるか否かを識別し、クロロフィル類を特定することができる。
このような符号化系列信号におけるビットシフト量と符号化系列信号の時間分解幅Δtとの積である時刻0〜t間の時間および時刻0〜t間の時間のいずれも、いずれのクロロフィルによる蛍光の蛍光緩和時定数に比べても長いことが好ましい。すなわち、蛍光の強度は図6に示すような蛍光緩和特性に従って時間と共に低減し、この時の蛍光強度の緩和時間をτとするとこの蛍光緩和時間τは、図5中の時刻0〜t間の時間および時刻0〜t間の時間より短いことが好ましい。なお、符号化系列信号の時間分解幅Δtは蛍光緩和時間に比べて十分に短くなる様に定められる。
解析部28は、上述したように、クロロフィルの発する蛍光の緩和時定数についての情報(そして互いに異なる波長の複数のレーザ光を用いた場合には蛍光信号がどのレーザ光によるものかの情報も)を用いて、発せられた蛍光を特定して、クロロフィルの種類等を特定することができる。
なお、クロロフィルaとクロロフィルbとの存在割合と、蛍光緩和時常数との関係は、予め、アセトンやメタノール等の溶媒にクロロフィルa及びクロロフィルbをその混合割合を変化させて溶解したものを用意し、それについてサンプルを使用した場合と同様の蛍光測定を行い、検量線を作成しておく。検量線の作成の際には、最小自乗法等の公知の方法で、蛍光緩和時定数と存在比率との相関を図る。また、クロロフィルaとクロロフィルbとの総量や、クロロフィルa、クロロフィルb各々の量(あるいは濃度)に関しても、同様に予め検量線を作成しておくことで、算出することができる。
本発明のクロロフィル分析装置の一般的な分析装置としての詳細は、同一出願人の先の出願である特願2005−037399号明細書に記載され、ここに引用して本明細書の内容とする。
次に、本発明の分析装置がフローサイトメータである場合の蛍光信号の処理について説明する。
分析装置がフローサイトメータ20である場合には、まず、コントローラ44からの指示により、所定の周波数の信号を発信器46に発生させ、この信号がアンプ50により増幅されて、レーザ光源部22及び解析部28中の信号処理部に供給される。
この状態で、試料12が管路30を流れ、フローが形成される。フローは、例えば100μmの流路径に1〜10m/秒の流速を有する。
測定点でレーザ光による照射が成されると、受光部24で試料12の通過を検出する検出信号がコントローラ44にトリガ信号として出力される。
コントローラ44では、この検出信号をトリガ信号とし、このトリガ信号に同期して、自己相関性を有し、かつ他の符号化系列信号と直交性を有する符号化系列信号を生成し、これを巡回的に繰り返し生成する。この符号化系列信号は、励起光源部22からのレーザ光の出射のオン/オフを制御するパルス制御信号として用いるために、レーザドライバに供給される。
励起光源部22では、このパルス制御信号に従ってレーザ光の出射のオン/オフが制御され、符号化系列信号によってパルス変調した信号情報を備えるレーザ光が生成される。このレーザ光は測定点を通過するクロロフィルを励起させるために用いられ、このレーザ光の照射により蛍光が生ずる。ここで生ずる蛍光は、受光/センサ部26にて受光される。出射がオン状態のレーザ光は、所定の周波数で強度が変調している。
このようなレーザ光で照射されて生ずる蛍光は、位相遅れ角度を持って所定の周波数で強度変調するとともに、レーザ光のオン/オフに応じて、レーザ光によって励起されて生ずる蛍光もオン/オフの信号となっている。
このようにして、受光部24によるクロロフィルの通過の検出から変調されたレーザ光を照射するまでの時間は極めて短く、クロロフィルが測定点を通過する数μ〜数10μ秒の間に、所定の周波数で振幅変調しつつ、巡回的に繰り返す符号化系列信号によってオン/オフが制御されたレーザ光がクロロフィルに照射される。
ここで、レーザ光の変調周波数は、例えば10〜50MHzである。
また、符号化系列信号は、数ナノ秒の時間分解幅、例えば2ナノ秒の時間分解幅で生成される場合、符号長さNが255ビットの符号化変調信号とすると、0.510μ秒(=0.002×255)を1周期として符号化系列信号が繰り返し巡回して生成される。この繰り返し生成される符号化系列信号に基づいてレーザ光が変調される。したがって、試料12が測定点を通過する数μ〜数10μ秒の間に、レーザ光は、0.510μ秒を1周期とする符号化系列信号が数回〜数10回巡回される。
解析部28中の信号処理部では、受光/センサ部26から出力される蛍光信号は、例えば、増幅されそしてIQミキサにより信号生成部40から供給された正弦波信号である変調信号と合成される。
IQミキサでは、正弦波信号である変調信号(参照信号)と蛍光信号を乗算した合成信号が生成されるとともに、正弦波信号である変調信号(参照信号)に対して位相を90度シフトさせた信号と蛍光信号を乗算して合成した信号が生成される。
次に、生成された2つの合成信号は、コントローラ44のローパスフィルタ62に送られ、高周波成分が除去されて、蛍光信号のcos成分及びsin成分の信号が取り出される。
この蛍光信号のcos成分及びsin成分の信号は増幅され、A/D変換され、解析部28に送られる。A/D変換は、受光/センサ部24からのトリガ信号のタイミングで同期が取られ、符号化系列信号の時間分解幅Δtと同じ時間分解幅で、蛍光信号のサンプリングが行われる。サンプリングは例えば8ビットのサンプリング(0〜255の階調のサンプリング)である。なお、蛍光信号は、符号化系列信号によってパルス変調されたレーザ光によって発するものであるため、この蛍光信号から得られるサンプリングされたデータは、符号化系列信号の情報が含まれている。
例えば、i番目(i=1〜3の自然数)の励起光源部22から出射される時間変調したレーザ光の強度振幅Ai(t)を下記式(7)のように定め(pi(t)はPN符号化変調信号による時間変調成分、ωは変調周波数)、IQミキサに供給される参照信号(変調信号)A(t)を下記式(8)で定める。このとき、IQミキサで用いられる、正弦波信号である変調信号(参照信号)に対して位相を90度シフトさせた信号A90(t)は下記式(9)のように定まる。一方、蛍光信号の振幅を下記式(10)で定めると、IQミキサで合成されて得られる合成信号は下記式(11)のように表される。この2つの合成信号のうち高次成分はローパスフィルタ62を用いて除去され、この後、A/D変換されデジタル信号が生成される。
Figure 2006266905
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レーザ光の時間変調に用いた符号化系列信号は自己相関性を有し、他の符号化系列信号に対して直交性を有するので、符号化系列信号とA/D変換されたデジタル信号との間の相関関数を算出することで、レーザ光毎に上記デジタル信号を分解する符号化識別変換が行われる。すなわち、符号化識別変換により、式(11)における1/2・ri・cos(θi)及び1/2・ri・sin(θi)が得られる。ここでθiは、i番目の励起光源部22から出射されるレーザ光により発する蛍光の、レーザ光に対する位相遅れ角度を表す。したがって、1/2・ri・cos(θi)及び1/2・ri・sin(θi)の値を用いてtan(θi)を求めることができる。このtan(θi)の値と上述した式(1)及び(2)とを用いて、蛍光緩和時定数τが求められる。
この蛍光緩和時定数τは、蛍光発生物質によって異なるので、クロロフィルの種類を特定することができる。
特に、異なる2種類のクロロフィルが存在すると、それらの存在比率に応じて蛍光緩和時定数τも変化する。このため、予め混合する比率を変えて検量線を作成しておけば、2種類のクロロフィルの比率を知ることができる。
さらに、上述した符号化識別変換を行う際に、自己相関性を有する符号化系列信号を知ることができるので、蛍光信号がどのレーザ光によるものかを特定することができる。従来においては、レーザ光を変調して信号情報を含ませることは行わないので、どのレーザ光の励起による蛍光であるかを特定することができなかった。
このように本発明では、同一の波長で放射する蛍光であっても、励起に用いるレーザ光の符号化系列信号を変えることで、異なる蛍光信号として受光することができるので、直交性を有する符号化系列信号を多数用いることで、蛍光色素の励起に用いられる多数のレーザ光を短時間のうちに特定することができる。したがって、蛍光の波長帯域が近接するクロロフィル類であっても、たとえ多数のレーザ光を合成して一度に照射しても、照射するレーザ光の信号情報が蛍光に含まれ、この信号情報が受光信号の中で識別できる限りにおいて、クロロフィルの種類を特定することができる。
このように本発明では、クロロフィルの発する蛍光の蛍光緩和時定数を算出することで、複数種類のクロロフィルを分別定量することができる。特に、2種類のクロロフィル(例えばクロロフィルaとクロロフィルb)とが存在する場合には、その比率により、各クロロフィルの蛍光緩和時定数のいずれとも異なる蛍光緩和時定数を有するようになるので、これにより、2種類のクロロフィルの存在比率を測定することができる。
以上、本発明の分析装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
次に、本発明のクロロフィルの分析方法について説明する。
本発明の分析方法は、(1)励起光源から出射される励起光を変調しつつ励起光源から励起光を出射する工程と、(2)出射された励起光によって測定対象物中の物質が発する蛍光を受光し信号化して出力する工程と、(3)励起光を変調させた条件と、測定対象物中の物質が発する蛍光に基づいて出力された信号とから、測定対象物中に含まれるクロロフィル類を分別定量する工程、とを含む。
工程(1)で使用される励起光源は、レーザ光等の特定波長の光を出射できるものであればよく、その好適例としては、半導体レーザが挙げられる。
本発明の方法においては、クロロフィルに蛍光を生ぜしめるためにクロロフィルを励起するための光は、変調処理がなされたものである。変調処理の方法として、複数種クロロフィルのそれぞれの蛍光緩和時乗数よりも長い時間にわたって振幅および・または強度を変調する方法を用いることができる。
工程(2)では、測定対象物中に含有される物質であって、使用された波長の励起光で励起されて蛍光を発する物質が発する蛍光を、受光子、例えば光電子倍増管で受光し、それを、センサで信号化して出力する。
なお、測定対象物は、固体でも液体でもよい。固体とは、例えばクロロフィル類を含有する葉や茎そのものを指し、液体とは、例えばはからクロロフィルを抽出した抽出液である。
工程(1)と工程(2)との間に、蛍光をフィルタに通す工程を設け、バックグラウンド蛍光、即ち、クロロフィル類以外の物質が発する蛍光を除去してもよい。
工程(3)では、測定対象物中に含まれるクロロフィル類を分別定量する。具体的定量方法としては、時間に応じた蛍光強度の変化の測定、蛍光緩和時定数の測定等の方法がある。蛍光強度を測定する蛍光波長の選択により、バックグラウンド蛍光とクロロフィル類の蛍光とを分別することができるとともに、複数のクロロフィル類を個々に定量することもできる。また、蛍光緩和時定数の測定により、2種類のクロロフィルの存在比率を知ることができる。
なお、クロロフィル類の中で、高等植物に含まれているクロロフィルaとクロロフィルbとを分別定量する場合には、励起光の波長は、430〜460nm、特に440nmを選択することが好ましい。
本発明の方法の実施のための具体的手法や装置については、本発明の分析装置に関する説明中に記載しているので重複して記載しない。
本発明の分析装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の強度変調したレーザ光による分析装置に用いられる光源制御部の一例を示す概略構成図である。 本発明の強度変調したレーザ光による分析装置を用いたフローサイトメータの一部を示す概略構成図である。 解析部のIQミキサを説明する図である。 (a)〜(b)は、本発明の強度変調したレーザ光による分析装置で生成される各信号の例を示す図である。 蛍光色素が発する光の蛍光強度の特性を説明する図である。(a)は蛍光減衰曲線を示し、(b)は励起光の変調により生じる位相差を示す図である。
符号の説明
10 分析装置
12 サンプル
20 フローサイトメータ
21 光源制御部
22 励起光源部
23 ダイクロイックミラー
24,26 受光/センサ部
26a 受光子
26b センサ部
25 レンズ
27 フィルタ
28 解析部
30 サンプル保持部
35 パワースプリッタ
40 信号生成部
44 コントローラ
46 発振器
48 パワースプリッタ
50,52,64 アンプ
60 システム制御器
62 ローパスフィルタ
66 A/D

Claims (6)

  1. 光源制御部、励起光源部、サンプル保持部、受光/センサ部及び解析部とを備えるクロロフィルの分析装置であって、
    光源制御部は、励起光源部が発する光の振幅および・または強度を時間に応じて変調し、
    励起光源部は、サンプル保持部に存在するサンプル中のクロロフィル類を励起させて蛍光を生ぜしめるための励起エネルギーを与えることができる光を出射し、
    サンプル保持部は、励起光源部から出射された光が測定対象物に当たるように測定対象物を保持し又は通過させ、
    受光/センサ部は、サンプル保持部において測定対象物中に含まれる物質が発した蛍光を受光し信号化して出力し、そして、
    解析部は、光源制御部において励起光源部が発する光を変調させた条件及び受光/センサ部から出力された蛍光信号から、測定対象物中に含まれるクロロフィル類を分別定量する、
    クロロフィルの分析装置。
  2. 励起光源部がレーザ光を発する、請求項1に記載のクロロフィルの分析装置。
  3. 前記時間に応じた変調が、高周波重畳変調、特定形状波変調、正弦波変調及びリニア変調からなる群から選択されるいずれかの方法により、レーザ光を変調する、請求項2に記載のクロロフィルの分析装置。
  4. 前記解析部は、変調した励起信号に対する前記蛍光を受光した信号の位相遅れを求めて蛍光緩和時間を算出する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のクロロフィルの分析装置。
  5. クロロフィルの分析方法であって、励起光源から出射される励起光の振幅および・または強度を時間に応じて変調して励起光源から励起光を出射する工程と、出射された励起光によって測定対象物中の物質が発する蛍光を受光し信号化して出力する工程と、励起光を変調させた条件と、測定対象物中の物質が発する蛍光に基づいて出力された信号とから、測定対象物中に含まれるクロロフィル類を分別定量する工程とを含む、クロロフィルの分析方法。
  6. 測定対象がクロロフィルaおよび・またはクロロフィルbであり、変調される励起光が430〜460nmのレーザ光である、請求項5に記載のクロロフィルの分析方法。
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