JP2006275233A - ニードル軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】
潤滑状態が悪くても、接触部の摩耗を減少させることができるニードル軸受を提供する。
【解決手段】
スラストニードル軸受16A、16B及びラジアルニードル軸受15A、15Bは、上述したように各部が窒素濃度0.03〜0.80重量%以上であり、且つビッカース硬度がHV=653〜832であるように処理されており、且つ所定単位の表面に存在する微小な凹凸のうち、最も高い部分の位置を最表面位置としたときに、この最表面位置から深さ方向に2.0μmシフトした位置で、所定単位の表面に平行な仮想平面を用いてころ及び軌道輪を切断した場合、その切断面の面積は、所定単位の表面の面積に対して90%以上とするように処理されているので、過酷な潤滑条件で使用されても早期摩耗を抑制でき、長寿命をはかることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カーエアコンのコンプレッサや自動変速機用遊星歯車機構等に用いられると好適なニードル軸受に関する。
例えばカーエアコン用コンプレッサ(カークーラコンプレッサともいう)の一タイプとして、容量可変式のコンプレッサが知られている。一般的に、容量可変式のコンプレッサは、ハウジングに対して駆動軸をラジアル軸受により回転自在に支持し、この駆動軸に対して斜板を傾斜角度可変に連結し、この斜板に対し揺動板を摺動自在に取付けてある。斜板と揺動板との間にはスラスト軸受が配置されている。揺動板には、複数のピストンロッドの一端が円周方向等間隔に取付けてあり、このピストンロッドの他端はピストンに連結している。このピストンは、ハウジング内に設けられたシリンダの内部で摺動するように設けられ、このシリンダのボア内に流入される冷媒ガスを圧縮し吐出するようにしている。つまり、斜板が回転すると、揺動板が、いわゆるみそすり的動作をし、ピストンロッドを介してピストンを軸線方向に往復運動させ、冷媒ガスを圧縮し吐出するようになっている(特許文献1参照)。
特開2002−266754号公報 特開2005−30582号公報
ところで、カーエアコン用コンプレッサの動作時には、斜板を介して駆動軸は大きな力を受けるので、かかる駆動軸をハウジングに対してスラスト方向に支持するスラスト軸受と、ラジアル方向に支持するラジアル軸受とが必要となる。かかる場合、ニードル軸受は針状の円筒ころを有しているので、軸線方向の厚さが薄く、カーエアコン用コンプレッサに用いることにより、構成をよりコンパクトにすることができる。
しかるに、一般的なカーエアコン用コンプレッサは、クランクの回転による力を、べルトを介して電磁クラッチ経由で回転運動により駆動軸に伝達しており、アイドリングのような低速回転から、加速時のような高速回転まで幅広い回転数の範囲で、しかもコンプレッサの能力も必要に応じて変化するため、回転数と荷重が複雑に組み合わさった状態で運転される。このような環境で使用されるため、当然スラストニードル軸受及びラジアルニードル軸受も同様に高速回転から低速回転、さらには無負荷状態から重負荷状態まで幅広い条件下で動作することになる。そのうえ、軸受の使用部位がカーエアコン用コンプレッサであることから、外部から多量の潤滑剤を供給することもできず、潤滑性確保という観点からも非常に厳しい条件下にあるといえる。
これに対し、一般的なニードル軸受のころ、軌道輪、保持器等は、通常の軸受鋼(一般的にはSUJ2)を、焼入れ焼戻しの熱処理を行っている。このようなニードル軸受を、潤滑性が十分に確保されない使用条件下でカーエアコン用コンプレッサに適用した場合、接触部の油膜不良により早期に摩耗を引き起こすおそれがある。ところが、潤滑性を十分に確保するためには、十分な断面積の潤滑油供給路等をコンプレッサハウジングに形成しなくてはならず、コンプレッサハウジングの製造コストが増大し、又ハウジングがより大型化する。又、同様な問題は、高速回転が要求される近年の自動変速機用遊星歯車機構においても生じる。
これに対し特許文献2においては、ニードル軸受において、ころ、軌道輪、保持器のうち少なくとも1つの部品に関して、窒素濃度0.3重量%以上、ビッカース硬度HV653〜832、超仕上げ加工により表面粗さをRa0.1以下とすることにより、接触部の摩耗を抑制する技術が開示されている。
ところが、特許文献2のニードル軸受は、十分な潤滑油が供給できる状態で使用されることを前提としたものであるのに対し、例えば既存のカーエアコン用コンプレッサによっては、ニードル軸受に対して潤滑油の供給を十分い行えないものも存在する。従って、かかるカーエアコン用コンプレッサにおいて、従来技術のニードル軸受を用いるためには、十分な断面積の潤滑油供給路等をコンプレッサハウジングに新たに形成しなくてはならず、コンプレッサハウジングの製造コストが増大し、またコンプレッサ全体が大型化するという問題がある。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、潤滑状態が悪くても、接触部の摩耗を減少させることができるニードル軸受を提供することを目的とする。
本発明のニードル軸受は、ころ及び軌道輪のうち少なくとも一方が、バレル加工により仕上げ加工されており、その所定単位の表面に存在する微小な凹凸のうち、最も高い部分の位置を最表面位置としたときに、この最表面位置から深さ方向に2.0μmシフトした位置で、前記所定単位の表面に平行な仮想平面を用いて前記ころ及び軌道輪のうち少なくとも一方を切断した場合、その切断面の面積は、前記所定単位の表面の面積に対して90%以上とすることを特徴とする。
本発明のニードル軸受によれば、ころ及び軌道輪のうち少なくとも一方を、手間のかかる研磨やショットピーニングを用いることなく、バレル加工により仕上げ加工しているので、大量の部品の仕上げ加工を容易に行うことができる。又、ころ及び軌道輪のうち少なくとも一方の所定単位の表面に存在する微小な凹凸のうち、最も高い部分の位置を最表面位置としたときに、この最表面位置から深さ方向に2.0μmシフトした位置で、前記所定単位の表面に平行な仮想平面を用いて前記ころ及び軌道輪のうち少なくとも一方を切断した場合、その切断面の面積は、前記所定単位の表面の面積に対して90%以上とするので、潤滑状態が悪い環境下でも早期摩耗などを抑制することができる。
図5は、本発明の原理を説明するための図であり、図5(a)は、ころ及び軌道輪のうち少なくとも一方(以下、被測定部品とする)における所定単位の表面断面を拡大して示す図であり、図5(b)は、被測定部品における所定単位の表面(相手部材と接触する表面全体の面積であり、ここではA×Bの矩形領域とする)を示す図である。図5(a)において、所定単位の表面内で最も高い部分HPの位置から深さ方向に2.0μmシフトした位置で、所定単位の表面に平行に仮想平面VPを描いたとする。
ここで、被測定部品の表面に凹凸がないか十分小さいとすれば、仮想平面VPが前記被測定部品と交わる範囲(即ち仮想平面で切断されたころ及び軌道輪のうち少なくとも一方の切断面の面積)は、A×Bの全域となるはずである。しかしながら、被測定部品の表面には、加工時に生じた微細な凹凸が存在するので、その深さが部分HPから2.0μmを超えていた場合、超えている部分において、仮想平面VPは外部に露出し、従って切断面に抜けが生じることとなる。これを示したのが図5(b)であり、ハッチングで示す領域が、仮想平面VPが被測定部品と交わる範囲(被測定部品の切断面であり、R1とする)であり、白抜きで示す領域が、仮想平面VPが外部に露出した範囲(R2とする)である。白抜きで示す領域R2が多いほど、粗さが大きい面であることがわかる。
本発明によれば、100・(領域R1の面積)/(A×B)≧90とすることで、表面に深い凹部を存在させないか、存在しても面積的に僅かに抑え、前記ころや前記軌道輪の間に存在する油膜の強度を高くし潤滑性を向上させ、表面に窒素濃度を付加することにより、耐摩耗性を向上すると共に、極表層部において圧痕起点型剥離の防止に有効な多量の残留オーステナイトを存在させることができ、摩耗、剥離等の早期の表面損傷を防止することができる。なお、所定単位の表面は、厳密に言えば曲面であるが、微小な範囲であるので、ここでは平面に近似している。
更に、前記ころ及び前記軌道輪のうち少なくとも一方が、窒素濃度0.03〜0.80重量%、ビッカース硬度HV653〜832であると、浸炭窒化処理等により表面に窒素を付加することで焼戻し抵抗が向上して高温時の強度が増大し、耐摩耗性が向上すると共に、極表層部において圧痕起点型剥離の防止に有効な多量の残留オーステナイトを存在させることができる。表面窒素濃度が0.03重量%を下回ると高温時の強度が低下して耐摩耗性が低下するので、その下限値を0.03重量%とした。尚、表面窒素濃度が0.8重量%を超えると軸受製造時における研削仕上げが困難になり、難研削のために軸受の生産性が低下するので、その上限値は0.8重量%であると好ましい。
窒化層(適切な窒素濃度及び硬さを有する層)の形成方法としては、塩浴等による液体窒化処理や、ガス窒化処理や、イオン窒化処理が挙げられる。このうち、イオン窒化処理は処理温度が比較的高く、母材の耐熱性を考慮しても十分な下地の硬度が得られにくかったり、前記少なくとも一つの部品の表面に均一な窒化層を形成させることが困難な場合があるため、塩浴窒化処理あるいはガス窒化処理によることが好ましい。なお、好ましい窒化処理温度は480℃以下とする。また、窒化層は、特に処理温度が高い場合に、その最表面に数ミクロン程度の脆弱な化合物層(ξ相あるいはε相単相からなる擬似セラミックス層)が膜状に形成される場合があるため、窒化処理温度はさらに好ましくは460℃以下とする。また、このように処理温度がより低いものであると、窒化層がより緻密なものとなって粗悪なポーラス層も生成しない。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態にかかるニードル軸受が組み込まれたカーエアコンのコンプレッサの断面図であり、図2は、図1の構成をII方向に見た図である。
図1において、コンプレッサ1を構成するハウジング6は、中央の短円筒状の本体7をヘッドケース8と斜板ケース9とで軸線方向(図1の左右方向)両側から挟持し、更に複数本の結合ボルト(図示せず)により結合されて一体となっている。ヘッドケース8の内側には、低圧室10、10と高圧室11とが設けられている。尚、高圧室11内は勿論、低圧室10、10内も正圧である。又、本体7とヘッドケース8との間には平板状の隔壁板12が挟持されている。図1で複数に分割されている如く表されている低圧室10、10は互いに連通しており、ヘッドケース8の外面に設けられた単一の吸入ポート13(図2)に連通している。又、高圧室11は、ヘッドケース8に設けられた吐出ポート(図示せず)に通じている。吸入ポート13がエバポレータ(不図示)の出口に、不図示の吐出ポートをコンデンサ(不図示)の入口に、それぞれ連通させている。
ハウジング6内にはシャフト14を、本体7と斜板ケース9とに掛け渡す状態で、回転自在に支持している。より具体的には、シャフト14の両端部を1対のラジアルニードル軸受15A、15Bにより、本体7と斜板ケース9とに対して回転自在に支持すると共に、1対のスラストニードル軸受16A、16Bにより、このシャフト14に加わるスラスト荷重を支承自在としている。
本実施の形態にかかるスラストニードル軸受16Aは、複数のころ16aと、これを軸線方向(図1で左右方向)に挟持する軌道輪16b、16cと、ころ16aを保持する保持器16dとを有している。ころ16a及び軌道輪16b、16cの表面は、窒素濃度0.03〜0.80重量%以上であり、ビッカース硬度がHV=653〜832であり、且つ所定単位の表面に存在する微小な凹凸のうち、最も高い部分の位置を最表面位置としたときに、この最表面位置から深さ方向に2.0μmシフトした位置で、所定単位の表面に平行な仮想平面を用いてころ16a及び軌道輪16b、16cを切断した場合、その切断面の面積は、前記所定単位の表面の面積に対して90%以上とするように処理されている(図5参照)。
更に、本実施の形態にかかるスラストニードル軸受16Bは、複数のころ16eと、これを軸線方向(図1で左右方向)に挟持する軌道輪16f、16gと、ころ16eを保持する保持器16hとを有している。ころ16e及び軌道輪16f、16gの表面は、窒素濃度0.03〜0.80重量%以上であり、ビッカース硬度がHV=653〜832であり、且つ所定単位の表面に存在する微小な凹凸のうち、最も高い部分の位置を最表面位置としたときに、この最表面位置から深さ方向に2.0μmシフトした位置で、所定単位の表面に平行な仮想平面を用いてころ16e及び軌道輪16f、16gを切断した場合、その切断面の面積は、前記所定単位の表面の面積に対して90%以上とするように処理されている(図5参照)。
図3は、スラストニードル軸受16Bの斜視図であり、図4は、スラストニードル軸受16Bの断面図である。
本実施の形態にかかるラジアルニードル軸受15Aは、複数のころ15aと、外輪(軌道輪)15bと、ころ15aを保持する保持器15cとを有している。ころ15a及び外輪15bは、窒素濃度0.03〜0.80重量%以上であり、ビッカース硬度がHV=653〜832であり、且つ所定単位の表面に存在する微小な凹凸のうち、最も高い部分の位置を最表面位置としたときに、この最表面位置から深さ方向に2.0μmシフトした位置で、所定単位の表面に平行な仮想平面を用いてころ15a及び外輪15bを切断した場合、その切断面の面積は、前記所定単位の表面の面積に対して90%以上とするように処理されている(図5参照)。
更に、本実施の形態にかかるラジアルニードル軸受15Bは、複数のころ15dと、外輪(軌道輪)15eと、ころ15dを保持する保持器15fとを有している。ころ15d及び外輪15eは、窒素濃度0.03〜0.80重量%以上であり、ビッカース硬度がHV=653〜832であり、且つ所定単位の表面に存在する微小な凹凸のうち、最も高い部分の位置を最表面位置としたときに、この最表面位置から深さ方向に2.0μmシフトした位置で、所定単位の表面に平行な仮想平面を用いてころ15e及び外輪15dを切断した場合、その切断面の面積は、前記所定単位の表面の面積に対して90%以上とするように処理されている(図5参照)。
スラストニードル軸受16Aは、本体7の一部と上記シャフト14の一端部(図1の右端側)に形成した段部17との間に、皿ばね18を介して設けている。又、スラストニードル軸受16Bは、シャフト14の中間部外周面に外嵌固定した円板部19と斜板ケース9との間に配置している。ハウジング6を構成する本体7の内側でシャフト14の周囲部分には、複数(例えば図示の例では、円周方向等間隔に6個)のシリンダ孔20、20を形成している。この様に本体7に形成した、複数のシリンダ孔20、20の内側には、それぞれピストン21、21の先半部(図1の右半部)に設けた摺動部22、22を、軸方向の変位自在に嵌装している。
ここでは、シリンダ孔20、20の底面とピストン21、21の先端面(図1の右端面)との間に設けられた空間を、圧縮室23とする。又、斜板ケース9の内側に存在する空間は、斜板室24とする。シャフト14の中間部外周面でこの斜板室24内に位置する部分おいて、斜板25を、シャフト14に対して所定の傾斜角度を持たせて固定し、この斜板25がシャフト14と共に回転する様にしている。斜板25の円周方向複数個所と、各ピストン21、21とは、それぞれ1対ずつのスライディングシュー26、26により連結されている。この為、これら各スライディングシュー26、26の内側面(互いに対向する面)は平坦面として、同じく平坦面である斜板25の両側面外径寄り部分に摺接するようになっている。又、これら各スライディングシュー26、26の外側面(相手スライディングシュー26と反対側面)は球状凸面としている。更に、その内側面を斜板25の両側面に当接させた状態で、これら両スライディングシュー26、26の外側面を単一球面上に位置させている。一方、各ピストン21、21の基端部(前記隔壁板12から遠い側の端部で、図1の左端部)には、スライディングシュー26、26及び斜板25と共に、駆動力伝達機構を構成する連結部27、27を、各ピストン21、21と一体に形成している。そして、これら各連結部27、27に、一対のスライディングシュー26、26を保持する為の保持部28、28を形成している。又、これら各保持部28、28には、各スライディングシュー26、26の外側面と密に摺接する球状凹面を、互いに対向させて形成している。
又、本体7の一部内周面で、各連結部27、27の外端部に整合する部分には、各ピストン21、21毎にそれぞれ1対ずつのガイド面(図示せず)を、円周方向に離隔して形成している。各連結部27、27の外端部は、このガイド面に案内されて、ピストン21、21の軸方向(図1の左右方向)の変位のみ自在である。従って、各ピストン21、21も、各シリンダ孔20、20内に、斜板25の回転に伴う各ピストン21、21の中心軸回りの回転を防止されて、軸方向の変位のみ自在(回転不能)に嵌装されている。この結果、各連結部27、27は、シャフト14の回転による斜板25の揺動変位に伴って各ピストン21、21を軸方向に押し引きし、各摺動部22、22をシリンダ孔20、20内で軸方向に往復移動させる。
一方、低圧室10及び高圧室11と各シリンダ孔20、20とを仕切るべく、本体7とヘッドケース8との突き合わせ部に挟持している隔壁板12には、低圧室10と各シリンダ孔20、20とを連通させる吸入孔29、29と、高圧室11と各シリンダ孔20、20とを連通させる吐出孔30、30とを、それぞれ軸線方向に貫通する状態で形成している。従って、各吸入孔29、29及び各吐出孔30、30の一端(図1の左端)でシリンダ孔20、20側の開口は、何れも各ピストン21、21の先端面と対向する。又、各シリンダ孔20、20内で、各吸入孔29、29の一端と対向する部分には、低圧室10から各シリンダ孔20、20に向けてのみ冷媒ガスを流す、リード弁式の吸入弁31、31を設けている。又、高圧室11内で、各吐出孔30、30の他端(図1の右端)開口と対向する部分には、各シリンダ孔20、20から高圧室11に向けてのみ冷媒ガスを流す、リード弁式の吐出弁32を設けている。この吐出弁32には、各吐出孔30、30から離れる方向への変位を制限する、ストッパ33を付設している。
上述の様に構成するコンプレッサ1のシャフト14は、車両のエンジン(不図示)により無端ベルト42を介して回転駆動される。この為に、図示の例の場合は、ハウジング6を構成する斜板ケース9の外側面(図1の左側面)中央に設けた支持筒部34の周囲に従動プーリ35を、複列ラジアル玉軸受36により、回転自在に支持している。この従動プーリ35は、断面コ字形で全体を円環状に構成しており、斜板ケース9の外側面に固定したソレノイド37を、従動プーリ35の内部空間に配置している。一方、シャフト14の端部で支持筒部34から突出した部分には取付ブラケット38を固定しており、この取付ブラケット38の周囲に磁性材製の環状板39を、板ばね40を介して支持している。この環状板39はソレノイド37への非通電時には、板ばね40の弾力により、図に示す様に従動プーリ35から離隔しているが、ソレノイド37への通電時にはこの従動プーリ35に向け吸着されて、この従動プーリ35からシャフト14への回転力の伝達を自在とする。即ち、ソレノイド37と環状板39と板ばね40とにより、従動プーリ35とシャフト14とを係脱する為の電磁クラッチ41を構成している。又、車両のエンジンのクランクシャフト(不図示)の端部に固定した駆動プーリと従動プーリ35との間には、無端ベルト42を掛け渡している。
本実施の形態にかかるカーエアコンのコンプレッサの動作について説明する。車室内の冷房或は除湿を行なう為、カーエアコンを作動させた場合には、電磁クラッチ41を動作させて従動プーリ35とシャフト14とを係合させ、それにより無端ベルト42を介して、車両のエンジンの動力をシャフト14に伝達し、これを回転駆動する。この結果、斜板25が回転して、複数のピストン21、21を構成する摺動部22、22をそれぞれシリンダ孔20、20内で往復移動させる。そして、この様な摺動部22、22の往復移動に伴って、吸入ポート13から吸引された冷媒ガスが、低圧室10、10内から各吸入孔29、29を通じて圧縮室23内に吸い込まれる。この冷媒ガスは、これら各圧縮室23内で圧縮されてから、吐出孔30、30を通じて高圧室11に送り出され、吐出ポートより吐出される。その後、高温・高圧の冷媒ガスはコンデンサで冷却され液冷媒となった後、急激に膨張させられ、低温・低圧の霧状冷媒となってエバポレータに流れ、ここで車室内に供給される空気を冷却し、その後冷媒ガスとなってコンプレッサに吸入される。
本実施の形態によれば、スラストニードル軸受16A、16B及びラジアルニードル軸受15A、15Bは、上述したように各部が窒素濃度0.03〜0.80重量%以上であり、且つビッカース硬度がHV=653〜832であるように処理されており、且つ所定単位の表面に存在する微小な凹凸のうち、最も高い部分の位置を最表面位置としたときに、この最表面位置から深さ方向に2.0μmシフトした位置で、所定単位の表面に平行な仮想平面を用いてころ及び軌道輪を切断した場合、その切断面の面積は、所定単位の表面の面積に対して90%以上とするように処理されているので、過酷な潤滑条件で使用されても早期摩耗を抑制でき、長寿命をはかることができる。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、その発明の範囲内で変更・改良が可能であることはもちろんである。
本実施の形態にかかるニードル軸受が組み込まれたカーエアコンのコンプレッサの断面図である。 図1の構成をII方向に見た図である。 スラストニードル軸受16Bの斜視図である。 スラストニードル軸受16Bの断面図である。 本発明の原理を説明するための図である。
符号の説明
1 カーエアコンのコンプレッサ
6 ハウジング
14 シャフト
15A、15B ラジアルニードル軸受
16A、16B スラストニードル軸受

Claims (2)

  1. ころ及び軌道輪のうち少なくとも一方が、バレル加工により仕上げ加工されており、その所定単位の表面に存在する微小な凹凸のうち、最も高い部分の位置を最表面位置としたときに、この最表面位置から深さ方向に2.0μmシフトした位置で、前記所定単位の表面に平行な仮想平面を用いて前記ころ及び軌道輪のうち少なくとも一方を切断した場合、その切断面の面積は、前記所定単位の表面の面積に対して90%以上とすることを特徴とするニードル軸受。
  2. 前記ころ及び前記軌道輪のうち少なくとも一方が、窒素濃度0.03〜0.80重量%、ビッカース硬度HV653〜832であることを特徴とする請求項1に記載のニードル軸受。

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