JP2009257105A - 圧縮機 - Google Patents

圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP2009257105A
JP2009257105A JP2008104095A JP2008104095A JP2009257105A JP 2009257105 A JP2009257105 A JP 2009257105A JP 2008104095 A JP2008104095 A JP 2008104095A JP 2008104095 A JP2008104095 A JP 2008104095A JP 2009257105 A JP2009257105 A JP 2009257105A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compressor
swash plate
bearing
oil
sliding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008104095A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomonori Kurosawa
友則 黒沢
Keigo Usui
啓悟 臼井
Yasuhito Ogawara
靖仁 大河原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Marelli Corp
Original Assignee
Calsonic Kansei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Calsonic Kansei Corp filed Critical Calsonic Kansei Corp
Priority to JP2008104095A priority Critical patent/JP2009257105A/ja
Publication of JP2009257105A publication Critical patent/JP2009257105A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compressors, Vaccum Pumps And Other Relevant Systems (AREA)
  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

【課題】ポンプからの圧縮反力を受ける軸受の耐磨耗性、摺動性を大幅に改善し、焼き付きなどを防止する。
【解決手段】駆動軸3に固定された回転部材5と、回転部材5と一体に回転するハブ部材7と、ハブ部材7に固定されて駆動軸3に対する傾斜角を調整可能な斜板9と、斜板9の回転によって駆動されるポンプ機構11と、回転部材5とハウジング部材13との間に配置され、ポンプ機構11からのスラスト反力を受ける軸受とを有し、前記軸受に、滑り軸受であるスラスター15を用い、その摺動面にDLCコーティングを施した。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、車両の空調システムにおいて冷媒を圧縮する圧縮機に関する。
特許文献1には、「揺動斜板型ポンプ」が記載されている。
斜板式圧縮機であるこの揺動斜板型ポンプは、駆動軸に連結された回転部材を介して斜板を回転させ、ポンプのピストンを往復駆動するものであり、ポンプからの圧縮反力を前記の回転部材とハウジング部材との間に配置されたニードルベアリング(スラスト針状ころ軸受)で受けるように構成されている。
特開2004−293388号公報
ところが、ニードルベアリングのように転動体を用いた軸受の場合、オイル切れのような潤滑性が乏しい条件下では、相手側部材との摺動性が低下し、また、大きな荷重を受けると転動体と相手部材との間でヘルツ応力(曲面をなす2物体の表面が互いに押し付けられたときこの接触点に働く大きな集中応力)によって転動体に油膜切れによるフレーキング(表面剥離)が生じ、相手側部材との焼き付きが発生する恐れがある。
また、摩擦損失(摩擦抵抗)の増加によってシステムの効率が低下し、車両用装置に用いられた場合は燃費が低下する。
また、転動体に掛かる応力は、その回転に伴って変動する繰り返し応力であり、この繰り返し応力を受けるとニードルベアリングの耐久性は更に低下する。
また、オイル切れは、例えば、斜板式圧縮機が車両用空調装置の冷却システムに用いられた場合、特に前年の夏季以降最初に冷却システムを稼働させた場合などに生じ易い。
そこで、この発明は、ポンプからの圧縮反力を受ける軸受の耐磨耗性、摺動性(軸受機能)を大幅に改善し、焼き付きなどを防止する圧縮機の提供を目的としている。
請求項1の圧縮機は、駆動軸に固定された回転部材と、前記回転部材と一体に回転するハブ部材と、前記ハブ部材に固定され、前記駆動軸に対する傾斜角を調整可能な斜板と、前記斜板の回転によって駆動されるポンプ機構と、前記回転部材とハウジング部材との間に配置されて前記ポンプ機構からのスラスト反力を受ける軸受とを有する圧縮機であって、前記軸受に、滑り軸受を用い、前記滑り軸受の前記スラスト反力を受ける摺動面に、DLCコーティングが施されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載された圧縮機であって、前記DLCコーティングが施された滑り軸受の前記摺動面に、オイルを保持する溝と貫通孔の少なくともいずれか一方が設けられていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載された圧縮機であって、前記ハウジング部材の内部に、吸収保持したオイルを前記DLCコーティングが施された滑り軸受に滴下するオイル吸収材料を配置したことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載された圧縮機であって、前記DLCコーティングが施された滑り軸受が、1個または複数個用いられていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載された圧縮機であって、前記DLCコーティングが施された滑り軸受に隣接して、厚み調整用のレースと保持器の少なくともいずれか一方が配置されていることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載された圧縮機であって、前記駆動軸の回転に伴う遠心力によって分離したオイルが、前記駆動軸と前記ハウジング部材との間に配置されたシール部分を経由して前記DLCコーティングが施された滑り軸受に供給されることを特徴とする。
請求項1の圧縮機は、回転部材とハウジング部材との間に配置された軸受に滑り軸受を用い、その摺動面にDLCコーティングを施している。
応力を面で受ける滑り軸受は、応力を点(または線)で受ける転動体を用いた軸受と異なって、転動体の回転による繰り返し応力や、曲面形状をなす物体への接触によるヘルツ応力が掛からない上に、滑り軸受は周囲に形成された油膜の圧力によって支持され、この油膜によって衝撃が吸収され、優れた耐衝撃性が得られるから、大きな荷重を受けても金属疲労やフレーキングが生じることがなく、また、軸受の負荷能力は回転数と共に増加するから、荷重と回転速度の広い範囲で、半永久的な寿命が得られる上に、摩擦損失(摩擦抵抗)の増加を防止して、システム効率の低下と燃費の低下を回避させる。また、油膜の衝撃吸収機能によって、静粛性が向上する。
これに加えて、滑り軸受の摺動面に施したDLCコーティングは、相手側部材との摺動性低下と摩擦損失増加とシステム効率及び燃費の低下などの防止効果を大幅に向上させる上に、DLCコーティングを施したことにより、潤滑性の乏しい条件下(オイル切れ時など)でも優れた摺動性を発揮し、上記のような優れた防止効果が得られる。
従って、本発明の圧縮機は、車両用空調装置の冷却システムに用いられた場合、長い休止期間の後冷却システムを最初に稼働させた場合などに生じるオイル切れ状態でも、摩擦抵抗が増加しづらくなり、システム効率及び燃費の低下などを防止することができる。
なお、DLCコーティングとは、ダイヤモンドに類似した高硬度で電気絶縁性と赤外線透過性などを持ったカーボン薄膜の総称(ダイヤモンド・ライク・カーボン)で、アモルファス構造であって結晶粒界がないので表面が非常に平滑であり、潤滑剤が使えない条件下でも優れた摺動性を持っている。
請求項2の圧縮機は、溝や貫通孔によってオイルの保持量が増加し摺動面に充分なオイルが供給されるから、請求項1の効果がさらに向上する。
また、溝と貫通孔の形状、大きさ、個数、配置は任意であり、溝と貫通孔を同一個所に(互いに重ねて)設けてもよい。
請求項3の圧縮機は、滑り軸受にオイルを滴下させるオイル吸収材料(例えば、フェルト)を滑り軸受の重力方向上方に配置し、摺動面へのオイル供給量を増加させたことにより、摩擦損失の低減効果、システム効率と燃費の向上効果、油膜による静粛性などがさらに向上する。
請求項4の圧縮機は、滑り軸受を複数枚用いると、回転部材とハウジング部材間の相対速度が複数枚の滑り軸受の間で分散され、各滑り軸受の相対速度が減少する。
図8のストライベック線図によれば、流体潤滑領域では相対速度が減少すると摩擦係数μも小さくなるから、滑り軸受に掛かる荷重Pとオイル粘度ηとを変えずに、回転部材とハウジング部材間の相対速度Vを各滑り軸受の間で減衰させることにより、ハウジング部材と滑り軸受の間の摩擦係数μを低減させることができる。
請求項5の圧縮機は、滑り軸受に隣接して、厚み調整用のレースや保持器(リテーナ)を配置することも可能であり、これらを用いても滑り軸受の潤滑性は充分高く保たれる。
また、厚み調整用のレースによってハウジング部材と回転部材とを所望の間隔に調整することができ、リテーナによって滑り軸受を所定の位置に保持することができる。
請求項6の圧縮機は、駆動軸の回転に伴う遠心力によってオイルが分離し、駆動軸とハウジング部材との間に配置されたシール部分を経由して滑り軸受に供給されるから、摩擦損失の低減効果、システム効率と燃費の向上効果、油膜による静粛性などがさらに向上する。
<第1実施例>
図1と図2と図8によって第1実施例の斜板式圧縮機1(圧縮機)を説明する。
本実施形態の斜板式圧縮機1は、駆動軸3に固定されたラグ5(回転部材)と、ラグ5と一体に回転するジャーナル7(ハブ部材)と、ジャーナル7に固定されて駆動軸3に対する傾斜角を調整可能な斜板9と、斜板9の回転によって駆動される複数組のポンプ機構11と、ラグ5とフロントハウジング13(ハウジング部材)との間に配置されて各ポンプ機構11からのスラスト反力を受ける軸受とを有している。
また、本実施形態の斜板式圧縮機1の軸受には、スラスター15(滑り軸受)を用い、スラスター15のスラスト反力を受ける摺動面17,17に、DLCコーティングが施されている。さらに、本実施形態では、DLCコーティングが施されたスラスター15が、1枚用いられており、DLCコーティングが施されたスラスター15に隣接して、厚み調整用のレース19とリテーナ21(保持器)が配置されている。
また、本実施形態では、駆動軸3の回転に伴う遠心力によって分離したオイルが、駆動軸3とフロントハウジング13との間に配置されたリップシール23(シール部分)を経由してDLCコーティングが施されたスラスター15に供給される。
本実施形態の斜板式圧縮機1は、車両用空調装置の冷却システムに用いられており、斜板式圧縮機1によって断熱圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、コンデンサ(凝縮器)で液化し、膨張弁で断熱膨張し、エバポレータ(蒸発器)で冷風を作り出しながら加熱されて気化し、斜板式圧縮機1に戻って断熱圧縮される。なお、冷媒ガスには適量の潤滑オイルが混入されている。
斜板式圧縮機1は、圧縮機ハウジングと、エンジンの回転が入力する入力プーリ25と、入力プーリ25と駆動軸3とを断続する電磁摩擦クラッチ27と、コントロールバルブ29とから構成されている。圧縮機ハウジングは、フロントハウジング13と、シリンダブロック31と、バルブプレート33と、リヤハウジング35などから構成され、これらの部材13,31,33,35は通しボルトによって一体にされている。
フロントハウジング13とシリンダブロック31との間にはクランク室37が形成されており、クランク室37には潤滑オイルが封入されている。ポンプ機構11のシリンダ39はシリンダブロック31に周方向等間隔に形成されている。リヤハウジング35には各シリンダ39と連通する冷媒吸入室41と冷媒吐出室43が形成されており、バルブプレート33とシリンダブロック31との間には吸入弁が配置され、バルブプレート33と冷媒吐出室43との間には吐出弁が配置されている。冷媒吸入室41は冷媒流路を介してエバポレータ側に接続され、冷媒吐出室43は冷媒流路を介してコンデンサ側に接続されている。コントロールバルブ29はリヤハウジング35の内部に配置されており、冷媒吸入室41と冷媒吐出室43とクランク室37とに連通している。
電磁摩擦クラッチ27は、入力プーリ25(磁路を兼ねる)と、電磁ソレノイド45と、アーマチュア47と、トルク伝達部材49などから構成されている。入力プーリ25はフロントハウジング13の前端側にベアリング51によって支承され、アーマチュア47はトルク伝達部材49を介し軸方向移動可能な状態で駆動軸3に連結されている。電磁ソレノイド45が励磁されるとアーマチュア47が吸引されて入力プーリ25と駆動軸3が連結され、励磁を停止するとこの連結が解除される。電磁摩擦クラッチ27は、このように入力プーリ25と駆動軸3とを断続することによって斜板式圧縮機1の停止と起動を行う。
駆動軸3はニードルベアリング53,53によって前後両端部をフロントハウジング13とシリンダブロック31にそれぞれ支承され、シリンダブロック31との間に配置されたスラストベアリング55が駆動軸3に掛かる後方へのスラスト力を受けている。ラグ5は駆動軸3に圧入締結されており、駆動軸3の外周にはスリーブ57が前後方向摺動自在に取り付けられ、ジャーナル7はこのスリーブ57にピンで揺動自在に連結されている。斜板9はジャーナル7の外周に螺着され、ワッシャ59で位置決めされており、斜板9の外縁部分は、その両面側に配置された半球状のシュー61を介してポンプ機構11の各ピストン63に揺動自在に連結されている。
ラグ5とジャーナル7にはアーム65,67がそれぞれ設けられており、ラグ5側のアーム65はその長孔69をピン71を介してジャーナル7側のアーム67に連結され、ジャーナル7(斜板9)の揺動角度は、ピン71の移動範囲を制限する長孔69によって規制されている。
ラグ5(駆動軸3)の回転(エンジンからの回転トルク)は、アーム65,67とピン71を介してジャーナル7(斜板9)に伝達され、斜板9はこの回転により各シュー61と摺動しながら、その傾斜角に応じたストロークで各ピストン63を軸方向に往復移動させ、ストロークに応じた吐出量で各ポンプ機構11を駆動し、冷媒を圧縮する。
スリーブ57は、ラグ5との間に配置されたリターンスプリング73と、駆動軸3上の止め輪との間に配置されたフルストロークスプリング75とによって軸方向に保持されている。上記のコントロールバルブ29は、クランク室37の圧力と各シリンダ39の吸入側圧力との差圧を制御することにより、リターンスプリング73、フルストロークスプリング75のいずれかに抗してスリーブ57とジャーナル7と共に斜板9を軸方向に移動させる。
斜板9がシリンダブロック31側に移動すると斜板9の傾斜角(各ピストン63のストローク)が小さくなり、斜板9の傾斜角が零近傍になるとストロークと吐出量が最小になる。また、斜板9がラグ5側に移動すると傾斜角とストロークが大きくなり、ジャーナル7とラグ5とが接触箇所77で突き当たって傾斜角とストロークと吐出量が最大になり、斜板9の傾斜角とポンプ機構11のストローク及び吐出量をこの最大値に規制する。
シリンダ39とピストン63との間には適度な隙間が形成されており、圧縮行程においてこの隙間から潤滑オイルを含んだ冷媒ガスがブローバイガスとなってクランク室37内へ吹き付けられ、その潤滑オイルによって、ピストン63とシュー61との摺動部、斜板9とシュー61との摺動部、スリーブ57とジャーナル7との摺動部、スリーブ57と駆動軸3との摺動部、ラグ5の長孔69とピン71との摺動部などが潤滑・冷却される。また、クランク室37のオイルは、ラグ5とジャーナル7と斜板9などの回転によって撹拌され、冷媒と混合することによってミスト状のオイル(オイルミスト)になり、上記各摺動部の潤滑・冷却に参加する。
また、このオイルミストは、フロントハウジング13の前部に設けられたオイル流路79,81から駆動軸3とフロントハウジング13の間のリップシール23部分を経由し、駆動軸3の回転(遠心力)によってオイルミストから潤滑オイルが分離し、ニードルベアリング53を潤滑・冷却し、さらに、レース19とラグ5の間を通り、レース19とリテーナ21との間でスラスター15に供給されてこれを潤滑・冷却する。
このように、スラスター15に隣接して配置された厚み調整用のレース19とリテーナ21はスラスター15の潤滑性を損なうことはなく、レース19によってフロントハウジング13とラグ5とを所望の間隔に調整することができ、リテーナ21はスラスター15を所定の位置に保持している。
また、シリンダブロック31とバルブプレート33の間に形成されたオイル溜り83の潤滑オイルは、ニードルベアリング53とスラストベアリング55を潤滑・冷却すると共に、駆動軸3の後端側に形成されたオイル流路85,87を通り、駆動軸3に対するフルストロークスプリング75とスリーブ57の摺動部などを潤滑・冷却する。
図2のように、スラスター15は中空の円板形で、両摺動面17にDLCコーティングが施されており、上記のように両摺動面17に供給される潤滑オイルによって充分に潤滑・冷却されている。
また、潤滑(摩擦)の態様には、
(1)境界潤滑(物体の表面に吸着した潤滑成分分子により表面が一応保護されている状態:機械の起動・停止時には境界潤滑になる)と、
(2)流体潤滑(液体の潤滑剤により相対運動する物体が完全に隔てられる状態:この状態での摩擦抵抗は液体の粘性抵抗に一致する)と、
(3)混合潤滑(流体潤滑と境界潤滑の中間段階)とがある。
図8は、上記潤滑の3態様を説明するストライベック線図である。縦軸は摩擦係数μであり、横軸はηV/P(オイル粘度η×相対速度V÷荷重P)の次元を持つパラメータである。横軸(パラメータ)の変化に対する摩擦係数μの変化を示すグラフがストライベック曲線89であり、荷重Pが大きくなるとパラメータは小さくなり、相対速度Vが大きくなるとパラメータも大きくなる。
ここで、特許文献1の装置において、大きな荷重を受けると転動体とレースとの間でヘルツ応力が働くニードルベアリング(スラスト針状ころ軸受)は、矢印91のように、摩擦係数μが非常に大きい混合潤滑領域で機能している。
これに対して、滑り軸受であり、摺動面17に油膜が形成されやすいスラスター15は、矢印93のように、流体潤滑領域で機能しており、摩擦係数μはニードルベアリングより大幅に低減されている。
上記構成の斜板式圧縮機1によれば、応力を面で受けるスラスター15は、繰り返し応力やヘルツ応力が掛からない上に、周囲に形成された油膜の圧力によって支持され、この油膜によって衝撃が吸収されるから、優れた耐衝撃性が得られ、大きな荷重を受けても金属疲労やフレーキングが生じることはない。
また、負荷能力は相対回転速度Vと共に増加するから、相対回転速度V及び荷重Pの広い範囲で、半永久的な寿命が得られる上に、摩擦損失(摩擦抵抗)の増加を防止し、冷却システムの効率低下と車両の燃費低下を防止する。また、油膜の衝撃吸収機能によって静粛性が向上する。
また、スラスター15の摺動面17にDLCコーティングを施したことにより、相手側部材であるレース19とリテーナ21との摺動性低下及び摩擦抵抗増加が防止され、システム効率の低下及び燃費低下などが防止される。
また、DLCコーティングによって潤滑性の乏しい条件下でも優れた摺動性が得られるから、長い休止期間の後、冷却システムを最初に稼働させた場合などに生じるオイル切れにも対応し、摩擦抵抗を低減させることによって上記のような効果が得られる。
また、駆動軸3の遠心力によりオイルミストから分離した潤滑オイル成分を、リップシール23を経由してスラスター15に供給するオイル流路79,81を設けたことにより、摩擦抵抗の低減効果、システム効率と燃費の向上効果、静粛性などがさらに向上する。なお、スラスター15は、2枚以上配置してもよい。スラスター15(滑り軸受)を複数枚用いると、ラグ5とフロントハウジング13の間の相対速度が複数枚のスラスター15の間で分散され、各スラスター15での相対速度が減少する。
図8のストライベック線図によれば、流体潤滑領域では相対速度が減少すると摩擦係数μも小さくなる。矢印95はスラスター15を2枚用いた場合の摩擦係数μを示しており、スラスター15に掛かる荷重Pとオイル粘度ηとを変えずに、このようにラグ5とフロントハウジング13の間の相対速度Vを両スラスター15,15の間で減衰させることにより、ラグ5とスラスター15間の摩擦係数μが、スラスター15を1枚用いた例(矢印93)と較べて低減することが分かる。
<第2実施例>
図3によって第2実施例の斜板式圧縮機(圧縮機)を説明する。
この斜板式圧縮機では、滑り軸受にスラスター101が用いられており、その他の構成は、斜板式圧縮機1(第1実施例)と同一である。
図3のように、スラスター101は中空の円板形であり、周方向等間隔に4個の貫通孔103が設けられている。DLCコーティングが施された両摺動面105には潤滑オイルが供給され、充分に潤滑・冷却されている。
第2実施例の斜板式圧縮機は、斜板式圧縮機1と同等の効果が得られる。これに加えて、スラスター101では、貫通孔103に潤滑オイルが保持され、これが両摺動面105に供給されるから、摩擦抵抗の低減効果、システム効率と燃費の向上効果、静粛性などがさらに向上する。
なお、貫通孔103の大きさと個数は必要に応じて任意に選んでよい。
<第3実施例>
図4によって第3実施例の斜板式圧縮機(圧縮機)を説明する。
この斜板式圧縮機では、滑り軸受にスラスター201が用いられており、その他の構成は、斜板式圧縮機1(第1実施例)と同一である。
図4のように、スラスター201は中空の円板形であり、両摺動面203にはそれぞれ放射状の溝205が周方向等間隔に4本設けられている。DLCコーティングが施された両摺動面203と各放射状溝205には潤滑オイルが供給され、充分に潤滑・冷却されている。
第3実施例の斜板式圧縮機は、斜板式圧縮機1と同等の効果が得られる。これに加えて、スラスター201は、各溝205に潤滑オイルが保持され、これが両摺動面203に供給されるから、摩擦抵抗の低減効果、システム効率と燃費の向上効果、静粛性などがさらに向上する。
なお、放射状溝205の幅と個数は必要に応じて任意に選んでよく、また、幅と個数を両摺動面203で変えてもよい。
<第4実施例>
図5によって第4実施例の斜板式圧縮機(圧縮機)を説明する。
この斜板式圧縮機では、滑り軸受にスラスター301が用いられており、その他の構成は、斜板式圧縮機1(第1実施例)と同一である。
図5のように、スラスター301は中空の円板形であり、周方向等間隔に4個の貫通孔303が設けられ、さらに、両摺動面305にはそれぞれ貫通孔303と重なる位置に放射状の溝307が4本設けられている。DLCコーティングが施された両摺動面305と各放射状溝307には潤滑オイルが供給され、充分に潤滑・冷却されている。
第4実施例の斜板式圧縮機は、斜板式圧縮機1と同等の効果が得られる。これに加えて、スラスター301は、貫通孔303と両面の溝307に潤滑オイルが保持され、これが両摺動面305に供給されるから、摩擦抵抗の低減効果、システム効率と燃費の向上効果、静粛性などがさらに向上する。
なお、貫通孔303と放射状溝307は、互いに重ならない位置に設けてもよい。また、貫通孔303の大きさと個数及び溝307の幅と個数は必要に応じて任意に選んでよい。
<第5実施例>
図6によって第5実施例の斜板式圧縮機(圧縮機)を説明する。
この斜板式圧縮機では、滑り軸受にスラスター401が用いられており、その他の構成は、斜板式圧縮機1(第1実施例)と同一である。
図6のように、スラスター401は中空の円板形であり、両摺動面403には径方向に対して傾斜した溝405が周方向等間隔に5本設けられている。DLCコーティングが施された両摺動面403と各傾斜溝405には潤滑オイルが供給され、充分に潤滑・冷却されている。
第5実施例の斜板式圧縮機は、斜板式圧縮機1と同等の効果が得られる。これに加えて、スラスター401は、両面の傾斜溝405に潤滑オイルが保持され、これが各摺動面403に供給されるから、摩擦抵抗の低減効果、システム効率と燃費の向上効果、静粛性などがさらに向上する。
なお、傾斜溝405の幅と個数と傾斜角は必要に応じて任意に選んでよく、幅と個数と傾斜角を両摺動面403で変えてもよい。
また、図6の矢印407は回転方向を示しており、このように、スラスター401の回転によって潤滑オイルが内側に導かれる方向に傾斜溝405を傾斜させれば、遠心力によって径方向外側に移動し易い潤滑オイルを摺動面403に保持することができて有利である。
<第6実施例>
図7によって第6実施例の斜板式圧縮機501(圧縮機)を説明する。
斜板式圧縮機501は、駆動軸3に固定されたラグ5(回転部材)と、ラグ5と一体に回転するジャーナル7(ハブ部材)と、ジャーナル7に固定され、駆動軸3に対する傾斜角を調整可能な斜板9と、斜板9の回転によって駆動される複数組のポンプ機構11と、ラグ5とフロントハウジング13(ハウジング部材)との間に配置されて各ポンプ機構11からのスラスト反力を受ける軸受とを有している。
また、斜板式圧縮機501の軸受には、スラスター15(滑り軸受)を用い、スラスター15のスラスト反力を受ける摺動面17,17に、DLCコーティングが施されている。
さらに、本実施形態では、フロントハウジング13の内部に、吸収保持したオイルをスラスター15に滴下するフェルト503(オイル吸収材料)を配置している。
また、本実施形態では、DLCコーティングが施されたスラスター15が、1枚用いられており、DLCコーティングが施されたスラスター15に隣接して、厚み調整用のレース19とリテーナ21(保持器)が配置されている。
また、本実施形態では、駆動軸3の回転に伴う遠心力によって分離したオイルが、駆動軸3とフロントハウジング13との間に配置されたリップシール23(シール部分)を経由してDLCコーティングが施されたスラスター15に供給される。
斜板式圧縮機501は、斜板式圧縮機1と同等の効果が得られる。これに加えて、クランク室37の内部でラグ5とジャーナル7と斜板9などの回転により潤滑オイルが撹拌されて冷媒と混合され、発生したオイルミスト505がフェルト503に吸収され、フェルト503からの油滴507がスラスター15に滴下して潤滑・冷却する。
また、滴下した潤滑オイルは、オイル流路79,81に描いた矢印のように、オイル流路79,81からリップシール23部分を経由し、ニードルベアリング53を潤滑・冷却し、レース19とラグ5の間を通り、レース19とリテーナ21との間でスラスター15に供給されてこれを潤滑・冷却する。
[本発明の範囲に含まれる他の態様]
なお、第1実施例の斜板式圧縮機1及び第6実施例の斜板式圧縮機501はスラスター15を用いた例として説明したが、云うまでもなく、これらの斜板式圧縮機には他のスラスター101,201,301,401を用いることもできる。
また、スラスター15,101,201,301,401は、それぞれを複数枚用いても、あるいは、必要であれば、異なったスラスター15,101,201,301,401同士を複数枚組み合わせて用いてもよい。
斜板式圧縮機1の断面図である。 スラスター15の斜視図である。 スラスター101の斜視図である。 スラスター201の斜視図である。 スラスター301の斜視図である。 スラスター401の斜視図である。 斜板式圧縮機501の断面図である。 ストライベック線図である。
符号の説明
1 斜板式圧縮機(圧縮機)
3 駆動軸
5 ラグ(回転部材)
7 ジャーナル(ハブ部材)
9 斜板
11 ポンプ機構
13 フロントハウジング(ハウジング部材)
15 スラスター(滑り軸受)
17 摺動面
19 厚み調整用レース
21 リテーナ(スラスターの保持器)
23 リップシール(シール)
101 スラスター(滑り軸受)
103 貫通孔
105 摺動面
201 スラスター(滑り軸受)
203 摺動面
205 放射状の溝
301 スラスター(滑り軸受)
303 貫通孔
305 摺動面
307 放射状の溝
401 スラスター(滑り軸受)
403 摺動面
405 傾斜溝
501 斜板式圧縮機(圧縮機)
503 フェルト(オイル吸収材料)

Claims (6)

  1. 駆動軸(3)に固定された回転部材(5)と、前記回転部材(5)と一体に回転するハブ部材(7)と、前記ハブ部材(7)に固定され、前記駆動軸(3)に対する傾斜角を調整可能な斜板(9)と、前記斜板(9)の回転によって駆動されるポンプ機構(11)と、前記回転部材(5)とハウジング部材(13)との間に配置されて前記ポンプ機構(11)からのスラスト反力を受ける軸受とを有する圧縮機であって、
    前記軸受に、滑り軸受(15),(101),(201),(301),(401)を用い、
    前記滑り軸受(15),(101),(201),(301),(401)の前記スラスト反力を受ける摺動面(17),(105),(203),(305),(403)に、DLCコーティングが施されていることを特徴とする圧縮機(1),(501)。
  2. 請求項1に記載された圧縮機(1),(501)であって、
    前記DLCコーティングが施された滑り軸受(15),(101),(201),(301),(401)の前記摺動面(17),(105),(203),(305),(403)に、オイルを保持する溝(205),(307),(405)と貫通孔(103),(303)の少なくともいずれか一方が設けられていることを特徴とする圧縮機(1),(501)。
  3. 請求項1または請求項2に記載された圧縮機(1),(501)であって、
    前記ハウジング部材(13)の内部に、吸収保持したオイルを前記DLCコーティングが施された滑り軸受(15),(101),(201),(301),(401)に滴下するオイル吸収材料(503)を配置したことを特徴とする圧縮機(1),(501)。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載された圧縮機(1),(501)であって、
    前記DLCコーティングが施された滑り軸受(15),(101),(201),(301),(401)が、1個または複数個用いられていることを特徴とする圧縮機(1),(501)。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載された圧縮機(1),(501)であって、
    前記DLCコーティングが施された滑り軸受(15),(101),(201),(301),(401)に隣接して、厚み調整用のレース(19)と保持器(21)の少なくともいずれか一方が配置されていることを特徴とする圧縮機(1),(501)。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載された圧縮機(1),(501)であって、
    前記駆動軸(3)の回転に伴う遠心力によって分離したオイルが、前記駆動軸(3)と前記ハウジング部材(13)との間に配置されたシール(23)部分を経由して前記DLCコーティングが施された滑り軸受(15),(101),(201),(301),(401)に供給されることを特徴とする圧縮機(1),(501)。
JP2008104095A 2008-04-11 2008-04-11 圧縮機 Pending JP2009257105A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008104095A JP2009257105A (ja) 2008-04-11 2008-04-11 圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008104095A JP2009257105A (ja) 2008-04-11 2008-04-11 圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009257105A true JP2009257105A (ja) 2009-11-05

Family

ID=41384849

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008104095A Pending JP2009257105A (ja) 2008-04-11 2008-04-11 圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009257105A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20140066916A (ko) * 2012-11-23 2014-06-03 학교법인 두원학원 용량 가변형 사판식 압축기
WO2019176724A1 (ja) * 2018-03-14 2019-09-19 株式会社ヴァレオジャパン 斜板式圧縮機

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20140066916A (ko) * 2012-11-23 2014-06-03 학교법인 두원학원 용량 가변형 사판식 압축기
KR101979027B1 (ko) * 2012-11-23 2019-05-16 학교법인 두원학원 용량 가변형 사판식 압축기
WO2019176724A1 (ja) * 2018-03-14 2019-09-19 株式会社ヴァレオジャパン 斜板式圧縮機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20030038344A (ko) 슬라이딩재 및 슬라이딩 장치
US6584886B2 (en) Compressor
JP2009257105A (ja) 圧縮機
JP2001304109A (ja) 斜板式圧縮機
WO2004067979A1 (ja) ニードル軸受、シャフト、カーエアコン用コンプレッサ及び自動変速機用遊星歯車機構
JP2009041753A (ja) スラスト針状ころ軸受
JP2008064184A (ja) スラスト針状ころ軸受
JPH09209926A (ja) 斜板式コンプレッサ
JP5093577B2 (ja) スラスト針状ころ軸受
JP2008038987A (ja) スラストニードル軸受
JP4314511B2 (ja) スラストニードル軸受
JP2005054895A (ja) ニードル軸受用の保持器及びニードル軸受
JP4571914B2 (ja) 揺動斜板型圧縮機
KR200151007Y1 (ko) 자동차 공기 조화 장치용 압축기
JP2005076780A (ja) スラストニードル軸受
WO2011043185A1 (ja) 斜板式圧縮機
JP2004340258A (ja) ニードル軸受用の保持器及びニードル軸受
JP2005009526A (ja) スラストニードル軸受、ころ及びカーエアコン用コンプレッサ
JP2005042789A (ja) ニードル軸受及びカークーラコンプレッサ
JP2008057750A (ja) スラスト針状ころ軸受
JPH10299781A (ja) 斜板式アキシャルプランジャーポンプ用軸受
JP2006275233A (ja) ニードル軸受
JP2005351289A (ja) スラストニードル軸受の保持器、スラストニードル軸受及びコンプレッサ
KR20010111693A (ko) 자동차용 냉매 압축기의 사판, 슈와 피스톤의 표면 코팅구조
JP2009036082A (ja) 圧縮機