JP2009041753A - スラスト針状ころ軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速回転時における保持器ところの双方の異常摩耗を抑制し、さらに潤滑性を向上させることでより高速性に優れたスラスト針状ころ軸受を提供する。
【解決手段】ころ16eの表面硬度をα(HV)とし、保持器16hの表面硬度をβ(HV)としたときに、その差がHV100以下であれば、いずれか一方の表面硬度が高くなりすぎて他方の早期摩耗を引き起こすような不具合が回避され、バランスよく双方の長寿命を確保することができる。
【選択図】図3
【解決手段】ころ16eの表面硬度をα(HV)とし、保持器16hの表面硬度をβ(HV)としたときに、その差がHV100以下であれば、いずれか一方の表面硬度が高くなりすぎて他方の早期摩耗を引き起こすような不具合が回避され、バランスよく双方の長寿命を確保することができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、自動車や産業機械、特にカーエアコンのコンプレッサ、自動変速機用、事務機器等に用いられると好適なスラスト針状ころ軸受に関する。
例えばカーエアコン用コンプレッサ(カークーラコンプレッサともいう)の一タイプとして、容量可変式のコンプレッサが知られている。一般的に、容量可変式のコンプレッサは、ハウジングに対して駆動軸をラジアル軸受により回転自在に支持し、この駆動軸に対して斜板を傾斜角度可変に連結し、この斜板に対し揺動板を摺動自在に取付けてある。斜板と揺動板との間にはスラスト針状ころ軸受が配置されている。揺動板には、複数のピストンロッドの一端が円周方向等間隔に取付けてあり、このピストンロッドの他端はピストンに連結している。このピストンは、ハウジング内に設けられたシリンダの内部で摺動するように設けられ、このシリンダのボア内に流入される冷媒ガスを圧縮し吐出するようにしている。つまり、斜板が回転すると、揺動板が、いわゆるみそすり的動作をし、ピストンロッドを介してピストンを軸線方向に往復運動させ、冷媒ガスを圧縮し吐出するようになっている(特許文献1参照)。
特開2002−266754号公報
特開2006−275285号公報
スラスト針状ころ軸受は、回転時に針状ころが遠心力により半径方向外側に移動し、保持器のポケット外側端面に当接して摺動する。ここで発生する摺動摩擦により保持器のポケット外側端面に摩耗が生じる。従来はスラスト針状ころ軸受に要求される回転速度が比較的低かったため、このような摩擦は軽微であり、軸受の性能上、特に問題とは認識されていなかった。しかし、近年は、自動車の性能向上による回転速度の増大に伴い、軸受回転速度も増加しつつある。軸受回転速度が増大すると、保持器のポケット外側端面がころの端面に削られるように早期に摩耗して、凹み状の異常摩耗痕が形成され保持器の強度が低下する。又、ころがそのような異常摩耗痕内に潜り込むと、円滑な回転が阻害され、引きずりトルクが増加し、軸受の温度上昇を招き、最悪の場合には軸受のフレーキングまたは焼付きが発生する恐れがある。従って、以上述べたようなころの潜り込み摩耗が、スラスト針状ころ軸受の更なる高速化に対する大きな障害になっていた。
前記の問題点を解決する方法としては、特許文献2に示すように、ころスキューを抑制することで保持器のポケット端面のころによる潜り込み摩耗を抑制することも可能である。しかしながら、保持器の表面硬度と、ころの表面硬度の差が大きい場合、異常摩耗を発生させることが本発明者の研究により新たに判明した。より具体的には、ころの表面硬度が保持器の表面硬度よりある程度小さい場合、保持器のポケット端面部よりも先にころ端面部に異常摩耗が発生することがわかった。また、ころの表面硬度が保持器の表面硬度よりある程度高い場合には、ころの端面部が保持器のポケット端面部へ潜り込むことで異常摩耗が発生することがわかった。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、高速回転時における保持器ところの双方の異常摩耗を抑制し、さらに潤滑性を向上させることでより高速性に優れたスラスト針状ころ軸受を提供することを目的とする。
本発明のスラスト針状ころ軸受は、ころと、前記ころを保持する保持器とを備えたスラスト針状ころ軸受において、
前記保持器は、板材を折り曲げて形成され、外側環状部と、内側環状部と、前記外側環状と前記内側環状部とを径方向に連結する複数の柱部とからなり、
前記ころの表面硬度をα(HV)とし、前記保持器の表面硬度をβ(HV)としたときに、以下の式を満たすことを特徴とする。
│α−β│≦100 (1)
前記保持器は、板材を折り曲げて形成され、外側環状部と、内側環状部と、前記外側環状と前記内側環状部とを径方向に連結する複数の柱部とからなり、
前記ころの表面硬度をα(HV)とし、前記保持器の表面硬度をβ(HV)としたときに、以下の式を満たすことを特徴とする。
│α−β│≦100 (1)
本発明者は、前記ころの表面硬度と前記保持器の表面硬度のいずれか一方が他方に対して高くなりすぎると、高速回転時の激しい金属同士の接触により早期摩耗が引き起こされることを見出した。かかる知見に基づき、前記ころの表面硬度をα(HV)とし、前記保持器の表面硬度をβ(HV)としたときに、(1)式を満たすようにすれば、いずれか一方の表面硬度が高くなりすぎて他方の早期摩耗を引き起こすような不具合が回避され、バランスよく双方の長寿命を確保することが導出されたのである。
前記保持器は、ころ案内で用いられると好ましい。前記保持器がころ案内で用いられると、レース(軌道輪)案内で用いられる場合のように前記保持器が軌道面上の油膜をかき落としてしまうことが抑制され、潤滑性が長期にわたって維持され、耐久性及び耐焼付き性が向上する。尚、「ころ案内」とは、前記保持器が前記ころに対してスラスト方向に変位したときに、前記外輪又は前記内輪に当接する前に、前記ころによって変位が制限されることをいう。
前記ころの出っ張り量をγ、前記ころの面取り量をδ、前記ころの落ち量をε、前記保持器の板厚をζとしたときに、以下の式を満たすと好ましい。
γ<δ (2)
(ε+δ)<ζ (3)
γ<δ (2)
(ε+δ)<ζ (3)
ここで、(2)式を満たすように、前記ころの出張量γを前記ころの面取り量δより小さく設定すると、前記ころの外径に対して前記ころの端面と前記保持器との理想接触幅が制限され、スキューによる応力集中が緩和され、接触位置もころ中心軸に近くなり、相対滑り速度が小さくなるので潜り込み損傷が緩和される。一方、前記ころの面取り量δが過大であると、前記ころが前記保持器に対して最も軌道輪側に変位した場合に、ころ端面の面取り部分が保持器ポケット端面と接触することでころの円滑回転に悪影響を与える恐れがあるが、(3)式を満たすように、(前記ころの落ち量ε+前記ころの面取り量δ)を前記保持器の板厚ζより小さく設定すると、そのような不具合を回避でき、スラスト針状ころ軸受の耐久性が向上する。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態にかかるスラスト針状ころ軸受が組み込まれたカーエアコンのコンプレッサの断面図であり、図2は、図1の構成を矢印II方向に見た図である。
図1において、コンプレッサ1を構成するハウジング6は、中央の短円筒状の本体7をヘッドケース8と斜板ケース9とで軸線方向(図1の左右方向)両側から挟持し、更に複数本の結合ボルト(図示せず)により結合されて一体となっている。ヘッドケース8の内側には、低圧室10、10と高圧室11とが設けられている。尚、高圧室11内は勿論、低圧室10、10内も正圧である。又、本体7とヘッドケース8との間には平板状の隔壁板12が挟持されている。図1で複数に分割されている如く表されている低圧室10、10は互いに連通しており、ヘッドケース8の外面に設けられた単一の吸入ポート13(図2)に連通している。又、高圧室11は、ヘッドケース8に設けられた吐出ポート(図示せず)に通じている。吸入ポート13がエバポレータ(不図示)の出口に、不図示の吐出ポートをコンデンサ(不図示)の入口に、それぞれ連通させている。
ハウジング6内にはシャフト14を、本体7と斜板ケース9とに掛け渡す状態で、回転自在に支持している。より具体的には、シャフト14の両端部を1対のラジアル針状ころ軸受15A、15Bにより、本体7と斜板ケース9とに対して回転自在に支持すると共に、1対のスラスト針状ころ軸受16A、16Bにより、このシャフト14に加わるスラスト荷重を支承自在としている。
スラスト針状ころ軸受16Aは、複数のころ16aと、これを軸線方向(図1で左右方向)に挟持する軌道輪16b、16cと、ころ16aを保持する保持器16dとを有している。本実施の形態にかかるスラスト針状ころ軸受16Bは、複数のころ16eと、これを軸線方向(図1で左右方向)に挟持する軌道輪16f、16gと、ころ16eを保持する保持器16hとを有している。
ラジアル針状ころ軸受15Aは、複数のころ15aと、シェル型外輪15bと、ころ15aを保持する保持器15cとを有している。ラジアル針状ころ軸受15Bは、複数のころ15dと、外輪(軌道輪)15eと、ころ15dを保持する保持器15fとを有している。
スラスト針状ころ軸受16Aは、本体7の一部と上記シャフト14の一端部(図1の右端側)に形成した段部17との間に、皿ばね18を介して設けている。又、スラスト針状ころ軸受16Bは、シャフト14の中間部外周面に外嵌固定した円板部19と斜板ケース9との間に配置している。ハウジング6を構成する本体7の内側でシャフト14の周囲部分には、複数(例えば図示の例では、円周方向等間隔に6個)のシリンダ孔20、20を形成している。この様に本体7に形成した、複数のシリンダ孔20、20の内側には、それぞれピストン21、21の先半部(図1の右半部)に設けた摺動部22、22を、軸方向の変位自在に嵌装している。
ここでは、シリンダ孔20、20の底面とピストン21、21の先端面(図1の右端面)との間に設けられた空間を、圧縮室23とする。又、斜板ケース9の内側に存在する空間は、斜板室24とする。シャフト14の中間部外周面でこの斜板室24内に位置する部分おいて、斜板25を、シャフト14に対して所定の傾斜角度を持たせて固定し、この斜板25がシャフト14と共に回転する様にしている。斜板25の円周方向複数個所と、各ピストン21、21とは、それぞれ1対ずつのスライディングシュー26、26により連結されている。この為、これら各スライディングシュー26、26の内側面(互いに対向する面)は平坦面として、同じく平坦面である斜板25の両側面外径寄り部分に摺接するようになっている。又、これら各スライディングシュー26、26の外側面(相手スライディングシュー26と反対側面)は球状凸面としている。更に、その内側面を斜板25の両側面に当接させた状態で、これら両スライディングシュー26、26の外側面を単一球面上に位置させている。一方、各ピストン21、21の基端部(前記隔壁板12から遠い側の端部で、図1の左端部)には、スライディングシュー26、26及び斜板25と共に、駆動力伝達機構を構成する連結部27、27を、各ピストン21、21と一体に形成している。そして、これら各連結部27、27に、一対のスライディングシュー26、26を保持する為の保持部28、28を形成している。又、これら各保持部28、28には、各スライディングシュー26、26の外側面と密に摺接する球状凹面を、互いに対向させて形成している。
又、本体7の一部内周面で、各連結部27、27の外端部に整合する部分には、各ピストン21、21毎にそれぞれ1対ずつのガイド面(図示せず)を、円周方向に離隔して形成している。各連結部27、27の外端部は、このガイド面に案内されて、ピストン21、21の軸方向(図1の左右方向)の変位のみ自在である。従って、各ピストン21、21も、各シリンダ孔20、20内に、斜板25の回転に伴う各ピストン21、21の中心軸回りの回転を防止されて、軸方向の変位のみ自在(回転不能)に嵌装されている。この結果、各連結部27、27は、シャフト14の回転による斜板25の揺動変位に伴って各ピストン21、21を軸方向に押し引きし、各摺動部22、22をシリンダ孔20、20内で軸方向に往復移動させる。
一方、低圧室10及び高圧室11と各シリンダ孔20、20とを仕切るべく、本体7とヘッドケース8との突き合わせ部に挟持している隔壁板12には、低圧室10と各シリンダ孔20、20とを連通させる吸入孔29、29と、高圧室11と各シリンダ孔20、20とを連通させる吐出孔30、30とを、それぞれ軸線方向に貫通する状態で形成している。従って、各吸入孔29、29及び各吐出孔30、30の一端(図1の左端)でシリンダ孔20、20側の開口は、何れも各ピストン21、21の先端面と対向する。又、各シリンダ孔20、20内で、各吸入孔29、29の一端と対向する部分には、低圧室10から各シリンダ孔20、20に向けてのみ冷媒ガスを流す、リード弁式の吸入弁31、31を設けている。又、高圧室11内で、各吐出孔30、30の他端(図1の右端)開口と対向する部分には、各シリンダ孔20、20から高圧室11に向けてのみ冷媒ガスを流す、リード弁式の吐出弁32を設けている。この吐出弁32には、各吐出孔30、30から離れる方向への変位を制限する、ストッパ33を付設している。
上述の様に構成するコンプレッサ1のシャフト14は、車両のエンジン(不図示)により無端ベルト42を介して回転駆動される。この為に、図示の例の場合は、ハウジング6を構成する斜板ケース9の外側面(図1の左側面)中央に設けた支持筒部34の周囲に従動プーリ35を、複列ラジアル玉軸受36により、回転自在に支持している。この従動プーリ35は、断面コ字形で全体を円環状に構成しており、斜板ケース9の外側面に固定したソレノイド37を、従動プーリ35の内部空間に配置している。一方、シャフト14の端部で支持筒部34から突出した部分には取付ブラケット38を固定しており、この取付ブラケット38の周囲に磁性材製の環状板39を、板ばね40を介して支持している。この環状板39はソレノイド37への非通電時には、板ばね40の弾力により、図に示す様に従動プーリ35から離隔しているが、ソレノイド37への通電時にはこの従動プーリ35に向け吸着されて、この従動プーリ35からシャフト14への回転力の伝達を自在とする。即ち、ソレノイド37と環状板39と板ばね40とにより、従動プーリ35とシャフト14とを係脱する為の電磁クラッチ41を構成している。又、車両のエンジンのクランクシャフト(不図示)の端部に固定した駆動プーリと従動プーリ35との間には、無端ベルト42を掛け渡している。
本実施の形態にかかるカーエアコンのコンプレッサの動作について説明する。車室内の冷房或は除湿を行なう為、カーエアコンを作動させた場合には、電磁クラッチ41を動作させて従動プーリ35とシャフト14とを係合させ、それにより無端ベルト42を介して、車両のエンジンの動力をシャフト14に伝達し、これを回転駆動する。この結果、斜板25が回転して、複数のピストン21、21を構成する摺動部22、22をそれぞれシリンダ孔20、20内で往復移動させる。そして、この様な摺動部22、22の往復移動に伴って、吸入ポート13から吸引された冷媒ガスが、低圧室10、10内から各吸入孔29、29を通じて圧縮室23内に吸い込まれる。この冷媒ガスは、これら各圧縮室23内で圧縮されてから、吐出孔30、30を通じて高圧室11に送り出され、吐出ポートより吐出される。その後、高温・高圧の冷媒ガスはコンデンサで冷却され液冷媒となった後、急激に膨張させられ、低温・低圧の霧状冷媒となってエバポレータに流れ、ここで車室内に供給される空気を冷却し、その後冷媒ガスとなってコンプレッサに吸入される。
図3は、図1に示すスラスト針状ころ軸受16Bの拡大断面図であり、図4は、図3に示す構成をIV-IV線で切断して矢印方向に見た図である。図3において、保持器16hは、1枚の板材を折り曲げて形成されており、内側環状部16h1と、内側環状部16h1の半径方向外側に位置し内側環状部16h1と同方向に延在する外側環状部16h2と、内側環状部16h1と外側環状部16h2とを連結する複数の柱部16h3とを有している。尚、内側環状部16h1より2倍ほど軸線方向長が長い外側環状部16h2は、中程から半径方向外方に重ねるように折り曲げられて補強部16h9を構成している。ここで、内側環状部16h1と外側環状部16h2とが向いている方向(図3で下方)を開口側といい、その反対側(図3で上方)を反開口側という。
図3に示すように軸線方向にスラスト針状ころ軸受16Bの断面をとったとき、柱部16h3の中間部16h4は、折り曲げられることで軌道輪16gに近接している。隣接する柱部16h3の間は、ころ16eを周方向に等間隔に保持するポケット部16h6となっている。
ここで、軌道輪16gに近接した柱部16h3の中間部16h4と、軌道輪16fに近接した柱部16h3の両方の端部(根元部)16h5により、ころ16eの外周面を、スラスト針状ころ軸受16Bの軸線方向両側から保持することで(図4参照)、軌道輪16g、16fから分離したときに、保持器16hよりころ16eが落下するのを防止している。
保持器16hはころ案内で用いられる。即ち動作時において、図5(a)に示すように、保持器16hが軌道輪16f側に付勢されても、或いは図5(b)に示すように、軌道輪16g側に付勢されても、軌道輪との間に隙間cができ、これらに当接摺動しないことから、保持器16hが軌道面上の油膜をかき落としてしまう不具合が抑制され、潤滑性が長期にわたって維持され、耐久性及び耐焼付き性が向上する。
図3,4に示すように、ころ16eは、全体として円筒状であるが、両端に面取り部16e1を形成している。
ころ16eの出っ張り量(反開口側における保持器16hの面からころ16eの最大出っ張り位置までの距離)をγ、ころ16eの面取り量((ころ16eの外径−端面16e2の外径)/2)をδ、ころ16eの落ち量(開口側における保持器16hの面からころ16eの最大出っ張り位置までの距離)をε、保持器16hの板厚をζとしたときに、以下の式を満たしている。
γ<δ (2)
(ε+δ)<ζ (3)
γ<δ (2)
(ε+δ)<ζ (3)
ここで、(2)式を満たすように、ころ16eの出張量γをころ16eの面取り量δより小さく設定すると、ころ16eの外径に対してころの端面16e2と保持器16hとの理想接触領域(図4にダブルハッチングで示す)の周方向幅Δが制限され、スキューによる応力集中が緩和され、接触位置もころ16eの中心軸に近くなり、相対滑り速度が小さくなるので潜り込み損傷が緩和される。一方、ころ16eの面取り量δが過大であると、ころ16eが保持器16hに対して最も軌道輪側に変位した場合に、ころの端面16e2の面取り部16e1のみが保持器16hのポケット部16h6端面と接触することでころ16eの円滑回転に悪影響を与える恐れがある。そこで、(3)式を満たすように、(ころ16eの落ち量ε+ころ16eの面取り量δ)を保持器16hの板厚ζより小さく設定することで、ポケット部16h6が端面16e2に当接するようになり、かかる不具合を回避でき、スラスト針状ころ軸受の耐久性が向上する。
本発明者は、図1に示すスラスト軸受(PCD=65mm)において、ころの表面硬度αと、保持器の表面硬度βとをそれぞれ変えて、無負荷の状態で回転数15000min-1にて50時間動作させて試験を行った。その結果を表1に示す。又、上記試験において、摩耗した保持器を図6(a)に示し、摩耗したころを図6(b)に示す。
表1より、高速試験条件下において、ころの表面硬度αと、保持器の表面硬度βとの差がHV100以内であると、保持器またはころの摩耗が小さくなることが分かった。これに対し、ころの表面硬度αよりも、保持器の表面硬度βがHV100より低いと、図6(a)に示すように、保持器のポケット部の端面中央が窪むように潜り込み摩耗(異常摩耗痕)Aが生した。一方、ころの表面硬度αが、保持器の表面硬度βよりもHV100より低いと、図6(b)に示すように、ころの端面中央が突出するように潜り込み摩耗(異常摩耗痕)Bが生した。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、その発明の範囲内で変更・改良が可能であることはもちろんである。本発明のスラスト針状ころ軸受は、カークーラコンプレッサに限らず、自動車用の変速機や事務機器など、各種の機械に適用できる。
1 カーエアコンのコンプレッサ
6 ハウジング
14 シャフト
15A、15B ラジアル針状ころ軸受
16A、16B スラスト針状ころ軸受
6 ハウジング
14 シャフト
15A、15B ラジアル針状ころ軸受
16A、16B スラスト針状ころ軸受
Claims (3)
- ころと、前記ころを保持する保持器とを備えたスラスト針状ころ軸受において、
前記保持器は、板材を折り曲げて形成され、外側環状部と、内側環状部と、前記外側環状と前記内側環状部とを径方向に連結する複数の柱部とからなり、
前記ころの表面硬度をα(HV)とし、前記保持器の表面硬度をβ(HV)としたときに、以下の式を満たすことを特徴とするスラスト針状ころ軸受。
│α−β│≦100 (1) - 前記保持器は、ころ案内で用いられることを特徴とする請求項1に記載のスラスト針状ころ軸受。
- 前記ころの出っ張り量をγ、前記ころの面取り量をδ、前記ころの落ち量をε、前記保持器の板厚をζとしたときに、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1に記載のスラスト針状ころ軸受。
γ<δ (2)
(ε+δ)<ζ (3)
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007210628A JP2009041753A (ja) | 2007-08-13 | 2007-08-13 | スラスト針状ころ軸受 |
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---|---|
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ID=40442684
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007210628A Pending JP2009041753A (ja) | 2007-08-13 | 2007-08-13 | スラスト針状ころ軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009041753A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114531889A (zh) * | 2019-12-13 | 2022-05-24 | 舍弗勒技术股份两合公司 | 具有导向凸缘的推力轴承保持架 |
WO2023036370A1 (de) * | 2021-09-09 | 2023-03-16 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Axialwälzlagereinheit mit zwischen kreisringförmigen axiallagerscheiben angeordneten wälzkörpern und einer lagerinternen schmiermittelführung |
WO2023036353A1 (de) * | 2021-09-09 | 2023-03-16 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Axialwälzlagereinheit mit zwischen kreisringförmigen axiallagerscheiben angeordneten wälzkörpern als in sich selbst haltende baueinheit |
WO2023036369A1 (de) * | 2021-09-09 | 2023-03-16 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Axialwälzlagereinheit mit zwischen kreisringförmigen axiallagerscheiben angeordneten wälzkörpern und einem funktionsintigriertem lagerkäfig |
-
2007
- 2007-08-13 JP JP2007210628A patent/JP2009041753A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114531889A (zh) * | 2019-12-13 | 2022-05-24 | 舍弗勒技术股份两合公司 | 具有导向凸缘的推力轴承保持架 |
US11982314B2 (en) | 2019-12-13 | 2024-05-14 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Thrust bearing cage with piloting flange |
WO2023036370A1 (de) * | 2021-09-09 | 2023-03-16 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Axialwälzlagereinheit mit zwischen kreisringförmigen axiallagerscheiben angeordneten wälzkörpern und einer lagerinternen schmiermittelführung |
WO2023036353A1 (de) * | 2021-09-09 | 2023-03-16 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Axialwälzlagereinheit mit zwischen kreisringförmigen axiallagerscheiben angeordneten wälzkörpern als in sich selbst haltende baueinheit |
WO2023036369A1 (de) * | 2021-09-09 | 2023-03-16 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Axialwälzlagereinheit mit zwischen kreisringförmigen axiallagerscheiben angeordneten wälzkörpern und einem funktionsintigriertem lagerkäfig |
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