JP2006274977A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸気弁の開時期が上死点後であり、吸入空気の流速が上昇した際においても、失火等による燃焼不安定を防止し、安定した燃焼を行うことができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関1において、運転条件によって吸気弁開時期を可変とする吸気弁開時期制御装置18と、気筒内の燃焼状態を調整する手段とを備えた。そして、前記吸気弁開時期をピストン上死点後とした場合に、前記気筒内の燃焼状態を安定させるように燃焼状態を調整する。このことにより、失火等による燃焼不安定を防止し、安定した燃焼を行うことができる。
【選択図】図1
【解決手段】内燃機関1において、運転条件によって吸気弁開時期を可変とする吸気弁開時期制御装置18と、気筒内の燃焼状態を調整する手段とを備えた。そして、前記吸気弁開時期をピストン上死点後とした場合に、前記気筒内の燃焼状態を安定させるように燃焼状態を調整する。このことにより、失火等による燃焼不安定を防止し、安定した燃焼を行うことができる。
【選択図】図1
Description
本発明は内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関においては、吸気弁の開閉時期を調整することで必要な運転条件を実現する必要がある場合がある。例えば、排気空燃比がリーンの際に排気中のNOxを吸着するNOxトラップ触媒においては、所定量NOxが堆積した時点でNOxを脱離浄化する必要がある。通常その際には内燃機関の排気空燃比をリッチまたは理論空燃比にすることで、還元雰囲気にしてNOxを還元する。
そのための技術として特許文献1が開示されている。この従来技術によれば、吸排気弁の開閉時期を調整することができ、ポンピングロスなく吸入空気量を低減させることで、排気空燃比を目標値に制御することができるとしている。
特開2001−159363号公報
しかし上記従来技術により、例えば吸気弁閉時期を遅角することで目標吸入空気量または目標排気空燃比を得る場合、通常の可変バルブタイミング機構では吸気弁閉時期にあわせて吸気弁開時期も遅角され、ピストン上死点後に吸気弁が開き始めるようになる。そのため、吸気弁開時期においては気筒内が負圧となり、吸気コレクタ内圧との差が大きくなることから吸入空気の流速が上昇する。その結果、圧縮工程中の冷却損失が増加し、気筒内の燃焼状態が不安定になるおそれがある。
そこで本発明では、吸気弁開時期がピストン上死点後である際にも、失火等による燃焼不安定を防止し、安定した燃焼が行える内燃機関を提供することを目的とする。
内燃機関において、運転条件によって吸気弁開時期を可変とする吸気弁開時期制御装置と、気筒内の燃焼状態を調整する手段とを備えた。そして、前記吸気弁開時期をピストン上死点後とした場合に、前記気筒内の燃焼状態を安定させるように燃焼状態を調整する。
本発明によれば、吸気弁開時期がピストン上死点後の際、吸入空気の流速が上昇した場合においても、気筒内の燃焼状態を調整することにより失火を防ぎ、安定した燃焼を行うことができる。
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし8によって説明する。
図1は、第1の実施例における内燃機関(ここでは軽油を燃料とするディーゼルエンジンとする)1の制御装置の構成図である。図1において2は吸気通路であり、2aは吸気コレクタ(マニホルド)である。その上流部には吸気絞り弁5、インタークーラ4およびターボチャージャ(以下「過給機」)3の吸気コンプレッサ3aが配置されている。吸入された空気は、吸気コンプレッサ3aによって過給された後、インタークーラ4で冷却される。そして冷却された空気は吸気絞り弁5を通過し、吸気通路2および吸気コレクタ2aを経て、各気筒の燃焼室内へ流入する。
次に、6は燃料噴射ポンプであり、7はコモンレール式燃料噴射装置、8は燃料噴射弁である。燃料噴射ポンプ6によって高圧化された燃料は、コモンレール式燃料噴射装置7に送られ、各気筒の燃料噴射弁8から燃焼室内へ直接噴射される。なお、燃料噴射弁8は燃料噴射量、噴射時期および噴射回数を任意に調整することができる。9、10は排気通路およびEGR通路であり、燃焼室内に吸入された空気と噴射された燃料は圧縮着火により燃焼し、排気は排気通路9へ流出する。そして、排気通路9へ流出した排気の一部が、EGRガスとしてEGR通路10によりEGR弁11を介して吸気側へ還流される。排気の残りは可変ノズル型のターボチャージャ3の排気タービン3bを通り、これを駆動する。排気通路9において、排気タービン3bのさらに下流部には、排気浄化装置としてのNOxトラップ触媒12が介装されている。
このNOxトラップ触媒12は、排気空燃比がリーン(酸素過剰状態)のときには流入する排気中のNOxをトラップし、排気空燃比がリッチ(燃料過剰状態)または理論空燃比のときにはトラップしたNOxを脱離浄化(還元)する。なお、本実施形態のNOxトラップ触媒12は、希金属などの酸化触媒(Ptなどの希金属)を担持させており、流入する排気成分(HC、CO)を酸化することができるものとする。
空燃比センサ13、クランク角センサ14およびアクセル開度センサ15が設けられ、これらはエンジンコントロールユニット(以下「ECU」)16に接続している。そして、空燃比センサ13からは検知された排気空燃比AFRの信号が、クランク角センサ14からは検出された機関回転速度Neの信号が、そしてアクセル開度センサ15からは検出されたアクセル開度Accの信号がそれぞれ入力される。またエアフローメータ17から吸入空気量Qacの信号も入力される。
本実施形態では吸気弁開時期制御装置として可変バルブタイミング装置18が設置されている。該可変バルブタイミング装置18は吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角を変化させることにより、開弁期間は一定で、無段階に吸気弁の開弁時期と閉弁時期とを同時に変更することができる。なお、可変バルブタイミング装置18の種類は特に制限なく、吸気弁の開時期を変更可能なものであれば公知のいずれの形式のものをも使用することができる。
ECU16は、これらの入力信号に基づいて、燃料噴射弁8によるメイン噴射およびこれに先立ってなされる少なくとも1回のパイロット噴射の噴射量、噴射時期制御および噴射回数のための燃料噴射弁8への燃料噴射指令信号、吸気絞り弁5への開度指令信号、EGR弁11への開度指令信号および可変バルブタイミング装置18への位相指令信号等を出力する。また、冷却水温センサ19からは冷却水温信号がECU16に入力され、ECU16は冷却水温信号から機関温度Twを推定する。なお、機関温度Twの推定は、冷却水温センサ19からの冷却水温信号に限らず、潤滑油温度センサからの潤滑油温度信号から、または冷却水温信号および潤滑油温度信号の両方によって行ってもよい。
ここで、ECU16はNOxトラップ触媒12にトラップされて堆積したNOxの浄化(NOx再生)、NOxトラップ触媒12のSOx被毒によりこれに堆積したSOxの浄化(SOx再生)のための排気浄化制御も行う。
続いて、図2のフローチャートを用いて第1の実施形態での制御を説明する。
S1ではECU16が各センサから機関回転数Ne、アクセル開度Acc、機関温度Tw、排気空燃比AFRおよび吸入空気量Qacの機関運転状態をそれぞれ読込む。そして、NOxトラップ触媒12の浄化能力回復の要否、すなわちNOxトラップ触媒の再生の要否について判断を行う(S2)。なお、NOxトラップ触媒12の再生の要否についての判断方法は、例えばNOxトラップ触媒12から排出されるNOx濃度を測定し、その値と他の運転条件等を参照することで行うものとする。NOxトラップ触媒12に所定量のNOxが堆積して、NOxトラップ触媒12の再生要求がある場合、すなわち再生モードであると判断した場合(Y)はS3に進み、再生モードでない場合(N)はこの制御を終了する(END)。
S3では、NOxトラップ触媒12の再生に適した機関運転状態に切り替えるための前段階として、吸入空気量Qacを調整するため、吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角の目標位相角ITを算出する。すなわちNOxトラップ触媒12の再生時には、排気空燃比AFMをリッチまたは理論空燃比の状態にするために前記位相角を遅らせ、充填効率を悪化させて内燃機関1の気筒内に供給する吸入空気量Qacを減少させるのである。このときの吸入空気量Qacの目標値は、機関負荷APOや目標排気空燃比AFMtなどによって決定される。
ところで、可変バルブタイミング装置18によって吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角を遅角する結果、ピストン下降開始後、すなわちピストン上死点後に吸気弁が開き始めるようになるため、吸気弁開時期IVOにおいて気筒内が負圧となる。すなわち、気筒内と吸気コレクタ2a内との圧力差△Pが大きくなり、吸入空気の流速が上
昇してスワール強度が強くなる結果、該吸入空気によって気筒内の熱が奪われるなどして圧縮行程中の冷却損失が増大する。その冷却損失の増大により、図3のL1に示すように、パイロット噴射による燃焼(パイロット燃焼)によって気筒内の温度が十分に上昇せず、メイン噴射による燃焼(メイン燃焼)の失火等を招き、燃焼不安定になるおそれがある。そこで本実施形態では、パイロット噴射量を補正することで、図3のL2に示すように、メイン噴射による燃焼前の気筒内の温度(以下、この温度を圧縮端ガス温度とよぶ)を十分に上昇させることができ、メイン噴射による燃焼を安定して行うことができる。この補正したパイロット噴射量を補正パイロット噴射量Cpと呼称することにする。
昇してスワール強度が強くなる結果、該吸入空気によって気筒内の熱が奪われるなどして圧縮行程中の冷却損失が増大する。その冷却損失の増大により、図3のL1に示すように、パイロット噴射による燃焼(パイロット燃焼)によって気筒内の温度が十分に上昇せず、メイン噴射による燃焼(メイン燃焼)の失火等を招き、燃焼不安定になるおそれがある。そこで本実施形態では、パイロット噴射量を補正することで、図3のL2に示すように、メイン噴射による燃焼前の気筒内の温度(以下、この温度を圧縮端ガス温度とよぶ)を十分に上昇させることができ、メイン噴射による燃焼を安定して行うことができる。この補正したパイロット噴射量を補正パイロット噴射量Cpと呼称することにする。
S4では、吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する目標位相角ITに応じて該補正パイロット噴射量Cpを算出する。
補正パイロット噴射量Cpの算出方法は、まず図4に示すPILOT補正量基準値マップを用いてPILOT補正量基準値Cpiを算出する。図4では吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角として、吸気弁開時期IVOを参照しているが、これは吸気弁閉時期IVCであっても吸気弁最大リフト時期であってもよい。このPILOT補正量基準値マップは、吸気弁開時期IVOによる冷却損失を考慮し、その冷却損失に基づき圧縮端ガス温度および圧力の低下を防ぐことができるように、その特性が予め定められている。すなわち吸気弁開時期IVOが遅くなるほど、PILOT補正量を多くする。PILOT補正量基準値Cpiを算出したら、そのパイロット噴射量の補正をより正確なものにするため、他のパラメータによってPILOT補正量基準値Cpiを補正する。すなわち、図5ないし7の補正係数マップを用いて補正係数k1、k2およびk3を算出する。図5は吸入空気温度Tair、図6は吸入空気圧力Pair、そして図7は機関温度Twによる補正係数マップである(吸入空気温度Tairおよび吸入空気圧力Pairは、エアフローメータ17等から算出する)。図に示すように、吸入空気温度Tairが低いほど、補正係数k1は大きく(図5)、吸入空気圧力Pairが高いほど、補正係数k2は大きい(図6)。また、機関温度Twが低いほど、補正係数k3は大きい(図7)。上記のようにPILOT補正量基準値Cpi、補正係数k1、k2およびk3を算出したら下式(1)により補正パイロット噴射量Cpを算出する。
Cp=Cpi×k1×k2×k3 ・・・(1)
ここでパイロット噴射は、図4に示すように補正パイロット噴射量Cpに応じて、噴射回数を変更してもよい。すなわち通常(N)回のPILOT噴射を行う場合において、PILOT補正量基準値Cpiが大きい場合にはPILOTの噴射回数を(N+1)回にし、逆にPILOT補正量基準値Cpiが小さい場合にはPILOT噴射回数を(N−1)回にする。
ここでパイロット噴射は、図4に示すように補正パイロット噴射量Cpに応じて、噴射回数を変更してもよい。すなわち通常(N)回のPILOT噴射を行う場合において、PILOT補正量基準値Cpiが大きい場合にはPILOTの噴射回数を(N+1)回にし、逆にPILOT補正量基準値Cpiが小さい場合にはPILOT噴射回数を(N−1)回にする。
本実施形態では、吸気弁開時期IVOと補正係数k1、k2およびk3から直接補正パイロット噴射量Cpを算出している。これは、気筒内の燃焼状態に直接影響する冷却損失を、気筒内ガス温度や燃焼室壁面温度の測定などから推定または検知し、図8のように冷却損失からPILOT補正基準値Cpiを算出して補正パイロット噴射量Cpを求めてもよい。図に示すように、冷却損失が大きいほど、PILOT補正基準値Cpiは大きい。
S4においてCpを算出した後、S5ではS3で算出した目標位相角ITとなるように、可変バルブタイミング装置18にて位相角制御を行う。
また、S6ではS4で算出した補正パイロット噴射量Cpに応じて、EUC16から燃料噴射弁8にパイロット噴射の噴射量についての燃料噴射指令信号を出力し、各気筒内へのパイロット噴射を行う。
そしてS7では算出した目標位相角ITと補正パイロット噴射量CpをECU16に内蔵のメモリに書き込み、この制御を終了する(END)。
つまり本実施形態では、機関の運転状態からNOxトラップ触媒12の再生が必要か否か(再生モードか否か)を判断し、再生が必要であれば気筒内の燃焼状態を安定させるための制御を行う。NOxトラップ触媒12の再生時においては、吸気弁閉時期IVCを遅らせて吸入空気量Qacを低減させる必要があるが、吸気弁開時期IVOも吸気弁閉時期IVCに伴って遅くなり、吸気弁開時期IVOがピストン上死点後になる。その際には、NOxトラップ触媒12の再生時に失火により燃焼が不安定になるおそれがあるため、NOxトラップ触媒12の再生時には失火を防ぐための制御が必要となる。
その制御では、まずNOxトラップ触媒12の再生に必要な吸入空気量Qacを算出し、その吸入空気量Qacを得られる吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角の目標位相角ITを算出する。その後、該目標位相角ITにおける気筒内の燃焼状態を適切に保つようにパイロット噴射の噴射量を算出する。さらにより正確な噴射量を算出するために吸入空気温度Tair、吸入空気圧力Pairおよび機関温度Twで補正を行い、パイロット噴射補正量Cpを決定する。すなわち、NOxトラップ触媒12の再生時の吸気弁開時期に合わせたパイロット噴射の噴射量を算出する。
次にNOxトラップ触媒12を再生するために吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角を目標位相角ITに可変バルブタイミング制御装置18を用いて制御し、パイロット噴射量も先に算出したパイロット噴射補正量Cpに合わせて制御する。そのため、再生時の吸気弁開時期に応じたパイロット噴射がなされ、気筒内の燃焼状態を適切に保つことができる。
第1の実施形態の効果について説明する。
本発明によれば、吸気弁の作動特性を切り替えることで冷却損失が増加した場合においても、安定した燃焼を行えるように気筒内の燃焼状態を調整しているため、失火等による燃焼不安定を防止することができる。なお、本実施形態では吸気弁開時期IVOに応じて燃焼状態を調整しているが、上記実施形態の説明のとおり、吸気弁閉時期IVCや吸気弁最大リフト時期に応じて調整してもよい。また、気筒内ガス温度や燃焼室壁面温度の測定などから冷却損失を検知し、それに応じて燃焼状態を調整してもよい。
本実施形態では、燃料噴射量やスワール強度などの制御により圧縮端ガス温度および圧力を調整しているため、比較的容易に制御することができる。
NOxトラップ触媒12を備えた内燃機関に本発明を適用することで、NOxトラップ触媒12の再生時に失火等による燃焼不安定を防止しつつ、NOxトラップ触媒12の再生を図ることができる。
本実施形態では、冷却損失に応じて適切にパイロット噴射の噴射量を制御することにより、気筒内の燃焼状態を調整するため、安定した燃焼を行えることはもちろんのこと、燃料消費量についても過剰に増加することがない。
本実施形態では、パイロット噴射の噴射量を制御することによって、気筒内の燃焼状態を調整している。パイロット噴射の噴射量を適切に調整することで、メイン噴射により十分に燃焼が起こるため、失火による燃焼不安定を防止しつつ、排気空燃比AFMをリッチにして、NOxトラップ触媒12の再生を図ることができる。なお、本実施形態ではパイロット噴射の噴射量を調整したが、パイロット噴射の噴射量は一定のまま、噴射回数を変更してもよい。または、パイロット噴射の噴射量および噴射回数の双方を変更してもよい。
ここでパイロット噴射の噴射量を、吸気弁開時期IVOが遅くなるほど、多くなるように調整しているため、気筒内の燃焼状態を安定に保つために必要な噴射量を確保できる。
また、本実施形態ではPILOT補正量基準値Cpiを求めた後、吸入空気温度Tair、吸入空気圧力Pairおよび機関温度Twによって補正することで、補正パイロット噴射量Cpを算出し、気筒内にパイロット噴射を行っている。そのため、より精度よくパイロット噴射の噴射量および噴射回数を調整することができる。
本実施形態では、内燃機関1の機関温度Twを冷却水温度から推定してため、新しく温度センサを追加することなく内燃機関1の機関温度Twを簡易的に推定でき、製造上有利である。これは上述のように潤滑油温度から推定しても同様の効果を奏する。
次に第2の実施形態について図9ないし19を用いて説明する。
図9は、第2の実施例における内燃機関1の制御装置の構成図であり、基本的な構成は第1の実施形態における内燃機関の構成図である図1と同様である。本実施形態においては、内燃機関1の吸気通路2内に気筒内のスワール強度を調整できる可変スワール制御装置20が追加されている点で異なっている。
続いて、図10のフローチャートを用いて第2の実施形態での制御を説明する。ただし、基本的な制御は図1の第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と異なるS40、S50、S70およびS80についてのみ説明する。
S30において、吸入空気量Qacを調整するための吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角である目標位相角ITを算出した後、S40では現在の吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角での気筒内のスワール強度SRbと、該目標位相角ITでの気筒内のスワール強度SRiとを算出する。
気筒内のスワール強度SRbと目標位相角ITでのスワール強度SRiは、図11に示すスワール強度基準値マップから、それぞれの吸気カムシャフトとクランクシャフトに対する位相角でのスワール強度基準値SR0、SR1を算出する。このスワール強度基準値マップは、吸気弁開時期IVOにおける冷却損失を考慮し、圧縮端ガス温度および圧力の低下を防ぐことができるように、その特性が予め定められている。ここで、図11では吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角として吸気弁開時期IVOを参照しているが、これは吸気弁閉時期IVCであっても、吸気弁最大リフト時期であってもよい。スワール強度基準値SR0およびSR1を算出したら図12ないし14の補正係数マップを用いて補正係数k4、k5およびk6を算出する。図12は機関回転速度Ne、図13は吸入空気温度Tair、そして図14は機関温度Twによる補正係数マップである。図に示すように、機関回転数Neが高いほど、補正係数k4は小さくなり、吸入空気温度Tairが高いほど、補正係数k5は小さくなる。同様に、機関温度Twが高いほど、補正係数k6は小さくなる。上記のようにスワール強度基準値SR0、SR1および補正係数k4、k5およびk6を算出した後、下式(2)および(3)によりスワール強度SRbおよびSRiを算出する。
SRb=SR0×k4×k5×k6 ・・・(2)
SRi=SR1×k4×k5×k6 ・・・(3)
本実施形態では、吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角と補正係数とから直接スワール強度SRbおよびSRiを算出している。しかしこれは、気筒内の圧縮端ガス温度および圧力に直接影響する冷却損失を、気筒内ガス温度や燃焼室壁面温度の測定などから推定または検知し、図15のように冷却損失からスワール強度基準値SR0およびSR1を算出してもよい。この際、冷却損失が大きいほど、スワール強度基準値は小さくなる。
SRi=SR1×k4×k5×k6 ・・・(3)
本実施形態では、吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角と補正係数とから直接スワール強度SRbおよびSRiを算出している。しかしこれは、気筒内の圧縮端ガス温度および圧力に直接影響する冷却損失を、気筒内ガス温度や燃焼室壁面温度の測定などから推定または検知し、図15のように冷却損失からスワール強度基準値SR0およびSR1を算出してもよい。この際、冷却損失が大きいほど、スワール強度基準値は小さくなる。
また、図16ないし18に示すように、スワール強度SRb、気筒内と吸気コレクタ(マニホルド)2a内との圧力差△Pおよび吸気弁開時期IVOから冷却損失を簡易的に推
定することが可能である。
定することが可能である。
図16に示すように、冷却損失は気筒内のスワール強度が強いほど大きくなる。また、該スワール強度は気筒内と吸気コレクタ2a内との圧力差△Pから推定することが可能で
あり、気筒内と吸気コレクタ2a内との圧力差△Pが大きいほどスワール強度は大きくな
る(図17)。さらに、気筒内と吸気コレクタ2a内との圧力差△Pは吸気弁開時期IV
Oから推定することが可能であり、吸気弁開時期IVOが遅いほど気筒内と吸気コレクタ2a内との圧力差△Pは大きくなる(図18)。
あり、気筒内と吸気コレクタ2a内との圧力差△Pが大きいほどスワール強度は大きくな
る(図17)。さらに、気筒内と吸気コレクタ2a内との圧力差△Pは吸気弁開時期IV
Oから推定することが可能であり、吸気弁開時期IVOが遅いほど気筒内と吸気コレクタ2a内との圧力差△Pは大きくなる(図18)。
よって、冷却損失が大きいほど、スワール強度が弱くなるように制御を行うことで、気筒内の燃焼状態を一定に保つことができる。また、吸気弁開時期IVOを遅くするほど、気筒内のスワール強度が強くなるため、可変スワール制御装置20は、吸気弁開時期IVOが遅いほど、スワール強度を弱くなるように制御することで、気筒内の燃焼状態を一定に保つことができる。
次にS50では、可変スワール弁開度SRcを算出する。そこで、上記の(2)および(3)で求めた現在の吸気カムシャフトとクランクシャフトに対する位相角での気筒内のスワール強度SRbに対する、目標位相角ITでの気筒内のスワール強度SRiの変化量(SRb−SRi)をSRvとおく。そして、図19に示す可変スワール弁開度SRcとスワール変化量SRvのマップを用いて、SRvがゼロとなるようにすることでSRcを算出する。
S70では、S50で算出した可変スワール弁開度SRcとなるように可変スワール制御装置20を調整する。
そして、S80では算出したIT、SRb、SRi、SRvおよびSRcをECU16に内蔵のメモリに書き込み、この制御が終了する(END)。
つまり本実施形態では、第1の実施形態と同様に吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角の目標位相角ITを算出し、該目標位相角ITにおける気筒内のスワール強度SRiを、気筒内の燃焼状態が適切になるように算出し、さらに機関回転速度Ne、
吸入空気温度Tairおよび機関温度Twで補正を行うことで、可変スワール弁開度SRcを算出する。すなわち、NOxトラップ触媒12の再生時のスワール強度を吸気弁開時期IVOから予め推定し、それに応じて可変スワール弁開度SRcを算出する。
吸入空気温度Tairおよび機関温度Twで補正を行うことで、可変スワール弁開度SRcを算出する。すなわち、NOxトラップ触媒12の再生時のスワール強度を吸気弁開時期IVOから予め推定し、それに応じて可変スワール弁開度SRcを算出する。
そしてNOxトラップ触媒12を再生するために吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する位相角を目標位相角ITに可変バルブタイミング制御装置18を用いて制御した後に、可変スワール制御装置20によって可変スワール弁開度を先に算出した値(SRc)に制御する。そのため、再生時においても気筒内は適切なスワール強度に維持され、気筒内の燃焼状態を適切に保つことができる。
第2の実施形態における効果について説明する。
本実施形態のように、吸気弁の作動特性を切り替える場合にスワール強度の制御によって気筒内の燃焼状態を調整することで、燃料噴射を変更することなく安定した燃焼を維持しつつ、NOxトラップ触媒12の再生を図ることが可能となる。また、気筒内のスワール強度を制御することで、気筒内ガス温度や燃焼室壁面温度の測定などを行うことなく、簡易的に燃焼状態を調整することができる。これは、気筒内周方向のガス流速の測定などにより直接スワール強度を検知し、その検知したスワール強度によって調整してもよい。
吸気弁開時期IVOが遅いほど、スワール強度が弱くなるように可変スワール制御装置20を制御することで、筒内のスワール強度を安定した燃焼が行える状態に保つことができる。
また、気筒内と吸気コレクタ(マニホルド)2a内との圧力差△Pに応じてスワール強
度を調整することで、気筒内周方向のガス流速の測定などを行うことなく気筒内の燃焼状態を簡易的に調整することができる。
度を調整することで、気筒内周方向のガス流速の測定などを行うことなく気筒内の燃焼状態を簡易的に調整することができる。
本実施形態ではスワール強度を、機関回転速度Ne、吸入空気温度Tairおよび機関温度Twによって補正するため、気筒内のスワール強度をより精度よく調整することができる。
本実施形態において、吸気弁開時期IVOの調整方向(遅角あるいは進角)に対して、予め可変スワール制御装置20の制御方向を決めておくことで、すばやく所定のスワール強度に調整することができる。
本発明によれば、圧縮行程中のスワール強度を吸気弁開時期IVOの調整前後において同等に保つことができ、圧縮端ガス温度および圧力を変化させることがないため、燃焼不安定を防止して安定した燃焼を行いつつ、NOxトラップ触媒12の再生が図れる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなし得る様々な変更、改良が含まれることは言うまでもない。
1 内燃機関
2 吸気通路
3 ターボチャージャ(過給機)
3a 吸気コンプレッサ
3b 排気タービン
4 インタークーラ
5 吸気絞り弁
6 燃料噴射ポンプ
7 コモンレール
8 燃料噴射弁
9 排気通路
10 EGR通路
11 EGR弁
12 NOxトラップ触媒
13 空燃比センサ
14 クランク角センサ
15 アクセル開度センサ
16 エンジンコントロールユニット(ECU)
17 エアフローメータ
18 可変バルブタイミング制御装置
19 冷却水温センサ
20 可変スワール制御装置
2 吸気通路
3 ターボチャージャ(過給機)
3a 吸気コンプレッサ
3b 排気タービン
4 インタークーラ
5 吸気絞り弁
6 燃料噴射ポンプ
7 コモンレール
8 燃料噴射弁
9 排気通路
10 EGR通路
11 EGR弁
12 NOxトラップ触媒
13 空燃比センサ
14 クランク角センサ
15 アクセル開度センサ
16 エンジンコントロールユニット(ECU)
17 エアフローメータ
18 可変バルブタイミング制御装置
19 冷却水温センサ
20 可変スワール制御装置
Claims (18)
- 内燃機関において、運転条件によって吸気弁開時期を可変とする吸気弁開時期制御装置と、気筒内の燃焼状態を調整する手段とを備え、前記吸気弁開時期をピストン上死点後とした場合に、前記気筒内の燃焼状態を安定させるように燃焼状態を調整することを特徴とする内燃機関の制御装置。
- 前記気筒内の燃焼状態の調整は、圧縮端ガス温度および圧力の調整により行うことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 排気空燃比がリーンのときに流入する排気中のNOxをトラップし、排気空燃比がリッチまたは理論空燃比のときにトラップしたNOxを脱離浄化するNOxトラップ触媒を排気通路に介装し、前記NOxトラップ触媒の再生時に、前記吸気弁開時期制御装置を用いて前記吸気弁開時期を遅らせて吸入空気量を低減させることで、排気空燃比をリッチまたは理論空燃比にすることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記気筒内の燃焼状態を調整する手段として、気筒内への燃料噴射量および噴射回数を任意に調整できる燃料噴射制御装置を備え、メイン噴射に先立ってなされる少なくとも1回のパイロット噴射の噴射量および噴射回数の少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記パイロット噴射の噴射量および噴射回数の少なくとも一方は、前記吸気弁開時期が遅いほど増やすように調整することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
- 吸入空気温度を検知する手段を備え、前記パイロット噴射の噴射量および噴射回数の少なくとも一方を該吸入空気温度が低いほど増やすように補正することを特徴とする請求項4または5に記載の内燃機関の制御装置。
- 吸入空気圧力を検知する手段を備え、前記パイロット噴射の噴射量および噴射回数の少なくとも一方を該吸入空気圧力が高いほど増やすように補正することを特徴とする請求項4から6のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置。
- 機関温度を推定する手段を備え、前記パイロット噴射の噴射量および噴射回数の少なくとも一方を該機関温度が低いほど増やすように補正することを特徴とする請求項4から7のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記気筒内の燃焼状態を調整する手段として、気筒内のスワール強度を調整できる可変スワール制御装置を備え、前記スワール強度を調整することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置。
- 気筒内圧力と吸気マニホルド内圧力との差を推定する手段を備え、推定した前記気筒内圧力と吸気マニホルド内圧力との差に応じて前記スワール強度を調整することを特徴とする特徴とする請求項9に記載の内燃機関の制御装置。
- 機関回転速度を検知する手段を備え、前記スワール強度を該機関回転速度が低いほど強めるように補正することを特徴とする請求項9または10に記載の内燃機関の制御装置。
- 吸入空気温度を検知する手段を備え、前記スワール強度を該吸入空気温度が低いほど強めるように補正することを特徴とする請求項9から11のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置。
- 機関温度を推定する手段を備え、前記スワール強度を該機関温度が低いほど強めるように補正することを特徴とする請求項9から12のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記可変スワール制御装置は、前記吸気弁開時期を遅角した場合には前記スワール強度を弱める方向に動き、前記吸気弁開時期を進角した場合には前記スワール強度を強める方向に動くことを特徴とする請求項9から13のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記スワール強度は、前記吸気弁開時期が遅いほど、弱くなるように調整することを特徴とする請求項14に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記吸気弁開時期を進角または遅角する前後で、前記スワール強度が同等になるように前記可変スワール制御装置を制御することを特徴とする請求項9から15のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記機関温度は、冷却水温度または潤滑油温度の少なくとも一方で推定することを特徴とする請求項8および13から16のいずれか一つに記載の内燃機関の制御装置。
- 内燃機関において、運転条件によって吸気弁開時期を可変とする吸気弁開時期制御装置と、気筒内の燃焼状態を調整する手段とを備え、前記吸気弁開時期をピストン上死点後とした場合に、前記気筒内の燃焼状態を安定させるように燃焼状態を調整することを特徴とする内燃機関の制御方法。
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2005
- 2005-03-30 JP JP2005097937A patent/JP2006274977A/ja active Pending
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