JP2009264341A - 内燃機関 - Google Patents

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Hiroyuki Hokuto
宏之 北東
Yosuke Nakagawa
陽介 中川
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Abstract

【課題】高精度な空燃比制御を行うことができる内燃機関を提供する。
【解決手段】一方の気筒群12aと他方の気筒群13aとで排出される排気ガスの空燃比を異ならせ排気集合通路61で当該排気ガスを合流させることで浄化触媒62の温度を上昇させるバンク制御を実行すると共に、空燃比検出手段93により検出される排気ガスの空燃比に応じた出力値が所定の空燃比に応じた目標出力値となるようにフィードバック制御を実行する制御手段81dと、空燃比検出手段93の素子の温度に応じて出力値又は目標出力値を補正する補正手段81fとを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関に関し、特に、空気と燃料との混合気が燃焼可能な複数の燃焼室からなる少なくとも2つの気筒群を備える内燃機関に関するものである。
従来、内燃機関の空燃比を制御するために、排気通路に複数の酸素センサを備えた内燃機関が知られている。すなわち、このような内燃機関は、排気通路に配置された触媒の上流側に設けられ排気ガス中の空燃比を検出するリニア空燃比センサと、上記触媒の下流側に設けられ当該触媒を経た排気ガスの酸素濃度を検出するサブOセンサとを備える。リニア空燃比センサは、空燃比に対してリニアな出力特性を有する酸素センサである一方、サブO2センサは、空燃比に対して理論空燃比を基準にしてリッチ側とリーン側とで出力が急変する出力特性を有する酸素センサである。そして、このような内燃機関は、上記リニア空燃比センサの出力に基づいて上記触媒に流入する排気ガスの空燃比を例えば目標空燃比とするためのメインフィードバック制御を行う一方、上記サブOセンサの出力に基づいて上記触媒を経た排気ガスの空燃比を例えば理論空燃比とするためのサブフィードバック制御を行う。
このような従来の内燃機関として、特許文献1に記載の内燃機関の空燃比制御装置は、サブフィードバック制御を行うときに、積算吸入空気量が所定値を超えてサブOセンサのハウジング部温度が安定したら、供給熱量を算出しハウジング部の温度を算出する。つぎに、この温度に基づいてサブフィードバック制御目標電圧を算出する。このとき、当該温度が低い場合には当該目標電圧が高く設定され、当該温度が高い場合には当該目標電圧が低く設定される。これにより、サブOセンサの温度に応じてそのセンサ出力特性を補正することができ、高精度な空燃比制御を実行している。
また、従来の内燃機関として、いわゆるV型多気筒エンジンが知られている。すなわち、一般的なV型多気筒エンジンにおいて、シリンダブロックは、上部に所定角度で傾斜した2つのバンクを有しており、各バンクに複数の気筒が設けられて2つの気筒群が構成されている。そして、各バンクに設けられた複数のシリンダにピストンが移動自在に嵌合し、各ピストンは下部に回転自在に支持されたクランクシャフトに連結されている。また、シリンダブロックの各バンクの上部にはシリンダヘッドが締結されることで各燃焼室が構成されており、各燃焼室には吸気ポート及び排気ポートが形成され、吸気弁及び排気弁により開閉可能となっている。そして、各バンクの吸気ポートに吸気管が連結される一方、各バンクの各排気ポートにそれぞれ排気管が連結され、この各排気管に前段浄化触媒として、例えば、三元触媒が装着され、各排気管が合流した排気集合管に後段浄化触媒として、例えば、NOx吸蔵還元型触媒が装着されている。ここで、前段三元触媒は、排気空燃比がストイキのときに排気ガス中に含まれるHC、CO、NOxを酸化還元反応により同時に浄化処理するものである。一方、NOx吸蔵還元型触媒は、排気空燃比がリーンのときに排気ガス中に含まれるNOxを一旦吸蔵し、排気ガス中の酸素濃度が低下したリッチ燃焼領域またはストイキ燃焼領域にあるときに、吸蔵したNOxを放出し、添加した還元剤としての燃料によりNOxを還元するものである。
特開2006−307716号公報
ところで、上記のようなV型多気筒エンジンでは、燃料に硫黄成分が含まれていることからこの硫黄成分を含む燃料が燃焼して排気ガスとして排出されると、例えば、排気ガス中の硫黄成分がNOx吸蔵還元型触媒に吸着されて被毒し、NOxの浄化効率が低下するおそれがある。このため、このようなV型多気筒エンジンでは、例えば、一方の気筒群と他方の気筒群とで排出される排気ガスの空燃比を異ならせ、一方の排気ガスの空燃比をリッチ雰囲気、他方の排気ガスの空燃比をリーン雰囲気とし、これらの排気ガスをNOx吸蔵還元型触媒の上流で合流させることで酸化発熱反応を利用してNOx吸蔵還元型触媒の温度を上昇させ、これにより、リッチ雰囲気にてNOx吸蔵還元型触媒に蓄積された硫黄成分を放出して再生するバンク制御を実行することがある。そして、このようなエンジンにおいては、一方の気筒群と他方の気筒群とで排出される排気ガスの空燃比を異ならせてNOx吸蔵還元型触媒の温度を上昇させるバンク制御中であっても、高精度な空燃比の制御が望まれているが、上述した特許文献1に記載されている内燃機関の空燃比制御装置では、この点は開示されておらず、したがって、さらなる高精度な空燃比の制御が望まれていた。
そこで本発明は、高精度な空燃比制御を行うことができる内燃機関を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による内燃機関は、空気と燃料との混合気が燃焼可能な複数の燃焼室からなる少なくとも2つの気筒群と、前記2つの気筒群に対してそれぞれ独立して設けられ前記燃料室から排気ガスを排出可能な2つの排気通路と、前記2つの排気通路が合流した排気集合通路と、前記排気集合通路に設けられ前記排気ガスを浄化する浄化触媒と、前記排気ガスの排気方向に対して前記排気集合通路の前記浄化触媒より下流側に設けられ前記排気ガスの空燃比を検出する空燃比検出手段と、一方の前記気筒群と他方の前記気筒群とで排出される前記排気ガスの空燃比を異ならせ前記排気集合通路で当該排気ガスを合流させることで前記浄化触媒の温度を上昇させるバンク制御を実行すると共に、前記空燃比検出手段により検出される前記排気ガスの空燃比に応じた出力値が所定の空燃比に応じた目標出力値となるようにフィードバック制御を実行する制御手段と、前記空燃比検出手段の素子の温度に応じて前記出力値又は前記目標出力値を補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明による内燃機関では、前記排気ガスの排気方向に対して前記排気集合通路の前記浄化触媒より下流側に設けられ前記浄化触媒を通過した前記排気ガスのアンモニア濃度を検出するアンモニア濃度検出手段を備え、前記補正手段は、前記アンモニア濃度検出手段により検出される前記アンモニア濃度と、前記空燃比検出手段により検出される前記排気ガスの空燃比に応じた目標アンモニア濃度との偏差に基づいて前記出力値又は前記目標出力値を補正することを特徴とする。
請求項3に係る発明による内燃機関では、前記アンモニア濃度検出手段により検出される前記アンモニア濃度と、前記目標アンモニア濃度との偏差に基づいて前記素子の温度を推定する推定手段を備えることを特徴とする。
請求項4に係る発明による内燃機関では、前記目標アンモニア濃度は、一方の前記気筒群から排出される前記排気ガスの空燃比と他方の前記気筒群から排出される前記排気ガスの空燃比との空燃比比率に基づいて設定されることを特徴とする。
請求項5に係る発明による内燃機関では、前記浄化触媒は、前記排気ガスの空燃比がリーンのときに当該排気ガス中に含まれる窒素酸化物を吸蔵し、前記排気ガスの空燃比がリッチ又はストイキにあるときに、吸蔵した前記窒素酸化物を放出して還元し、前記アンモニア濃度検出手段は、前記排気ガス中に含まれる前記窒素酸化物の濃度を検出可能であることを特徴とする。
請求項6に係る発明による内燃機関では、前記空燃比検出手段は、前記排気ガスの空燃比に対して理論空燃比を基準にしてリッチ側とリーン側とで出力が急変する出力特性を有すると共に前記空燃比検出手段の素子の温度が上昇するとリッチ領域では前記出力値が低下する出力特性を有し、前記補正手段は、前記空燃比検出手段の素子の温度が高い側における前記出力値を低い側における前記出力値より高く設定する、又は、前記空燃比検出手段の素子の温度が高い側における前記目標出力値を低い側における前記目標出力値より低く設定することを特徴とする。
本発明に係る内燃機関によれば、空燃比検出手段の素子の温度に応じて空燃比検出手段の出力値又は目標出力値を補正する補正手段を備えるので、制御手段が補正手段により空燃比検出手段の素子の温度に応じて補正された出力値又は目標出力値を用いて、出力値が目標出力値となるようにフィードバック制御を実行することから、高精度な空燃比制御を行うことができる。
以下に、本発明に係る内燃機関の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本発明の実施例に係るエンジンの概略平面図 図2は、本発明の実施例に係るエンジンの概略断面図、図3は、本発明の実施例に係るエンジンの排気空燃比とOセンサの出力及びNOxセンサの出力との関係を表す線図、図4は、本発明の実施例に係るエンジンにおけるOセンサ素子温度判定制御を説明するフローチャート、図5は、本発明の実施例に係るエンジンにおけるOセンサ目標電圧補正制御を説明するフローチャートである。
本実施例に係る内燃機関としてのエンジン1は、図1、図2に示すように、乗用車、トラックなどの車両に搭載されるV型6気筒エンジンであり、シリンダボア14、15内に往復運動可能に設けられるピストン16、17が2往復する間に、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程からなる一連の4行程を行う、いわゆる4サイクルエンジンである。
このエンジン1において、シリンダブロック11は上部に所定角度で傾斜した左右のバンク12、13を有しており、各バンク12、13に複数の気筒が設けられて2つの気筒群12a、13aが構成されている。この各バンク12、13は、それぞれ3つのシリンダボア14、15が形成され、各シリンダボア14、15にピストン16、17がそれぞれ上下移動自在に嵌合している。そして、シリンダブロック11の下部に図示しないクランクシャフトが回転自在に支持されており、各ピストン16、17はコネクティングロッド18、19を介してこのクランクシャフトにそれぞれ連結されている。
一方、シリンダブロック11の各バンク12、13の上部にはシリンダヘッド20、21が締結されており、シリンダブロック11とピストン16、17とシリンダヘッド20、21により各燃焼室22、23が構成されている。そして、この燃焼室22、23の上部、つまり、シリンダヘッド20、21の下面に吸気ポート24、25及び排気ポート26、27が対向して形成され、この吸気ポート24、25及び排気ポート26、27に対して吸気弁28、29及び排気弁30、31の下端部が位置している。この吸気弁28、29及び排気弁30、31は、シリンダヘッド20、21に軸方向に沿って移動自在に支持されると共に、吸気ポート24、25及び排気ポート26、27を閉止する方向に付勢支持されている。また、シリンダヘッド20、21には、吸気カムシャフト32、33及び排気カムシャフト34、35が回転自在に支持されており、吸気カム36、37及び排気カム38、39が図示しないローラロッカアームを介して吸気弁28、29及び排気弁30、31の上端部に接触している。
したがって、エンジンに同期して吸気カムシャフト32、33及び排気カムシャフト34、35が回転すると、吸気カム36、37及び排気カム38、39がローラロッカアームを作動させ、吸気弁28、29及び排気弁30、31が所定のタイミングで上下移動することで、吸気ポート24、25及び排気ポート26、27を開閉し、吸気ポート24、25と燃焼室22、23、燃焼室22、23と排気ポート26、27とをそれぞれ連通することができる。
また、このエンジンの動弁機構は、運転状態に応じて吸気弁28、29及び排気弁30、31を最適な開閉タイミングに制御する吸気可変動弁機構(VVT:Variable Valve Timing−intelligent)40、41と排気可変動弁機構42、43により構成されている。この吸気可変動弁機構40、41及び排気可変動弁機構42、43は、例えば、吸気カムシャフト32、33及び排気カムシャフト34、35の軸端部にVVTコントローラが設けられて構成され、油圧ポンプ(または電動モータ)によりカムスプロケットに対する各カムシャフト32、33、34、35の位相を変更することで、吸気弁28、29及び排気弁30、31の開閉時期を進角または遅角することができるものである。この場合、各可変動弁機構40、41、42、43は、吸気弁28、29及び排気弁30、31の作用角(開放期間)を一定としてその開閉時期を進角または遅角する。また、吸気カムシャフト32、33及び排気カムシャフト34、35には、その回転位相を検出するカムポジションセンサ44、45、46、47が設けられている。
各シリンダヘッド20、21の吸気ポート24、25には吸気マニホールド48、49を介してサージタンク50が連結されている。一方、吸気管(吸気通路)51の空気取入口にはエアクリーナ52が取付けられており、この吸気管51には、エアクリーナ52の下流側に位置してスロットル弁53を有する電子スロットル装置54が設けられている。そして、この吸気管51の下流端部がサージタンク50に連結されている。
排気ポート26、27は、各燃焼室22、23から排出される排気ガスが集合する集合通路55、56に連通しており、各集合通路55、56には、排気管接続部55a、56aを介して排気通路としての第1、第2排気管57、58が連結されている。なお、ここでは、排気ポート26、27と集合通路55、56と排気管接続部55a、56aは、左右のバンク12、13の各シリンダヘッド20、21内に一体に形成されている。
そして、第1排気管57には、前段三元触媒59が装着される一方、第2排気管58には、前段三元触媒60が装着されており、第1、第2排気管57、58の下流端部は排気集合通路としての排気集合管61に合流して連結されている。この排気集合管61には浄化触媒としてのNOx吸蔵還元型触媒62が装着されている。この各前段三元触媒59、60は、排気空燃比がストイキのときに排気ガス中に含まれるHC、CO、NOxを酸化還元反応により同時に浄化処理するものである。NOx吸蔵還元型触媒62は、排気空燃比がストイキのときに排気ガス中に含まれるHC、CO、NOxを酸化還元反応によりH2O、CO2、N2へと同時に浄化処理すると共に、排気空燃比がリーンのときに排気ガス中に含まれるNOxを一旦吸蔵し、排気ガス中の酸素濃度が低下したリッチ燃焼領域またはストイキ燃焼領域にあるときに、吸蔵したNOxを放出し、添加した還元剤としての燃料によりNOxを還元するものである。
各シリンダヘッド20、21には、各燃焼室22、23に直接燃料(ガソリン)を噴射するインジェクタ72、73が装着されており、各インジェクタ72、73にはデリバリパイプ74、75が連結され、この各デリバリパイプ74、75には高圧燃料ポンプ76から所定圧の燃料を供給可能となっている。また、シリンダヘッド20、21には、燃焼室22、23の上方に位置して混合気に着火する点火プラグ77、78が装着されている。
車両には、電子制御ユニット(ECU)81が搭載されており、このECU81は、インジェクタ72、73の燃料噴射タイミングや点火プラグ77、78の点火時期などを制御可能となっており、検出した吸入空気量、吸気温度、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、冷却水温などのエンジン運転状態に基づいて燃料噴射量、噴射時期、点火時期などを決定している。すなわち、吸気管51の上流側にはエアフローセンサ82及び吸気温センサ83が装着され、計測した吸入空気量及び吸気温度をECU81に出力している。また、電子スロットル装置54にはスロットルポジションセンサ84が設けられ、アクセルペダルにはアクセルポジションセンサ85が設けられており、現在のスロットル開度及びアクセル開度をECU81に出力している。さらに、クランクシャフトにはクランク角センサ86が設けられ、検出したクランク角度をECU81に出力し、ECU81はクランク角度に基づいて各気筒における吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程を判別すると共に、エンジン1のエンジン回転数(rpm)を算出する。また、シリンダブロック11には水温センサ87が設けられており、検出したエンジン冷却水温をECU81に出力している。
また、第1、第2排気管57、58における各前段三元触媒59、60よりも上流側には、それぞれA/Fセンサ88、89が設けられている。このA/Fセンサ88、89は、排気空燃比に対してリニアな出力特性を有する酸素センサであって、各燃焼室22、23から各排気ポート26、27を通して第1、第2排気管57、58に排気された排気ガスの排気空燃比を検出し、検出した排気空燃比をECU81に出力している。すなわち、A/Fセンサ88、89は、例えば、限界電流式の酸素濃度センサであり、各前段三元触媒59、60に導入される前の排気ガス中の酸素濃度と未燃ガス濃度から排気空燃比をリッチ域からリーン域までの全域にわたり検出する。また、第1、第2排気管57、58における各前段三元触媒59、60よりも下流側には、それぞれO2センサ90、91が設けられている。このO2センサ90、91は、排気空燃比に対して理論空燃比を基準にしてリッチ側とリーン側とで出力が急変する出力特性を有する酸素センサであって、各燃焼室22、23から各排気ポート26、27、第1、第2排気管57、58を通して各前段三元触媒59、60に排気された排気ガスのストイキ空燃比を検出し、ストイキ検出信号をECU81に出力している。すなわち、O2センサ90、91は、例えば、起電力式(濃淡電池式)の酸素濃度センサであり、理論空燃比を境界としてストイキ検出信号(出力電圧)を急変させる特性を有する。ECU81は、A/Fセンサ88、89及びO2センサ90、91が検出した排気空燃比及びストイキ検出信号に基づいて後述する空燃比制御を実行している。
また、排気集合管61におけるNOx吸蔵還元型触媒62よりも上流側には、A/Fセンサ92が設けられている。このA/Fセンサ92は、A/Fセンサ88、89と同様に、排気空燃比に対してリニアな出力特性を有する酸素センサであって、各燃焼室22、23から各第1、第2排気管57、58、各前段三元触媒59、60を通して排気集合管61に排気された排気ガスの排気空燃比を検出し、検出した排気空燃比をECU81に出力している。すなわち、A/Fセンサ92は、例えば、限界電流式の酸素濃度センサであり、NOx吸蔵還元型触媒62に導入される前の排気ガス中の酸素濃度と未燃ガス濃度から排気空燃比をリッチ域からリーン域までの全域にわたり検出する。また、排気集合管61におけるNOx吸蔵還元型触媒62よりも下流側には、空燃比検出手段としてのO2センサ93が設けられている。このO2センサ93は、O2センサ90、91と同様に、排気空燃比に対して理論空燃比を基準にしてリッチ側とリーン側とで出力が急変する出力特性を有する酸素センサであって、各燃焼室22、23から各第1、第2排気管57、58、各前段三元触媒59、60を通して排気集合管61に排気されNOx吸蔵還元型触媒62を通過した排気ガスのストイキ空燃比を検出し、ストイキ検出信号をECU81に出力している。すなわち、O2センサ93は、例えば、起電力式(濃淡電池式)の酸素濃度センサであり、理論空燃比を境界としてストイキ検出信号(出力電圧)を急変させる特性を有する。ECU81は、A/Fセンサ92及びO2センサ93が検出した排気空燃比及びストイキ検出信号に基づいて後述する空燃比制御を実行している。
さらに、排気集合管61におけるNOx吸蔵還元型触媒62よりも下流側、ここでは、O2センサ93の下流側には、NOxセンサ94が設けられている。NOxセンサ94は、排気ガス中に含まれる窒素酸化物、すなわち、NOxの濃度を検出し、検出したNOx濃度検出信号(出力電圧)をECU81に出力している。NOxセンサ94は、例えば、ジルコニア等の酸素イオン伝導性固体電解質層を有するものである。上述のNOx吸蔵還元型触媒62は、吸蔵できるNOx量に限界があるため、一定量のNOxを吸蔵した後、吸蔵しきれなかったNOx量が排気ガス中に増加する。そして、このNOxがNOx吸蔵還元型触媒62の下流側に流出すると、NOxセンサ94によって排気ガス中のNOx濃度として検出される。
上記のように構成されるエンジン1は、エアクリーナ52を通して吸気管51に導入された空気は、スロットル弁53に調量されてからサージタンク50に流れ、各吸気マニホールド48、49を介して各吸気ポート24、25に至り、吸気弁28、29の開放時に、吸気ポート24、25の空気が燃焼室22、23に吸入される。そして、この吸気行程時またはピストン16、17が上昇して吸入空気を圧縮する圧縮行程時に、インジェクタ72、73が燃焼室22、23に対して所定量の燃料を噴射する。すると、燃焼室22、23にて、高圧空気と霧状の燃料とが混合し、この混合気に対して点火プラグ77、78が着火して爆発することで、ピストン16、17が押し下げられて駆動力を出力する一方、排気弁30、31の開放時に、燃焼室22、23の排気ガスが排気ポート26、27から集合通路55、56で集合されてから第1排気管57及び第2排気管58に排出される。
そして、バンク12にて、燃焼室22から排気ポート26及び集合通路55を通して第1排気管57に排出された排気ガスは、前段三元触媒59を暖機して活性化させると共に、含有する有害物質が浄化処理されて排気集合管61に流れる。一方、バンク13にて、燃焼室23から排気ポート27及び集合通路56を通して第2排気管58に排出された排気ガスは、前段三元触媒60を暖機して活性化させると共に、含有する有害物質が浄化処理されて排気集合管61に流れる。そして、排気集合管61に流れ込んだ排気ガスは、NOx吸蔵還元型触媒62を暖機して活性化させると共に、排気ガスが適正に浄化処理されてから大気に放出される。
また、ECU81は、エンジン運転状態に基づいて吸気可変動弁機構40、41及び排気可変動弁機構42、43を制御可能となっている。すなわち、低温時、エンジン始動時、アイドル運転時や軽負荷時には、排気弁30、31の開放時期と吸気弁28、29の開放時期のオーバーラップとをなくすことで、排気ガスが吸気ポート24、25または燃焼室22、23に吹き返す量を少なくし、燃焼安定及び燃費向上を可能とする。また、中負荷時には、このオーバーラップを大きくすることで、内部EGR率を高めて排ガス浄化効率を向上させると共に、ポンピングロスを低減して燃費向上を可能とする。さらに、高負荷低中回転時には、吸気弁28、29の閉止時期を進角することで、吸気が吸気ポート24、25に吹き返す量を少なくして体積効率を向上させる。そして、高負荷高回転時には、吸気弁28、29の閉止時期を回転数にあわせて遅角することで、吸入空気の慣性力に合わせたタイミングとして体積効率を向上させる。
そして、本実施例のV型6気筒のエンジン1では、上述したように、ECU81は、A/Fセンサ88、89及びO2センサ90、91の検出結果に基づいて空燃比制御を実行している。ECU81は、A/Fセンサ88、89が検出した排気空燃比とエンジン運転状態に応じて設定された目標の空燃比である目標空燃比とを比較して燃料噴射量の補正量を算出し、各バンク12、13の気筒ごとに燃料噴射量を補正する空燃比メインフィードバック制御を実行している。さらに、ECU81は、O2センサ90、91が検出したストイキ検出信号(出力電圧)に基づいて、A/Fセンサ88、89の検出信号(出力電圧)、あるいは、燃料噴射量の補正量を補正する空燃比サブフィードバック制御を実行する。
すなわち、ECU81は、A/Fセンサ88、89によって検出される排気空燃比と目標空燃比との偏差に基づいて、当該排気空燃比が目標空燃比(例えば、理論空燃比)となるように燃料噴射量の補正量を算出し、各バンク12、13の気筒ごとに燃料噴射量を補正する空燃比メインフィードバック制御を実行する。これにより、ECU81は、A/Fセンサ88、89により検出される前段三元触媒59、60通過前の排気ガスの排気空燃比が目標空燃比に収束するようにエンジン1の各部を制御し、燃焼室22、23における混合気の燃焼を運転状態に合わせた最適な燃焼状態に制御する。すなわち、空燃比メインフィードバック制御では、前段三元触媒59、60通過前の排気ガスの排気空燃比を目標空燃比に近づけるような燃料噴射量の補正量が設定される。
そして、ECU81は、O2センサ90、91によって検出される出力電圧と所定の空燃比(例えば、理論空燃比)に応じた目標電圧との偏差に基づいて、当該O2センサ90、91の出力電圧が目標電圧となるようにA/Fセンサ88、89の出力電圧(検出信号)、あるいは、燃料噴射量の補正量を算出し、各バンク12、13の気筒ごとに燃料噴射量を補正する空燃比サブフィードバック制御を実行する。これにより、ECU81は、前段三元触媒59、60通過後の排気ガスの排気空燃比が所定の空燃比に収束するようにエンジン1の各部を制御し、前段三元触媒59、60における浄化処理が効率的に行われる最適な排気空燃比に制御する。すなわち、空燃比サブフィードバック制御では、前段三元触媒59、60通過後の排気ガスの排気空燃比を所定の空燃比に近づけるようなA/Fセンサ88、89の出力電圧(検出信号)、あるいは、燃料噴射量の補正量が設定される。つまり、空燃比サブフィードバック制御は、基本的には、前段三元触媒59、60の下流に流出してくる排気ガスがリッチあるいはリーンに偏った場合に、O2センサ90、91によって検出される出力電圧と理論空燃比に応じた目標電圧との偏差に基づいて、その偏りを是正するように空燃比メインフィードバック制御の制御パラメータを補正するための制御である。
なお、ECU81は、A/Fセンサ88、89が検出した検出信号に基づいて、空燃比メインフィードバック制御で用いられるフィードバック補正値(燃料噴射量の補正量)とその制御中心との間のずれに応じてメイン学習値を統計的に学習し、これを空燃比メインフィードバック制御に反映させるメイン空燃比学習制御を実行することで、各種装置の定常的なずれを補償するようにしてもよい。この場合、ECU81は、O2センサ90、91が検出したストイキ検出信号(出力電圧)に基づいて、A/Fセンサ88、89の検出信号(出力電圧)を補正するサブ空燃比学習制御を実行することで、メインA/F学習制御で使用されるA/Fセンサ88、89の検出信号を補正してもよい。
ここで、本実施例のエンジン1では、エンジン1の運転状態に応じて、圧縮行程中に燃焼室22、23に燃料を噴射して点火プラグ77、78の近傍に混合気を形成する成層燃焼を実行可能であると共に、吸気行程中に燃焼室22、23に燃料を噴射して均一な混合気を形成する均質燃焼が実現可能となっている。また、エンジン1は、エンジン1の運転状態に応じて、成層リーン燃焼と均質リーン燃焼とを選択的に実現可能となっている。そして、NOx吸蔵還元型触媒62は、このエンジン1のリーン運転(成層リーン燃焼または均質リーン燃焼)時に、排気ガス中に含まれるNOxを一旦吸蔵し、排気ガス中の酸素濃度が低下したリッチ運転時に、吸蔵したNOxを放出し、リッチ空燃比となった排気ガス中の還元剤(HC、CO)によりこの放出したNOxをN2に還元している。
すなわち、NOx吸蔵還元型触媒62は、エンジン1のリーン運転時に、排気ガス中に含まれるNOxを一旦吸蔵しており、ECU81は、このNOx吸蔵還元型触媒62におけるNOx吸蔵量が予め設定された所定量を超えたとき、例えば、NOxセンサ94により検出されるNOx濃度が所定濃度を超えたときには、空燃比をリッチに変化させることで排気空燃比をリッチ状態とする、いわゆる、リッチスパイク制御を実行する。このリッチスパイク制御が実行されると、NOx吸蔵還元型触媒62に吸蔵されているNOxが放出され、このNOxが排気ガス中の還元剤(HC、CO)により還元されることで、NOx吸蔵能力を回復させることができる。
ところで、燃料には硫黄成分が含まれており、この硫黄成分を含む燃料が燃焼して排気ガスとして各第1、第2排気管57、58に排出されると、排気ガス中の硫黄成分がNOx吸蔵還元型触媒62に吸着されて被毒し、NOxの浄化効率は低下してしまうおそれがある。
そこで、本実施例のV型6気筒エンジン1では、ECU81は、例えば、バンク12の気筒群12aからの排気ガスをリーン雰囲気とし、バンク13の気筒群13aからの排気ガスをリッチ雰囲気とし、バンク12の気筒群12aから排出されたリーン雰囲気の排気ガスを第1排気管57に流し、バンク13の気筒群13aから排出されたリッチ雰囲気の排気ガスを第2排気管58に流し、排気集合管61で合流させ、NOx吸蔵還元型触媒62における酸化発熱反応を利用してこのNOx吸蔵還元型触媒62を高温でかつリッチ雰囲気とすることで、NOx吸蔵還元型触媒62に蓄積された硫黄成分を放出して再生するバンク制御を実行している。
すなわち、ECU81は、NOx吸蔵還元型触媒62に蓄積された硫黄成分を放出してNOx吸蔵還元型触媒62を再生するバンク制御として、バンク12の気筒群12aとバンク13の気筒群13aとで排出される排気ガスの空燃比を異ならせる制御を実行する。つまり、ECU81は、バンク12の気筒群12aとバンク13の気筒群13aとで燃焼室22、23で燃焼させる混合気の燃料と空気との混合比(空燃比)を異ならせることで、例えば、一方のバンク12の気筒群12aからの排気ガスをリーン雰囲気とし、他方のバンク13の気筒群13aからの排気ガスをリッチ雰囲気とする。そして、これらの空燃比の異なる排気ガスが第1排気管57、第2排気管58を介して排気集合管61で合流することで、リーン空燃比の排気ガスに含まれる酸素とリッチ空燃比の排気ガスに含まれる炭化水素とがNOx吸蔵還元型触媒62にて酸化反応し、この酸化反応に伴う発熱によってNOx吸蔵還元型触媒62の温度が上昇する。この結果、NOx吸蔵還元型触媒62は硫黄成分を放出できる温度に達し、かつ、NOx吸蔵還元型触媒62をリッチ雰囲気とすることで硫黄成分を放出するので、NOx吸蔵還元型触媒62の浄化能力を再生し確保することができる。また、これにより、NOx吸蔵還元型触媒62を迅速に活性化温度まで暖機することもできる。
なお、ECU81は、例えば、NOx吸蔵還元型触媒62に付着した硫黄付着量が予め設定された所定値を超え、かつ、エンジン負荷やエンジン回転数などのエンジン運転状態がバンク制御可能な範囲にある際に、一方のバンク12の気筒群12aからの排気ガスをリーン雰囲気とし、他方のバンク13の気筒群13aからの排気ガスをリッチ雰囲気とすることでNOx吸蔵還元型触媒62の温度を上昇させるバンク制御を実行すればよい。また、ECU81は、例えば、前回のバンク制御を実行してからの車両の走行距離や時間などに基づいて、NOx吸蔵還元型触媒62に付着した硫黄成分の付着量を推定すればよい。
ここで、本実施例のV型6気筒のエンジン1では、一方のバンク12の気筒群12aからの排気ガスをリーン雰囲気とし、他方のバンク13の気筒群13aからの排気ガスをリッチ雰囲気とすることでNOx吸蔵還元型触媒62の温度を上昇させ、かつ、リッチ雰囲気とすることで硫黄成分を放出、還元させるバンク制御を実行している際には、ECU81は、A/Fセンサ92及びO2センサ93の検出結果に基づいて空燃比制御を実行している。ECU81は、A/Fセンサ92が検出した排気空燃比とエンジン運転状態に応じて設定された目標の空燃比である目標空燃比とを比較して燃料噴射量の補正量を算出し、各バンク12、13の気筒ごとに燃料噴射量を補正する空燃比メインフィードバック制御を実行している。さらに、ECU81は、O2センサ93が検出したストイキ検出信号(出力電圧)に基づいて、A/Fセンサ92の検出信号(出力電圧)、あるいは、燃料噴射量の補正量を補正する空燃比サブフィードバック制御を実行する。
すなわち、ECU81は、バンク制御中においては、A/Fセンサ92によって検出される排気空燃比と目標空燃比との偏差に基づいて、当該排気空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量の補正量を算出し、各バンク12、13の気筒ごとに燃料噴射量を補正する空燃比メインフィードバック制御を実行する。これにより、ECU81は、A/Fセンサ92により検出されるNOx吸蔵還元型触媒62通過前の排気ガスの排気空燃比が目標空燃比に収束するようにエンジン1の各部を制御し、燃焼室22、23における混合気の燃焼を運転状態に合わせた最適な燃焼状態に制御する。すなわち、空燃比メインフィードバック制御では、NOx吸蔵還元型触媒62通過前の排気ガスの排気空燃比を目標空燃比に近づけるような燃料噴射量の補正量が設定される。
そして、ECU81は、バンク制御中においては、O2センサ93によって検出される出力値としての出力電圧と所定の空燃比(例えば、理論空燃比から弱リッチ空燃比)に応じた目標出力値としての目標電圧との偏差に基づいて、当該O2センサ93の出力電圧が目標電圧となるようA/Fセンサ92の出力電圧(検出信号)、あるいは、燃料噴射量の補正量を算出し、各バンク12、13の気筒ごとに燃料噴射量を補正する空燃比サブフィードバック制御を実行する。これにより、ECU81は、NOx吸蔵還元型触媒62通過後の排気ガスの排気空燃比が所定の空燃比に収束するようにエンジン1の各部を制御し、NOx吸蔵還元型触媒62における浄化処理が効率的に行われる最適な排気空燃比に制御する。すなわち、空燃比サブフィードバック制御では、NOx吸蔵還元型触媒62通過後の排気ガスの排気空燃比を所定の空燃比に近づけるようなA/Fセンサ92の出力電圧(検出信号)、あるいは、燃料噴射量の補正量が設定される。つまり、空燃比サブフィードバック制御は、基本的には、O2センサ93によって検出される出力電圧と所定の空燃比に応じた目標電圧との偏差に基づいてNOx吸蔵還元型触媒62の下流に流出してくる排気ガスの排気空燃比を補正するように空燃比メインフィードバック制御の制御パラメータを補正するための制御である。
ところで、バンク制御中の空燃比サブフィードバック制御に用いられるO2センサ93は、O2センサ93の検出素子の温度が上昇するとリッチ領域では出力値としての出力電圧が低下する出力特性を有していることから、このバンク制御中の空燃比サブフィードバック制御による空燃比制御の精度が低下するおそれがある。
図3の上段の図は、本発明の実施例に係るエンジン1の排気空燃比とOセンサ93の出力電圧との関係を表す線図である。本図では、O2センサ93の検出素子の温度が比較的に低い場合の出力電圧を実線で示し、比較的に高い場合の出力電圧を一点鎖線で示している。すなわち、O2センサ93は、検出素子の温度が所定の許容温度を超えて上昇すると、同一の排気空燃比であってもリッチ領域では出力電圧が低下する。そして、温度上昇により本来よりもリッチ領域での出力が低下したままのO2センサ93の出力電圧Bを目標電圧Aに収束させるように空燃比サブフィードバック制御を実行すると、本来よりも出力電圧が低下しているがために、実際の排気ガスの空燃比がこの出力電圧の低下分に応じて所定の空燃比よりリッチ側にずれてしまうおそれがあり、この結果、空燃比制御の精度が低下するおそれがある。
特に、このエンジン1は、NOx吸蔵還元型触媒62の硫黄成分を放出、還元させるバンク制御においては、一方のバンク12の気筒群12aからの排気ガスをリーン雰囲気とし、他方のバンク13の気筒群13aからの排気ガスをリッチ雰囲気とすることでNOx吸蔵還元型触媒62の温度を上昇させることから、O2センサ93の検出素子の温度が許容温度を超えて上昇しやすいこともあり、この空燃比のリッチずれが顕著に発生するおそれがあり、このため、空燃比制御の精度が顕著に低下するおそれがある。そして、このバンク制御中の空燃比サブフィードバック制御による空燃比制御の精度が低下することで、THC、COなどの流出によるエミッション性の悪化やSO、SHの流出による触媒臭の増加などをまねくおそれがある。
そこで、本実施例のエンジン1は、図1に示すように、O2センサ93の素子の温度に応じて目標電圧を補正する補正手段としての補正部81fを設けることで、バンク制御中においても高精度な空燃比制御を行い、これにより、エミッション性の悪化や触媒臭の増加を抑制している。
具体的には、本実施例のエンジン1は、図1に示すように、機能概念的に、例えば、制御手段としてのエンジン制御部81dと、推定手段としての素子温度判定部81eと、補正手段としての補正部81fをなす目標電圧補正量算出部81g及び目標電圧補正部81hとがECU81に設けられる。
ここで、このECU81は、マイクロコンピュータを中心として構成され処理部81a、記憶部81b及び入出力部81cを有し、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。入出力部81cには上述したようにエンジン1の各部を駆動する不図示の駆動回路、A/Fセンサ88、89、O2センサ90、91、A/Fセンサ92、O2センサ93、NOxセンサ94などの各種センサが接続されており、この入出力部81cは、これらのセンサ等との間で信号の入出力を行なう。また、記憶部81bには、エンジン1の各部を制御するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部81bは、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。処理部81aは、不図示のメモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されており、上述のエンジン制御部81dと、素子温度判定部81eと、補正部81fをなす目標電圧補正量算出部81g及び目標電圧補正部81hとを有している。図4で説明するOセンサ素子温度判定制御、図5で説明するOセンサ目標電圧補正制御は、各部に設けられたセンサによる検出結果に基づいて、処理部81aが前記コンピュータプログラムを当該処理部81aに組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じて制御信号を送ることにより実行される。その際に処理部81aは、適宜記憶部81bへ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、このエンジン1を制御する場合には、前記コンピュータプログラムの代わりに、ECU81とは異なる専用のハードウェアによって制御してもよい。
そして、エンジン制御部81dは、上述したように、インジェクタ72、73の燃料噴射タイミングや点火プラグ77、78の点火時期などを制御可能となっており、エンジン1の全体を制御するものである。そして、このエンジン制御部81dは、例えば、一方のバンク12の気筒群12aからの排気ガスをリーン雰囲気とし、他方のバンク13の気筒群13aからの排気ガスをリッチ雰囲気とすることでNOx吸蔵還元型触媒62の温度を上昇させ、かつ、リッチ雰囲気とすることで硫黄成分を放出、還元させるバンク制御を実行すると共に、空燃比メインフィードバック制御や空燃比サブフィードバック制御を実行するものである。
素子温度判定部81eは、O2センサ93の素子温度を推定し、この素子温度が所定の許容温度を超えて上昇したか否かを判定するものである。ここで、所定の許容温度は、同一の空燃比に対するO2センサ93の出力電圧が顕著に低下する温度である。
補正部81fなす目標電圧補正量算出部81gは、素子温度判定部81eによりO2センサ93の素子温度が所定の許容温度を超えて上昇したと判定された際に、O2センサ93の素子温度に基づいて、O2センサ93の目標電圧の補正量を算出するものである。
補正部81fなす目標電圧補正部81hは、素子温度判定部81eによりO2センサ93の素子温度が所定の許容温度を超えて上昇したと判定された際に、目標電圧補正量算出部81gが算出した補正量に基づいて、補正後のO2センサ93の目標電圧を算出するものである。
ここで、上述した排気ガス中に含まれるNOxの濃度を検出可能なNOxセンサ94は、バンク制御中において、排気ガス中のアンモニア、すなわち、NHの濃度を検出することができる。つまり、NOxセンサ94は、NOx吸蔵還元型触媒62を通過した排気ガスのNH濃度を検出する本発明のアンモニア濃度検出手段に相当する。
図3の下段の図は、本発明の実施例に係るエンジン1の排気空燃比とNOxセンサ94の出力電圧との関係を表す線図である。すなわち、NOxセンサ94は、上述したように、リーン運転時に、NOx吸蔵還元型触媒62の下流側にNOxが流出すると、この流出したNOxの濃度を出力電圧として検出する(図3に示す一点鎖線参照)。一方、このNOxセンサ94は、一方のバンク12の気筒群12aからの排気ガスをリーン雰囲気とし、他方のバンク13の気筒群13aからの排気ガスをリッチ雰囲気とすることでNOx吸蔵還元型触媒62の温度を上昇させ、かつ、リッチ雰囲気とすることで硫黄成分を放出、還元させるバンク制御中においては、このバンク制御中に発生するNHの濃度を出力電圧として検出する特性を有する(図3に示す実線参照)。バンク制御中の空燃比がリッチのときに、すなわち、還元雰囲気のときには、NOx吸蔵還元型触媒62に流入し硫黄成分を還元させる還元剤の量がNOx吸蔵還元型触媒62にて消費しうる還元剤の量よりも多いと、排気ガス中の窒素Nが炭化水素HCにより還元され、NHが生成される。すなわち、余剰の還元剤がNHの形でNOx吸蔵還元型触媒62から流出し、これがNOxセンサ94によって検出される。一方、空燃比がリーンのとき、すなわち酸化雰囲気のときには、NHは、NOx吸蔵還元型触媒62からほとんど流出しない。つまり、このNOxセンサ94は、一点鎖線で示すようにリーン運転時の出力電圧がNOx濃度に相当する一方、実線で示すように、バンク制御中のリッチ運転時の出力電圧がNH濃度に相当し、共に排気ガスの空燃比に応じた値となる。
そして、本実施例の素子温度判定部81e、補正部81fをなす目標電圧補正量算出部81g及び目標電圧補正部81hは、バンク制御中の空燃比がリッチのときにこのNOxセンサ94により検出される出力電圧に応じたNH濃度を利用して、O2センサ93の素子温度の推定、O2センサ93の目標電圧の補正を行っている。
すなわち、NOxセンサ94により検出されるNH濃度は、上述したように排気ガスの空燃比に応じた値となることから、O2センサ93により検出された空燃比に応じて当該空燃比のときにNOxセンサ94により検出されるはずのNH濃度、すなわち、当該空燃比のときにNOx吸蔵還元型触媒62から流出するはずのNH量に応じたNH濃度を推定することができる。そして、O2センサ93により検出された空燃比に基づいて推定されるNH濃度を目標NH濃度とすると、O2センサ93の検出素子の温度上昇によりO2センサ93の出力が本来よりも低下していた場合、O2センサ93により検出された排気ガスの空燃比が実際の排気ガスの空燃比からずれた値となっていることから、実際にNOxセンサ94により検出されるNH濃度は、目標NH濃度に対してずれた値として検出される。つまり、O2センサ93の検出素子の温度が上昇してO2センサ93の出力電圧が低下すると、O2センサ93により検出された空燃比に基づいて設定される目標NH濃度とNOxセンサ94により実際に検出されるNH濃度とに偏差が生じる。例えば、NOxセンサ94により実際に検出されるNH濃度が目標NH濃度より高い場合、O2センサ93の素子温度が上昇しO2センサ93の出力電圧が本来よりも低下していることで、実際の排気ガスの空燃比がこの出力電圧の低下分に応じて所定の空燃比(目標電圧に応じた空燃比)よりリッチ側にずれてしまっていると推定できる。さらに言えば、O2センサ93の素子温度が上昇しO2センサ93の出力電圧が本来よりも低下している分、実際の排気ガスの空燃比が所定の空燃比よりリッチ側に偏り、これに応じてNOxセンサ94により実際に検出されるNH濃度が高くなり、この結果、O2センサ93により検出された空燃比に基づいて設定される目標NH濃度とNOxセンサ94により実際に検出されるNH濃度とに偏差が生じる。
言い換えれば、O2センサ93により検出された空燃比に基づいて設定される目標NH濃度とNOxセンサ94により実際に検出されるNH濃度とに偏差が生じている場合、その分、実際の排気ガスの空燃比が所定の空燃比よりリッチ側に偏っていると推定でき、O2センサ93により検出された排気ガスの空燃比と実際の排気ガスの空燃比とがずれていると推定でき、つまり、O2センサ93の検出素子の温度が上昇し所定の許容温度を超えてO2センサ93の出力が本来よりも低下していると推定できる。そして、目標NH濃度とNOxセンサ94により実際に検出される実NH濃度との偏差は、O2センサ93の検出素子の温度上昇分、すなわち、O2センサ93の出力電圧の低下分に相当することとなる。
したがって、素子温度判定部81eは、O2センサ93により検出された空燃比に基づいて設定される目標NH濃度と、NOxセンサ94により実際に検出される実NH濃度との偏差に基づいてO2センサ93の素子温度を推定することができ、当該偏差が許容温度に応じた許容値を超えたか否かを判定することで、この素子温度が所定の許容温度を超えて上昇したか否かを判定することができる。
同様に、補正部81fなす目標電圧補正量算出部81gは、O2センサ93により検出された空燃比に基づいて設定される目標NH濃度と、NOxセンサ94により実際に検出される実NH濃度との偏差に基づいてO2センサ93の目標電圧の補正量を算出することで、O2センサ93の素子温度に基づいたO2センサ93の目標電圧の補正量を算出することができる。そして、補正部81fなす目標電圧補正部81hは、目標電圧補正量算出部81gが算出した補正量に基づいて、補正後のO2センサ93の目標電圧を算出することで、O2センサ93の素子温度に基づいた補正後のO2センサ93の目標電圧を算出することができる。したがって、補正部81fは、目標電圧補正量算出部81gがO2センサ93の目標電圧の補正量を算出し、目標電圧補正部81hがこの補正量に基づいて補正後のO2センサ93の目標電圧を算出することで、O2センサ93により検出された空燃比に基づいて設定される目標NH濃度と、NOxセンサ94により実際に検出される実NH濃度との偏差に基づいてO2センサ93の目標電圧を補正することができ、O2センサ93の素子の温度に応じて、言い換えれば、O2センサ93の出力低下分に応じて当該目標電圧を補正することができる。
したがって、素子温度判定部81e、補正部81fをなす目標電圧補正量算出部81g及び目標電圧補正部81hは、O2センサ93により検出された空燃比に基づいて設定される目標NH濃度と、NOxセンサ94により実際に検出される実NH濃度との偏差に基づいて、O2センサ93の素子温度の推定及び判定やO2センサ93の目標電圧の補正を行うことで、例えば、O2センサ93の素子温度の推定及び判定やO2センサ93の目標電圧の補正をO2センサ93への供給熱量演算などに基づいて行う場合と比較して、より正確にO2センサ93の素子温度の推定及び判定やO2センサ93の目標電圧の補正を行うことができる。また、例えば、熱電対を用いてO2センサ93の素子温度の推定及び判定やO2センサ93の目標電圧の補正を行う場合と比較して、上述の素子温度判定部81e、補正部81fをなす目標電圧補正量算出部81g及び目標電圧補正部81hのように、O2センサ93により検出された空燃比に基づいて設定される目標NH濃度と、NOxセンサ94により実際に検出される実NH濃度との偏差に基づいてO2センサ93の素子温度の推定及び判定やO2センサ93の目標電圧の補正を行う構成であれば、応答遅れなどが生じるおそれも少ないことから、より正確にO2センサ93の素子温度の推定及び判定やO2センサ93の目標電圧の補正を行うことができる。また、NOx濃度を検出するために用いられるNOxセンサ94によって検出されるNH濃度に基づいて、素子温度判定部81e、補正部81fをなす目標電圧補正量算出部81g及び目標電圧補正部81hがO2センサ93の素子温度の推定及び判定やO2センサ93の目標電圧の補正を行うことで、部品点数を増やすことなく、より正確にO2センサ93の素子温度の推定及び判定やO2センサ93の目標電圧の補正を行うことができる。
そして、補正部81fは、O2センサ93の素子の温度が高い側、すなわち、O2センサ93により検出された空燃比に基づいて設定される目標NH濃度とNOxセンサ94により実際に検出される実NH濃度との偏差が大きい側における目標電圧をO2センサ93の素子の温度が低い側、すなわち、当該偏差が小さい側における目標電圧より低く設定する。つまり、目標電圧補正量算出部81gは、O2センサ93の素子の温度が高い側、すなわち、O2センサ93により検出された空燃比に基づいて設定される目標NH濃度とNOxセンサ94により実際に検出される実NH濃度との偏差が大きい側において目標電圧の補正量を大きく設定し、目標電圧補正部81hは、例えば、通常時の目標電圧からこの補正量を減算するなどして補正後の目標電圧を相対的に低い値に設定する。
そして、エンジン制御部81dは、O2センサ93の素子温度が所定の許容温度を超えて上昇した際に、O2センサ93によって検出される出力電圧と補正部81fにより補正された目標電圧との偏差に基づいて、当該O2センサ93の出力電圧が目標電圧となるよう空燃比サブフィードバック制御を実行することで、バンク制御中においても、O2センサ93の温度上昇によるO2センサ93の出力電圧の低下の影響を抑制したより高精度な空燃比制御を行うことができる。これにより、常に最適な空燃比を設定でき、エミッション性の悪化や触媒臭の増加を抑制することができる。
なお、O2センサ93により検出された空燃比と目標NH濃度との対応関係は、エンジン1の運転条件などに応じて予め実験等により作成された目標NH濃度マップとして記憶部81bに記憶しておけばよい。そして、素子温度判定部81eや補正部81fは、この目標NH濃度マップに基づいてO2センサ93により検出された空燃比に応じた目標NH濃度を設定するようにすればよい。
また、この目標NH濃度は、バンク制御の際に一方のバンク12の気筒群12aから排出される排気ガスの空燃比と他方のバンク13の気筒群13aから排出される排気ガスの空燃比との空燃比比率、いわゆる、リッチ/リーン比率に基づいて設定するようにしてもよい。すなわち、O2センサ93により検出された空燃比と目標NH濃度との対応関係を示す目標NH濃度マップは、エンジン1の運転条件と共にこのリッチ/リーン比率に応じて予め実験等により作成しておくとよい。この場合、一方のバンク12の気筒群12aからの排気ガスをリーン雰囲気とし、他方のバンク13の気筒群13aからの排気ガスをリッチ雰囲気とすることでNOx吸蔵還元型触媒62の温度を上昇させ、かつ、リッチ雰囲気とすることで硫黄成分を放出、還元させるバンク制御の際のリッチ/リーン比率に応じて目標電圧の補正量を設定し、補正後の目標電圧を算出することができることから、エンジン制御部81dは、より精度の高い空燃比制御を実行することができる。
次に、図4、図5のフローチャートを参照して、本実施例に係るエンジン1におけるOセンサ素子温度判定制御、Oセンサ目標電圧補正制御を説明する。なお、この制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。
まず、図4に示すOセンサ素子温度判定制御において、ECU81の素子温度判定部81eは、O2センサ93により検出された空燃比を取得し、予め記憶部81bに記憶されている目標NH濃度マップに基づいてこの空燃比に応じた目標NH濃度を設定する。そして、素子温度判定部81eは、NOxセンサ94により実際に検出される実NH濃度を取得し、この実NH濃度と目標NH濃度との偏差を算出する。そして、この実NH濃度と目標NH濃度との偏差が許容値より大きいか否かを判定する(S100)。
そして、実NH濃度と目標NH濃度との偏差が許容値以下であると判定した場合(S100:No)、すなわち、O2センサ93の素子温度が当該O2センサ93の出力電圧が顕著に低下する許容温度以下であると判定された場合、S100の処理を繰り返し実行する。一方、実NH濃度と目標NH濃度との偏差が許容値より大きいと判定した場合(S100:Yes)、すなわち、O2センサ93の素子温度が当該O2センサ93の出力電圧が顕著に低下する許容温度を超えたと判定された場合、素子温度判定部81eは、O2センサ素子温度上昇フラグを「ON」にして(S102)、このOセンサ素子温度判定制御を終了する。なお、O2センサ素子温度上昇フラグは、実NH濃度と目標NH濃度との偏差が再び許容値以下となった場合に「OFF」にすればよい。
次に、図5に示すOセンサ目標電圧補正制御において、エンジン制御部81dは、所定の開始条件が成立すると一方のバンク12の気筒群12aからの排気ガスをリーン雰囲気とし、他方のバンク13の気筒群13aからの排気ガスをリッチ雰囲気とすることでNOx吸蔵還元型触媒62の温度を上昇させ、かつ、リッチ雰囲気とすることで硫黄成分を放出、還元させるバンク制御を実行する(S200)。すでにバンク制御が実行中であれば、このバンク制御を継続する。
そして、ECU81の素子温度判定部81eは、O2センサ素子温度上昇フラグがONか否かを判定する(S202)。O2センサ素子温度上昇フラグがOFFであると判定された場合(S202:No)、すなわち、O2センサ93の素子温度が当該O2センサ93の出力電圧が顕著に低下する許容温度以下である判定された場合、S200に戻って以降の処理を繰り返し実行する。この場合、エンジン制御部81dは、補正部81fにより補正されていない目標電圧に基づいて、O2センサ93の出力電圧が目標電圧となるよう空燃比サブフィードバック制御を実行している。
一方、O2センサ素子温度上昇フラグがONであると判定された場合(S202:Yes)、すなわち、O2センサ93の素子温度が当該O2センサ93の出力電圧が顕著に低下する許容温度を超えたと判定された場合、ECU81の目標電圧補正量算出部81gは、O2センサ93により検出された空燃比を取得し、予め記憶部81bに記憶されている目標NH濃度マップに基づいてこの空燃比に応じた目標NH濃度を設定する。そして、目標電圧補正量算出部81gは、NOxセンサ94により実際に検出される実NH濃度を取得し、この実NH濃度と目標NH濃度との偏差を算出し、この偏差に基づいてO2センサ93の目標電圧の補正量を算出する(S204)。
ECU81の目標電圧補正部81hは、S204にて、目標電圧補正量算出部81gが算出したO2センサ93の目標電圧の補正量に基づいて、例えば、通常時の目標電圧からこの補正量を減算するなどして、O2センサ93の目標電圧を補正して(S206)、このOセンサ目標電圧補正制御を終了する。そして、この場合、エンジン制御部81dは、補正された目標電圧との偏差に基づいて、O2センサ93の出力電圧が目標電圧となるよう空燃比サブフィードバック制御を実行する。
以上で説明した本発明の実施例に係るエンジン1によれば、空気と燃料との混合気が燃焼可能な複数の燃焼室22、23からなる少なくとも2つの気筒群12a、13aと、2つの気筒群12a、13aに対してそれぞれ独立して設けられ燃料室22、23から排気ガスを排出可能な2つの第1、第2排気管57、58と、2つの第1、第2排気管57、58が合流した排気集合管61と、排気集合管61に設けられ排気ガスを浄化するNOx吸蔵還元型触媒62と、排気ガスの排気方向に対して排気集合管61のNOx吸蔵還元型触媒62より下流側に設けられ排気ガスの空燃比を検出するO2センサ93と、一方の気筒群12aと他方の気筒群13aとで排出される排気ガスの空燃比を異ならせ排気集合管61でこの排気ガスを合流させることでNOx吸蔵還元型触媒62の温度を上昇させるバンク制御を実行すると共に、O2センサ93により検出される排気ガスの空燃比に応じた出力電圧が所定の空燃比に応じた目標電圧となるように空燃比サブフィードバック制御を実行するエンジン制御部81dと、O2センサ93の素子の温度に応じて目標電圧を補正する補正部81fとを備える。
したがって、O2センサ93の素子の温度に応じてO2センサ93の目標電圧を補正する補正部81fを備えるので、エンジン制御部81dが補正部81fによりO2センサ93の素子の温度に応じて補正された目標電圧を用いて、O2センサ93の出力値が補正された目標電圧となるように空燃比サブフィードバック制御を実行することから、高精度な空燃比制御を行うことができる。これにより、エミッション性の悪化や触媒臭の増加を抑制している。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るエンジン1によれば、排気ガスの排気方向に対して排気集合管61のNOx吸蔵還元型触媒62より下流側に設けられNOx吸蔵還元型触媒62を通過した排気ガスのNHの濃度を検出するNOxセンサ94を備え、補正部81fは、NOxセンサ94により検出されるNH濃度と、O2センサ93により検出される排気ガスの空燃比に応じた目標NH濃度との偏差に基づいてO2センサ93の目標電圧を補正する。したがって、補正部81fがO2センサ93により検出された空燃比に基づいて設定される目標NH濃度と、NOxセンサ94により実際に検出されるNH濃度との偏差に基づいて、O2センサ93の目標電圧の補正を行うことで、より正確にO2センサ93の目標電圧の補正を行うことができる。この結果、より高精度な空燃比制御を行うことができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るエンジン1によれば、NOxセンサ94により検出されるNH濃度と目標NH濃度との偏差に基づいてO2センサ93の素子の温度を推定する素子温度判定部81eを備える。したがって、素子温度判定部81eがO2センサ93により検出された空燃比に基づいて設定される目標NH濃度と、NOxセンサ94により実際に検出されるNH濃度との偏差に基づいて、O2センサ93の素子温度の推定及び判定を行うことで、より正確にO2センサ93の素子温度の推定及び判定を行うことができる。この結果、より高精度な空燃比制御を行うことができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るエンジン1によれば、目標NH濃度は、一方の気筒群12aから排出される排気ガスの空燃比と他方の気筒群13aから排出される排気ガスの空燃比との空燃比比率、いわゆる、リッチ/リーン比率に基づいて設定される。したがって、一方のバンク12の気筒群12aからの排気ガスをリーン雰囲気とし、他方のバンク13の気筒群13aからの排気ガスをリッチ雰囲気とすることでNOx吸蔵還元型触媒62の温度を上昇させ、かつ、リッチ雰囲気とすることで硫黄成分を放出、還元させるバンク制御の際のリッチ/リーン比率に応じてO2センサ93の素子温度の推定及び判定をすると共に、目標電圧の補正量を設定し、補正後の目標電圧を算出することができることから、より精度の高い空燃比制御を実行することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るエンジン1によれば、NOx吸蔵還元型触媒62は、排気ガスの空燃比がリーンのときに当該排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し、排気ガスの空燃比がリッチ又はストイキにあるときに、吸蔵したNOxを放出して還元し、NOxセンサ94は、排気ガス中に含まれるNOxの濃度を検出可能である。したがって、NOx吸蔵還元型触媒62を通過した排気ガスのNOxの濃度を検出する手段と、NOx吸蔵還元型触媒62を通過した排気ガスのNHの濃度を検出する手段とをNOxセンサ94により兼用することができるので、部品点数を増やすことなく、より正確にO2センサ93の素子温度の推定及び判定やO2センサ93の目標電圧の補正を行うことができ、より精度の高い空燃比制御を実行することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るエンジン1によれば、O2センサ93は、排気ガスの空燃比に対して理論空燃比を基準にしてリッチ側とリーン側とで出力が急変する出力特性を有すると共にO2センサ93の素子の温度が上昇するとリッチ領域では出力値が低下する出力特性を有し、補正部81fは、O2センサ93の素子の温度が高い側における目標電圧を低い側における目標電圧より低く設定する。したがって、O2センサ93の検出素子の温度上昇によりリッチ領域でのO2センサ93の出力が本来よりも低下していた場合であっても、補正部81fがO2センサ93の目標電圧を低く設定することから、実際の排気ガスの空燃比がO2センサ93の出力電圧の低下分に応じて所定の空燃比よりリッチ側にずれてしまうことを抑制することができ、この結果、空燃比制御の精度が低下することを抑制することができる。
なお、上述した本発明の実施例に係る内燃機関は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上で説明した実施例では、内燃機関としてV型6気筒エンジンを適用したが、気筒数などは実施例に限定されるものではない。さらに、内燃機関の燃料噴射形式を筒内噴射式としたが、ポート噴射式であってもよい。
また、以上の説明では、排気集合通路に設けられ排気ガスを浄化する浄化触媒は、NOx吸蔵還元型触媒62であるものとして説明したがこれに限らない。
また、以上の説明では、空燃比検出手段の素子の温度に応じて空燃比検出手段の目標出力値としての目標電圧を補正するものとして説明したが、空燃比検出手段の出力値としての出力電圧そのものを補正するようにしてもよい。この場合、補正手段は、空燃比検出手段の素子の温度が高い側における出力電圧を低い側における出力電圧より高く設定すればよい。
また、以上の説明では、浄化触媒を通過した排気ガスのアンモニア濃度を検出するアンモニア濃度検出手段は、排気ガス中に含まれる窒素酸化物の濃度を検出するNOxセンサ94により兼用されるものとして説明したが、NOxセンサ94とは別体にアンモニア濃度センサを設けるようにしてもよい。
また、以上の説明では、補正手段は、アンモニア濃度検出手段により検出されるアンモニア濃度と、空燃比検出手段により検出される排気ガスの空燃比に応じた目標アンモニア濃度との偏差に基づいて空燃比検出手段の出力値又は目標出力値を補正することで、空燃比検出手段の素子の温度に応じて空燃比検出手段の出力値又は目標出力値を補正するものとして説明したが、これに限らない。例えば、空燃比検出手段の素子の温度を熱電対などにより検出、推定して、補正手段は、この検出、推定された空燃比検出手段の素子の温度に応じて空燃比検出手段の出力値又は目標出力値を補正するようにしてもよい。
同様に、推定手段としての素子温度判定部81eは、アンモニア濃度検出手段により検出されるアンモニア濃度と、目標アンモニア濃度との偏差に基づいて素子温度を推定し、この素子温度が所定の許容温度を超えて上昇したか否かを判定するものとして説明したが、熱電対などにより検出、推定された空燃比検出手段の素子の温度に応じてこの素子温度が所定の許容温度を超えて上昇したか否かを判定するようにしてもよい。また、以上の説明では、補正手段は、空燃比検出手段の素子温度が許容温度を超えた場合に空燃比検出手段の出力値又は目標出力値を補正するものとして説明したが、空燃比検出手段の素子の温度に対してリニアに空燃比検出手段の出力値又は目標出力値を補正するようにしてもよい。
以上のように、本発明に係る内燃機関は、高精度な空燃比制御を行うことができるものであり、空気と燃料との混合気が燃焼可能な複数の燃焼室からなる少なくとも2つの気筒群を備える内燃機関に用いて好適である。
本発明の実施例に係るエンジンの概略平面図である。 本発明の実施例に係るエンジンの概略断面図である。 本発明の実施例に係るエンジンの排気空燃比とOセンサの出力及びNOxセンサの出力との関係を表す線図である。 本発明の実施例に係るエンジンにおけるOセンサ素子温度判定制御を説明するフローチャートである。 本発明の実施例に係るエンジンにおけるOセンサ目標電圧補正制御を説明するフローチャートである。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
12、13 バンク
12a、13a 気筒群
22、23 燃焼室
57 第1排気管(排気通路)
58 第2排気管(排気通路)
59、60 前段三元触媒
61 排気集合管(排気集合通路)
62 NOx吸蔵還元型触媒(浄化触媒)
72、73 インジェクタ
77、78 点火プラグ
81 ECU
81a 処理部
81b 記憶部
81c 入出力部
81d エンジン制御部(制御手段)
81e 素子温度判定部(推定手段)
81f 補正部(補正手段)
81g 目標電圧補正量算出部
81h 目標電圧補正部
88、89、92 A/Fセンサ
90、91 Oセンサ
93 Oセンサ(空燃比検出手段)
94 NOxセンサ(アンモニア濃度検出手段)

Claims (6)

  1. 空気と燃料との混合気が燃焼可能な複数の燃焼室からなる少なくとも2つの気筒群と、
    前記2つの気筒群に対してそれぞれ独立して設けられ前記燃料室から排気ガスを排出可能な2つの排気通路と、
    前記2つの排気通路が合流した排気集合通路と、
    前記排気集合通路に設けられ前記排気ガスを浄化する浄化触媒と、
    前記排気ガスの排気方向に対して前記排気集合通路の前記浄化触媒より下流側に設けられ前記排気ガスの空燃比を検出する空燃比検出手段と、
    一方の前記気筒群と他方の前記気筒群とで排出される前記排気ガスの空燃比を異ならせ前記排気集合通路で当該排気ガスを合流させることで前記浄化触媒の温度を上昇させるバンク制御を実行すると共に、前記空燃比検出手段により検出される前記排気ガスの空燃比に応じた出力値が所定の空燃比に応じた目標出力値となるようにフィードバック制御を実行する制御手段と、
    前記空燃比検出手段の素子の温度に応じて前記出力値又は前記目標出力値を補正する補正手段とを備えることを特徴とする、
    内燃機関。
  2. 前記排気ガスの排気方向に対して前記排気集合通路の前記浄化触媒より下流側に設けられ前記浄化触媒を通過した前記排気ガスのアンモニア濃度を検出するアンモニア濃度検出手段を備え、
    前記補正手段は、前記アンモニア濃度検出手段により検出される前記アンモニア濃度と、前記空燃比検出手段により検出される前記排気ガスの空燃比に応じた目標アンモニア濃度との偏差に基づいて前記出力値又は前記目標出力値を補正することを特徴とする、
    請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記アンモニア濃度検出手段により検出される前記アンモニア濃度と、前記目標アンモニア濃度との偏差に基づいて前記素子の温度を推定する推定手段を備えることを特徴とする、
    請求項2に記載の内燃機関。
  4. 前記目標アンモニア濃度は、一方の前記気筒群から排出される前記排気ガスの空燃比と他方の前記気筒群から排出される前記排気ガスの空燃比との空燃比比率に基づいて設定されることを特徴とする、
    請求項2又は請求項3に記載の内燃機関。
  5. 前記浄化触媒は、前記排気ガスの空燃比がリーンのときに当該排気ガス中に含まれる窒素酸化物を吸蔵し、前記排気ガスの空燃比がリッチ又はストイキにあるときに、吸蔵した前記窒素酸化物を放出して還元し、
    前記アンモニア濃度検出手段は、前記排気ガス中に含まれる前記窒素酸化物の濃度を検出可能であることを特徴とする、
    請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の内燃機関。
  6. 前記空燃比検出手段は、前記排気ガスの空燃比に対して理論空燃比を基準にしてリッチ側とリーン側とで出力が急変する出力特性を有すると共に前記空燃比検出手段の素子の温度が上昇するとリッチ領域では前記出力値が低下する出力特性を有し、
    前記補正手段は、前記空燃比検出手段の素子の温度が高い側における前記出力値を低い側における前記出力値より高く設定する、又は、前記空燃比検出手段の素子の温度が高い側における前記目標出力値を低い側における前記目標出力値より低く設定することを特徴とする、
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の内燃機関。
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