JP2020070768A - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気の空燃比をより適切に制御して排気性能および燃費性能を高めることが可能となるエンジンの空燃比制御装置を提供する。【解決手段】三元触媒41a下流に第1空燃比センサSN12を設け、第1空燃比センサSN12よりも広い範囲で空燃比に応じた値を出力し且つ理論空燃比近傍での空燃比に対する出力値の変化量が第1空燃比センサSN12よりも小さい第2空燃比センサSN11を三元触媒41a上流に設け、三元触媒41aの下流に排気中のNOxセンサSN13を設ける。気筒内の目標空燃比が理論空燃比であるときは、第1空燃比センサSN12および第2空燃比センサSN11の出力値に基づいて前記目標空燃比が実現されるように空燃比変更手段を制御し、目標空燃比が理論空燃比よりも高いときは、第2空燃比センサSN11およびNOxセンサSN13の出力値に基づいて、目標空燃比が実現されるように空燃比変更手段を制御する。【選択図】図6

Description

本発明は、気筒が形成されたエンジン本体と、エンジン本体から排出された排気が通過する排気通路と、排気通路に設けられた三元触媒とを備えるエンジンの空燃比制御装置に関する。
従来、エンジンの排気通路に三元触媒を設けて、これにより排気を浄化することが行われている。具体的には、三元触媒は、通過する排気の空燃比が理論空燃比近傍のときにCO、HC、NOxを同時に浄化することが可能な触媒であり、この三元触媒を排気通路に設けるとともに排気の空燃比を理論空燃比近傍にすることで、CO、HC、NOxを同時に浄化することが行われている。
例えば、引用文献1には、排気通路に三元触媒と排気の空燃比を検出可能な酸素センサと排気中のNOxの濃度を検出可能なNOxセンサとが設けられたエンジンであって、三元触媒の上流側の排気通路に酸素センサが配設され、三元触媒の下流側の排気通路にNOxセンサが配設されたものが開示されている。引用文献1のエンジンでは、三元触媒に流入する排気の空燃比が理論空燃比となるように、酸素センサの出力値に基づいて気筒内の空燃比の基本値を決定するとともに、NOxセンサの出力値を用いてこの基本値を補正するように構成されている。
特開平10−68346号公報
ここで、排気性能を高める方法としては、排気の空燃比を理論空燃比よりも高くしてエンジンから排出されるNOxそのものを低減し、HC、COは三元触媒で浄化させるという方法がある。この方法によれば、排気の空燃比がリーンにされる(高くされる)ことで燃費性能も高めることができる。しかし、エンジンから排出されるNOxを十分に低減するには、排気の空燃比を十分に高くする必要があり、燃焼安定性の観点から全ての運転条件でこのような空燃比を実現するのは困難である。これに対して、本願発明者らは、一部の運転領域では排気の空燃比を理論空燃比にして三元触媒でHC,CO,NOxを浄化させ、一部の運転領域では排気の空燃比を理論空燃比よりも高くして排気性能および燃費性能を高める構成を検討した。ところが、この構成では、排気の空燃比を理論空燃比とこれよりも十分に高い値といった異なる値にそれぞれ精度よく制御する必要があり、空燃比の制御が困難であることが分かった。例えば、特許文献1の構成を適用して、前記の酸素センサとして排気の空燃比が理論空燃比であるか否かを精度よく検出できるセンサを用いた場合、排気の空燃比を理論空燃比近傍に精度よく制御することは可能かもしれないが、排気の空燃比を理論空燃比よりも十分に高い値に制御することが難しくなる。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、排気の空燃比をより適切に制御して排気性能および燃費性能を高めることが可能となるエンジンの空燃比制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、気筒が形成されたエンジン本体と、当該エンジン本体から排出された排気が通過する排気通路と、当該排気通路に設けられた三元触媒とを備えるエンジンの空燃比制御装置であって、前記三元触媒下流の排気通路に配設されて、排気の空燃比が理論空燃比近傍であるときに当該空燃比に応じた値を出力する第1空燃比センサと、前記三元触媒上流の排気通路に配設されて、空燃比について前記第1空燃比センサよりも広い範囲で排気の空燃比に応じた値を出力し、且つ、理論空燃比近傍での空燃比に対する出力値の変化量が前記第1空燃比センサよりも小さい第2空燃比センサと、前記三元触媒下流の排気通路に配設されて、排気中のNOxの濃度に応じた値を出力するNOxセンサと、前記気筒内の空燃比を変更可能な空燃比変更手段と、前記空燃比変更手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記気筒内の空燃比の目標値である目標空燃比が理論空燃比であるときは、前記第1空燃比センサの出力値と前記第2空燃比センサの出力値とに基づいて、前記目標空燃比が実現されるように前記空燃比変更手段を制御し、前記目標空燃比が理論空燃比よりも高いときは、前記第2空燃比センサの出力値と前記NOxセンサの出力値とに基づいて、前記目標空燃比が実現されるように前記空燃比変更手段を制御する、ことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置を提供する(請求項1)。
本発明によれば、目標空燃比が理論空燃比近傍のときは、理論空燃比近傍での空燃比に対する出力値の変化量が大きい第1空燃比センサ、つまり、理論空燃比近傍の空燃比の検出精度が高いセンサと、第1空燃比センサよりも広い範囲で排気の空燃比に応じた値を出力する第2空燃比センサ、つまり、第1空燃比センサよりは理論空燃比近傍の空燃比の検出精度は低いが広い範囲で空燃比を検出できるセンサとに基づいて、気筒内の空燃比が制御される。そのため、第2空燃比センサに基づいて空燃比を大まかに理論空燃比近傍に制御した上で、第1空燃比センサに基づいて空燃比を理論空燃比近傍に精度よく制御することができ、排気の空燃比をより早期に且つ確実に目標とする理論空燃比近傍にすることができる。
また、三元触媒に酸素が吸蔵されていたとき等では三元触媒よりも上流側の空燃比と三元触媒内の空燃比とがずれる場合があるが、本発明では、第1空燃比センサで検出された三元触媒の下流側の排気の空燃比に基づいて気筒内の空燃比が制御されるため、三元触媒内の空燃比をより確実に理論空燃比近傍に制御して排気性能を確実に高めることができる。
しかも、目標空燃比が理論空燃比よりも高いときは、第2空燃比センサに基づいて空燃比を大まかに理論空燃比よりも高い所定値に制御した上で、NOxセンサに基づいて空燃比をNOxの濃度が所望の濃度となるように空燃比を制御することができ、空燃比が目標とする所定値から大幅にずれるのを回避して燃費性能および燃焼安定性を良好にしつつ、NOxの排出量を確実に小さくして排気性能を高めることができる。
従って、本発明によれば、排気の空燃比を理論空燃比近傍と理論空燃比よりも高い値との両方に精度よく制御することができ、排気の空燃比理論空燃比近傍にして三元触媒によって排気を確実に浄化し、且つ、燃焼安定性を良好にしながら排気の空燃比を理論空燃比よりも高い値にして排気性能と燃費性能とを高めることが可能になる。
前記構成において、好ましくは、前記制御手段は、前記目標空燃比が理論空燃比よりも高いとき、前記NOxセンサの出力値に基づいて前記目標空燃比を補正し、当該補正された後の目標空燃比が実現されるように前記第2空燃比センサの出力値に基づいて前記空燃比変更手段を制御する(請求項2)。
この構成によれば、気筒内の空燃比をNOx濃度が所望の量となる空燃比に適切に変更することができる。
前記構成において、好ましくは、前記制御手段は、前記目標空燃比が理論空燃比のとき、前記第1空燃比センサの出力値に基づいて前記目標空燃比を補正し、当該補正された後の目標空燃比が実現されるように前記第2空燃比センサの出力値に基づいて前記空燃比変更手段を制御する(請求項3)。
この構成によれば、気筒内の空燃比を三元触媒内の空燃比が理論空燃比となる空燃比に適切に変更することができる。
前記構成において、好ましくは、前記制御手段は、前記気筒内の混合気の一部を火花点火により強制的にSI燃焼させた後に気筒内の残りの混合気を自着火によりCI燃焼させる部分圧縮着火燃焼が少なくとも一部の運転領域で実行されるように前記空燃比変更手段を制御するとともに、当該部分圧縮着火燃焼が実行される運転領域の少なくとも一部で前記目標空燃比を理論空燃比よりも高い値に設定する(請求項4)。
この構成によれば、部分圧縮着火燃焼の実行によって燃焼騒音の増大を抑制しつつ燃費性能を向上させることができるとともに、この部分圧縮着火燃焼の実行時において目標空燃比が理論空燃比よりも高い値に設定されることで燃費性能をさらに高めることができるとともにNOxの排出量を小さくできる。
前記構成において、好ましくは、前記排気通路の前記三元触媒の下流側に設けられて排気中の微粒子を捕集する微粒子捕集装置をさらに備え、前記第1空燃比センサは、前記排気通路のうち前記三元触媒と前記微粒子捕集装置との間に配設されており、前記NOxセンサは、前記排気通路のうち前記微粒子捕集装置よりも下流側に設けられている(請求項5)。
この構成によれば、第1空燃比センサが三元触媒により近い位置に配設されることで、第1空燃比センサによって三元触媒内の排気の空燃比をより精度よく検出することができとともに、NOxセンサが燃焼室からより遠く温度が低い位置に配設されることで、NOxセンサに熱害が加えられるのを防止できる。
以上説明したように、本発明のエンジンの空燃比制御装置によれば、排気の空燃比をより適切に制御して排気性能および燃費性能を高めることができる。
本発明の一実施形態にかかるエンジンの全体構成を概略的に示すシステム図である。 リニアA/FセンサおよびλO2センサの各出力値と空燃比との関係を示したグラフである。 エンジンの制御系統を示すブロック図である。 エンジンの運転領域を燃焼形態の相違により区分けしたマップ図である。 SPCCI燃焼(部分圧縮着火燃焼)時の熱発生率の波形を示すグラフである。 目標空燃比の補正の手順を示すフローチャートである。 空燃比の補正の手順を示すフローチャートである。 本実施形態の作用効果を説明するためのタイムチャートである。 本実施形態の作用効果を説明するためのタイムチャートである。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の空燃比制御装置が適用されたエンジンの好ましい実施形態を示す図である。本図に示されるエンジンは、走行用の動力源として車両に搭載された4サイクルのガソリン直噴エンジンであり、エンジン本体1と、エンジン本体1に導入される吸気が流通する吸気通路30と、エンジン本体1から排出される排気が流通する排気通路40と、排気通路40を流通する排気の一部を吸気通路30に還流するEGR装置50を備えている。
エンジン本体1は、気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、気筒2を上から閉塞するようにシリンダブロック3の上面に取り付けられたシリンダヘッド4と、気筒2にそれぞれ往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。エンジン本体1は、典型的には複数の気筒(例えば、図1の紙面と直交する方向に並ぶ4つの気筒)を有する多気筒型のものであるが、ここでは簡略化のため、1つの気筒2のみに着目して説明を進める。
ピストン5の上方には燃焼室6が画成されており、この燃焼室6には、ガソリンを主成分とする燃料が、後述するインジェクタ15からの噴射によって供給される。そして、供給された燃料が燃焼室6で空気と混合されつつ燃焼し、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動する。なお、燃焼室6に噴射される燃料には、主成分としてガソリンを含有したものが用いられる。この燃料には、ガソリンに加えてバイオエタノール等の副成分が含まれてもよい。以下、適宜、インジェクタ15から噴射される燃料の量を単に噴射量という。
ピストン5の下方には、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸7が設けられている。クランク軸7は、ピストン5とコネクティングロッド8を介して連結され、ピストン5の往復運動(上下運動)に応じて中心軸回りに回転駆動される。
気筒2の幾何学的圧縮比、つまりピストン5が上死点にあるときの燃焼室6の容積とピストン5が下死点にあるときの燃焼室の容積との比は、後述するSPCCI燃焼(部分圧縮着火燃焼)に好適な値として、13以上30以下に設定される。より詳しくは、気筒2の幾何学的圧縮比は、オクタン価が91程度のガソリン燃料を使用するレギュラー仕様の場合に14以上17以下に設定し、オクタン価が96程度のガソリン燃料を使用するハイオク仕様の場合に15以上18以下に設定するのが好ましい。
シリンダブロック3には、クランク軸7の回転角度(クランク角)およびクランク軸7の回転速度(エンジン回転速度)を検出するクランク角センサSN1が設けられている。
シリンダヘッド4には、燃焼室6に開口する吸気ポート9および排気ポート10と、吸気ポート9を開閉する吸気弁11と、排気ポート10を開閉する排気弁12とが設けられている。なお、当実施形態のエンジンのバルブ形式は、吸気2バルブ×排気2バルブの4バルブ形式であり、吸気ポート9、排気ポート10、吸気弁11および排気弁12は、1つの気筒2についてそれぞれ2つずつ設けられている。図示は省略するが、本実施形態では、1つの気筒2に接続された2つの吸気ポート9のうちの一方に、開閉可能なスワール弁(不図示)が設けられており、気筒2内のスワール流(気筒軸線の回りを旋回する旋回流)の強さが変更されるようになっている。
吸気弁11および排気弁12は、シリンダヘッド4に配設された一対のカム軸等を含む動弁機構13,14により、クランク軸7の回転に連動して開閉駆動される。
吸気弁11用の動弁機構13には、吸気弁11の少なくとも開時期を変更可能な吸気VVT13aが内蔵されている。同様に、排気弁12用の動弁機構14には、排気弁12の少なくとも閉時期を変更可能な排気VVT14aが内蔵されている。これら吸気VVT13aおよび排気VVT14aの制御により、当実施形態では、吸気弁11および排気弁12の双方が排気上死点を跨いで開弁するバルブオーバーラップ期間を調整することが可能であり、また、このバルブオーバーラップ期間の調整により、燃焼室6に残留する既燃ガス(内部EGRガス)の量を調整することが可能である。なお、吸気VVT13a(排気VVT14a)は、吸気弁11(排気弁12)の開時期(閉時期)を固定したまま閉時期(開時期)のみを変更するタイプの可変機構であってもよいし、吸気弁11(排気弁12)の開時期および閉時期を同時に変更する位相式の可変機構であってもよい。
シリンダヘッド4には、燃焼室6に燃料(主にガソリン)を噴射するインジェクタ15と、インジェクタ15から燃焼室6に噴射された燃料と燃焼室6に導入された空気との混合気に点火する点火プラグ16とが設けられている。シリンダヘッド4には、さらに、燃焼室6の圧力である筒内圧を検出する筒内圧センサSN2が設けられている。
インジェクタ15は、その先端部に複数の噴孔を有した多噴孔型のインジェクタであり、当該複数の噴孔から放射状に燃料を噴射することが可能である。インジェクタ15は、その先端部がピストン5の冠面の中心部と対向するように設けられている。なお、図示は省略するが、本実施形態では、ピストン5の冠面に、その中央部を含む比較的広い領域をシリンダヘッド4とは反対側(下方)に凹陥させたキャビティが形成されている。
点火プラグ16は、インジェクタ15に対し吸気側に幾分ずれた位置に配置されている。
吸気通路30は、吸気ポート9と連通するようにシリンダヘッド4の一側面に接続されている。吸気通路30の上流端から取り込まれた空気(新気)は、吸気通路30および吸気ポート9を通じて燃焼室6に導入される。
吸気通路30には、その上流側から順に、吸気中の異物を除去するエアクリーナ31と、吸気の流量を調整する開閉可能なスロットル弁32と、吸気を圧縮しつつ送り出す過給機33と、過給機33により圧縮された吸気を冷却するインタークーラ35と、サージタンク36とが設けられている。
吸気通路30の各部には、吸気の流量を検出するエアフローセンサSN3と、吸気の温度を検出する第1・第2吸気温センサSN4,SN6と、吸気の圧力を検出する第1・第2吸気圧センサSN5,SN7とが設けられている。エアフローセンサSN3および第1吸気温センサSN4は、吸気通路30におけるエアクリーナ31とスロットル弁32との間の部分に設けられ、当該部分を通過する吸気の流量および温度を検出する。第1吸気圧センサSN5は、吸気通路30におけるスロットル弁32と過給機33との間(後述するEGR通路51の接続口よりも下流側)の部分に設けられ、当該部分を通過する吸気の圧力を検出する。第2吸気温センサSN6は、吸気通路30における過給機33とインタークーラ35との間の部分に設けられ、当該部分を通過する吸気の温度を検出する。第2吸気圧センサSN7は、サージタンク36に設けられ、当該サージタンク36内の吸気の圧力を検出する。
過給機33は、エンジン本体1と機械的に連係された機械式の過給機(スーパーチャージャ)である。過給機33の具体的な形式は特に問わないが、例えばリショルム式、ルーツ式、または遠心式といった公知の過給機のいずれかを過給機33として用いることができる。過給機33とエンジン本体1との間には、締結と解放を電気的に切り替えることが可能な電磁クラッチ34が介設されている。電磁クラッチ34が締結されると、エンジン本体1から過給機33に駆動力が伝達されて、過給機33による過給が行われる。一方、電磁クラッチ34が解放されると、上記駆動力の伝達が遮断されて、過給機33による過給が停止される。
吸気通路30には、過給機33をバイパスするためのバイパス通路38が設けられている。バイパス通路38は、サージタンク36と後述するEGR通路51とを互いに接続している。バイパス通路38には開閉可能なバイパス弁39が設けられている。バイパス弁39は、サージタンク36に導入される吸気の圧力つまり過給圧を調整するための弁である。例えば、バイパス弁39の開度が大きくなるほど、バイパス通路38を通じて過給機33の上流側に逆流する吸気の流量が多くなる結果、過給圧は低くなる。
排気通路40は、排気ポート10と連通するようにシリンダヘッド4の他側面に接続されている。燃焼室6で生成された既燃ガス(排気)は、排気ポート10および排気通路40を通じて外部に排出される。
排気通路40には触媒コンバータ41が設けられている。触媒コンバータ41には、三元触媒41aと、GPF(ガソリン・パティキュレート・フィルタ)41bとが、この順で上流側から内蔵されている。
三元触媒41aは、排気通路40を流通する排気に含まれる有害成分(HC、CO、NOx)を浄化するためのものである。具体的には、三元触媒41aは、これを通過する排気の空燃比が理論空燃比近傍のときおよび理論空燃比よりも高い(リーンである)ときに、HC、COを高い浄化率で浄化(酸化)し、排気の空燃比が理論空燃比近傍のときおよび理論空燃比よりも低い(リッチである)ときに、NOxを高い浄化率で浄化(還元)する。GPF41bは、排気中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集するためのものである。このGPF41bは、請求項の「微粒子捕集装置」に相当する。
排気通路40の各部には、排気の空燃比をそれぞれ検出するリニアA/FセンサSN11およびλO2センサSN12と、排気に含まれるNOxの濃度を検出するNOxセンサSN13とが設けられている。
リニアA/FセンサSN11は、排気通路40のうち触媒コンバータ41よりも上流側の部分に設けられており、触媒コンバータ41に流入する排気の空燃比を検出する。λO2センサSN12は、排気通路40のうち三元触媒41aよりも下流側且つGPF41bよりも上流側の部分に設けられており、触媒コンバータ41の三元触媒41aとGPF41bとの間の部分に取り付けられている。λO2センサSN12は、三元触媒41aを通過した後の排気の空燃比を検出する。NOxセンサSN13は、排気通路40のうち触媒コンバータ41よりも下流側の部分に設けられており、触媒コンバータ41から流出した排気のNOx濃度を検出する。具体的には、NOxセンサSN13は、触媒コンバータ41の直下流側であって排気通路40のうち後述するEGR通路51が接続される部分よりも上流側の部分に設けられている。
リニアA/FセンサSN11は、いわゆる全領域型のA/Fセンサであり、広い範囲にわたって空燃比に略比例した値を出力する。λO2センサSN12は、いわゆるO2センサであり、理論空燃比近傍でのみ空燃比に応じた値を出力する。これらのセンサは、周知であり、その詳細な構造の説明は省略する。このリニアA/FセンサSN11は請求項の「第2空燃比センサ」に相当し、λO2センサSN12は請求項の「第1空燃比センサ」に相当する。
これらリニアA/FセンサSN11とλO2センサSN12の出力値と空燃比との関係について図2を用いて簡単に説明する。図2は、これらセンサSN11、SN12の出力値(出力電圧)と空燃比との関係を示したグラフである。図2において、実線は、リニアA/FセンサSN11の出力値を示し破線は、λO2センサSN12の出力値を示している。
図2の実線に示すように、空燃比が理論空燃比よりも十分に低い第1空燃比min1から理論空燃比よりも十分に高い第2空燃比max1の広い範囲にわたって、リニアA/FセンサSN11の出力値は空燃比に応じて変化するようになっている。リニアA/センサSN11の出力値は、概ね空燃比に比例して変化する。
一方、図2の破線に示すように、λO2センサSN12の出力値は、空燃比が理論空燃比よりもわずかに低い第3空燃比min2から理論空燃比よりもわずかに高い第4空燃比max2までの間では空燃比に応じて変化するものの、この範囲を外れると空燃比に対してほとんど変化しないようになっている。このように、λO2センサSN12により検出可能な空燃比の範囲は、理論空燃比近傍に限られており、リニアA/FセンサSN11より検出可能な空燃比の範囲よりも狭くなっている。これより、理論空燃比近傍から外れた領域では、λO2センサSN12による空燃比の検出精度は、リニアA/FセンサSN11の検出精度よりも低くなる。ただし、図2の破線と実線の比較から明らかなように、理論空燃比近傍におけるλO2センサSN12の出力値の空燃比に対する変化量は、リニアA/FセンサSN11の出力値の空燃比に対する変化量よりも大きい。そのため、理論空燃比近傍での空燃比の検出精度は、λO2センサSN12の方がリニアA/FセンサSN11よりも高くなる。
EGR装置50は、排気通路40と吸気通路30とを接続するEGR通路51と、EGR通路51に設けられたEGRクーラ52およびEGR弁53とを有している。EGR通路51は、排気通路40における触媒コンバータ41よりも下流側の部分と、吸気通路30におけるスロットル弁32と過給機33との間の部分とを互いに接続している。EGRクーラ52は、EGR通路51を通じて排気通路40から吸気通路30に還流される排気(外部EGRガス)を熱交換により冷却する。EGR弁53は、EGRクーラ52よりも下流側(吸気通路30に近い側)のEGR通路51に開閉可能に設けられ、EGR通路51を流通する排気の流量を調整する。
EGR通路51には、EGR弁53の上流側の圧力と下流側の圧力との差を検出するための差圧センサSN8が設けられている。
(2)制御系統
図3は、エンジンの制御系統を示すブロック図である。本図に示されるECU100は、エンジンを統括的に制御するためのマイクロプロセッサであり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。
ECU100には各種センサによる検出信号が入力される。例えば、ECU100は、前述したクランク角センサSN1、筒内圧センサSN2、エアフローセンサSN3、第1・第2吸気温センサSN4,SN6、第1・第2吸気圧センサSN5,SN7、差圧センサSN8、リニアA/FセンサSN11、λO2センサSN12およびNOxセンサSN13と電気的に接続されており、これらのセンサによって検出された情報(つまりクランク角、エンジン回転速度、筒内圧、吸気流量、吸気温、吸気圧、EGR弁53の前後差圧等)、排気の空燃比、排気のNOx濃度がECU100に逐次入力されるようになっている。また、車両には、当該車両を運転するドライバーにより操作されるアクセルペダルの開度を検出するアクセルセンサSN9が設けられており、このアクセルセンサSN9による検出信号もECU100に入力される。
ECU100は、上記各センサからの入力信号に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつエンジンの各部を制御する。すなわち、ECU100は、吸気VVT13a、排気VVT14a、インジェクタ15、点火プラグ16、スロットル弁32、電磁クラッチ34、バイパス弁39、およびEGR弁53等と電気的に接続されており、前記演算の結果等に基づいてこれらの機器にそれぞれ制御用の信号を出力する。このECU100は、請求項の「制御手段」に相当する。ECU100は、機能的に、運転領域判定部101と、空燃比制御部102とを含む。
(3)燃焼制御
図4は、エンジンの回転速度/負荷に応じた制御の相違を説明するためのマップ図である。本図に示すように、エンジンの運転領域は、3つの運転領域A1〜A3に大別される。それぞれ第1運転領域A1、第2運転領域A2、第3運転領域A3とすると、第1運転領域A1は、回転速度および負荷の双方が低い低速・低負荷の領域であり、第2運転領域A2は、回転速度が低くかつ負荷が高い低速・高負荷の領域であり、第3運転領域A3は、回転速度が高い高速領域である。ECU100は、クランク角センサSN1により検出されるエンジン回転速度およびエンジン負荷に基づいて、現在の運転ポイントが第1〜第3運転領域A1〜A3のいずれに含まれるかを判定し、以下に説明する制御を実施する。運転領域の判定は、運転領域判定部101によって実施される。なお、ECU100は、アクセルセンサSN9により検出されたアクセルペダルの開度、エンジン回転速度等に基づいてエンジン負荷を算出する。
(a)第1運転領域A1および第2運転領域A2
第1運転領域A1および第2運転領域A2では、SI燃焼とCI燃焼とをミックスした部分圧縮着火燃焼(以下、これをSPCCI燃焼という)が実行される。なお、SPCCI燃焼における「SPCCI」とは、「Spark Controlled Compression Ignition」の略である。
SI燃焼とは、点火プラグ16により混合気に点火し、その点火点から周囲へと燃焼領域を拡げていく火炎伝播により混合気を強制的に燃焼させる形態のことであり、CI燃焼とは、ピストン5の圧縮により高温・高圧化された環境下で混合気を自着火により燃焼させる形態のことである。そして、これらSI燃焼とCI燃焼とをミックスしたSPCCI燃焼とは、混合気が自着火する寸前の環境下で行われる火花点火により燃焼室6内の混合気の一部をSI燃焼させ、当該SI燃焼の後に(SI燃焼に伴うさらなる高温・高圧化により)燃焼室6内の残りの混合気を自着火によりCI燃焼させる、という燃焼形態のことである。
図5は、SPCCI燃焼が起きたときのクランク角に対する熱発生率(J/deg)の変化を示したグラフである。SPCCI燃焼では、SI燃焼時の熱発生がCI燃焼時の熱発生よりも穏やかになる。例えば、SPCCI燃焼が行われたときの熱発生率の波形は、図5に示すように、立ち上がりの傾きが相対的に小さくなる。また、燃焼室6における圧力変動(つまりdP/dθ:Pは筒内圧 θはクランク角度)も、SI燃焼時はCI燃焼時よりも穏やかになる。言い換えると、SPCCI燃焼時の熱発生率の波形は、SI燃焼によって形成された相対的に立ち上がりの傾きが小さい第1熱発生率部(Q1で示した部分)と、CI燃焼によって形成された相対的に立ち上がりの傾きが大きい第2熱発生部(Q2で示した部分)とが、この順に連続するように形成される。
SI燃焼によって、燃焼室6内の温度および圧力が高まると、これに伴い未燃混合気が自着火し、CI燃焼が開始される。図5に例示するように、この自着火のタイミング(つまりCI燃焼が開始するタイミング)で、熱発生率の波形の傾きが小から大へと変化する。すなわち、SPCCI燃焼における熱発生率の波形は、CI燃焼が開始するタイミングθciで現れる変曲点(図5のX)を有している。
CI燃焼の開始後は、SI燃焼とCI燃焼とが並行して行われる。CI燃焼は、SI燃焼よりも熱発生が大きいため、熱発生率は相対的に大きくなる。ただし、CI燃焼は、圧縮上死点の後に行われるため、熱発生率の波形の傾きが過大になることはない。すなわち、圧縮上死点を過ぎるとピストン5の下降によりモータリング圧力が低下するので、このことが熱発生率の上昇を抑制する結果、CI燃焼時のdp/dθが過大になることが回避される。このように、SPCCI燃焼では、SI燃焼の後にCI燃焼が行われるという性質上、燃焼騒音の指標となるdp/dθが過大になり難く、単純なCI燃焼(全ての燃料をCI燃焼させた場合)に比べて燃焼騒音を抑制することができる。
CI燃焼の終了に伴いSPCCI燃焼も終了する。CI燃焼はSI燃焼に比べて燃焼速度が速いので、単純なSI燃焼(全ての燃料をSI燃焼させた場合)に比べて燃焼終了時期を早めることができる。言い換えると、SPCCI燃焼では、燃焼終了時期を膨張行程内において圧縮上死点に近づけることができる。これにより、SPCCI燃焼では、単純なSI燃焼に比べて燃費性能を向上させることができる。
(第1運転領域)
SPCCI燃焼が行われる領域のうち負荷の低い第1運転領域A1では、燃費性能を高めるために、燃焼室6内の空燃比(A/F)が理論空燃比よりも高く(リーンに)される。つまり、インジェクタ15は、燃焼室6内の空燃比(A/F)が理論空燃比よりも高くなる量の燃料を燃焼室6に噴射する。ここで、燃焼室6内の空燃比を理論空燃比よりも高くすると、三元触媒41aでNOxを十分に浄化できなくなる。そこで、第1運転領域A1では、燃焼室6内で生成されるNOxであるrawNOxの量が十分に小さくなる程度にまで燃焼室6内の空燃比を高くする。すなわち、燃焼室6内の空燃比が十分に高いときは、燃焼室6内の温度が低く抑えられることで、生成されるNOxの量は少なくなる。本実施形態では、第1運転領域A1において燃焼室6内の空燃比を30程度にする。この空燃比の制御の詳細については後述する。
なお、図4のλは空気過剰率を表しており、空気過剰率λ=1は燃焼室6内の空燃比が理論空燃比であることを意味し、空気過剰率λ>1は燃焼室6内の空燃比が理論空燃比よりも高いことを意味している。
また、第1運転領域A1では、SPCCI燃焼が実現されるようにECU100によってエンジンの各部が次のように制御される。
インジェクタ15は、1サイクル中に噴射すべき燃料の全量または大半を圧縮行程中に噴射する。例えば、第1運転領域A1では、インジェクタ15は、圧縮行程の中期から後期にかけた2回に分けて燃料を噴射する。点火プラグ16は、圧縮上死点の近傍で混合気に点火する。この点火をきっかけにSPCCI燃焼が開始され、燃焼室6内の一部の混合気が火炎伝播により燃焼(SI燃焼)し、その後に残りの混合気が自着火により燃焼(CI燃焼)する。
吸気VVT13aおよび排気VVT14aは、吸・排気弁11,12の双方が排気上死点を跨いで開弁されるバルブオーバーラップ期間が十分に形成されるようなタイミングに設定する。これにより、燃焼室6に既燃ガスを残留させる内部EGRが実現され、燃焼室6の温度(圧縮前の初期温度)が高められる。
スロットル弁32は全開とされる。EGR弁53は所定の開度まで開弁され、燃焼室6内には排気通路40内のガスが外部EGRガスとして導入される。第1運転領域A1では、前記のように空燃比(A/F)が理論空燃比よりもリーンに設定される上に、燃焼室6にEGRガス(外部EGRガスおよび内部EGRガス)が導入されるので、燃焼室6内の全ガスと燃料との重量比であるガス空燃比(G/F)がリーンとなる。
スワール弁18は全閉もしくは全閉に近い低開度まで閉じられる。これにより、燃焼室6内に強いスワール流が形成される。このスワール流は、吸気行程中に成長して、圧縮行程の途中まで残存する。このため、上記のように圧縮行程中に燃料を噴射した場合には、スワール流の作用によって燃料の成層化が実現される。すなわち、スワール流が存在する状況下で圧縮行程の中期以降に燃料が噴射されると、噴射された燃料は、スワール流が比較的弱い燃焼室6の中央部に集められる。これにより、燃焼室6の中央部の燃料濃度がその外側の領域(外周部)に比べて濃くなるという濃度差が生じ、燃料の成層化が実現される。
過給機33は、第1運転領域A1のうち回転速度が低い側ではOFF状態とされる。すなわち、電磁クラッチ34が解放されて過給機33とエンジン本体1との連結が解除されるとともに、バイパス弁39が全開とされることにより、過給機33による過給が停止される。一方、運転領域A1のうち回転速度が高い側では、過給機33はON状態とされる。すなわち、電磁クラッチ34が締結されて過給機33とエンジン本体1とが連結されることにより、過給機33による過給が行われる。このとき、第2吸気圧センサSN7により検出されるサージタンク36内の圧力(過給圧)が、運転条件(回転速度/負荷)ごとに予め定められた目標圧力に一致するように、バイパス弁39の開度が制御される。
(第2運転領域)
第2運転領域A2は、第1運転領域A1に比べてエンジン負荷が高く燃焼室6内に供給される燃料の量が多い領域である。そのため、第2運転領域A2では、rawNOxの量が十分に小さくなる程度にまで燃焼室6内の空燃比を高くするのが困難となる。そこで、第2運転領域A2では、排気の空燃比すなわち燃焼室6内の空燃比を理論空燃比にし、三元触媒41aにてNOxを浄化するようにする。つまり、第2運転領域A2では、燃焼室6内の空燃比は基本的に理論空燃比とされる。前記と同様、この空燃比の制御の詳細については後述する。
また、第2運転領域A2では、SPCCI燃焼が実現されるようにECU100によってエンジンの各部が次のように制御される。
インジェクタ15は、1サイクル中に噴射すべき燃料の一部を吸気行程中に噴射し、残りの燃料を圧縮行程中に噴射する。点火プラグ16は、圧縮上死点の近傍で混合気に点火する。第2運転領域A2でも、この点火をきっかけにSPCCI燃焼が開始され、燃焼室6内の一部の混合気が火炎伝播により燃焼(SI燃焼)し、その後に残りの混合気が自着火により燃焼(CI燃焼)する。
吸気VVT13aおよび排気VVT14aは、第2運転領域A2の低負荷側の一部においてのみ内部EGRが行われるように(言い換えると高負荷側では内部EGRが停止されるように)、吸気弁11および排気弁12のバルブタイミングを制御する。
スロットル弁32は全開とされる。EGR弁53は、EGR通路51を通じて還流される排気(外部EGRガス)の量が高負荷側ほど少なくなるように制御される。エンジンの最高負荷の近傍では、EGR弁53は全閉とされて、外部EGRガスの量はほぼゼロとされる。これに伴い、第2運転領域A2でも、燃焼室6内のガス空燃比(G/F)は、エンジンの最高負荷の近傍を除いていずれもリーンとされる。
スワール弁18は、全閉/全開を除いた適宜の中間開度まで開かれ、その開度は、負荷が高いほど大きくされる。
過給機33は、第2運転領域A2のうち回転速度および負荷がともに低い領域では、OFF状態される。一方、第2運転領域A2のその他の領域では、過給機33はON状態とされる。
(b)第3運転領域
第1、第2運転領域A1、A2よりも高速側の第3運転領域A3では、比較的オーソドックスなSI燃焼が実行される。このSI燃焼の実現のために、第3運転領域A3では、ECU100によってエンジンの各部が次のように制御される。
インジェクタ15は、少なくとも吸気行程と重複する所定の期間にわたって噴射を噴射する。点火プラグ16は、圧縮上死点の近傍で混合気に点火する。第3運転領域A3では、この点火をきっかけにSI燃焼が開始され、燃焼室6内の混合気の全てが火炎伝播により燃焼する。
過給機33はON状態とされる。スロットル弁32は全開とされる。EGR弁53は、燃焼室6内の空燃比(A/F)が理論空燃比もしくはこれよりややリッチとなるように、その開度が制御される。一方、燃焼室6内のガス空燃比(G/F)は、エンジンの最高負荷の近傍を除いていずれもリーンとされる。スワール弁18は全開とされる。
(4)空燃比制御
第1運転領域A1および第2運転領域A2つまりSPCCI燃焼が実施される領域で行われる空燃比の制御の詳細について説明する。この空燃比の制御は、空燃比制御部102で実施される。空燃比制御部102は、機能的に、基本目標空燃比設定部111と、目標空燃比補正部112と、空燃比補正部113とを含む。
基本目標空燃比設定部111は、燃焼室6内の空燃比の目標値である目標空燃比の基本的な値を設定する。以下、適宜、この目標空燃比の基本的な値を基本目標空燃比という。
目標空燃比補正部112は、基本目標空燃比設定部111で設定された基本目標空燃比を補正する。以下、適宜、目標空燃比補正部112により補正された後の目標空燃比を指令目標空燃比という。
空燃比補正部113は、燃焼室6内の空燃比が、指令目標空燃比となるように、リニアA/FセンサSN11の検出値に基づいて噴射量を補正する。このように、本実施形態では、噴射量の補正により燃焼室6内の空燃比が調整されるようになっており、インジェクタ15が請求項の「空燃比変更手段」に相当する。
空燃比補正部113により実施される制御の詳細についてまず説明する。
空燃比補正部113は、燃焼室6とリニアA/FセンサSN11との距離やエアフローセンサSN3により検出された吸気の流量等に基づいて、燃焼室6内の空燃比が仮に指令目標空燃比とされたとしたときにリニアA/FセンサSN11の位置で検出される排気の空燃比を算出する(以下、この算出値を目標排ガス空燃比という)。そして、空燃比補正部113は、リニアA/FセンサSN11で検出される排気の空燃比がこの目標排ガス空燃比となるように噴射量をフィードバック制御する。
具体的には、空燃比補正部113は、エアフローセンサSN3により検出された吸気の流量等から燃焼室6内の空気の量を推定する。そして、この空気量と指令目標空燃比とから基本的な噴射量である基本噴射量を算出する。また、空燃比補正部113は、リニアA/FセンサSN11で検出された排気の空燃比(以下、第1実排ガス空燃比という)と、目標排ガス空燃比とを比較する。そして、第1実排ガス空燃比の方が目標排ガス空燃比よりも高い(リーンである)ときは噴射量が不足していたことになることから、空燃比補正部113は、第1実排ガス空燃比から目標排ガス空燃比を差し引いた値に対応する量だけ基本噴射量を増量補正して最終的な噴射量とする。一方、第1実排ガス空燃比の方が目標排ガス空燃比よりも低い(リッチである)ときは噴射量が過大であったことになることから、空燃比補正部113は、目標排ガス空燃比から第1実排ガス空燃比を差し引いた値に対応する量だけ基本噴射量を減量補正して最終的な噴射量とする。本実施形態では、噴射期間(インジェクタ15の噴射パルスのパルス幅)を変更することで噴射量を補正する。
このように、本実施形態では、リニアA/FセンサSN11の検出値に基づいて、第1実排ガス空燃比が目標排ガス空燃比となるように、つまりは、燃焼室6内の空燃比が指令目標空燃比となるように、噴射量が補正される。
次に、基本目標空燃比設定部111および目標空燃比補正部112により実施される制御の詳細について説明する。これらの制御は、第1運転領域A1と第2運転領域A2とで異なっており、運転領域毎にこれらの制御の詳細について説明する。
(第1運転領域A1)
前記のように、第1運転領域A1では、rawNOxが小さくなるように燃焼室6の空燃比は理論空燃比よりも高くされる。これより、基本目標空燃比設定部111は、運転領域判定部101によって第1運転領域A1でエンジンが運転されていると判定されると、基本目標空燃比を理論空燃比よりも高い値に設定する。本実施形態では、第1運転領域A1における基本目標空燃比がエンジン回転速度とエンジン負荷とについてマップで記憶されており、基本目標空燃比設定部111は、このマップから現在のエンジン回転速度とエンジン負荷とに対応する値を抽出して基本目標空燃比に設定する。
空燃比補正部113によって燃焼室6内の空燃比がこの基本目標空燃比に制御されることで、rawNOxの生成量は所望の量以下になるはずである。しかしながら、インジェクタ15の機差ばらつき等に伴って、インジェクタ15から噴射される燃料の噴霧状態が前記マップの基本目標空燃比を決定したときの状態と異なる場合がある。また、燃焼室6内の流動状態が、前記マップの基本目標空燃比を決定したときの状態と異なる場合がある。そして、これらの場合には、燃焼室6内の空燃比を基本目標空燃比にしても、rawNOxの生成量が所望の値を超える可能性があり、リニアA/FセンサSN11の検出に基づいて燃焼室6内の空燃比を基本目標空燃比に制御しただけでは、エンジンから排出されるNOxの量を所定値以下に抑えられないおそれがある。
そこで、本実施形態では、NOxセンサSN13で検出されたNOx濃度、つまり、実際にエンジンから排出されたNOxの濃度(以下、適宜、実NOx濃度という)が予め設定された目標値以下となるように、基本目標空燃比を補正する。具体的には、第1運転領域A1でエンジンが運転されており基本目標空燃比が理論空燃比よりも高い値に設定されたとき、目標空燃比補正部112は、実NOx濃度とその目標値である目標NOx濃度との差を算出して、この差に応じて基本目標空燃比の補正量を算出する。詳細には、実NOx濃度が目標NOx濃度よりも高いときは、目標空燃比補正部112は、燃焼室6内の空燃比を高く(リーンに)するべく、基本目標空燃比に所定量を加算し、加算後の値を指令目標空燃比に設定する。本実施形態では、実NOx濃度と目標NOx濃度との差が大きいほどこの加算量を大きくする。また、実NOx濃度が目標NOx濃度よりも低いときは、目標空燃比補正部112は、燃焼室6内の空燃比を低く(リッチに)するべく、基本目標空燃比から所定量を低減し、低減後の値を指令目標空燃比に設定する。本実施形態では、実NOx濃度と目標NOx濃度との差が大きいほどこの低減量を大きくする。
(第2運転領域A2)
前記のように、第2運転領域A2では、三元触媒41aによってHC,CO,NOxが浄化されるように燃焼室6の空燃比は基本的に理論空燃比とされる。これより、基本目標空燃比設定部111は、運転領域判定部101によって第2運転領域21でエンジンが運転されていると判定されると、基本目標空燃比を理論空燃比に設定する。
ここで、仮に、この基本目標空燃比つまり理論空燃比を指令目標空燃比とすれば、前記のように、空燃比補正部113によって、リニアA/FセンサSN11の検出値に基づいて燃焼室6の空燃比が理論空燃比となるように噴射量が調整される。ただし、前記のように、リニアA/FセンサSN11の理論空燃比近傍の空燃比の検出精度は比較的低い。そのため、リニアA/FセンサSN11の検出に基づいて単に噴射量を調整しただけでは、三元触媒41a内の空燃比を精度よく理論空燃比に制御することができないおそれがある。また、車両の減速等に伴って燃料噴射が停止されると三元触媒41a内に多量の空気が導入されて、三元触媒41a内に酸素が吸蔵される場合があり、このときには、燃料噴射の再開後、三元触媒41aの上流側の空燃比が理論空燃比であっても、三元触媒41a内の空燃比が理論空燃比よりも高くなることがある。
そこで、本実施形態では、三元触媒41a内の空燃比をより確実に理論空燃比にするべく、リニアA/FセンサSN11よりも理論空燃比近傍の空燃比の検出精度が高く、且つ、三元触媒41aの下流側に設けられたλO2センサSN12で検出された排気の空燃比(以下、適宜、第2実排ガス空燃比という)が理論空燃比となるように、基本目標空燃比を補正する。具体的には、第2運転領域A2でエンジンが運転されており基本目標空燃比が理論空燃比に設定されたとき、目標空燃比補正部112は、第2実排ガス空燃比と理論空燃比との差を算出して、この差に応じて基本目標空燃比の補正量を算出する。詳細には、第2実排ガス空燃比が理論空燃比よりも高いときは、目標空燃比補正部112は、基本目標空燃比から所定量を低減し、低減後の値を指令目標空燃比に設定する。本実施形態では、第2実排ガス空燃比と理論空燃比との差が大きいほどこの低減量を大きくする。また、第2実排ガス空燃比が理論空燃比よりも低いときは、目標空燃比補正部112は、基本目標空燃比に所定量を加算し、加算後の値を指令目標空燃比に設定する。本実施形態では、第2実排ガス空燃比と理論空燃比との差が大きいほどこの加算量を大きくする。
この空燃比の制御をまとめると図6および図7のフローチャートのようになる。図6は、基本目標空燃比設定部111および目標空燃比補正部112により実施される指令目標空燃比の算出手順を示した図である。図7は、空燃比補正部113により実施される指令目標空燃比を実現するための制御手順つまり燃焼室の空燃比の補正の手順を示した図である。なお、本実施形態では、図6、図7のフローは第1運転領域A1あるいは第2運転領域A2でエンジンが運転されているときにのみ実施される。
図6のフローチャートにおいて、まず、ステップS1にて、ECU100は、基本目標空燃比を設定する。前記のように、第2運転領域A2でエンジンが運転されているときは基本目標空燃比は理論空燃比に設定され、第1運転領域A1でエンジンが運転されているときは基本目標空燃比は理論空燃比よりも高い値であって予め設定された値に設定される。
次に、ステップS2において、ECU100は、基本目標空燃比が理論空燃比であるか否かを判定する。つまり、第1運転領域A1でエンジンが運転されているか第2運転領域A2でエンジンが運転されているかを判定する。
ステップS2の判定がYESであって、基本目標空燃比が理論空燃比に設定された場合、つまり、第2運転領域A2でエンジンが運転されている場合、ECU100はステップS3に進む。ステップS3において、ECU100は、λO2センサSN12の検出値を読み込む。つまり、λO2センサSN12で検出された三元触媒41aよりも下流側の排気の空燃比である第2実排ガス空燃比を読み込む。次に、ステップS4において、ECU100は、第1実排ガス空燃比と理論空燃比とを比較するとともにその偏差を算出する。次に、ステップS5において、ECU100は、ステップS4で読み込んだ第2実排ガス空燃比と理論空燃比との比較結果およびこれらの偏差に基づいて、基本目標空燃比の補正量を算出する。その後、ステップS6において、ECU100は、ステップS1で設定した基本目標空燃比(ステップS5の後に進むステップS6では、基本目標空燃比(理論空燃比)をステップS5で算出した補正量で補正して、補正後の空燃比を指令目標空燃比に設定する。
一方、ステップS2の判定がNOであって、基本目標空燃比が理論空燃比ではない場合、つまり、基本目標空燃比が理論空燃比よりも高く第1運転領域A1でエンジンが運転されている場合、ECU100はステップS7に進む。ステップS7において、ECU100は、NOxセンサSN13の検出値を読み込む。つまり、NOxセンサSN13で検出された排気のNOx濃度である実NOx濃度を読み込む。次に、ステップS8において、ECU100は、排気のNOx濃度の目標値である目標NOx濃度を設定する。次に、ステップS9において、ECU100は、実NOx濃度と目標NOx濃度とを比較するとともにその偏差を算出する。次に、ステップS10において、ECU100は、ステップS9での実NOx濃度と目標NOx濃度との比較結果およびこれらの偏差に基づいて、基本目標空燃比の補正量を算出する。その後、ECU100は、ステップS6に進む。そして、ステップS6において、ECU100は、ステップS1で設定した基本目標空燃比(ステップS10の後に進むステップS6では、基本目標空燃比は理論空燃比よりも高い値である)をステップS10で算出した補正量で補正して、補正後の空燃比を指令目標空燃比に設定する。
図7のフローチャートにおいて、まず、ステップS21にて、ECU100は、前記のようにして算出した指令目標空燃比を読み込む。次に、ステップS22において、ECU100は、エアフローセンサSN3により検出された吸気の流量等から燃焼室6内の空気量を推定する。次に、ステップS23において、ECU100は、推定した燃焼室6内の空気量とステップS21で読み込んだ指令目標空燃比とから、推定した燃焼室6内の空気量において空燃比が指令目標空燃比となる燃料の量を基本噴射量として算出する。次に、ステップS24において、ECU100は、リニアA/FセンサSN11の検出値を読み込む。つまり、リニアA/FセンサSN11で検出された排気の空燃比である第1実排ガス空燃比を読み込む。次に、ステップS25において、指令目標空燃比に対応する排気の空燃比(リニアA/FセンサSN11の位置での排気の空燃比)である目標排ガス空燃比を算出する。次に、ステップS26において、ECU100は、ステップS22で算出した目標排ガス空燃比と第1実排ガス空燃比とを比較するとともにその偏差を算出する。次に、ステップS27において、ECU100は、ステップS26での目標排ガス空燃比と第1実排ガス空燃比との比較結果およびこれらの偏差に基づいて、噴射量の補正量を算出する。次に、ステップS28において、ECU100は、ステップS23で算出した基本噴射量をステップS27で算出した補正量で補正して、最終的な噴射量に設定する。その後は、ECU100はこの最終的な噴射量に対応する噴射パルスで噴射を行うようにインジェクタ15に指令を出す。
(5)作用等
図8は、第2運転領域A2において前記の目標空燃比の補正を行ったときの各パラメータの時間変化を模式的に示したものである。比較として、図8には、前記の目標空燃比の補正を行わなかったときの各パラメータの時間変化を破線で示している。図8では、上から順に、燃焼室6内の空燃比、リニアA/FセンサSN11で検出された排気の空燃比、λO2センサSN12で検出された排気の空燃比、NOx濃度(NOxセンサSN13で検出された排気のNOx濃度)の各時間変化を示している。
図8の破線に示すように、第2運転領域A2において前記の目標空燃比の補正を行わなかったときは、燃焼室6内の空燃比の目標値である指令目標空燃比ひいては燃焼室6内の空燃比は理論空燃比に維持される。そして、λO2センサSN12の検出値も理論空燃比になる。ただし、前記のように、三元触媒41a内に酸素が貯蔵されたこと等に伴って、リニアA/FセンサSN11で検出される空燃比は理論空燃比である一方、λO2センサSN12で検出される空燃比は理論空燃比からずれる場合がある。そして、時刻t1にてこのような現象が生じて三元触媒41aの下流側の空燃比が理論空燃比よりもリーンになると、比較例では、三元触媒41aでNOxが充分に浄化されなくなるため、排気のNOx濃度つまりはNOxの排出量が増大してしまう。
これに対して、図8の実線に示すように、第2運転領域A2において前記の目標空燃比の補正を行う本実施形態では、時刻t1にてλO2センサSN12で検出された空燃比が理論空燃比よりも高くなると、目標空燃比が基本目標空燃比である理論空燃比よりも低い側に補正されて、燃焼室6内の空燃比が理論空燃比よりも低くされる。この結果、三元触媒41aの上流側の空燃比(リニアA/FセンサSN11で検出される空燃比)は理論空燃比よりもリッチになるが、三元触媒41aの下流側の空燃比(λO2センサSN12で検出される空燃比)ひいては三元触媒41a内の空燃比が理論空燃比とされる。これにより、三元触媒41aにてNOxが適切に浄化されてNOxの排出量の増大が抑制される。
図9は、第1運転領域A1でエンジンが運転されているときの各パラメータの時間変化を模式的に示したものである。図9において、実線は前記の目標空燃比の補正を行ったときの時間変化を、破線は比較例として前記の目標空燃比の補正を行わなかったときの時間変化を示している。また、図9では、上から順に、燃焼室6内の空燃比、三元触媒41aの上流側の排気の空燃比(リニアA/FセンサSN11で検出された排気の空燃比)、排気のNOx濃度(NOxセンサSN13で検出された排気のNOx濃度)の各時間変化を示している。
図9の破線に示すように、第1運転領域A1において前記の目標空燃比の補正を行わなかったときは、指令目標空燃比ひいては燃焼室6内の空燃比は理論空燃比よりもリーンな基本目標空燃比に維持される。ここで、噴射の状態や燃焼室6内の流動が基本目標空燃比を設定したときの状態に維持されていれば、NOx濃度は鎖線で示した目標NOx濃度に維持される。ところが、時刻t1にて、これらの状態が基本目標空燃比を設定したときの状態から変化した場合、比較例では、指令目標空燃比ひいては燃焼室6内の空燃比が基本目標空燃比に維持されることで、リニアA/FセンサSN11で検出された排気の空燃比が所定の値に維持されるにも関わらず、排気のNOx濃度が目標NOx濃度を超えてしまう。
これに対して、図9の実線に示すように、前記の目標空燃比の補正を行う本実施形態では、時刻t1にてNOxセンサSN13で検出されたNOx濃度が目標値を超えるのに伴って、指令目標空燃比ひいては燃焼室6内の空燃比が、破線で示す基本目標空燃比に対して高い側に変更される。そのため、NOx濃度が再び目標値に制御されてNOxの排出量の増大が抑制される。
以上説明したように、本実施形態では、第2運転領域A2でエンジンが運転されており燃焼室6内の空燃比の目標値である目標空燃比が理論空燃比であるときは、理論空燃比近傍の検出精度が高いλO2センサSN12と、理論空燃比近傍の検出精度はλO2センサSN12よりも低いが広い範囲で空燃比を検出できるリニアA/FセンサSN11の出力値とに基づいて、燃焼室6内の空燃比が制御される。そして、第1運転領域A1でエンジンが運転されており目標空燃比が理論空燃比よりも高いときは、リニアA/FセンサSN11の出力値とNOxセンサSN13の出力値とに基づいて、燃焼室6内の空燃比が制御される。
そのため、燃焼室6内の目標空燃比が理論空燃比とされる第2運転領域A2と、燃焼室6内の目標空燃比が理論空燃比よりも高い値とされる第1運転領域A1との両方において、燃焼室6内の空燃比を精度よく目標値に制御することができ、排気性能と燃費性能とをより確実に高めることができる。
具体的には、第2運転領域A2であって燃焼室6内の空燃比が理論空燃比とされる場合に、リニアA/FセンサSN11に基づいて燃焼室6内の空燃比を大まかに理論空燃比近傍に制御した上で、λO2センサに基づいてこの空燃比を理論空燃比近傍に精度よく制御することができ、燃焼室6内の空燃比ひいては排気の空燃比をより早期に且つ確実に目標とする理論空燃比近傍にすることができる。さらに、λO2センサSN12で検出された三元触媒41aの下流側の排気の空燃比に基づいて燃焼室6内の空燃比が制御されることで、三元触媒41aに酸素が吸蔵されていたとき等であって三元触媒41aよりも上流側の空燃比と三元触媒41a内の空燃比とがずれる場合であっても、三元触媒41a内の空燃比をより確実に理論空燃比近傍に制御して排気性能を確実に高めることができる。
また、第1運転領域A1でエンジンが運転されており燃焼室6内の目標空燃比が理論空燃比よりも高いときは、リニアA/FセンサSN11に基づいて燃焼室6内の空燃比を大まかに目標空燃比近傍に制御した上で、NOxセンサSN13に基づいて実NOx濃度がNOxの濃度となるように燃焼室6内の空燃比が制御されることで、燃焼室6内の空燃比が目標空燃比から大幅にずれるのを回避して燃費性能および燃焼安定性を良好にしつつ、NOxの排出量を確実に小さくすることができる。
特に、本実施形態では、第1運転領域A1でエンジンが運転されており燃焼室6内の目標空燃比が理論空燃比よりも高いときに、NOxセンサSN13で検出された実NOx濃度に基づいて前記目標空燃比を補正し、当該補正された後の目標空燃比が実現されるようにリニアA/FセンサSN11で検出された排気の空燃比に基づいて燃焼室6内の空燃比が制御される。そのため、第1運転領域A1において、NOx濃度が目標NOx濃度となる空燃比に燃焼室6内の空燃比を適切に制御することができる。
また、本実施形態では、第2運転領域A2でエンジンが運転されており目標空燃比が理論空燃比のときに、λO2センサSN12で検出された排気の空燃比に基づいて前記目標空燃比を補正し、当該補正された後の目標空燃比が実現されるようにリニアA/FセンサSN11で検出された排気の空燃比に基づいて燃焼室6内の空燃比が制御される。そのため、第2運転領域A2において、三元触媒41a内の空燃比が理論空燃比となる空燃比に燃焼室6内の空燃比を適切に変更することができる。
また、本実施形態では、第1運転領域A1と第2運転領域A2においてSPCCI燃焼が実行される。そのため、SPCCI燃焼の実行によって燃焼騒音の増大を抑制しつつ燃費性能を向上させることができるとともに、このSPCCI燃焼が実行される第1運転領域A1において目標空燃比が理論空燃比よりも高い値に設定されることで燃費性能をさらに高めることおよびNOxの排出量を小さくすることができる。
また、本実施形態では、λO2センサSN12が、排気通路40のうち三元触媒41aと微粒子捕集装置41bとの間に配設され、NOxセンサSN13が、排気通路40のうち微粒子捕集装置41bよりも下流側に設けられている。つまり、λO2センサSN12が三元触媒41aにより近い位置に配設されている。そのため、λO2センサSN12によって三元触媒41a内の排気の空燃比をより精度よく検出することができる。また、熱害を比較的受けやすいNOxセンサSN13が燃焼室6からより遠く温度が低い位置に配設されることで、NOxセンサSN13に加えられる熱害が抑制できる。
(6)変形例
前記実施形態では、NOx濃度が予め設定された目標NOx濃度となるように目標空燃比が補正される場合について説明したが、これに代えて、NOx濃度が目標NOx濃度以下となるように目標空燃比が補正されてもよい。
前記実施形態では、NOxセンサSN13の検出値と目標NOx濃度とを直接比較して、その比較結果に基づいて目標空燃比が補正される場合について説明したが、モデル計算により排気のNOx濃度を推定し、このNOx濃度の推定値の誤差(いわゆるモデル誤差)の学習にNOxセンサSN13の検出値を用い、NOxセンサSN13の検出値に基づいて修正された後のNOx濃度の推定値と、目標NOx濃度との差に基づいて目標空燃比を補正するように構成してもよい。
前記実施形態では、SPCCI燃焼を実施する第1運転領域A1および第2運転領域A2において、λO2センサSN12およびNOxセンサSN13の検出値を用いて目標空燃比を補正する場合について説明したが、この補正は、SPCCI燃焼以外の燃焼が行われる場合に適用されてもよい。ただし、SPCCI燃焼を実施すれば燃費性能を高めることができるため、第1運転領域A1のように燃焼室6内の空燃比を理論空燃比よりもリーンにしつつSPCCI燃焼を実施すれば、燃費性能を格段に高めることができる。そして、この場合には、特に、NOxを精度よく制御することが求められるため、このような場合に適用すれば、効果的である。
1 エンジン本体
2 気筒
6 燃焼室
15 インジェクタ(空燃比変更手段)
16 点火プラグ
41a 三元触媒
100 ECU(制御手段)
SN11 リニアA/Fセンサ(第2空燃比センサ)
SN12 λO2センサ(第1空燃比センサ)
SN13 NOxセンサ

Claims (5)

  1. 気筒が形成されたエンジン本体と、当該エンジン本体から排出された排気が通過する排気通路と、当該排気通路に設けられた三元触媒とを備えるエンジンの空燃比制御装置であって、
    前記三元触媒下流の排気通路に配設されて、排気の空燃比が理論空燃比近傍であるときに当該空燃比に応じた値を出力する第1空燃比センサと、
    前記三元触媒上流の排気通路に配設されて、空燃比について前記第1空燃比センサよりも広い範囲で排気の空燃比に応じた値を出力し、且つ、理論空燃比近傍での空燃比に対する出力値の変化量が前記第1空燃比センサよりも小さい第2空燃比センサと、
    前記三元触媒下流の排気通路に配設されて、排気中のNOxの濃度に応じた値を出力するNOxセンサと、
    前記気筒内の空燃比を変更可能な空燃比変更手段と、
    前記空燃比変更手段を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記気筒内の空燃比の目標値である目標空燃比が理論空燃比であるときは、前記第1空燃比センサの出力値と前記第2空燃比センサの出力値とに基づいて、前記目標空燃比が実現されるように前記空燃比変更手段を制御し、
    前記目標空燃比が理論空燃比よりも高いときは、前記第2空燃比センサの出力値と前記NOxセンサの出力値とに基づいて、前記目標空燃比が実現されるように前記空燃比変更手段を制御する、ことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの空燃比制御装置において、
    前記制御手段は、前記目標空燃比が理論空燃比よりも高いとき、前記NOxセンサの出力値に基づいて前記目標空燃比を補正し、当該補正された後の目標空燃比が実現されるように前記第2空燃比センサの出力値に基づいて前記空燃比変更手段を制御する、ことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のエンジンの空燃比制御装置において、
    前記制御手段は、前記目標空燃比が理論空燃比のとき、前記第1空燃比センサの出力値に基づいて前記目標空燃比を補正し、当該補正された後の目標空燃比が実現されるように前記第2空燃比センサの出力値に基づいて前記空燃比変更手段を制御する、ことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジンの空燃比制御装置において、
    前記制御手段は、前記気筒内の混合気の一部を火花点火により強制的にSI燃焼させた後に気筒内の残りの混合気を自着火によりCI燃焼させる部分圧縮着火燃焼が少なくとも一部の運転領域で実行されるように前記空燃比変更手段を制御するとともに、当該部分圧縮着火燃焼が実行される運転領域の少なくとも一部で前記目標空燃比を理論空燃比よりも高い値に設定する、ことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンジンの空燃比制御装置において、
    前記排気通路の前記三元触媒の下流側に設けられて排気中の微粒子を捕集する微粒子捕集装置をさらに備え、
    前記第1空燃比センサは、前記排気通路のうち前記三元触媒と前記微粒子捕集装置との間に配設されており、
    前記NOxセンサは、前記排気通路のうち前記微粒子捕集装置よりも下流側に設けられている、ことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
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