JP2006274246A - クレヨン - Google Patents

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Abstract

【課題】セルロース系樹脂を使用することで、低温環境下での筆記性が悪いという従来のクレヨンの欠点を改善が図られることが判明したが、逆に非吸収面(主にガラス面)に対する耐水性が非常に悪くなり、車のフロントガラス面上に筆記した筆跡が雨水により剥離するという問題が生じていた。そこで、本発明の目的は、前記のような耐水性の欠点を克服し、かつ低温環境下(−40度)での筆記性に優れたクレヨンを提供することである。
【解決手段】本発明は、着色剤、ゲル化剤、有機溶剤、セルロース樹脂及び界面活性剤を含むクレヨンにおいて、上記界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種のHLB値9.0以下の界面活性剤であるクレヨンとすることで上記問題が解決される。
【選択図】なし


Description

本発明は、ガラス表面上に形成した筆跡やマーキングの耐水性にすぐれると共に、−40℃又はそれ以下という低温の環境下においても、滑らかに筆記し、又はマーキングすることができるクレヨン、即ち、スティック形状の固形マーカーに関する。
このようなクレヨンとして、従来、着色剤、有機溶剤、樹脂及びゲル化剤を主成分としてなるものが知られている。一例を挙げれば、例えば、特公昭54−23619号公報(特許文献1)にジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール又はこれらの誘導体からなるゲル化剤とセルロース樹脂と着色剤を有機溶剤に溶解又は分散させた後、冷却し、固化させて、クレヨンを製造する方法が記載されている。このようにして得られるクレヨンは、高温でも変質せず、また、金属やプラスチック等からなる筆記面又はマーキング面 (以下、単に、筆記面という。) 上への筆記又はマーキング (以下、単に、筆記という。) に際しても、筆記面によく付着して、滑らかに筆記することができ、しかも、筆記面上に形成された塗膜、即ち、筆跡は、筆記面上で硬化して、色移りを起こさないという特徴を有する。
更に、別の一例として、セルロース樹脂とケトン樹脂とを樹脂成分とし、ジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種のゲル化剤と、グリコール類、グリコールエーテル類、グリコール類エーテルエステル類及び安息香酸エステルから選ばれる少なくとも1種の有機溶剤と着色剤を含有してなるクレヨンが特公昭55−41716号公報(特許文献2)記載されている。このようなクレヨンは、上述したクレヨンに比べて、より高い硬度を有すると共に、一層、改善された筆記性と筆記面への付着性とを有している。
特公昭54−23619号公報 特公昭55−41716号公報
本発明者は、上述したクレヨンが樹脂成分としてセルロース系樹脂を含有しており、それ故に、低温の環境下での筆記性にすぐれることを見出したが、しかし、用途によっては、必要な性能を有しておらず、例えば、ガラス表面のような非吸収面上に筆記したとき、形成される筆跡が耐水性に劣り、それ故、例えば、自動車のフロントガラス上に形成した筆跡が雨に濡れるとき、ガラス表面上で滲んだり、ガラス表面から流れて失われるという問題があった。
従って、本発明は、−40℃又はそれ以下という低温の環境下においても、ガラス表面上に滑らかに筆記することができるのみならず、ガラス表面上に形成された筆跡が耐水性にすぐれるクレヨンを提供することを目的とする。
本発明によれば、着色剤、ゲル化剤、有機溶剤、セルロース樹脂及び界面活性剤を含むクレヨンにおいて、上記界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種のHLB値が9.0以下の界面活性剤であるクレヨンが提供される。
好ましくは、本発明においては、上記ゲル化剤はジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、また、上記樹脂はセルロース樹脂である。
このような本発明によるクレヨンは、樹脂成分として、セルロース樹脂を含有していると共に、界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含有しており、それ故に、−40℃又はそれ以下という低温の環境下においても、ガラス表面上に滑らかに筆記することができるのみならず、親水性のガラス表面とクレヨンによる疎水性の塗膜、即ち、筆跡との間に上記界面活性剤が介在することによって、筆跡のガラス表面に対する密着性を向上させ、かくして、耐水性にすぐれる筆跡を与える。
本発明によるクレヨンは、着色剤、ゲル化剤、有機溶剤及びセルロース樹脂を含むクレヨンにおいて、界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種のHLB値が9.0以下である界面活性剤を含有してなるものである。
(有機溶剤)
本発明によるクレヨンにおいて用いられる有機溶剤は、特に限定されるものではなく、例えば、キシレン、テトラリン等の芳香族炭化水素類、n−プロピルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン等の炭素数9及び10のシクロヘキサン系炭化水素類、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル等のエステル類、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテルエステル類等が用いられるが、なかでも、グリコール類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルエステル類及びアルコール類よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
このような好ましい有機溶剤の具体例としては、アルコール類として、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール等のアルコール類を挙げることができ、グリコール類として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等を挙げることができ、グリコールエーテル類として、例えば、上記グリコール類のメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、フェニルエーテル等を挙げることができ、グリコールエーテルエステル類として、例えば、上記グリコールエーテル類のアセテート等を挙げることができる。
本発明においては、特に、これらのなかでも、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
本発明において、上記有機溶剤は、着色剤等の成分との関係において適宜に定められるが、通常、20〜80重量%程度、好ましくは、35〜65重量%程度の範囲で用いられる。有機溶剤を過多に用いるときは、所要の各成分をまとめてゲル化することが困難となるおそれがある。他方、有機溶剤が少なすぎるときは、所要の各成分をこれに溶解させることが困難となり、均一なゲルが形成できないおそれがある。
(ゲル化剤)
本発明において、ゲル化剤は、各成分を一体に固体にまとめるための成分であり、そのようなゲル化剤としては、従来、クレヨンを含むクレヨンの製造に用いられるものであれば、いずれも用いられる。そのようなゲル化剤として、例えば、ジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール、これらの誘導体、アミノ酸系油ゲル化剤、脂肪酸類等が好ましく用いられる。
ジベンジリデンソルビトールの誘導体としては、例えば、ジベンジリデンソルビトールのベンジリデン基中のベンゼン核が任意の位置にて炭素数1〜3のアルキル基で置換された化合物を例示することができ、具体例としては、〔ジ(p−メチルベンジリデン)〕ソルビトール、〔ジ(m−エチルベンジリデン)〕ソルビトール、〔ジ(p−クロルベンジリデン)〕ソルビトール等を挙げることができる。
トリベンジリデンソルビトールの誘導体としては、例えば、トリベンジリデンソルビトールのベンジリデン基中のベンゼン核が任意の位置にて炭素数1〜3のアルキル基で置換された化合物を例示することができ、具体例としては、〔トリ(p−メチルベンジリデン)〕ソルビトール、〔トリ(m−エチルベンジリデン)〕ソルビトール、〔トリ(p−クロルベンジリデン)〕ソルビトール等を挙げることができる。
アミノ酸系油ゲル化剤としては、例えば、N−アシルグルタミンジアミド、N−ラウロイルグルタミン酸ジ−n−ブチルアミド等を挙げることができる。脂肪酸類としては、例えば、ステアリン酸、ミリスチン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等を挙げることができ、更には、これら脂肪酸のアルカリ金属塩のような金属塩やアンモニウム塩等を挙げることができる。
本発明によるクレヨンにおいて、ゲル化剤の含有量は、用いるゲル化剤の種類等に応じて適宜に定められるが、通常、2〜20重量%の範囲であり、好ましくは、3〜15重量%の範囲である。クレヨンにおいて、ゲル化剤が多すぎるときは、得られるクレヨンのゲル硬度が高すぎて、筆記に際して、その着色性等が低下するので、好ましくなく、他方、ゲル化剤が少なすぎるときは、クレヨンの製造において、各成分を一体にまとめてゲル化することが困難となる。上記例示したゲル化剤は、単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
(着色剤)
本発明によるクレヨンは、着色剤を含有しており、これによって、種々の色の筆跡を筆記面上に形成することができる。用いる着色剤は、溶解性と分散性がよいものが好ましい。着色剤としては、具体的には、酸性染料、直接染料、塩基性染料等の水溶性染料(トリフェニルメタン系、キサンテン系、アントラキノン系、金属錯体系、銅フタロシアニン系等)、フタロシアニン、キナクリドン、カーボンブラック、二酸化チタン等の有機顔料又は無機顔料、更には、蛍光顔料や着色樹脂球等を使用することができる。また、顔料分散体として配合することもできる。着色剤は単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
本発明によれば、着色剤は、クレヨンにおいて、0.01〜30重量%の範囲で含まれていることが好ましい。着色剤がクレヨンにおいて、0.01重量%よりも少ないときは、着色剤としての効果を殆どもたない。しかし、着色剤がクレヨンにおいて、30重量%を超えるときは、得られるクレヨンにおいて、着色剤以外のその他の成分の相対的な割合が低すぎて、それぞれの果たすべき役割が十分に発揮されないので、性能にすぐれるクレヨンを得ることができない。クレヨンにおける着色剤の最適の配合量は、着色剤の種類によって幾分異なるが、通常、0.05〜20重量%の範囲である。
(樹脂成分)
本発明において、樹脂成分は、クレヨンの製造に際しては、各成分をまとめる役割を果たすと共に、得られたクレヨンにて筆記面上に筆記したとき、形成された筆跡の定着剤としての役割を果たす。本発明において、このような樹脂成分として、好ましくは、フィルム形成性樹脂と接着性樹脂が併用される。
(フィルム形成性樹脂)
フィルム形成性樹脂は、クレヨンの硬度を高めると共に、筆記面に形成された筆跡を強固にするためのものであって、そのような性質を有するものであれば、特に限定されるものではないが、なかでも、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロース樹脂が好ましく用いられる。これらフィルム形成性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記例示したなかでは、セルロースアセテートブチレート樹脂が特に好ましく用いられる。
(接着性樹脂)
一方、接着性樹脂としては、クレヨンによる筆跡の筆記面への付着性を高めるためのものであって、そのような性質を有する限り、特に限定されるものではないが、通常、例えば、ケトン樹脂、アクリル樹脂、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂等が用いられる。ケトン樹脂としては、例えば、シクロヘキサノンとホルムアルデヒドとの縮合物を例示することができる。アクリル樹脂としては、例えば、熱可塑性のポリアクリル酸エステルを例示することができる。キシレン樹脂としては、例えば、メタキシレンとホルムアルデヒドとの縮合物を例示することができる。ポリアミド樹脂としては、例えば、ダイマー酸とジ−又はポリアミンの縮重合によって得られる熱可塑性樹脂であって、分子量4000〜9000程度のものを例示することができる。これらの接着性樹脂も、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、上記フィルム形成性樹脂と接着性樹脂との割合は、他の成分との関係によって適宜に定められるが、通常、フィルム形成性樹脂:接着性樹脂フィルム形成用樹脂の重量比は1:0.1〜5程度、好ましくは、1:0.2〜3程度である。
また、クレヨンにおいて、上記フィルム形成性樹脂と接着性樹脂の含有量は、両者の合計量にて、通常、3〜40重量%の範囲であり、好ましくは、6〜35重量%の範囲である。樹脂の割合が多すぎるときは、得られるクレヨンのゲル硬度が高すぎて、着色性とレベリング性が悪く、他方、樹脂の割合が少なすぎるときは、各成分を一体にまとめてゲル化することが困難となり、また、得られるクレヨンが十分な定着性や強度を有しない。
(界面活性剤)
本発明によるクレヨンは、界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含有しており、それ故に、ガラス表面に筆記した場合にも、その筆跡は、水によって滲んだり、ガラス表面から離れて流失するようなことはない。特に、本発明においては、上記界面活性剤は、HLB値 (Hydrophile-Lipophile Balance) が9.0以下であるのものが好ましく、特に、5.0〜9.0の範囲のものが好ましい。HLB値が9.0を超える上記界面活性剤は、親水性が高いので、このような界面活性剤を含むクレヨンが形成する筆跡は耐水性に劣っている。
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルやポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルは、市販品として入手することができる。このような市販品として、例えば、東邦化学工業(株)からフォスファノール (PHOSPHANOL) RL−210(HLB値5.4)、RM−410(HLB値5.8)、GB−520(HLB値6.9)、RB−410(HLB値8.6)、RS−410(HLB値9.0)等を挙げることができる。
一般に、有機リン酸エステルには、モノ−、ジ−及びトリエステルが知られているが、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルやポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルも、モノ−及びジエステルと微量のトリエステルとからなる混合物である。
本発明によるクレヨンは、このような界面活性剤をクレヨンにおいて、0.1〜5重量%の範囲で含まれていることが好ましい。クレヨンにおいて、この界面活性剤の割合が0.1重量%よりも少ないときは、得られる筆跡がガラス表面上で十分な耐水性をもたない。他方、クレヨンにおいて、この界面活性剤の割合が5重量%よりも多いときは、クレヨンの製造に際して、前記ゲル化剤の作用を阻害して、前述した各成分を一体に固形化することが困難となるおそれがある。
本発明においては、これらの界面活性剤は、上記範囲のHLB値を有するものを単独で用いてもよく、また、HLB値は加成性を有するので、2種類以上を併用して、HLB値を適宜に調整することもできる。更に、HLB値が9.0を越えるものでも、HLB値の小さいものと組み合わせることによって、混合物としてのHLB値が9.0以下となるものであれば、そのようにHLB値が9.0を越えるものでも用いることができる。
本発明によれば、前述したポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルやポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルは、そのモノエステルやジエステルが有する酸性のヒドロキシル基のために、通常、2.5以下のpH値を有するので、必要に応じて、成分として、クレヨンに中和剤を含有せしめて、例えば、用いるゲル化剤が加水分解しないように、得られるクレヨンのpHを適宜に調整することができる。 但し、上記界面活性剤のpHは、10%水溶液のpH値である(JIS Z 8802)。
(中和剤)
この中和剤には、特に、限定されるものではないが、通常、有機アミン類が好ましく用いられる。この有機アミン類としては、例えば、アルカノールアミンが好ましく用いられる。このアルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジプロパノールアミン等を挙げることができる。
このように、本発明において、クレヨンに有機アミン類を中和剤として含有させるとき、その割合は、クレヨンにおいて、通常、0.01〜0.5重量%の範囲である。クレヨンにおいて、有機アミン類の割合が0.01重量%よりも少ないときは、場合によっては、ゲル化剤の加水分解を防ぐには不十分であって、得られるクレヨンが十分な硬度をもたないおそれがある。他方、有機アミン類の割合がクレヨンにおいて、0.5重量%よりも多いときは、得られるクレヨンの与える筆跡の耐水性が低下するおそれがある。
本発明によるクレヨンは、上述した成分に加えて、必要に応じて、その他の成分として、例えば、防錆剤、充填剤、レベリング剤、粘度調整剤、構造粘性付与剤、乾燥性付与剤等、従来より、クレヨンにおける添加剤として知られているものを適宜に含有していてもよい。また、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、エポキシヘキサヒドロフタル酸2−エチルヘキシル、セバシン酸2−エチルヘキシル、トリクレジルホスフェート等の可塑剤も適宜に含有していてもよい。
本発明において、クレヨンのゲル硬度は、用いる有機溶剤、ゲル化剤、樹脂等の種類や配合量によって任意に調節することができ、その用途等に応じて適宜に設定されるが、通常、5〜50kg/cm2程度、好ましくは、7〜30kg/cm2の範囲である。
本発明のクレヨンは、その製造方法において、何ら限定されるものではない。基本的には、上述した各成分を均一に混合し、一体にゲル化すれば、本発明によるクレヨンを得ることができる。一例を挙げれば、例えば、用いる有機溶剤の一部にフィルム形成性樹脂を加えて溶解させ、得られた溶液に着色剤を加え、ミル等で十分に分散させた後、残りの有機溶剤を加え、更に、これに接着性樹脂、ゲル化剤等を加え、これらを溶解、分散させ、最後に、このようにして得られた均一な液状の混合物を所望の形状を有する容器に流し込み、冷却して、固化させれば、そのような形状を有するクレヨンを得ることができる。このようにして、クレヨンを製造する場合、各成分を溶解させるに際して、必要に応じて、加熱してもよい。
上述したクレヨンの製造において、上記液状の混合物を、例えば、円筒状の容器に流し込み、冷却、固化させた後、その容器から取り出すことなく、上記容器の開口部に取り外し自在にキャップを被せれば、クレヨンからの有機溶剤の揮発を防ぐことができる。
以上のように、本発明によるクレヨンは、有機溶剤、着色剤、セルロース樹脂及びゲル化剤に加えて、界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含有しており、−40℃又はそれ以下の低温の環境下においても、例えば、ガラス表面上に滑らかに筆記することができるのみならず、ガラス表面上に耐水性にすぐれる筆跡を形成することができる。

(実施例)
以下に本発明の実施例と共に比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
エチレングリコールモノブチルエーテル12重量部、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル18重量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル18.3重量部、ブチルベンジルフタレート6.2重量部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル(東邦化学工業(株)製「フォスファノールRM−410」、HLB値5.8)1.0重量部及びモノエタノールアミン0.1重量部からなる混合物にセルロースアセテートブチレート樹脂(イーストマンケミカル社製「CAB381−1/2“」)17.2重量部を加えて溶解させた。
得られた溶液にカーボンブラック7.2重量部を加え、ミルを用いて十分に分散させた。130℃で加熱攪拌しつつ、更に、ケトン樹脂(日立化成(株)製「ハイラック111」)14.3重量部を加えた後、上記温度に保って、上記ケトン樹脂を完全に溶解させた。次いで、ジベンジリデンソルビトール(新日本理化(株)製ゲル化剤「ゲルオールD」)5.7重量部を加えて、完全に溶解させた。このようにして得られた溶液を容器に流し込み、冷却、固化させて、固形物をクレヨンとして上記容器から取り出した。
実施例2〜8
第1表に示す成分を第1表に示す量にて用いた以外は、実施例1と同様にして、クレヨンを得た。
比較例1
実施例7において、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル(東邦化学工業(株)製「フォスファノールRM−410」を用いなかった以外は、同様にして、クレヨンを得た。
比較例2
実施例6において、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル(東邦化学工業(株)製「フォスファノールRM−410」を用いなかった以外は、同様にして、クレヨンを得た。
比較例3
実施例8において、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル(東邦化学工業(株)製「フォスファノールRM−410」に代えて、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル(東邦化学工業(株)製「フォスファノールRH−610H」、HLB値12.8)を用いた以外は、同様にして、クレヨンを得た。
以上のようにして得られたそれぞれのクレヨンは、樹脂成分として、セルロース樹脂を含有しており、それ故に、−40℃の環境において、ガラス表面上に滑らかに筆記することができることが知られている従来のクレヨンと同様に、−40℃の環境において、ガラス表面上に滑らかに筆記することができる。更に、得られたそれぞれのクレヨンについて、その硬さ(ゲル硬度)とガラス表面上に筆記したときの筆跡の耐水性を以下のようにして調べた。
(ゲル硬度)
ゲル硬度によって、クレヨンの固体としての状態を評価した。ここに、ゲル硬度とは、製造後、1日間経過したクレヨンを試料とし、温度23±2℃、相対湿度50±5%の環境条件下において、引張圧縮試験機(豊田工機(株)製半導体圧力変換器PMS−5型10H)を用いて直径4mmの円柱状の治具を試料に速さ4mm/秒にて突き刺すとき、上記治具に加わる荷重を単位面積当たりに換算して、それを試料のゲル硬度とした。このようにして求めたゲル硬度が7kgf/cm2以上であるとき、得られたクレヨンが十分に固形化していることを示し、ゲル硬度が7kgf/cm2以下であるとき、得られたクレヨンが十分に固形化していないことを示す。
(ガラス表面の筆跡の耐水性)
得られたそれぞれのクレヨンを用いて、ガラス板の表面に手で数本の直線(筆跡)を描き、1日間、乾燥させた後、上記直線の長さの約半分が流水に接触するように、ガラス板を流水中に1時間浸漬して、そのときの流水中の筆跡が流れて失われるかどうかを調べた。
その結果、実施例1〜8によるクレヨンはすべて、ゲル硬度が7kgf/cm2以上であって、十分に固形化していることが示され、また、ガラス板の表面の筆跡に流失はみられなかった。比較例1〜3によるクレヨンもすべて、ゲル硬度は7kgf/cm2以上であって、十分に固形化していることが示されたが、しかし、ガラス板上の流水中に浸漬されていた筆跡は流されて失われた。

Claims (6)

  1. 着色剤、ゲル化剤、有機溶剤、セルロース樹脂及び界面活性剤を含むクレヨンにおいて、上記界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種のHLB値9.0以下の界面活性剤であるクレヨン。
  2. ゲル化剤がジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のクレヨン。
  3. セルロース樹脂と共に、第2の樹脂として、ケトン樹脂、アクリル樹脂、キシレン樹脂及びポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載のクレヨン。
  4. セルロース樹脂がセルロースアセテートブチレート樹脂、エチルセルロース樹脂及びアセチルセルロース樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至3に記載のクレヨン。
  5. 更に、界面活性剤の中和剤として有機アミン類を含む請求項1乃至4に記載のクレヨン。
  6. 有機アミン類がアルカノールアミン類である請求項1乃至5に記載のクレヨン。

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