JP2006272912A - 液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 異物によるノズル詰まり等の吐出不良を確実に防止することができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 圧電素子300が形成された流路形成基板10の一方面側にリザーバ形成基板30を接合する接合工程と、流路形成基板をその他方面側からエッチングして連通部13を除く液体流路を形成する流路形成工程と、流路形成基板の内部であって連通部となる領域の周縁部に集光点を合わせてレーザ光を照射して流路形成基板の内部に改質領域を形成し、改質領域を起点として亀裂を生じさせて流路形成基板及び振動板を切断し、流路形成基板に連通部を形成すると共に振動板に連通部とリザーバ部とを連通する貫通部55を形成するリザーバ形成工程とを少なくとも有するようにする。
【選択図】図1
【解決手段】 圧電素子300が形成された流路形成基板10の一方面側にリザーバ形成基板30を接合する接合工程と、流路形成基板をその他方面側からエッチングして連通部13を除く液体流路を形成する流路形成工程と、流路形成基板の内部であって連通部となる領域の周縁部に集光点を合わせてレーザ光を照射して流路形成基板の内部に改質領域を形成し、改質領域を起点として亀裂を生じさせて流路形成基板及び振動板を切断し、流路形成基板に連通部を形成すると共に振動板に連通部とリザーバ部とを連通する貫通部55を形成するリザーバ形成工程とを少なくとも有するようにする。
【選択図】図1
Description
液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドがある。また、インクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、ノズル開口に連通する圧力発生室とこの圧力発生室に連通する連通部とが形成される流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に形成される圧電素子と、流路形成基板の圧電素子側の面に接合され連通部と共にリザーバの一部を構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板とを具備し、振動板に形成された貫通孔を介してリザーバ部と連通部とを連通させてリザーバを形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。そして、リザーバ部と連通部とを連通する貫通孔は、一般的に、振動板の連通部(リザーバ部)に対向する部分を振動板の表面から機械的に打ち抜くことによって形成されていた。
しかしながら、このように機械的な加工で振動板の表面から貫通孔を形成すると、加工途中に発生する加工カス等の異物が生じ、圧力発生室などの流路内にこの異物が入り込み、吐出不良等の原因となるという問題がある。なお、振動板に貫通孔を形成後、例えば、洗浄等を行うことで、加工カス等の異物はある程度除去することはできるが完全に除去するのは難しい。また、上記の方法で加工すると、貫通孔の周囲に亀裂等が発生し、この亀裂が生じることによっても吐出不良が発生するという問題がある。すなわち、亀裂が発生した状態でインクを充填してノズル開口から吐出させると、亀裂部分から破片が脱落し、この破片がノズル開口に詰まり吐出不良が発生するという問題がある。
また、このような問題を解決するために、例えば、振動板の表面にレーザ光を照射して振動板を切断することで、上記貫通孔(貫通部)を形成するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、このようにレーザ光を振動板の表面に照射することによって貫通孔を形成すると、貫通孔の周縁部に加工途中で発生するドロス等が付着してしまい、上述した破片の場合と同様に、このドロス等がノズル開口に詰まり、吐出不良が発生するという問題がある。
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法だけでなく、勿論、インク以外の液体を吐出する他の液体噴射ヘッドの製造方法においても、同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑み、異物によるノズル詰まり等の吐出不良を確実に防止することができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と該圧力発生室に連通する連通部とを含む液体流路が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる圧電素子と、前記連通部と連通してリザーバを構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板とを具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記圧電素子が形成された前記流路形成基板の前記一方面側に前記リザーバ形成基板を接合する接合工程と、前記流路形成基板をその他方面側からエッチングして前記連通部を除く前記液体流路を形成する流路形成工程と、前記流路形成基板の内部であって前記連通部となる領域の周縁部に集光点を合わせてレーザ光を照射して当該流路形成基板の内部に改質領域を形成し、該改質領域を起点として亀裂を生じさせて前記流路形成基板及び前記振動板を切断し、前記流路形成基板に前記連通部を形成すると共に前記振動板に前記連通部と前記リザーバ部とを連通する貫通部を形成するリザーバ形成工程とを少なくとも有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第1の態様では、連通部及び貫通部を形成する際に、加工カス等の異物の発生が少なく抑えられ、またドロス等の付着も防止することができる。したがって、異物によるノズル詰まり等の吐出不良を確実に防止することができる。
かかる第1の態様では、連通部及び貫通部を形成する際に、加工カス等の異物の発生が少なく抑えられ、またドロス等の付着も防止することができる。したがって、異物によるノズル詰まり等の吐出不良を確実に防止することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記リザーバ形成工程では、前記改質領域を形成後、当該改質領域に前記流路形成基板の非改質領域に対して透過性を有するレーザ光を照射することで、前記改質領域を起点として亀裂を生じさせて前記流路形成基板及び前記振動板を切断することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第2の態様では、流路形成基板及び振動板を極めて良好に切断して、連通部及び貫通部を形成することができる。
かかる第2の態様では、流路形成基板及び振動板を極めて良好に切断して、連通部及び貫通部を形成することができる。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記リザーバ形成工程では、前記連通部の開口形状に沿って前記流路形成基板の内部に前記改質領域を形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第3の態様では、連通部及び貫通部を極めて良好に且つ効率的に形成することができる。
かかる第3の態様では、連通部及び貫通部を極めて良好に且つ効率的に形成することができる。
本発明の第4の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と該圧力発生室に連通する連通部とを含む液体流路が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる圧電素子と、前記連通部と連通してリザーバを構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板とを具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子が形成された前記流路形成基板の前記一方面側に前記リザーバ形成基板を接合する接合工程と、前記流路形成基板をその他方面側からエッチングして前記液体流路を形成する流路形成工程と、前記連通部と前記リザーバ部との間に形成されている積層の内部であって前記リザーバとなる領域の周縁部に集光点を合わせてレーザ光を照射して当該積層の内部に改質領域を形成し、該改質領域を起点として亀裂を生じさせて前記積層を切断し、前記連通部と前記リザーバ部とを連通する貫通部を形成するリザーバ形成工程とを少なくとも有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第4の態様では、リザーバを構成する連通部をエッチングで形成しており、連通部とリザーバ部との間に形成されている積層に改質領域を形成して切断してリザーバを形成しているため、加工カス等の発生が極めて少なく抑えられ、またドロス等の付着も防止することができる。
前記圧電素子が形成された前記流路形成基板の前記一方面側に前記リザーバ形成基板を接合する接合工程と、前記流路形成基板をその他方面側からエッチングして前記液体流路を形成する流路形成工程と、前記連通部と前記リザーバ部との間に形成されている積層の内部であって前記リザーバとなる領域の周縁部に集光点を合わせてレーザ光を照射して当該積層の内部に改質領域を形成し、該改質領域を起点として亀裂を生じさせて前記積層を切断し、前記連通部と前記リザーバ部とを連通する貫通部を形成するリザーバ形成工程とを少なくとも有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第4の態様では、リザーバを構成する連通部をエッチングで形成しており、連通部とリザーバ部との間に形成されている積層に改質領域を形成して切断してリザーバを形成しているため、加工カス等の発生が極めて少なく抑えられ、またドロス等の付着も防止することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る製造方法によって製造されるインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る製造方法によって製造されるインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とはインク供給路14を介してそれぞれ連通されている。連通部13は、後述するリザーバ形成基板30のリザーバ部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成されている。そして、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とで構成される圧電素子300が形成されている。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。
また、このような各圧電素子300の上電極膜80には、例えば、金(Au)等の金属層からなるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
このような流路形成基板10の圧電素子300側の面には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接着剤35によって接着されている。リザーバ形成基板30のリザーバ部31は、振動板、本実施形態では、弾性膜50に設けられた貫通部55を介して連通部13と連通され、これらリザーバ部31及び連通部13によってリザーバ100が構成されている。
また、リザーバ形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子300は、この圧電素子保持部32内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部32は、密封されていてもよいし密封されていなくてもよい。このようなリザーバ形成基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
さらに、リザーバ形成基板30のリザーバ部31に対応する領域上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動ICからの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、圧電素子300及び振動板をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインクが吐出する。
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について説明する。なお、図3〜図7は、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す図であり、図3〜図5及び図7は圧力発生室12の長手方向の断面図、図6は流路形成基板用ウェハ110の一部を示す平面図である。
まず、図3(a)に示すように、シリコンウェハであり複数の流路形成基板10が一体的に形成される流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜51を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、膜厚が約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
次いで、図3(b)に示すように、例えば、白金(Pt)とイリジウム(Ir)とを弾性膜50上に積層することにより下電極膜60を形成した後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。次に、図3(c)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板用ウェハ110の全面に形成し、これら圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。次に、図4(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなる金属層95を形成し、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して、この金属層95を圧電素子300毎にパターニングすることによりリード電極90を形成する。
次に、図4(b)に示すように、複数のリザーバ形成基板30が一体的に形成されたリザーバ形成基板用ウェハ130を、流路形成基板用ウェハ110上に接着剤35によって接着する。なお、リザーバ形成基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するシリコンウェハである。次いで、図4(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、さらにフッ硝酸によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。例えば、本実施形態では、研磨及びウェットエッチングによって、流路形成基板用ウェハ110を、約70μmの厚さとなるように加工した。
次いで、図5(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に、例えば、レジストを塗布して所定形状にパターニングすることによりマスクパターン140を形成する。そして、図5(b)に示すように、このマスクパターン140を介して流路形成基板用ウェハ110をエッチング、本実施形態では、ドライエッチングすることにより、流路形成基板用ウェハ110に連通部13以外のインク流路(液体流路)、本実施形態では、圧力発生室12及びインク供給路14を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110をドライエッチングすることによって圧力発生室12及びインク供給路14を形成しているが、勿論、流路形成基板用ウェハ110をウェットエッチングすることによってこれら圧力発生室12及びインク供給路14を形成するようにしてもよい。
次いで、図5(c)に示すように、マスクパターン140を除去した後、流路形成基板用ウェハ110の内部であって連通部13が形成される領域の周縁部に改質領域110aを形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハ110の内部に集光点を合わせて所定条件でレーザ光200を照射して、流路形成基板用ウェハ110の内部に多光子吸収を発生させて改質領域110aを形成する。例えば、本実施形態では、図6に示すように、この改質領域110aを連通部13の開口形状に沿って形成している。なお、この改質領域110aは、連通部13が形成される領域の全面に亘って形成するようにしてもよい。
ここで、改質領域110aとは、例えば、微小クラックが複数存在するクラック領域、溶融状態又は溶融後再固化した状態である溶融処理領域、あるいは、イオン価数変化、結晶化又は分極配向等の永続的な構造変化によって屈折率が変化した屈折率変化領域等のことである。
そして、図7(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の非改質領域、すなわち、改質領域110a以外の領域に対して透過性を有するレーザ光201を、この改質領域110aに、さらに照射する。例えば、本実施形態では、改質領域110aが連通部13の開口形状に沿って形成されているため、レーザ光201も連通部13の開口形状に沿って移動させながら照射する。そして、このように改質領域110aにレーザ光201を照射することで、流路形成基板用ウェハ110及び弾性膜50(振動板)には、この改質領域110aを起点としてその厚さ方向に亀裂が生じる。これにより、図7(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110及び弾性膜50が切断されて除去され、流路形成基板用ウェハ110に連通部13が形成されると共に、弾性膜50(振動板)に連通部13とリザーバ部31とを連通する貫通部55が形成される。すなわち、連通部13とリザーバ部31とで構成されるリザーバ100が形成される。
このように流路形成基板用ウェハ110の内部から亀裂を生じさせて流路形成基板用ウェハ110等を切断することにより、連通部13及び貫通部55を極めて良好に形成することができる。すなわち、これら連通部13及び貫通部55を形成する際に、加工カス等の異物がほとんど発生することがなく、貫通部55の周縁部へのドロス等の付着も防止することができる。したがって、圧力発生室12、連通部13等のインク流路内に異物が残留し、残留した異物によってノズル詰まり等の吐出不良が発生するのを確実に防止することができる。また、本実施形態では、改質領域110aを連通部13の開口形状に沿って形成するようにしたので、流路形成基板用ウェハ110及び弾性膜50を良好且つ効率的に切断して、連通部13及び貫通部55を形成することができる。
なおその後は、図示しないが、流路形成基板用ウェハ110及びリザーバ形成基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110のリザーバ形成基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、リザーバ形成基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、これら流路形成基板用ウェハ110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって上述した構造のインクジェット式記録ヘッドが製造される。
(実施形態2)
本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110の内部であって連通部13が形成される領域の周縁部に改質領域110aを形成することとは異なり、すなわち流路形成基板用ウェハ110に改質領域を形成するのではなく、連通部13とリザーバ部31との間に形成された積層、例えば、振動板、の内部であってリザーバ100が形成される領域の周縁部に改質領域を形成する。また、流路形成基板用ウェハ110に形成される連通部13は、圧力発生室12及びインク供給路14をドライエッチング又はウェットエッチングで形成する工程で形成される。この他の貫通部の形成方法については、実施形態1と同様である。
本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110の内部であって連通部13が形成される領域の周縁部に改質領域110aを形成することとは異なり、すなわち流路形成基板用ウェハ110に改質領域を形成するのではなく、連通部13とリザーバ部31との間に形成された積層、例えば、振動板、の内部であってリザーバ100が形成される領域の周縁部に改質領域を形成する。また、流路形成基板用ウェハ110に形成される連通部13は、圧力発生室12及びインク供給路14をドライエッチング又はウェットエッチングで形成する工程で形成される。この他の貫通部の形成方法については、実施形態1と同様である。
この実施形態では、第1の実施形態に比べ、加工カスの発生が極めて少なく抑えられ、またドロス等の付着も防止することができる。さらに、実施形態1に比べ切断部分の厚さが薄いため、容易に貫通部を形成することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、流路形成基板用ウェハ110に形成した改質領域110aにレーザ光201を照射することにより、改質領域110aを起点として亀裂を発生させて流路形成基板用ウェハ110等を切断するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、流路形成基板用ウェハ110に改質領域110aを形成後、流路形成基板用ウェハ110の連通部13となる領域に応力を加えることにより、すなわち、人為的な力を加えることによっても改質領域110aを起点として亀裂を発生させて流路形成基板用ウェハ110等を良好に切断することができる。また、上述の実施形態では、弾性膜50のみで構成された振動板を例示したが、勿論、振動板は複数層で構成されていてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、流路形成基板用ウェハ110に形成した改質領域110aにレーザ光201を照射することにより、改質領域110aを起点として亀裂を発生させて流路形成基板用ウェハ110等を切断するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、流路形成基板用ウェハ110に改質領域110aを形成後、流路形成基板用ウェハ110の連通部13となる領域に応力を加えることにより、すなわち、人為的な力を加えることによっても改質領域110aを起点として亀裂を発生させて流路形成基板用ウェハ110等を良好に切断することができる。また、上述の実施形態では、弾性膜50のみで構成された振動板を例示したが、勿論、振動板は複数層で構成されていてもよい。
また、上述した実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 リザーバ形成基板、 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 貫通部、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウェハ、 130 リザーバ形成基板用ウェハ、 200、201 レーザ光、 300 圧電素子
Claims (4)
- 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と該圧力発生室に連通する連通部とを含む液体流路が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる圧電素子と、前記連通部と連通してリザーバを構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板とを具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子が形成された前記流路形成基板の前記一方面側に前記リザーバ形成基板を接合する接合工程と、前記流路形成基板をその他方面側からエッチングして前記連通部を除く前記液体流路を形成する流路形成工程と、前記流路形成基板の内部であって前記連通部となる領域の周縁部に集光点を合わせてレーザ光を照射して当該流路形成基板の内部に改質領域を形成し、該改質領域を起点として亀裂を生じさせて前記流路形成基板及び前記振動板を切断し、前記流路形成基板に前記連通部を形成すると共に前記振動板に前記連通部と前記リザーバ部とを連通する貫通部を形成するリザーバ形成工程とを少なくとも有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。 - 請求項1において、前記リザーバ形成工程では、前記改質領域を形成後、当該改質領域に前記流路形成基板の非改質領域に対して透過性を有するレーザ光を照射することで、前記改質領域を起点として亀裂を生じさせて前記流路形成基板及び前記振動板を切断することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
- 請求項1又は2において、前記リザーバ形成工程では、前記連通部の開口形状に沿って前記流路形成基板の内部に前記改質領域を形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
- 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と該圧力発生室に連通する連通部とを含む液体流路が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる圧電素子と、前記連通部と連通してリザーバを構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板とを具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子が形成された前記流路形成基板の前記一方面側に前記リザーバ形成基板を接合する接合工程と、前記流路形成基板をその他方面側からエッチングして前記液体流路を形成する流路形成工程と、前記連通部と前記リザーバ部との間に形成されている積層の内部であって前記リザーバとなる領域の周縁部に集光点を合わせてレーザ光を照射して当該積層の内部に改質領域を形成し、該改質領域を起点として亀裂を生じさせて前記積層を切断し、前記連通部と前記リザーバ部とを連通する貫通部を形成するリザーバ形成工程とを少なくとも有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005099703A JP2006272912A (ja) | 2005-03-30 | 2005-03-30 | 液体噴射ヘッドの製造方法 |
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JP2005099703A JP2006272912A (ja) | 2005-03-30 | 2005-03-30 | 液体噴射ヘッドの製造方法 |
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JP (1) | JP2006272912A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010208246A (ja) * | 2009-03-12 | 2010-09-24 | Disco Abrasive Syst Ltd | インクジェットプリンタヘッドのインク溜めの加工方法 |
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2005
- 2005-03-30 JP JP2005099703A patent/JP2006272912A/ja active Pending
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