JP2006272779A - 記録ヘッドのキャッピング装置、記録装置、および、液体噴射装置。 - Google Patents

記録ヘッドのキャッピング装置、記録装置、および、液体噴射装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】主走査方向において片側のみに爪部が設けられたキャップ部材であって、ノズル開口を封止する際、記録ヘッドとの相対的な位置関係を精度良く位置決めできるキャッピング装置を提供すること。
【解決手段】記録ヘッド106から離間した第1の位置へ、および、記録ヘッドと当接しインク吐出孔(106a)で構成されるインク吐出孔列)を封止する第2の位置へ、作用部(210、211、213)によって移動可能なキャップユニット202を備え、キャップユニット202は、記録ヘッドの一側面と当接可能な爪部214(214d)と、作用部側に設けられた動力作用部(210)からの力を受ける動力受動部(206、208)とを備え、第1の位置と第2の位置との間を移動する際に、動力作用部(210)からの力は、爪部を介して記録ヘッドへ付与され、爪部が、キャップユニットを案内するように構成されたこと。
【選択図】図8

Description

本発明は、記録ヘッドから離間した第1の位置へ、および、前記記録ヘッドと当接し前記インク吐出孔で構成されるインク吐出孔列を封止する第2の位置へ、作用部によって移動可能なキャップユニットを備えたキャッピング装置、該キャッピング装置を備えた記録装置、および該キャッピング装置を備えた液体噴射装置に関する。
ここで、液体噴射装置とは、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射して被記録材への記録を実行するインクジェット式記録装置、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えて特定の用途に対応する液体を前述した記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録材に相当する被噴射材に噴射して、液体を被噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。また、液体噴射ヘッドとしては、前述した記録ヘッド以外に、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料を噴射する試料噴射ヘッド等が挙げられる。
インクジェット式記録装置或いは液体噴射装置の一例としてインクジェットプリンタがある。インクジェットプリンタは、インクジェット記録ヘッドをキャリッジに備え、当該キャリッジは主走査方向に延びるガイド手段(例えば、ガイド軸)に案内されながらキャリッジモータによって主走査方向に往復駆動される。
記録ヘッドは、被記録材へ記録し続けると、インクを吐出するノズル開口において、目詰まり等が発生し、良好な記録が実行できなくなる虞が生じる。
そこで、記録ヘッドは、インクを吐出するノズル開口の状態を良好な状態に保つため、記録中にキャッピング装置まで移動してキャップ部へ向けてインクを吐出する、所謂、フラッシング動作を行う。また、記録終了後には、記録ヘッドは、キャッピング装置まで移動して、キャップ部によってノズル開口が封止される。そして、ポンプによってキャップ部内が負圧になり、ノズル開口が吸引される、所謂、吸引動作が実行される。
フラッシング動作および吸引動作の際に、記録ヘッドと、キャップ部との相対的な位置関係を決めるため、キャップ部側に記録ヘッドと当接可能な爪部が形成されている。そして、従来のキャッピング装置は、特許文献1に示すように、爪部を備えたキャップホルダとキャップ部とが一体に移動するように構成されていた。
ところが、爪部とキャップ部とが一体に移動するため、フラッシング動作の際、キャップ部と記録ヘッドとの距離が大きくなり、ミストが発生するといった問題があった。
そこで従来は、主走査方向において、記録ヘッドの一側面と当接する爪部を備え、ミスト発生を防止するため、フラッシング動作の際のキャップ部と記録ヘッドとの距離が小さくなるように構成されたキャッピング装置があった。
ここで、図15に従来のキャッピング装置の一例を示す。図15に示す如く、キャリッジには記録ヘッドが形成され、記録ヘッドには、ノズル開口が形成されている。一方、キャップ部には、記録ヘッドと当接可能な爪部が形成されている。
フラッシング動作、および吸引動作の際、キャリッジは、矢印で示す方向へ高速で移動してキャッピング装置のキャップ部に対向する位置の手前で減速して低速で移動する。低速で移動するキャリッジの記録ヘッドは、図15に示す位置で待機するキャップ部の爪部とゆっくり当接するので当接による衝撃を小さくすることができる。当接した際、記録ヘッドは、キャリッジモータの駆動によって爪部を押圧し、一方、キャップ部は、ばね等によってキャリッジ側へ付勢力が付与されていた。従って、記録ヘッドと爪部とが隙間なく当接するので、記録ヘッドとキャップ部との相対的な位置関係が精度良く決められる。その後、キャリッジモータの駆動が停止される。この状態で、ノズル開口からインクが吐出、即ち、フラッシング動作が行われる。
尚、キャップ部の待機位置は、ミストの発生を抑制できる程度である記録ヘッドからの距離、かつ、キャリッジの移動の際、記録ヘッドと当接しない程度の距離に設けられているため、フラッシング動作の際に移動しなくてもよい。
一方、吸引動作の場合は、キャリッジモータの駆動が停止された後、キャップ部が記録ヘッド側へ移動・当接してノズル開口を封止する。その後、ポンプによってキャップ部内が負圧になり、ノズル開口が吸引される。
特開2002−307701号公報
しかしながら、記録ヘッドと爪部との衝突を防止するため、記録ヘッドが、キャップ部に対向する位置の手前で減速して低速で移動するので、スループットが長くなる虞がある。
また、キャップ部が記録ヘッドと当接してノズル開口を封止した状態でも、キャップ部には、ばね等によってキャリッジ側へ付勢力が付与され続けられている。即ち、吸引動作の際、キャップ部に余分な力が付与されているため、キャップ部と記録ヘッドとの間に隙間が生じて、キャップ部内を負圧にできない虞が生じる。
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、主走査方向において片側のみに爪部が設けられたキャップ部材であって、記録ヘッドを備えたキャリッジがキャップ部と対向する位置へ移動する際、減速することなく、さらに、ノズル開口を封止する際、記録ヘッドとの相対的な位置関係を精度良く位置決めでき、さらに、ノズル開口を封止している状態のキャップ部材に余分な力が付与されないキャッピング装置を提供することである。
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、記録ヘッドに設けられたインク吐出孔からインクを吐出して被記録材に記録を行う記録装置において、記録ヘッドから離間した第1の位置へ、および、前記記録ヘッドと当接し前記インク吐出孔で構成されるインク吐出孔列を封止する第2の位置へ、作用部によって移動可能なキャップユニットを備えたキャッピング装置であって、該キャップユニットは、前記記録ヘッドの一側面と当接可能な爪部と、作用部側に設けられた動力作用部からの力を受ける動力受動部とを備え、前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動する際に、前記動力作用部からの力は、前記爪部を介して前記記録ヘッドへ付与され、該爪部が、前記キャップユニットを案内するように構成されたことを特徴とするキャッピング装置である。
本発明の第1の態様によれば、前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動する際に、前記動力作用部からの力は、前記爪部を介して前記記録ヘッドへ付与され、該爪部が、前記キャップユニットを案内する。即ち、吸引動作を行う際、該爪部が、記録ヘッドと隙間なく当接すると共にキャップユニットを第2の位置へ案内する。従って、前記動力作用部からの力の方向において、第2の位置でのキャップユニットと記録ヘッドとの相対的な位置関係を、精度良く決めることができる。
例えば、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する際に、前記動力作用部からの力の方向が主走査方向1桁側から80桁側へ働いて、前記爪部が前記力の方向の上流である1桁側、前記記録ヘッドの一側面が下流である80桁側である場合、1桁側の前記爪部が、80桁側の前記記録ヘッドの一側面へ接近・当接して前記キャップユニットを第2の位置へ案内することができる。一方、前記記録ヘッドの一側面が上流である1桁側、前記爪部の当接面が下流である80桁側である場合、該爪部の先端に傾斜部を設けて、該傾斜部を記録ヘッド側の一部と当接させて前記キャップユニットを第2の位置へ案内することが可能である。即ち、該傾斜部が、記録ヘッド側の一部と当接し、前記動力作用部からの力に対抗しながら前記キャップユニットおよび前記爪部を、上流である1桁側へ移動させることができる。従って、前記爪部の当接面を、前記記録ヘッドの一側面より前記力の方向の上流である1桁側へ移動させることができる。その結果、前者と同様に1桁側の前記爪部が、80桁側の前記記録ヘッドの一側面へ接近・当接して前記キャップユニットを第2の位置へ案内することができる。
また、前記爪部は、必ず前記記録ヘッドの一側面と当接して前記キャップユニットを第2の位置へ案内することができるので、前記動力作用部からの力の方向において、片側にのみ爪部を設ければよく、前記爪部と対向する位置側に新たに爪部を設ける必要はない。
さらに、前記第1の位置では、前記キャップユニットは、前記記録ヘッドと当接しないので、キャリッジモータの駆動速度を、前記記録ヘッドが前記キャップ部と対向する位置の手前で高速から低速へと減速する必要がない。その結果、記録中にフラッシング動作を行う場合、スループットを短くすることができる。また、記録後の吸引動作を行う場合も、減速する必要がないので、その分、時間を短縮することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、キャップユニット側に突起部が設けられ、前記第1の位置において、該突起部は、前記動力作用部からの力により基体側に設けられた規制部と当接されるように構成されたことを特徴とするキャッピング装置である。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記第1の位置において、該突起部は、前記動力作用部からの力により基体側に設けられた規制部と当接される。従って、前記動力作用部からの力の方向において、前記第1の位置での前記キャップユニットを、基体に対して精度良く位置決めすることができる。例えば、フラッシング動作のとき、記録ヘッドが、キャップユニットと対向する位置まで移動してインクを吐出する。このとき、前記キャップユニットが第1の位置に精度良く配設されているので、該キャップユニットは、前記記録ヘッドから吐出されたインクを、ミストを発生させることなく確実に受け止めることができる。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記第2の位置における前記動力受動部に、前記動力作用部が力を作用させないようにする動力解除手段を備えていることを特徴とするキャッピング装置である。
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様と同様の作用効果に加え、動力解除手段を備えているので、前記第2の位置における前記動力受動部に、前記動力作用部が力を作用させないようにすることができる。即ち、前記キャップユニットが、記録ヘッドと当接し前記インク吐出孔で構成されるインク吐出孔列を封止した状態では、余分な力が該キャップユニットに対して作用しないので、確実に前記インク吐出孔列を封止することができる。その結果、例えば、キャップユニット内を負圧にして、良好な吸引動作を実行することが可能である。
本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれか一の態様において、前記動力作用部、または、前記動力受動部の少なくとも一方はテーパ状部を備え、該テーパ状部は、前記キャップユニットを前記第1の位置から前記第2の位置へ向かって付勢する力を、前記動力作用部からの力へ変換するように構成されたことを特徴とするキャッピング装置である。
本発明の第4の態様によれば、第1から第3のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、該テーパ状部は、前記キャップユニットを前記第1の位置から前記第2の位置へ向かって付勢する力を、前記動力作用部からの力へ変換するように構成されている。即ち、該テーパ状部によって、前記付勢する力の方向を他の方向へ変換して前記動力作用部からの力とすることができる。
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれか一の態様において、前記動力作用部からの力の方向は、主走査方向であることを特徴とするキャッピング装置である。
記録ヘッドを備えたキャリッジは、前述したように主走査方向に延びるガイド手段(例えば、ガイド軸)に案内されながらキャリッジモータによって主走査方向に往復駆動される。従って、キャップユニットと対向する位置まで移動して停止する場合、キャリッジの停止位置のバラツキは、当然のように副走査方向(被記録材の搬送方向)と比較して主走査方向のバラツキの方が大きいのは明らかである。従って、吸引動作の際、記録ヘッドのインク吐出孔列を確実に封止するため、キャップユニットは、前記主走査方向のバラツキに追従すべく記録ヘッドに対して相対的に位置決めされる必要がある。
そこで、本発明の第5の態様によれば、第1から第4のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記動力作用部からの力の方向は、主走査方向である。従って、主走査方向において、第2の位置でのキャップユニットと記録ヘッドとの相対的な位置関係を、精度良く決めることができる。即ち、前記キャップユニットが第2の位置へ移動する際、主走査方向において記録ヘッドの停止位置のバラツキが大きい場合であっても、主走査方向においては、キャップユニットを、前記主走査方向のバラツキに追従させるべく記録ヘッドに対して相対的に位置決めすることができる。
本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれか一の態様において、前記爪部は、先端側に傾斜部と、該傾斜部と連接した突条部とを備えていることを特徴とするキャッピング装置である。
本発明の第6の態様によれば、第1から第5のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記爪部は、先端側に傾斜部を備えているので、前記キャップユニットが前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動する際に、該傾斜部を前記記録ヘッドと当接させて前記キャップユニットを案内させることが可能である。例えば、第1の態様において前述したように前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する際に、前記記録ヘッドの一側面が上流である1桁側、前記爪部の当接面が下流である80桁側である場合、該傾斜部を記録ヘッド側の一部と当接させて、前記動力作用部からの力に対抗しながら前記キャップユニットを第2の位置へ案内することができる。このとき、該傾斜部は、前記動力作用部からの力の方向に長尺に設けられていれば、その距離の範囲内において、前記記録ヘッドの位置のバラツキに対して追従することができる。
また、前記爪部は、前記傾斜部と連接した突条部を備えているので、前記キャップユニットが前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動する際に、前記記録ヘッドと当接する面積を小さくすることができる。即ち、該突条部によって前記キャップユニットが案内されて移動する際の摩擦抵抗を低減することができる。
本発明の第7の態様は、記録ヘッドにより被記録材に記録を実行する記録部と、該記録部の吐出特性を維持する吐出特性維持部とを備えた記録装置であって、前記吐出特性維持部は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載された前記キャッピング装置を備えていることを特徴とする記録装置である。
本発明の第7の態様によれば、記録装置は、上記第1から第6の態様のいずれかに記載された前記キャッピング装置を備えているので、記録装置において、上記第1から第6の態様のいずれかに記載された作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
本発明の第8の態様は、液体噴射ヘッドから離間した第1の位置へ、および、前記液体噴射ヘッドと当接し前記インク吐出孔で構成されるインク吐出孔列を封止する第2の位置へ、作用部によって移動可能なキャップユニットを具備したキャッピング装置を備え、液体噴射ヘッドに設けられたインク吐出孔から液体を被噴射媒体に噴射を行う液体噴射装置であって、前記キャップユニットは、前記液体噴射ヘッドの一側面と当接可能な爪部と、作用部側に設けられた動力作用部からの力を受ける動力受動部とを備え、前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動する際に、前記動力作用部からの力は、前記爪部を介して前記液体噴射ヘッドへ付与され、該爪部が、前記キャップユニットを案内するように構成されたことを特徴とする液体噴射装置である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本発明に係る記録装置の概略を示す全体斜視図である。また、図2に示すのは、本発明に係る記録装置の概略を示す全体平面図である。
記録装置100の本体の背面側には、被記録材としての用紙が積層される給紙カセット101が、着脱可能に設けられている。給紙カセット101の最上位に積層された用紙は、給送用モータ104によって駆動する給送ローラ(図示せず)によりピックアップされて、用紙ガイド103に案内されながら搬送方向の下流側の搬送ローラ(図示せず)へと給送される。搬送ローラまで給送された用紙は、搬送用モータ(図示せず)によって駆動する搬送ローラにより、さらに搬送方向の下流側の記録部143へと搬送される。記録部143は、用紙を下方から支持するプラテン105と、プラテン105の上方側に対向するように設けられたキャリッジ107とによって構成される。そのうち、キャリッジ107は、主走査方向へ延びたキャリッジガイド軸(図示せず)に案内されながらキャリッジモータ102によって駆動する。さらに、キャリッジ107の底面部には、用紙へ向かってインクを吐出する記録ヘッド106が設けられている。記録部143で記録された用紙は、さらに下流側へと搬送され排紙ローラ(図示せず)によって記録装置100の正面側から排出される。
また、記録装置100の本体の下方には、インクカートリッジ(図示せず)が装填され、インク供給針(図示せず)を介してインク供給路(図示せず)へとインクが供給される。さらに、インク供給チューブ110を介してキャリッジ107の記録ヘッド106まで供給される。そして、記録ヘッド106のフラッシング時、およびクリーニング時には、1桁側に設けられ、記録部143の吐出特性を維持する吐出特性維持部としてのインク吸引装置200においてインクの吐出・吸引動作が行われる。
図3に示すのは、本発明に係るインク吸引装置を示す斜視図である。
また、図4に示すのは、本発明に係るインク吸引装置を示す平面図である。
図3および図4に示す如く、インク吸引装置200には、記録ヘッド106と当接可能なキャッピング装置230が設けられている。キャッピング装置230は、キャップユニット202を備えており、キャップユニット202は、記録ヘッド106を封止するキャップ部204と、記録ヘッド106へ接離移動すると共にキャップ部204を記録ヘッド106へ案内するスライダ部205とから構成される。図4に示す如く、基体部215には、スライダガイド215aが設けられ、一方のスライダ部205には、スライダリブ207が設けられ、スライダガイド215aとスライダリブ207とが当接することによってスライダ部205が位置決めされている。
また、インク吸引装置200には、搬送用モータあるいは給送用モータ104からの動力を伝達するギアユニット218が設けられ、ギアユニット218は、キャッピング装置230のキャップ部内を吸引して負圧にすることが可能な吸引ポンプ部281へ動力を伝達する。また、基体部215には、レバー部材210が設けられ、レバー部材210は、スライダ部205と係合してスライダ部205の記録ヘッド106に対する接離移動を可能にする。具体的には、スライダ部205は、基体部215とスライダ部205との間にキャップばね211(図7〜12参照)によって記録ヘッド側へ付勢されている。これに対して、レバー部材210は、ギアユニット218から動力を受けてキャップばね211のばね力に対抗するように回動してスライダ部205とキャップ部204とを移動させる。より詳しい動作についての説明は、後の図7〜12で説明する。また、キャップ部204は、大気開放チューブ242(図5参照)を介し大気開放弁219によって空気が送入可能に構成されている。
また、インク吸引装置200の80桁側には、ワイパ当接部302が、記録ヘッド106のノズル開口形成面106b(図7参照)と当接してインクを拭き取ることが可能なワイピング装置217が設けられている。ワイピング装置217は、基体部215に設けられたワイパガイドリブ215bと、ワイパ基部303に設けられたガイド溝303dとの係合によって上下移動方向へ案内されように設けられている。
図5に示すのは、本発明に係る吸引ポンプ部の内部を示す下方斜視図である。
図5に示す如く、吸引ポンプ部281の内部には、回転可能な負圧発生部材283が設けられ、負圧発生部材283の円周には、弾性体で形成された中空なポンプチューブ282が設けられている。ポンプチューブ282の一端は、キャップ部204の底部と接続された吸引チューブ241と連結されている。負圧発生部材283の円周に図示しない突起が設けられている。負圧発生部材283が回動することによって、前記突起が、ポンプチューブ内の空気をポンプチューブ282の他端へ絞り出すように作用する。即ち、ポンプチューブ内の一端側の空気を他端側へ移動させることができる。従って、吸引ポンプ部281は、吸引チューブ241を介してキャップ部内に負圧を発生させることができる。
一方、キャップ部204の底部と接続された大気開放チューブ242の一端には、開閉可能な大気開放弁219が設けられ、図示しない作用部によって弁を開放して、キャップ部内に空気を送入することができる。従って、吸引ポンプ部281によってキャップ部内が負圧の状態のとき、大気開放弁219を開放することにより、キャップ部204の負圧状態を解除することができる。
図6に示すのは、本発明に係るキャッピング装置の要部拡大斜視図である。
図6に示す如く、キャップ部204の上部には、キャップ当接部203が、ノズル開口形成面106bを確実に封止できるように弾性体によって形成されている。また、キャップ部内には、ノズル開口から吐出されたインクを吸収することができるインク吸収材209が備えられ、インク吸収材209は、キャップ部204の底面から延設された係止突起204bに熱カシメ等により溶着された押さえ部材216によって保持されている。また、キャップ部204には、大気開放開口227が形成され、大気開放開口227は、キャップ部204の底面に接続された大気開放チューブ242を介して大気開放弁219と繋がっている。
一方、スライダ部205の1桁側に偏倚した位置には、搬送方向において、記録ヘッド106の上流側と下流側とのそれぞれの面と当接可能な第1の爪部214cが設けられている。また、主走査方向において、記録ヘッド106の1桁側の面と当接可能な第2の爪部214dが設けられている。
また、ギアユニット218の伝達下流側には、カム部213が設けられており、カム部213は、後述するレバー部材210と当接し、レバー部材210を回動させてスライダ部205とキャップ部204とを移動させるように構成されている。
続いて、カム部213の回動に伴うレバー部材210、スライダ部205、およびキャップ部204の動作について以下に説明する。ここで、キャッピング装置230の第1の位置とは、記録ヘッド106から離間した状態を指し、第2の位置とは、記録ヘッド106と当接しノズル開口で構成されるノズル開口列106aを封止する状態を指す。
図7に示すのは、本発明に係るキャッピング装置のキャップユニットの第1の位置を1桁側から見た側面図である。また、図8に示すのは、図7における主走査方向の正面断面図である。
図7および図8に示す如く、スライダ部205と基体部215との間に設けられたキャップばね211のばね力によって、スライダ部205は、記録ヘッド側へ付勢されている。
一方、図7に示す如く、図面中向かって右側には、キャップばね211の前記ばね力に対抗すべく、カム部213を備えた回動自在なカムギア212が設けられている。カム部213は、レバー部材210の一端に形成された第1レバーアーム210aと当接することによって、回動軸210bを支点にレバー部材210を回動させることができる。一方のレバー部材210の他端には第2レバーアーム210cが形成されており、第2レバーアーム210cに設けられたレバー開口部210dが、スライダ部205に対に形成された第1テーパ部206、および第2テーパ部208と係合されている。従って、図7に示す状態の如く、カム部213が、第1レバーアーム210aと当接することによって、レバー部材210を図7中、反時計方向へ回動させてスライダ部205を押し下げることができる。
また、キャップ部204の下面には、基体部215と当接可能な脚部204cが設けられており、脚部204cは、スライダ部205の底面に形成された図示しない開口に挿通されている。即ち、キャップばね211は、直接的にキャップ部204と当接して付勢しているのではなく、スライダ部205と当接して付勢して、スライダ部205を介して間接的にキャップ部204を付勢することが可能に構成されている。そして、図7および図8に示す状態において、スライダ部205は、カム部213およびレバー部材210によって、キャップ部204に何ら力を作用させない位置まで下げられており、キャップ部204は、脚部204cが基体部215と当接することによって、上下方向において位置決めされている。
また、第1の爪部214cおよび第2の爪部214dには、記録ヘッド106と当接して滑らかにスライダ部205を案内できるように、それぞれ第1傾斜部214aおよび第2傾斜部214eが設けられており、さらに、第1の爪部214cまたは第2の爪部214dと記録ヘッド106との摩擦抵抗を低減することができるように、それぞれ当接面積が小さい突条状の第1爪当接面214bおよび第2爪当接面214fが設けられている。また、記録ヘッド106のキャップ部204と当接する面、即ち、ノズル開口形成面106bには、キャップ部204より一回り小さい範囲にノズル開口列106aが形成されている。
図8に示す如く、第2レバーアーム210cのレバー開口部210dと係合するスライダ部205の第1テーパ部206、および第2テーパ部208は、同方向にテーパ状に形成されている。ここで、スライダ部205は、前述したように、キャップばね211によって図中の上方へ向かって付勢されると共に、ばね力に対抗すべく、レバー部材210によって下方へ付勢されている。従って、スライダ部205は、レバー開口部210d、第1テーパ部206、および第2テーパ部208によって、図中左方向、言い換えると、80桁側へ付勢される。このとき、図4に示すスライダ部205のスライダリブ207が、基体部215のスライダガイド215aに規制され、主走査方向において位置決めされる。
図9に示すのは、本発明に係るキャッピング装置のキャップユニットの第1の位置から第2の位置への移動の際の動作を示す側面図である。また、図10に示すのは、図9における主走査方向の正面断面図である。
図9に示す如く、カムギア212が、図中反時計方向へ回動すると、カム部213が徐々に退避し、当接しているレバー部材210が時計方向へ徐々に回動する。そして、レバー部材210の回動に伴って、スライダ部205が徐々に記録ヘッド側へ移動する。
さらにカムギア212が反時計方向へ回動すると、スライダ部205がさらに記録ヘッド側へ移動し、第1の爪部214cの第1傾斜部214aまたは第2の爪部214dの第2傾斜部214eが、記録ヘッド側面の下辺と当接する。これが図9および図10に示す状態である。
この状態からさらにカムギア212が反時計方向へ回動すると、スライダ部205がさらに記録ヘッド側へ移動しようとする。従って、記録ヘッド側面の下辺は、第1の爪部214cの第1傾斜部214aまたは第2の爪部214dの第2傾斜部214eを徐々に上って第1の爪部214cの第1爪当接面214bまたは第2の爪部214dの第2爪当接面214fと当接する。即ち、スライダ部205は、第1の爪部214cおよび第2の爪部214dによって記録ヘッド106との相対的な位置関係が精度良く決められる。
このとき、図10に示す如く、記録ヘッド106の1桁側側面の下辺と当接する第2の爪部214dの第2傾斜部214eに案内されてスライダ部205は、図中右側へ、言い換えると、1桁側へ移動される。即ち、図4に示すスライダ部205のスライダリブ207が、基体部215のスライダガイド215aから離間すると共に、前記レバー開口部210d、第1テーパ部206、および第2テーパ部208によってスライダ部205が80桁側へ付勢される力は、記録ヘッド106の1桁側側面の下辺と当接する第2の爪部214dによって規制される。従って、第2の爪部214dは、記録ヘッド106の1桁側側面の下辺と隙間なく当接することができるので、スライダ部205は、主走査方向において精度良く記録ヘッド106に対して相対的に位置決めされる。
またさらにカムギア212が反時計方向へ回動すると、スライダ部205がさらに記録ヘッド側へ移動し、スライダ部205の底面が、キャップ部204の下面と当接してキャップ部204を記録ヘッド側へ移動させる。即ち、キャップ部204の脚部204cは基体部215から離間すると共に、キャップ部204は、スライダ部205と一体となって記録ヘッド側へ移動する。
図11に示すのは、本発明に係るキャッピング装置のキャップユニットの第2の位置を示す側面図である。また、図12に示すのは、図11における主走査方向の正面断面図である。
図9および図10に示す状態からさらにカムギア212が、反時計方向へ回動してカム部213が、レバー部材210から離間すると、図11および図12に示す如く、第1の爪部214cの第1爪当接面214bおよび第2の爪部214dの第2爪当接面214fに案内されながらスライダ部205およびキャップ部204が記録ヘッド側へ移動し、キャップ部204のキャップ当接部203が、記録ヘッド下面のノズル開口形成面106bと当接する。キャップ部204が記録ヘッド106に当接すると、レバー部材210は、完全にフリーな状態となる。即ち、レバー部材210は、カム部213と当接していないため、スライダ部205に何ら作用力を及ぼさない。従って、前記レバー開口部210d、第1テーパ部206、および第2テーパ部208によってスライダ部205が80桁側へ付勢される力は、発生しない。即ち、キャップ部204が記録ヘッド106に当接したと同時に、主走査方向において余分な付勢力が解除される。その結果、キャップ部204は、確実にノズル開口形成面106bを封止することができる。
また、キャッピング装置230には、動力解除手段231が設けられ、動力解除手段231は、カム部213、レバー部材210、第1テーパ部206、および第2テーパ部208から構成されている。第2の位置の状態では、レバー部材210は、前述したようにカム部213と当接しないため、第1テーパ部206および第2テーパ部208に対して何ら作用力を及ぼさない。従って、レバー開口部210d、第1テーパ部206、および第2テーパ部208に何ら力が作用しないので、スライダ部205が80桁側へ付勢される力が発生しない。即ち、動力解除手段231は、第2の位置において、スライダ部205の第1テーパ部206、および第2テーパ部208に前記80桁側へ付勢される力を作用させないようにすることができる。
以上は、キャッピング装置230のキャップユニット202の第1の位置から第2の位置への移動について説明したが、第2の位置から第1の位置への移動については、第1の位置から第2の位置への移動の逆の手順によって行われるので、その説明は省略する。
図13に示すのは、本発明に係るキャッピング装置のストロークを示す側面図である。
図13(A)に示すのは、キャップユニットの第1の位置の状態であり、同図(B)は、第2の位置の状態である。同図(C)は、同図(B)において、記録ヘッド106がなかった場合の第2の位置を示す図である。図13(C)に示す如く、距離dだけストロークに安全マージンを持たせているので、図13(B)において、キャップ部204と記録ヘッド106との間に隙間が生じる虞がない。従って、吸引動作の際、確実にキャップ部内を負圧状態にすることができる。
図14に示すのは、本発明に係るキャップユニットの分解斜視図である。
図14に示す如く、キャップ部204の上部には、記録ヘッド106のノズル開口形成面106bと当接し、弾性体で形成されたキャップ当接部203が設けられている。また、キャップ部内には、係止突起204bが設けられ、係止突起204bの先端に押さえ部材216を係合させることによって、インク吸収材209を保持することができる。さらに、キャップ部内には、インク吸収材209の表面と同じ高さに大気開放開口227が設けられ、大気開放弁219からキャップ部内に空気を送入することができる。また、キャップ部204の底面には、吸引開口228が設けられ、吸引開口228は、吸引ポンプ部281の駆動によってキャップ部内のインク吸収材209が保持するインクを吸引ポンプ部281へ送出することができる。キャップ部204の下面には、脚部204cが設けられて、脚部204cは、第1の位置から第2の位置へ移動途中までの間、基体部215と当接するように構成されている。また、キャップ部204の下方側面には、引き剥がし爪部204aがキャップ部204の対角線上に一対設けられている。引き剥がし爪部204aは、第1の位置と第2の位置との間を上下移動する際、スライダ部205と係合して互いの相対的な位置を規制することができるように設けられている。
一方のスライダ部205の側面には、第1テーパ部206および第2テーパ部208が、主走査方向に一対に設けられている。第1テーパ部206および第2テーパ部208は、図8、図10、および図12に示す如く、同一方向にテーパ状となっており、前述したように、レバー部材210と係合することによって、キャップばね211およびレバー部材210の上下方向の付勢力を、主走査方向の1桁から80桁側へスライダ部205を付勢する力へ変換するように構成されている。
また、スライダ部205の側面には、用紙の搬送方向に一対のスライダリブ207が設けられ、スライダリブ207は、図4および図6に示す基体部215に設けられたスライダガイド215aと当接可能に設けられている。即ち、前記80桁側へスライダ部205を付勢する力によって、スライダリブ207がスライダガイド215aと当接・規制されるので、スライダ部205の第1の位置での位置は、主走査方向において精度良く位置決めされる。
さらに、スライダ部205の1桁側に偏倚した位置には、搬送方向において、記録ヘッド106の上流側と下流側とのそれぞれの面と当接可能な第1の爪部214cが設けられている。また、主走査方向においては、記録ヘッド106の1桁側の面と当接可能な第2の爪部214dが設けられている。
本実施形態のキャッピング装置230は、記録ヘッド106に設けられたインク吐出孔としてのノズル開口からインクを吐出して被記録材としての用紙に記録を行う記録装置100において、記録ヘッド106から離間した第1の位置へ、および、記録ヘッド106と当接しノズル開口で構成されるノズル開口列106aを封止する第2の位置へ、作用部としてのキャップばね211、カム部213およびレバー部材210によって移動可能なキャップユニット202を備えたキャッピング装置230であって、キャップユニット202は、記録ヘッド106の一側面と当接可能な爪部214である第2の爪部214dと、作用部側としてのレバー部材210に設けられた動力作用部としてのレバー部材210からの力を受ける動力受動部としての第1テーパ部206および第2テーパ部208とを備え、第1の位置と第2の位置との間を移動する際に、スライダ部205が動力作用部としてのレバー部材210から受ける力は、第2の爪部214dを介して記録ヘッド106へ付与され、第2の爪部214dが、キャップユニット202を案内するように構成されている。
その結果、吸引動作を行う際、第2の爪部214dが、記録ヘッド106と隙間なく当接すると共にキャップユニット202を第2の位置へ案内するので、スライダ部205が動力作用部としてのレバー部材210から受ける力(80桁側へスライダ部205を付勢する力)の方向において、第2の位置でのキャップユニット202と記録ヘッド106との相対的な位置関係を、精度良く決めることができる。
例えば、第1の位置から第2の位置へ移動する際に、動力作用部(210)からの力の方向が主走査方向1桁側から80桁側へ働いて、爪部(214d)が前記力の方向の上流である1桁側、記録ヘッド106の一側面が下流である80桁側である場合、1桁側の爪部(214d)が、80桁側の記録ヘッド106の一側面へ接近・当接してキャップユニット202を第2の位置へ案内することができる。一方、記録ヘッド106の一側面が上流である1桁側、爪部(214d)の当接面(214f)が下流である80桁側である場合、爪部(214d)の先端に傾斜部(214e)を設けて、傾斜部(214e)を記録ヘッド側の一部と当接させてキャップユニット202を第2の位置へ案内することが可能である。即ち、傾斜部(214e)が、記録ヘッド側の一部と当接し、動力作用部(210)からの力に対抗しながらキャップユニット202および爪部(214d)を、上流である1桁側へ移動させることができる。従って、爪部(214d)の当接面(214f)を、記録ヘッド106の一側面より前記力の方向の上流である1桁側へ移動させることができる。その結果、前者と同様に1桁側の爪部(214d)が、80桁側の記録ヘッド106の一側面へ接近・当接してキャップユニット202を第2の位置へ案内することができる。
また、第2の爪部214dは、必ず記録ヘッド106の一側面と当接してキャップユニット202を第2の位置へ案内することができるので、スライダ部205が動力作用部としてのレバー部材210から受ける力(80桁側へスライダ部205を付勢する力)の方向において、片側にのみ第2の爪部214dを設ければよく、第2の爪部214dと対向する位置側に新たに爪部を設ける必要はない。
さらに、第1の位置では、キャップユニット202は、記録ヘッド106と当接しないので、キャリッジモータ102の駆動速度を、記録ヘッド106がキャップ部204と対向する位置の手前で高速から低速へと減速する必要がない。従って、記録中にフラッシング動作を行う場合、スループットを短くすることができる。また、記録後の吸引動作を行う場合も、減速する必要がないので、その分、時間を短縮することができる。
また、本実施形態のキャッピング装置230は、キャップユニット側に突起部としてのスライダリブ207が設けられ、第1の位置において、スライダリブ207は、スライダ部205が動力作用部としてのレバー部材210から受ける力(80桁側へスライダ部205を付勢する力)により基体側としての基体部215に設けられた規制部としてのスライダガイド215aと当接されるように構成されている。
その結果、スライダ部205が動力作用部としてのレバー部材210から受ける力(80桁側へスライダ部205を付勢する力)の方向において、第1の位置でのキャップユニット202を、基体部215に対して精度良く位置決めすることができる。例えば、フラッシング動作のとき、記録ヘッド106が、キャップユニット202と対向する位置まで移動してインクを吐出する。このとき、キャップユニット202が第1の位置に精度良く配設されているので、キャップユニット202は、記録ヘッド106から吐出されたインクを、ミストを発生させることなく確実に受け止めることができる。
さらに、本実施形態のキャッピング装置230は、第2の位置における動力受動部としての第1テーパ部206および第2テーパ部208に、動力作用部としてのレバー部材210が力を作用させないようにする動力解除手段231を備えている。
その結果、第2の位置における第1テーパ部206および第2テーパ部208に、レバー部材210が力を作用させないようにすることができる。即ち、キャップユニット202が、記録ヘッド106と当接しノズル開口で構成されるノズル開口列106aを封止した状態では、余分な力(80桁側へスライダ部205を付勢する力)がキャップユニット202に対して作用しないので、確実にノズル開口列106aを封止することができる。従って、キャップユニット内を負圧にして、良好な吸引動作を実行することが可能である。
本実施形態において、動力作用部としての第1テーパ部206および第2テーパ部208、または、動力受動部としてのレバー部材210のレバー開口部210dの少なくとも一方はテーパ状部(第1テーパ部206、第2テーパ部208208)を備え、第1テーパ部206および第2テーパ部208は、キャップユニット202を第1の位置から第2の位置へ向かって付勢する力であるキャップばね211のばね力を、スライダ部205が動力作用部としてのレバー部材210から受ける力(80桁側へスライダ部205を付勢する力)へ変換するように構成されている。
その結果、テーパ状部(第1テーパ部206、第2テーパ部208)によって、キャップばね211のばね力の方向を他の方向へ変換して、スライダ部205が動力作用部としてのレバー部材210から受ける力(80桁側へスライダ部205を付勢する力)とすることができる。
記録ヘッド106を備えたキャリッジ107は、前述したように主走査方向に延びるキャリッジガイド軸に案内されながらキャリッジモータ102によって主走査方向に往復駆動される。従って、キャップユニット202と対向する位置まで移動して停止する場合、キャリッジ107の停止位置のバラツキは、当然のように副走査方向(被記録材の搬送方向)と比較して主走査方向のバラツキの方が大きいのは明らかである。
そこで、本実施形態において、スライダ部205が動力作用部としてのレバー部材210から受ける力(80桁側へスライダ部205を付勢する力)の方向は、主走査方向に構成されている。
その結果、主走査方向において、第2の位置でのキャップユニット202と記録ヘッド106との相対的な位置関係を、精度良く決めることができる。即ち、キャップユニット202が第2の位置へ移動する際、主走査方向において記録ヘッド106の停止位置のバラツキが大きい場合であっても、主走査方向においては、キャップユニット202を、前記主走査方向のバラツキに追従させるべく記録ヘッド106に対して相対的に位置決めすることができる。
本実施形態の爪部214である第2の爪部214dは、先端側に傾斜部である第2傾斜部214eと、傾斜部と連接した突条部である第2爪当接面214fとを備えている。
その結果、キャップユニット202が第1の位置と第2の位置との間を移動する際に、第2傾斜部214eを記録ヘッド106と当接させてキャップユニット202を案内させることが可能である。例えば、第1の態様において前述したように第1の位置から第2の位置へ移動する際に、記録ヘッド106の一側面が上流である1桁側、爪部(214d)の当接面が下流である80桁側である場合、傾斜部(214e)を記録ヘッド側の一部と当接させて、動力作用部(210)からの力に対抗しながらキャップユニット202を第2の位置へ案内することができる。このとき、傾斜部(214e)は、動力作用部(210)からの力の方向に長尺に設けられていれば、その距離の範囲内において、記録ヘッド106の位置のバラツキに対して追従することができる。
また、第2の爪部214dは、第2傾斜部214eと連接した第2爪当接面214fを備えているので、キャップユニット202が第1の位置と第2の位置との間を移動する際に、記録ヘッド106と当接する面積を小さくすることができる。即ち、第2爪当接面214fによってキャップユニット202が案内されて移動する際の摩擦抵抗を低減することができる。
尚、本実施形態の動力受動部としての第1テーパ部、および第2テーパ部はテーパ状に形成されているが、傾斜面でもよいのは勿論である。また、動力作用部としてのレバー部材側に傾斜面またはテーパ状部を設けて、80桁側へスライダ部を付勢する力を発生させることができるのは勿論である。
また、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
本発明に係る記録装置の概略を示す全体斜視図 本発明に係る記録装置の概略を示す全体平面図 本発明に係るインク吸引装置を示す斜視図 本発明に係るインク吸引装置を示す平面図 本発明に係る吸引ポンプ部の内部を示す下方斜視図 本発明に係るキャッピング装置の要部拡大斜視図 本発明に係るキャッピング装置の第1の位置を示す側面図 図7における正面断面図 本発明に係るキャッピング装置の動作を示す側面図 図9における正面断面図 本発明に係るキャッピング装置の第2の位置を示す側面図 図11における正面断面図 本発明に係るキャッピング装置のストロークを示す側面図 本発明に係るキャップユニットの分解斜視図 従来のキャッピング装置を示す側面図
符号の説明
100 記録装置、101 給紙カセット、102 キャリッジモータ、
103 用紙ガイド、104 給送用モータ、105 プラテン、106 記録ヘッド、
106a ノズル開口列、106b ノズル開口形成面、107 キャリッジ、
110 インク供給チューブ、143 記録部、200 インク吸引装置、
202 キャップユニット、203 キャップ当接部、204 キャップ部、
204a 引き剥がし爪部、204b 係止突起、204c 脚部、205 スライダ部、
206 第1テーパ部、207 スライダリブ、208 第2テーパ部、
209 インク吸収材、210 レバー部材、210a 第1レバーアーム、
210b 回動軸、210c 第2レバーアーム、210d レバー開口部、
211 キャップばね、212 カムギア、213 カム部、214 爪部、
214a 第1傾斜部、214b 第1爪当接面、214c 第1の爪部、
214d 第2の爪部、214e 第2傾斜部、214f 第2爪当接面、
215 基体部、215a スライダガイド、215b ワイパガイドリブ、
216 押さえ部材、217 ワイピング装置、218 ギアユニット、
219 大気開放弁、227 大気開放開口、228 吸引開口、
230 キャッピング装置、231 動力解除手段、241 吸引チューブ、
242 大気開放チューブ、281 吸引ポンプ部、282 ポンプチューブ、
283 負圧発生部材、302 ワイパ当接部、303 ワイパ基部、
303d ガイド溝、401 記録ヘッド、402 キャップ部、403 爪部

Claims (8)

  1. 記録ヘッドに設けられたインク吐出孔からインクを吐出して被記録材に記録を行う記録装置において、記録ヘッドから離間した第1の位置へ、および、前記記録ヘッドと当接し前記インク吐出孔で構成されるインク吐出孔列を封止する第2の位置へ、作用部によって移動可能なキャップユニットを備えたキャッピング装置であって、
    該キャップユニットは、
    前記記録ヘッドの一側面と当接可能な爪部と、
    前記作用部側に設けられた動力作用部からの力を受ける動力受動部とを備え、
    前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動する際に、前記動力作用部からの力は、前記爪部を介して前記記録ヘッドへ付与され、該爪部が、前記キャップユニットを案内するように構成されたことを特徴とするキャッピング装置。
  2. 請求項1において、キャップユニット側に突起部が設けられ、前記第1の位置において、該突起部は、前記動力作用部からの力により基体側に設けられた規制部と当接されるように構成されたことを特徴とするキャッピング装置。
  3. 請求項1または2において、前記第2の位置における前記動力受動部に、前記動力作用部が力を作用させないようにする動力解除手段を備えていることを特徴とするキャッピング装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項において、前記動力作用部、または、前記動力受動部の少なくとも一方はテーパ状部を備え、
    該テーパ状部は、前記キャップユニットを前記第1の位置から前記第2の位置へ向かって付勢する力を、前記動力作用部からの力へ変換するように構成されたことを特徴とするキャッピング装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項において、前記動力作用部からの力の方向は、主走査方向であることを特徴とするキャッピング装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項において、前記爪部は、
    先端側に傾斜部と、
    該傾斜部と連接した突条部とを備えていることを特徴とするキャッピング装置。
  7. 記録ヘッドにより被記録材に記録を実行する記録部と、
    該記録部の吐出特性を維持する吐出特性維持部とを備えた記録装置であって、
    前記吐出特性維持部は、
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載された前記キャッピング装置を備えていることを特徴とする記録装置。
  8. 液体噴射ヘッドから離間した第1の位置へ、および、前記液体噴射ヘッドと当接し前記インク吐出孔で構成されるインク吐出孔列を封止する第2の位置へ、作用部によって移動可能なキャップユニットを具備したキャッピング装置を備え、液体噴射ヘッドに設けられたインク吐出孔から液体を被噴射媒体に噴射を行う液体噴射装置であって、
    前記キャップユニットは、
    前記液体噴射ヘッドの一側面と当接可能な爪部と、
    作用部側に設けられた動力作用部からの力を受ける動力受動部とを備え、
    前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動する際に、前記動力作用部からの力は、前記爪部を介して前記液体噴射ヘッドへ付与され、該爪部が、前記キャップユニットを案内するように構成されたことを特徴とする液体噴射装置。
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