本発明は、テニスラケットに関し、特に、反発特性のみならずボールのホールド感をも向上することが可能な構成を有するテニスラケットに関する。
従来から、テニスラケットにおいて反発特性を向上するために様々な工夫が施されている。たとえば特開昭58−216077号公報には、縦糸のうち少なくとも中央部の長い複数の縦糸の張り長さを糸張り面内の最長の横糸より少なくとも30%以上長くし、中央の複数の縦糸が糸張り面内の全ての縦糸の少なくとも1/3を含み、長い縦糸が横糸より少なくとも30%大きな張力で張られたラケットが記載されている。
また、特開昭60−166369号公報には、ラケットショルダーとラケットネックとの間に可動横バーを設け、横バーをを上下に移動可能としてラケット線の引張力を調整できるようにしたラケットが記載されている。
特開平7−275401号公報には、スロート部の又内に、フレームのボトム部とほぼ平行に延びる少なくとも1本の架橋部を設け、この架橋部の延在方向の中央部分に縦ガットの挿通を許容する複数本の貫通孔を設けたラケットが記載されている。
特開2003−62127号公報には、ヨークの長さ方向中心位置における打球面と垂直方向の剛性値であるヨーク剛性値が、ガット張架部を時計面と見てトップ位置を12時とすると、12時位置及び3時位置における打球面と垂直方向の剛性値の平均値であるフェイス剛性値の10%以上70%以下であることを特徴とするラケットフレームが記載されている。
特開昭58−216077号公報
特開昭60−166369号公報
特開平7−275401号公報
特開2003−62127号公報
特開昭58−216077号公報に記載のラケットでは、長い縦糸の張力を横糸より大きくしているだけなので、ラケットの反発特性を向上することは可能であるが、ボールのホールド感を向上することは困難である。特開昭60−166369号公報に記載のラケットの場合も、横バーを上下に移動させているだけなので、ラケットの反発特性を向上することは可能であるが、ボールのホールド感を向上することは困難である。
特開平7−275401号公報に記載のラケットでは、架橋部を設けることで縦ガットの延在長さを長くすることはできるのでラケットの反発特性をある程度向上することは可能である。しかし、架橋部がフレームと一体化されているので、打球面と垂直な方向の縦ガットの変位量が制限され、ボールのホールド感を向上することは困難である。
特開2003−62127号公報に記載のラケットフレームでは、フェイス剛性値に対するヨーク剛性値の割合を規定しているが、ヨーク自体の動きが規制されており、結果的にラケットの反発特性を向上することは可能であるもののボールのホールド感を向上することは困難である。
以上のように、いずれの特許文献に記載のラケットも、反発特性を向上することは可能であるものの、同時にボールのホールド感を向上することは困難であるという課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、反発特性のみならずボールのホールド感をも向上することが可能なテニスラケットを提供することを目的とする。
本発明に係るテニスラケットは、フレームによって規定される内側空間にガットを張設することで形成された打球面を有する打球部と、グリップ部と、打球部とグリップ部とを接続し内側に空間部(開口部)を規定する1組のシャフト部と、打球面に対し垂直な方向に可動となるように上記空間部内に少なくとも一部が配設され、ガットと接続され、フレームと別部材で構成される可動ヨーク部とを備える。なお、「打球面」とは、本願明細書では、フレームに張設されたガットにより規定される網面であって、ボールを打撃可能な実質的に面状であると観念可能な部分をいうものと定義する。
上記可動ヨーク部は、好ましくは、打球時に、シャフト部に対して、打球面に垂直な方向へ所定の位相差で動作するように配設される。また、上記可動ヨーク部を、グリップ部と接続し、該グリップ部への接続箇所を基点として打球面に対し垂直な方向に可動(変位可能)としてもよく、シャフト部と接続して、該シャフト部への接続箇所を基点として打球面に対し垂直な方向に可動(変位可能)としてもよい。
打球時の可動ヨーク部の撓み振動の周期を、打球時のフレームの撓み振動の周期よりも長くすることが好ましい。また、可動ヨーク部の面外1次固有振動数を、フレームの面外1次固有振動数よりも低くすることが好ましい。
上記可動ヨーク部は、好ましくは、1組のシャフト部の一方から他方に向かって延びる架構部を有し、該架構部にガットを張設し、架構部全体が、打球面に対し垂直な方向にシャフト部やフレームに対し可動であることが好ましい。また、可動ヨーク部は、好ましくは、架構部をシャフト部またはグリップ部に接続する接続部を有し、接続部は、好ましくは、打球時に、シャフト部に対して打球面に垂直な方向へ所定の位相差で動作するように配設される。
本発明のテニスラケットは、ガットと接続され打球面に対し垂直な方向に可動でありかつフレームと別部材で構成される可動ヨーク部を備えるので、打球時に、可動ヨーク部におけるガットとの接続部を、打球面に対し垂直な方向に比較的大きな量だけ変位させることが可能となる。それにより、打球時のボールとガットとの接触時間を長くすることができ、ボールのホールド感を向上することができる。その一方で、可動ヨーク部の少なくとも一部をシャフト部間に配置しているので、可動ヨーク部と接続されるガットの長さを延長することができる。それにより、ラケットの反発特性を向上することもできる。したがって、本発明のテニスラケットによれば、ラケットの反発特性のみならずボールのホールド感をも向上することができる。
以下、本発明の実施の形態におけるテニスラケットについて説明する。
本実施の形態におけるテニスラケットは、打球部と、シャフト部と、可動ヨーク部と、グリップ部とを備える。打球部は、ボールを打撃することが予定されている部分であり、典型的には湾曲状のフレーム(外側フレーム)の内側空間にガットを張設することで形成された打球面(ガット網面)を有する。
上記のフレームは、典型的には管状(中空)であり、繊維強化樹脂等で作製することができる。該フレームの成形に使用可能な樹脂としては、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂などの熱硬化性合成樹脂やポリアミド樹脂、ABS樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、などの熱可塑性合成樹脂などが挙げられる。また、繊維強化樹脂に用いられる強化繊維としては、炭素繊維、アラミド繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ガラス繊維、金属繊維が挙げられ、これらを単独で、あるいは複合して用いることができる。さらに、これらの強化繊維は、一方向引き揃え、織物、ランダム方向、シート状、マット状、スリーブ状などのいずれの形状・形態であってもよい。
シャフト部は、たとえば上記のフレーム(外側フレーム)の一部で形成することができ、打球部とグリップ部とを接続する機能を有する。本実施の形態では、可動ヨーク部を受入れる空間部(開口部)を内側に規定するように1組のシャフト部を設ける。シャフト部としては、たとえば略V形の形状のものを採用することが考えられる。
可動ヨーク部(内側フレーム)も、上記の外側フレームと同様に、繊維強化樹脂で作製することができる。該可動ヨーク部の剛性は、上記のフレームの剛性と同等であってもよいが、可動ヨーク部の剛性をフレームの剛性より低くしてもよい。それにより、打球時に可動ヨーク部を撓み易くすることができ、打球時の可動ヨーク部の撓み量を増大することができる。また、可動ヨーク部を繊維強化樹脂で作製することにより、可動ヨーク部を軽量化することができ、ラケットの軽量化に寄与し得る。
可動ヨーク部は、該可動ヨーク部の少なくとも一部が打球面に対し垂直な方向に可動となるようにシャフト部の内側の空間部(開口部)内に配置される。ここで「打球面に対し垂直な方向に可動」とは、可動ヨーク部が少なくとも打球面に対し垂直な方向に変位可能であることを意味し、可動ヨーク部の少なくとも一部が打球面に対し垂直な方向のみに動作可能である場合のみならず、打球面と交差する方向に可動ヨーク部の少なくとも一部が動作可能である場合も含まれる。
可動ヨーク部には、打球部に張設された複数本のガット中の一部のガット(典型的には複数のガット)が接続される。該可動ヨーク部は、シャフト部間に配置されることから、かかる可動ヨーク部にガットを接続することにより、打球部よりもグリップ部側にガットを延長することができる。それにより、打球面の反発特性を向上することができる。
上記の可動ヨーク部とは別にヨーク部を設けることが好ましい。ヨーク部は、本実施の形態におけるラケットにおいては必須の構成ではないが、ヨーク部を設けることにより、打球部の捩れ剛性、面内剛性を確保することができ、面安定性を高めることができる。該ヨーク部を設ける場合には、典型的には打球部を規定するフレームの一部で形成することができる。このようにヨーク部を設けた場合、ヨーク部とシャフト部とで形成される空間部(開口部)内に可動ヨーク部の少なくとも一部を配置すればよい。
また、ヨーク部を設ける場合、ガットを挿通させるガット挿通孔をヨーク部に設ける。このヨーク部のガット挿通孔は、該挿通孔内で打球面と交差する方向にガットが移動可能となるように大きく形成することが好ましい。たとえばヨーク部に設けるガット挿通孔の孔径を、可動ヨーク部に設けるガット挿通孔の孔径よりも大きくしておく。それにより、ヨーク部に設けるガット挿通孔によって可動ヨーク部の動きが必要以上に規制されるのを回避することができる。
なお、ヨーク部に設けるガット挿通孔の形状を長孔形状とすることも考えられる。この場合、打球面と直交する方向のガット挿通孔の長さを、打球面と平行な方向のガット挿通孔の長さよりも長くすることにより、打球面と直交する方向へのガットの移動可能量を増大することができる。
可動ヨーク部は、打球部の周縁部やシャフト部等を形成する外側フレームとは別部材で構成される。このように可動ヨーク部を上記のフレームとは別部材で構成することにより、打球時にフレームとは独立して可動ヨーク部を動作させることができ、可動ヨーク部の変位量を増大することができる。
可動ヨーク部は、典型的には、1組のシャフト部の一方から他方に向かって延びる架構部を有する。本実施の形態では、該架構部にガットを張設する。架構部は、直線状の形状を有してもよいが、たとえば打球面に沿って湾曲するような湾曲形状を有してもよい。そして、この架構部全体が、打球面に対し垂直な方向に変位可能であることが好ましい。該架構部にはガットが張設されるので、ガットを確実に保持可能とすべく架構部はある程度の剛性を有することが必要である。
また、可動ヨーク部は、上記の架構部と、該架構部の両端から連続して延び架構部とシャフト部とを接続する接続部とを有するものであってもよい。接続部は、架構部の両端を屈曲させて延長した延長部などで形成可能であるが、架構部の両端部を屈曲させることなくそのまま接続部として使用することもできる。接続部の先端同士は離隔させてもよいが、互いに結合することもできる。接続部の先端同士を離隔させた場合には、可動ヨーク部をたとえば略U字形とすることができ、接続部の先端同士を結合した場合には、可動ヨーク部の外形をたとえば略三角形状とすることができる。接続部の先端同士を結合して結合部を設けた場合、該結合部をシャフト部あるいはその近傍と回動可能に連結してもよい。
上記の接続部の剛性や、接続部とフレームとの結合領域における撓み剛性等を適切に調節することにより、可動ヨーク部の撓み特性を制御可能である。
上記の接続部を介してシャフト部あるいはその近傍と架構部とを接続する際には、何らかの連結部材を介して接続部をシャフト部等に回動可能に連結してもよいが、接続部の少なくとも一部をシャフト部等に設けた貫通孔や凹部等に挿入するなどしてシャフト部等に接続部を揺動可能に装着するようにしてもよい。このように架構部とシャフト部等とを回動または揺動可能に接続することにより、打球時に、シャフト部あるいはその近傍への接続箇所を基点として可動ヨーク部を回動または揺動させることができ、可動ヨーク部における少なくとも架構部(ガット接続部)を打球面と垂直な方向に変位させることができる。
また、可動ヨーク部の接続部をシャフト部に沿ってグリップ部に達するまで延在させるようにしてもよい。この場合、可動ヨーク部の接続部を、グリップ部と回動または揺動可能に接続することができる。可動ヨーク部の接続部とグリップ部との接続手法としては、たとえばグリップ部の一部を構成する外側フレーム間に可動ヨーク部の接続部を挟持するように両者を固定する手法や、何らかの連結部材を介してグリップ部と可動ヨーク部の接続部とを回動または揺動可能に連結する手法が考えられる。上記のように可動ヨーク部をグリップ部に対し回動または揺動可能に接続することにより、該グリップ部への接続箇所を基点として可動ヨーク部を回動または揺動可能とすることができ、可動ヨーク部における少なくとも架構部(ガット接続部)を打球面と垂直な方向に変位させることができる。
上記のように打球部等を規定するフレームとは別部材で構成され、かつ打球面に対し垂直な方向に可動である可動ヨーク部を設けることにより、ボールを打球した際に、可動ヨーク部をフレームとは独立して打球面に対し垂直な方向に比較的大きく揺動させることができ、その際に可動ヨーク部の撓み振動の周期を、フレームの撓み振動の周期より長くすることもできる。その結果、ボールとガットとの接触時間を長くすることができ、ボールのホールド感を向上することができる。
ここで、図25(a)〜(e)と、図26(a),(b)とを用いて、可動ヨーク部を設けることによる作用効果についてより詳しく説明する。なお、以下の説明では、後述する図1に示すタイプの可動ヨーク部を設けた場合の作用効果について説明する。
図25(a)〜(b)に示すように、打球部21でボール13を打撃すると、まず打球部21内に位置する縦ガット71が撓むとともにシャフト部3や打球部21も撓む。その後、打球部21内に位置する縦ガット71がさらに撓んだ段階で、シャフト部3とは別部材で構成される可動ヨーク部5が揺動を開始する。それにより、図25(c)に示すように打球部21内に位置する縦ガット71がさらに撓んで最も撓んだ状態となる一方で、可動ヨーク部5は打球面と垂直な方向に変位する。その後、図25(d)〜(e)に示すように打球部21内に位置する縦ガット71が初期状態に戻ろうとすることでボール13は跳ね返されるが、その際に初期状態に戻ろうとする縦ガット71の挙動から若干遅れて可動ヨーク部5が初期状態に復帰する。
上記のように、可動ヨーク部5は、打球時におけるシャフト部3や打球部21の撓みには追随せず独立して動作し、シャフト部3や打球部21よりも若干遅れた撓み戻り挙動を呈することとなる。それにより、打球時のボールとガットとの接触時間を長くすることができ、球持ち(ホールド感)やコントロール性を大幅に向上することができる。また、打球時に可動ヨーク部5が打球面と垂直な方向に動作することで、打球時の縦ガットの撓み量や撓み面積が増大し、縦ガットの有効長さを長くしたのと実質的に等価な状態とすることができる。その結果、スイートエリアを大幅に拡大することができ、反発特性を向上することができる。さらに、ボールのインパクト後半(打球時に縦ガットがボールに押されて最も撓んだ状態からボールを跳ね返すまでの期間)において、可動ヨーク部5が撓んだ状態から初期状態に戻る際の可動ヨーク部5からの力(撓み戻り反力)を、縦ガットおよびボールに作用させることもできる。このことも、反発特性向上に寄与し得る。
図26(a)に示すように可動ヨーク部5を設けない場合には、打球部21におけるグリップ部6側の部分でボール13を打撃すると、縦ガット71の拘束端部に近い位置での打撃になるため、縦ガット71が撓み難く、反発特性が極端に低下する。その上、縦ガット71が撓み難いことに起因して、図26(a)に示すように打球面へのボール13の入射方向と、打球面からのボール13の飛出し方向とのなす角度θも大きくなり、ボール13の返球方向も安定しない。
それに対し、本実施の形態のように可動ヨーク部5を設けると、図26(b)に示すように、ボール13のインパクトの際に可動ヨーク部5が撓み変形するので、あたかも縦ガット71の中央部付近で打撃したかのように縦ガット71を撓ませることができる。それにより、打球部21の中央部で打撃した場合と同等の縦ガット71の撓み量を確保することができ、打球部21におけるグリップ部6側の部分でボール13を打撃した場合でも反発特性が極端に低下するのを回避することができる。
さらに、ボール13のインパクトの際に可動ヨーク部5をシャフト部3とは独立して撓み変形させることができるので、図26(b)に示すように縦ガット71の撓み状態を補正することもできる。それにより、打球面へのボール13の入射方向と、打球面からのボール13の飛出し方向とのなす角度θを小さくすることができ、ボール13の返球方向を安定させることができる。その結果、ボール13のコントロール性を向上することができる。また、打球時にプレイヤーが感ずる違和感をも低減することができる。
本願発明者が、打球時のフレームの撓み振動の半周期と、打球時の可動ヨーク部の撓み振動の半周期とを比較したところ、打球時のフレームの撓み振動の半周期に対する打球時の可動ヨーク部の撓み振動の半周期の比率が105%以上130%以下であることが好ましいことが判明した。より好ましくは、上記比率は105%以上120%以下である。上記のように比率の値を規定したのは、上記比率が105%より小さいと、通常のラケットとの違いを感じ難くなり、130%よりも大きいと打球時の違和感が顕著となるからである。
可動ヨーク部の面外1次固有振動数は、フレームの面外1次固有振動数と等しいものとしてもよいが、可動ヨーク部の面外1次固有振動数を、フレームの面外1次固有振動数よりも低くすることが好ましい。可動ヨーク部やフレームの面外1次固有振動数の調節は、たとえば可動ヨーク部やフレームの形状や材質を適切に選択することで行なえる。
フレームの面外1次固有振動数に対する可動ヨーク部の面外1次固有振動数の比率は、75%以上95%以下であることが好ましい。より好ましくは、上記比率は85%以上95%以下である。上記のように比率の値を規定したのは、上記比率が75%より小さいと、打球時の違和感が顕著となり、95%よりも大きいと、通常のラケットとの違いを感じ難くなるからである。
可動ヨーク部の剛性は、テニスラケットの打球面として設定した所望の反発係数が得られるように設定すればよいが、ガットの有効長さを長くした効果を得るためには、少なくとも2本のシャフト部の剛性よりも小さくすることが好ましい。つまり、本実施の形態のテニスラケットでは、可動ヨーク部の剛性を調整することにより、打球面の反発係数を調整することもできる。
グリップ部はプレイヤーが手で把持することが予定されている部分であり、たとえば打球部の周縁部やシャフト部を形成するフレームの端部にテープを巻き付けることでグリップ部を形成可能である。
次に、本発明の実施例について図1〜図23、表1および表2を用いて説明する。
図1〜6を用いて、本発明の実施例1におけるテニスラケット1とその変形例について説明する。
図1に示すように、本実施例1のテニスラケット1は、打球部21と、シャフト部3と、ヨーク部4と、可動ヨーク部5と、グリップ部6とを備える。打球部21の周縁部と、シャフト部3と、ヨーク部4とは管状の繊維強化樹脂製のフレーム(外側フレーム)2により形成される。打球部21の内側には、縦横にガット7を張設する。このようにガット7を張設することにより形成される網面が打球面となる。なお、ガットとしては周知の材質のものを使用可能である。
シャフト部3は、本実施例1では、グリップ部6から打球部21に向かって2方向に分岐し、略V字形の形状を有する。この2本のシャフト部3の間にヨーク部4が架け渡してあり、2本のシャフト部3とヨーク部4により略三角形状の開口部40が区画される。
可動ヨーク部5は、管状の繊維強化樹脂で形成され、図2に示すように、一方のシャフト部3から他方のシャフト部3に向かって延びる架構部51と、架構部51の両端からシャフト部3に沿って延びる1対の接続部55と、該接続部55の先端を結合した結合部(可動ヨーク基部)53と、略三角形状の開口部54とを有する。
架構部51は、ヨーク部4と略平行であり、直線状の形状を有する。該架構部51は、縦ガット71がそれぞれ挿通される複数のガット挿通孔52を有する。ヨーク部4にも縦ガット71を挿通する複数のガット挿通孔42を設ける。図2および図3の例では、ヨーク部4に設けたガット挿通孔42の孔径を、架構部51設けたガット挿通孔52の孔径より大きくしている。ガット挿通孔42の数は、ヨーク部4を通過して可動ヨーク部5に接続されるガット本数に応じた数であり、ガット挿通孔42の大きさは、ボール打撃時の縦ガット71の振動を必要以上に阻害せず、縦ガット71の変位量を確保可能な大きさとする。縦ガット71は、ヨーク部4のガット挿通孔42に挿通された後に架構部51のガット挿通孔52に挿通され、架構部51に固定される。
本実施例のテニスラケット1においては、縦ガット71の一部が、打球部21の頭頂部(図1における打球部21の上端部)と、可動ヨーク部5との間で張設される。図1に示すように、可動ヨーク部5は打球部21よりもグリップ部6側に位置するので、縦ガット71の一部を可動ヨーク部5と接続することにより、打球面の面積を拡大することなく一部の縦ガット71の張設長さを長くすることができる。つまり、ガット有効長さを大きくした効果が得られる。それにより、反発特性を向上することができる。また、スイートスポット部をグリップ部6側に向かって拡大することができ、操作性の良いテニスラケットになる。
図2に示すように、架構部51と、該架構部51の両端から延びる2本の接続部55とは、開口部40内に位置し、ヨーク部4や2本のシャフト部3からは離間している。それにより、可動ヨーク部5は、ヨーク部4にも両側のシャフト部3にもほとんど接触することなく揺動自在となる。
ヨーク部4と可動ヨーク部5の間に、熱可塑性合成樹脂、ゴムなどの振動吸収部材(図示せず)を挟持することも可能である。このような構成とすることにより、縦ガット71の振動を吸収することができる。
本実施例では、シャフト部3においてグリップ部6近傍に位置する1組のシャフト基部31によって結合部53を挟み込むことで、可動ヨーク部5の結合部53をグリップ部6に固定している。それにより、可動ヨーク部5は、打球時の衝撃で打球面と垂直な方向にグリップ部6における固定箇所を基点として揺動可動となり、少なくとも架構部51を打球面と垂直な方向に変位させることができる。
図3に示すように、可動ヨーク部5の架構部51には、ガット保護用のガットスリーブ9を設置している。本実施例1では、ガットスリーブ9によりガット挿通孔52が規定される。
本実施例1では、グリップ部6は、フレーム2の一部(先端部)により可動ヨーク部5の結合部(可動ヨーク基部)53を挟持した状態で表面にテープを巻付けることで形成される。
図4に、本実施例1におけるフレーム2の一部と可動ヨーク部5の形状例を示す。図4に示すように、可動ヨーク部5は、打球部側に略三角形状の外形を有する部分を有し、グリップ部6側に直線状部分を有する。略三角形状の部分が、架構部51と接続部55とに対応し、直線状部分が結合部53に対応する。
図5と図6に、フレーム2の形状の変形例を示す。図5や図6に示すように、フレーム2の内周に1対の凸部2aを設け、該凸部2aにより規定される空間部41内に可動ヨーク部5の略三角形状部分を配置してもよい。図5の例ではヨーク部4を架構部51よりもグリップ部6側に配置しており、図6の例ではヨーク部4を省略している。
次に、本実施例1におけるテニスラケット1の製造方法の一例について説明する。
まず、繊維強化樹脂の強化繊維として炭素繊維、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂等の熱硬化性合成樹脂を用いたプリプレグシートを作成する。その一方で、打球部21の周縁部、シャフト部3、グリップ部6の一部を形成可能な長さの内圧用チューブを芯材として準備し、その上面に上記のプリプレグシートを適宜積層して中空管状のフレーム材を準備する。
次に、ヨーク部4用フレームに対応する長さの発泡体で芯材を形成して、それに上記プリプレグシートを積層し、ヨーク部4用フレーム材を準備する。そして、ラケットフレーム成型用の金型にフレーム材とともにヨーク部4用フレーム材を配置し、金型を圧締して加熱加圧するとともに内圧用チューブに圧縮空気を注入して一体成形し、硬化後に内圧チューブを抜き取る。それにより、フレーム材とヨーク部用フレーム材との一体成形品を作製することができる。
また、可動ヨーク部5用フレームに対応する長さの内圧用チューブで芯材を別途形成し、それに上記プリプレグシートを積層して可動ヨーク部5用フレーム材を作成する。これを可動ヨーク部5成形用の金型に配置し、金型を圧締して加熱加圧するとともに内圧用チューブに圧縮空気を注入して一体成形し、硬化後に内圧チューブを抜き取る。それにより、可動ヨーク部材を作製することができる。そして、フレーム材とヨーク部用フレーム材との一体成形品に、可動ヨーク部材を接着により固着一体化してラケットフレームを作製することができる。該ラケットフレームのグリップ部6にテープを巻付けたり、ガット7を張設するなどして図1に示すテニスラケットを作製することができる。
なお、本実施例では、各部材のフレーム材として同一材料を用いて形成しているが、打球部21の周縁部、シャフト部3、ヨーク部4、グリップ部6の一部を構成するフレームとしては熱硬化性繊維強化樹脂材料を用い、可動ヨーク部5としては、熱可塑性合成樹脂繊維強化樹脂材料を用いることもできる。
次に、図7〜図12を用いて、本発明の実施例2におけるテニスラケット1とその変形例について説明する。
図7に示すように、可動ヨーク部5bの形状を、内側に略三角形状の開口部を有し、かつ略三角形状の外形を有するものとしてもよい。つまり、接続部55bの先端を結合した結合部53bの長さを実施例1の場合より短くしてもよい。本例では、支持部材10を介して可動ヨーク部5bの結合部53bを、シャフト部3においてグリップ部6側に位置する部分(シャフト基部)に回動可能に連結している。それにより、打球時にシャフト基部を中心として可動ヨーク部5bを回動させることができ、少なくとも架構部51bを打球面と垂直な方向に変位させることができる。
支持部材10としては、たとえば金属製のボルトなどの部材を使用可能である。より詳しくは、上記の部材をシャフト部3の外側からシャフト部3と結合部53bとに挿通し、ナットなどを用いて当該部材をシャフト部3に固着すればよい。
図8や図9の例では、フレーム2の内周に1対の凸部2aを設け、該凸部2aにより規定される空間部41内に可動ヨーク部5を配置している。図8の例ではヨーク部4を架構部51bよりもグリップ部6側に配置しており、図9の例ではヨーク部4を省略している。
図10に示すように、可動ヨーク部5cの形状を、内側に略三角形状の開口部を有し、かつ略三角形状の外形を有するものとし、可動ヨーク部5bの結合部53cの先端に拡径部を設けてもよい。本例においても、接続部55cの先端を結合した結合部53cの長さを実施例1の場合よりも短くしている。他方、フレーム2側には、シャフト基部間に凹部11を設ける。そして、該凹部11内に結合部53c先端の拡径部を挿入する。本例の場合も、打球時にシャフト基部を基点として可動ヨーク部5bを揺動させることができ、少なくとも架構部51cを打球面と垂直な方向に変位させることができる。なお。図10に示す可動ヨーク部5cをフレーム2に装着するには、たとえば圧入によりフレーム2の凹部11内に結合部53c先端の拡径部を挿入すればよい。
図11や図12の例では、フレーム2の内周に1対の凸部2aを設け、該凸部2aにより規定される空間部41内に可動ヨーク部5を配置している。図11の例ではヨーク部4を架構部51cよりもグリップ部6側に配置しており、図12の例ではヨーク部4を省略している。
次に、図13および図14を用いて、本発明の実施例3におけるテニスラケット1とその変形例について説明する。
図13に示すように、可動ヨーク部5aの形状を、略U形としてもよい。本例では、可動ヨーク部5aにおける架構部51aの両端に屈曲状に接続部55aを設け、該接続部55aに支持部材8を取付けている。この支持部材8を介して可動ヨーク部5aの接続部55aをシャフト部3に回動可能に連結している。それにより、打球時にシャフト部3との接続箇所を中心として可動ヨーク部5aを回動させることができ、少なくとも架構部51aを打球面と垂直な方向に変位させることができる。
図14の例では、フレーム2の内周に1対の凸部2aを設け、該凸部2aにより規定される空間部41内に可動ヨーク部5aを配置し、ヨーク部4を省略している。
次に、図15および図16を用いて、本発明の実施例4におけるテニスラケット1とその変形例について説明する。
図15に示すように、可動ヨーク部5dの形状を略直線状の形状としてもよい。本例では、可動ヨーク部5dにおける架構部51dの両端に接続部55dを設け、シャフト部3に打球面と平行な方向にシャフト部3を貫通する貫通孔を設け、接続部55dをシャフト部3の当該貫通孔に挿入している。そして、図16に示すように、シャフト部3に設けた上記の貫通孔内に粘弾性体12を設置し、該粘弾性体12を介して接続部55dを保持している。本例の場合には、打球時の衝撃で粘弾性体12を変形させることができ、シャフト部3に対して架構部51d全体を打球面と垂直な方向に変位させることができる。
上記の貫通孔は、好ましくは、打球面に対して垂直な方向に長軸を有する孔である。たとえば、該貫通孔の開口形状を楕円や矩形等の形状とすることが考えられる。
次に、本願発明者は上述の実施例に記載したテニスラケット1(本発明品)による効果を確認すべく様々な試験を行なったので、その試験結果について、図17〜図23、表1および表2を用いて説明する。
本発明品としては、上述の実施例1のタイプのテニスラケット1で、全長700mm、ガットを張設しない状態の質量285gのものを作製した。該テニスラケット1では、打球部2の周縁部を規定するフレーム2の側面幅(打球方向の幅)は26mm、正面厚み(打球方向に垂直な方向の厚み)は12mm、シャフト部3の側面幅は20mm、正面厚みは10mm、可動ヨーク部5は略三角形状部分を有し、架構部51の正面厚みは6mm、サイド側の正面厚みは12mmとした。また、ヨーク部4の側面幅は17mm、正面厚みは7mmである。
ガットを張設しない状態のバランス(テニスラケットのグリップ端から重心位置までの距離)は320mmで、縦ガット71のうち、中央部分の6本を可動ヨーク部5にて張設した。また、可動ヨーク部5は、打球部2やシャフト部3の材料と同材料(強化繊維:東レ製炭素繊維、T−300、T−700、T−800、M46J、マトリックス樹脂:エポキシ樹脂)で成形した。ヨーク部4のガット挿通孔42は、打球方向に7mm〜9mm、打球方向に対して垂直方向に3mm〜5mmの大きさとした。可動ヨーク部5の架構部51に形成したガット挿通孔52の直径は4mmとした。上記のラケットフレームにガットを張設して本発明品のテニスラケット1を作製した。
上記のようにして作製したテニスラケット1と従来品とについて、まず反発特性の試験を行なった。反発係数は、図17に示す方法で測定した。なお、従来品1は、全長700mm、ガットを張設しない状態の質量が280g、ガットを張設しない状態のバランスが320mm、フレーム2の正面最大厚みが11mm、フレーム2の側面最大厚みが26mm、シャフト部3の正面最小厚みが13mm、シャフト部3の側面最小厚みが21mm、ヨーク部4の正面厚みが11mm、ヨーク部4の側面厚みが17mmのテニスラケットである。従来品2は、全長700mm、ガットを張設しない状態の質量が253g、ガットを張設しない状態のバランスが355mm、フレーム2の正面最大厚みが14mm、フレーム2の側面最大厚みが25mm、シャフト部3の正面最小厚みが17mm、シャフト部3の側面最小厚みが26mm、ヨーク部4の正面厚みが9mm、ヨーク部4の側面厚みが20mmのテニスラケットである。従来品3は、全長700mm、ガットを張設しない状態の質量が285g、ガットを張設しない状態のバランスが335mm、フレーム2の正面最大厚みが13mm、フレーム2の側面最大厚みが27mm、シャフト部3の正面最小厚みが17mm、シャフト部3の側面最小厚みが29mm、ヨーク部4の正面厚みが12.5mm、ヨーク部4の側面厚みが19mmのテニスラケットである。
図17に示すように、回転軸15の回りに回転可能な固定治具14を準備し、ガットを張設したテニスラケット1のグリップ部6を固定治具14に保持固定させ、その状態で打球面(ガット網面)の中央に120km/hの速度Voでボール13を衝突させた。そして、跳ね返ったボール13の速度Vrと、入射したボール13の速度Voとの比(Vr/Vo)を求め、これを反発係数とした。
図20に示すように、本発明品の反発係数が0.39であるのに対し、従来品1〜3の反発係数はこれより小さいものであった。このことから、本発明品の反発係数が従来品よりも優れていることを確認することができた。
次に、本発明品についてシャフト部3と可動ヨーク部5の歪測定を行なった。この歪測定は、図18に示す方法で行なった。
図18に示すように、本発明品のテニスラケット1の可動ヨーク部5に歪ゲージ16aを取付け、シャフト部3に歪ゲージ16bを取付け、固定治具14に本発明品のテニスラケット1のグリップ部6を固定した状態で打球面の中央に120km/hの速度でボール13を衝突させ、その際に生じる各部の歪を測定した。歪ゲージ16a,16bは、グリップ部6の端部から打球部21に向かう方向に距離L(300mm)だけ離れた位置に取付け、歪アンプ17を介してFFTアナライザー18に接続する。
上記の歪ゲージ16a,16b、歪アンプ17およびFFTアナライザー18により、ボールを打球面に衝突させた際のシャフト部3と可動ヨーク部5の歪量を測定した。なお今回の試験では、打球面のセンターエリアと、グリップ部6寄りのグリップ側エリアとにボールを衝突させた場合の各部の歪を測定した。
図21(a),(b)に打球面のセンターエリアにボールを衝突させた場合の測定結果を示し、図22(a),(b)に打球面のグリップ側エリアにボールを衝突させた場合の測定結果を示す。なお、図21(a)、図22(a)において、実線がシャフト部3に生じる歪を示し、破線が可動ヨーク部5に生じる歪を示している。また、従来品としては、上述の従来品1を使用した。
図21(a)に示すように、打球面のセンターエリアにボールを衝突させた場合、シャフト部3と可動ヨーク部5とで撓み振動の周期がずれており、また可動ヨーク部5の撓み振動の半周期(t2)が、シャフト部3の撓み振動の半周期(t1)よりも長くなっているのがわかる。
また、図22(a)に示すように、打球面のグリップ側エリアにボールを衝突させた場合、シャフト部3と可動ヨーク部5とで撓み振動の周期が顕著にずれており、ボールの衝突直後にはシャフト部3と可動ヨーク部5とが逆方向に変形していることがわかる。
さらに、本願発明者が、3つの本発明品(サンプル1〜3)について可動ヨーク部5の撓み振動の半周期(インナー)とシャフト部3の撓み振動の半周期(アウター)とを測定したところ、下記の表1の結果が得られた。
表1に示すように、今回測定した3つのサンプルでは、打球面にボールを衝突させた際のシャフト部3(フレーム)の撓み振動の半周期に対する可動ヨーク部5の撓み振動の半周期の比率は、106%〜118%程度であった。このようにシャフト部3と可動ヨーク部5とで撓み振動の周期が適度に異なることも、反発特性とボールのホールド感の向上に寄与し得るものと考えられる。
さらに、本願発明者は、本発明品と、上述の従来品1〜3とについて、打球面のセンターエリアにボールを衝突させた場合のボールと打球面との接触時間をも測定したので、その結果を図23に示す。
接触時間は、図24に示す測定装置を用いて測定した。より詳しくは、図24に示すようにガットを張設したテニスラケット1のグリップ部6を固定治具14に固定した状態で打球面に120km/hでボール13を衝突させ、その際にテニスラケット1の斜め後方20°の角度から高速度撮影カメラ(10000/sec)にてボール13がガット面(打球面)に当たる状態を捉え、ガット面にボール13が接触している状態を表すコマ数と撮影速度値との関係から接触時間を測定した。
図23に示すように、従来品1〜3よりも本発明品の方がボールと打球面との接触時間が長くなっているのがわかる。このことから、本発明品によれば、ボールのホールド感を向上することができることがわかる。
さらに、本願発明者は、本発明品のヨーク部4と可動ヨーク部5の面外1次固有振動数を測定したのでその結果について説明する。該面外1次固有振動数の測定に際し、図1に示すタイプの6つのテニスラケット(サンプル1〜6)を作製し、各々のサンプルについて面外1次固有振動数を測定したところ、下記の表2に示す結果が得られた。
ここで、面外1次固有振動数の測定方法について説明する。図19に示すように、本発明品の可動ヨーク部5の架構部と、フレーム2のヨーク部4とに加速度計19a,19bをそれぞれ取付け、該加速度計19a,19bをFFTアナライザー18a,18bとそれぞれ接続し、さらにFFTアナライザー18a,18bをインパルスハンマー20a,20bとそれぞれ接続する。
そして、フレーム2の打球部21をゴム製のベルトで吊り下げ、この状態でインパルスハンマーでヨーク部4と可動ヨーク部5の架構部とをそれぞれ打撃し、その際に加速度計19a,19bにて計測された各部の加速度と、インパルスハンマー20a,20bに取付けた力センサの信号とがFFTアナライザー18a,18bに入力され、このインパルスハンマー20a,20bからの入力信号と、加速度計19a,19bからの出力信号から得られる伝達関数より面外1次固有振動数を得た。
表2に示すように、サンプル1〜6のいずれの場合も、可動ヨーク部(インナー)5の面外1次固有振動数が、フレーム(アウター)2の面外1次固有振動数よりも低くなっているのがわかる。また、サンプル1〜6では、フレーム2の面外1次固有振動数に対する可動ヨーク部5の面外1次固有振動数の比率は、85%〜91%程度であった。このように可動ヨーク部5の面外1次固有振動数を、フレーム2の面外1次固有振動数よりも適切な割合で低くすることにより、打球時に可動ヨーク部5が適度に撓み易くなり、反発特性を向上しながらボールのホールド感をも向上することが可能となるものと考えられる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、本発明は上記の実施の形態等に限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
本発明は、可動ヨーク部を備えたテニスラケットに有効に適用される。
本発明の実施例1におけるテニスラケットの正面図である。
図1に示すテニスラケットの部分拡大斜視図である。
図1に示すテニスラケットの部分拡大断面図である。
図1に示すタイプのテニスラケットの可動ヨーク部およびその近傍を示す図である。
図4のタイプのテニスラケットの変形例を示す図である。
図4のタイプのテニスラケットの他の変形例を示す図である。
図4のタイプのテニスラケットのさらに他の変形例を示す図である。
図7のタイプのテニスラケットの変形例を示す図である。
図7のタイプのテニスラケットの他の変形例を示す図である。
図4のタイプのテニスラケットのさらに他の変形例を示す図である。
図10のタイプのテニスラケットの変形例を示す図である。
図10のタイプのテニスラケットの他の変形例を示す図である。
図4のタイプのテニスラケットのさらに他の変形例を示す図である。
図13のタイプのテニスラケットの変形例を示す図である。
図4のタイプのテニスラケットのさらに他の変形例を示す図である。
図15に示すテニスラケットの側面図である。
反発係数の測定方法を説明するための説明図である。
各部の歪の測定方法を説明するための説明図である。
各部の固有振動数の測定方法を説明するための説明図である。
反発係数の測定結果を示す図である。
(a)は本発明品の歪測定結果を示す図であり、(b)は従来品の歪測定結果を示す図である。
(a)は本発明品の歪測定結果を示す図であり、(b)は従来品の歪測定結果を示す図である。
打球面とボールとの接触時間の測定結果を示す図である。
打球面とボールとの接触時間の測定方法を説明するための説明図である。
(a)〜(e)は、本発明の実施の形態におけるテニスラケットでボールを打撃した際の可動ヨーク部の動作を段階的に示す図である。
(a)は可動ヨーク部を有しないテニスラケットのグリップ部側の部分でボールを打撃した場合を示す図であり、(b)は、本発明の実施の形態におけるテニスラケットのグリップ部側の部分でボールを打撃した場合を示す図である。
符号の説明
1 テニスラケット、2 フレーム、2a 凸部、3 シャフト部、4 ヨーク部、5,5a〜5d 可動ヨーク部、6 グリップ部、7 ガット、8,10 支持部材、9 ガットスリーブ、11,41 凹部、12 粘弾性体、13 ボール、14 固定治具、15 回転軸、16a,16b 歪ゲージ、17 歪アンプ、18 FFTアナライザー、19a,19b 加速度計、20a,20b インパルスハンマー、21 打球部、31 シャフト基部、40,41 空間部、42,52 ガット挿通孔、51,51a〜51d 架構部、53,53a〜53c 結合部、54 開口部、55,55a〜55d 接続部、71 縦ガット。