従来から、埋込型の配線器具として用いられるスイッチとして、器体の前面側に設けた押釦ハンドルの押圧操作により器体内の接点の切換が行われるスイッチ本体と、スイッチ本体の前面に対向する形で一端部がスイッチ本体に枢着され押釦ハンドルを押し込み可能なピアノハンドルとを備えたピアノハンドル式スイッチ(例えば、特許文献1参照)や、器体の前面側で器体に対して揺動可能となるように保持され器体内の接点を切り換える反転ハンドルを有するスイッチ本体と、反転ハンドルの前面側に結合されて両端部を交互に押操作することにより両端部が交互に起伏動作する操作ハンドルとを備えた波動スイッチ(例えば、特許文献2参照)が知られている。なお、ピアノハンドル式スイッチでは、ピアノハンドルが操作ハンドルを構成している。
上述のピアノハンドル式スイッチのスイッチ本体の器体や波動スイッチのスイッチ本体の器体は埋込型の配線器具用の取付枠(例えば、合成樹脂製の取付枠や、金属製の取付枠)に取付可能に形成されている。取付枠は、器具取付用の長方形状の窓孔が形成されており、施工時には取付枠の前面側にプレート(化粧プレート)が配設され、操作ハンドルの前面がプレートの開口窓を通して露出する。
ここにおいて、上述のピアノハンドル式スイッチや波動スイッチの器体の短手方向の寸法は取付枠の窓孔の長手方向の寸法の略3分の1の寸法に形成されており、この寸法を1個モジュール寸法と呼ぶことにすれば、取付枠には1個モジュール寸法の器体を3個まで取り付けることができ、窓孔内で器体の取付位置を3箇所選択できるようになっている。このように1個モジュール寸法の器体を3個取り付けることができる取付枠を3個用の取付枠と呼ぶことにする。 ここで、窓孔の長手方向に器体の短手方向を一致させて器体を3個用の取付枠に取り付ける場合の3つの取付位置を、それぞれ上端位置、中央位置、下端位置と呼ぶことにし、取付枠に1個モジュール寸法の器体を1個取り付ける際に用いる操作ハンドルであって、プレートの開口窓を1個で覆う程度の寸法を有した操作ハンドルを1個用の操作ハンドルと呼び、同様に、3個用の取付枠に1個モジュール寸法の器体を2個取り付ける際に用いる操作ハンドルであってプレートの開口窓を2個で覆う程度の寸法を有した操作ハンドルを2個用の操作ハンドルと呼ぶことにし、さらに、3個用の取付枠に1個モジュール寸法の器体を3個取り付ける際に用いる操作ハンドルであって、プレートの開口窓を3個で覆う程度の寸法を有した操作ハンドルを3個用の操作ハンドルと呼ぶことにする。
上述した3種類の操作ハンドルの上下方向(器体の短手方向)の寸法の関係は、(1個用の操作ハンドルの上下寸法)≒(2個用の操作ハンドルの上下寸法)×2≒(3個用の操作ハンドルの上下寸法)×3になる。また、プレートの開口窓は取付枠の窓孔よりも長寸かつ広幅であり、この窓孔に器体を挿入して取り付けるから、3個用の操作ハンドルの上下寸法は器体の上下寸法よりも大きくなっている。
したがって、取付枠の窓孔に器体を1個だけ取り付ける場合には、中央位置に器体を取り付けることになり、器体1の上下方向の中心と1個用の操作ハンドルの上下方向の中心とが一致し、取付枠の窓孔に器体を2個だけ取り付ける場合には、上端位置と下端位置とにそれぞれ器体を取り付けることになり、取付枠に対して上端位置および下端位置に取り付けた各器体の上下方向の中心位置と、各操作ハンドルの上下方向の中心位置とが一致する。また、取付枠の窓孔に3個の器体を取り付ける場合には、上端位置と中央位置と下端位置とにそれぞれ器体を取り付けることになるが、上端位置については器体の上下方向の中心よりも操作ハンドルの上下方向の中心が上にずれて位置することになるとともに、下端位置については器体の上下方向の中心よりも操作ハンドルの上下方向の中心が下にずれて位置することになる。要するに、取付枠に3個の器体を取り付ける場合には、上端位置と下端位置とにおいて、器体の上下方向の中心が操作ハンドルの上下方向の中心に一致しない。
ところで、上述のピアノハンドル式スイッチや波動スイッチとしては、位置表示のために点灯する位置表示灯(例えば、ネオンランプなど)や接点への通電時に点灯するパイロット灯(例えば、発光ダイオードなど)などの発光源を有し、操作ハンドルの上下方向の中心に発光源からの光を外部へ出射する表示部を設けた構成のスイッチが提供されているが、取付枠に3個の器体を取り付けた場合には、上述のように上端位置および下端位置の器体の上下方向の中心が操作ハンドルの上下方向の中心に一致しないので、表示部の後面側に光学的に結合されるプリズムを操作ハンドルに設けてある。
例えば、上記特許文献1には、図27に示すように、3個用の取付枠200に取り付けられ3個用の操作ハンドル180を備えるピアノハンドル式スイッチBにおいて、3個用の操作ハンドル180の一端部における上下方向の中心に表示部181を設け(なお、図27には取付枠200の前面側に配設され中央部に開口窓300aを有するプレート300を二点鎖線で示してある)、図28に示すような形状のプリズム190を操作ハンドル180の後面側に設けることが記載されている。ここにおいて、プリズム190は、操作ハンドル180の後面側で表示部181よりも上下方向に広がる形状であって、発光源171の位置が表示部181に対して上下にずれている場合でも、発光源LDからの光を表示部181に導く形状に形成されている。なお、図28(a)には取付枠200の上端位置に器体が取り付けられたピアノハンドル式スイッチBにおいて発光源171から放射されてプリズム190に入射した光の進行経路を二点鎖線で示し、同図(b)には取付枠200の中央位置に器体が取り付けられたピアノハンドル式スイッチBにおいて発光源171から放射されてプリズム190に入射した光の進行経路を二点鎖線で示し、同図(c)には取付枠200の下端位置に器体が取り付けられたピアノハンドル式スイッチBにおいて発光源171から放射されてプリズム200に入射した光の進行経路を二点鎖線で示してある。
また、上記特許文献2には、図29および図30に示すように、3個用の取付枠200’に取り付けられ3個用の操作ハンドル280を備える波動スイッチCにおいて、3個用の操作ハンドル280の中央部に表示部を設け(なお、図29および図30には取付枠200’の前面側に配設され中央部に開口窓300a’を有するプレート300’も示してある)、プリズム290を操作ハンドル280の後面側に設けることが記載されている。ここにおいて、取付枠200’の上下方向(図30における左右方向)の中央位置に器体100が取り付けられる波動スイッチCでは、操作ハンドル280の上下方向の中心とプリズム290の中心とを一致させ、上端位置、下端位置に器体100が取り付けられる波動スイッチCでは、操作ハンドル280の上下方向の中心とプリズム290の中心とをずらしてある。
なお、埋込型の配線器具として用いるスイッチとしては、単極単投型のスイッチ(いわゆる片切りスイッチ)、単極双投型のスイッチ(いわゆる3路スイッチ)、2極単投型のスイッチ、いわゆる4路スイッチ(4端子のうちの2端子と残りの2端子とを一対一に接続する2つの接続関係が選択可能なスイッチ)などが知られている。
特開2003−272481号公報
特開2001−176355号公報
ところで、3路スイッチは、階段灯や廊下灯の点灯・消灯に用いられることが多く、例えば、階段灯の点灯・消灯に用いる場合には、階上と階下とにそれぞれ3路スイッチを配置して階段灯の点灯・消灯のための操作を階上と階下とのいずれにおいても行うことができる。
ここにおいて、波動スイッチにより3路スイッチを構成した場合には、操作ハンドルの同じ端部を押操作したとしても回路が閉じて負荷(例えば、照明負荷)がオンする場合と回路が開いて上記負荷がオフする場合とがあるが、上記特許文献2に記載された波動スイッチCでは、操作ハンドル280の中央部に表示部が設けられているので、操作ハンドル280において押力を作用させるべき端部が分かりにいことがあった。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、波動スイッチの操作ハンドルにおいて押力を作用させるべき端部の表示部へ発光源からの光を導光することができるスイッチ用プリズムおよびそれを用いた波動スイッチを提供することにある。
請求項1の発明は、器体の前面側に器体内の接点を切り換える反転ハンドルを有するスイッチ本体と、反転ハンドルの前面側に結合されて両端部を交互に押操作することにより両端部が交互に起伏動作する操作ハンドルと、操作ハンドルの後面側に設けられた発光源とを備えた波動スイッチに用いられ、操作ハンドルの両端部それぞれにおいて発光源からの光を前方へ出射する表示部へ発光源から放射された光を導光するスイッチ用プリズムであって、発光源と各表示部との間それぞれに発光源から側方へ放射された光を表示部へ導光する導光部を備え、各導光部の発光源側の端部に発光源から側方へ放射された光が入射される入射面が形成され、表示部側の端部に光を表示部へ反射により導く反射面が形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、発光源と操作ハンドルの両端部の各表示部との間それぞれに発光源から側方へ放射された光を表示部へ導光する導光部を備え、各導光部の発光源側の端部に発光源から側方へ放射された光が入射される入射面が形成され、表示部側の端部に光を表示部へ反射により導く反射面が形成されているので、波動スイッチの操作ハンドルの両端部の表示部へ発光源からの光を導光することが可能であり、波動スイッチの操作ハンドルにおいて押力を作用させるべき端部の表示部へ発光源からの光を導光して出射させることができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記反射面は、前記入射面とのなす角度が異なる複数の平面の組み合わせにより構成され、前記入射面に近い平面ほど前記入射面とのなす角度が大きいことを特徴とする。
この発明によれば、前記表示部へ前記発光源からの光をより多く導光することが可能となり、前記表示部をより明るくすることが可能となる。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記反射面は、隣り合う平面が曲面により繋がれていることを特徴とする。
この発明によれば、前記表示部を見る角度の違いによる明るさの差を小さくすることができる。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記導光部に前記表示部が一体に設けられてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記各表示部がスイッチ用プリズムと別部品である場合に比べて、波動スイッチの部品点数を少なくでき、波動スイッチの低コスト化および組立性の向上を図れる。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記表示部における前記入射面側の部位は末広がりの形状に形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記表示部を通して出射される光の量をより多くすることができる。
請求項6の発明は、請求項4または請求項5の発明において、前記表示部における前記入射面側の部位に、前記表示部を通して出射される光の出射角度分布を広げる出射角拡大部が連続一体に形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、出射角拡大部と空気との界面で光が屈折するので、前記表示部に出射角拡大部が形成されていない場合に比べて、前記表示部を通して出射される光の出射角度分布を広げることができる。
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記反射面には、前記表示部の前面において光が法線方向へ出射されるエリアを広げるように光を反射する出射方向調整部が設けられてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記表示部の前面において光が法線方向へ出射されるエリアを広げることができる。
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7の発明において、前記各導光部の発光源側の端部における前記発光源に対向する部位の幅方向の両側に、前記発光源との対向面と前後方向の両面とが開放されたスリットが形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、スリットの内面の一部で光が反射されるので、前記導光部ではスリット間の部位を通る光の量が多くなって前記表示部の中央付近に導光される光の量が多くなり、前記表示部の中央付近をより明るくすることができる。
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8の発明において、前記導光部は、前記発光源側の端部から前記表示部側の端部に向うにつれて幅寸法が漸次減少するテーパ部を有し、テーパ部の両側面が前記発光源からの光の進行方向を反射により変える変向面を構成していることを特徴とする。
この発明によれば、前記表示部の中心位置と前記発光源の中心位置とが前記導光部の幅方向にずれても、前記導光部の変向面で反射されて前記反射面へ向う光の量が多くなるので、前記表示部のうち明るく見えるエリアが前記表示部の中心位置と前記発光源の中心位置との相対的な位置関係の違いに起因してばらつくのを抑制することができる。
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記導光部は、前記テーパ部と前記表示部側の端部との間に、前記表示部側の端部に近づくにつれて幅寸法が漸次増加する第2テーパ部を有し、第2テーパ部の両側面が前記発光源からの光の進行方向を反射により変える第2変向面を構成していることを特徴とする。
この発明によれば、前記器体を中央の取付位置に取り付けた波動スイッチに比べて前記導光部の第2変向面で反射されて前記反射面へ向う光の量が多くなるので、前記表示部のうち明るく見えるエリアが前記取付枠への前記器体の取付位置の違いに起因してばらつくのをより抑制することができる。
請求項11の発明は、請求項9または請求項10の発明において、前記導光部は、前記窓孔の長手方向を上下方向とするとき、上下対称の形状に形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記取付枠への器体の取付位置にかかわらず、共通利用することができるので、前記取付枠への器体の取付位置に応じて個別のスイッチ用プリズムを用意する場合に比べて、低コスト化を図れる。
請求項12の発明は、請求項1ないし請求項11の発明において、前記導光部は乳白材入りの透明樹脂により形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、乳白材の光拡散効果により、前記導光部を乳白材の入っていない透明樹脂により形成した場合に比べて、前記表示部のうち明るく見えるエリアを広げることができ、見栄えが良くなる。
請求項13の発明は、器具取付用の窓孔を備えた取付枠に取付可能な器体および器体の前面側で器体に対して揺動可能となるように保持され器体内の接点を切り換える反転ハンドルを有するスイッチ本体と、反転ハンドルの前面側に結合されて取付枠の前面側に装着するプレートの開口窓内に配置され両端部を交互に押操作することにより両端部が交互に起伏動作する操作ハンドルと、反転ハンドルの両端部の間の部位に露設された発光源と、操作ハンドルの両端部それぞれにおいて発光源からの光を前方へ出射する表示部へ発光源から放射された光を導光するプリズムとを備え、当該プリズムが、請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のスイッチ用プリズムからなることを特徴とする。
この発明によれば、操作ハンドルの操作位置に関わらず表示部を通して発光源から光が出射されるので、前記表示灯の状態を視認することができる。
本発明によれば、波動スイッチの操作ハンドルの両端部の表示部へ発光源からの光を導光することが可能であり、波動スイッチの操作ハンドルにおいて押力を作用させるべき端部の表示部へ発光源からの光を導光して出射させることができるという効果がある。
(実施形態1)
以下、本実施形態の波動スイッチについて図1〜図12を参照しながら説明する。
本実施形態の波動スイッチは、器具取付用の窓孔2aを備えた取付枠2に取付可能な器体1および器体1の前面側で器体1に対して揺動可能となるように保持され器体1内の接点を切り換える反転ハンドル50を有するスイッチ本体Aと、反転ハンドル50の前面側に結合されて取付枠2の前面側に装着するプレート3の開口窓3a内に配置され両端部を交互に押操作することにより両端部が交互に起伏動作する操作ハンドル8とを備えている。ここにおいて、プレート3の開口窓3aは取付枠2の窓孔2aよりも長寸且つ広幅に形成されている。なお、本実施形態では、スイッチ本体Aと取付枠2とプレート3とでスイッチ装置を構成している。
以下では、まず、スイッチ本体Aについて説明する。
スイッチ本体Aの器体1は、前面が開口した直方体状の合成樹脂成形品のボディ10と、矩形枠状に形成されボディ10の前面側に結合される合成樹脂成形品のカバー20とにより構成される。ボディ10の幅方向(短手方向)における両外側面にはボディ10の長手方向に離間して各一対の組立突起11が突設され、カバー20の後端縁からは組立舌片21が後方に延設され、組立舌片21に設けた組立孔21aに組立突起11が係合することによってボディ10とカバー20とが結合されている。
ボディ10は、長手方向の一端部(図1における左端部)に2個の端子板31,32が収納される一方で他端部(図1における右端部)に1個の端子板33が収納され、長手方向の中央部には前方に開放されたコ字状である開閉子40が収納されている。
端子板33にはボディ10の内底面に沿ってボディ10の中央部に向かう向きに支持片33dが延設され、支持片33dの先端部には前方に突出するへ字状に屈曲された支点突部33eが形成されている。開閉子40は、支点突部33eの先端に当接するように配置され、支点突部33eの先端付近を支点として揺動可能になる。
端子板31,32は、互いに異なる長さの接点保持片31d,32dを延設してあり、両接点保持片31d,32dの先端部に設けた固定接点41a,41bの間に上述の開閉子40を配置してある。開閉子40は、両脚片にそれぞれ可動接点42a,42bを設け、各可動接点42a,42bが各固定接点41a,41bに対して離接するようにしてある。つまり、可動接点42aと固定接点41aとで1つの接点を構成し、可動接点42bと固定接点41bとで1つの接点を構成している。
端子板31,32にはそれぞれ1個ずつの鎖錠ばね34が収納され、端子板33には2個の鎖錠ばね34が収納されている。鎖錠ばね34は、帯状の板ばねの一端部をS字状に曲成して接触片34aを形成し、他端部をJ字状に曲成して鎖錠片34bを形成し、接触片34aと鎖錠片34bとの間を接続片34cにより連続一体に連結した形状に形成される。また、接触片34aおよび鎖錠片34bは接続片34cに対して厚み方向の同じ側に突出する。また、ボディ10の後壁において各鎖錠ばね34に対応する部位には電線挿入孔12(図1参照)が穿孔されており、電線挿入孔12を通してボディ10の内部に電線を挿入することにより、電線の先端部が鎖錠ばね34の鎖錠片34bおよび接触片34aと端子板31,32,33との間に挟持されるようにしてある。ここに、鎖錠片34bは接続片34cの後端から斜め前方に向かって延設されており、つまりは、電線の挿入方向において接続片34cから離れる向きに延設されており、電線挿入孔12を通して挿入された電線は鎖錠片34bの先端縁が食い込むことにより、電線に作用する引張力に抗するようになっている。ボディ10の上記一端部には、各端子板31,32それぞれに1個ずつ設けた2個の鎖錠ばね34の鎖錠片34bに跨るように配置した解除釦35が収納され、ボディ10の上記他端部には、端子板33に設けた一対の鎖錠ばね34の鎖錠片34bに跨るように配置した解除釦35が収納されている。解除釦35はボディ10の後壁に穿孔した操作孔15(図1参照)を通してボディ10の中に挿入されるマイナスドライバのような工具によって押圧可能であって、解除釦35を工具で押圧すると鎖錠片34bの先端が接続片34cに近づく向きに撓み、電線を保持する力が低減するようになっている。つまり、解除釦35を押圧した状態で電線を引き抜くことができるようにしてある。この種の端子の構成は速結端子として知られている。
ところで、カバー20の中央部の開口窓22には合成樹脂成形品の反転ハンドル50がカバー20に対して揺動自在に枢支された形で装着されている。ここにおいて、反転ハンドル50は、矩形枠状に形成された反転ハンドル本体50aと、反転ハンドル本体50aの内側に配置される後面開口した筒部52とが、反転ハンドル本体50aから延設された4つの支持片54を介して反転ハンドル本体50aに連続一体に連結されている。また、カバー20の長手方向の中央部であって幅方向の両側部には開口窓22の周縁から前方に突出する一対の軸受突片23が突設され、両軸受突片23の対向面には反転ハンドル50の短手方向の外側面に突設された軸突起51が挿入される軸受凹所24が形成され、軸受突片23の前端部同士がカバー20の長手方向に離間した2つの遮光片25(遮光片25の機能については後述する)を介して連続一体に連結されている。軸突起51が軸受凹所24に挿入された状態では軸突起51の前端部を支点として反転ハンドル50がカバー20に対して揺動可能になる。反転ハンドル50の筒部52と開閉子40との間にはコイルばねからなる反転ばね44が保持されている。また、反転ハンドル50の長手方向の両端面には操作ハンドル8を結合するための結合爪53がそれぞれ突設されており、反転ハンドル50の前面側にはカバー20の前面に重複する操作ハンドル8が着脱可能に結合されている。ここにおいて、操作ハンドル8の後面には反転ハンドル50に設けた結合爪53に係合する脚爪85aを先端部に有する結合脚85が突設されており、操作ハンドル8の後面と脚爪85aとの間で反転ハンドル50が保持され、結果的に操作ハンドル8が反転ハンドル50に固定されることになる。
したがって、操作ハンドル8の両端部を交互に押し込むことによって、反転ばね44から開閉子40に作用するばね力の向きが反転し、いずれか一方の可動接点42a,42bが、当該可動接点42a,42bに対応する固定接点41a,41bに接触するようになっている。つまり、端子板33は、2個の端子板31,32のいずれか一方に択一的に接続されることになる。この種のスイッチは3路スイッチとして知られているものである。
また、上述の端子板31,32には導電性の金属板からなる接触子47が固着されている。各接触子47は後述の回路基板70に弾接するように弾性が付与されており、反転ハンドル50の揺動にかかわらず接触子47がつねに回路基板70に弾接するようにしてある。回路基板70にはネオンランプからなる位置表示灯71と抵抗72と抵抗73との直列回路が実装され、この直列回路の各一端にそれぞれ接触子47が接触する。本実施形態のスイッチのような3路スイッチは階段灯の点灯・消灯に用いられることが多く、階上と階下とにそれぞれ3路スイッチを配置して階段灯の点灯・消灯とを階上と階下とのいずれにおいても操作可能とすることができる。したがって、両固定接点41a,41bの間に位置表示灯71と抵抗72と抵抗73との直列回路を挿入しておけば、階段灯の消灯時に位置表示灯71を点灯させることができ、後述のように位置表示灯71から放射された光が操作ハンドル8の両端部に設けた表示部81のいずれか一方から択一的に前方へ出射されるようになっているので、階段灯のような照明器具の消灯時において位置表示灯71が点灯することにより暗がりでもスイッチの場所を容易に見つけることができるようになる。この種の回路の接続関係は周知であるから説明を省略する。
回路基板70は、中央部に円形状の圧入孔74が形成されており、反転ハンドル50に設けた筒部52が圧入孔74に圧入されることによって、反転ハンドル50に保持されている。反転ハンドル50の筒部52の前壁には、位置表示灯71を位置決めする位置決め凹部52aが形成されており、位置表示灯71は反転ハンドル50の前面から露出して設けられている。また、反転ハンドル本体50a内には、上述の回路基板70に位置表示灯71および各抵抗72,73を実装した表示灯ブロックを覆う合成樹脂成形品からなる遮光カバー60の一部が収納されている。ここにおいて、遮光カバー60は、長手方向の両側面に各一対の係止爪61が突設されており、反転ハンドル本体50aの長手方向の内側面の後端部には、各係止爪61が引掛係止される引掛爪55が設けられている。
遮光カバー60は、各抵抗72,73を覆う部位よりも位置表示灯71を覆う部位が前方へ突出しており、位置表示灯71を覆う部位の両側壁には、位置表示灯71からの光を透過させるための透孔62が貫設されており、後述のハンドルパネル90とともに操作ハンドル8を構成するスイッチ用プリズム80により位置表示灯71からの光がいずれか一方の表示部81へ択一的に導光され表示部81の前面を通して外部へ出射されるようになっている。スイッチ用プリズム80および遮光カバー60の機能については後述する。
上述の器体1は、カバー20の長手方向の両側面に、各一対の取付爪26,26が突設されている。ここでは詳しく説明しないが、取付爪26,26は取付枠2に設けた保持溝127a,127b(図13参照)に係合することによって器体1を取付枠2に保持させるために設けてあり、壁面などの施工面に器体1の一部を埋め込む形で施工する際に、施工面に固定される取付枠2への器体1の結合作業が容易になっている。
本実施形態の波動スイッチを壁面のような施工面に取り付ける際には、上述の器具取付用の窓孔2aを備え器体1を保持する取付枠2と、取付枠2を覆うプレート3とを用いる。取付枠2は合成樹脂製であって絶縁性を有し、器体1の前面を露出させる窓孔2aを中央部に備えた矩形枠状に形成されている。取付枠2の窓孔2aの長手方向に沿った両側縁の後面側にはそれぞれ帯板状の固定梁部124と可動梁部125とが互いに対向する形で設けてある。
固定梁部124および可動梁部125において窓孔2aに望む一面には、器体1の両側面に各一対ずつ突設された取付爪26と係合する器具取付手段としての取付孔たる保持溝127a,127bが各々3対ずつ設けてある。したがって、取付爪26を各保持溝127a,127bに凹凸係合させると、器体1の前面を窓孔2aから露出させた形で取付枠2に器体1を取着することができる。要するに、取付枠2に波動スイッチの器体1を取り付けるには、器体1を取付枠2の後方から挿入して器体1の長手方向の一側面に突設した取付爪26を固定梁部124の保持溝127aに係合させておき、器体1を取付枠2に対して前方へ押し込むと、器体1の他側面に突設した取付爪26が可動梁部125を撓ませ、取付爪26を保持溝127bに容易に係合させることができる。上述の説明から分かるように、取付枠2は長手方向に3組の器具取付手段を備えている。
一方、固定梁部124の基部には隣接する各一対の保持溝127aの間で取付枠2の表裏に貫通する器具外し孔126が穿設してあり、器体1を取付枠2に取着した状態で、ドライバや取り外し専用の冶具などの先端部分を器具外し孔126に挿入し、冶具の先端部分で器体1を可動梁部125側へ押すと梃子の原理によってわずかな力で可動梁部125を撓ませることができ、固定梁部124側の保持溝127aと器体1の取付爪26との係合状態を解除して取付枠2から器体1を取り外すことができるようになっている。
また、取付枠2は壁に埋込配設された埋込ボックス(図示せず)の開口側に設けた取付舌片に螺合するボックスねじを挿通するための一対の長孔2bが形成され、さらに、施工面が石膏ボードのようなパネル材であるときに使用するはさみ金具の一端部を係止するはさみ金具取付孔2dが各長孔2bの両側に形成されている。また、プレート3の係止片(図示せず)が挿入係止されるプレート係止孔2cが四隅に形成されている。
取付枠2の前面側に着脱自在に結合されるプレート3は、取付枠2と同様に合成樹脂によって矩形枠状に形成されて、取付枠2に結合するための上述の4本の係止片がそれぞれ後面の四隅から突設されている。ここに、本実施形態の波動スイッチは、プレート3の中央部の開口窓3aを通して操作ハンドル8の一部をプレート3の前方に突出させることができ、操作ハンドル8を操作することができることになる。なお、操作ハンドル8は、両端部を交互に押操作することにより両端部が交互に起伏動作する
本実施形態の波動スイッチの器体1の短手方向の寸法は取付枠2の窓孔2aの長手方向の寸法の略3分の1の寸法に形成されており、この寸法を1個モジュール寸法と呼ぶことにすれば、取付枠2には1個モジュール寸法の器体1を3個まで取り付けることができ、窓孔2a内で器体1の取付位置を3箇所選択できるようになっている。したがって、従来例と同様に、窓孔2aの長手方向に器体1の短手方向を一致させて器体1を3個用の取付枠に取り付ける場合の3つの取付位置を、それぞれ上端位置、中央位置、下端位置と呼ぶことにする。また、本実施形態における操作ハンドル8は、3個用の取付枠2に1個モジュール寸法の器体1を中央位置のみに取り付ける際に用いるものであって、プレート3の開口窓3aを1個で覆う程度の寸法を有しているので、従来例と同様に、1個用の操作ハンドルと呼ぶことにする。 ところで、操作ハンドル8は、スイッチ用プリズム80とフェースパネル90とを結合することにより構成してあり、全体として、プレート3の開口窓3aを1個で覆う程度の外形寸法に形成されている。ここにおいて、スイッチ用プリズム80には上述の各表示部81が連続一体に形成される一方で、フェースパネル90の矩形板状のパネル本体91は、プレート3の開口窓3aの長手方向に沿った上下方向の寸法を操作ハンドル8の上下方向の寸法に一致させ且つプレート3の開口窓3aの短手方向に沿った左右方向の寸法を操作ハンドル8の左右方向の寸法よりも短くしてあり、パネル本体91の左右両側に上述の表示部81が配置されている。したがって、操作ハンドル8は、パネル本体91の前面および各表示部81の前面がプレート3の開口窓3aを通して露出する。また、フェースパネル90は、パネル本体91の上下両端部それぞれから後方に向かって突出片92が延設されており、各突出片92の後端部には、スイッチ用プリズム80の表示部81の上端部同士および下端部同士を連続一体に連結する連結片86の後端縁に係止される係止爪92aが形成されている。なお、パネル本体91の前面には、左右両端部の上下方向の中心位置に押位置指示突起93が突設されており、左右両端部において押力を作用させるのに望ましい位置が手触りで分かるようになる。
スイッチ用プリズム80は、発光源である位置表示灯71からの光を操作ハンドル2の前面側へ導くように形成された透明合成樹脂の成形品であり、位置表示灯71と各表示部81との間それぞれに配置され位置表示灯71から側方へ放射された光を表示部81,81へ導光する導光部83,83と、両導光部83,83の前端部同士を連続一体に連結する橋連片82とを備えており、両導光部83,83と橋連片82とで囲まれる空間からなる収納部内に位置表示灯71が配置され、位置表示灯71から前方へ放射される光は遮光カバー60のうち位置表示灯71の前方に位置する部位により遮光されるようになっている。ここにおいて、橋絡片82は、前方に凸となる形で湾曲している。なお、上述の反転ハンドル50に設けた結合爪53に係合する脚爪85aを先端部に有する結合脚85は、各導光部83,83の後面から突設されている。
各導光部83は、位置表示灯71側の端部に位置表示灯71から側方へ放射された光が入射される入射面83aが形成され、表示部81側の端部に光を表示部81の前面側へ反射により偏向して導く反射面83bが形成されている。したがって、位置表示灯71から側方へ放射され入射面83aから導光部83へ入射した光は反射面83aで前方へ反射されて表示部81の前面からなる表示面を通して前方へ放射される。ここにおいて、各導光部83は、反射面83bにより反射された光を出射する出射部が上述の表示部81を兼ねている。要するに、本実施形態では、各導光部83に表示部81が一体に設けられており、表示部81,81がスイッチ用プリズム80とは別部品である場合に比べて、部品点数を少なくでき、低コスト化および組立性の向上を図れる。なお、各導光部83は、後面が平面状であって、位置表示灯71側の端部から表示部81側の端部に近づくにつれて前後方向の厚み寸法が徐々に大きくなっており、パネル本体91の後面において、各導光部83の位置表示灯71側の端部に対向する部位からリブ91aが突設されている。
上述の導光部83の反射面83bは図8に示すように導光部83の後面とのなす角度が異なる2つの平面83b1,83b2の組み合わせにより構成され、導光部83の後面と入射面83aに近い側の平面83b1とのなす角度θ1を35°、導光部83の後面と入射面83aから遠い側の平面83b2とのなす角度θ2を45°としてあり、位置表示灯71から側方へ放射され入射面83aから導光部83内へ入った光は同図中に二点鎖線で示したように各平面83b1,83b2で表示部81へ向って反射されて表示部81の表示面から前方へ放射される。なお、角度θ1,θ2の値は特に限定するものではない。
上述のスイッチ用プリズム80では、導光部83の反射面83bを導光部83の後面とのなす角度が異なる2つの平面83b1,83b2(導光部83の後面と入射面83aとのなす角度は略90°であり、2つの平面83b1,83b2は入射面83aとのなす角度が異なり、入射面83aに近い平面83b1の方が入射面83aとのなす角度が大きくなっている)により構成してあるので、反射面83bを1つの平面により構成する場合に比べて、表示部81へ位置表示灯71からの光をより多く導光することが可能となり、表示部81をより明るくすることが可能となる。ただし、反射面83bは、導光部83の後面とのなす角度が異なり入射面83aから遠いほど当該角度を大きくした3つ以上の平面により構成してもよいし、図9に示すように、導光部83の後面とのなす角度が異なる2つの平面83b1,83b2(言い換えれば、入射面83aとのなす角度が異なる2つの平面83b1,83b2)の組み合わせにより構成し、当該2つの平面83b1,83b2が両平面83b1,83b2それぞれと滑らかに連続する断面円弧状の曲面(図9では、曲面の曲率半径Rを10mmとしてある)により繋がれている形状としてもよく、反射面83bを図9のような形状に形成した場合には、反射面83bが図8のような形状に形成されている場合に比べて、表示部81へ位置表示灯71からの光をより多く導光することが可能となって、表示部81をより明るくすることが可能となり、しかも、表示部81から出射される出射光の角度分布も広がるので、表示部81を見る角度の違いによる明るさの差を小さくすることができる。なお、反射面83bについては、入射面83aとのなす角度が異なる3つ以上の平面の組み合わせにより構成し、隣り合う平面が曲面により繋がれた形状としてもよいし、全体を曲面により形成してもよい。
また、上述のスイッチ用プリズム80では、図10(b)に示すように表示部81における入射面83a側の部位が、末広がりの形状に形成されている(表示部81における入射面83a側の側面はテーパ面81cとなっている)ので、図10(a)に示すように表示部81における入射面83側の部位が末広がりの形状に形成されていない場合に比べて、表示部81の前面からなる表示面の面積を増やすことなく表示部81へ導光される光の量を多くでき(表示部81近傍での光損失を少なくでき)、表示部81を通して出射される光の量(光量)をより多くすることができる。なお、図10(a),(b)中に二点鎖線で示した矢印は光の進行経路を表している。
また、上述のスイッチ用プリズム80では、図11に示すように、表示部81における入射面83a側の部位に前方へ突出するかまぼこ状の突起(前方に凸となる曲面を有する突起)81bが連続一体に形成されているので、図12中に二点鎖線で示したようにかまぼこ状の突起81bと空気との界面で光が屈折することとなり、表示部81に突起81bが形成されていない場合に比べて、表示部81を通して出射される光の出射角度分布を広げることができる。なお、本実施形態では、上記突起81bが、表示部81を通して出射される光の出射角度分布を広げる出射角拡大部を構成している。
ところで、位置表示灯71から左右両側方へ放射される光は遮光カバー60の左右両側に形成された透孔62を通して各導光部83の入射面83aへ入射可能となっているが、図1のように操作ハンドル8の右端部が左端部よりも後方(図の下方)に位置するときには、位置表示灯71から右側方へ放射される光がカバー20の右側の遮光片25により遮光される状態(右側の透孔62と右側の導光部83の入射面83aとの間に遮光片25が位置する状態)になり、位置表示灯71から左側方へ放射された光のみが遮光カバー60の左側の透孔62を通して左側の導光部83の入射面83aへ入射し、左側の表示部81の前面から前方へ出射される。図1とは逆に、操作ハンドル8の左端部が右端部よりも後方に位置するときには、位置表示灯71から左側方へ放射される光がカバー20の左側の遮光片25により遮光される状態(左側の透孔62と左側の導光部83の入射面83aとの間に遮光片25が位置する状態)になり、位置表示灯71から右側方へ放射される光のみが遮光カバー60の右側の透孔62を通して右側の導光部83の入射面83aへ入射し、右側の表示部81の前面から前方へ出射される。
しかして、上述の3路スイッチを構成する本実施形態の波動スイッチでは、回路が開いて照明負荷がオフのときには発光源たる位置表示灯71が点灯し、操作ハンドル8の両端部の表示部81へ位置表示灯71からの光を導光して外部へ出射させることが可能であり、しかも、照明負荷をオンさせるために操作ハンドル8において押力を作用させるべき端部の表示部81のみから位置表示灯71からの光を出射させることができるので、発光源として1個の位置表示灯71しか用いていないにもかかわらず、操作ハンドル8において押力を作用させるべき端部を暗がりでも容易に視認することができる。
ところで、導光部83の反射面83bに、図14(b)に示すように、表示部81の前面において光が法線方向へ出射されるエリアを広げるように光を反射する楔状の溝83dを設けておけば、図14(a)に示すように反射面83bに楔状の溝83dが設けられていない場合に比べて、表示部81の前面において光が法線方向へ出射されるエリアを広げることができ、表示部81をより視認しやすくなる。なお、図14(a),(b)には、表示部81のうち位置表示灯71からの光により、表示部71の正面に位置する人の眼に明るく見える部位の上下方向における幅を、一点鎖線で示してある。また、本実施形態では、反射面83bに設けた上述の楔状の溝83dが、表示部81の前面において光が法線方向へ出射されるエリアを広げるように光を反射する出射方向調整部を構成しているが、出射方向調整部は楔状の溝に限定されるものではない。
また、図15に示すように、導光部83の位置表示灯71側の端部における位置表示灯71に対向する部位の幅方向の両側に、位置表示灯71との対向面と前後方向の両面とが開放されたスリット84を形成しておけば(なお、図15では上述の橋絡片82の図示を省略してある)、図16(b)中に二点鎖線で示すように入射面83aを通して導光部83の内部に入った光の一部がスリット84の内面の一部で反射されるので、導光部83ではスリット84,84間の部位を通る光の量が多くなって表示部81の上下方向の中央付近に導光される光の量が多くなり、図16(a)に示すようにスリット84が形成されていない場合に比べて、表示部81の上下方向の中央付近をより明るくすることができる。なお、導光部83に設けるスリット84間の間隔は、上下方向における位置表示灯71の外形寸法よりも大きく設定してある。
(実施形態2)
本実施形態における波動スイッチの基本構成は実施形態1と略同じであって、図17および図18に示すように、操作ハンドル8の大きさが実施形態1と相違する。つまり、本実施形態では、操作ハンドル8の大きさが実施形態1にて説明した1個用の操作ハンドル8の大きさとは相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態における操作ハンドル8は、プレート3の開口窓3aを2個で覆う程度の寸法に形成されているので、従来例と同様に、2個用の操作ハンドル8と呼ぶことにする。すなわち、2個用の操作ハンドル8は、プレート3の開口窓3aの短手方向に沿う方向の寸法が1個用の操作ハンドル8と同じで且つ長手方向に沿う方向の寸法が1個用の操作ハンドル8の略2分の1の寸法に設定されており、フェースパネル90およびスイッチ用プリズム80(図19参照)の上下方向の外形寸法も実施形態1におけるフェースパネル90およびスイッチ用プリズム80の略2分の1の寸法に設定されている。
しかして、本実施形態の波動スイッチは、3個用の取付枠2の3箇所の取付位置のうち上端位置と下端位置との2箇所に取り付けて使用することができる。なお、本実施形態では、2個の波動スイッチと取付枠2とプレート3とでスイッチ装置を構成している。
(実施形態3)
本実施形態における波動スイッチの基本構成は実施形態1と略同じであって、図20〜図22に示すように、操作ハンドル8の大きさが実施形態1と相違する。つまり、本実施形態では、操作ハンドル8の大きさが実施形態1にて説明した1個用の操作ハンドル8の大きさとは相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態における操作ハンドル8は、プレート3の開口窓3aを3個で覆う程度の寸法に形成されているので、従来例と同様に、3個用の操作ハンドル8と呼ぶことにする。すなわち、3個用の操作ハンドル8は、プレート3の開口窓3aの短手方向に沿う方向の寸法が1個用の操作ハンドル8と同じで且つ長手方向に沿う方向の寸法が1個用の操作ハンドル8の略3分の1の寸法に設定されており、フェースパネル90およびスイッチ用プリズム80の上下方向の外形寸法も実施形態1におけるフェースパネル90およびスイッチ用プリズム80の略3分の1の寸法に設定されている。
しかして、本実施形態の波動スイッチは、3個用の取付枠2の3箇所の取付位置である上端位置と中央位置と下端位置との3箇所に取り付けて使用することができる。なお、本実施形態では、3個の波動スイッチと取付枠2とプレート3とでスイッチ装置を構成している。
ところで、本実施形態における操作ハンドル8では、フェースパネル90とスイッチ用プリズム80との結合構造が実施形態1とは異なっている。すなわち、本実施形態では、スイッチ用プリズム80に実施形態1にて説明した連結片86を設けずに、各導光部83の両側面から引掛爪87を延設し、4つの引掛爪87それぞれに係合する4つの係合爪94をフェースパネル90におけるパネル本体91の後面に突設してある。
また、本実施形態におけるスイッチ用プリズム80の導光部83は、図23および図24に示すように、位置表示灯71側の端部から表示部81側の端部に向うにつれて幅寸法が漸次減少するテーパ部を有し、テーパ部の両側面83c,83cが位置表示灯71からの光の進行方向を反射により変える変向面を構成している。また、導光部83は、上記テーパ部と表示部81側の端部との間に、表示部81側の端部に近づくにつれて幅寸法が漸次増加する第2テーパ部を有し、第2テーパ部の両側面83d,83dが位置表示灯71からの光の進行方向を反射により変える第2変向面を構成している。
図24には取付枠2の上端位置(上端の取付位置)に取り付けた波動スイッチと中央位置に取り付けた波動スイッチとについて位置表示灯71から放射され表示部81へ導光される光の進行経路を二点鎖線で示してある。図24から分かるように、上端位置に取り付けられた波動スイッチでは、上下方向における位置表示灯71の中心と表示部81の中心とがずれているが、中央位置(中央の取付位置)に取り付けられた波動スイッチに比べて導光部83の変向面83cや第2変更面83dで反射されて反射面83bへ向う光の量が多くなり、同様に、取付枠2の下端位置(下端の取付位置)に取り付けた波動スイッチについても、中央位置に取り付けられた波動スイッチに比べて導光部83の変向面83cや第2変更面83dで反射されて反射面83bへ向う光の量が多くなるので、表示部81のうち上下方向において明るく見えるエリアが取付枠2への器体1の取付位置の違いに起因してばらつくのを抑制することができる。要するに、表示部81の中心位置と位置表示灯71の中心位置とが導光部83の幅方向にずれても、導光部83の変向面83cや第2変更面83dで反射されて反射面83bへ向う光の量が多くなるので、表示部81のうち明るく見えるエリアが表示部81の中心位置と位置表示灯71の中心位置との相対的な位置関係の違いに起因してばらつくのを抑制することができる。なお、図25には各操作ハンドル8の表示部81において位置表示灯71からの光が比較的多く出射される部位を模式的に示してあり、その右側に、表示部81における実際の発光パターンを図示してある。この実際の発光パターンから、表示部81のうち上下方向において明るく見えるエリアが取付枠2への器体1の取付位置の違いに起因してばらつくのを抑制されていることが分かる。
上述の図23および図24に示した例では、スイッチ用プリズム80が、導光部83にテーパ部および第2テーパ部を有しているが、図26に示すようにテーパ部のみを有した形状としてもよい、
なお、本実施形態のスイッチ用プリズム80では、取付枠2の窓孔2aの長手方向を上下方向とするとき、導光部83の形状を上下対称の形状に形成してあるので、取付枠2への器体1の取付位置にかかわらず、共通利用することができ、取付枠2への器体1の取付位置に応じて個別のスイッチ用プリズムを用意する場合に比べて、低コスト化を図れる。
ところで、上記各実施形態において、スイッチ用プリズム80を乳白材入りの透明樹脂により形成すれば、乳白材の光拡散効果により、スイッチ用プリズム80を乳白材の入っていない透明樹脂により形成した場合に比べて表示部81のうち明るく見えるエリアを広げることができ、見栄えが良くなる。