JP2006266036A - 建物建て替え方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 地下階を備えた旧建物1を解体すると共に、その範囲内に新建物2を形成する建物建て替え方法において、旧建物1の既存地下構造部1Aで側方土圧を受けている状態で、側方土圧を受け直し自在な擁壁部7と、床版部8とを一体に備えた新地下構造部2Aを、既存地下構造部1A内に形成した後、新地下構造部2A上に新建物2を形成する。
【選択図】 図1
Description
また、従来の建物建て替え方法の第二例(以後、第二公知例という)としては、前記旧建物の既存地下構造部の内で、新地下構造部を形成する部分を取り壊し、その部分に前記新地下構造部を形成すると共にその上に新建物を形成する(例えば、特許文献2参照)ものであった。
従来の建物建て替え方法の第三例(以後、第三公知例という)としては、図8に示すように、前記旧建物1の既存地下構造部1Aを撤去するに際して、既存地下構造部1Aの内の上部階外周架構の1スパンを残すことで、その内側の取り壊し時の土圧の仮受けを行うようにした(例えば、特許文献3参照)ものであった。
従来の建物建て替え方法の第四例(以後、第四公知例という)としては、図9に示すように、前記旧建物1の既存地下構造部1Aを撤去するに際して、掘削底盤の補強を図った後、その底盤を貫通させてメガ架構用杭を打設すると共に、その杭上に新地上構造部2Bのメガ架構を形成しつつ、既存地下構造部1Aを建て替える(例えば、特許文献4参照)ものであった。
従来の建物建て替え方法の第五例(以後、第五公知例という)としては、図10に示すように、前記旧建物1の既存地下構造部1Aを撤去するに際して、既存地上構造部1Bの取り壊しによって発生する解体ガラを既存地下構造部1A内に充填しながら(図10(イ)参照)所定階まで埋め戻して新地下構造部2Aの基礎とし(図10(ロ)参照)、その上に新地下構造部2Aをはじめとして新建物2を建築する(例えば、特許文献5参照)ものであった。
尚、上述の外周壁が安定して土圧を受けられるようにすることに関しては、通常時はもとより、地震等が発生した場合の安全策をも含めて実施される必要がある。
上述した前記第二例の建物建て替え方法によれば、予め、前記旧建物の既存地下構造部の内、新地下構造部を形成する部分を取り壊すから、その状態においては、側方や下方からの土圧を充分に支持できない危険性があり、例えば、地震等が発生した場合の安全率が極めて低くなり易い問題点がある。
上述した前記第三例の建物建て替え方法についても、第二例と同様に、前記旧建物の既存地下構造部を撤去する際には、地下空間内に残した既存地下構造部の内の上部階架構の1スパンでのみ側方の土圧を受けさせることとなり、その状態においては、側方や下方からの土圧を充分に支持できない危険性があり、例えば、地震等が発生した場合の安全率が極めて低くなり易い問題点がある。
上述した前記第四例の建物建て替え方法によれば、前記旧建物の既存地下構造部を撤去するに際して、掘削底盤の補強は図られるものの、外周壁の補強は必ずしも実施されるものではなく、新地下構造部の形成工程の全般を通じて側方土圧に対する抗力不足を招きやすい問題点がある。
上述した前記第五例の建物建て替え方法によれば、前記旧建物の既存地下構造部を撤去するに際して、地上構造部の取り壊しによって発生するガラを既存地下構造部内に充填しながら所定階まで埋め戻すことで、下方からの土圧には対抗させ易い一方、側方土圧に関しては何ら補強されるものではなく、その状態においては、側方の土圧を充分に支持できない危険性があり、例えば、地震等が発生した場合の安全率が極めて低くなり易い問題点がある。
従って、既存地下構造部を全面的に取り壊してから新地下構造部を形成する方法に比べて、大掛かりな土留め補強工事を実施しなくても、地下構造部の建て替え工程の全般を通じて、土圧を受け止めることができ、安定した土圧支持状態で建物の建て替えを行うことが可能となる。
また、新地下構造部の外側に残る既存地下構造部は、そのまま存知させることも可能で、その場合は、残された既存地下構造部による外力負担によって、新地下構造部への外力負担を実質的に軽減させることができ、より安全性を向上させることが可能となる。勿論、新地下構造部の形成後に、外側に残された既存地下構造部を取り壊したり、埋め戻したりすることも自由に選択することが可能となる。
一方、新地下構造部の内側に残る既存地下構造部に関しても、完全に撤去したり、一部を撤去したり、補強して再使用したり、自由に選択することができる。
このように、本発明によれば、建物の建て替えを、より安全に且つ経済的に実施することが可能となる。
また、前記窓部に相当する部分に残した既存地下構造部が応力負担できる状態である場合は、強度的な安全度が、より向上する。
図1(イ)が、建て替え前の旧建物1を示し、図1(ロ)が、建て替え後の新建物2を示している。
当該実施形態では、前記既存地下構造部1Aは、3階層からなる地下フロアと、その下方に設けられた地下ピット層3とを備えている。
一方、前記既存地上構造部1Bは、多くの階層からなる地上フロアで構成されている。
そして、既存地下構造部1Aの外周壁部4で側方土圧を受けると共に、地下ピット層3下方の基板部5で下方からの土圧を受けている。
当該実施形態では、前記新地下構造部2Aは、2階層からなる地下フロアと、その下方に設けられた免震層6と、側方土圧を受けることが可能な擁壁部7と、前記免震層6を支持すると共に下方から土圧が作用する場合はその土圧を受けることが可能な床版部8とを備えている。
一方、前記新地上構造部2Bは、多くの階層からなる地上フロアで構成されている。
そして、旧建物1の地下ピット層3は、コンクリート等の充填材が充填されて強化が図られ、その上部には、前記擁壁部7と床版部8とによって一体の重箱形状の構造体が構成されている。また、前記床版部8には、フラットスラブ構造を採用してあり、梁を設ける構造に比べて高さ寸法を薄くでき、限られた地下空間を、より有効に使用することが可能となっている。また、新建物の柱割りの自由度も飛躍的に向上している。
前記免震層6は、図に見られるように、新建物2の柱の位置に合わせて、免震装置9がそれぞれ設置してあり、その上に、前記地下フロア、及び、新地上構造部2Bが立設させてある。
因みに、前記擁壁部7と前記外周壁部4との間には、既存地下構造部1Aが残されてあり、その既存地下構造部1A内の残空間には、旧建物1を取り壊した際の解体ガラや、充填用コンクリート等が充填してある。また、前記擁壁部7や床版部8には、既存地下構造部1Aの梁や柱等の一部が貫通する箇所が存在するが、擁壁部7や床版部8の設計計算上は、その貫通箇所は窓部として扱ってあり、強度不足が生じないように考慮してある。
[1] 旧建物1の既存地上構造部1Bから取り壊しを始める(図2参照)。
その際、取り壊しで生じる解体ガラの一部は、地下ピット層3に充填され、コンクリートで一体化される。
[2] 既存地上構造部1Bの取り壊しに並行して、地下では、既存地下構造部1Aを残したまま、干渉する部分は取り込む状態で床版部8を形成する(図3参照)。
[3] 既存地下空間内の所定位置に、前記床版部8と一体に擁壁部7を形成する(図4参照)。この擁壁部7に関しても、床版部8と同様に、既存地下構造部1Aを残したまま、干渉する部分は取り込む状態で形成してある。従って、急激な土留め力の開放が生じない状態で新地下構造部2Aの形成作業を進めることができ、安全性がより向上する。
[4] 前記床版部8と擁壁部7とで囲まれた範囲内に残された既存地下構造部部分を撤去する(図5参照)。撤去された地下空間には、切梁等が存在しないので、それ以後の新建物2の建設作業を、非常に効率よく実施することが可能となる。
[5] 免震層6、地下フロア、地上フロアを順次形成して新建物2が完成する。
以下に他の実施の形態を説明する。
〈2〉 前記新地下構造部2Aは、既存地下構造部1Aの範囲内に設けられる例を説明したが、新地下構造部2Aの擁壁部7の一部が、既存地下構造部1Aの外周壁部4と同じ位置に形成されることも可能である。
〈3〉 また、先の実施形態では、擁壁部7で囲まれる内側空間に新建物の地下フロアが別体で形成されたものを説明したが、例えば、図6に示すように、擁壁部7と一体に地下フロアが形成されると共に、それらの上に新地上構造部2Bが一体に形成されるものであってもよい。そして、新地下構造部2Aは、既存地下構造部1Aを補強して再利用することも可能である。
1A 既存地下構造部
2 新建物
2A 新地下構造部
7 擁壁部
8 床版部
Claims (4)
- 地下階を備えた旧建物を解体すると共に、その範囲内に新建物を形成する建物建て替え方法であって、
前記旧建物の既存地下構造部で側方土圧を受けている状態で、側方土圧を受け直し自在な擁壁部と、床版部とを一体に備えた新地下構造部を、前記既存地下構造部内に形成した後、前記新地下構造部上に新建物を形成する建物建て替え方法。 - 前記新地下構造部は、その部材の内、既存地下構造部が貫通する部分は、応力上考慮しない窓部として設計する請求項1に記載の建物建て替え方法。
- 前記新地下構造部は、その内側に残る既存地下構造部部分を、応力上寄与する構造部材として設計する請求項1に記載の建物建て替え方法。
- 前記床版部は、フラットスラブである請求項1〜3の何れか一項に記載の建物建て替え方法。
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