JP6103667B1 - 地下構造物の構築方法 - Google Patents

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【課題】既存地下構造物と敷地境界との間のスペースが狭い場合でも、工期を長期化させることなく、大規模地下構造物を構築できる、地下構造物の構築方法を提供すること。【解決手段】地下構造物の構築方法は、新設地下構造物を、平面視で、環状の外周エリア20と、外周エリア20に囲まれた中央エリア21と、に区画しておき、外周エリア20において、既存地下構造物2A、2Bの一部を山留支保工4A、4Bとして残して解体するステップと、外周エリア20において、山留支保工4A、4Bの一部を解体して、この解体により形成された空間内に新設地下構造物を構築することを繰り返すステップとを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、地下構造物の構築方法に関する。
従来より、大深度で床面積が広い大規模地下構造を有する既存建物を解体し、この既存建物を解体した場所に、既存建物と同様に大深度で床面積が広い大規模地下構造を有する新規建物を構築する場合がある。
このような建物の施工方法としては、例えば、順打ち工法が考えられる。すなわち、まず、既存建物の地上部分を解体した後、既存地下構造物の周囲に山留壁を構築し、その後、この既存地下構造物を上層から下層に向かって順次解体しながら、山留壁の内側の全面に亘って切梁を水平方向に架設していく。このとき、切梁により山留の変形を抑制する。既存地下構造物が解体した後、根切りおよび床付けを行って耐圧盤を構築し、下層から上層に向かって順次構築する。
しかしながら、この順打ち工法では、既存地下構造物を完全に解体した後に、下層から上層に向かって順次構築するため、工期が長期化する、という問題があった。
そこで、例えば、逆打ち工法が提案されている。すなわち、まず、掘削に先立って構真柱および構真柱杭を新築建物の柱位置に構築する。次に、例えば1階床を先行床して構築し、この先行床よりも下側では、新設地下構造物を、上層から下層に向かって構築してゆく。このとき、各階において山留壁の内側に床スラブを構築するが、この床スラブを切梁として利用する。一方、新設地下構造物の構築と同時に、先行床よりも上側では、新設地上構造物を構築する。
この逆打工法によれば、先行床を先行して構築するため、この先行床よりも上側の作業を早期に開始でき、工期を短縮できるが、先行床の下側では、大型重機を使用できるほどの作業空間を確保できないため、小型重機を使用することになり、既存地下構造物の解体作業の工期が長期化する、という問題がある。
以上の問題を解決するため、中央部を順打ちとし、外周部を逆打ちとする工法が提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、まず、既存地下構造物の周囲に山留壁を構築する。次に、残存する地下部分のうちの最上階を解体し、この解体工程によって形成された空問内に、新設地下構造物の外周部でありかつ中央部に開口が形成された外周リングを構築する。この既存地下構造物の解体および外周リングの構築を上層から下層に向かって行うことで、既存地下構造物を順次解体しながら、新設地下構造物の外周部を構築する。その後、外周リングの開口の内側に、新設地下構造物の中央部分を構築する。
この特許文献1の工法によれば、外周リングの先行床を先行して構築し、この先行床を切梁として用いる。このとき、先行して構築した外周リングの開口は吹き抜け状となるので、この外周リングの開口では、大型重機を使用できるだけの十分な高さ(大空間)を確保できる。
特開2012−107430号公報
しかしながら、特許文献1の工法では、既存地下構造物と敷地境界との間に、外周の山留壁を構築できることが前提条件となっている。したがって、既存地下構造物と敷地境界との間に山留壁を構築するスペースを確保できない場合には、既存地下構造物を解体しながら山留壁を構築することになり、工期が長期化する、という問題があった。
本発明は、既存地下構造物と敷地境界との間のスペースが狭い場合でも、工期を長期化させることなく、大規模地下構造物を構築できる、地下構造物の構築方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の地下構造物の構築方法は、既存地下構造物(例えば、後述の既存地下構造物2A〜2C)を解体した場所に新設地下構造物(例えば、後述の新設地下構造物11)を構築する地下構造物の構築方法であって、前記新設地下構造物を、平面視で、環状の外周エリア(例えば、後述の外周エリア20)と、当該外周エリアに囲まれた中央エリア(例えば、後述の中央エリア21)と、に区画しておき、前記外周エリアにおいて、前記既存地下構造物の一部を山留支保工(例えば、後述の山留支保工4A、4B)として残して解体する工程(例えば、後述のステップS2)と、前記外周エリアにおいて、前記山留支保工の一部を解体して、当該解体により形成された空間内に前記新設地下構造物を構築することを繰り返す工程(例えば、後述のステップS5〜S8)と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、外周エリアにおいて、既存地下構造物の一部を山留支保工として残して利用したので、新設地下構造物の外側に新たに山留壁を打設する必要がないから、既存地下構造物と敷地境界との間のスペースが狭い場合でも、工期を長期化させることなく、大規模地下構造物を構築できる。
請求項に記載の地下構造物の構築方法は、前記新設地下構造物を構築する前に、前記外周エリアにおいて前記既存地下構造物の下の地盤に構真柱(例えば、後述の構真柱39)を打ち込む工程(例えば、後述のステップS4)をさらに備え、前記外周エリアにおいて前記新設地下構造物を構築する工程では、前記新設地下構造物の所定階の床スラブ(例えば、後述の1階床部分19)を先行床として構築し、当該先行床を前記構真柱で支持することを特徴とする。
この発明によれば、新設地下構造物の所定階の床スラブを先行床として構築し、この先行床を構真柱で支持したので、先行床を切梁として用いることができるうえに、先行床よりも上側の工事を早期に開始できる。また、先行床の下側では、逆打ち工法により、上層から下層に向かって、山留支保工を解体しながら新設地下構造物を構築できる。
請求項に記載の地下構造物の構築方法は、前記外周エリアと前記中央エリアとの間に仮設壁(例えば、後述の仮設壁32)を構築し、当該仮設壁を支持する切梁(例えば、後述の切梁36)を架設する工程(例えば、後述のステップS1)と、前記中央エリアにおいて、前記既存地下構造物を解体し、その後、下層から上層に向かって前記新設地下構造物を構築する工程(例えば、後述のステップS2〜S8)と、をさらに備えることを特徴とする。
この発明によれば、外周エリアと中央エリアとを仮設壁で仕切ったので、中央エリアにおいては、順打ち工法により、下層から上層に向かって新設地下構造物を構築できる。
請求項に記載の地下構造物の構築方法は、前記中央エリアにおいて前記新設地下構造物を構築する工程では、前記既存地下構造物を解体する工程(例えば、後述のステップS2〜S5)と、前記新設地下構造物の鉄骨の建方を行う工程(例えば、後述のステップS6)と、当該鉄骨に支持させて前記新設地下構造物の所定階の床スラブ(例えば、後述の1階床部分19)を構築する工程(例えば、後述のステップS6)と、前記新設地下構造物を下層から上層に向かって構築する工程(例えば、後述のステップS7、S8)と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、中央エリアにおいて、既存地下構造物を解体した後、新設地下構造物の鉄骨の建方を行って、新設地下構造物の所定階の床スラブを先行して構築したので、中央エリアにおいても、先行床よりも上側の工事を早期に開始できる。
本発明によれば、既存地下構造物と敷地境界との間のスペースが狭い場合でも、工期を長期化させることなく、大規模地下構造物を構築できる。
本発明の一実施形態に係る地下構造物の構築方法の適用対象となる既存建物の模式的な平面図である。 図1のA−A断面図である。 実施形態に係る地下構造物の構築方法のフローチャートである。 実施形態に係る地下構造物の構築方法の説明図(その1)である。 実施形態に係る地下構造物の構築方法の説明図(その1)である。 実施形態に係る地下構造物の構築方法の説明図(その2)である。 実施形態に係る地下構造物の構築方法の説明図(その3)である。 実施形態に係る地下構造物の構築方法の説明図(その4)である。 実施形態に係る地下構造物の構築方法の説明図(その5)である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る地下構造物の構築方法の適用対象となる既存建物1A、1B、1Cの模式的な平面図である。図2は、図1のA−A断面図である。
既存建物1A〜1Cは、互いに隣接して配置されており、本発明では、これら3つの既存建物1A〜1Cを解体して、これら既存建物1A〜1Cを解体した場所に新築建物10を構築するものである。
既存建物1A、1Bは、既存地下構造物2A、2Bと、この既存地下構造物2A、2B上に構築された既存地上構造物3A、3Bと、を有する。
一方、新築建物10は、地下4階までの新設地下構造物11と、この新設地下構造物11上に構築された新設地上構造物12と、を有する(図9参照)。新設地下構造物11は、耐圧版13、地中梁14、地下4階部分(地下4階梁、床および立ち上がり)15、地下3階部分(地下3階梁、床および立ち上がり)16、地下2階部分(地下2階梁、床および立ち上がり)17、地下1階部分(地下1階梁、床および立ち上がり)18、1階床部分(1階梁および床)19を備える。
以下、既存建物1A〜1Cを解体して新築建物10を構築する手順について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
なお、以下の説明においては、図1のA−A部分の断面である図2および図4〜図9に基づいて説明するため、既存建物1Cの解体手順については省略するが、既存建物1Cについても、既存建物1A、1Bと同様の手順で解体する。
まず、図1に示すように、新築建物10の新設地下構造物11を、平面視で、環状の外周エリア20と、外周エリア20に囲まれた中央エリア21と、に区画する。
本発明では、外周エリア20においては、新設地下構造物11を上層から下層に向かって順に構築し(逆打ち工法)、中央エリア21においては、新設地下構造物11の1階床を構築し、その後、下層から上層に向かって順に構築する(順打ち工法)。
ステップS1では、図2に示すように、既存建物1A、1Bの既存地上構造物3A、3Bを解体するとともに、外周エリア20と中央エリア21との境界部分に仕切杭30を打ち込む。このとき、既存建物のうち仕切杭30に干渉する部分を解体してから、仕切杭30を打ち込む。
また、杭打機50等が1階床上を走行するため、地下1階にスラブ補強サポート31を適宜設けておく。
ステップS2では、図4に示すように、外周エリア20においては、既存地下構造物2A、2Bの一部を山留支保工4A、4Bとして残して解体する。この山留支保工4A、4Bは、既存地下構造物2A、2Bの外周壁5と、この外周壁5を内側から支持するために必要な既存地下構造物2A、2Bの柱6および梁7と、からなる。外周壁5を支持する柱6および梁7は、縦断面で、外側から内側に向かって下がる階段状に配置されている。
その後、外周エリア20の埋め戻しを行う。このとき、仕切杭30間に図示しない横矢板を渡して仮設壁32とし、埋め戻した土砂が中央エリア21に流入するのを防止する。埋め戻し後、重機51により、既存地下構造物2A、2Bのうち山留壁および構真柱に干渉する部分を適宜解体する。
中央エリア21においては、構台を支持するための棚杭33を打ち込み、その後、重機52により、既存地下構造物2A、2Bの解体を開始する。
ステップS3では、図5に示すように、外周エリア20においては、TRD工法により山留壁34を打設する。
中央エリア21においては、棚杭33で支持する構台35を設置して、仮設壁32を支持する切梁36を支保工として架設するとともに、棚杭33にブレース37を架設しながら、重機53により既存地下構造物2A、2Bを解体して、下方に進んでゆく。
ステップS4では、図5に示すように、外周エリア20においては、構真柱杭38を打設して構真柱39を打ち込む。
中央エリア21においては、引き続き、切梁36を架設するとともに、棚杭33にブレース37を架設しながら、既存地下構造物2A、2Bを解体する。
ステップS5では、図6に示すように、外周エリア20においては、山留支保工4A、4Bの一部を解体して、1階床部分19を構築する。この1階床部分19は、構真柱39に支持されて、切梁としての役割を果たす。
中央エリア21においては、既存地下構造物2A、2Bの解体が完了した後、新築建物10の耐圧版13を構築する。
ステップS6では、図7に示すように、外周エリア20においては、山留支保工4A、4Bの一部を解体して、地下1階部分18を構築する。この地下1階部分18の梁および床は、構真柱39に支持されて、切梁としての役割を果たす。
中央エリア21においては、地中梁14を構築し、次に、新設地下構造物11の鉄骨40の建方を行って、この鉄骨40に支持させて新築建物10の1階床部分19を構築する。その後、棚杭33を撤去する。
このとき、仮設壁32を適宜解体して、外周エリア20の1階床部分19と、中央エリア21の1階床部分19と、を接合する。また、外周エリア20の地下1階部分18と、中央エリア21の地下1階床レベルの鉄骨と、を接合する。
また、外周エリア20および中央エリア21における1階床部分19の構築が完了したので、地上において、新設地上構造物12の構築を開始する。
ステップS7では、図8に示すように、外周エリア20においては、山留支保工4A、4Bの一部を解体して、地下2階部分17を構築し、次に、山留支保工4A、4Bを解体して、地下3階部分16を構築する。この地下2階部分17および地下3階部分16の梁および床は、構真柱39に支持されて、切梁としての役割を果たす。
また、中央エリア21においては、地下4階部分15の構築を完了させて、その後、下から1段分の切梁を解体する。次に、地下3階部分16および地下2階部分17を構築する。
このとき、仮設壁32を適宜解体して、外周エリア20の地下2階部分17および地下3階部分16と、中央エリア21の地下2階部分17および地下3階部分16と、を接合する。
ステップS8では、図9に示すように、外周エリア20においては、山留支保工4A、4Bの残りを解体して、地下4階部分15、耐圧版13、および地中梁14を構築する。
また、中央エリア21においては、地下1階部分18を構築する。
このとき、仮設壁32を適宜解体して、外周エリア20の地下4階部分15、耐圧版13、および地中梁14と、中央エリア21の地下4階部分15、耐圧版13、および地中梁14と、を接合する。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)外周エリア20においては、既存地下構造物2A、2Bの一部を山留支保工4A、4Bとして残して利用した。よって、新設地下構造物11の外側に新たに山留壁を打設する必要がないから、既存地下構造物2A、2Bと敷地境界との間のスペースが狭い場合でも、工期を長期化させることなく、大規模地下構造物である新設地下構造物11を構築できる。
(2)新設地下構造物11の1階床部分19を先行床として構築し、この先行床を構真柱39で支持したので、先行床を切梁として用いることができるうえに、先行床である1階床の上側では、新設地上構造物12の構築を早期に開始できる。また、1階床部分19の下側では、逆打ち工法により、上層から下層に向かって、山留支保工4A、4Bを解体しながら新設地下構造物11を構築できる。
(3)外周エリア20と中央エリア21とを仮設壁32で仕切ったので、中央エリア21においては、順打ち工法により、下層から上層に向かって新設地下構造物11を構築できる。
(4)中央エリア21において、既存地下構造物2A、2Bを解体した後、新設地下構造物11の鉄骨40の建方を行って、新設地下構造物11の1階床部分19を先行して構築したので、中央エリア21においても、新設地上構造物12の構築を早期に開始できる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
1A、1B、1C…既存建物 2A、2B、2C…既存地下構造物 3A、3B、3C…既存地上構造物
4A、4B…山留支保工 5…外周壁 6…柱 7…梁
10…新築建物 11…新設地下構造物 12…新設地上構造物
13…耐圧版 14…地中梁 15…地下4階部分 16…地下3階部分
17…地下2階部分 18…地下1階部分 19…1階床部分
20…外周エリア 21…中央エリア
30…仕切杭 31…スラブ補強サポート 32…仮設壁 33…棚杭
34…山留壁 35…構台 36…切梁 37…ブレース 38…構真柱杭 39…構真柱 40…新設地下構造物の鉄骨 50…杭打機 51、52、53…重機

Claims (3)

  1. 既存地下構造物を解体した場所に新設地下構造物を構築する地下構造物の構築方法であって、
    前記新設地下構造物を、平面視で、環状の外周エリアと、当該外周エリアに囲まれた中央エリアと、に区画しておき、
    前記外周エリアにおいて、前記既存地下構造物の一部を山留支保工として残して解体し、当該解体した箇所に土砂を埋め戻す工程と、
    前記外周エリアにおいて前記既存地下構造物の下の地盤に構真柱を打ち込む工程と、
    前記外周エリアにおいて、前記山留支保工の一部を解体して、前記新設地下構造物の所定階の床スラブを先行床として構築し、当該先行床を前記構真柱で支持する工程と、
    前記外周エリアにおいて、前記先行床の下側にて、上層から下層に向かって、前記山留支保工の一部を解体して、当該解体により形成された空間内に前記新設地下構造物を構築することを繰り返す工程と、を備えることを特徴とする地下構造物の構築方法。
  2. 前記外周エリアと前記中央エリアとの間に仮設壁を構築し、当該仮設壁を支持する切梁を架設する工程と、
    前記中央エリアにおいて、前記既存地下構造物を解体し、その後、下層から上層に向かって前記新設地下構造物を構築する工程と、をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の地下構造物の構築方法。
  3. 前記中央エリアにおいて前記新設地下構造物を構築する工程では、
    前記既存地下構造物を解体する工程と、
    前記新設地下構造物の鉄骨の建方を行う工程と、
    当該鉄骨に支持させて前記新設地下構造物の所定階の床スラブを構築する工程と、
    前記新設地下構造物を下層から上層に向かって構築する工程と、を備えることを特徴とする請求項に記載の地下構造物の構築方法。
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