JP3353166B2 - 建築構造物の建て替え方法およびそれに用いる基礎構造 - Google Patents

建築構造物の建て替え方法およびそれに用いる基礎構造

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JP3353166B2 JP27105993A JP27105993A JP3353166B2 JP 3353166 B2 JP3353166 B2 JP 3353166B2 JP 27105993 A JP27105993 A JP 27105993A JP 27105993 A JP27105993 A JP 27105993A JP 3353166 B2 JP3353166 B2 JP 3353166B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばビル等、建築構
造物を建て替える際に、既設の構造物の取り壊し、およ
び新設の構造物の構築を容易化するのに好適な建築構造
物の建て替え方法およびそれに用いる基礎構造に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ビル等の建築構造物は、地盤中
に形成された基礎部と、その上方に形成された上部構造
部と、内外装部、設備部等に概略区分される。従来、電
気設備等の設備部においては、その性能が時代遅れとな
ったり、要求仕様に対応できなくなった場合には、設備
部全体を入れ替えることがあった。また、内外装部にお
いても、リフォーム等が行なわれるのが一般的であっ
た。
【0003】一方、建築構造物の上部構造部が経年変化
による老朽化等によってその使用に支障をきたすように
なったとき、あるいは建築構造物の使用用途を変更する
場合などには、建築構造物を取り壊した後、要求に対応
した建築構造物に建て替えている。このようにして建築
構造物を建て替えるときには、既設の建築構造物の上部
構造部,基礎部を取り壊した後、そこに新設の基礎部,
上部構造部を構築している。しかし、建築構造物の基礎
部は、特に耐久性を重視して設計、施工されており、そ
の品質は長期にわたって安定している。このため、建築
構造物を建て替えるときに、まだ十分に機能を果たすこ
とのできる基礎部を取り壊して、そこに新規の基礎部を
構築することは、いわば「無駄」であり、工期の短縮
化、コスト削減の妨げの要因となっていた。また、近
年、廃棄物発生量の抑制のためリサイクル・リユースの
活発化が叫ばれている中で、既設の建築構造物を取り壊
すことにより発生するコンクリート殻(がら)等の廃棄
物の処理方法が課題となっている。さらに、既設の基礎
部を取り壊す際に騒音,振動が発生し、近隣環境へ悪影
響を及ぼすことがある。しかも既設の基礎部を取り壊し
たときに、周囲地盤のゆるみ,沈下,あるいは変形を招
くことがあり、これらに対応するにも多大なコスト、工
期を要するという問題がある。
【0004】このような問題に対して、既設の建築構造
物を取り壊す際に、既設の基礎部を取り壊さずに地盤中
にそのまま残しておき、その上に新設の構造物を構築す
るという方法が考えられる。このような建築構造物の建
て替え方法を採用することにより、既設の基礎部の取り
壊し、および新設の基礎部の構築を省略することができ
るので、上記の問題を解決して、工期短縮、コスト低
減、さらには廃棄物発生量の削減といった効果を期待す
ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の建築構造物の建て替え方法において、特
に、既設の建築構造物の基礎部が直接基礎構造である場
合には、以下に示すような問題が存在する。まず、既設
の建築構造物の直接基礎は、N値の大きな硬い地層まで
掘り下げて構築されているため、これを取り壊して、こ
こに新たに直接基礎を設けるためには、大掛かりな山留
が必要となり、多大なコスト,工期が必要となってしま
う。また、直接基礎には地下水による水圧が作用してい
る。このため、該直接基礎上に構築された既設の建築構
造物の取り壊しに伴って、直接基礎に作用する荷重が減
少すると、直接基礎に多大な浮力が作用することにな
る。すると、この浮力により直接基礎が浮き上がり、そ
の上に新設の建築構造物を構築するのに支障を来たす損
傷が直接基礎に生じて、この既設の直接基礎を再利用で
きなくなってしまうことがあるという問題もある。本発
明は、以上のような点を考慮してなされたもので、既設
の建築構造物の直接基礎を取り壊さずに再利用して新設
の建築構造物に建て替え、コストの低減,工期の短縮化
を図るとともに、廃棄物発生量を低減させることのでき
る建築構造物の建て替え方法およびそれに用いる基礎構
造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
直接基礎上に構築された既設の建築構造物に替えて新設
の建築構造物を構築するための方法であって、 前記既
設の建築構造物を取り壊す前段で、該既設の建築構造物
の直接基礎に予め備えられた筒状のアンカー保持部材
に、既設の建築構造物の解体、および地下水の水圧によ
って生じる浮力に対抗するための地盤アンカーを保持さ
せて敷設しておき、しかる後に、該既設の建築構造物を
前記直接基礎を残して取り壊し、該直接基礎上に前記新
設の建築構造物を構築することを特徴としている。
【0007】請求項2に係る発明は、既設の建築構造物
の直接基礎を再利用して、該直接基礎上に新設の建築構
造物を構築するための基礎構造であって、前記既設の建
築構造物の前記直接基礎には、既設の建築構造物の解
、および地下水の水圧によって生じる浮力に対抗する
ために地盤中に敷設する地盤アンカーを保持するため
の、該直接基礎を貫通する筒状のアンカー保持部材が設
けられていることを特徴としている。
【0008】請求項3に係る発明は、既設の建築構造物
の直接基礎を再利用して、該直接基礎上に新設の建築構
造物を構築するための基礎構造であって、前記既設の建
築構造物の直接基礎には、既設の建築構造物の解体、お
よび地下水の水圧によって生じる浮力に対抗するための
地盤アンカーが敷設されていることを特徴としている。
【0009】
【作用】請求項1記載の発明では、直接基礎上に構築さ
れた既設の建築構造物に替えて新設の建築構造物を構築
するための方法であって、 前記既設の建築構造物を取
り壊す前段で、該既設の建築構造物の直接基礎に予め備
えられた筒状のアンカー保持部材に、既設の建築構造物
の解体、および地下水の水圧によって生じる浮力に対抗
するための地盤アンカーを保持させて敷設しておき、し
かる後に、該既設の建築構造物を前記直接基礎を残して
取り壊し、該直接基礎上に前記新設の建築構造物を構築
するようにした。このように、既設の直接基礎を取り壊
さずに、これをそのまま再利用して新設の建築構造物の
基礎部となすようにしたので、既設の直接基礎の取り壊
し、及び新設の直接基礎の構築の手間が省ける。しか
も、直接基礎に地盤アンカーを設けた後に既設の建築構
造物を取り壊すようにしたので、取り壊し時に、直接基
礎が地下水圧による浮力によって、浮き上がるのを防ぐ
ことができる。
【0010】請求項2記載の発明では、既設の建築構造
物の直接基礎に、既設の建築構造物の解体、および地下
水の水圧によって生じる浮力に対抗するために地盤中に
敷設する地盤アンカーを保持するための、筒状のアンカ
ー保持部材が設ける構成とした。これにより、既設の建
築構造物を取り壊して、新設の建築構造物を構築すると
きに、既設の建築構造物の取り壊しの前段で、地盤アン
カーを筒状のアンカー保持部材内に敷設して、アンカー
保持部材にこの地盤アンカーを保持させることにより、
直接基礎が浮き上がるのを防止できる。
【0011】請求項3記載の発明では、既設の建築構造
物の直接基礎に、既設の建築構造物の解体、および地下
水の水圧によって生じる浮力に対抗するための地盤アン
カーを設けたので、既設の建築構造物を取り壊して、新
設の建築構造物を構築するときに、直接基礎が浮き上が
るのを防止できる。しかも地盤アンカーの敷設作業を行
なう必要がない。
【0012】
【実施例】以下、本発明を図面に示す第一および第二実
施例を参照して説明する。 「第一実施例」まず、ここでは、例えば、既設の建築構
造物の構築時に、アンカー保持部材を既設の建築構造物
の直接基礎に予め設けておいて、既設の建築構造物の取
り壊しの前段で、地盤アンカーをこのアンカー保持部材
に保持させて敷設する場合の実施例を用いて説明する。
図1は、本発明に係る建築構造物の建て替え方法および
それに用いる基礎構造を適用して建て替える既設の建築
構造物の一例を示すものである。また、図2は、既設の
建築構造物を取り壊して新たに構築した新設の建築構造
物の一例を示すものである。図1に示すように、既設の
建築構造物(以下、「既設構造物」と略称する。)1
は、地盤G中に構築されて、既設構造物1の基礎部をな
す直接基礎2と、該直接基礎2上に構築された上部構造
部3とを、主要構成としている。
【0013】直接基礎2の基礎梁4には、基礎梁4の上
下面を貫通する、例えば直径200mm程度の鋼製の筒
状のガイド管(アンカー保持部材)5が、所定間隔で複
数配設されている。これらガイド管5は、鉄筋コンクリ
ート製の基礎梁4の施工と同時に基礎梁4に埋め込まれ
たものであり、ガイド管5内にも、コンクリート6が充
填されている。また、このガイド管5を配したことによ
る基礎梁4の強度の低下は、ガイド管5の肉厚を増すこ
とにより補っている。このような直接基礎2上には、上
部構造部3を構成する柱7,7,…が所定間隔で立設さ
れている。
【0014】以下、上記のような構成の既設構造物1を
取り壊して、図2に示すような新設の建築構造物(以
下、「新設構造物」と称する。)11に建て替える方法
について説明する。まず、図1に示した既設構造物1を
取り壊す前段で、所定の位置のガイド管5内のコンクリ
ート6のコア抜きを行なう。そして、コア抜きしたガイ
ド管5の下方の地盤Gを図示しない削孔機で所定深さま
で削孔し、ここにセメントミルクを注入する。次いで、
地盤アンカー12を孔内の所定深さまで挿入する。その
後、セメントミルクの加圧注入,地盤アンカー12上端
への頭部キャップ(図示なし)の取付,ガイド管5内へ
のコンクリート13の充填を行なう。このとき、地盤ア
ンカー12の定着に際しては緊張力をほとんど作用させ
ない。このようにして、直接基礎2の所定位置のガイド
管5,5,…に地盤アンカー12,12,…を敷設す
る。なお、地盤アンカー12の敷設本数・位置は、直接
基礎2に作用する地下水圧による浮力、および新設構造
物11の荷重を考慮して、最適の本数・位置とする。
【0015】地盤アンカー12の敷設が完了した後、図
1に示した既設構造物1の上部構造部3を取り壊す。上
部構造部3を取り壊していくと、直接基礎2に作用する
荷重が減少していき、これに伴って、図2に示した直接
基礎2に敷設された地盤アンカー12,12,…に緊張
力が徐々に作用する。そして、これら地盤アンカー1
2,12,…が直接基礎2に作用する地下水圧による浮
力に抗して、直接基礎2の浮き上がりを防ぐようになっ
ている。
【0016】そして、直接基礎2を残して、既設構造物
1の上部構造部3の取り壊し作業が完了した後、直接基
礎2上にトラス架構14を組み立てる。その後、このト
ラス架構14上に新設構造物11の柱15,15,…等
を組み立てて、上部構造部16を構築する。このトラス
架構14は、既設構造物1(図1参照)の柱7,7,…
と新設構造物11の柱15,15,…の位置が異なる場
合であっても、新設構造物11の柱15,15,…から
直接基礎2に荷重を効率良く伝達するものである。以上
のようにして、直接基礎2上に新設構造物11を構築し
て、これを新設構造物11の基礎部17となすことによ
り、新設構造物11の構築が完了する。
【0017】上述した既設構造物1から新設構造物11
への建て替え方法では、予め直接基礎2にガイド管5,
5,…を設けておき、既設構造物1を取り壊す前段で、
直接基礎2のガイド管5,5,…に地盤アンカー12を
敷設してから、既設構造物1を直接基礎2を残して取り
壊した後、直接基礎2上に新設構造物11を構築する構
成とされている。このように、既設の直接基礎2を再利
用して新設構造物11の基礎部17となすようにしたの
で、既設の直接基礎2の取り壊し、新設の基礎の構築の
手間が省け、工期の短縮化、コストの大幅な低減を図る
ことができる。しかも、直接基礎2を解体しないので、
コンクリート殻等、廃棄物の発生量の低減、取り壊し作
業に伴う騒音・振動の低減、周囲地盤のゆるみ・沈下・
変形などの悪影響の発生がなくなる等の効果を奏し、こ
の結果、より一層、工期の短縮化、コストの低減を図る
ことができる。また、上述したようにして構築された新
設構造物11の直接基礎2には、地盤アンカー12が設
けられたことになるので、新設構造物11は、地下水位
が何等かの原因で上昇したときにおける浮力や地震時に
おける変位に抗する機能を備えることになる。しかも、
この後、新設構造物11を取り壊して他の新設の建築構
造物に建て替える際にも、直接基礎2を再利用すること
が可能となり、その際にも上記と同様の効果を奏するこ
とができる。
【0018】さらに、上述した直接基礎2の構造では、
既設構造物1の直接基礎2にガイド管5が設けられてい
る。これにより、既設構造物1の取り壊すときにガイド
管5をコア抜きして、ここに地盤アンカー12を敷設す
ることにより、既設構造物1の取り壊しに伴って直接基
礎2に作用する荷重が減少しても、直接基礎2に作用す
る地下水圧による浮力に抗して、直接基礎2の浮き上が
りを防止し、直接基礎2の損傷を防ぐことができる。こ
の結果、直接基礎2を再利用することが可能となり、こ
の上に新設構造物11を構築することができる。また、
上述したように直接基礎2に地盤アンカー12を設ける
場合、例えば、地下水位を地下2mとし、直接基礎2が
地下15mに設けられているとすると、水面下13mで
生じる浮力は13t/m2である。そして直接基礎2の
自重を3t/m2とすると、直接基礎2に作用する浮力
は、差し引き10t/m2となる。この浮力に抗するた
めには、200t/本の支持力を有する地盤アンカー1
2を用いた場合、4.5mピッチで地盤アンカー12,
12,…を敷設しなければならない。このようなピッチ
で多数の地盤アンカー12を、従来の、ガイド管5を備
えていない直接基礎(図示なし)に敷設しようとする
と、狭い地下空間での作業であるため、危険であるとと
もに非常に手間がかかる作業となっている。これに対し
て、上述した直接基礎2の構造では、直接基礎2に所定
間隔で複数のガイド管5が設けられているので、これを
コア抜きするのみで地盤アンカー12を敷設するための
孔を容易に形成することができ、地盤アンカー12の敷
設作業を容易かつ安全に行なうことが可能である。しか
も、ガイド管5に地盤アンカー12を保持させて敷設し
た後、この直接基礎2上に構築した新設構造物11を、
再度取り壊して他の新設の建築構造物に建て替えるとき
に、例えば地盤アンカー12の強度が不足するなどし
て、地盤アンカー12を交換する必要が生じた場合に
も、ガイド管5に新たな地盤アンカー(図示なし)を容
易に保持させることができ、その作業を容易に行なうこ
とができる。
【0019】なお、上記第一実施例において、ガイド管
5を直接基礎2の基礎梁4の上下面を貫通するように配
設したが、これに限るものではなく、ガイド管5を基礎
梁4の側面に設けて、地盤アンカー12を水平方向に敷
設する構成としてもよい。また、ガイド管5の材質,形
状等についても、地盤アンカー12を保持することがで
きるのであれば、いかなる構成としてもよい。
【0020】「第二実施例」次に、例えば、既設の建築
構造物の構築時に、予め直接基礎に地盤アンカーを設け
ておく場合の実施例を用いて説明する。図3は、本発明
に係る建築構造物の建て替え方法およびそれに用いる基
礎構造を適用して建て替える既設の建築構造物の一例を
示すものである。図3に示すように、既設の建築構造物
(以下、「既設構造物」と称する。)21は、地盤G中
に構築されて、既設構造物21の基礎部をなす直接基礎
22と、該直接基礎22上に構築された上部構造部23
とを、主要構成としている。直接基礎22の基礎梁24
には、地盤アンカー25,25,…が所定間隔で敷設さ
れている。この地盤アンカー25は、既設構造物21の
施工時に、同時施工されたものである。このような直接
基礎22上には、上部構造部23を構成する柱26,2
6,…等が立設されている。
【0021】以下、上記のような構成の既設構造物21
を取り壊して、図示しない新設の建築構造物に建て替え
る方法について説明する。なお、前記第一実施例と同様
の工程については、その説明,図示を省略する。まず、
既設構造物21の上部構造部23を取り壊す。そして、
直接基礎22を残して既設構造物21の上部構造部23
の取り壊し作業が完了した後、直接基礎22上に、第一
実施例と同様、図示しないトラス架構,上部構造部を組
み立てて、新設構造物(図示なし)を構築する。
【0022】上述した既設構造物21から新設構造物
(図示なし)への建て替え方法では、既設構造物21を
構築する際に、同時に直接基礎22に地盤アンカー2
5,25,…を設けておき、既設構造物21を直接基礎
22を残して取り壊した後、該直接基礎22上に新設構
造物(図示なし)を構築する構成とされている。このよ
うに、既設の直接基礎22を再利用して既設構造物21
から新設構造物(図示なし)に建て替えるようにしたの
で、前記第一実施例と同様に、工期の短縮化,コストの
低減,廃棄物発生量の低減等の効果を奏することができ
る。また、上述した直接基礎22の構造では、直接基礎
22に、地盤アンカー25が敷設されている。これによ
り、既設構造物21の取り壊しに伴って、直接基礎22
に作用する荷重が減少しても、地下水圧による直接基礎
22の浮き上がりを防止して、損傷を防ぐことができ
る。この結果、直接基礎22を再利用することが可能と
なる。これに加え、既設構造物21の取り壊し時に、地
盤アンカー25を敷設する手間も省くことができる。し
かも、既設構造物21の構築時に地盤アンカー25を施
工するに際しては、狭い地下空間で作業を行なう必要が
ないので、地盤アンカー25の敷設作業をより一層容易
かつ安全に行なうことができる。
【0023】なお、上記第二実施例において、地盤アン
カー25を直接基礎22の下方に配設する構成とした
が、これに限るものではなく、地盤アンカー25を直接
基礎22の基礎梁24の側面に設けて、地盤アンカー2
5を水平方向に敷設する構成としてもよい。また、上記
第一および第二実施例において、直接基礎2,22上に
構築する新設構造物11の上部構造部16の構造につい
ては、限定するものではない。例えば、新設構造物11
から直接基礎2,22に荷重を伝達するために、トラス
架構14を設ける構成としたが、前記機能を果たすこと
ができるのであれば、トラス架構14に代えてコンクリ
ート殻等からなる粒状体層を設ける等、他の構造として
もよい。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る建
築構造物の立て替え方法によれば、直接基礎上に構築さ
れた既設の建築構造物に替えて新設の建築構造物を構築
するための方法であって、 前記既設の建築構造物を取
り壊す前段で、該既設の建築構造物の直接基礎に予め備
えられた筒状のアンカー保持部材に、既設の建築構造物
の解体、および地下水の水圧によって生じる浮力に対抗
するための地盤アンカーを保持させて敷設しておき、し
かる後に、該既設の建築構造物を前記直接基礎を残して
取り壊し、該直接基礎上に前記新設の建築構造物を構築
するようにした。このように、既設の直接基礎を取り壊
さずに再利用して、これをこのまま新設の建築構造物の
基礎部となすようにしたので、既設の直接基礎の取り壊
し、および新設の直接基礎の構築の手間が省け、工期の
短縮化、コストの大幅な低減を図ることができる。しか
も、既設の直接基礎を解体しないので、コンクリート殻
等の廃棄物の発生量の低減、取り壊し作業に伴う騒音・
振動の低減、周囲地盤のゆるみ・沈下・変形などの悪影
響の発生がなくなる等の効果を奏し、この結果、より一
層、工期の短縮化、コストの低減を図ることができる。
また、上述したようにして構築した新設の建築構造物の
直接基礎には、地盤アンカーが設けられたことになるの
で、新設の建築構造物が、地下水位が何等かの原因で上
昇したときにおける浮力や地震時における変位に抗する
機能を備えることになる。しかも、この後、新設の建築
構造物を取り壊して新たに他の新設の建築構造物に建て
替える際にも、直接基礎を再利用することが可能とな
り、その際にも上記効果を奏することができる。
【0025】請求項2に係る基礎構造によれば、既設の
建築構造物の直接基礎に、既設の建築構造物の解体、お
よび地下水の水圧によって生じる浮力に対抗するために
地盤中に敷設する地盤アンカーを保持するための、筒状
のアンカー保持部材が設ける構成とした。これにより、
既設の建築構造物を取り壊して、新設の建築構造物を構
築するときに、既設の建築構造物の取り壊しの前段で、
地盤アンカーをこのアンカー保持部材に保持させること
により、直接基礎が浮き上がるのを防止できる。これに
より、既設の直接基礎の再利用が可能となり、請求項1
記載の方法を実現することができる。しかも、地盤アン
カーを敷設するときには、地盤アンカーの敷設作業を容
易かつ安全に行なうことが可能である。また、アンカー
保持部材に地盤アンカーを保持させて敷設し、この直接
基礎上に構築した新設の建築構造物を、その後、再度取
り壊して他の新設の建築構造物に建て替えるため、前記
直接基礎を再利用しようとしたときに、例えば地盤アン
カーの強度が不足するなどして、地盤アンカーを交換す
る必要が生じた場合にも、アンカー保持部材に新たな地
盤アンカーを保持させることができ、その作業を容易に
行なうことができる。
【0026】請求項3に係る基礎構造によれば、既設の
建築構造物の直接基礎に、既設の建築構造物の解体、お
よび地下水の水圧によって生じる浮力に対抗するための
地盤アンカーを設けたので、既設の建築構造物を取り壊
して、新設の建築構造物を構築するときに、直接基礎が
浮き上がるのを防止して、直接基礎の損傷を防ぐことが
できる。これにより、既設の直接基礎の再利用が可能と
なり、請求項1記載の方法を実現することができる。こ
れに加え、建築構造物の建て替え時に狭い場所で地盤ア
ンカーを敷設する手間も省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建築構造物の建て替え方法および
それに用いる基礎構造を適用して建て替える既設の建築
構造物の一例を示す正断面図である。
【図2】同、既設の建築構造物に替えて構築する新設の
建築構造物を示す正断面図である。
【図3】本発明に係る建築構造物の建て替え方法および
それに用いる基礎構造を適用して建て替える既設の建築
構造物の他の一例を示す正断面図である。
【符号の説明】
1,21 既設構造物(既設の建築構造物) 2,22 直接基礎 5 ガイド管(アンカー保持部材) 11 新設構造物(新設の建築構造物) 12,25 地盤アンカー

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直接基礎上に構築された既設の建築構造
    物に替えて新設の建築構造物を構築するための方法であ
    って、前記既設の建築構造物を取り壊す前段で、該既設
    の建築構造物の直接基礎に予め備えられた筒状のアンカ
    ー保持部材に、既設の建築構造物の解体、および地下水
    の水圧によって生じる浮力に対抗するための地盤アンカ
    ーを保持させて敷設しておき、しかる後に、該既設の建
    築構造物を前記直接基礎を残して取り壊し、該直接基礎
    上に前記新設の建築構造物を構築することを特徴とする
    建築構造物の建て替え方法。
  2. 【請求項2】 既設の建築構造物の直接基礎を再利用し
    て、該直接基礎上に新設の建築構造物を構築するための
    基礎構造であって、前記既設の建築構造物の前記直接基
    礎には、既設の建築構造物の解体、および地下水の水圧
    によって生じる浮力に対抗するために地盤中に敷設する
    地盤アンカーを保持するための、該直接基礎を貫通する
    筒状のアンカー保持部材が設けられていることを特徴と
    する基礎構造。
  3. 【請求項3】 既設の建築構造物の直接基礎を再利用し
    て、該直接基礎上に新設の建築構造物を構築するための
    基礎構造であって、前記既設の建築構造物の直接基礎に
    は、既設の建築構造物の解体、および地下水の水圧によ
    って生じる浮力に対抗するための地盤アンカーが敷設さ
    れていることを特徴とする基礎構造。
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