JP2006258528A - 加速度センサおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加速度センサが、開口を有する固定部と、この開口内に配置される変位部と、固定部と変位部とを接続する接続部と、を有する第1の構造体と、変位部に接合される重量部と、重量部を囲んで配置され、かつ固定部に接合される台座と、を有し、第1の構造体に積層して配置される第2の構造体と、台座に接続され、第2の構造体に積層して配置され、かつ金属材料からなる基体と、を具備する。
【選択図】図1
Description
上記に鑑み、本発明は小型化と生産容易性の両立を図った加速度センサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
図1は本発明の一実施形態に係る加速度センサ100を表す斜視図である。また、図2は加速度センサ100を分解した状態を表す分解斜視図である。図3、図4はそれぞれ、加速度センサ100を図1のA1−A2およびB1−B2に沿って切断した状態を表す一部断面図である。
第1の構造体110,接合部120,第2の構造体130,接合部140、基体150は、その外周が例えば、1mmの辺の略正方形状であり、これらの高さはそれぞれ、例えば、3〜12μm、0.5〜3μm、600〜725μm、0.1〜1μm、30〜150μmである。
第1の構造体110,接合部120,第2の構造体130はそれぞれ、シリコン、酸化シリコン、シリコンから構成可能であり、シリコン/酸化シリコン/シリコンの3層構造をなすSOI(Silicon On Insulator)基板を用いて製造可能である。また、基体150は金属、例えば、ステンレス材料、インバーで構成できる。接合部140は、金属合金で構成できる。
変位部112は、外周が略正方形の基板であり、固定部111の開口の中央近傍に配置される。
接続部113a〜113dは略長方形の基板であり、固定部111と変位部112とを4方向(X正方向、X負方向、Y正方向、Y負方向)で接続する。
接続部113a〜113d上に、12個のピエゾ抵抗素子R(Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4、Rz1〜Rz4)が配置されている。このピエゾ抵抗素子Rは、抵抗の変化として接続部113の撓み(あるいは、歪み)、ひいては変位部112の変位を検出するためのものである。なお、この詳細は後述する。
重量部132は、質量を有し、加速度によって力を受ける重錘、あるいは作用体として機能する。即ち、加速度が印加されると、重量部132の重心に力が作用する。
重量部132は、略直方体形状の重量部132a〜133eに区分される。中心に配置された重量部132aに4方向から重量部132b〜133eが接続され、全体として一体的に変位(移動、回転)が可能となっている。即ち、重量部132aは、重量部132b〜133eを接続する接続部として機能する。
なお、接合部121,122は、シリコン酸化膜をエッチングすることで構成可能である。
底板部152は、外周が枠部151と略同一の略正方形の基板形状である。
基体150に凹部153が形成されているのは、重量部132が変位するための空間を確保するためである。但し、基体150に凹部153を形成するのに替えて、あるいはこれと共に、台座131および重量部132の高さ(厚さ)を異ならせることも可能である。重量部132の厚さを台座131の厚さより薄くすることで、重量部132が変位する空間を確保できる。
また、後述するように、作成された加速度センサ100を半導体基板からのダイシングにより取り出す際に、基体150の底面の任意の箇所を押圧することが可能である。このため、生産時の取り扱いが容易となる。
なお、インバーは熱膨張率が小さいことから、基体150にインバーを用いることで、加速度センサ100の温度特性の向上を図れる。
図5は、接合部140を拡大した状態を表す拡大断面図である。本実施形態では接合部140は、第1接合層141と,第2接合層142とに区分されている。
加速度センサ100による加速度の検出の原理を説明する。既述のように、接続部113a〜113dには、合計12個のピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4が配置されている。
これら各ピエゾ抵抗素子は、シリコンからなる接続部113a〜113dの上面付近に形成されたP型もしくはN型の不純物ドープ領域によって構成できる。
なお、ピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4、Rz1〜Rz4は、接続部113d、113bとで配置が異なっている。これはピエゾ抵抗素子Rによる接続部113の撓みの検出をより高精度化するためである。
重量部132がY軸に対して正方向に回転する結果、ピエゾ抵抗素子Rx1、Rx3はX軸方向に伸び((+)として表現)、ピエゾ抵抗素子Rx2、Rx4はX軸方向に縮んでいる((−)として表現)。
重量部132がY軸に対して負方向に回転する結果、ピエゾ抵抗素子Rx1、Rx3はX軸方向に縮み((−)として表現)、ピエゾ抵抗素子Rx2、Rx4はX軸方向に伸びている((+)として表現)。
重量部132がZ軸に対して正方向に移動する結果、ピエゾ抵抗素子Rz1、Rz4はX軸方向に縮み((−)として表現)、ピエゾ抵抗素子Rz2、Rz3はX軸方向に伸びている((+)として表現)。
重量部132がZ軸に対して負方向に移動する結果、ピエゾ抵抗素子Rz1、Rz4はX軸方向に伸び((+)として表現)、ピエゾ抵抗素子Rz2、Rz3はX軸方向に縮んでいる((−)として表現)。
各ピエゾ抵抗素子RがシリコンへのP型不純物ドープによって構成されているとする。この場合には、ピエゾ抵抗素子Rの長手方向での抵抗値は、伸び方向の応力が作用したときには増加し、縮み方向の応力が作用した場合には減少する。
なお、ピエゾ抵抗素子RをシリコンへのN型不純物ドープによって構成した場合には、抵抗値の増減が逆になる。
これらのブリッジ回路では入力電圧Vin(Vx_in、Vy_in、Vz_in)それぞれに対する出力電圧Vout(Vx_out、Vy_out、Vz_out)の関係は以下の式(1)〜(3)で表される。
Vx_out/Vx_in=
[Rx4/(Rx1+Rx4)−Rx3/(Rx2+Rx3)] ……式(1)
Vy_out/Vy_in=
[Ry4/(Ry1+Ry4)−Ry3/(Ry2+Ry3)] ……式(2)
Vz_out/Vz_in=
[Rz3/(Rz1+Rz3)−Rz4/(Rz2+Rz4)] ……式(3)
加速度センサ100の作成工程につき説明する。
図13は、加速度センサ100の作成手順の一例を表すフロー図である。また、図14〜図23は、図4に対応し、図13の作成手順における加速度センサ100の状態を表す断面図である(図1に示す加速度センサ100をB1−B2で切断した断面に相当する)。
図14に示すように、第1、第2、第3の層11、12、13の3層を積層してなる半導体基板Wを用意する。
図24は、半導体基板Wの模式図である。ここでは第1、第2、第3の層11、12、13の記載を省略している。本図に示すように、半導体基板Wは複数の領域Aに区分され、これらの領域Aそれぞれに加速度センサ100を作成する。即ち、加速度センサ100は、一枚の半導体基板W上に複数(例えば、数千個、数万個)纏めて作成される。
図14には、図24の一つの領域Aが表されているものとし、他の図15〜図23も同様とする。
シリコン/酸化シリコン/シリコンという3層の積層構造をもった半導体基板Wは、シリコン基板上に、シリコン酸化膜、シリコン膜を順に積層することで作成できる(いわゆるSOI基板)。
なお、ここでは第1の層11と第3の層13とを同一材料(シリコン)によって構成するものとするが、第1、第2、第3の層11、12、13のすべてを異なる材料によって構成しても良い。
第1の層11をエッチングすることにより、開口部114を形成し、第1の構造体110を形成する。即ち、第1の層11に対して浸食性を有し、第2の層12に対して浸食性を有しないエッチング方法を用いて、第1の層11の所定領域(開口114a〜114d)に対して、第2の層12の上面が露出するまで厚み方向にエッチングする。
図15は、第1の層11に対して、上述のようなエッチングを行い、第1の構造体110を形成した状態を示す。
第3の層13をエッチングすることにより、開口部133を形成し、第2の構造体130を形成する。即ち、第3の層13に対して浸食性を有し、第2の層12に対して浸食性を有しないエッチング方法により、第3の層13の所定領域(開口部133)に対して、第2の層12の下面が露出するまで厚み方向へのエッチングを行う。
図16は、第3の層13に対して、上述のようなエッチングを行い、第2の構造体130を形成した状態を示す。
第2の層12をエッチングすることにより、接合部120を形成する。即ち、第2の層12に対しては浸食性を有し、第1の層11および第3の層13に対しては浸食性を有しないエッチング方法により、第2の層12に対して、その露出部分から厚み方向および層方向にエッチングする。
第1の条件は、各層の厚み方向への方向性を持つことである、第2の条件は、シリコン層に対しては浸食性を有するが、酸化シリコン層に対しては浸食性を有しないことである。第1の条件は、所定寸法をもった開口部や溝を形成するために必要な条件であり、第2の条件は、酸化シリコンからなる第2の層12を、エッチングストッパ層として利用するために必要な条件である。
この方法では、材料層を厚み方向に浸食しながら掘り進むエッチング段階と、掘った穴の側面にポリマーの壁を形成するデポジション段階と、を交互に繰り返す。掘り進んだ穴の側面は、順次ポリマーの壁が形成されて保護されるため、ほぼ厚み方向にのみ浸食を進ませることが可能になる。
第1の条件は、不要な部分に酸化シリコン層が残存して重量部132の変位の自由度を妨げることがないようにするために必要な条件である。第2の条件は、既に所定形状への加工が完了しているシリコンからなる第1の構造体110や第2の構造体130に浸食が及ばないようにするために必要な条件である。
1)金属基板Mへの基体150の作成
金属基板Mに略直方体上の凹部153を形成することで基体150を作成できる。凹部153の作成には、種々の加工手段(例えば、エッチング、プレス加工、切削加工)を利用可能である。この段階では(後述のダイシング前)、基体150は金属基板M上に多数形成され、個々の基体150には分離されていない。
2)基体150の上面への金属皮膜の形成
基体150の上面に第1の金属、例えば、錫の皮膜を形成する。
第2構造体130の下面に、第1の金属との間に合金をなす第2の金属、例えば、金の皮膜を形成する。第2構造体130の下面に金の膜を形成するに先んじて、バリア層として、例えば、Ni,Ti,Crのいずれかを成膜する。
図18には、第1の金属膜143が形成された基体150と第2の金属膜144が形成された第2の構造体130とが対向して配置された状態を表している。
第2構造体130の下面の金層と基体150の上面の錫層とを接触させた状態で、例えば、200〜250℃に加熱することで、金層と錫層とが合金化して金錫合金層が形成されることで、第2構造体130と基体150とが接合される。
図19は、第1の金属膜143と第2の金属膜144とが合金化した接合層142で接合された第2の構造体130および基体150を表している。
1)ダイシングパッド21への接続
金属基板Mの底面にダイシングパッド21を接続する(図20)。ダイシングパッド21は、粘着性を有するフィルムであり、半導体基板Wおよび金属基板Mをダイシングして加速度センサ100を切り出すときに、加速度センサ100を固定するためのものである。なお、ダイシングパッド21の表面には、紫外線を照射することで、粘着性が低減される粘着材が塗布されている。
図25は、加速度センサ100が複数形成された半導体基板Wおよび金属基板Mにダイシングパッド21を接続した状態を表す模式図である。
突き出しピン22で基体150の下面を押して、加速度センサ100を基板Wから持ち上げ、真空チャック23の吸引口24で吸引する(図22,図23)。このとき、ダイシングパッド21の粘着剤に紫外線(UV)を照射して、その粘着性を低減し、加速度センサ100がダイシングパッド21から容易に離間されるようにする。
基体150が接続されていない状態で加速度センサ100を取り出そうとすれば、突き出しピン22が押すことができるのは台座131の部分(図22の幅D0)に限られ、突き出しピン22の精密な制御を要することになる。突き出しピン22が重量部132を押すと、接続部113が破損することになる。
また、基体150がガラス材料から構成されていると、基体150を薄くすることが困難であり、加速度センサ100の薄型化が困難となる。
110 第1の構造体
111 固定部
112 変位部
113a-113d 接続部
114a-114d 開口
120 接合部
121 接合部
122 接合部
130 第2の構造体
131 台座
132a-133e 重量部
133 開口
140 接合部
141 接合層
142 接合層
150 基体
151 枠部
152 底板部
153 凹部
Rx1-Rx4,Ry1-Ry4,Rz1-Rz4 ピエゾ抵抗素子
Claims (11)
- 開口を有する固定部と、この開口内に配置され、かつ前記固定部に対して変位する変位部と、前記固定部と前記変位部とを接続する接続部と、を有し、かつ第1の半導体材料からなる第1の構造体と、
前記変位部に接合される重量部と、前記重量部を囲んで配置され、かつ前記固定部に接合される台座と、を有し、前記第1の構造体に積層して配置され、かつ第2の半導体材料からなる第2の構造体と、
前記台座に接続され、前記第2の構造体に積層して配置され、かつ金属材料からなる基体と、
前記変位部の変位を検出する変位検出部と、
を具備することを特徴とする加速度センサ。 - 前記基体が、前記重量部に対応する凹部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の加速度センサ。 - 前記金属材料が、ステンレスまたはインバーである
ことを特徴とする請求項1記載の加速度センサ。 - 前記第2の構造体と、前記基体とを接合する金属層
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の加速度センサ。 - 前記第1,第2の半導体材料がいずれもシリコンである
ことを特徴とする請求項1記載の加速度センサ。 - 第1の半導体材料からなる第1の層、酸化物からなる第2の層、および第2の半導体材料からなる第3の層が順に積層されてなる半導体基板の前記第1および第2の層をエッチングして、開口を有する固定部と、この開口内に配置され、かつ前記固定部に対して変位する変位部と、前記固定部と前記変位部とを接続する接続部と、を有する第1の構造体と、重量部と、前記重量部を囲んで配置される台座と、を有し、前記第1の構造体に積層して配置される第2の構造体と、を作成するステップと、
前記第1、第2の構造体が作成された半導体基板の前記第2の層をエッチングして、開口を有し、かつ前記固定部と前記台座とを接合する第1の接合部と、この開口内に配置され、かつ前記変位部と前記重量部とを接合する第2の接合部とを有する接合体を作成するステップと、
前記第2の構造体の底面に金属基板を接合するステップと、
前記金属基板の底面に粘着性の膜を貼り付けるステップと、
前記第1、第2の構造体が作成された領域に対応して、前記半導体基板および金属基板を切断して、加速度センサを切り出すステップと、
を具備することを特徴とする加速度センサの製造方法。 - 前記領域に対応するように前記膜の底面を押圧して、前記切り出された加速度センサを押し出すステップと、
前記押し出された加速度センサを吸引するステップと、
をさらに具備することを特徴とする請求項6記載の加速度センサの製造方法。 - 前記金属基板が、前記重量部に対応する凹部を有する
ことを特徴とする請求項6記載の加速度センサの製造方法。 - 前記金属基板の構成材料が、ステンレスまたはインバーである
ことを特徴とする請求項6記載の加速度センサの製造方法。 - 前記接合するステップにおいて、前記第2の構造体と、前記金属基板とが金属で接合される
ことを特徴とする請求項6記載の加速度センサの製造方法。 - 前記第1,第2の半導体材料がいずれもシリコンである
ことを特徴とする請求項6記載の加速度センサの製造方法。
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