JP2006257429A - ポリアミド系導電性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリアミド樹脂にカーボンブラックを配合した導電性ポリアミド樹脂組成物において、組成およびモルフォロジー構造を特定化することにより導電性と高い衝撃強度および優れた摺動特性を持つ成形品の提供を可能とするポリアミド樹脂組成物を提供する。
【達成手段】 (A)ポリアミド樹脂95〜40質量%、(B)導電性カーボンブラック5〜30質量%、(C)ポリアミド樹脂の末端基および/又は主鎖のアミド基と反応しうる反応性官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体10〜40質量%、および(D)高密度ポリエチレン樹脂1〜10質量%を配合してなり、(A)ポリアミド樹脂が連続相を形成し、(C)エチレン−αオレフィン共重合体が平均粒径2μm以下の粒子となって(A)ポリアミド樹脂の連続相の中に分散して存在し、かつ(B)導電性カーボンブラックの80質量%以上が連続相である(A)ポリアミド樹脂の相に分散して存在していることを特徴とするポリアミド系導電性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂と導電性カーボンブラックおよびオレフィン系の樹脂からなるポリアミド系導電性樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、導電性に優れると共に優れた耐衝撃性と摺動性を併せもつ燃料タンク用キャップなどに使用するためのポリアミド系導電性樹脂組成物に関するものである。
ポリアミド樹脂は、ガソリン等の有機溶剤やアルカリ液に対して優れた耐薬品性を示すと共に、流動性が高く、耐熱性、耐クリープ性に優れるため、自動車の外装材やエンジンルーム内部品として用いられている。また、さらにカーボンブラック等を配合して導電性を付与し、静電気の発生・帯電を抑制し、比較的短時間で放電可能な機能を持たせて、自動車部品の給油系統部品として用いられている。
ポリアミド樹脂に導電性を付与するために、ポリアミド樹脂にカーボンブラックを配合することは良く知られているが、導電性を向上させるためにカーボンブラックの配合量を増やすと組成物の流動性や物性が著しく損なわれてしまう。そのため流動性や成形性を改良するため、ポリアミド樹脂にカーボンブラックと変性されたエチレン共重合体を配合することが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、これらの方法では流動性や成形性は改良されるが、ポリアミド樹脂組成物の耐衝撃性の改良が十分でない。耐衝撃性が低いことから、ポリアミド樹脂組成物中に分散している変性されたエチレン共重合体の分散粒径が比較的大きな粒径で分散しているものと思われる。また柔らかい変性エチレン共重合体が大きな分散粒径でポリアミド樹脂組成物中に分散しているため、本来優れた摺動特性を持つポリアミド樹脂ではあるが、これらのポリアミド系樹脂組成物においては摺動特性が著しく損なわれてしまう。
これらの導電性と耐衝撃性を両立させる方法として、カーボンブラックの分散剤を配合する方法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、流動性や吸水時寸法変化の抑制という点では不十分であり、またカーボンブラックの分散剤が成形加工時に金型を汚染する問題があった。
特開昭58−93756号公報 特開平11−180171号公報
本発明は、上述の従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、ポリアミド樹脂にカーボンブラックを配合した導電性ポリアミド樹脂組成物において、組成およびモルフォロジー構造を特定化することにより導電性と高い衝撃強度および優れた摺動特性を持つ成形品の提供を可能とするポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリアミド樹脂中に導電性カーボンブラックを分散させ、更にポリアミド樹脂と反応しうる反応性官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体をポリアミド樹脂の中に平均粒径2μm以下に分散させ、かつ高密度ポリエチレンを配合する導電性樹脂組成物によって上記課題を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(A)ポリアミド樹脂95〜40質量%、(B)導電性カーボンブラック5〜30質量%、(C)ポリアミド樹脂の末端基および/又は主鎖のアミド基と反応しうる反応性官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体10〜40質量%、および(D)高密度ポリエチレン樹脂1〜10質量%を配合してなり、(A)ポリアミド樹脂が連続相を形成し、(C)エチレン−αオレフィン共重合体が平均粒径2μm以下の粒子となって(A)ポリアミド樹脂の連続相の中に分散相として存在し、かつ(B)導電性カーボンブラックの80質量%以上が連続相である(A)ポリアミド樹脂の相に分散して存在していることを特徴とするポリアミド系導電性樹脂組成物である。本発明のポリアミド系導電性樹脂組成物の好ましい態様では、該樹脂組成物の体積固有抵抗が1×1011Ω・cm以下、かつアイゾット衝撃強度が300J/m以上であり、また、該樹脂組成物のテーパー摩耗値が25mg以下である。
本発明のポリアミド系導電性樹脂組成物はポリアミド樹脂にカーボンブラックを配合して導電性を付与すると共に成形性を改良し、優れた耐衝撃性や摺動特性を保持している。このような良好な特性を持つ導電性樹脂組成物は自動車の燃料系部品、例えば燃料タンクのキャップやストレーナー、フィルター、バルブ等の部品に使用することができ、産業界に寄与することが大である。
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明の(A)ポリアミド樹脂とは、分子中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものであり、具体的には、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ω−エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリジンなどから得られる重合体または共重合体もしくはこれらのブレンド物、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンとテレフタール酸、イソフタール酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸とを重縮合して得られる重合体または共重合体もしくはこれらのブレンド物等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
これらのポリアミド樹脂の数平均分子量は7000〜30000のものが好ましく用いられる。数平均分子量が7000未満ではタフネスが低下し、また30000を越えると流動性が低下して好ましくない。(A)ポリアミド樹脂の配合量は95〜40質量%、より好ましくは90〜50質量%である。ポリアミド樹脂が40質量%以下になるとポリアミド系導電性樹脂組成物からなる成形品の微細構造においてポリアミド樹脂が連続相となるべきモルフォロジー構造が不安定になり好ましくない。
本発明の(B)導電性カーボンブラックとしては特に制限されるものではなく、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラックおよびチャンネルブラック等を使用することができる。これらの中ではケッチェンブラックが少ない配合量で優れた導電性を発揮するため特に好ましい。(B)導電性カーボンブラックの配合量は目的とする導電性の度合いにもよるが、30〜5質量%が好適である。
これらの導電性カーボンブラックはポリアミド系導電性樹脂組成物の連続相を形成するポリアミド樹脂中に配合量の80質量%以上分散することが必要である。そのためには混練工程が極めて重要であると共にカーボンブラックの粒子表面に存在するカルボキシル基や水酸基等の官能基も重要である。混錬工程で十分練ることによりカーボンブラックの表面の官能基が作用してポリアミド樹脂との親和性が増大し、ポリアミド樹脂の連続相に分散しやすくなる。本発明では、混錬条件やカーボンブラックの表面にある官能基濃度等は特に限定するものではなく、ポリアミド系導電性樹脂組成物の成形品においてカーボンブラックの配合量の80質量%以上が連続相であるポリアミド樹脂中に分散していることが重要である。このようなカーボンブラックの分散によって体積固有抵抗が1×1011Ω・cm以下の優れた導電性を持つ組成物が得られる。また他の物性値も良好となる。
本発明の(C)ポリアミド樹脂の末端基および/または主鎖のアミド基と反応しうる官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体とは、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体、エチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/4メチルペンテン−1共重合体、エチレン/環状オレフィン共重合体等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。(C)エチレン−αオレフィン共重合体の配合量は10〜40質量%が好ましい。
本発明の(C)エチレン−αオレフィン共重合体におけるポリアミド樹脂の末端基および/または主鎖のアミド基と反応しうる官能基とはポリアミド樹脂の末端基であるアミノ基、カルボキシル基および主鎖のアミド基と反応しうる基であり、具体的にはカルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、オキサドリン基、アミノ基、イソシアネート基等が例示されるが、これらの中では酸無水物基が最も反応性に優れているので好ましい。また官能基の量は当然のことであるが、多い方がポリアミド樹脂との反応が進み、エチレン−αオレフィン共重合体はポリアミド樹脂の連続相の中でより微細な粒径で分散し、組成物の耐衝撃性も向上する。これらの官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体の製造法は共重合体を製造する工程で上記の官能基を持つ化合物を反応させる方法や共重合体のペレットと官能基を持つ化合物等を混合し、押出機等で混錬して反応させる方法等があるが、これらに限定されるものではない。
本発明における(C)エチレン−αオレフィン共重合体は、平均粒径2μm以下の粒子で連続相であるポリアミド樹脂中に分散するモルフォロジー構造を持つことが重要である。上記のモルフォロジー構造は組成物の製造工程でポリアミド樹脂とエチレン−αオレフィン共重合体が反応することにより得られる。ポリアミド樹脂中にエチレン−αオレフィン共重合体が2μm以下の平均粒径で微分散することにより、アイゾット衝撃強度が300J/m以上の高い衝撃特性が得られ、かつポリアミド樹脂の優れた摺動特性を低下させることが少ない組成物が得られる。
本発明における(D)高密度ポリエチレンとは密度で0.96以上のポリエチレンであり、その他の限定はない。(D)高密度ポリエチレンの配合量は1〜10質量%が好ましい。本発明の組成物ではポリアミド樹脂中に分散しているエチレン−αオレフィン共重合体と高密度ポリエリレンとは同類のオレフィン系樹脂で親和性が良いため、組成物中での分散性は良好であり、高結晶性の高密度ポリエチレンが微分散しているポリアミド系導電性樹脂組成物は優れた摺動性を発揮し、テーパー摩耗値が25mg以下となる。
本発明のポリアミド系導電性樹脂組成物はそのモルフォロジー構造が極めて重要である。ポリアミド樹脂がマトリックスとなる連続相を構成し、そのポリアミド樹脂と反応することにより微分散しているエチレン−αオレフィン共重合体の分散平均粒径は2μm以下である。さらにカーボンブラックは粒子表面に存在する官能基と混練条件により連続相であるポリアミド樹脂中に配合量の80質量%以上が分散している。また高密度ポリエチレンは微分散しているエチレン−αオレフィン共重合体との親和性により均一分散することが可能である。このようなモルフォロジー構造によって優れた導電性と高い耐衝撃性および摺動特性を持つ成型品が得られる。
本発明のポリアミド系導電性樹脂組成物には上述した(A)、(B)、(C)および(D)の成分の他に、通常のポリアミド系樹脂組成物に用いられる耐候性改良材である銅酸化物および/又はハロゲン化アルカリ金属、光または熱安定剤としてフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤、離型剤、結晶核剤、滑剤、顔料、染料等を配合しても良い。
本発明のポリアミド系導電性樹脂組成物は各成分を混合して、単に押出機で混錬するだけでは安定したモルフォロジー構造を形成することができず、特別の方法により混錬することが推奨される。例えば、溶融混錬機(例えば二軸押出機や溶融反応釜等々)に(A)ポリアミド樹脂と(B)導電性カーボンブラックとを溶融混錬し、ポリアミド樹脂中にカーボンブラックが均一に分散させた後(C)変性したエチレン−αオレフィン共重合体と(D)高密度ポリエチレンおよび必要に応じて他の添加物を加えて更に溶融混錬する。このような二段階の溶融混錬をすることにより、本発明のモルフォロジー構造を持つポリアミド系導電性樹脂組成物が安定して製造することができる。しかし、本発明のポリアミド系導電性樹脂組成物の製造では、かかる特定のブレンド、溶融混錬方法に限られるものではなく、前記の組成およびモルフォロジー構造が得られる限り他のブレンド、溶融方法を用いて本発明の組成物を製造することができる。
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
また以下の実施例、比較例において示した各特性、物性値は下記の試験方法で測定した。試験片は射出成形機(東芝機械(株)製、IS80)により下記条件にて成形した。
樹脂温度:275℃
金型温度:40℃
射出圧力:50Kg/cm
射出時間:1秒
保圧力:60Kg/cm
保持時間:6秒
1.体積固有抵抗; 射出成形で得た100mm×100mm、厚さ2mmのプレートのゲートに対し直角な両端に端子を接続し、デジタルマルチメーター(アドバンテスト(株)製、TR−6843)で測定した。
なお測定試験片は70℃で12時間、真空乾燥した後、20℃、50%RHの雰囲気で24時間シーズニングしてから測定した。
2.アイゾット衝撃強度; ASTM D256(ノッチ有り)に準拠して測定した。
3.テーパー摩耗; JIS K 7204(磨耗輪CS17、荷重1000g、回転数1000回転)に準拠して測定した。
4.モルフォロジー構造の観察;射出成形で得た100×100mm、厚さ2mmのプレートの中央部より凍結切片を作製した。
平均粒子径の測定には、試料の樹脂流れの方向と垂直な断面の凍結切片を作製し、5%リンタングステン酸水溶液で30分間染色し、さらにカーボン蒸着を施した後、日本電子製JEM2010透過型電子顕微鏡で加速電圧200KV、直接倍率5000倍で観察して、写真撮影をする。次いで、得られた写真を画像解析装置に供することによって、平均粒子径を求める。当該装置では、ドメイン(分散相)の観察像が楕円形状である場合は、球に換算した直径を粒子径とする。
カーボンブラックの存在場所は、得られた写真に存在する全てのカーボンブラックの粒子数と連続相又は分散相に存在するカーボンブラックの粒子数を画像解析装置でカウントして、連続相に存在するカーボンブラックの粒子数の百分率%を質量%とした。
実施例および比較例に用いた組成物の原材料は下記のような材料を使用した。
(A);東洋紡ナイロンT−840(東洋紡績(株)製、ナイロン6、相対粘度2.2)
(B)カーボンブラックは次の二種類を使った。
B−1;ファーネスカーボン C100(ライオン(株)製)
B−2;ケッチェンカーボンEC(ライオン(株)製)
(C)変性エチレン−αオレフィン共重合体はいずれも無水マレイン酸変性したもので次の二種類を使用した。
C−1;タフマー(R)MH5010(三井化学(株)製)
C−2;タフマー(R)MH5020(三井化学(株)製)
(D)高密度ポリエチレンは次の材料を使用した。
D;高密度ポリエチレンMME001(三井化学(株)製)
(実施例1、2および比較例1)
実施例1、2および比較例1は以下のとおりである。
実施例1、2の製造法は、一段練り工程で表1の組成割合で各原料を計量ブレンドし、シリンダー温度260℃に設定した二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM30)で溶融混練してペレットとした。次にこのペレットと二段練り工程で表1の組成割合で各原料を計量ブレンドし、一段練り工程と同様に260℃に設定した二軸押出機で溶融混錬し、ポリアミド系導電性樹脂組成物を得た。一方、比較例1では一段練り工程を経ずに二段練り工程のみで表1の組成割合で全部の原料成分を計量ブレンドし、前記と同様に260℃に設定した二軸押出機で溶融混錬を行いポリアミド系導電性樹脂組成物を得た。
実施例1および2では一段練り工程でポリアミド樹脂とカーボンブラックとを溶融混錬し、モルフォロジー構造で連続相となるポリアミド樹脂中にカーボンブラックを分散し、その後二段練り工程で変性エチレン−αオレフィン共重合体と高密度ポリエチレンを溶融混練することにより本発明のモルフォロジー構造を得ることができた。これらのポリアミド樹脂組成物では良好な導電性と共に高い衝撃強度および優れたテーパー摩耗値が得られている。図1ではこれらのモルフォロジー構造を表す電子顕微鏡の写真を示した。カーボンブラックはほとんど全てがポリアミド樹脂相に分散し、変性エチレン−αオレフィン共重合体は2μm以下の平均粒径で均一に分散していることがわかる。
一方、比較例1において全組成成分を同時にブレンド溶融混錬した場合は、本発明のモルフォロジー構造は得られていない。特に注目すべき点は実施例1と比較例1は同一組成であるが、アイゾット衝撃強度やテーパー摩耗値が大きく異なることである。比較例1のモルフォロジー構造はカーボンブラックがポリアミド樹脂の連続相とエチレン−αオレフィン共重合体の分散相の両成分に分散しており、エチレン−αオレフィン共重合体の分散粒径も大きい。このようなモルフォロジー構造のため、アイゾット衝撃強度やテーバー摩耗値が悪くなったものと思われる。混練工程でエチレン−αオレフィン共重合体の官能基とカーボンブラックが何らかの作用をし、エチレン−αオレフィン共重合体の官能基の活性が失われたため本来反応すべきポリアミド樹脂との反応割合が減少することにより、ポリアミド樹脂組成物の衝撃強度や摩耗性が著しく悪化したものと推定される。
実施例および比較例から明らかなように、本発明のモルフォロジー構造を有するポリアミド系導電性樹脂組成物は優れた導電性と高い衝撃強度や優れたテーバー磨耗値を持つことができる。
本発明のポリアミド系導電性樹脂組成物はポリアミド樹脂にカーボンブラックを配合して導電性を付与すると共に成形性を改良し、優れた耐衝撃性や摺動特性を保持している。このような良好な特性を持つ導電性樹脂組成物は自動車の燃料系部品、例えば燃料タンクのキャップやストレーナー、フィルター、バルブ等の部品として幅広い分野で使用することができ、産業界に寄与することが大である。
本発明(実施例1)のポリアミド系導電性樹脂組成物の電子顕微鏡写真。 比較例1のポリアミド系導電性樹脂組成物の電子顕微鏡写真。
符号の説明
1a:ポリアミド樹脂(連続相)
2a:カーボンブラック
3a:変性エチレン−αオレフィン共重合体の粒子(分散相)
1b:ポリアミド樹脂(連続相)
2b:カーボンブラック
3b:変性エチレン−αオレフィン共重合体の粒子(分散相)

Claims (3)

  1. (A)ポリアミド樹脂95〜40質量%、(B)導電性カーボンブラック5〜30質量%、(C)ポリアミド樹脂の末端基および/又は主鎖のアミド基と反応しうる反応性官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体10〜40質量%、および(D)高密度ポリエチレン樹脂1〜10質量%を配合してなり、(A)ポリアミド樹脂が連続相を形成し、(C)エチレン−αオレフィン共重合体が平均粒径2μm以下の粒子となって(A)ポリアミド樹脂の連続相の中に分散して存在し、かつ(B)導電性カーボンブラックの80質量%以上が連続相である(A)ポリアミド樹脂の相に分散して存在していることを特徴とするポリアミド系導電性樹脂組成物。
  2. ポリアミド系導電性樹脂組成物の体積固有抵抗が1×1011Ω・cm以下、かつアイゾット衝撃強度が300J/m以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド系導電性樹脂組成物。
  3. ポリアミド系導電性樹脂組成物のテーパー摩耗値が25mg以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド系導電性樹脂組成物。
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