JP2018048254A - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 帯電防止等の導電分野で使用可能な導電性樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】 (A)カーボンナノチューブ、(B)(1)重量平均分子量(Mw)が35,000〜150,000であり、(2)分子量分布(Mw/Mn)が3以下であり、かつ(3)軟化点が80〜130℃であるオレフィン系重合体、(C)ポリアミド樹脂成分を含有する熱可塑性樹脂、および(D)無水マレイン酸変性されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体を含み、(A)成分の含有量が、(A)〜(D)の合計100質量%に対して、1〜14質量%であり、(B)成分の含有量が、(A)成分の含有量の0.5〜2質量倍であり、かつ(D)成分の含有量が、(A)〜(D)の合計100質量%に対して、1〜20質量%であることを特徴とする導電性樹脂組成物である。【選択図】 なし

Description

本発明は、カーボンナノチューブと、ポリアミド樹脂とを含有する導電性樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂に炭素材料を添加することにより、導電性を付与した導電性材料と、この導電性材料を用いた樹脂製品が、広汎に使用されている。これら炭素材料の中でもカーボンナノチューブは、他の炭素材料に比べ、チューブ径(または繊維径)が細くて、アスペクト比が大きいので、低濃度で導電性が得られることは、良く知られている。
しかしながら、素材、すなわち原料として提供されるカーボンナノチューブは、毛玉状の凝集体で供されることが多い。従って、カーボンナノチューブを用いて、樹脂中で電気を伝導させる様にするためには、この凝集体を分散し、かつ樹脂中で程良く分散していることが求められる。
従来、樹脂に添加する導電性材料として、カーボンブラックや黒鉛が多く使用されている理由は、カーボンナノチューブに比べて、分散の制御がし易いことも一因である。ここで、カーボンナノチューブを用いた導電性樹脂組成物に関しては、樹脂中でのカーボンナノチューブの分散制御が大きな課題となっている。
本発明者は、カーボンナノチューブ、下記(1)〜(3)を満たすオレフィン系重合体、および熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物による、厚み方向の体積抵抗率が100Ω・cm以下の高い導電性樹脂組成物を提案している。この導電性樹脂組成物は、カーボンナノチューブを15〜40質量%含んでおり、オレフィン系重合体は、(1)重量平均分子量(Mw)が35,000〜150,000、(2)分子量分布(Mw/Mn)が3以下、(3)軟化点が80〜130℃としている(特許文献1の請求項1、第0053段落等)。
また、ポリアミド樹脂とポリオレフィン樹脂の混合に、所定の相溶化剤が有効である、と報告されている(特許文献2)。実施例では、無水マレイン酸変性されたエチレン−1−ブテン共重合体、無水マレイン酸変性されたエチレン・オクテン共重合体等が使われている。ポリアミド樹脂は、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド614、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T/66、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6T/6I/66、ポリアミド6T/2M−5T、及びポリアミド9T/2M−8Tが挙げられている。
特開2016―41806号公報 特開2013―147645号公報
プラスチックを着色する分野において、着色用顔料の分散を制御するため、顔料と、金属石鹸、ワックス、可塑剤等とを、混合したドライカラーを作製し、ベース樹脂と溶融混練することで、顔料の分散性を向上させる方法は、良く知られた技術である。さらに、顔料とベース樹脂の両方に相性の良い樹脂、可塑剤、ワックスを選択し、顔料を高濃度でマスターバッチ化し、顔料をベース樹脂へ分散し易くしたマスターバッチ化の技術も、広く使われている。
これらの顔料分散技術は、カーボンナノチューブの分散に際し、参考にすることができるが、カーボンナノチューブの分散に直接使用することはできない。
特許文献1に記載された技術においては、カーボンナノチューブをベース樹脂と混合する前に、可塑剤やワックスと混合することにより、カーボンナノチューブを分散させ易い状態にして、カーボンナノチューブの分散性を向上させている。しかしながら、カーボンナノチューブの場合、アスペクト比、比表面積や吸油量が大きいので、顔料等の既存材料と比べて、可塑剤やワックス等が、単位質量当たりで多く必要になる。ここで、分散性向上のため、これら可塑剤やワックス等を多量に入れると、それら成分のブリードアウトや、機械物性等の劣化より、ベース樹脂の性能に悪影響を及ぼすことも良く知られている。
そこで、ベース樹脂への影響の少なくてカーボンナノチューブを良く分散させるための、材料と手法が、期待されていた。
特許文献1では、本発明者が、カーボンナノチューブの分散を下記(1)〜(3)のオレフィン系重合体を用いて、ブリードアウトや機械物性等でベース樹脂の性能への悪影響を少なくしている。このオレフィン系重合体は、(1)重量平均分子量(Mw)が35,000〜150,000、(2)分子量分布(Mw/Mn)が3以下、(3)軟化点が80〜130℃であり、可塑剤やワックスと比べて分子量が大きく、ブリードアウトや機械物性等でベース樹脂の性能への悪影響を少なくしている。
そして、このオレフィン系重合体をカーボンナノチューブと温度90℃以上、攪拌速度300rpm以上で撹拌して混合物を得て、その後、熱可塑性樹脂と溶融混合して樹脂組成物を得る製造方法を見出した。
このオレフィン系重合体と熱可塑性樹脂とに溶融混合したカーボンナノチューブは、造粒、ブレンド、成形等様々な工程を経て、最終製品となっていくが、これら工程中では、再溶融、冷却固化が繰り返されることになる。この間、カーボンナノチューブが凝集し、導電性が低下するのを防ぐことが、重要な課題となる。特に、熱可塑樹脂に結晶性樹脂が含まれる場合には、冷却固化の過程で、熱可塑性樹脂の非晶性部位とオレフィン系重合体に、カーボンナノチューブが偏在する傾向になる、と考えられる。このような製品化の過程において、安定的な導電性を得るために、カーボンナノチューブの再凝集を防ぐ工夫が、非常に重要となる。最終製品ができるまでの間に、カーボンナノチューブが、導電に適した分散となるようにすることが課題であり、常に低濃度のカーボンナノチューブで高い導電性を獲得できる手段が求められている。
また、特許文献2の熱可塑性樹脂組成物は、導電性を有さない。
本発明者は、上記の課題を解決するべく検討した結果、熱可塑性樹脂が、カーボンナノチューブとポリアミド樹脂を含有する場合に、後述する相溶化剤(本発明の(D)成分)を配合することで、上記課題を解決できることを発見した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔3〕を提供する。
〔1〕(A)カーボンナノチューブ、
(B)(1)重量平均分子量(Mw)が35,000〜150,000であり、(2)分子量分布(Mw/Mn)が3以下であり、かつ(3)軟化点が80〜130℃であるオレフィン系重合体、
(C)ポリアミド樹脂を含有する熱可塑性樹脂、および
(D)無水マレイン酸変性されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体を含み、
(A)成分の含有量が、(A)〜(D)の合計100質量%に対して、1〜14質量%であり、
(B)成分の含有量が、(A)成分の含有量の0.5〜2質量倍であり、かつ
(D)成分の含有量が、(A)〜(D)の合計100質量%に対して、1〜20質量%であることを特徴とする、導電性樹脂組成物。
〔2〕(D)成分が、無水マレイン酸変性されたエチレン・1−ブテン共重合体である、上記〔1〕記載の導電性樹脂組成物。
〔3〕上記〔1〕または〔2〕記載の導電性樹脂組成物の硬化物を用いる、成形体。
本発明〔1〕の導電性樹脂組成物は、カーボンブラック、グラファイト、特定の相溶化剤を配合しないカーボンナノチューブ、該オレフィン系重合体、ポリアミド樹脂で構成される従来の導電性樹脂組成物と比較して、カーボンナノチューブの添加が少量でも、良好な導電性が得られ易いので、導電性樹脂組成物を用いる樹脂の成形性、および機械的特性(例えば、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強度)が優れる、という顕著な効果を有する。
以下、本発明を、詳細に説明する。
〔導電性樹脂組成物〕
本発明の導電性樹脂組成物は、(A)カーボンナノチューブ、
(B)(1)重量平均分子量(Mw)が35,000〜150,000であり、(2)分子量分布(Mw/Mn)が3以下であり、かつ(3)軟化点が80〜130℃であるオレフィン系重合体、
(C)ポリアミド樹脂成分を含有する熱可塑性樹脂、および
(D)無水マレイン酸変性されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体を含み、
(A)成分の含有量が、(A)〜(D)の合計100質量%に対して、1〜14質量%であり、
(B)成分の含有量が、(A)成分の含有量の0.5〜2質量倍であり、かつ
(D)成分の含有量が、(A)〜(D)の合計100質量%に対して、1〜20質量%であることを特徴とする。
[(A)カーボンナノチューブ]
本発明で用いる(A)成分のカーボンナノチューブは、炭素からなる円筒状の中空繊維状物質であり、その構造は、単層であっても多層であってもよいが、分散のし易さの観点から、多層のものが好ましい。
また、(A)成分のカーボンナノチューブは、いずれの市販品も使用可能であるが、平均直径(平均太さ)が5〜20nm、平均長さが0.5〜50μm程度のものが、使用しやすく、好ましい。カーボンナノチューブの平均直径が5nm以上であれば、混練時にカーボンナノチューブを切れにくくすることができ、20nm以下であれば、導電性を高めることができる。また、カーボンナノチューブの平均長さが0.5μm以上であれば、導電性を高めることができ、50μm以下であれば、混練時の粘度上昇を抑制し、混練および成形をしやすくすることができる。また、上記観点から、カーボンナノチューブの平均直径は、より好ましくは6〜20nm、更に好ましくは7〜20nmであり、平均長さは、より好ましくは0.5〜30μm、更に好ましくは0.6〜15μmである。なお、上記平均長径および平均長さは、カーボンナノチューブを電子顕微鏡(SEM、TEM)で観察し、算術平均することにより求めることができる(n=50)。
(A)成分であるカーボンナノチューブは、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等によって製造することができる。
また、(A)成分であるカーボンナノチューブとしては、公知のカーボンナノチューブを用いることができる。市販品としては、例えば、C−Nano Technology社のFlo Tube9000、Arkema社のC−100、Nanocyl社のNC7000等の多層カーボンナノチューブが、挙げられる。これらの市販品は、上述の平均長径および平均長さを満たし、好ましく用いることができる。また、量産を開始していることや価格競争力の観点からも優れている。
[(B)オレフィン系重合体]
本発明で用いる(B)成分のオレフィン系重合体は、下記(1)〜(3)を満たす。
(1)重量平均分子量(Mw)が35,000〜150,000
(2)分子量分布(Mw/Mn)が3以下
(3)軟化点が80〜130℃
(B)成分であるオレフィン系重合体としては、エチレンおよび炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合してなるオレフィン系重合体が、好ましい。
炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセンおよび1−イコセン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素数3〜24のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、更に好ましくは炭素数3〜6のα−オレフィン、特に好ましくは炭素数3〜4のα−オレフィン、最も好ましくはプロピレンである。
(B)成分のオレフィン系重合体としては、これらのうちの1種を単独で重合したオレフィン系単独重合体を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて共重合して得られるオレフィン系共重合体を使用してもよい。なお、本明細書中において、単に「オレフィン系重合体」という場合には、オレフィン系単独重合体およびオレフィン系共重合体の両方が含まれる。
(B)成分のオレフィン系重合体としては、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がエチレンモノマーであるエチレン系重合体、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体(1)、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がブテンモノマーであるブテン系重合体等が挙げられる。耐熱性および機械的強度の観点からプロピレン系重合体(1)が好ましい。
プロピレン系重合体(1)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、又はプロピレン−α−オレフィングラフト共重合体等から選択されるプロピレン系重合体であることが好ましく、導電性樹脂組成物を用いた成形体の機械的強度の観点から、特にプロピレン単独重合体が好ましい。
プロピレン系重合体(1)は、炭素数が3のα−オレフィン(すなわち、プロピレンモノマー)の構成単位の含有量が、重合体を構成するモノマーの好ましくは50モル%以上、より好ましくは65モル%以上、更に好ましくは75モル%以上、より更に好ましくは80モル%以上である。
また、(B)成分のオレフィン系重合体としては、下記(i)、(ii)の少なくともどちらか一つを満たすプロピレン系重合体(2)も用いることができる。
(i)エチレンの構成単位が、0モル%を超え25モル%以下で含まれる。
(ii)1−ブテンの構成単位が、0モル%を超え30モル%以下で含まれる。
プロピレン系重合体(2)は、炭素数が2のオレフィン(すなわち、エチレンモノマー)を含有する共重合体の場合には、炭素数が2のオレフィンの構成単位の含有量が、重合体を構成するモノマーの好ましくは0モル%を超え25モル%以下、より好ましくは0モル%を超え23モル%以下、さらに好ましくは0モル%を超え20モル%以下、より更に好ましくは0モル%を超え18モル%以下である。また、炭素数が4以上のα−オレフィン(すなわち、1−ブテンモノマー)を含有する共重合体の場合には、1−ブテンの構成単位の含有量が、重合体を構成するモノマーの好ましくは0モル%を超え30モル%以下、より好ましくは0モル%を超え27モル%以下、更に好ましくは0モル%を超え20モル%以下である。
(B)成分のオレフィン系重合体は、重量平均分子量(Mw)が35,000〜150,000、分子量分布(Mw/Mn)が3以下、軟化点が80〜130℃である。重量平均分子量(Mw)が35,000未満のプロピレン系重合体やエチレン系重合体等のいわゆるワックスと呼ばれる重合体は、耐熱性やブリードアウトによる成形体物性への影響があり、使用に制限が生じる。また、重量平均分子量(Mw)が150,000を超える樹脂では、(A)成分の分散処理が困難となる。上記観点から、重量平均分子量(Mw)は、好ましくは40,000〜140,000、より好ましくは42,000〜130,000である。
また、分子量分布(Mw/Mn)が3以下のオレフィン系重合体を使用することで、製品物性に影響する低分子量成分の悪影響と高分子量成分の悪影響とを排除することが可能となる。上記観点から、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.8以下、より好ましくは2.5以下である。
さらに、軟化点を80〜130℃であるオレフィン系重合体を用いることで、(A)成分の分散性を良好にでき、処理温度も下げられる。上記観点から、軟化点は、好ましくは90〜125℃、より好ましくは93〜120℃である。
また、(B)成分としては、メタロセン触媒により合成されたオレフィン系重合体が好適である。
本発明では、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)、および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求める。なお、測定には、下記の装置および条件を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量、および数平均分子量を得る。分子量分布(Mw/Mn)は、これらの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)により算出した値である。
《GPC測定装置》
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C
〔測定条件〕
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :2.2mg/ml
注入量 :160μl
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
また、本発明では、軟化点はボールリング法ISO4625に準拠して求める。
[(C)ポリアミド樹脂を含有する熱可塑性樹脂]
本発明で用いる(C)成分のポリアミド樹脂を含有する熱可塑性樹脂としては、アミノ基を含むポリアミド樹脂、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、およびポリアミドMXD6が挙げられる。
また、(C)成分は、上記のポリアミド樹脂の2種類以上の配合熱可塑性樹脂や、ポリアミド樹脂成分を含有するブロックコポリマーとしても効果的である。ポリアミド樹脂成分を含有するブロックコポリマーとしては、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールを用いたブロックコポリマーであるポリアミドエラストマーが挙げられる。具体的には、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシプロピレンブリコールなどが挙げられる。
さらに、(C)成分は、(D)成分である無水マレイン酸変性されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体を相溶化剤とする、ポリアミド樹脂成分を含有するアロイに対しても効果的である。ポリアミド樹脂とアロイを形成する樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィンエラストマー樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂が挙げられる。
[(D)無水マレイン酸変性されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体]
(D)成分は、相溶化剤であり、ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基が付与されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体である。具体的には、無水マレイン酸変性されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。この共重合体の無水マレイン酸部位が、ポリアミド樹脂のアミノ基成分と結合し、無水マレイン酸部位以外のエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体部位が、オレフィン系重合体と相溶するとともに、カーボンナノチューブによる導電性の向上に寄与することを、本発明者は見出した。この導電性の向上に関する明解なメカニズムについては、充分な解析はできていないが、無水マレイン酸変性されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体が、カーボンナノチューブに纏わりつくことで、カーボンナノチューブの再凝集を防ぎ、適度に分散させ、カーボンナノチューブ同志の電気的な接続が良好に保たれている、と考えられる。
従って、本発明は、アミノ基成分を含有するポリアミド樹脂、例えば、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、及びポリアミドMXD6の導電性向上に有効である。
また、本発明は、上記のポリアミド樹脂の2種類以上の配合組成物や、ポリアミド樹脂成分を含有するブロックコポリマーにも適用できる。ポリアミド樹脂成分を含有するブロックコポリマーとしては、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールを用いたブロックコポリマーであるポリアミドエラストマーが、挙げられる。具体的には、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシプロピレンブリコールなどが、挙げられる。これらに、カーボンナノチューブとオレフィン系重合体を用いて、導電性を付与する際にも、本発明は有効である。
さらに、無水マレイン酸変性されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体を相溶化剤として、ポリアミド樹脂とアロイを形成する多くの樹脂にも適用できる。具体的には、ポリアミド樹脂とアロイを形成する樹脂として、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィンエラストマー樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂が挙げられ、これらのアロイをカーボンナノチューブとオレフィン系重合体を用いて、導電性を付与する際にも、本発明は有効である。
また、無水マレイン酸変性されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体は、数多く上市されており、広く使用できる。
また、一方、共重合に使われる炭素数5以上のα−オレフィンも、有効であると、考えている。例えば、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセンおよび1−イコセン等が、挙げられる。
これらの無水マレイン酸変性されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体の中でも、特に無水マレイン酸変性されたエチレン・1−ブテン共重合体は、軟化温度が低くて、使い易く、好ましい。
以下、(D)成分が、無水マレイン酸変性されたエチレン・1−ブテン共重合体である場合について、説明する。
無水マレイン酸変性されたエチレン若しくはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体の中でも、特に無水マレイン酸変性されたエチレン・1−ブテン共重合体は、軟化温度の低いので、(B)成分のオレフィン系重合体との相溶性とカーボンナノチューブの分散性の制御に適していると本発明者は、考えている。また、副次的な効果ではあるが、無水マレイン酸変性されたエチレン・1−ブテン共重合体は、該導電性樹脂組成物の低温耐衝撃性を向上させる。
導電性樹脂組成物の(A)〜(D)の4成分の含有比率は、導電性樹脂組成物を用いた成形体の導電性と機械的特性に影響を与えるので、これらのバランスを取るべく、上記4成分の含有量を調整する。
(A)成分の含有量は、(A)〜(D)成分の合計100質量%に対して、1〜14質量%であり、好ましくは2〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%である。(A)成分の含有量が1質量%未満では、導電性が発現しないおそれがある。一方、(A)成分の含有量が14質量%を超えると、導電性は高くなるが、(C)成分の含有量が少なくなるため、導電性樹脂組成物を用いた成形体の機械的特性に劣るおそれがある。
(B)成分の含有量は、(A)成分の含有量の0.5〜2質量倍であり、好ましくは0.7〜1.8質量倍、より好ましくは1.0〜1.8質量倍である。(B)成分の含有量が0.5倍未満では、(A)成分の分散性が悪くなり、導電性樹脂組成物を用いた成形体の導電性を低下させるおそれがある。一方、(B)成分の含有量が2倍を超えると導電性樹脂組成物を用いた成形体が柔らかくなる傾向となる。
(D)成分の含有量は、(A)〜(D)成分の合計100質量%に対して、1〜20質量%であり、好ましくは2〜17質量%、より好ましくは2〜15質量%である。(D)成分の含有量が1質量%未満では、導電性樹脂組成物を用いた成形体への高い導電性の発現の為の添加効果が不十分となるおそれがある。一方、(D)成分の含有量が20質量%を超えると、逆に導電性樹脂組成物を用いた成形体の導電性は低くなる。(D)成分が20質量%を超えるような含有量になると導電性樹脂組成物を用いた成形体の導電性が低下する理由については、充分には解明できていないが、(D)成分はカーボンナノチューブの分散に寄与する一方で、多過ぎるとカーボンナノチューブ同志の電気的な接続の邪魔をするためである、と考えられる。
なお、(C)成分の含有量は、(A)〜(D)成分の合計100質量%から(A)成分、(B)成分、および(D)成分の含有量を差し引いた残部となる。そのため、(A)成分、(B)成分、および(D)成分の含有量が多くなると、相対的に(C)成分の含有量は少なくなる。導電性と機械的特性のバランスを取るうえで、(C)成分の含有量を確保することは、必要であり、そのためには、できる限り少ない(A)成分の含有量で、導電性樹脂組成物を用いた成形体に導電性を発現させることが、重要である。
[その他の成分]
本発明の導電性樹脂組成物は、以上の各成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に一般に含有される非導電性の無機充填剤、例えば炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、タルク、珪藻土、マイカ、ガラス、アルミナ、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム;滑剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;顔料;有機充填剤等の添加剤を必要に応じて含有することができる。
〔導電性樹脂組成物の製造方法〕
次に、上述の導電性樹脂組成物の製造方法の一例を説明する。
まず、本発明の導電性樹脂組成物の製造方法の一例は、(A)成分および(B)成分を、温度90℃以上、攪拌速度300rpm以上で撹拌して、混合物を得て、その混合物を(C)成分と(D)成分に添加して、樹脂組成物を得る方法である。
本発明の導電性樹脂組成物の製造について、詳しく説明する。(A)成分および(B)成分を混合機に投入し、(B)成分が軟化する温度以上、即ち90℃以上で、攪拌速度300rpm以上の高速度で攪拌混合することで、(A)成分がほぐされると共に、(A)成分の表面に(B)成分が付着する。このようにして、(A)成分の表面に(B)成分が付着することで、(C)成分と(D)成分との溶融混練時に、(A)成分が(C)成分と(D)成分とに容易に混ざり合う要因となり、(A)成分の(C)成分と(D)成分とへの高分散を可能にしている。
攪拌温度は、好ましくは100〜180℃、より好ましくは120〜160℃であり、攪拌速度は、好ましくは400〜3000rpm、より好ましくは500〜2500rpmである。また、攪拌時間は(A)成分と(B)成分とが十分に攪拌混合されれば、特に限定されないが、好ましくは5分〜24時間、より好ましくは10分〜12時間である。攪拌混合するための混合機としては、例えば、ディゾルバー、バタフライミキサー、パドル羽根ミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、トリミックスなど、公知の高速攪拌混合機を使用することができる。具体的には、日本コークス工業株式会社製のFMミキサーや株式会社カワタ製のスーパーミキサー等が挙げられる。
また、混合方法としては、ワンショットで(A)成分全量と(B)成分全量とを混合してもよいが、(A)成分全量と(B)成分の一部とを混合したのち、残部の(B)成分をさらに添加、混合する方法や、(A)成分の一部と(B)成分全量とを混合したのち、残部の(A)成分をさらに添加、混合する方法などの多段階で混合してもよい。
上記混合により、(A)成分の表面を(B)成分が被覆した粉状混合物を得ることができる。
次に、得られた(A)成分と(B)成分との混合物(粉状混合物)を、(C)成分と(D)成分に添加し、混合する。
(A)成分と(B)成分との混合物(粉状混合物)と、(C)成分および(D)成分との混合物は、一軸あるいは二軸押出機で溶融混練し、ストランド状に押出しペレットに造粒することにより、導電性樹脂組成物を得ることができる。溶融混練での加熱温度は、好ましくは150〜600℃、より好ましくは200〜500℃である。
また、上記混合物(粉状混合物)と、(C)成分と(D)成分の一部とを、一軸あるいは二軸押出機で溶融混練し、ストランド状に押出しペレットに造粒し、次の工程で残りの(C)成分と(D)成分とを混合し、一軸あるいは二軸押出機で溶融混練し、ストランド状に押出しペレットに造粒する、いわゆるマスターバッチ方式を用いても良い。
上述の製造方法によれば、(A)成分のカーボンナノチューブを樹脂中に高分散させることができるため、少ない添加量で導電性を有すると共に、機械的特性に優れた成形体を成形可能な導電性樹脂組成物とすることができる。また、上述の製造方法は、シンプルでコスト低減にも優れた方法である。
上述の製造方法により得られる導電性樹脂組成物のメルトフローレイト(MFR)は、好ましくは0.1〜100g/10min、より好ましくは0.3〜50g/10minである。
また、導電性樹脂組成物の硬化物を用いる成形体の体積抵抗率は、好ましくは1×10〜1×10Ω・cm、より好ましくは1×10〜2×10Ω・cmである。
上記樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率は、好ましくは200MPa以上、より好ましくは300MPa以上、更に好ましくは400MPa以上とすることができる。
また、該樹脂組成物の硬化物のシャルピー衝撃強度は、好ましくは0.5kJ/m以上、より好ましくは0.7kJ/m以上、更に好ましくは1.0kJ/m以上である。
なお、上記各物性値の測定は、具体的には、実施例に記載の方法により測定できる。
〔導電性樹脂組成物を用いた成形体〕
本発明の導電性樹脂組成物を用いた成形体は、通常、熱可塑性樹脂に採用されている各種成形方法により、製造することができる。製造方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、カレンダー成形法、プレス成形法などが、挙げられる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
全ての実施例と比較例は、(A)成分と(B)成分について、上記混合物(粉状混合物)の作製を経由した後、上記混合物(粉状混合物)に(C)成分と(D)成分とを加え、次工程での溶融混練・造粒工程とする製造方法で行った。
〔曲げ試験、およびシャルピー衝撃試験サンプルの作製〕
射出成型機(東芝機械株式会社製、IS80EPN−2A)、およびJIS K6911準拠の試験片成形用金型(型締力:80t)を用いて、曲げ試験、およびシャルピー衝撃試験サンプルを作製した。なお、成形時のシリンダー設定温度は、200〜350℃とした。
〔物性の評価〕
(1)体積抵抗率の測定
射出成型によるサンプル作製では、縦13mm×横180mm、厚さ約3mmのプレートを、射出成型機により作製した。作製したプレート中央部から縦13mm×横30mm、厚さ約3mmで、体積抵抗率の測定片を切り出し、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、ロレスタGPMCP−T610型)で、体積抵抗率を測定した。体積抵抗率は、1×10Ω・cm以下が好ましい。
(2)メルトフローレイト(MFR)
JIS K7210に準拠し、メルトインデクサ(株式会社東洋精機製作所製、P−01型)により、測定した。測定温度、および荷重については、表1〜表2に示した。MFRは、0.1g/10min以上が好ましい。
(3)曲げ試験
JIS K7203に準拠し、精密万能試験機(株式会社島津製作所製、AGS−500A型)により、曲げ弾性率を測定した。曲げ弾性率は、200MPa以上が好ましい。
(4)シャルピー衝撃強度
JIS K7111に準拠し、万能振子式衝撃試験機(CEAST社製、6545/000型)により測定した。シャルピー衝撃強度は、0.5KJ/m以上が好ましい。
実施例および比較例で使用した各成分の詳細は、以下のとおりである。
[(A)成分:カーボンナノチューブ]
・(A−1):Nanocyl社製、「NC7000」(平均直径9.5nm、平均長さ1.5μm)
・(A−2):Arkema社製、「C−100」(平均直径13nm、平均長さ4μm)
[(B)成分:オレフィン系重合体]
・(B−1):出光興産株式会社製、「エルモーデュ S400」(メタロセン触媒 低立体規則性ポリオレフィン、Mw=45,000、(Mw/Mn)=2、軟化点:93℃)
・(B−2):出光興産株式会社製、「エルモーデュ S901」(メタロセン触媒 低立体規則性ポリオレフィン、Mw=130,000、(Mw/Mn)=2、軟化点:120℃)
[(C)成分:ポリアミド樹脂成分を含有する熱可塑性樹脂]
・(C−1):宇部興産株式会社製、「ナイロン樹脂 射出1013B」(PA6)
・(C−2):Arkema社製、「Rilsan BMF O」(PA11)
・(C−3):三菱ガス化学株式会社製、「MXナイロン S6007」(PA MXD6)
(C−4) :Arkema社製、「Pebax4533SP01」(PAエラストマー PA12とポリテトラメチレンエーテルグリコールの共重合体)
[(D)成分:無水マレイン酸変性されたエチレン若しくはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体]
・(D−1):三井化学株式会社製、「タフマーMH5040」(無水マレイン酸変性されたエチレン・1−ブテン共重合体、MFR(230℃):1.1g/10min)
・(D−2):三井化学株式会社製、「タフマーMH7020」(無水マレイン酸変性されたエチレン・1−ブテン共重合体、MFR(230℃):1.5g/10min)
・(D−3):三井化学株式会社製、「タフマーDF610」(エチレン・1−ブテン共重合体、MFR(230℃):2.2g/10min)
〔実施例1〜5、および比較例1〜5〕
日本コークス工業株式会社製のFMミキサー(FM10C/I、容量:9dm)に、表1〜表2に示す(A)成分と(B)成分を各含有量で投入し、攪拌温度140℃、攪拌時間60分、回転数1000rpmの条件で攪拌混合し、粉状混合物を得た。なお、JIS K5101に準拠し、(A−1)のカーボンナノチューブ「NC7000」、および得られた(A)成分と(B)成分の粉状混合物の嵩密度を測定したところ、(A−1)は0.07g/cm、粉状混合物は0.40g/cmであった。
その後、得られた粉状混合物と、表1〜2に示す含有量の(C)成分と(D)成分を、ドライブレンドし、次いで、二軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM−35B〔スクリュー径:35mm、L/D:32、ベント式〕)を用いて、撹拌回転数100rpm、表1〜2に示すMFR測定温度+30℃の混練温度で、溶融混練した。さらに、二軸混練機の出口に直径3mmのストランド取出し用穴付きのダイスを取り付け、該ダイスから混練物を押し出して水槽に入れ、冷却した後、ストランドカッターでペレット化した。表1〜2に、得られた導電性樹脂組成物の物性評価を示す。なお、表1〜2中、空欄は含有なしを表す。
Figure 2018048254
Figure 2018048254
表1〜表2から、以下がわかった。(A)成分と(B)成分の含有量が同一であり、(D)成分の含有量が6.0質量%の実施例1と0.5質量%の比較例1とでは、実施例1の方が、体積抵抗率が小さく、曲げ弾性率が大きく、シャルピー衝撃強度が大きかった。従って、導電性樹脂組成物として、実施例1の方が優れていた。(D)成分を適量添加することで、カーボンナノチューブの分散が良くなり、導電性が良くなった、と考えられる。また、カーボンナノチューブの分散が良くなったことで、曲げ弾性率とシャルピー衝撃強度の向上が生じた、と考えられる。
(A)成分と(B)成分の含有量が同一であり、(D)成分の含有量が6.0質量%の実施例1と25.0質量%の比較例2とでは、実施例1の方が、体積抵抗率が小さく、曲げ弾性率が大きかった。シャルピー衝撃強度については、比較例2の方が、大きかった。(D)成分の含有量の増加に伴い、比較例2は、軟質な特性に移行したが、体積抵抗率は、著しく上昇した。これは、(D)成分の含有量が多過ぎるため、カーボンナノチューブによる導電回路の形成を阻害されてしまったためである、と考えられる。(D)成分の含有量は、少な過ぎても多過ぎても、良好な導電性樹脂組成物を得られなかった。
(A)成分であるカーボンナノチューブの含有量を18.0質量%に増加した比較例3と実施例1とを比べると、比較例3の方が、体積抵抗率は、小さく良好な導電性を示したが、MFRは、小さく、曲げ弾性率は大きく、シャルピー衝撃強度は、著しく低かった。比較例3は、溶融時にかなり流れ難く(すなわち、成形性が悪く)、成形体は、硬くて脆くなっており、成形体として、実用に適さないものであった。比較例3は、少ないカーボンナノチューブの含有量で良好な導電性と、優れた成形性と機械的特性の両方を有する樹脂を目的とする本発明の効果を奏さなかった。
(A)成分であるカーボンナノチューブの含有量を0.5質量%に減らした比較例4と実施例1とを比べると、比較例4の体積抵抗率は、1×10Ω・cmを超えており、導電性が悪かった。
(D)成分である無水マレイン酸変性されたエチレン・1−ブテン共重合体のかわりに、無水マレイン酸変性されていないエチレン・1−ブテン共重合体を用いた比較例5と実施例1とを比べると、比較例5の体積抵抗率は、3×10Ω・cmと著しく高く、MFR、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強度が、ほぼ同等であるが、導電性樹脂組成物の成形体として、実用に適さないものであった。
実施例2では、実施例1と比較して、(B)成分を、(B−1)から(B−2)に、(D)成分を、(D−1)から(D−2)に、変更したが、良好な結果であった。
実施例3では、実施例1と比較して、(C)成分を、(C−1)から(C−2)に、変更したが、良好な結果であった。
実施例4では、実施例1と比較して、(A)成分を、(A−1)から(A−2)に、(C)成分を、(C−1)から(C−3)に、変更したが、良好な結果であった。
実施例5では、実施例1と比較して、(A)成分を、(A−1)から(A−2)に、(C)成分を、(C−1)から(C−4)に、変更したが、良好な結果であった。この実施例5では、(A)成分であるカーボンナノチューブの含有量を10.0質量%に増やしたことで体積抵抗率が9×10−1Ω・cmと顕著に低い値が得られた。なお、(C−4)は、ポリアミド樹脂成分を含有する熱可塑性樹脂のポリアミドエラストマーである。
実施例および比較例を鳥瞰してみると、(D)成分が無水マレイン酸変性されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体である、具体的には無水マレイン酸変性されたエチレン・1−ブテン共重合体を、本発明の範囲内で添加した実施例1〜5については、良好な結果が得られた。一方、本発明の範囲外の比較例1〜5については、実施例1〜5より劣る結果となっており、本発明が顕著な効果を有することがわかった。
本発明の導電性樹脂組成物からなる成形体は、従来、導電性付与剤として使用されているカーボンブラックやグラファイトと比較して、カーボンナノチューブの添加が少量でも、良好な導電性が得られ易いので、導電性樹脂組成物を用いる樹脂の成形性、および機械的特性が優れ、帯電防止が求められる射出成形品、押出成形品、フィルム、シートに好適である。

Claims (3)

  1. (A)カーボンナノチューブ、
    (B)(1)重量平均分子量(Mw)が35,000〜150,000であり、(2)分子量分布(Mw/Mn)が3以下であり、かつ(3)軟化点が80〜130℃であるオレフィン系重合体、
    (C)ポリアミド樹脂を含有する熱可塑性樹脂、および
    (D)無水マレイン酸変性されたエチレンまたはプロピレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共重合体を含み、
    (A)成分の含有量が、(A)〜(D)の合計100質量%に対して、1〜14質量%であり、
    (B)成分の含有量が、(A)成分の含有量の0.5〜2質量倍であり、かつ
    (D)成分の含有量が、(A)〜(D)の合計100質量%に対して、1〜20質量%であることを特徴とする、導電性樹脂組成物。
  2. (D)成分が、無水マレイン酸変性されたエチレン・1−ブテン共重合体である、請求項1記載の導電性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載の導電性樹脂組成物の硬化物を用いる、成形体。
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