JP2004225055A - プラスチック材料及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリプロピレンとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とアイオノマー樹脂とを含むプラスチック材料、及びそれを用いた成形体を提供する。
【解決手段】 ポリプロピレンとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とアイオノマー樹脂とを含む、プラスチック材料。ポリプロピレン及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体のうちの少なくとも一方は、リサイクルすべき使用済みのものであってもよい。ポリプロピレンとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体との合計100重量部に対して、アイオノマー樹脂0.1〜100重量部を含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、複数のポリマーを相溶化させてポリマーアロイを得る上で有用な相溶化剤に関する。また、本発明は、廃棄されたプラスチックをリサイクルするためのプラスチックリサイクル用改質剤、及び前記改質剤を用いたプラスチック材料リサイクル方法に関する。さらに、本発明は、前記相溶化剤及び/又は前記改質剤が配合されたプラスチック材料、及び前記改質剤が配合された再生プラスチック材料に関する。さらに、本発明は、前記プラスチック材料又は前記再生プラスチック材料からなるプラスチック成形体にも関する。
近年、地球環境保護、資源の有効利用すなわち再資源化、廃棄物処理問題などの観点から、廃棄プラスチックの再生利用は重要な課題となっている。
現在、廃棄プラスチックの中で最も再生利用されているのは、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂である。廃棄ポリオレフィン系樹脂の再生利用の拡大が特に重要である。
廃棄プラスチックの完全な分別回収は困難であり、再生過程においては、通常複数種のポリマーが混合される。そのため、再生されたプラスチックのポリマー物性は低下する。プラスチック再生時にオイルなどの可塑剤を多量に配合して物性低下防止を図っているが、元の物性を回復することは困難である。
また、再生時に混合される複数種のポリマーが互いに非相溶の異種ポリマーであれば、均一な分散が得られず、再生されたプラスチックのポリマー物性は大きく低下する。このように、再生されたプラスチックのポリマー物性は低いため、低い物性値であっても使用可能な限られた用途にしか、再生プラスチックを利用することができない。
互いに非相溶の異種ポリマーの分散を良好にするために、相溶化剤が用いられる。相溶化剤としては、従来、ランダムコポリマー系、グラフト・ブロックコポリマー系などの相溶化剤、反応相溶化剤などが知られている。反応相溶化剤とよばれるものは、二重結合、カルボキシル基、エポキシ基などを有するポリマーであって、成形加工工程で相溶化させようとするポリマーの一方または両方と反応してグラフトまたはブロック構造に基づく界面活性剤的な働きをして相溶化剤として機能する(参考文献:「ポリマーアロイ」基礎と応用、高分子学会編、1993年発行)。
また、特開平8−302217号公報には、オキサゾリン環を有する相溶化剤が記載されている。
しかしながら、従来の相溶化剤は相溶化効果が不十分であり、異なる種類の廃棄プラスチックの再生に用いた場合、物性低下の抑制や成形不良の改良効果は必ずしも充分ではない。このため、廃棄プラスチックの再利用には限界がある。
このような事情から、廃棄プラスチックをリサイクルし再資源化するに当たり、異種ポリマーが混合された場合、とりわけ互いに非相溶の異種ポリマーが混合された場合であっても、ポリマー物性低下が生じない技術の開発が要望されている。ポリマー物性を維持できれば、再生プラスチック材料を種々の用途に展開することが可能であり、有効な再利用が達成される。
特開平8−302217号公報
そこで、本発明の目的は、複数のポリマーを相溶化させてポリマーアロイを得る上で有用な相溶化剤を提供することにある。また、本発明の目的は、廃棄されたプラスチックをリサイクルするに際して、プラスチックの物性を低下させないプラスチックリサイクル用改質剤、及び前記改質剤を用いたプラスチック材料リサイクル方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、前記相溶化剤及び/又は前記改質剤が配合されたプラスチック材料、及び前記改質剤が配合された再生プラスチック材料を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、前記プラスチック材料又は前記再生プラスチック材料から構成されたプラスチック成形体、特にガス機器用プラスチック部品を提供することにもある。
本発明者らは、鋭意検討し、アイオノマーが異種ポリマーの相溶化に優れた効果を有することを見いだした。この効果をもとに、廃棄ポリオレフィンと廃棄エンジニアリングプラスチックとの相溶性を改善することにより、良い力学性質を有する再生プラスチック材料が得られることを本発明者らは見いだし、本発明に至った。
本発明には、以下の発明が含まれる。
(1) ポリプロピレンとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とアイオノマー樹脂とを含む、プラスチック材料。
(2) ポリプロピレン及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体のうちの少なくとも一方は、リサイクルすべき使用済みのものである、(1) に記載のプラスチック材料。
(3) ポリプロピレンとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体との合計100重量部に対して、アイオノマー樹脂0.1〜100重量部を含む、(1) 又は(2) に記載のプラスチック材料。
(4) アイオノマー樹脂が、エチレン―メタクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン―アクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン―メタクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン―アクリル酸共重合体アイオノマー、ブチレン―アクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−ビニルスルホン酸共重合体アイオノマー、スチレン―メタクリル酸共重合体アイオノマー、スルホン化ポリスチレンアイオノマー、フッ素系アイオノマー、テレケリックポリブタジエンアクリル酸アイオノマー、スルホン化エチレン−プロピレン−ジエン共重合体アイオノマー、水素化ポリペンタマーアイオノマー、ポリペンタマーアイオノマー、ポリ(ビニルピリジウム塩)アイオノマー、ポリ(ビニルトリメチルアンモニウム塩)アイオノマー、ポリ(ビニルベンジルホスホニウム塩)アイオノマー、スチレン−ブタジエンアクリル酸共重合体アイオノマー、ポリウレタンアイオノマー、スルホン化スチレン−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンサルフェイトアイオノマー、酸−アミンアイオノマー、脂肪族系アイオネン、芳香族系アイオネン及びこれらの混合物から選ばれる、(1) 〜(3) のうちのいずれかに記載のプラスチック材料。
(5) (1) 〜(4) のうちのいずれかに記載のプラスチック材料から構成されたプラスチック成形体。
本発明によれば、複数のポリマーを相溶化させてポリマーアロイを得る上で有用な相溶化剤が提供される。また、本発明によれば、廃棄されたプラスチックをリサイクルするに際して、プラスチックの物性を低下させないプラスチックリサイクル用改質剤、及び前記改質剤を用いたプラスチック材料リサイクル方法が提供される。
さらに、本発明によれば、前記相溶化剤及び/又は前記改質剤が配合されたプラスチック材料、及び前記改質剤が配合された再生プラスチック材料が提供される。
本発明は、互いに相溶性の異種ポリマーにも適用できるが、とりわけ、互いに非相溶の異種ポリマー(例えば、脂肪族ポリマーと芳香族ポリマー、極性ポリマーと非極性ポリマー)を相溶化させたい場合に特に有効である。
本発明の再生プラスチック材料の物性は良好であり広い分野・用途に利用可能であるので、本発明は、廃棄プラスチックの再生利用に大いに貢献する。
さらに、本発明によれば、前記プラスチック材料又は前記再生プラスチック材料から構成されたプラスチック成形体、特にガス機器用プラスチック部品が提供される。ガス機器用プラスチック部品としては、ガスコンロ、ガス給湯器等のつまみ、スイッチボタン、ケーシング等が挙げられる。その他の種々の部品として適用できる。
本発明において、相溶化剤としてアイオノマー樹脂を用いる。
本発明において、プラスチックリサイクル用改質剤とは、前記アイオノマー樹脂を主成分として含むものである。
本発明において、アイオノマー樹脂としては、種々のタイプのものが含まれる。典型的なアイオノマーは、(a)ホスト高分子の主鎖に部分的に側鎖イオン基が存在するものである(側鎖型)。別のタイプのアイオノマーは、(b)両末端に例えばカルボン酸基が存在するホスト高分子あるいはオリゴマーに金属イオンが中和することより高分子化したものである(テレケリック型)。また別のタイプのアイオノマーは、(c)主鎖に陽イオンを有し、そこに陰イオンが結合したものである(アイオネン)。
Figure 2004225055
ホスト高分子のイオン基に対する対イオンとしては、Li+ 、Na+ 、K+ 等のアルカリ金属イオン、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+等のアルカリ土類金属イオン、Zn2+、Cu2+、Mn2+、Ni2+、Co2+、Co3+、Fe3+、Cr3+等の遷移金属イオンが用いられる。また、陽イオンホスト高分子に対しては、Cl- 、Br- 、I- 等の陰イオンが用いられる。
このようなアイオノマー樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エチレン―メタクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン―アクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン―メタクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン―アクリル酸共重合体アイオノマー、ブチレン―アクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−ビニルスルホン酸共重合体アイオノマー、スチレン―メタクリル酸共重合体アイオノマー、スルホン化ポリスチレンアイオノマー、フッ素系アイオノマー、テレケリックポリブタジエンアクリル酸アイオノマー、スルホン化エチレン−プロピレン−ジエン共重合体アイオノマー、水素化ポリペンタマーアイオノマー、ポリペンタマーアイオノマー、ポリ(ビニルピリジウム塩)アイオノマー、ポリ(ビニルトリメチルアンモニウム塩)アイオノマー、ポリ(ビニルベンジルホスホニウム塩)アイオノマー、スチレン−ブタジエンアクリル酸共重合体アイオノマー、ポリウレタンアイオノマー、スルホン化スチレン−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンサルフェイトアイオノマー、酸−アミンアイオノマー、脂肪族系アイオネン、芳香族系アイオネン等が挙げられる。
これらアイオノマー樹脂は、互いに非相溶の異種ポリマーを相溶化させる効果を有する。これらアイオノマー樹脂の1種を相溶化剤又はプラスチックリサイクル用改質剤として用いてもよく、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
これらアイオノマー樹脂のうち、エチレン―メタクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン―アクリル酸共重合体アイオノマーが好ましく用いられる。これらは、脂肪族ポリマーと芳香族ポリマーの相溶性、及び極性ポリマーと非極性ポリマーの相溶性を向上させる場合に特に有効である。エチレン―メタクリル酸共重合体アイオノマーとして、より具体的には、ハイミラン1554、ハイミラン1555、ハイミラン1557、ハイミラン1601、ハイミラン1605、ハイミラン1650、ハイミラン1652、ハイミラン1652 SR 、ハイミラン1652 SB 、ハイミラン1702、ハイミラン1705、ハイミラン1706、ハイミラン1707、ハイミラン1855、ハイミラン1856(以上、三井・デュポンポリケミカル株式会社製)が挙げられる。
本発明において、相溶化させるべき及び/又はリサイクルすべきプラスチックには、特に限定されることなく、種々のプラスチック、ゴムなどの高分子材料を含む材料が含まれる。
高分子材料として具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン(PS)、ACS樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ASA樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、塩素化ポリエーテル、塩素化ポリエチレン、アリル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−α―オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、EVA樹脂、FRP、アイオノマー、メタクリル−スチレン共重合体、ニトリル樹脂、ポリエステル〔ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)〕、オレフィンビニルアルコール共重合体、石油樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリアリルスルフォン、ポリベンゾイミダゾール、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリケトン、メタクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、SAN樹脂、ブタジエン−スチレン樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリ酢酸ビニル、キシレン樹脂、熱可塑性エラストマー、EPDM、CR、BR、ニトリルゴム、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム等が挙げられる。これらは、例示であって、他の種々のポリマーも含まれる。
本発明の相溶化剤及び/又はプラスチックリサイクル用改質剤は、互いに非相溶の異種ポリマー(例えば、脂肪族ポリマーと芳香族ポリマー、極性ポリマーと非極性ポリマー)を相溶化させる効果に優れ、上記のうちの任意の複数種のポリマーを相溶化させることができる。もちろん、互いに相溶性の異種ポリマーは、本発明の相溶化剤及び/又はプラスチックリサイクル用改質剤を用いて相溶化する。
従って、廃棄量が多く再生利用の要望が強いポリオレフィン系樹脂やエンジニアリングプラスチックの再生に、本発明の相溶化剤及び/又はプラスチックリサイクル用改質剤を用いる利点が大きい。
ポリオレフィン系樹脂には、主として、ポリプロピレン、極低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等及びそれらの混合物が含まれる。エンジニアリングプラスチックには、ABS樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアセタールポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン、ポリイミド等及びそれらの混合物が含まれる。
本発明の相溶化剤及び/又はプラスチックリサイクル用改質剤が好ましく適用される互いに非相溶の異種ポリマーの組合せとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂とエンジニアリングプラスチックの組合せが挙げられる。より具体的には、例えば、PEとPET、PPとABS、PPとPSの組合せが挙げられる。もちろん、これらの他にも、多様な組合せが存在する。2種の異種ポリマーのみならず、3種以上の異種ポリマーの組合せにも適用される。
従来、これらの再生において、廃棄プラスチック中に異種ポリマーの混入があるため、十分高い物性を有する再生プラスチック材料は得られなかった。本発明の相溶化剤及び/又はプラスチックリサイクル用改質剤によって、異種ポリマーを含む廃棄プラスチックの相溶化が達成でき、十分高い物性を有する再生プラスチック材料が得られる。
本発明のプラスチック材料リサイクル方法において、リサイクルすべきプラスチックに、前記プラスチックリサイクル用改質剤を配合して、再生プラスチックを得る。通常、リサイクルすべき廃棄プラスチックには、複数種のポリマーが含まれている。
前記改質剤の配合量は、リサイクルすべきプラスチックの種類や、それに混入している他種ポリマーの種類や量によって、適宜決定するとよい。他種ポリマーが、リサイクルすべき主たるプラスチックと同系統のポリマー(すなわち、比較的相溶性のあるポリマー)であれば、前記改質剤の配合量は比較的少なくてもよいであろう。一方、他種ポリマーが、リサイクルすべき主たるプラスチックと非相溶のポリマーであれば、同系統のポリマーの場合に比べると、前記改質剤の配合量は多くなるであろう。また、主たるプラスチックへの他種ポリマーの混入量が多くなると、一般的に前記改質剤の配合量も多くする必要がある。
例えば、特に限定されることなく、リサイクルすべきプラスチック100重量部に対して、前記改質剤0.1〜100重量部を配合することにより良好な相溶性が得られる場合が多く、前記改質剤0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部を配合することにより良好な相溶性が得られる場合も多い。前記改質剤が0.1重量部未満では、改質剤量が少ないので、相溶化効果が得られにくい。一方、前記改質剤を100重量部も用いれば、通常は十分な相溶化効果が得られ、これより多い量を用いることはコストアップにつながる。また、前記改質剤の配合量によって、ポリマーアロイのモルフォロジーの制御も可能である。モルフォロジーの制御によって、ポリマー素材としての応用範囲も広くなる。
プラスチックリサイクル用改質剤として、前記相溶化剤のみを用いてもよく、さらに、例えば、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、変性剤、着色剤、カップリング剤、防腐剤、防カビ剤、各種無機充填剤(炭酸カルシウム、シリカ、アルミナなど)等の添加剤を適宜配合してもよい。
配合方法は、特に限定されることなく、通常の溶融混練方法により行うことができる。例えば、ロールニーダー、バンバリーミキサー、インターミックス、1軸押出機、2軸押出機などの混練機で混練すると良い。混練は、前記混練機のうちから選ばれる1種の混練機を用いて行ってもよく、又は2種以上の混練機を用いて行ってもよい。そして、慣用の成形法、例えば、射出成形法、押し出し成形法等により、前記改質剤が配合された再生プラスチック材料が得られる。所定の形状に成形することによって、各種プラスチック成形体が得られる。例えば、ガス機器用の各種プラスチック部品が得られる。
得られた再生プラスチック材料は、アイオノマー樹脂の配合により、異種ポリマーが良好に相溶化されている。その結果、ポリマー物性が非常に優れており、種々の用途に、例えば再生前と同じ用途にも再生プラスチック材料を利用することができる。ポリマー物性を低下させない点に、本発明の大きな利点がある。
本発明は、リサイクルすべき廃棄プラスチックの再生のみならず、未使用の複数のプラスチック材料を混合相溶化・改質する場合にも、同様に適用することができる。さらに、リサイクルすべき廃棄プラスチックと未使用の1種又は複数のプラスチック材料とを混合相溶化・再生する場合にも、同様に適用することができる。従来、ポリマーアロイ化が困難であった互いに非相溶の異種ポリマーを混合相溶化させたい場合に、本発明の利点がある。前記相溶化剤及び/又は前記改質剤が配合されたプラスチック材料は、アイオノマー樹脂の配合により、異種ポリマーが良好に相溶化されている。その結果、ポリマー物性が非常に優れており、アロイ化前のそれぞれのポリマー物性を上回ることもある。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1〜6、比較例1〜6]−参考例
ここでは、未使用のポリエチレン(PE)と未使用のポリエチレンテレフタレート(PET)の相溶化、改質を行った。実施例1では、PE(ニポロンハード 2500、東ソー製)95重量部、PET(ダイヤナイトPA−500、三菱レイヨン製)5重量部及び相溶化剤ハイミラン 1706(三井・デュポンポリケミカル製)5重量部を、2軸押出機(株式会社テクノベル製、KZW15−30MG)を用いて溶融混練し、押し出した。続いて、ホットプレスを用いて、300℃、10MPaで5分間加圧し、これを室温まで冷却して、厚さ1mmの試験片を作製した。
<押出条件>
温度設定:フィード 240℃、混練部 290℃、ヘッド 260℃
回転数:60rpm
実施例2〜6では、PE、PET及び相溶化剤の配合重量比を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして、試験片をそれぞれ作製した。
比較例1〜6では、相溶化剤を用いずに、PE及びPETの配合重量比を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして、試験片をそれぞれ作製した。
得られた各試験片につき、JIS K 7113に準じて引張強度(MPa)、JIS K 7113に準じて引張弾性率(GPa)を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2004225055
表1より、PE/PET重量比が同一の場合、相溶化剤5重量部を配合することにより、試験片の引張強度と引張弾性率は向上した。実施例1〜4では、PE単独のもの(比較例1)よりも、引張強度と引張弾性率は向上した。すなわち、PE/PET合計に対して30重量%未満のPET混入量であれば、本発明の相溶化剤5重量部を添加することにより、元のPE単独のものよりも物性を向上させることができた。また、実施例5〜6から、PET混入量がPE/PET合計に対して40重量%と多くなると、相溶化剤5重量部の配合では、元のPE単独のものに比べやや劣ったが、相溶化剤10重量部の配合では、物性を回復することができた。
これに対して、比較例2〜6では、相溶化剤を用いていないので、元のPE単独の物性は回復されなかった。
次に、いくつかの試験片サンプルの破断面の走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った。観察は、真空下8mAの電流で3分間、金を蒸着後、電圧12kVで行った。図1は、比較例3の試験片サンプル、図2は、実施例2の試験片サンプル、図3は、比較例6の試験片サンプル、図4は、実施例5の試験片サンプル、図5は、実施例6の試験片サンプルのそれぞれの破断面のSEM写真である。
図1(比較例3)では、PETはPE中にあまり分散されていなかった。これに対して、図2(実施例2)では、PETはPE中に良く分散されていた。
図3(比較例6)では、PETが大きな球形粒子のまま存在し、PE中への分散性が不良であった。これに対して、図4(実施例5)では、PET含量が多いため、PETの球形粒子が存在したが、図3に比べるとPE中に良く分散されていた。図5(実施例6)では、相溶化剤 (Compatilizer) 量が多く、PETはPE中に非常に良く分散されていた。以上より、本発明の相溶化剤の相溶化効果、ポリマー物性向上効果が明らかとなった。
[実施例7、比較例7]−参考例
ここでは、未使用のポリプロピレン(PP)と未使用のポリスチレン(PS)の相溶化、改質を行った。実施例7では、PP(ノバテックBC03LS、日本ポリケム製)80重量部、PS(NS−280、出光石油化学製)20重量部及び相溶化剤ハイミラン 1706(三井・デュポンポリケミカル製)5重量部を、2軸押出機(株式会社テクノベル製、KZW15−30MG)を用いて溶融混練し、押し出した。続いて、ホットプレスを用いて、250℃、10MPaで5分間加圧し、これを室温まで冷却して、厚さ1mmの試験片を作製した。
比較例7では、相溶化剤を用いなかった以外は、実施例7と同様にして、試験片を作製した。
<押出条件>
温度設定:フィード 160℃、混練部 210℃、ヘッド 165℃
回転数:60rpm
得られた各試験片につき、実施例1と同様にして、引張強度、引張弾性率を測定した。これらの結果を表2に示す。表2より、PP/PS=80/20重量比に相溶化剤5重量部を配合することにより、試験片の引張強度と引張弾性率は向上した。本発明の相溶化剤の相溶化効果、ポリマー物性向上効果が明らかとなった。
Figure 2004225055
[実施例8、比較例8]
ここでは、未使用のポリプロピレン(PP)と未使用のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)の相溶化、改質を行った。実施例8では、PP(ノバテックBC03LS、日本ポリケム製)80重量部、ABS(ダイヤペットHF−5、三菱レイヨン製)20重量部及び相溶化剤ハイミラン 1706(三井・デュポンポリケミカル製)5重量部を、2軸押出機(株式会社テクノベル製、KZW15−30MG)を用いて溶融混練し、押し出した。続いて、ホットプレスを用いて、250℃、10MPaで5分間加圧し、これを室温まで急冷して、厚さ1mmの試験片を作製した。
比較例8では、相溶化剤を用いなかった以外は、実施例8と同様にして、試験片を作製した。
<押出条件>
温度設定:フィード 160℃、混練部 210℃、ヘッド 165℃
回転数:60rpm
得られた各試験片につき、実施例1と同様にして、引張強度、引張弾性率を測定した。これらの結果を表3に示す。表3より、PP/ABS=80/20重量比に相溶化剤5重量部を配合することにより、試験片の引張強度と引張弾性率は向上した。本発明の相溶化剤の相溶化効果、ポリマー物性向上効果が明らかとなった。
Figure 2004225055
上記実施例では、未使用の異種ポリマーにおける相溶化、改質を示した。相溶化すべきポリマーの種類に応じて最適なアイオノマー樹脂を選択し、最適な配合量を決定するとよい。
実施例9〜14において、以下の試料を用いた。
(1) 使用済みPETフレークの調製
回収されたPETボトルを水で洗浄して、粉砕機によりフレーク状に粉砕した。これを水で洗浄して、乾燥し、使用済みPETフレークを得た。
(2) 使用済みPEフレークの調製
回収されたPE容器を水で洗浄して、粉砕機によりフレーク状に粉砕した。これを水で洗浄して、乾燥し、使用済みPEフレークを得た。
(3) 使用済みPPフレークの調製
回収されたPP容器を水で洗浄して、粉砕機によりフレーク状に粉砕した。これを水で洗浄して、乾燥し、使用済みPPフレークを得た。
(4) アイオノマー:ハイミラン1706(三井・デュポンポリケミカル社製)
(5) デンカABS:GR−0500(電気化学工業(株)製)
[実施例9〜11、比較例9]−参考例
ここでは、使用済みPETと使用済みPEを用いて再生プラスチック材料を作成した。 実施例9では、上記使用済みPETフレーク80重量部、使用済みPEフレーク20重量部、及びハイミラン1706 5重量部を、2軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所製、BT−30−L、L/D=30)を用いて溶融混練し、ストランド状に押し出し、チップを得た。
<押出条件>
温度設定:フィード 260℃、混練部 300℃、ヘッド 260℃
回転数:60rpm
得られたチップを射出成形(射出成形機:日本製鋼所株式会社製、N100BII、L/D=22)して、JIS K−7113に準拠した試験片 幅1/2インチ×長さ8.5インチ×厚み1/8インチのもの(A) と、幅1/4インチ×長さ5インチ×厚み1/2インチのもの(B) を作成した。
<射出成形条件>
温度設定:フィード 260℃、ノズル 280℃、金型 60℃
射出圧力:35〜40kg/cm2
実施例10、11では、使用済みPET、使用済みPE及びハイミラン1706の配合重量比を70/30/5(実施例10)、60/40/5(実施例11)に変化させた以外は、実施例9と同様にして、試験片をそれぞれ作製した。
比較例9では、ハイミラン1706を用いなかった以外は、実施例9と同様にして、使用済みPET及び使用済みPEを溶融混練し押し出した。しかし、押し出された樹脂の性状が悪く、ストランド状に押し出すことができなかった。押し出された樹脂を用いて、実施例9と同様にして、射出成形し試験片を作製した。
(再生プラスチック材料の評価)
・引張特性の測定
得られた各試験片(A) につき、JIS K−7113に準じて引張強度(MPa)及び引張伸び率(%)を測定した。チャック間距離:115mm、引張速度:50mm/分、測定雰囲気:温度23℃、相対湿度50%
・アイゾット衝撃強度(ノッチ有り)の測定
得られた各試験片(B) につき、JIS K−7113に準じてアイゾット衝撃強度(J/m)を測定した。ノッチ形状:45°Vノッチ
参照のために、上記使用済みPETフレーク、使用済みPEフレーク、デンカABSそれぞれ単独のものを、実施例9と同様にして、射出成形し各試験片を作製し、同様の測定を行った。これらの結果を表4にまとめて示す。
Figure 2004225055
表4より、実施例9〜11の再生材料では、使用済みPET単独のものよりも、引張強度はやや劣るが、アイゾット衝撃強度、引張伸びは著しく向上した。これらの再生材料は、新品のデンカABSと同等の引張強度を有するので、例えばデンカABSが用いられている成形品用の材料として適用できる。PET/PEの配合比により得られる再生材料の物性が変化するので、目的とする成形品に応じて、PET/PE配合比を選択するとよい。
これに対して、比較例9ではアイオノマー樹脂を用いていないので、再生材料の物性は劣っていた。比較例9の操作において、押し出された樹脂の性状が悪く、ストランド状に押し出すことができなかったので、工業的な規模でのリサイクルは困難である。
なお、使用済みPET単独の再生材料や、使用済みPE単独の再生材料は、実験レベルにおいて完全な分別回収の結果得られたものである。実際の再生過程においては、完全な分別回収は困難であり、通常複数種のポリマーが混合されるので、使用済みPET単独の再生材料や、使用済みPE単独の再生材料が得られることは期待できない。次の実施例における使用済みPP単独の再生材料についても同様である。
次に、各衝撃試験片サンプルの破断面の走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った。図6は実施例9の試験片サンプル、図7は比較例9の試験片サンプルのそれぞれの破断面のSEM写真である。
図6(実施例9)では、PEはPET中に非常に良く分散されていた。これに対して、図7(比較例9)では、PEはPET中にあまり分散されておらず、PEの球形粒子が観察された。
[実施例12〜14、比較例10]−参考例
ここでは、使用済みPETと使用済みPPを用いて再生プラスチック材料を作成した。 実施例12では、上記使用済みPETフレーク80重量部、使用済みPPフレーク20重量部、及びハイミラン1706 5重量部を、実施例9と同様にして溶融混練し、ストランド状に押し出し、チップを得た。実施例9と同様にして得られたチップを射出成形して、実施例9と同様の2種の試験片を作成した。
実施例13、14では、使用済みPET、使用済みPP及びハイミラン1706の配合重量比を70/30/5(実施例13)、50/50/5(実施例14)に変化させた以外は、実施例12と同様にして、試験片をそれぞれ作製した。
比較例10では、ハイミラン1706を用いなかった以外は、実施例12と同様にして、使用済みPET及び使用済みPPを溶融混練し押し出した。しかし、押し出された樹脂の性状が悪く、ストランド状に押し出すことができなかった。押し出された樹脂を用いて、実施例12と同様にして、射出成形し試験片を作製した。
実施例9と同様にして、再生プラスチック材料の評価を行った。参照のために、上記使用済みPPフレーク単独のものを、実施例9と同様にして、射出成形し試験片を作製し、同様の測定を行った。これらの結果を表5にまとめて示す。
Figure 2004225055
表5より、実施例12の再生材料では、使用済みPET単独のものとほぼ同等の引張強度が得られ、アイゾット衝撃強度、引張伸びも著しく向上した。この再生材料は、例えば元のPET材料が用いられていた成形品用の材料もしくは類似の材料として適用できる。実施例13、14の再生材料では、使用済みPET単独のものよりも、引張強度はやや劣るが、アイゾット衝撃強度、引張伸びは向上した。これらの再生材料は、新品のデンカABSと同等の引張強度を有するので、例えばデンカABSが用いられている成形品用の材料として適用できる。また、実施例14の再生材料は、例えば元のPP材料が用いられていた成形品用の材料もしくは類似の材料としても適用できる。PET/PPの配合比により得られる再生材料の物性が変化するので、目的とする成形品に応じて、PET/PP配合比を選択するとよい。
これに対して、比較例10ではアイオノマー樹脂を用いていないので、再生材料の物性は劣っていた。比較例10の操作において、押し出された樹脂の性状が悪く、ストランド状に押し出すことができなかったので、工業的な規模でのリサイクルは困難である。
次に、各衝撃試験片サンプルの破断面の走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った。図8実施例12の試験片サンプル、図9は比較例10の試験片サンプルのそれぞれの破断面のSEM写真である。
図8(実施例12)では、PPはPET中に非常に良く分散されていた。これに対して、図9(比較例10)では、PPはPET中にあまり分散されていおらず、PPの球形粒子が観察された。
リサイクルすべき使用済みプラスチックの種類に応じて最適なアイオノマー樹脂を選択し、最適な配合量を決定するとよい。また、目的とする成形品に応じて、使用済みプラスチックの配合比を選択するとよい。
[実施例15〜16、比較例11]−参考例
ここでは、使用済みPETと未使用PEを用いて再生プラスチック材料を作成した。
実施例15では、実施例9で用いたのと同じ使用済みPETフレーク80重量部、未使用PE(ニポロンハード 2500、東ソー製)20重量部、及びハイミラン1706 5重量部を、実施例9と同様にして溶融混練し、ストランド状に押し出し、チップを得た。実施例9と同様にして得られたチップを射出成形して、実施例9と同様の2種の試験片を作成した。
実施例16では、使用済みPET、未使用PE及びハイミラン1706の配合重量比を70/30/5に変化させた以外は、実施例15と同様にして、試験片をそれぞれ作製した。 比較例11では、ハイミラン1706を用いなかった以外は、実施例15と同様にして、使用済みPET及び未使用PEを溶融混練し押し出した。しかし、押し出された樹脂の性状が悪く、ストランド状に押し出すことができなかった。押し出された樹脂を用いて、実施例15と同様にして、射出成形し試験片を作製した。
実施例9と同様にして、再生プラスチック材料の評価を行った。これらの結果を表6にまとめて示す。
Figure 2004225055
次に、各衝撃試験片サンプルの破断面の走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った。図10は実施例15の試験片サンプル、図11は比較例11の試験片サンプルのそれぞれの破断面のSEM写真である。
図10(実施例15)では、PPはPET中に非常に良く分散されていた。これに対して、図11(比較例11)では、PPはPET中にあまり分散されていおらず、PPの球形粒子が観察された。
リサイクルすべき使用済みプラスチックの種類に応じて最適なアイオノマー樹脂を選択し、最適な配合量を決定するとよい。また、目的とする成形品に応じて、使用済みプラスチックと未使用プラスチックの配合比を選択するとよい。
[実施例17〜18、比較例12]−参考例
ここでは、使用済みPETと未使用PPを用いて再生プラスチック材料を作成した。
実施例17では、実施例9で用いたのと同じ使用済みPETフレーク80重量部、未使用PP(J105P 、グランドポリマー製)20重量部、及びハイミラン1706(三井・デュボンケミカル製)5重量部を、実施例9と同様にして溶融混練し、ストランド状に押し出し、チップを得た。実施例9と同様にして得られたチップを射出成形して、実施例9と同様の2種の試験片を作成した。
実施例18では、使用済みPET、未使用PP及びハイミラン1706の配合重量比を70/30/5に変化させた以外は、実施例17と同様にして、試験片をそれぞれ作成した。
比較例12では、ハイミラン1706を用いなかった以外は、実施例17と同様にして、使用済みPET及び未使用PPを溶融混練し押し出した。しかし、押し出された樹脂の性状が悪く、ストランド状に押し出すことができなかった。押し出された樹脂を用いて、実施例17と同様にして、射出成形し試験片を作成した。
実施例9と同様にして、再生プラスチック材料の評価を行った。これらの結果を表7にまとめて示す。
Figure 2004225055
表7より、実施例17の再生材料では、使用済みPET単独のものとほぼ同等の引張強度が得られ、アイゾット衝撃強度、引張伸びも著しく向上した。この再生材料は、例えば元のPET材料が用いられていた成形品用の材料もしくは類似の材料として適用できる。 実施例18の再生材料では、使用済みPET単独のものよりも、引張強度はやや劣るが、アイゾット衝撃強度、引張伸びは向上した。これらの再生材料は、新品のデンカABSと同等の引張強度を有するので、例えばデンカABSが用いられている成形品用の材料として適用できる。また、実施例18の再生材料は、例えば元のPP材料が用いられていた成形品用の材料もしくは類似の材料としても適用できる。PET/PPの配合比により得られる再生材料の物性が変化するので、目的とする成形品に応じて、PET/PP配合比を選択するとよい。
次に、各衝撃試験片サンプルの破断面の走査電子顕微鏡(SEM )観察を行った。図12は実施例17の試験片サンプル、図13は比較例12の試験片サンプルのそれぞれの破断面のSEM写真である。
図12(実施例17)では、PPはPET中に非常に小さいな粒子となって、良く分散されていた。これに対して、図13(比較例12)では、PPはPET中にあまり分散されていおらず、比較的大きなPPの球形粒子が観察された。
[実施例19〜20、比較例13]−参考例
ここでは、使用済みPETとPE製ガス管廃材を用いて再生プラスチック材料を作成した。
実施例19では、実施例9で用いたのと同じ使用済みPETフレーク80重量部、PE製ガス管(大阪樹脂工業製)の廃材20重量部、及びハイミラン1706 5重量部を、実施例9と同様にして溶融混練し、ストランド状に押し出し、チップを得た。実施例9と同様にして得られたチップを射出成形して、実施例9と同様の2種の試験片を作成した。
実施例20では、使用済みPET、前記ガス管廃材及びハイミラン1706の配合重量比を90/10/5に変化させた以外は、実施例19と同様にして、試験片をそれぞれ作成した。
比較例13では、ガス機器用ABSアロイ(ABS/PBT、XTB−583、三菱レーヨン製、新品)を用いて、実施例19と同様にして、射出成形して、実施例9と同様の2種の試験片を作成した。
実施例9と同様にして、再生プラスチック材料の評価を行った。これらの結果を表8にまとめて示す。
Figure 2004225055
表8より、実施例20の再生材料では、ガス機器用ABSアロイのものより引張強度、アイゾット衝撃強度、引張伸び及びヤング率は向上した。この再生材料は、例えばガス機器用ABSアロイが用いられていた成形品用の材料もしくは類似の材料として適用できる。
次に、各衝撃試験片サンプルの破断面の走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った。図14は実施例19の試験片サンプル、図15は比較例13の試験片サンプルのそれぞれの破断面のSEM写真である。
図14では、島相であるPEの破断した部分にもう一層小さい分散相が見られ、また、PETとPEの相間の密着性が良いことも認められ、相溶化の効果が現れている。
[実施例21]−参考例
実施例9で用いたのと同じ使用済みPETフレーク80重量部、PE製ガス管(大阪樹脂工業製)の廃材20重量部、ハイミラン1706 5重量部、及び着色剤ブラックPBF−640(LDPEベース、レジノカラー工業株式会社製)を、実施例9と同様にして溶融混練し、ストランド状に押し出し、チップを得た。得られたチップを射出成形して、ガス機器用のつまみを作成した。
図16は、(a)つまみの概略を示す斜視図であり、(b)a図中のB−B線に沿う断面図である。つまみ(1) は、直径50mmの円形基板(2) 上につまみ部(3) を有し、基板(2) の裏面にはガス機器の調整軸の外形状に合致する軸受け(4) を有する。
上記の着色剤を用いることによって、ガス機器用ABSアロイ(着色品)から製造されるガス機器つまみ(現行品)とほぼ同等に調色することができた。
JIS K−7105に準じて、本実施例で得た成形品の60度鏡面光沢度を測定したところ、92.3%であった。ガス機器用ABSアロイ製のガス機器つまみ(現行品)の表面光沢は99.4%であり、本実施例の成形品は現行品と同程度の表面光沢を有していた。
このように、使用済みPETと元々黄色系統色のPE製ガス管の廃材とを用いて、現行品と同等の色調と光沢を有するガス機器つまみが得られた。
実施例21における再生チップの成形適合性を、ガス機器用ABSアロイを基準として、検討した(表9)。実施例21における再生チップを用いて、ガス機器用ABSアロイと同等の条件で射出することができた。この再生チップは、良好な成形適合性を有する。
Figure 2004225055
この実施例では、上記形状のガス機器用のつまみを作成したが、他の種々のガス機器用部品を作成できることは明らかである。また、ガス機器用部品のみならず、種々のプラスチック成形体を作成できることも明らかである。
比較例3の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 実施例2の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 比較例6の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 実施例5の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 実施例6の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 実施例9の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 比較例9の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 実施例12の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 比較例10の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 実施例15の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 比較例11の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 実施例17の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 比較例12の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 実施例19の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 比較例13の試験片サンプル破断面のSEM写真である。 本発明の成形体の一例を示す。(a)ガス機器用つまみの概略を示す斜視図であり、(b)a図中のB−B線に沿う断面図である。
符号の説明
(1) つまみ
(2) 円形基板
(3) つまみ部
(4) 軸受け

Claims (5)

  1. ポリプロピレンとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とアイオノマー樹脂とを含む、プラスチック材料。
  2. ポリプロピレン及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体のうちの少なくとも一方は、リサイクルすべき使用済みのものである、請求項1に記載のプラスチック材料。
  3. ポリプロピレンとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体との合計100重量部に対して、アイオノマー樹脂0.1〜100重量部を含む、請求項1又は2に記載のプラスチック材料。
  4. アイオノマー樹脂が、エチレン―メタクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン―アクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン―メタクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン―アクリル酸共重合体アイオノマー、ブチレン―アクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−ビニルスルホン酸共重合体アイオノマー、スチレン―メタクリル酸共重合体アイオノマー、スルホン化ポリスチレンアイオノマー、フッ素系アイオノマー、テレケリックポリブタジエンアクリル酸アイオノマー、スルホン化エチレン−プロピレン−ジエン共重合体アイオノマー、水素化ポリペンタマーアイオノマー、ポリペンタマーアイオノマー、ポリ(ビニルピリジウム塩)アイオノマー、ポリ(ビニルトリメチルアンモニウム塩)アイオノマー、ポリ(ビニルベンジルホスホニウム塩)アイオノマー、スチレン−ブタジエンアクリル酸共重合体アイオノマー、ポリウレタンアイオノマー、スルホン化スチレン−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンサルフェイトアイオノマー、酸−アミンアイオノマー、脂肪族系アイオネン、芳香族系アイオネン及びこれらの混合物から選ばれる、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のプラスチック材料。
  5. 請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載のプラスチック材料から構成されたプラスチック成形体。
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