JP2006252957A - 色素増感型太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】対向電極側からの光照射を可能とする対向電極を提供し、その電極を用いた色素増感型太陽電池を提供する。
【解決手段】半導電性基板上に導体層と光増感型色素とを有する光電極基板と、少なくとも透明基板1からなる対向電極基板とを所定の間隔を隔てて対向させ、これら基板間に電解質が配置された構成からなる色素増感型太陽電池素子において、対向電極基板にバスバー2を有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池の新規構成に関するものである。
色素増感型太陽電池は、通常、色素が吸着したチタニア電極と、電解質中のレドックス対の還元反応が進行する対極とから構成される。対極にはレドックス対の反応に対する触媒層が形成されており、場合によっては、金属基板を用いるためチタニア電極を構成するチタニアはナノ粒子から構成されており、粒子同士の粒塊が太陽電池性能の向上を抑制する要因ともなっている。そこで、チタニアをナノチューブ形状にすることで、粒塊の低減および電子電導性の向上を達成するための試みが提案されている(例えば、非特許文献1〜4参照。)。一般的には、導電性基板上へのチタニアナノチューブを規則的に成型することが困難であり、ナノチューブを分散したペーストを導電性基板に塗布し、チタニア層を形成する。一方、チタン金属の陽極酸化によりチタニアナノチューブを導電性基板上へ形成することが可能となる。但し、金属上へチタニアナノチューブ成型を行うため、太陽電池形態としては、対極側から光を照射することが必須となる。このため、対向電極側からの光照射を可能とする対向電極が求められている。
足立(M. Adachi) 外 ,「ケミストリーレター(Chemistry Letter) 」,2000年,p.942 ウォン(M. S. Won) 外,「ナノレター(Nano Letter)」,2001年,1巻,p.637 大谷(M. Ohtaki) 外,「ジャーナル・アメリカン・ケミカルソサエティ( J. Am. Chem, Soc)」,1998年,第120巻,p.6832 矢田(M. Yata)外,「アドバンスデ マテリアルズ(Advanced Materials)」,2002年,第14巻,p.309
本発明はこのような実状に鑑み成されたものであり、その目的は、対向電極側からの光照射を可能とする対向電極を提供することであり、その電極を用いた色素増感型太陽電池を提供することである。
本発明者らは上記のような従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、光透過性の高い対向電極が作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、導電性基板上に半導体層と光増感型色素とを有する光電極基板と、少なくとも透明基板からなる対向電極基板とを所定の間隔を隔てて対向させ、これら基板間に電解質が配置された構成からなる色素増感型太陽電池素子において、対向電極基板にバスバーを有することを特徴とする色素増感型太陽電池に関する。
以下、本発明について説明する。
本発明の色素増感型太陽電池において、対向電極(対極)を形成する電極基板は、基本的には、透明基板、バスバーおよび触媒層から構成される。
透明基板としては、透明である限り特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができる。例えば、フロートガラス、石英、白板ガラスなどの無機材料や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリエチレンなどの有機系材料であっても良い。なお、基板自体には導電性があっても無くても良い。基板自体に導電性が無い場合には、基板に導電性を付与するために、基板上に、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステン、チタン、アルミニウム、ニッケル、モリブデン、ステンレスなどの金属、金属酸化物からなる導電材料を配することができる。金属酸化物としては、例えば、錫や亜鉛などの金属酸化物に、他の金属元素を微量ドープしたIndium Tin Oxide(ITO(In:Sn))、Fluorine doped Tin Oxide(FTO(SnO:F))、Aluminum doped Zinc Oxide(AZO(ZnO:Al))などが好適なものとして用いられる。また、金属層は、異なる金属の積層構造でも良い。
本発明においては、対向電極基板にバスバーを有することが必須である。
バスバーに用いる材料としては、基板抵抗を下げることが目的の一つであることから、比抵抗が20μΩ・cm以下、好ましくは5μΩ・cm以下になる材料を用いるのが好ましい。そのような材料としては、銀、金、銅、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、タングステン、ステンレスなどの金属、導電性高分子、炭素繊維など導電性を有する材料、前記金属粉と結着材を含むペースト等が使用可能である。
またそれらを設置する方法としては、前記金属類を用いる場合には、公知のスパッタ法、蒸着法、電解メッキや無電解メッキなどのメッキ法などの方法が使用可能である。また前記ペースト状の材料を用いる場合には、スクリーン印刷法、ディスペンサー法などの方法を用いて設置することができる。
前記ペーストの配合材としては、各種結着材、分散材、溶媒等を添加し、前記設置方法に合わせて適宜粘度を調製して使用することが好ましい。結着材としてはエポキシ樹脂等の各種ポリマー、半導体産業で使用されている公知のセラミックス、ガラス成分などが使用可能である。これらを含むペーストとして、例えば、銀ガラス導電結着ペースト(米国DIEMAT社製DM3554、ノリタケ社製NP−4731A、NP−4028A、NP−4734、NP−4736H、NP−4735等)、熱硬化型銀ペースト(米国DIEMAT社製DM6030HK、東洋紡績社製DM−351H−30など)などが使用可能であるが、これら例示したもの以外であっても、比抵抗が20μΩ・cm以下の材料であればどのような材料でも使用可能である。
また結着材として用いられるガラス成分には、その成分中に酸化鉛、酸化ホウ素、アルミナ、チタニアなど各種金属酸化物が含まれているが、その成分組成は特に限定されない。
バスバーは前記金属、導電性高分子あるいは炭素材料からなる細線を所定の形状に形成した後に、透明基板上に配置することができる。図1に透明基板上に配置したバスバーの断面形状の例を示す。このとき、図1の(b)に示すように、バスバーの一部が透明基板に埋め込まれる形態を取っていても良い。細線の直径としては、好ましくは3μm〜300μm、より好ましくは7μm〜100μm、さらに好ましくは10μm〜40μmである。また、細線は異なる材料で表面を被覆された構成でも良い。細線の断面形状は円形、楕円形、多角形など特に限定されないが、入射光に対して、直線透過光以外に先方への反射・拡散光を利用できる円形、楕円形、三角形などの断面形状が好ましい。
バスバーの形状については、基板抵抗を下げることができる形状であればどのような形状でも採用可能であるが、発生した電子の拡散速度を速めるためには、連続した形状が好ましい。形状としては、例えば、グリッド形状、ストライプ形状、メッシュ形状などが挙げられる。なお、導電性の細線を織り、メッシュとする場合の織り方としては、平織、綾織、平畳織、綾畳織などを挙げることが出来る。さらには、細線を織ってメッシュを作製すると細線の交点部分が厚くなるので、その厚さを調整するために、圧力を加えるなどして薄くすることもできる。また、図2に示すような独立する幹・枝パターンや連続する幹・枝パターンでも良い。
なお、図3に示ように、アクティブ領域(半導体領域)と重なる部分にあるバスバー領域(図中の斜線部分)Sbのアクティブ領域Saに対する割合(Sb/Sa:被覆率)は、好ましくは2%〜30%、より好ましくは4%〜20%、さらに好ましくは5%〜15%である。
またバスバーは、設置に際して所定の性能を得るために、複数回に分けて設置しても良いし、前記材料を2種類以上使用して設置しても良い。
バスバー幅は、光の入射領域を制限することからできるだけ狭い方が良く、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。
バスバーの高さは、比抵抗が20μΩ・cm以下にできれば特に制限はないが、セル間隙が広がりすぎると電解液中の電子の拡散速度が低下するため、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
またバスバー設置後にバスバー上部(外層表面)に保護層を設置しても良い。この目的は電解液中の成分とバスバー中の金属成分が接触し反応することを防止することにある。この保護層に用いられる材料としては、電解液と接触しても反応しないものであれば良く、例えば、硬化性樹脂などを用いることができる。硬化性樹脂は特に限定されるものではなく、またその硬化方法についても熱硬化型、光硬化型、電子線硬化型など種々の硬化型のものが適用可能である。硬化性樹脂としては、具体的には、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニールアルコール、アクリルおよびメタクリル酸エステル、シアノアクリル酸エステル、ポリアミド等が挙げられる。
熱硬化の場合では、室温で硬化可能なものも用いることができるが、加熱が必要な場合は各種オーブン、赤外線ヒーター、電熱ヒーター、面状発熱体などを用いて加熱することができる。通常は室温から150℃の間で、好ましくは室温から100℃の間で硬化できればよい。
光硬化の場合では、開始剤の吸収波長に適合したランプであれば、低圧、高圧、超高圧の各水銀ランプ、キセノンランプ、白熱ランプ、レーザー光などが利用できる。硬化の際には素子全面を均一露光し、全面同時硬化しても良いし、ランプや光源を移動させたり、光ファイバーなどの導光性材料で導いたり、ミラー等を利用することによって集光したスポット光を走査して逐次硬化しても良い。
また保護層の材料としては、半導体産業で用いられる公知の材料も使用可能である。例えば、有機SOG材(触媒化成社製CERAMATE、ハネウェル社製有機SOG材T−11、T−12、T−13シリーズ、日立化成社製SOG材HSG−7000、HSG−8000、HSG−R7等)、無機SOG材(ハネウェル社製P−TTYシリーズ等)、熱硬化型ポリイミドペースト(日立化成社製HL−P500、HL−P500S等)、ガラス成分を含むペースト(ノリタケ社製NP7900シリーズ等)などが使用可能であり、これら例示したもの以外であっても同等のものであればどのような材料でも使用できる。
保護層材料としては、ガラス成分を含むガラスペーストが最も好ましい。なお、ガラス成分中には酸化鉛、酸化ホウ素、アルミナ、チタニアなど各種金属酸化物が含まれているが、その成分組成は特に限定されない。
これらは単体で用いても、また、2種あるいはそれ以上を用いてもよい。また、これらを変成したり、フィラーを加えるなどして、種々の改良を加えたものであっても良い。
保護層設置方法としては、前記材料のペーストを用いてスクリーン印刷法、ディスペンサー法、インクジェット法等が使用可能であるが、所定の保護層が設置できれば、どのような方法でも使用可能である。
また保護層の設置形状としては、バスバー全体が覆われれば良く、設置幅は前記バスバー幅+1mm以下、好ましくは+0.5mm以下である。また保護層の厚さはバスバーが完全に電解液と遮断され保護されれば良く特に制限はないが、セル間隙が広がりすぎると電解液中の電子の拡散速度が低下するため、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
また保護層設置に際して所定の保護性能を得るために、複数回に分けて設置しても良いし、前記材料を2種類以上使用して設置しても良い。
また、対向電極基板には触媒層を有する。触媒層は、透明基板上の非導電性部分の一部あるいは全部に、あるいは透明基板が導電性を有するときは該導電性部分の一部あるいは全部に形成することができる。あるいはまた、バスバー上に触媒層を形成しても良い。
触媒は、ハロゲン元素の酸化還元(レドックス)反応に対して触媒として作用する。かかる触媒層を形成する材料としては、例えば、白金などの貴金属、ポリジオキシチオフェン、ポリピロールのような導電性有機化合物、カーボンなどを例示することができる。触媒層を形成することの可能なカーボンとしては、特に制限されることは無いが、例えば、ボロンなどでドープしたダイアモンド薄膜、黒鉛やグラファイト、ガラス状カーボン、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、活性炭、石油コークス、C60やC70などのフラーレン類、単層または多重層のカーボンナノチューブなどを挙げることができる。なお、カーボン材料の形状としては、最終的にカーボン層を形成するものであれば、特に限定されなく、原料形状としては、液体状、ガス状、固体状(粉末、短繊維、長繊維、織布、不織布など)のいずれの形態でもよい。
触媒層の形成方法としては特に制限されなく、公知の方法を採用することができる。例えば、バインダーを混合してペースト状とし基板表面にスクリーン印刷、平板印刷、グラビア印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、特殊印刷する方法、ドクターブレード法、基板上にあらかじめ溝を形成しておき、該溝にバインダーを混合したペーストを充填した後、へら等で余剰のペーストを除去する方法等により製造することができる。ペーストを基板表面に配置した後、加熱等によって導電性や密着性を向上させても良い。加熱には、オーブンやマッフル炉、電気炉の他、赤外線加熱等を利用しても良い。焼成温度は、用いるペーストおよび基板材料によって異なるが、好ましくは50℃〜700℃、より好ましくは100℃〜600℃、さらに好ましくは200℃〜500℃である。また、必要に応じて窒素雰囲気下で焼成を行っても良い。あるいは、熱CVD、プラズマCVDなどのCVD、イオンビームスパッタリングなどのスパッタリング、PLD、アーク法などを挙げることができる。 CVDにより成膜する場合は、成膜基板温度は300℃以上が好ましく、さらに好ましくは500℃以上である。また、CVDの際に電磁波を照射してもよい。
本発明の色素増感型太陽電池において光電極(光極)を形成する電極基板は、導電性基板上に半導体層を有する。
前記導電性基板は、基板自身が導電性を有するか、あるいは少なくとも一方の面が導電性を有していればよく、透明な導電性基板でも、また不透明な導電性基板でも良い。透明な導電性基板としては、対極で説明した透明な導電性基板を使用することができる。また不透明な導電性基板としては、種々の金属製基板のほか、例えばガラス基板上に成膜されたAu、Pt、Crなどを挙げることができる。
本発明の色素増感型太陽電池における半導体層(光電変換層)に用いられる半導体としては、特に限定されないが、例えば、Fe、Nb、PbS、Si、SnO、TiO、WO、ZnO、MnO等が挙げられ、またこれらの複数の組み合わせであってもよい。好ましくはTiO、ZnO、SnO、Nbであり、最も好ましくはTiO、ZnOである。
また、用いられる半導体は単結晶でも多結晶でも良い。結晶系としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などが主に用いられるが、好ましくはアナターゼ型である。
前記導電性基板への半導体層の形成方法としては特に制限されなく、公知の方法を採用することができる。例えば、上記半導体のナノ粒子分散液、ゾル溶液等を、公知の方法により基板上に塗布することで得ることが出来る。この場合の塗布方法としては特に限定されずキャスト法による薄膜状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法を挙げることができる。
また、バインダーを使用する場合、一般的には、前記半導体材料およびバインダーを混合してペースト状とし基板表面にスクリーン印刷、平板印刷、グラビア印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、特殊印刷する方法、ドクターブレード法、基板上にあらかじめ溝を形成しておき、該溝に半導体材料およびバインダーを混合したペーストを充填した後、へら等で余剰のペーストを除去する方法等により製造することができる。ペーストを基板表面に配置した後、加熱等によって導電性や密着性を向上させても良い。加熱には、オーブンやマッフル炉、電気炉の他、赤外線加熱等を利用しても良い。焼成温度は、用いるペーストおよび基板材料によって異なるが、好ましくは50℃〜700℃、より好ましくは100℃〜600℃、さらに好ましくは200℃〜500℃である。また、必要に応じて窒素雰囲気下で焼成を行っても良い。
本発明においては、半導体層として、金属を陽極酸化することにより形成することのできる金属酸化物を好ましく用いることができる。例えば、チタン金属を陽極酸化することで得られるチタニアナノチューブが挙げられる。このとき陽極酸化を行う金属は、図4に示すような他の材料と積層した複合板構造であってもよい。積層する材料は導電性があっても無くても良く、金属、無機、有機材料の何れでも良い。金属の場合は、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステン、チタン、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどを上げることもできる。また、無機材料の場合は、ガラスあるいは錫や亜鉛などの金属酸化物に、他の金属元素を微量ドープしたIndium Tin Oxide(ITO(In:Sn))、Fluorine doped Tin Oxide(FTO(SnO:F))、Aluminum doped Zinc Oxide(AZO(ZnO:Al))などをガラス板にコートした基板が好適なものとして用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリカーボネーとフィルムなどの有機系材料であっても良い。
また、積層構造を形成する層数は5層以下が好ましい、さらに好ましくは3層以下である。
金属板にチタン金属を積層する方法としては、特に限定されないが、例えば金属板への真空成膜、溶射、電解析出などが挙げられる。あるいは金属板同士を圧延などの方法で積層してもよい。チタンを用いる場合、その厚さは、通常、0.1μm〜300μmであり、好ましくは1μm〜50μmである。
本発明においては、導電性基板としてチタン金属とチタン金属以外の少なくとも1種類の金属との複層金属板を用い、これを陽極酸化してナノチューブ構造を有するチタニアを形成させる方法が特に好ましい。または、これらの複層金属板をガラスなどの無機材料やプラスチックのような有機材料に貼り付けて使用しても良い。
半導体層の配置様式は特に制限されることはないが、基板の全面、基板の一部、例えば、網目状、ストライプ状などに配置する方法を挙げることもできる。半導体層の厚さとしては、通常0.1μm〜1000μm、好ましくは1μm〜500μm、さらに好ましくは1μm〜100μmである。また、鋳型を用いて半導体ナノチューブを作製する場合の鋳型の形状は、目的に応じて適宜選択されるが、チューブ断面の外形は円形、楕円径、多角形が好ましく挙げられる。また、長さは通常0.01μm〜2000μm、好ましくは0.1μm〜1500μm、さらに好ましくは1μm〜1000μmである。ナノチューブの断面の最も離れた部分の距離は、通常1nm〜500nm、好ましくは10nm〜300nmである。
なお、半導体層を形成する半導体ナノチューブは単一の半導体材料だけから構成されていてもいなくても良い。
半導体層の厚みは任意であるが、通常0.5μm以上、50μm以下、好ましくは1μm以上20μm以下である。
本発明における色素増感型太陽電池素子においては、半導体層の光吸収効率を向上すること等を目的として、半導体層を色素で修飾(吸着、含有など)させたものが用いられる。
本発明において用いられる色素としては、半導体層の光吸収効率を向上させる色素であれば、特に制限されるものではなく、通常、各種の金属錯体色素や有機色素の一種または二種以上を用いることができる。また、半導体層への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基などの官能基を有するものが好適に用いられる。
金属錯体色素としては、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛の錯体や金属フタロシアニン、クロロフィル等を用いることができる。
色素を半導体層に吸着させる方法としては、溶媒に色素を溶解させた溶液を、半導体層上にスプレーコートやスピンコートなどにより塗布した後、乾燥する方法により形成することができる。この場合、適当な温度に基板を加熱しても良い。または半導体層を溶液に浸漬して吸着させる方法を用いることも出来る。浸漬する時間は色素が十分に吸着すれば特に制限されることはないが、好ましくは1〜30時間、特に好ましくは5〜20時間である。また、必要に応じて浸漬する際に溶媒や基板を加熱しても良い。好ましくは溶液にする場合の色素の濃度としては、1〜1000mM/L、好ましくは10〜500mM/L程度である。
用いる溶媒としては、色素を溶解しかつ半導体層を溶解しなければ特に制限されるとはなく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリルなどのニトリル系溶媒、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ブタノンなどのケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。
前記した光電極基板と、対向電極基板の間には電解質が配置される。電解質としては、特に限定されなく、液体系でも固体系でもいずれでもよく、可逆な電気化学的酸化還元特性を示すものが望ましい。ここで、可逆な電気化学的酸化還元特性を示すということは、光電変換素子の作用する電位領域において、可逆的な電気化学的に酸化還元反応を起こし得ることをいう。典型的には、通常、水素基準電極(NHE)に対して−1〜+2V vs NHEの電位領域で可逆的であることが望ましい。
電解質としては、イオン伝導度が、通常室温で1×10−7S/cm以上、好ましくは1×10−6S/cm以上、さらに好ましくは1×10−5S/cm以上であるものが望ましい。なお、イオン伝導度は、複素インピーダンス法などの一般的な手法で求めることができる。
また、本発明における電解質は、酸化体の拡散係数が1×10−9cm/s以上、好ましくは1×10−8cm/s以上、さらに好ましくは1×10−7cm/s以上を示すものが望ましい。なお、拡散係数は、イオン伝導性を示す一指標であり、定電位電流特性測定、サイクリックボルタモグラム測定などの一般的な手法で求めることができる。
電解質の吸収の立ち上がりは、色素を吸着する前の金属酸化物の吸収の立ち上がりより、長波長にあることが好ましい。例えば、金属酸化物として酸化チタンを用いる場合は、吸収端波長が380nmである。一方、ヨウ素レドックス剤を含む電解質は400nm付近に吸収端波長がある。吸収は分光光度計による汎用的手法を用いることができるが、散乱性の大きなナノ粒子を焼結した酸化チタンなどの金属酸化物の場合は、光音響分光法(PAS)、フォトディフラクティブ分光(PDS)を用いることができる。吸収端は、金属酸化物の吸収端付近の波長から少なくとも100nm以上長波長側の透明領域の吸収係数をベース値とし、吸収の立ち上がり波長を決定する。
電解質層の厚さは、特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上であり、また3mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以下である。
液体系の電解質としては特に限定されるものではなく、通常、溶媒、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(溶媒に可溶なもの)およびさらに必要に応じて支持電解質を基本的成分として構成される。また、これらに加え、所望によりさらに紫外線吸収剤、アミン化合物などの他の任意成分を含有させてもよい。
溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられる溶媒であればいずれも使用することができる。具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、3−メチル−2−オキサゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメトキシエタン、プロピオニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、3−メチル−2−オキサゾリジノン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。また、常温溶融塩類も用いることができる。ここで、常温溶融塩とは、常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示すものである。
常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2006252957
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示し、Xはハロゲンイオン、SeCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、(CSO、ジシアンジアミドイオン、トリシアノメタンイオンまたはチオシアネートイオンを示す。)
Figure 2006252957
(ここで、RおよびRは各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、Xはハロゲンイオン、SeCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、(CSO、ジシアンジアミドイオン、トリシアノメタンイオンまたはチオシアネートイオンを示す。)
Figure 2006252957
(ここで、R、R、R、Rは、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、Xはハロゲンイオン、SeCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、(CSO、ジシアンジアミドイオン、トリシアノメタンイオンまたはチオシアネートイオンを示す。)
溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質は、通常、いわゆるレドックス材と称されるものであるが、特にその種類を制限するものではない。かかる物質としては、例えば、フェロセン、p−ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラチアフルバレン、アントラセン、p−トルイルアミン等を挙げることができる。また、LiI、NaI、KI、CsI、CaI、4級イミダゾリウムのヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウムのヨウ素塩、BrとLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBrなどの金属臭化物などが挙げられ、また、Brとテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ビピリジニウムブロマイド、臭素塩、フェロシアン酸―フェリシアン酸塩などの錯塩、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ヒドロキノン−キノン、ビオロゲン色素、コバルト錯体などを挙げることができる。
レドックス材は、酸化体、還元体のどちらか一方のみを用いてもよいし、酸化体と還元体を適当なモル比で混合し、添加することもできる。また、電気化学的応答性を示すように、これら酸化還元対を添加するなどしても良い。そのような性質を示す材料としては、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有するフェロセニウムなどのメタロセニウム塩などのほか、ヨウ素、臭素、塩素などのハロゲン類を用いることもできる。
また、他の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質としては、ハロゲンイオン、SCNおよびSeCNから選ばれる対アニオン(X)を有する塩が挙げられる。これらの塩の例としては、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、グアニジウム塩などが例示できる。
4級アンモニウム塩としては、具体的には、(CH、(C、(n−C、さらには、
Figure 2006252957
等が挙げられる。
ホスホニウム塩としては、具体的には、(CH、(C、(C、(C、さらには、
Figure 2006252957
等が挙げられる。
また、イミダゾリウム塩としては、以下の一般式で示されるものが挙げられる。
Figure 2006252957
ここで、RおよびRは各々炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、R〜Rは各々、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基を示しており、互いに同一でも異なっても良い。Xはハロゲンイオン、SCN、またはSeCNを示す。
このようなイミダゾリウム塩の具体例としては、1−プロピル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム塩、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム塩等が挙げられる。
もちろん、これらの混合物も好適に用いることができる。
また、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質として、レドックス性常温溶融塩類も用いることができる。ここで、レドックス性常温溶融塩とは、常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示すものであって、かつ可逆的な電気化学的酸化還元反応を行うことができるものである。可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質として、レドックス性常温溶融塩類を用いる場合、前記溶媒は用いても、用いなくてもどちらの形態でもよい。
レドックス性常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
レドックス性常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2006252957
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示し、Xはハロゲンイオン、SeCNまたはSCNを示す。)
Figure 2006252957
(ここで、RおよびRは各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、Xはハロゲンイオン、SeCNまたはSCNを示す。)
Figure 2006252957
(ここで、R、R、R、Rは、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、Xはハロゲンイオン、SeCNまたはSCNを示す。)
可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質の使用量は、溶媒に溶解する限りにおいては、特に限定されるものではないが、通常溶媒に対して、1質量%〜50質量%、好ましくは3質量%〜30質量%であることが望ましい。
また、必要に応じて加えられる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類、常温溶融塩類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、環状4級ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、グアニジウム塩などが使用できる。
塩類の具体例としては、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、(CSO、およびジシアンジアミドイオン(DCA-)から選ばれる対アニオンを有するアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、環状4級ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、あるいはグアニジウム塩が挙げられる。
アルカリ金属、アルカリ土類金属塩の具体例としては、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、CHCOOLi、CH(C)SOLi、Li(CSOC、LiDCA、Mg(ClO2、Mg(BF2、Mg(PF2、Mg(CFSO2、Mg[(CFSON]、Mg[(CSON]、Mg(CHCOO)2、Mg[CH(C)SO]、Mg[(CSOC]、Mg(DCA)2等が挙げられる。
4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩の具体例としては、(CHNBF、(CNBF、(n−CNBF、(CNBr、(CNClO、(n−CNClO、CH(CNBF、(CH(CNBF、(CHNSOCF、(CNSOCF、(n−CNSOCF、さらには、
Figure 2006252957
等が挙げられる。
またホスホニウム塩、環状ホスホニウム塩の具体例としては、(CHPBF、(CPBF、(CPBF、(CPBF、さらには、
Figure 2006252957
等が挙げられる。
また、イミダゾリウム塩の具体例としては、1−プロピル−2,3−ジメチル−イミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。
また、グアニジウム塩の具体例としては、塩酸グアニジウム、チアシアン酸グアニジウム、硝酸グアニジウムなどが挙げられる。
また、これらの混合物も好適に用いることができる。
また、酸類も特に限定されず、無機酸、有機酸などが使用でき、具体的には硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン酸類、カルボン酸類などが使用できる。
アルカリ類も特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがいずれも使用可能である。
常温溶融塩類としては、前記した化合物が用いられる。
支持電解質の使用量については特に制限はなく、任意であるが、通常、電解質中の濃度として、0.01〜10mol/L、好ましくは0.05〜1mol/L程度を含有させることができる。
次に、所望により添加する任意成分に関して説明する。
任意成分としては、紫外線吸収剤、アミン化合物などを挙げることができる。用いることができる紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物、ベンゾフェノン骨格を有する化合物等の有機紫外線吸収剤が代表的な物として挙げられる。
ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物としては、例えば、下記の一般式(1)で表される化合物が好適に挙げられる。
Figure 2006252957
一般式(1)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。Rの置換位置は、ベンゾトリアゾール骨格の4位または5位であるが、ハロゲン原子およびアルキル基は通常4位に位置する。Rは、水素原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。Rは、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等を挙げることができ、またアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基等が挙げられる。
一般式(1)で示される化合物の具体例としては、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼンエタン酸、3−(5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸オクチルエステル等が挙げられる。
ベンゾフェノン骨格を有する化合物としては、例えば、下記の一般式(2)〜(4)で示される化合物が好適に挙げられる。
Figure 2006252957
上記一般式(2)〜(4)において、R、R、R、R、R11、及びR12は、互いに同一もしくは異なる基であって、ヒドロキシル基、炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基またはアルコキシ基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、及びシクロヘキシル基等を挙げることができる。またアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、及びブトキシ基等を挙げることができる。
、R、及びR10は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、及びプロピレン基等を挙げることができる。アルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、及びプロピリデン基等が挙げられる。
p1、p2、p3、q1、q2、及びq3は、それぞれ別個に0乃至3の整数を表す。
上記一般式(2)〜(4)で表されるベンゾフェノン骨格を有する化合物の好ましい例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、4−(2−ヒドロキシベンゾイル)−3−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
もちろん、これらを二種以上組み合わせて使用することができる。
紫外線吸収剤の使用は任意であり、また使用する場合の使用量も特に制限されるものではないが、使用する場合は電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上であり、20質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲の量で含有させることが望ましい。
次に、本発明の電解質に含有させることができるアミン化合物としては、特に限定されず、各種脂肪族アミン、芳香族アミンが用いられるが、例えば、ピリジン誘導体、アニリン誘導体、キノリン誘導体、イミダゾール誘導体などが代表的なものとして挙げられる。これらのアミン化合物を添加することで、開放電圧の向上が見込まれる。これらの化合物の具体例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、4−エチルピリジン、4−プロピルピリジン、4−t−ブチル−ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、4−ピリジノピリジン、4−ピロリジノピリジン、4−(2−アミノエチル)ピリジン、2−(2−アミノエチル)ピリジン、2−メトキシメチルピリジン、ピコリン酸、2−ピリジンメタノール、2−ピリジンエタノール、3−ピリジンメタノール、2,3−シクロペンテノピリジン、ニコチンアミド、ニコチン酸、4,4’−ビピリジン、2,2’−ビピリジン等のピリジン誘導体や、アニリン、ジメチルアニリン等のアニリン誘導体、キノリン、イソキノリンなどのキノリン誘導体、ベンズイミダゾール、N−メチルベンズイミダゾールなどのイミダゾール誘導体が挙げられる。
前記アミン化合物の使用は任意であり、また使用する場合の使用量も特に制限されるものではないが、使用する場合は電解質中の濃度として、0.001〜10mol/L、好ましくは0.01〜1mol/Lであることが望ましい。
また、本発明において用いる電解質としては、前記のような液体系でもよいが、固体化が可能であるとの観点から、高分子固体電解質が特に好ましい。高分子固体電解質としては、特に好ましいものとして、(a)高分子マトリックス(成分(a))に、少なくとも(b)可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(b))を含有し、所望により(c)可塑剤(成分(c))をさらに含有するものが挙げられる。また、これらに加え、所望によりさらに前記した支持電解質、紫外線吸収剤、アミン化合物などの他の任意成分を含有させてもよい。高分子固体電解質としては、前記成分(b)または、成分(b)と成分(c)、あるいはさらなる任意成分が、高分子マトリックス中に保持されることによって固体状態またはゲル状態が形成される。
本発明において高分子マトリックス(成分(a))として使用できる材料としては、高分子マトリックス単体で、あるいは可塑剤の添加や、支持電解質の添加、または可塑剤と支持電解質の添加によって固体状態またはゲル状態が形成されれば特に制限は無く、一般的に用いられるいわゆる高分子化合物を用いることができる。
上記高分子マトリックスとしての特性を示す高分子化合物としては、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、フッ化ビニリデンなどのモノマーを重合または共重合して得られる高分子化合物を挙げることができる。またこれらの高分子化合物は単独で用いても良く、また混合して用いても良い。これらの中でも、特にポリフッ化ビニリデン系高分子化合物が好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物としては、フッ化ビニリデンの単独重合体、あるいはフッ化ビニリデンと他の重合性モノマー、好適にはラジカル重合性モノマーとの共重合体を挙げることができる。フッ化ビニリデンと共重合させる他の重合性モノマー(以下、共重合性モノマーという。)としては、具体的には、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレンなどを例示することができる。これらの中でも、特にカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体が好ましい。すなわち、ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物としては、カルボキシル基を含有するものが好ましい。
これらの共重合性モノマーは、モノマー全量に対して0.1〜50mol%、好ましくは1〜25mol%の範囲で使用することができる。
共重合性モノマーとしては、好適にはヘキサフロロプロピレンが用いられる。本発明においては、特にフッ化ビニリデンにヘキサフロロプロピレンを1〜25mol%共重合させたフッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体を高分子マトリックスとするイオン伝導性フィルムとして好ましく用いることができる。また共重合比の異なる2種類以上のフッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体を混合して使用しても良い。
また、これらの共重合性モノマーを2種類以上用いてフッ化ビニリデンと共重合させることもできる。例えば、フッ化ビニリデン+ヘキサフロロプロピレン+テトラフロロエチレン、フッ化ビニリデン+ヘキサフロロプロピレン+アクリル酸、フッ化ビニリデン+ヘキサフロロプロピレン+無水マレイン酸、フッ化ビニリデン+テトラフロロエチレン+エチレン、フッ化ビニリデン+テトラフロロエチレン+プロピレンなどの組み合わせで共重合させて得られる共重合体を使用することもできる。
さらに、本発明においては高分子マトリックスとしてポリフッ化ビニリデン系高分子化合物に、ポリアクリル酸系高分子化合物、ポリアクリレート系高分子化合物、ポリメタクリル酸系高分子化合物、ポリメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリロニトリル系高分子化合物およびポリエーテル系高分子化合物から選ばれる高分子化合物を1種類以上混合して使用することもできる。あるいはポリフッ化ビニリデン系高分子化合物に、上記した高分子化合物のモノマーを2種以上共重合させて得られる共重合体を1種類以上混合して使用することもできる。このときの単独重合体あるいは共重合体の配合割合は、ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物100質量部に対して、通常200質量部以下とすることが好ましい。
本発明において用いられるポリフッ化ビニリデン系高分子化合物の重量平均分子量は、通常10,000〜2,000,000であり、好ましくは100,000〜1,000,000の範囲のものが好適に使用することができる。
可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(b))としては、液体系電解質において例示した可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を挙げることができる。
可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(b))の使用量については特に制限はないが、通常、高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。
なお、成分(b)は、可塑剤(成分(c))と併用することが好ましい。
可塑剤(成分(c))は、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質に対する溶媒として作用する。かかる可塑剤としては、一般に電気化学セルや電池において電解質溶媒として使用され得るものであればいずれも使用することができ、具体的には液体系電解質において例示した各種溶媒を挙げることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、3−メチル−2−オキサゾリジノン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。また、前述した常温溶融塩類も用いることができる。
可塑剤はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
可塑剤(成分(c))の使用量は特に制限はないが、通常、高分子固体電解質中に20質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、かつ98質量%以下、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下の量で含有させることができる。
成分(b)と成分(c)を併用する場合、成分(b)は、成分(c)に溶解しかつ高分子固体電解質とした際にも析出等が起こらない混合比とすることが望ましく、好ましくは成分(b)/成分(c)が質量比で0.01〜0.5、さらに好ましくは0.03〜0.3の範囲である。
また、成分(a)に対しては、好ましくは成分(a)/(成分(b)+成分(c))質量比が1/20〜1/1、さらに好ましくは1/10〜1/2の範囲であることが望ましい。
これらに加え、固体電解質中には、所望によりさらに支持電解質、紫外線吸収剤、アミン化合物などの他の任意成分を含有させてもよい。
高分子固体電解質における支持電解質の使用量については特に制限はなく任意であるが、通常、高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。また、紫外線吸収剤、アミン化合物などの種類および含有量は液体電解質において例示した通りである。
次に本発明において高分子固体電解質はイオン伝導性フィルムとして用いることができる。例えば、前記成分(a)および(b)、あるいはさらに所望により配合される任意成分からなる高分子固体電解質を公知の方法によりフィルムに成形することによりイオン伝導性フィルムを得ることが出来る。この場合の成形方法としては特に限定されず、押出し成型、キャスト法によるフィルム状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法や、注入法、含浸法などを挙げることができる。
押出し成型については常法により行うことができ、前記混合物を過熱溶融した後、フィルム成型することが行われる。
キャスト法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、キャスト法に用いられる通常のコータにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。コータとしては、ドクタコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、スプレイコータ、カーテンコータを用いることができ、粘度および膜厚により使い分けることができる。
スピンコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、市販のスピンコーターにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。
ディップコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行って混合物溶液を作製し、適当な基盤を混合物溶液より引き上げた後、乾燥することで成膜することができる。
本発明の色素増感型太陽電池のセル断面構造の例を図5〜図8に示した。
光透過性の高い対向電極を用いることにより、光電変換効率の高い光電変換素子を、より安価なコストで製造することが可能となり、太陽電池用の素子として好適である。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
[実施例1]
(1)半導体層を有する電極基板の作製
厚さ1mmで10cm角のチタン板を0.1容量%の過塩素酸水溶液中で白金板を対極として、両基板間に40Vを40分間印加し、陽極酸化した。その結果、チタン板表面にはナノチューブ構造を有するチタニアが形成された。この基板にメタンガスをカーボン源として、600℃の雰囲気でCVDにより前記陽極酸化後の基板のチタニア表面にカーボン薄膜を形成した。薄膜XRD計測により形成されたカーボン薄膜は良好な結晶性を有することが確認された。この電極基板を下記式で示されるルテニウム色素/エタノール溶液(3.0×10−4mol/L)に15時間浸し、色素層を形成した。
Figure 2006252957
(2)対向電極基板の作製
10cm角のフロートガラス上に、0.05mm幅で、ピッチ0.25mmで銀ペーストをスクリーン印刷して120℃で乾燥後、550℃で10分焼成しバスバー層を作製した。得られたバスバー層の膜厚は8μmで比抵抗を測定した結果、5μΩ・cmであった。このバスバー層上にCr厚が0.5μmとなるようにクロムメッキを施した。さらに、バスバー上にのみ無電解メッキ用触媒をスクリーン印刷法で形成し、Ptを150nm程度無電界メッキし、対極を作製した。
(3)セルの作製
得られた対向電極基板の周辺にブチルシール材を2mmのギャップを残して塗布し、前記で作成した半導体層を有する電極基板と貼り合わせた。シールのギャップ部から0.3mol/Lのヨウ化リチウムと0.03mol/Lのヨウ素を含むメトキシプロピオニトリル溶液を真空注入法により、注入し、注入口をブチルシール材で封じた後、上部をエポキシ接着剤で固定化した。なお、半導体電極基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。図5に作製したセルの断面を示す。
このようにして得たセルに、対極側より疑似太陽光(1kW/m)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、光電変換効率は4%と良好であった。
また、セルを短絡状態にして、擬似太陽光を対極側から継続的に照射し、耐光性試験を実施した。1000時間経過した時点で、初期変換効率の維持率は94%であった。
[比較例1]
(1)半導体層を有する電極基板の作製
面抵抗値12Ω/sqの10cm角SnO:Fガラス(ガラス基板上にSnO:F膜を形成した透明導電性ガラスで、ガラスの辺から約15mmの距離に1mmφの開口部があるもの))上に、チタニアペーストを基板上にスクリーン印刷するために、ポリエステル27メッシュ上に長さ180mm、幅9mmのパターンを1mmの間隔を設けて18パターン作製した印刷版を用いてSOLARONIXS社製のチタニアペーストTi−Nanoxide T/SPをスクリーン印刷法により塗布し100℃で乾燥させた後、塗布した基板を500℃で30分焼成した。焼成後のチタニア半導体層の膜厚を触針式膜厚計で計測したところ12μmであることが分かった。
(2)半導体層を有する電極基板の作製を上記の方法で実施した以外は、実施例1と同様な方法でセルを作製した。
このようにして得たセルに、半導体層を有する電極(半導体電極)側より疑似太陽光(1kW/m)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、光電変換効率は4%であった。
また、セルを短絡状態にして、擬似太陽光を対極側から継続的に照射し、耐光性試験を実施した。100時間経過した時点で、初期変換効率の20%しか維持していなかった。また、半導体電極の表面に400nmで光学密度が3となる紫外線カットフィルターを装着し、擬似太陽光を対極側から継続的に照射し、耐光性試験を実施した。この試験においては、1000時間経過した時点で、初期変換効率の維持率は95%であった。しかし、紫外線カットフィルターを装着することで、光電変換素子に入射する光量が低減し、光電変換効率は3.2%に減少した。
[実施例2]
(1)対向電極基板の作製
線径30μm、100メッシュで空間率が78%のステンレス製メッシュを塩化白金酸溶液に浸漬し、400℃で焼成した。その後、厚さ3mmのフロートガラス上に配置し、周辺にブチルシールを幅1mmで配置した。このとき、電解液の注入口用として、シールの一部に2mmのギャップを確保した。
(2)セルの作製
このようにして得られた対向電極基板を電極間距離が75μmとなるように実施例1で作成した半導体層を有する電極基板と貼り合わせた。その後、注入口より0.3mol/Lのヨウ化リチウムと0.03mol/Lのヨウ素を含むメトキシプロピオニトリル溶液を真空注入法で電極間に充填した。注入口をブチルシールで塞いだ後に、周辺をエポキシ接着剤で補強した。なお、半導体電極基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。図6に作製したセルの断面を示す。
このようにして得たセルに、対極側より疑似太陽光(1kW/m)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、光電変換効率は4.5%と良好であった。また、セルを短絡状態にして、擬似太陽光を対極側から継続的に照射し、耐光性試験を実施した。1000時間経過した時点で、初期変換効率の維持率は94%であった。
[実施例3]
(1)対向電極基板の作製
線径30μm、100メッシュで空間率が78%のステンレス製メッシュを塩化白金酸溶液に浸漬し、400℃で焼成した。その後、厚さ2mmの石英基板上に配置し、周辺にブチルシールを幅1mmで配置した。このとき、電解液の注入口用として、シールの一部に2mmのギャップを確保した。
(2)セルの作製
このようにして得られた対向電極基板を電極間距離が75μmとなるように実施例1で作成した半導体層を有する電極基板と貼り合わせた。その後、注入口より0.3mol/Lのヨウ化リチウムと0.03mol/Lのヨウ素を含むメトキシプロピオニトリル溶液を真空注入法で電極間に充填した。注入口をブチルシールで塞いだ後に、周辺をエポキシ接着剤で補強した。なお、半導体電極基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。
このようにして得たセルに、対極側より疑似太陽光(1kW/m)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、光電変換効率は4.8%と良好であった。また、セルを短絡状態にして、擬似太陽光を対極側から継続的に照射し、耐光性試験を実施した。1000時間経過した時点で、初期変換効率の維持率は95%であった。
[実施例4]
(1)対向電極基板の作製
線径30μm、100メッシュで空間率が78%のステンレス製メッシュを塩化白金酸溶液に浸漬し、400℃で焼成した。その後、厚さ200ミクロンのPET基板上に配置し、周辺にブチルシールを幅1mmで配置した。このとき、電解液の注入口用として、シールの一部に2mmのギャップを確保した。
(2)セルの作製
このようにして得られた対向電極基板を電極間距離が75μmとなるように実施例1で作成した半導体層を有する電極基板と貼り合わせた。その後、注入口より0.3mol/Lのヨウ化リチウムと0.03mol/Lのヨウ素を含むメトキシプロピオニトリル溶液を真空注入法で電極間に充填した。注入口をブチルシールで塞いだ後に、周辺をエポキシ接着剤で補強した。なお、透明導電性基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。
このようにして得たセルに、対極側より疑似太陽光(1kW/m)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、光電変換効率は4.8%と良好であった。また、セルを短絡状態にして、擬似太陽光を対極側から継続的に照射し、耐光性試験を実施した。1000時間経過した時点で、初期変換効率の維持率は95%であった。
透明基板に配置するバスバー断面形状の例である。 バスバーパターンの例である。 被覆率の説明図である。 陽極酸化を行う金属板の断面構造の例である。 セルの断面構造の例である。 セルの断面構造の例である。 セルの断面構造の例である。 セルの断面構造の例である。
符号の説明
1 透明基板
2 バスバー
3 バスバー幹部
4 バスバー枝部
5 バスバー母線部
6 陽極酸化を行う金属層
7 基板
8 6と異なる導電層
9 透明基板
10 バスバー
11 電解質層
12 半導体層(チタニア層)
13 導電性基板
14 触媒層
15 保護層
16 導電性層

Claims (8)

  1. 導電性基板上に半導体層と光増感型色素とを有する光電極基板と、少なくとも透明基板からなる対向電極基板とを所定の間隔を隔てて対向させ、これら基板間に電解質が配置された構成からなる色素増感型太陽電池素子において、対向電極基板にバスバーを有することを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 対向電極基板が、電解質に含まれるレドックス対の酸化あるいは還元反応に対する触媒層を有することを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 半導体層を有する導電性基板の導電性部分が金属であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  4. レドックス対にハロゲン元素が含まれることを特徴とする請求項2に記載の色素増感型太陽電池。
  5. 電解質の吸収が、前記半導体層の吸収の立ち上がり波長より、長波長側から吸収が立ち上がることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  6. 光電極の半導体層が、導電性基板の導電性部分の金属を陽極酸化して形成したことを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  7. 光電極の導電性基板がチタン板であり、前記チタン板を陽極酸化し、チタニア層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  8. チタニア層がチューブ形状チタニアから構成されていることを特徴とする請求項7に記載の色素増感型太陽電池。
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