JP2006252942A - 真四角絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い絶縁性を保持しつつ、占積率を高くすることが可能な真四角絶縁電線を提供すること。
【解決手段】 断面形状が略正方形である線状の導体mの外周表面に、電着塗装法によって第一絶縁層1を形成し、さらにその上に、ディッピング法によって第二絶縁層2を形成する。第一絶縁層1の形成では、導体mのコーナー部において、第一絶縁層に電着塗装法の電着特性に起因する膨れが生じるが、その膨れによって層1の表面に相対的に生じた凹凸を、ディッピングの膜形成特性に従って形成される第二絶縁層によって平坦化し、耐電圧特性、導体占積率に優れた真四角絶縁電線を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、真四角絶縁電線に関し、より詳細には、従来品よりもさらに高い導体占積率にてコイルを形成し得るものに関する。
近年、電子機器の軽量・小型化が進められており、これに伴い、電子機器内に装備される各部品の軽量・小型化も要望されている。このような軽量・小型化が求められる部品の一つとしてコイル(巻線)がある。
コイルは、絶縁電線を必要回数だけ同心状や1層以上のラセン状に巻回することによって構成されたものである。絶縁電線は、所定の断面形状を有する線状の導体と、この導体の表面を覆う絶縁層とを有して構成される。
コイルの性能を維持しつつ、コイルの軽量・小型化を図るためには、絶縁電線を巻回してコイルを形成したときの導体占積率をできるだけ高くする必要がある。
ここで、導体占積率とは、コイル断面に現れる線材断面のうち1本の線材の導体部分の断面積をSとして、〔導体断面積Sの総和/コイルの断面積〕×100〔%〕で規定される割合である。線材に関する「断面」は、特別に断らない限り、線材の長手方向に対し垂直な面で切断したときの断面である。
導体占積率が高い値を示すということは、導体占積率が低いものに比べて、同じ空間により多くの線材を巻くことが可能であることを意味しており、コイルの小型化、軽量化が可能であることを意味している。
近年、コイルの導体占積率を向上させるために、絶縁電線として、平形絶縁電線(円形を平たく押しつぶしたような断面形状のもの、長方形に近い断面形状のもの)が用いられるようになっている。さらに最近では、導体の断面形状を略正方形とした真四角絶縁電線が注目されており、導体占積率のさらなる向上が見込まれている(特許文献1〜2)。
しかしながら、本発明者等が従来の真四角絶縁電線の断面形状(絶縁層を含めた線全体としての断面形状)を詳細に検討したところ、次に説明するように、真四角絶縁電線の目的である導体占積率の向上が充分に達成されていないことがわかった。
この問題は、絶縁層(被膜)の形成方法に起因して層厚が不均一となり、真四角絶縁電線全体としての断面形状が、理想的な正方形とは大きく異なっている点に原因がある。
以下、真四角絶縁電線を「真四角線」とも呼ぶ。真四角線の導体の断面形状は、当技術分野において正方形と見なすことができる形状、即ち「略正方形」であるが、以下の説明では、単に「正方形」との表現を適宜用いて説明する。また、真四角線の中心に位置する断面正方形の線状の導体を単に「導体」とも呼ぶ。
真四角線の製造において導体の表面に絶縁層を被覆する方法としては、ディッピング法(特許文献3、4)や、電着塗装法(特許文献5)が知られている。
図3(a)は、ディッピング法によって絶縁層を形成した場合の真四角線の断面図である。ハッチングは省略している。ディッピング法によって導体11の外周に絶縁層12を形成した場合には、ディッピング特有の膜形成特性が現れて、下地の導体表面のうち平坦な部分ほど表面張力の影響によって絶縁層が厚くなる。従って、図3(a)に示すように、絶縁層12は、導体11の外周に4面ある平面部で膨れ、その中央付近(図において符号p10で示す部分)での厚さt10が最も厚く、コーナー部(図において符号p20で示す部分)に近づくに従って薄くなり、コーナー部での厚さt20が最も薄くなり、真四角線全体としての断面形状は、円形またはそれに近い形状になってしまう。
コーナー部の絶縁層の厚さt20は、同図に示すように、導体の正方形断面の頂点において、正方形の対角線の方向について測定したときの厚さである。
図3(a)のような全体の断面形状が円形となった真四角線を巻回してコイルを製作しても、図3(b)に示すように、コイル断面積に対して絶縁層12の断面積が占める割合および線同士の間に生じる空隙が占める割合が大きくなり、導体占積率を高くすることはできない。
また、導体占積率を高くするために、平坦部の絶縁層の厚さt10を薄くすると、コーナー部の絶縁層の厚さt20が許容限度を越えて薄くなってしまい、耐電圧性が損われるので、ディッピング法による絶縁層の薄膜化には限界がある。
また、ディッピング法によって絶縁層を形成するに際して、通常よりも表面張力の小さいワニスを用い、ワニス浸漬直後の導体を断面正方形のダイスに通した後に焼き付ける方法が知られている。このような方法によれば、図4に示すように、導体外周の平面部分の絶縁層はより平坦化し、厚さt11はより薄くなり、図3の態様に比べてコイルの導体占積率は改善される(図示せず)。
しかしながら、このような断面正方形のダイスを用いたディッピング法は、導体をダイスに通す場合に、導体の断面形状の正方形(小)と、ダイスの断面形状の正方形(大)とを、対角線が一致するように正確に位置合わせをすることが必要であり、製造が困難である。これに対して、図3の態様では、方向性を持たない断面円形ダイスを用いており、位置合わせは比較的容易である。
また、図4の態様であっても、各コーナー部の絶縁層の厚さt21は薄いために、製造方法が困難である割には、良好な絶縁性は得られない。
一方、図5は、電着塗装法によって絶縁層を形成した場合の真四角線の断面図である。ハッチングは省略している。電着塗装法によって導体11の外周に絶縁層12を形成した場合には、電着加工時の電界がコーナー部に集中することにより、導体のコーナー部の方が絶縁層は厚くなるという電着特性が現れる。従って、図5に示すように、絶縁層12は、導体のコーナー部において丸く膨れ、厚さt22が最も厚くなり、これに対して導体の平坦部での厚さt12が薄くなり、よって、絶縁層の表面には凹凸が生じ、真四角線全体の断面形状は、所謂、ドッグボーン状となる。
このような、断面形状がドッグボーン状の真四角線を巻回してコイルを製作しても(図示せず)、導体の平坦部の絶縁層が凹状となっているために、線間に無駄な空隙(デッドスペース)が生じ、コイルの導体占積率を高くすることはできない。
また、ドッグボーン状となる現象を抑制すべく、コーナー部での絶縁層の厚さを薄くすると、平坦部での絶縁層が過度に薄くなり、真四角線の耐電圧性が損なわれる。
以上のように、絶縁層の形成にディッピング法、電着塗装法のいずれを用いても、高い絶縁性を維持しながら導体占積率を従来よりも高くすることは困難である。
特開2001−291444号公報 特開2002−307104号公報 特開平7−216058号公報 特開平7−238225号公報 特開平7−320573号公報
本発明の課題は、高い絶縁性を維持しながらもコイルの導体占積率をより高くすることが可能な真四角線、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、電着塗装法によって第一の絶縁層を形成した後、その上に、ディッピング法にて第二の絶縁層を形成することで、電着特性に起因して生じるドッグボーン状の断面形状(即ち、導体平坦部に生じる絶縁層の窪み)が、ディッピング法の膜形成特性に従って生じる平坦部の膨れによって緩和され、真四角線全体としての断面形状が正方形により近く、しかも、耐電圧性を損なうような薄い部分が生じないことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の特徴を有する。
(1)断面形状が略正方形である導体と、
該導体の外周に、電着塗装法によって形成された第一絶縁層と、
該第一絶縁層の外周に、ディッピング法によって形成された第二絶縁層とを有し、
第一絶縁層の表面には、導体のコーナー部上に電着塗装法の電着特性に起因する膨れが生じており、この膨れによって第一絶縁層の表面に相対的に生じた凹凸が、ディッピングの膜形成特性に従って形成された第二絶縁層によって平坦化されていることを特徴とする、真四角絶縁電線。
(2)第一絶縁層が、上記導体の外周に、エポキシ−アクリル系水分散ワニスを電着塗装することによって形成された層であり、
第二絶縁層が、ポリアミドイミド樹脂をディッピング塗装することによって形成された層である、上記(1)記載の真四角絶縁電線。
(3)導体のコーナー部における第一絶縁層の厚さが、導体の平坦部における第一絶縁層の厚さの1.1倍〜3.0倍であり、かつ、
導体のコーナー部における、第一絶縁層の厚さと第二絶縁層の厚さとの合計が、導体の平坦部における、第一絶縁層の厚さと第二絶縁層の厚さとの合計の、0.8倍〜20倍である、上記(1)記載の真四角絶縁電線。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の真四角絶縁電線を巻回してなるコイル。
(5)断面形状が略正方形である線状の導体の外周表面に、電着塗装法によって第一絶縁層を形成する第一工程と、さらにその上に、ディッピング法によって第二絶縁層を形成する第二工程とを有し、
第一工程では、導体のコーナー部において、第一絶縁層に電着塗装法の電着特性に起因する膨れが生じており、この膨れによって第一絶縁層の表面に相対的に生じた凹凸を、第二工程において、ディッピングの膜形成特性に従って形成される第二絶縁層によって平坦化することを特徴とする、真四角絶縁電線の製造方法。
(6)電着塗装法において用いる第一絶縁層形成用の液状塗料が、エポキシ−アクリル系水分散ワニスであって、
ディッピング法によって形成される第二絶縁層が、ポリアミドイミド樹脂からなる層である、上記(5)記載の製造方法。
(7)上記導体を、タフピッチ銅からなる素材に冷間にて伸線加工を施し、断面形状が略正方形の線材とした後、焼鈍をほどこして作製するものである、上記(5)または(6)記載の製造方法。
上記のとおり、本発明では、電着塗装法による第一絶縁体層を下層とし、ディッピング法による第二絶縁層を上層とする二層構造の絶縁層を形成している。この構成によって、図1(a)に示すように、第一絶縁層1に電着特性に起因して生じるドッグボーン状の断面形状の凹部1a(膨れの間の部分)が、図1(b)に示すようにディッピングの膜形成特性に従って形成される第二絶縁層2によって埋められて、凹凸が平坦化され、真四角線全体としての断面形状は、より正方形に近くなる。
しかも、真四角線の耐電圧性や絶縁特性を損なうような絶縁層の薄い部分は、導体のコーナー部にも平坦部にも生じない。これは、導体のコーナー部では第一絶縁層の電着特性によって充分な層厚が確保され、導体の平坦部では第二絶縁層のディッピングの膜形成特性によって充分な層厚が確保されるからである。
即ち、本発明では、断面形状の点では、電着塗装法の欠点をディッピング法の欠点によって打ち消しており、また、耐電圧性や絶縁特性の点では、電着塗装法の利点とディッピング法の利点とを両方生かしているといえる。
本発明による真四角線を用いてコイルを形成すれば、十分に良好な耐電圧性と、高い導体占積率とを達成できる。
以下、本発明による製造方法を説明しながら、それに沿って、本発明による真四角線の構造をも同時に説明する。
本発明による製造方法は、上記(5)に構成を示したとおり、第一工程と、第二工程とを少なくとも有する。
第一工程では、図1(a)に示すように、断面形状が略正方形である線状の導体Sの外周表面に、電着塗装法によって第一絶縁層1を形成する。
導体mは、真四角線の芯線として利用可能なものであればよい。導体の長手方向に垂直な断面形状は正方形(略正方形)であるが、その正方形の隣り合った2辺の長さの比は、0.8〜1.2程度、特に0.9〜1.1が好ましく、真の正方形により近い形状であることが好ましい。
導体の断面形状である正方形の各辺の長さは、特に限定はされないが、例えば0.02〜2.0mm程度が汎用的なものとして挙げられ、なかでも0.05〜1.0mm程度のものは、種々の産業上において重要な真四角線である。
導体の材料は、真四角線の芯線材料として従来公知のものを用いてよく、例えば、銅、アルミニウム、銅合金、銅クラッドアルミニウム、ニッケルめっき銅、タフピッチ銅、高純度銅(99.999wt%Cu、99.9999wt%Cu)、銀めっき銅、ステンレス等が挙げられる。
これらの材料の中でも、銅、銅合金は、絶縁導線の導体材料として最も汎用的であり重要である。なかでもタフピッチ銅は、最も一般的な材料であるため、入手が容易であり、好ましい材料である。
導体の製造方法は、特に限定されず、真四角線の技術分野における公知の方法を用いてよい。
例えば、特開2001−291444号公報に記載の方法では、目的とする断面が略正方形状の導体の略正方形の一辺の長さに等しい厚さを有するシート材を、カッターローラ、レーザ発振器、ワイヤー等の各種の分断手段によってせん断することによって、断面が略正方形状である導体を製造している。
また、特開2002−307104号公報の方法では、断面が円形である導体を圧延ローラに通し、目的とする断面正方形状の導体の一辺の長さに等しい厚さを有する帯状の平型導体へと圧延した後、この平型導体をスリットローラに通し、前記一辺の長さに等しい幅にて分断し、断面が略正方形状の導体を製造している。
これらの製造方法は、あくまで例示であって、他の方法を用いて製造してもよい。また、既製品として断面が正方形状の導線があれば使用してもよい。中でも、銅(特にタフピッチ銅)からなる材料を冷間加工によって断面正方形の導体とし、これに焼鈍を施して目的の導線とする製法が好ましい。導体を得るための冷間加工技術自体は、従来公知の技術を参照してもよい。
第一絶縁層を形成すべく電着塗装法を実施し得る液状塗料としては、例えば、水分散ワニス、溶剤系ワニス等が好ましい材料として挙げられる。
水分散ワニスとしては、エポキシ−アクリル系水分散ワニスが挙げられる。
エポキシ−アクリル系水分散ワニスの種類については特に限定はなく、適切なエポキシ基含有のアクリル系樹脂からなる樹脂成分を、必要に応じ安定剤等を用いて水(または親水性溶媒)に分散させたもの等が用いられる。親水性溶媒としてはアルコール水溶液等が挙げられる。
エポキシ基含有のアクリル系樹脂の例としては、ニトリル基等を有するアクリル系モノマーからなる(a)成分と、エポキシ基を有するアクリル系モノマーからなる(b)成分と、(a)成分および(b)成分の一方または双方に存在する二重結合と反応し得る二重結合を1個又は2個以上有する不飽和有機酸からなる(c)成分との少なくとも3種を用いた共重合体などが挙げられる。
上記の(a)成分であるアクリル系モノマーとしては、例えば、一般式(a)CH=C(R)R(式中、Rは、水素原子又はアルキル基、Rはニトリル基、アルデヒド基又はカルボキシエステル基である。)で表される化合物等が挙げられる。
上記の(b)成分のアクリル系モノマーとしては、例えば、一般式(b):CH=C(R)R(式中、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アミド基、N−アルキルアミド基、アルキロール基、グリシジルエーテル基又はグルシジルエステル基であり、かつ、R、Rの少なくとも1つは、グリシジルエーテル基又はグリシジルエステル基である。)で表される化合物などが挙げられる。
共重合体の調製に際しては、上記(a)成分、(b)成分および(c)成分の各成分を1種又は2種以上を用いることができる。得られる絶縁層の耐熱性等の観点から、好ましく用い得る成分は、上記の一般式(a)、(b)におけるR、R、R、R及び(c)成分の不飽和有機酸の炭素数が約30以下、好ましくは15以下のものである。
好ましく用い得る(a)成分の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、アクロレインなどが挙げられる。得られる絶縁層の耐熱性等の点より特に好ましい(a)成分は、合計炭素数が15以下のものである。
好ましく用い得る(b)成分の具体例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
好ましく用い得る(c)成分の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、α−エチルアクリル酸、β−メチルクロトン酸、チグリン酸、2−ペンテン酸、2−ヘキセン酸、2−ヘプテン酸、2−オクテン酸、10−ウンデセン酸、9−オクタデセン酸、桂皮酸、アトロパ酸、α−ベンジルアクリル酸、メチルアトロパ酸、2,4−ペンタジエン酸、2,4−ヘキサジエン酸、2,4−ドデカジエン酸、9,12−オクタデカジエン酸といった一塩基酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、ムコン酸、ジヒドロムコン酸といった二塩基酸、1,2,4−ブテントリカルボン酸といった三塩基酸などが挙げられる。特に好ましい(c)成分は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸などである。
上記共重合体の調製は、例えば乳化重合方式、溶液重合方式、懸濁重合方式等の公知の重合方式により適宜行うことができる。その場合、上記(a)成分の使用割合は、(b)成分1モルあたり1〜20モル、好ましくは、2〜10モル、さらに好ましくは、4〜6モルである。また、(c)成分の使用割合は、(a)成分と(b)成分の合計に基づく1モルあたり0.01〜0.2モル、好ましくは、0.03〜0.1モルである。
上記の共重合体は、スチレンないしその誘導体やジオレフィンの変性物として調製することもできる。スチレン誘導体としては、スチレンのフェニル基がニトリル基、ニトロ基、水酸基、アミノ基、ビニル基、フェニル基、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、N−アルキルアミノ基等の1種又は2種以上で置換されたものなどが挙げられる。
上記のハロゲン原子としては、塩素や臭素などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基やエチル基、プロピル基やブチル基などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基やフェネチル基などが挙げられる。アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基などが挙げられる。
変性用の好ましいスチレン誘導体としては、メチルスチレン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン、クロロスチレンなどが挙げられる。また、好ましいジオレフィンとしては、ブタジエン、ペンタジエン、メチル−ブタジエンなどが挙げられる。
変性用の調製は、例えば上記した共重合体の調製に際して1種又は2種以上の変性剤を併用して共重合させることにより行うことができる。その場合、変性剤の使用割合は、(a)成分1モルあたりスチレンやその誘導体では2モル以下、ジオレフィンでは約1モル以下とすることが好ましい。スチレンやその誘導体の使用割合が過多の場合には得られる絶縁層が可撓性に乏しい場合がある。またジオレフィンの使用割合が過多の場合には得られる共重合体が軟化温度に乏しい場合がある。
上記水分散ワニスにおけるエポキシ−アクリル系共重合体の濃度は、0.1〜10重量%、好ましくは、0.3〜5重量%である。濃度が0.1重量%未満であるとピンホールが発生しやすくなり、10重量%を超えると均一な層厚を得ることが困難となる。
電着塗装法の塗装工程には、より詳細には、電着工程と、乾燥・焼付け工程とが含まれる。これら電着技術、乾燥・焼付け技術自体は、従来公知の技術を参照してもよい。
電着工程では、上記の水分散ワニスで満たされた電着バス中に導体を通過させる等により、導体を水分散ワニス中に浸漬させた状態とし、その状態で所定の電圧を印加することにより、第一絶縁層となる電着被膜を形成する。
この電着工程で印加する電圧は、通常、直流電圧で1〜150Vであり、好ましくは、直流電圧で5〜50Vである。電着時間としては、通常、1〜60秒であり、好ましくは、2〜10秒である。電着工程を行う際の温度としては、15〜40℃程度が挙げられ、好ましい温度として20〜30℃が挙げられる。
乾燥・焼付け工程では、電着被膜を、従来公知の乾燥装置および焼付け炉などを用いて乾燥させ、焼付ける。この加工によって、水分散ワニスはワニスとなる。
燥条件としては、80〜120℃の温度で1〜10分間程度行うことが挙げられる。また、焼付けは、180〜240℃の温度で1〜10分程度行うことが挙げられる。
第一絶縁層は、電着塗装法での電着特性に起因してコーナー部に膨れが生じ、その断面形状は、図1(a)に示すとおりのドッグボーン状となる。
コーナー部における第一絶縁層1の厚さt2の実際の値は、導体の断面形状である正方形の各辺の長さや、真四角線の用途、各用途において必要とされる絶縁特性などによって異なるので限定はされないが、高い導体占積率が求められることの多い用途では、1μm〜50μm程度、特に3μm〜30μm程度が、汎用的な厚さである。コーナー部における第一絶縁層の厚さとは、図1(a)に示すように、導体mの正方形断面の頂点において、正方形の対角線の方向について測定したときの厚さt2である。
同様に、導体mの平坦部における第一絶縁層の厚さt1も、上記厚さt2と同様の理由から限定はされないが、実際の値は、1μm〜40μm程度、特に2μm〜25μm程度が汎用的な厚さである。
平坦部における第一絶縁層の厚さとは、図1(a)に示すように、導体mの正方形断面の各辺の中点において測定したときの第一絶縁層の厚さt1である。
より正確な層厚のデータが必要な場合は、4つのコーナー部や、4辺での、各第一絶縁層の厚さの平均をとるなど、任意のデータ処理法、統計的手法を用いてもよい。
第一絶縁層におけるコーナー部の膨れと、それによって平坦部に相対的に生じる凹部とにからなる凹凸の度合いは、後の第二絶縁層による平坦化を鑑みれば、適当な範囲にあることが好ましい。即ち、第一絶縁層のコーナー部での厚さt2は、平坦部での厚さt1の1.1倍〜3.0倍程度が好ましく、1.5倍〜2.5倍程度がより好ましい。
t2がt1の1.1倍よりも小さいと、第一絶縁層のコーナー部での膨らみよりも、ディッピング法によって形成される第二絶縁層の平坦部の膨らみの方が大きくなり、好ましい相殺が生じない。逆に、t2がt1の2.5倍よりも大きいと、ドッグボーンの凹部が深すぎることになり、ディッピング法によって形成される第二絶縁層が該凹部を平坦に埋めきれず、好ましい真四角線が得られない。
電着工程において、第一絶縁層表面の凹凸の度合いを上記のように特定の範囲に制御する方法としては、例えば、電着工程における印加電圧(電着電圧)を調節・操作することによって、t1とt2との比を制御する方法などが挙げられる。
第二工程では、図1(b)に示すように、第一絶縁層1の上に、ディッピング法によって第二絶縁層2を形成する。
ディッピング法は、導体を液状塗料に浸漬する浸漬工程と、ダイス内を通過させて被膜厚さをコントロールするダイス通過工程と、乾燥・焼付け工程とを有する塗装法である。ディッピング法の各工程技術自体は、公知技術を参照すればよい。
ダイス通過工程で用いるダイスの通過孔の開口形状は、円形であってもよいが、平坦部の層厚が均一となるように塗装するには、開口形状が正方形(正方形ダイス)である方が好ましく、層厚の精度も高くなる。
第二工程では、第一絶縁層の表面に生じた凹凸を平坦化すべく、第一絶縁層の膨れの上では薄く、凹部では厚くなるように、即ち、凹部を選択的に充填するように、第二絶縁層を形成することが好ましい。
このような凹凸の平坦化は、ディッピング法を通常どおりに遂行すれば、ディッピング法が生来的に有する〔平坦部が膨れる〕という性質に依存して、ある程度は達成される。
しかしながら、第一絶縁層の表面に生じる種々の凹凸に対応して、最適な平坦化を行なうには、一回のディッピング塗装で形成される層の厚さを薄くし、そのディッピング塗装を複数回繰り返して多層に塗り重ねることが好ましく、これによって平坦化の精度が向上する。
第二絶縁層の材料は、ディッピング法が適用可能なものであればよいが、好ましい材料としてポリアミドイミド樹脂が挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂は、特許文献3、4、開平7−268213号公報、特公昭44−19274号公報等に示されるように、例えば酸無水物基を有する3価以上のポリカルボン酸またはその誘導体と芳香族ジイソシアネートとを極性溶媒中で反応させて得ることができる。
酸無水物基を有する3価以上のポリカルボン酸またはその誘導体は、イソシアネート基と反応する酸無水物基を有する3価以上のポリカルボン酸またはその誘導体であればよく、特に制限はない。一般に耐熱性、コスト面等を考慮すれば、トリメリット酸無水物が好ましい。
芳香族ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等を使用することができ、また、これらを組み合わせて使用することもできる。
上記のポリカルボン酸またはその誘導体と芳香族ジイソシアネートの使用量は、カルボキシル基またはその誘導基および酸無水物基に対するイソシアネート基の比が1.5〜0.7になるように選定するのが好ましく、高分子量の樹脂を得るためには、カルボキシル基またはその誘導基および酸無水物基に対するイソシアネート基の比を1.0付近にすることが特に好ましい。反応は、80〜150℃の温度範囲で極性溶媒の存在下、遊離発生してくる炭酸ガスを反応系より除去しながら加熱縮合される。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択される。極性溶媒としては、化学的に不活性な有機溶媒、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を使用することができ、その使用量は、生成するポリアミドイミド樹脂の1.0〜3.0倍(重量)であることが好ましい。
第二絶縁層は、ディッピング法の特性に起因した平坦部の膨れによって、第一絶縁体層表面の凹凸を平坦化し、その断面形状は、図1(b)に示すとおりの真四角状となる。
コーナー部における第二絶縁層1の厚さt4の実際の値は、導体の断面形状である正方形の各辺の長さや、真四角線の用途、実使用上で必要とされる絶縁特性などによって異なるので限定はされないが、コーナー部については第一絶縁体層が既に充分な厚さを確保している点から、第二絶縁層1の厚さt4はそれよりも薄くする方が好ましく、10μm程度、特に1μm〜5μm程度が、実際の好ましい厚さである。コーナー部における第二絶縁層の厚さとは、図1(b)に示すように、正方形の対角線の方向について測定したときの厚さt4である。第二絶縁層1の厚さt4を薄くすることによって、真四角線全体としてのコーナー部の曲率は、電着塗装によって生じる膨れの曲率に近くなり、大きい曲率(=小さい曲率半径)となる。
導体mの平坦部上の第二絶縁層の厚さt3は、第一絶縁層表面の凹凸の段差(≒t2−t1)以上の厚さを確保すべきであり、1μm〜40μm程度、特に2μm〜30μm程度が実際の好ましい厚さである。
平坦部における第二絶縁層の厚さとは、図1(b)に示すように、導体mの正方形断面の各辺の中点において測定したときの厚さt3である。
より正確な層厚のデータが必要な場合は、第一絶縁層の場合と同様に、4つのコーナー部や、4辺での、各第一絶縁層の厚さの平均をとるなど、任意のデータ処理法、統計的手法を用いてもよい。
本発明によれば、第一絶縁層と第二絶縁層とを合わせて1つの絶縁層と見なしたとき、導体の全周にわたって均一に近い絶縁層厚さを得ることができる。また、コーナー部の曲率半径は、電着塗装の膨れ程度に充分に小さくすることができる。
しかも、第一絶縁層の膨れは、導体のコーナー部を効果的に保護し良好な絶縁性を与えており、第二絶縁層は導体の平坦部を効果的に保護し良好な絶縁性を与えている。
導体のコーナー部における、第一絶縁層の厚さt2と第二絶縁層の厚さt4との合計(t2+t4)は、導体の平坦部における、第一絶縁層の厚さt1と第二絶縁層の厚さt3との合計(t1+t3)の、0.8倍〜20倍とすることが好ましく、より好ましくは1.0倍〜1.6倍、特に好ましくは1.0倍〜1.2倍である。
真四角線におけるこのような層厚の均一性は、従来のように、電着塗装法やディッピング法をそれぞれ単独で実施するだけでは達成し得ないものである。
当該真四角線を巻回することによって、従来よりも導体占積率が高くかつ良好な耐電圧性を有する本発明のコイルが得られる。図2は、本発明によるコイルの一例を示す断面図であって、説明のために、ボビンB1上に当該真四角線Aを2層に整列巻きした状態として示している。
同図のコイル断面と、図3(b)のコイル断面とから明らかなとおり、本発明によるコイルは、線間に無駄な空隙が少ない。しかもそれは、従来の無駄な空隙に絶縁層だけが入り込んだのではく、導体同士が互いに近づいたことによって達成されている。また、導体のコーナー同士は第一絶縁層の膨れによって適度な距離を保っている。このような特徴によって、導体占積率が高くかつ耐電圧性は良好となる。
本発明によるコイルには、同図のようなボビンやコアは必ずしも必要ではなく、種々の巻線コイルの形態としてよい。
実施例1
本実施例では、一辺0.5mmの正方形断面を有する銅線を用い、第一絶縁層、第二絶縁層を形成して真四角線を製作し、その性能を評価した。
先ず、第一工程における電着工程では、エポキシ−アクリル系水分散樹脂ワニスとして、アクリロニトリル4.5モル、アクリル酸0.8モル、グリシジルメタアクリレート0.5モル、イオン交換水750g、ラウリル硫酸エステルソーダ7.0g、過硫酸ソーダ0.15gからなる混合物を反応させて得た乳化重合液を用いた。
電着装置の加工条件は、導体を陽極とし、陰極としてステンレス棒を用い、極間距離を3cmとし、電着電圧を10Vとし、電着時間を2秒とし、ワニス温度を30℃とした。
次いで、電着層を設けた導体を、100℃で10分間乾燥させ、さらに200℃で5分間焼付けし、導体の周囲に第一絶縁層を形成した。
第一絶縁層のコーナー部での厚さt2は、20μmであり、平坦部での厚さt1は15μmであった。
次に、第二工程では、日立化成工業(株)製のポリアミドイミド樹脂(製品番号HI−406)をディッピングによって塗布し、200℃、約10分間の条件で焼き付け、第二絶縁層を形成した。
導体のコーナー部における第二絶縁層の厚さt4は2μmであり、一方、導体の平坦部における第二絶縁層の厚さt3は5μmであり、コーナー部における絶縁層の厚さの合計(t2+t4)は、平坦部における絶縁層の厚さの合計(t1+t3)の、1.1倍であった。
比較例1
実施例1と同様の条件にて、導体上に電着塗装方法によって第一絶縁層だけを形成し、これを絶縁層とする真四角線とした。
この真四角線の断面は、図5に示すとおりである。
比較例2
導体上にディッピング法(焼付け工程を含む)によってポリアミドイミド樹脂からなる絶縁層を形成した。ディッピング後は円形の孔を持つダイスを通した。ディッピング工程の条件、用いた材料は、実施例1と同様である。
この真四角線の断面は、図3に示すとおりである。
比較例3
ディッピングに用いる液状の樹脂を、表面張力が小さくなるように調整し、ディッピング後は正方形の孔を持つダイスを通したこと以外は、上記比較例と同様の条件にて、ポリアミドイミド樹脂からなる絶縁層を形成し、真四角線を得た。
この真四角線の断面は、図4に示すとおりである。
実施例1および比較例1〜3で得た真四角線について、絶縁破壊電圧(kV)、断面を見たときのコーナー部における絶縁層最外面の曲率半径(仕上がりコーナーR)、整列巻きにてコイルを作製した場合の導体占積率をそれぞれ測定した。
絶縁破壊電圧は、JIS C3003に規定される1cm金属箔法に準じて測定した。 測定結果を下記の表1に示す。
Figure 2006252942
表1に示される結果から明らかなとおり、実施例1と、電着塗装だけの比較例1とを比較すると、絶縁破壊電圧は同程度であるが、曲率半径、導体占積率については実施例1の真四角線が優れている。
また、実施例1と、ディッピング塗装だけの比較例2とを比較すると、絶縁破壊電圧、コーナー部における曲率半径、導体占積率のすべてにおいて、実施例1の真四角線が優れている。
また、実施例1と比較例3とを比較すると、導体占積率は同程度であるものの、絶縁破壊電圧および曲率半径については実施例1の方が格段に優れている。
よって、本発明による真四角線は、従来よりも高い絶縁性と高い導体占積率とを同時に有するコイルが形成し得ることがわかった。
上記のとおり、本発明の真四角線では、電着塗装法によって形成した第一絶縁層を下地とし、該電着塗装法の欠点として生じるドッグボーン状の断面形状の凹凸を、ディッピング法による第二絶縁層で覆うことによって平坦化し、全体としての断面外形を正方形に近づけている。しかも、ドッグボーン状のコーナー部の膨れによって、ディッピング法の欠点であるコーナー部の絶縁層の薄さを解消している。即ち、本発明では、2つの塗装方法のそれぞれの欠点が、互いを打ち消し合うように組合わせている。これによって、絶縁層全体としては、導体の全周にわたって均一な厚さで正方形に近い断面形状となる。
このような真四角線を用いて図2に示すように整列巻を行いコイルを形成した場合には、同じ層内および層間において、隣り合った真四角線同士が密着し、空隙を低減することができるので、高い導体占積率が得られる。
本発明による真四角線は、導体占積率の高いコイルを形成できるので、スピーカー用のボイスコイル等、軽量化、小型化が求められるコイルに適している。
本発明の製造方法およびそれによって得られる真四角線を示す図である。図1(a)は第一工程において形成された第一絶縁層を示す図である。また、図1(b)は第二工程において形成された第二絶縁層を示す図であり、本発明による真四角線の断面構造を示している。 本発明によるコイルの一例を示す断面図である。同図では、コイルの中心線X1の下側は図示を省略しており、ハッチングは領域を区別する目的で適宜施している。 ディッピング法によって絶縁層を形成した場合の真四角線とそれを用いたコイルのそれぞれの断面を示す模式図である。図3(a)は1本の真四角線の断面図であり、図3(b)は、その真四角線をボビンB10に巻線しコイルとしたときのコイル断面を部分的に拡大した図である。同図では、コイルの中心線X10の下側は図示を省略しており、ハッチングは領域を区別する目的で適宜施している。 ディッピング法における条件を変えて絶縁層を形成した場合の、真四角線の断面を示す図である。 電着塗装法によって絶縁層を形成した場合の、真四角線の断面を示す図である。
符号の説明
m 導体
1 第一絶縁層
2 第二絶縁層

Claims (7)

  1. 断面形状が略正方形である導体と、
    該導体の外周に、電着塗装法によって形成された第一絶縁層と、
    該第一絶縁層の外周に、ディッピング法によって形成された第二絶縁層とを有し、
    第一絶縁層の表面には、導体のコーナー部上に電着塗装法の電着特性に起因する膨れが生じており、この膨れによって第一絶縁層の表面に相対的に生じた凹凸が、ディッピングの膜形成特性に従って形成された第二絶縁層によって平坦化されていることを特徴とする、真四角絶縁電線。
  2. 第一絶縁層が、上記導体の外周に、エポキシ−アクリル系水分散ワニスを電着塗装することによって形成された層であり、
    第二絶縁層が、ポリアミドイミド樹脂をディッピング塗装することによって形成された層である、請求項1記載の真四角絶縁電線。
  3. 導体のコーナー部における第一絶縁層の厚さが、導体の平坦部における第一絶縁層の厚さの1.1倍〜3.0倍であり、かつ、
    導体のコーナー部における、第一絶縁層の厚さと第二絶縁層の厚さとの合計が、導体の平坦部における、第一絶縁層の厚さと第二絶縁層の厚さとの合計の、0.8倍〜20倍である、請求項1記載の真四角絶縁電線。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の真四角絶縁電線を巻回してなるコイル。
  5. 断面形状が略正方形である線状の導体の外周表面に、電着塗装法によって第一絶縁層を形成する第一工程と、さらにその上に、ディッピング法によって第二絶縁層を形成する第二工程とを有し、
    第一工程では、導体のコーナー部において、第一絶縁層に電着塗装法の電着特性に起因する膨れが生じており、この膨れによって第一絶縁層の表面に相対的に生じた凹凸を、第二工程において、ディッピングの膜形成特性に従って形成される第二絶縁層によって平坦化することを特徴とする、真四角絶縁電線の製造方法。
  6. 電着塗装法において用いる第一絶縁層形成用の液状塗料が、エポキシ−アクリル系水分散ワニスであって、
    ディッピング法によって形成される第二絶縁層が、ポリアミドイミド樹脂からなる層である、請求項5記載の製造方法。
  7. 上記導体を、タフピッチ銅からなる素材に冷間にて伸線加工を施し、断面形状が略正方形の線材とした後、焼鈍をほどこして作製するものである、請求項5または6記載の製造方法。
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