JP2006249167A - プロピレン系重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】剛性、耐熱性に優れるばかりでなく、成形加工性にも優れた高耐熱性プロピレン系重合体及びその製造法の提供。
【解決手段】(a)融点(Tm)が160℃以上、(b)230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが1〜1000g/10分、(c)13C−NMRで測定したmrrmピークに由来する面積分率が0.25%以下、(d)13C−NMRで測定した2.1−挿入に基づく位置規則性の面積分率が0.01%〜0.15%、(e)13C−NMRで測定した1.3−挿入に基づく位置規則性の面積分率が0.05%〜0.25%、(f)Q値が2.5〜4.0、(g)23℃におけるキシレンへの溶解量(CXS)が下記式(3)を満足する、プロピレン系重合体及び特定のメタロセン系触媒による該プロピレン系重合体。
CXS≦0.2×log(MFR)+0.5 …(3)
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系重合体に関し、詳しくは、高い剛性及び耐熱性を有するプロピレン系重合体及びその製造法に関する。
従来より、ポリプロピレンは剛性、強度に優れ、各種射出成形、ブロー、フィルム、シートなどの成形法に広く使用されてきた。しかしながら、用途によっては剛性、耐熱性は未だ十分なものであると言えず、ポリプロピレンの更なる剛性や耐熱性改良のために、これまでにも多くの検討がなされてきた。
高い剛性と耐熱性を有するプロピレン系重合体を得る方法としては、特定のマグネシウム担持型チーグラーナッタ触媒を用いて重合を行う方法が知られているが、冷キシレン可溶分(CXS)も多いことから、べたつき、あるいは剛性、耐熱性が悪化するという欠点があった。
チーグラーナッタ系触媒を用いて、高い剛性、耐熱性及び耐衝撃性を有するプロピレン系重合体としては、例えば、13C−NMRで測定したペンタッド分率におけるmmmm分率を96%以上、昇温分別法での主溶出ピークの位置が118.0℃以上、そのピークの半値幅が3.4度未満、極限粘度を0.5〜2.0dl/g、MIを0.01〜200g/10分等にしたプロピレン系重合体(例えば、特許文献1、2参照。)が検討されているが、必ずしも、より均質で、CXSの少ないプロピレン系重合体としては十分なものとは云えなかった。
一方、遷移金属化合物を用いたメタロセン触媒は、活性が高く、また、得られるプロピレン系重合体は立体構造性に優れて、均質でかつCXSの少ないプロピレン系重合体が得られることから優れた物性を示し、広く用いられてきている。
メタロセン触媒を用いて、高融点、高剛性、高い耐熱性を有するプロピレン系重合体としては、例えば、C対称を有するメタロセン化合物と非配位性のイオン性化合物からなる触媒を用いて、キシレン不溶分が99.8%以上のポリプロピレン(例えば、特許文献3参照。)、特定のメタロセン系触媒による、アイソタクチックペンタッド分率が0.950〜0.955、シンジオタクチックペンタッド分率が0〜0.01、2,1挿入反応、1,3挿入反応に起因する異種結合が0〜0.3mol%、Mw/Mnが1.5〜3.8等のポリプロピレン(例えば、特許文献4参照。)、特定のメタロセン系触媒による、トリアドタクティシティーが99.0%以上、2,1挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.20%以下、極限粘度が0.1〜20dl/g等のプロピレン単独重合体(例えば、特許文献5参照。)が開示されている。
しかしながら、このようなポリプロピレンを得る方法はいずれも、ポリプロピレンの立体規則性を出来うる限り高めるための特定の触媒を用い、さらに重合段階においても剛性や耐熱性に悪影響を与えるような目的外の成分(例えば、低分子量成分や低結晶性成分)の生成を出来るだけ少なくする手法によって製造を行うものである。したがって必然的に生成される重合体は、立体規則性のみならず分子量においても極めて均一な構造であり、特許文献4、5に開示されるように、分子量分布が極めて狭い重合体が得られる。そのためこれらの先行技術によって得られるポリプロピレン樹脂は、剛性と耐熱性においては優れるものの成形加工性においては不十分であった。さらに、これらはいずれも工業的には好ましくない低い温度での重合によって製造されるものであり、製造法としても実用上問題があった。
以上のように、ポリプロピレン樹脂に対して工業的に要求される、剛性、耐熱性、成形加工性の全てを高いレベルでバランスよく満足する材料が得られていないことが現状であった。
特開平5−9219号公報 特開平5−9225号公報 特開平7−145203号公報 特開平9−48820号公報 特開平7−196734号公報
本発明は、上記のような状況に鑑みて、剛性、耐熱性に優れるばかりでなく、成形加工性にも優れた高耐熱性プロピレン系重合体及びその製造法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、鋭意検討した結果、特定の物性値を有するプロピレン系重合体が、上記課題、すなわち剛性、耐熱性、成形加工性全てを高いレベルでバランスよく満足することを見出して本発明に到達した。さらに、特定の構造を有する遷移金属触媒からなるメタロセン触媒を用いること、また特定の構造を有する助触媒系を用いることで、これらの物性を有するプロピレン系重合体を実用的に製造できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記物性(a)〜(g)を有することを特徴とするプロピレン系重合体が提供される。
(a)DSCで測定した融点(Tm)が160℃以上
(b)230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレイト(MFR)が1〜1000g/10分
(c)13C−NMRで測定したmrrmピークに由来する面積分率が0.25%以下
(d)13C−NMRで測定した2.1−挿入に基づく位置規則性の面積分率が0.01%以上かつ、0.15%以下
(e)13C−NMRで測定した1.3−挿入に基づく位置規則性の面積分率が0.05%以上かつ、0.25%以下
(f)ゲルパーミエーションカラムクロマトグラフィー(GPC)で測定したQ値(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比)が2.5〜4.0
(g)23℃におけるキシレンへの溶解量(CXS)(単位:重量%)が下記式(3)を満足する
CXS≦0.2×log(MFR)+0.5 …(3)
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系重合体が下記一般式[I]に示す遷移金属化合物を用いて重合されたものであることを特徴とするプロピレン系重合体が提供される。
Figure 2006249167
(一般式[I]中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜7のケイ素含有炭化水素基又は炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基;R、Rは、シクロペンタジエニル環と結合して5から10員環の縮合環を形成する炭化水素結合部;R、R、R10、R12は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化炭化水素基あるいはハロゲン原子;R、R11は、それぞれ独立して、ケイ素原子を含有していてもよい炭素数3〜10の炭化水素基(ただし、フェニル基および置換フェニル基を除く);R13、R14は、それぞれ独立して、RあるいはRの縮合環炭化水素結合部の水素原子を置換する炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基;j及びkは、0から8の整数;Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基;X及びYは、助触媒と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子;Mは、周期律表第4族の遷移金属を、各々示す。)
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系重合体が、下記成分(A)、(B)、及び、必要に応じて、(C)からなるα−オレフィン重合用触媒を用いて重合されたものであることを特徴とするプロピレン系重合体が提供される。
成分(A):一般式[I]に示す遷移金属化合物
成分(B):イオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物
成分(C):有機アルミニウム化合物
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3の発明のいずれかのプロピレン系重合体を重合温度60℃以上で重合することを特徴とするプロピレン系重合体の製造方法が提供される。
本発明のプロピレン系重合体は、剛性、耐熱性に優れるばかりでなく、成形加工性にも優れた高耐熱性の新規なプロピレン系重合体である。また、本発明のプロピレン系重合体は、特定のメタロセン系化合物からなる触媒を用いることにより容易に製造できる。
本発明は、下記の特性を有する新規なプロピレン系重合体である。以下に、具体的に詳しく述べる。
1.プロピレン系重合体
本発明のポリプロピレン系重合体は、以下の物性(a)〜(g)を有する。
物性(a):融点(Tm)
本発明のプロピレン系重合体は、DSCで測定した融点Tm(℃)が160℃以上であり、好ましくは160〜165℃である。Tmが160℃未満であると十分に高い剛性と耐熱性を示すことが不十分となる。
なお、DSCの測定手法としては、市販の示差走査熱量計を用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度をTmとする(単位:℃)。
物性(b):MFR
本発明のプロピレン系重合体は、230℃、2.16Kg荷重で測定したメルトフローレイト(MFR)が1〜1000g/10分であり、好ましくは1〜200g/10分である。MFRの大きさによって好ましい用途が限定されるが、一般的には射出成形に使用する場合は、MFRが5〜300g/10分、好ましくは10〜100の範囲にあり、フィルム、シート成形に用いる場合は、MFRが1〜30g/10分、好ましくは1〜10g/10分の範囲である。MFRが1g/10分を下回るとポリマーの流動性が極端に悪くなり、成形加工にとって好ましくない。またMFRが1000g/10分を超えるとポリマーの耐衝撃強度が極端に低下するため好ましくない。
なお、MFRの測定手法としては、JIS−K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定する。
物性(c):mrrmピークに由来する面積分率
本発明のプロピレン系重合体は、13C−NMRで測定したmrrmピークに由来する面積分率が0.25%以下であり、好ましくは0.15%以下の範囲にある。
プロピレン系重合体の立体規則性を規定するのに、融点による規定のみでは不十分であることから、13C−NMRによる立体規則性の規定も必要である。立体規則性の高さを示すものとしてmrrm分率が低いことが好ましい。
従来は、立体規則性を示す指標として、mm分率或いはmmmm分率が用いられていた。mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合である。同様にmmmm分率はプロピレン単位5連鎖の割合である。これらは、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクティックに制御されていることを示す値であり、高いほど高度に制御されていることを意味する。しかしながら、高いTmを有するプロピレン系重合体では、mm分率或いはmmmm分率が非常に高く、ほぼ100%に近い値を示す。また後述する2,1−挿入や1,3−挿入に基づく位置規則性欠陥の由来するピークが重なるなど、正確な値を算出することが困難であった。そこで、本発明においては、より定量性のある立体規則性を示す指標として、mrrm分率を用いたところに特徴がある。
なお、mrrm分率は、下記の13C−NMRスペクトルの測定方法にしたがって測定する値である。
測定手法としては、13C−NMRスペクトルは、10mmφNMR用サンプル管の中で、250mgの試料をo−ジクロロベンゼン2mlにロック溶媒である重水素化ベンゼン0.5mlを加えた溶媒中で完全に溶解させた後、130℃でプロトン完全デカップリング法で測定する。測定条件は、フリップアングル90°、パルス間隔15秒とする。微量成分の定量の為、炭素核の共鳴周波数として100MHz以上のNMR装置を使用して5,000回以上の積算を行う。ケミカルシフトは頭−尾結合し、メチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位5連鎖の第3単位目のメチル基を21.8ppmとして設定し、他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。この基準では、mmで示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは21.2〜22.5ppmの範囲に、mrで示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは20.5〜21.2未満ppmの範囲に、rrで示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは19.5〜20.5未満ppmの範囲に現れ、mrrmのピークは19.9〜20.1未満ppmの範囲に現れる。
ここで、mm、mrおよびrrはそれぞれ下記の化学構造で表される。
Figure 2006249167
物性(d):2,1−挿入に基づく位置規則性の面積分率
本発明のプロピレン系重合体は、13C−NMRで測定した2,1−挿入に基づく位置規則性の面積分率が0.01%以上かつ、0.15%以下の範囲にある。2,1−挿入に基づく位置規則性の面積分率が上記範囲外であると融点が低下し、剛性と耐熱性が不十分となる。
なお、2,1−挿入に基づく位置規則性の面積分率(2,1−結合含有量=2,1−挿入による異種結合量)は、以下の式(1)に従って求める。
Figure 2006249167
ただし、式(1)中の記号は、以下を意味する。
αβ(i):下記構造(i)に含まれるαβメチレン炭素(構造式中のG及びG’炭素)に由来するピーク強度であり、36.0ppm付近にダブレットとして生じる。
αβ(ii):下記構造(ii)に含まれるメチレン炭素(構造式中のH及びI炭素)に由来するピーク強度であり、34.8ppm付近にダブレットとして生じる。
CH(iii):下記構造(iii)に含まれるメチン炭素(構造式中のK炭素)に由来するピークの強度であり、33.7ppm付近に生じる。
αα:1,2−結合したプロピレン2連鎖にはさまれたメチレン炭素に由来するピーク強度であり、45.5〜47.0ppm付近に生じる。
αγ+αδ:メチン炭素に直接結合、かつ直接結合したメチン炭素とは反対側の最隣接メチン炭素の位置がγ位またはそれより先であるメチレン炭素に由来するピーク強度であり、37.2〜38.4ppm付近に生じる。
βγ:構造(iii)のメチレン炭素Lに由来するピーク強度であり、27.7ppm付近に生じる。
Figure 2006249167
物性(e):1,3−挿入に基づく位置規則性の面積分率
本発明のプロピレン系重合体は、13C−NMRで測定した1,3−挿入に基づく位置規則性の面積分率が0.05%以上かつ、0.25%以下の範囲にある。1,3−挿入に基づく位置規則性の面積分率が上記範囲外であると融点が低下し、剛性と耐熱性が不十分となる。
なお、1,3−挿入に基づく位置規則性の面積分率(1,3−結合含有量=1,3−挿入による異種結合量)は、以下の式(2)に従って求める。
Figure 2006249167
(式(2)中の記号の意味は、式(1)と同義である。)
物性(f):分子量分布(Q値)
本発明のプロピレン系重合体は、ゲルパーミエーションカラムクロマトグラフィー(GPC)で測定したQ値(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比)が2.5〜4.0である。Q値が2.5未満であると、ポリマー成形加工時に樹脂圧が上昇し、押出機や射出成形機等の運転上好ましくない。また、Q値が4.0を上回る場合、分子量分布は低分子量側にも広がり、結果的に低分子量成分も増加してしまうため、剛性等の物性が低下し好ましくない。本発明の重合体においては、低分子量成分やCXS成分が本質的に少ないため、成形加工特性を重視し、好ましいQ値の範囲は3.0〜4.0である。
なお、GPCによる分子量、分子量分布の測定法は以下のとおりである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図1のように行う。
また、GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
物性(g):23℃におけるキシレンへの溶解量(CXS)
本発明のプロピレン系重合体は、23℃におけるキシレンへの溶解量(CXS)(単位:重量%)が下記式(3)を満足する関係式を満たすものである。
CXS≦0.2×log(MFR)+0.5 …(3)
すなわち、本発明のプロピレン系重合体は、ポリマー中の低結晶成分量の指標となる23℃におけるキシレンへの溶解量(CXS)と、ポリマー分子量の指標となるMFRが特定の関係式を満足する関係にあることを特徴とする。CXSは、MFRと一次の相関があることが経験的に知られている。一般には分子量が小さくなるほど(すなわち、MFRの値が大きくなるほど)、溶媒に溶けやすくなるためCXSの値は大きくなる。CXSが少ないことが特徴であり、成形品のべたつきや剛性、耐熱性の低下等の原因となる低結晶成分や低分子量成分が少ない。
なお、CXSの測定手法は、以下の通りである。
ポリプロピレン粉末試料約1gをナス型フラスコ中に精秤し、これに200mlのキシレンを加え、加熱沸騰させ完全に溶解した。その後、これを23℃の水浴中で急冷し、析出した固体部分をろ過し、ろ液のうち50mlを白金皿中で蒸発乾固、さらに減圧乾燥して重量を秤量した。CXSは、ポリプロピレン粉末試料中のキシレン可溶分量(重量%)として算出する。
2.プロピレン系重合体の製造方法
本発明のプロピレン系重合体を製造する方法は、上記の物性(a)〜(g)を満足するプロピレン系重合体を与えるものであれば、特に限定はされないが、その中でも、本発明の重合体を製造するのに好適な触媒系は、メタロセン触媒であり、特定のメタロセン触媒を用いることが好ましい。例えば、下記に示すような成分(A)遷移金属化合物、成分(B)イオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物、必要に応じて、成分(C)有機アルミニウム化合物を含有するα−オレフィン重合用触媒を用いて製造することができる。
(1)触媒成分
(A)遷移金属化合物
本発明におけるプロピレン系重合体を製造するに好ましい重合触媒を形成する(A)遷移金属化合物は、下記一般式(I)で表される遷移金属化合物である。
Figure 2006249167
(一般式[I]中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜7のケイ素含有炭化水素基又は炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基;R、Rは、シクロペンタジエニル環と結合して5から10員環の縮合環を形成する炭化水素結合部;R、R、R10、R12は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化炭化水素基あるいはハロゲン原子;R、R11は、それぞれ独立して、ケイ素原子を含有していてもよい炭素数3〜10の炭化水素基(ただし、フェニル基および置換フェニル基を除く);R13、R14は、それぞれ独立して、RあるいはRの縮合環炭化水素結合部の水素原子を置換する炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基;j及びkは、0から8の整数;Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基;X及びYは、助触媒と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子;Mは、周期律表第4族の遷移金属を、各々示す。)
一般式[I]中において、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜7のケイ素含有炭化水素基または炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基を表す。
上記の炭素数1〜6の炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニル等のアルケニル基の他、フェニル基などが好ましく挙げられる。
上記の炭素数1〜7のケイ素含有炭化水素基の具体例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル等のトリアルキルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル等のアルキルシリルアルキル基などが好ましく挙げられる。
上記の炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく挙げられる。そして、上記のハロゲン化炭化水素基は、ハロゲン原子が例えばフッ素原子の場合、フッ素原子が上記の炭化水素基の任意の位置に置換した化合物である。
具体例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ヨードメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,1,1−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ペンタクロロエチル、ペンタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、トリフルオロビニル、2−,3−,4−置換の各フルオロフェニル、2−,3−,4−置換の各クロロフェニル、2−,3−,4−置換の各ブロモフェニル、2,4−,2,5−,2,6−,3,5−置換の各ジフルオロフェニル、2,4−,2,5−,2,6−,3,5−置換の各ジクロロフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンタクロロフェニルなどが挙げられる。(なお、本明細書中において、例示置換基として挙げられるもの等を、一部省略して記載する。例えば上記の「2−,3−,4−置換各フルオロフェニル」は、「2−フルオロフェニル」、「3−フルオロフェニル」、「4−フルオロフェニル」の3つの化合物を挙げたことを意味する。以下においても同様である。)
これらの中では、R及びRとしては、炭素数1〜6の炭化水素基が好ましく、特にはメチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、R及びRとしては水素原子が特に好ましい。
一般式[I]中において、R及びRは、シクロペンタジエニル環と結合して5から10員環の炭化水素環構造を形成する炭化水素結合部を示す。本発明において特徴的なのは、上記一般式で示されるように、シクロペンタジエニル環に縮合する環の4位に置換フェニルを有することにあり(架橋基Qが結合した炭素原子の位置を1番として数える)、かかる構造的特徴を損なわない限り、炭化水素結合基RおよびR基はいかなるものでもよい。
かかる結合部R及びRとして好ましいものは、炭素数2〜8の飽和または不飽和の2価の炭化水素結合基であり、具体例としてはジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等の2価の飽和炭化水素基、エチレニレン、プロペニレン、2−プロペン−1−イリデン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、1,3−ブタジエニレン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン、1,3−ペンタジエニレン、1,4−ペンタジエニレン、1−ヘキセニレン、2−ヘキセニレン、3−ヘキセニレン、1,3−ヘキサジエニレン、1,4−ヘキサジエニレン、1,5−ヘキサジエニレン、2,4−ヘキサジエニレン、2,5−ヘキサジエニレン、1,3,5−ヘキサトリエニレン等の2価の不飽和炭化水素基等が好ましく、これらのうち、特に好ましくは、2−プロペン−1−イリデン基(すなわち6員環を形成する場合)あるいは、1,3−ブタジエニレン基(すなわち7員環を形成する場合)等の炭素数3または4の2価の不飽和炭化水素であり、1,3−ブタジエニレン基がさらに好ましい結合基である。
、R、R10、R12は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化炭化水素あるいはハロゲン原子であり、具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、フルオロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、クロロエチル、クロロ、ブロモ等が挙げられる。これらの中ではメチル、エチル、クロロが好ましい。
とRおよびR10とR12はそれぞれ同一でも、異なっていても構わないが、好ましくは同じフェニル基上の置換基(RとR、R10とR12)は同一である。さらに好ましくはこれらすべてがハロゲンのものである。
及びR11は、それぞれ独立して、ケイ素原子を含有していてもよい炭素数3〜10の炭化水素基(ただし、フェニル基及び置換フェニル基を除く。)である。
上記の炭素数3〜10の炭化水素基の具体例としては、プロピル、ブチル、ペンチル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル基等が挙げられる。
特に分岐を有するものが好ましい。その具体例としては、i−プロピル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−、2,2−、3,3−、4,4−、1,2−、1,3−、1,4−、2,3−、2,4−、3,4−置換の各ジメチルペンチル等が挙げられる。
これらの中でもi−プロピル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基等の炭素数3〜6の分岐を有するアルキル基が好ましい。特にt−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基等のα位で分岐を有するアルキル基が好ましい。
上記の炭素数3〜10のケイ素含有炭化水素基の具体例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、シクロトリメチレンメチルシリル、シクロヘキシルジメチルシリル等のトリアルキルシリル基、トリメチルシリルメチル、ビス(トリメチルシリル)メチル等のアルキルシリルアルキル基、ジメチルフェニルシリル等のジアルキルアリールシリル基が挙げられる。このうち好ましくは、トリアルキルシリル基である。
特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル等のトリアルキルシリル基が好ましい。
一般式[I]中において、R13、R14は、それぞれ独立して、R又はRの縮合環炭化水素結合部の水素原子を置換する置換基で、炭素数1〜8の炭化水素基または炭素数1〜8のハロゲン炭化水素基を示す。
炭素数1〜8の炭化水素基の好ましい具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル等のアルキル基、ビニル、プロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル等のアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル等のアリールアルキル基、trans−スチリル等のアリールアルケニル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
また、炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく挙げられる。そして、上記のハロゲン化炭化水素基は、ハロゲン原子が例えばフッ素原子の場合、フッ素原子が上記の炭化水素基の任意の位置に置換した化合物である。
具体例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ヨードメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,1,1−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ペンタクロロエチル、ペンタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、トリフルオロビニル、2−,3−,4−置換の各フルオロフェニル、2−,3−,4−置換の各クロロフェニル、2−,3−,4−置換の各ブロモフェニル、2,4−,2,5−,2,6−,3,5−置換の各ジフルオロフェニル、2,4−,2,5−,2,6−,3,5−置換の各ジクロロフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンタクロロフェニルなどが挙げられる。
これらR13,R14は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
一般式[I]中において、jおよびkは0から8の整数である。jおよびkが2以上の場合、それぞれ各R13、又は各R14が連結して新たな環構造を形成していてもよい。好ましくは0から2の整数で、さらに好ましいのは0である。
一般式[I]中において、Qは二つのシクロペンタジエニル環を結合する架橋基である。Qの種類としては、公知の架橋型メタロセン系遷移金属化合物における架橋基が利用できる。
Qの具体例としては、アルキレン基、アリールアルキレン基、アルキルシリレン基、(アルキル)(アリール)シリレン基、アリールシリレン基等が例示できる。これらの炭化水素基はN、P、O、Siあるいはハロゲン等のヘテロ原子を含有していてもよい。また上記のケイ素をゲルマニウムに置換した架橋基であってもよい。上述のシリレン基等上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上述した架橋基の中ではジメチルシリレン、ジメチルゲルミレン、シラフルロオレニル基が特に好ましい。
X及びYは、助触媒と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子であり、具体的には、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を示す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
これらX及びYとしては、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基が好ましく、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基がさらに好ましく、塩素原子、メチル基、i−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、ジメチルアミノ基又はジエチルアミノ基が特に好ましい。
Mは周期表第4〜6族の遷移金属を示し、好ましくはチタン、ジルコニウム又はハフニウム、特に好ましくはジルコニウム又はハフニウムである。
一般式[I]で表される具体的な化合物としては、例えば、次の化合物を挙げることができる。但し、以下の具体例において、ハフニウムの代わりにチタニウムあるいはジルコニウム、ジクロライドの代わりに他のX、Yである化合物、さらには、環構造における他の置換基等も例示されているに等しいといえる。
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジフルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(4)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジエチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジ−i−プロピルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(7)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(8)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−エチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(9)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3−メチル−5−エチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(10)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリエチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(11)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−ジメチルフェニルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(12)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−i−プロピル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(13)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(14)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチル−3,5−ジフルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(15)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(16)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチル−3,5−ジエチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(17)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロ−5−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(18)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロ−5−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(19)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロ−5−エチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(20)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチル−3−メチル−5−エチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(21)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(22)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジフルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(23)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(24)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジエチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(25)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジ−i−プロピルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(26)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(27)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(28)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−エチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(29)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3−メチル−5−エチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(30)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(31)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3,5−ジフルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(32)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(33)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3,5−ジエチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(34)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロ−5−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(35)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロ−5−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(36)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロ−5−エチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(37)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−メチル−5−エチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(38)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリエチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(39)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−ジメチルフェニルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(40)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−i−プロピル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(41)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−i−プロピル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(42)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−i−プロピル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジフルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(43)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−i−プロピル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(44)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−i−プロピル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(45)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−i−プロピル−4−(4−t−ブチル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(46)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−i−プロピル−4−(4−t−ブチル−3,5−ジフルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(47)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−i−プロピル−4−(4−t−ブチル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(48)ジクロロ[1,1’−エチレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(49)ジクロロ[1,1’−エチレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(50)ジクロロ[1,1’−エチレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(51)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(52)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(53)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(54)ジクロロ[1,1’−シラフルオレニルビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(55)ジクロロ[1,1’−シラフルオレニルビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(56)ジクロロ[1,1’−シラフルオレニルビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(57)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(58)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(59)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(60)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−インデニル}]ハフニウム
(61)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−インデニル}]ハフニウム
(62)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−インデニル}]ハフニウム
(63)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−インデニル}]ハフニウム
(64)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−インデニル}]ハフニウム
(65)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−インデニル}]ハフニウム
(66)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−インデニル}]ハフニウム
(67)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−インデニル}]ハフニウム
(B)イオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物
本発明の好ましい触媒において、成分(B)イオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる珪酸塩化合物であり、含有するイオンが交換可能なものをいう。大部分のイオン交換性層状珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、イオン交換性層状珪酸塩は特に、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
イオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、例えば、白水晴雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)、等に記載される公知の層状珪酸塩であって、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチ−ブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バ−ミキュライト族、雲母族が好ましい。
また、成分(B)は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、成分(B)に化学処理を施すことも好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の結晶構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
本発明においては、塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンとCl、Br、I、F、PO、SO、NO、CO、C、ClO、OOCCH、CHCOCHCOCH、OCl、O(NO、O(ClO、O(SO)、OH、OCl、OCl、OOCH、OOCCHCH、CおよびCから成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとからなる化合物である。
具体的には、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiSO、Li(CHCOO)、LiCO、Li(C)、LiCHO、LiC、LiClO、LiPOCaCl、CaSO、CaC、Ca(NO、Ca(C、MgCl、MgBr、MgSO、Mg(PO、Mg(ClO、MgC、Mg(NO、Mg(OOCCH、MgC、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、HF(OOCCH、HF(CO、HF(NO、HF(SO、HFOCl、HFF、HFCl、V(CHCOCHCOCH、VOSO、VOCl、VCl、VCl、VBr、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(OOCCHOH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、Mn(OOCCH、Mn(CHCOCHCOCH、MnCO、Mn(NO、MnO、Mn(ClO、MnF、MnCl、Fe(OOCCH、Fe(CHCOCHCOCH、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF、FeCl、FeC、Co(OOCCH、Co(CHCOCHCOCH、CoCO、Co(NO、CoC、Co(ClO、Co(PO、CoSO、CoF、CoCl、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr、Zn(OOCCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO、GeCl、GeBr、GeI、等が挙げられる。
酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg、等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。処理に用いる塩類および酸は、2種以上であってもよい。塩類および酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は、一般的には水溶液で用いられる。
これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常吸着水および層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水および層間水を除去して成分(B)として使用するのが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は特に制限されないが、層間水が残存しないように、また構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の成分(B)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下、であることが好ましい。
以上のように、本発明において、成分(B)として、特に好ましいものは、塩類処理および/または酸処理を行って得られた、水分含有率が3重量%以下のイオン交換性層状珪酸塩である。
また成分(B)は、平均粒径が5μm以上の球状粒子を用いるのが好ましい。粒子の形状が球状であれば天然物あるいは市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別等により粒子の形状および粒径を制御したものを用いてもよい。
ここで用いられる造粒法は例えば攪拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられるが、市販品を利用することもできる。また造粒の際に有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
(C)有機アルミニウム化合物
本発明の好ましい重合触媒においては、必要に応じて、成分(C)有機アルミニウム化合物を用いる。成分(C)としては、一般式[II]で表される化合物を挙げることができる。
AlR3−a …[II]
(式中、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Pは水素、ハロゲン、アルコキシ基、aは0<a≦3の数)
一般式(II)で表される化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシド等のハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類等も使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
(2)触媒の調製
本発明の好ましい重合触媒の調製は、上記成分(A)、成分(B)および必要に応じて成分(C)を接触させて触媒とする。その接触方法は、特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時、またはオレフィンの重合時に行ってもよい。
(i)成分(A)と成分(B)を接触させる。
(ii)成分(A)と成分(B)を接触させた後に成分(C)を添加する。
(iii)成分(A)と成分(C)を接触させた後に成分(B)を添加する。
(iv)成分(B)と成分(C)を接触させた後に成分(A)を添加する。
(v)三成分を同時に接触させる。
この触媒各成分の接触に際し、または接触の後にポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、アルミナ等の無機酸化物の固体を共存させ、あるいは接触させてもよい。接触は、窒素等の不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。接触温度は、−20℃〜溶媒の沸点の間で行い、特に室温から溶媒の沸点の間で行うのが好ましい。
このようにして得られた触媒は、調製後に不活性溶媒、特に炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタンなどで洗浄せずに用いてもよく、また該溶媒を使用して洗浄した後に用いてもよい。
また、必要に応じて新たに前記成分(C)を組み合わせて用いてもよい。この際に用いられる成分(C)の量は、成分(A)中の遷移金属に対する成分(C)中のアルミニウムの原子比で1:0〜10000になるように選ばれる。
重合の前に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のオレフィンを予備的に重合させ、必要に応じて洗浄したものを触媒として用いることもできる。
この予備的な重合は、不活性溶媒中で穏和な条件で行うことが好ましく、固体触媒1gあたり、0.01〜1000g、好ましくは0.1〜100g、の重合体が生成するように行うことが望ましい。
(3)重合
上記触媒を用いるプロピレンの重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化プロピレン等の溶媒存在下、あるいは不存在下に行われる。重合温度は−50℃〜250℃であり、好ましくは30〜150℃、さらに好ましくは60℃〜90℃である。圧力は特に制限されないが、好ましくは常圧〜約2000kg・f/cmの範囲である。重合は回分式、連続式、半回分式のいずれの方法によっても実施可能である。
また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させることにより、分子量および分子量分布を制御して所望の重合体を得ることができる。本発明においては上記の触媒系のうち、成分(A)のメタロセン錯体と、成分(B)のうちでモンモリロナイトを組み合わせた場合、通常のメタロセン活性点と比較して、水素応答性が低い活性点も生成し、高分子量成分が生成する。分子量調節剤である水素が存在しても、高分子量成分の存在量をほとんど維持したまま、重量平均分子量を調節することができ、樹脂加工成形性に適した分子量分布Q値の範囲に収めることができる。
さらにQ値は、重合温度や重合圧力にも依存することから、これらの条件を最適化することによってもQ値を所望の値に収めることができる。
重合系内の水素濃度の経時変化は、生成ポリマーの分子量だけでなくその分布にまで大きな影響を与える。例えば、水素一括フィードの場合、所望のMFRを得るためには、水素の経時消費にともなう生成ポリマーの分子量のズレを織り込んで水素フィード量の初期条件を決定する必要があるが、このような場合、MFRを調節することはできても、低分子量ポリマーが大量に生成し、製品物性に悪影響を与えるため好ましくない。したがって、本発明においては、水素濃度が重合中一定濃度になるように、連続的に導入することが好ましい。
このとき水素に関しては、回分法によりバルク重合を行った場合も気相重合を行う場合にも、オートクレーブ中の気相部の水素濃度が重合中一定濃度になるように、連続的に導入することが好ましい。制御範囲としては、濃度1ppmから10000ppmの任意の値に設定することができる。
また連続重合法を用いるときにも同様の手法を用いることが好ましい。濃度設定の範囲も水素濃度1ppmから10000ppmの範囲で任意に設定できる。これら手法により、本発明の物性を有する所望のプロピレン系重合体を得ることができる。
下記の実施例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものである。本発明はその要旨を逸脱しないかぎりこれら実施例によって制約を受けるものではない。
なお、以下の触媒合成工程および重合工程は、すべて精製窒素雰囲気下で行った。また溶媒は、モレキュラーシーブMS−4Aで脱水したものを用いた。
また、得られたプロピレン系重合体の物性の測定法、及び触媒の合成は以下の通りである。
1.物性測定法
(1)融点(Tm):セイコー社製DSC測定装置を用い、前述の方法で測定した。
(2)MFR:タカラ社製のメルトインデクサーを用い、JIS−K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
(3)mrrm:前述の方法で測定した。具体的には、バリアン社製・Unity Inova−500(炭素核の共鳴周波数は125.6MHz)を用いて、前述の条件で、5000回積算した。
(4)2,1−結合含有量:mrrmと同様の測定に基き、測定した。
(5)1,3−結合含有量:mrrmと同様の測定に基き、測定した。
(6)Q値:前述の方法で測定した。
(7)CXS:前述の方法で測定した。
(8)曲げ弾性率(FM):以下の条件により評価した。
規格番号:JIS K−7171(ISO178)準拠
試験機:精密万能試験機オートグラフAG−20kNG(島津製作所製)
試験片の採取方向:流れ方向
試験片の形状:厚み2.0mm、幅25.0mm、長さ40.0mm
試験片の作成方法:射出成形平板を上記寸法に打ち抜き
状態の調節:室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内に24時間以上放置
試験室:室温23℃、湿度50%に調節された恒温室
試験片の数:5
支点間距離:32.0mm
試験速度:1.0mm/min
(9)耐熱性:耐熱性は熱変形温度(HDT)にて評価した。HDTは、厚さ4mmの射出成形片を用いてJIS K7191−1に準拠して、0.45MPaの条件でフラットワイズで測定した。ただし、測定前の試験片状態調整として、射出成形後、100℃で30分間アニールし、室温まで冷却する操作を行なった。
2.触媒の合成
(1)メタロセン錯体の合成
(1−a)ジクロロ{1,1’−シラフルオレニルビス[2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル]}ハフニウム(メタロセンA)の合成
2,6−ジクロロ−4−ブロモアニリン(15.6g、64.8mmol)を濃硫酸(40mL)に少しずつ加え、室温で20分間撹拌した。0℃に冷却して、亜硝酸ナトリウム(4.9g、71.22mmol)を少しずつ加え、0から5℃で2.5時間撹拌した。得られた混合物を氷水(200g)に加え、ヨウ化カリウム(12.9g、77.76mmol)の水溶液を5℃で加え、5℃で15分、室温で1時間放置した。これにジエチルエーテルを加えて抽出し、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し得られた粗生成物をヘキサン(200mL)で抽出し、溶媒を留去すると粗生成物(18.62g)が得られた、これをエタノール(75mL)で再結晶すると、2,6−ジクロロ−4−ブロモヨードベンゼン(14.8g、収率65%)が得られた。
H−NMR(400MHz,CDCl)の測定結果は次の通りである。
δ7.51(s,2H)
次に、2,6−ジクロロ−4−ブロモヨードベンゼン(4.48g、12.7mmol)をジエチルエーテル(50mL)に溶解し、−78℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.56M、8.2ml)を滴下した。その温度で1時間攪拌後、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(3.2mL、16.5mmol)を滴下し、−78℃で1時間、室温で30分間攪拌した。反応終了後、水を加えた後、エーテルで抽出し有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し得られた粗生成物を、ガラスチューブオーブンを用いて減圧蒸留で精製することにより3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリル−ブロモベンゼン(3.39g、収率90%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)の測定結果は次の通りである。
δ0.50(s,9H,Me3Si),7.41(s,2H,arom)
次に、4−トリメチルシリル−3、5−ジクロロフェニルブロマイド(2.98g、10mmol)のヘキサン(50mL)とジイソプロピルエーテル(10mL)の混合溶液に−70℃でt−ブチルリチウムのペンタン溶液(13.4mL、19.9mmol、1.48M)を滴下し、−10℃で1時間攪拌した。これに2−エチルアズレン(1.48g,9.5mmol、0.95eq.)を加え、室温まで昇温して約1時間攪拌した。ここにテトラヒドロフラン(20mL)とN−メチルイミダゾール(20μL)を加え、0℃まで冷却し、続いてシラフルオレニルジクロリド(1.18g、4.7mmol、0.47eq)のTHF(5mL)溶液を加え、室温まで昇温してそのまま2時間攪拌を続けた。この後、水を加え、分液した後に有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去すると、粗生成物が(4.72g)得られた。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[関東化学シリカゲル60Nにヘキサン、ヘキサン:ジクロロメタン=10:1]によって精製し、純粋なシラフルオレニルビス(2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3、5−ジクロロフェニル)1,4−ジヒドロアズレン)(1.73g、1.87mmol、収率40%)を得た。
次に、上記で得た配位子をジエチルエーテル(10mL)に溶かし、0℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.37mL、3.74mmol、1.58M)を滴下し、室温まで徐々に昇温してさらに2時間攪拌した。さらにトルエン(80mL)を加え、−60℃に冷却し、四塩化ハフニウム(599mg、1.87mmol)を加え、約30分かけて室温まで昇温し、さらに30分攪拌した。溶媒を留去したのち、ジエチルエーテル(20mL)で2回抽出すると、不溶分として塩化リチウムを含む成分が除かれ、可溶分として目的の錯体のラセミ体を含む粗生成物が得られた。
(1−b)精製
溶媒を留去し、ヘキサン(20mL)で3回洗浄し、さらに、ジエチルエーテル(20mL)で3回洗浄することにより、ほぼ純粋なジクロロ{1,1’−シラフルオレニルビス[2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル]}ハフニウムのラセミ体(440mg)が得られた。
H−NMR(400MHz,CDCl)の測定結果は次の通りである。
δ0.46(s,18H,TMS),1.01(t,6H,2−CHCH),2.7−2.8(m,2H,2−CHHCH),3.0−3.1(m,2H,2−CHHCH3),5.02(d,2H,4−H),5.8−6.2(m,6H),6.15(s,2H),7.17(s,4H,arom),7.30(d,2H),7.46(t,2H),7.59(t,2H),8.02(d,2H),8.31(d,2H)
(1−c)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロ−フェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム(メタロセンB)の合成
3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリル−ブロモベンゼン(1.8g,6.06mmol)をヘキサン(30mL)とジイソプロピルエーテル(3mL)の混合溶媒に溶解し、t−ブチルリチウムのペンタン溶液(1.47M、8.2mL)を−40℃で滴下した。−5℃で1時間攪拌した後、2−エチルアズレン(898mg、5.76mmol)を一度に添加し、室温で1.5時間攪拌した。さらにテトラヒドロフラン(15mL)、N−メチルイミダゾール(0.015mL)を加え、0℃でジメチルジクロロシラン(0.33mL、2.73mmol)を加え、5℃で1.5時間、室温で30分間攪拌した。この後、水を加えて分液し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル、n−ヘキサン/塩化メチレン)で精製し、目的のジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−1,4−ジヒドロアズレン}(1.46g,収率66%)が得られた。
上記で得られた配位子(1.46g、1.8mmol)をジイソプロピルエーテル(6mL)に溶解し、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.56M,2.3ml)を0℃で滴下した。室温で1時間攪拌した。トルエン(40mL)を加えた後、再び−10℃に冷却し、ハフニウムテトラクロリド(570mg、1.8mmol)を添加し、その後、徐々に昇温し、室温で5時間攪拌した。溶媒を留去して粗生成物を得た(2.09g)。
(1−d)精製
得られた粗生成物(2.09g)をヘキサン(50mL)で抽出した。これにヘキサン(15mL)とジクロロメタン(5mL)を加え、30分間高圧水銀灯(100W)を用いて光照射した。溶媒を留去し、ペンタン(25mL)で抽出し、ペンタンを用いて再結晶するとペンタン可溶分として、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロ−フェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウムのラセミ体を含む成分(764mg)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)の測定結果は次の通りである。
δ0.52(s,18H,TMS,1.04(s,6H,SiMe),1.09(t,6H,2−CHCH),2.5−2.6(m,2H,2−CHHCH),2.7−2.8(m,2H,2−CHHCH),5.00(d,2H,4−H),5.8−6.1(m,6H),5.99(s,2H),6.79(d,J=6Hz,2H),7.29(s,4H)
(2)助触媒の調製
撹拌翼と還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、純水1,700gを投入し、98%硫酸500gを滴下した。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:19.5μm)を300g添加後撹拌した。その後90℃で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、洗浄した。回収したケーキに硫酸リチウム1水和物325gの水900mL水溶液を加え90℃で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、pH>4まで洗浄した。回収したケーキを120℃で終夜乾燥した。その結果、270gの化学処理体を得た。モンモリロナイト516mgに、濃度0.72mol/Lのトリイソプロピルアルミニウムのトルエン溶液1.8mlを加え、室温で1時間攪拌した。その後、トルエンで洗浄し、モンモリロナイト−トルエンスラリー(濃度25mg/mL)を調製した。これを助触媒として使用した。
(3)予備重合触媒の調製
(3−a)メタロセンAを用いる予備重合触媒
上記(2)で調製したトリイソブチルアルミニウム処理したモンモリロナイトのヘプタンスラリーに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2.13mL(1504μmol)を加えて10分間、室温で撹拌した。また、別のフラスコ(容積200mL)中で、メタロセンA(299μmol)にトルエン(60mL)を加えてスラリーとした後、上記の1Lフラスコに加えて、室温で60分間撹拌した。
次に、上記モンモリロナイトのヘプタンスラリーに、さらにヘプタン340mLを追加して内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを238.1mmol/hr(10g/時)の一定速度で120分間にて供給した。プロピレン供給終了後、50℃に昇温して2時間そのまま維持し、その後残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液8.5mL(6.0mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒を回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.98であった。
(3−b)メタロセンBを用いる予備重合触媒
メタロセンBを用いる以外は、上記(3−a)と同様に操作し、予備重合触媒を得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.6であった。
(実施例1)
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これにトリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液500ml(0.12mol)、水素6.6L(標準状態の体積として)を加え、内温を30℃に維持した。次いで、上記予備重合触媒(3−a)2.29gを窒素で圧入して重合を開始させ、30分かけて70℃に昇温し、温度が70℃になると同時に、0.40g/時の水素を連続フィードした。重合温度を70℃に維持し、2時間経過後に、エタノール100mlを添加して反応を停止させた。残ガスをパージし、MFR=155g/10分、Q値=2.6、Tm=160.2℃のプロピレン単独重合体を15.5kg得た。物性の測定結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同一の触媒を用いて、以下の条件以外は実施例1と同様の重合条件で行った。
水素初期4.0L、予備重合触媒2.98g、水素連続フィード0.24g/時
その結果、MFR=32.3g/10分、Q値=2.8、Tm=160.3℃のプロピレン単独重合体を17.2kg得た。物性の測定結果を表1に示す。
(実施例3)
上記予備重合触媒(3−b)を用いて、以下の条件以外は実施例1と同様の重合条件で行った。
水素初期6.0L、予備重合触媒3.02g、水素連続フィード0.36g/時
その結果、MFR=53.7g/10分、Q値=2.6、Tm=161.2℃のプロピレン単独重合体を22.7kg得た。物性の測定結果を表1に示す。
(比較例1)
マグネシウム担持型チーグラー・ナッタ触媒は特開平11−80235号公報に記載の方法で調製した。
この触媒を用いて、内容積230リットルの流動床式反応器を1個のみからなる反応装置を用いて重合を行った。重合温度75℃、プロピレン分圧22kg/cm(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.038となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを7.8g/hrで、上記記載の触媒をポリマー重合速度が25kg/hrになるように供給した。反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的に抜き出し、水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、MFRが70g/10分のプロピレン単独重合体を得た。物性の測定結果を表1に示す。
チーグラー・ナッタ触媒では、本発明の物性(a)〜(g)の全ての物性を満足するプロピレン系重合体が得られなかった。
(比較例2)
比較例1で使用した触媒並び重合方法を用い、上記重合における水素量を、水素/プロピレンのモル比で0.026となるように連続的に供給するように変更し、プロピレン単独重合体(MFR=40g/10分)を得た。物性の測定結果を表1に示す。
チーグラー・ナッタ触媒では、本発明の物性(a)〜(g)の全ての物性を満足するプロピレン系重合体が得られなかった。
(比較例3)
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウム(メタロセンC)を特開2000−95791号公報に記載の方法に従い合成した。メタロセンCを用いて、上記(3−a)に記載と同様の方法で予備重合触媒を調製した(予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.13)。
続いて、下記条件以外は実施例1と同様の重合条件で行った。
水素初期5.0L、予備重合触媒3.13g、水素連続フィード0.30g/時
その結果、MFR=32.3g/10分、Q値=3.0、Tm=156.1℃のプロピレン単独重合体を20.7kg得た。物性の測定結果を表1に示す。
一般式(I)を満足しないメタロセン化合物を用いた触媒では、本発明の物性(a)〜(g)の全ての物性を満足するプロピレン系重合体が得られなかった。
Figure 2006249167
本発明のプロピレン系重合体は、特定のメタロセン系化合物からなる触媒を用いることにより製造できる剛性、耐熱性に優れるばかりでなく、成形加工性にも優れた高耐熱性の新規なプロピレン系重合体であるので、主に射出成形、押出成形分野の材料として用いることができ工業的に有用な樹脂材料である。
GPCにおけるクロマトグラムのベースラインと区間の説明の図である。

Claims (4)

  1. 下記物性(a)〜(g)を有することを特徴とするプロピレン系重合体。
    (a)DSCで測定した融点(Tm)が160℃以上
    (b)230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレイト(MFR)が1〜1000g/10分
    (c)13C−NMRで測定したmrrmピークに由来する面積分率が0.25%以下
    (d)13C−NMRで測定した2.1−挿入に基づく位置規則性の面積分率が0.01%以上かつ、0.15%以下
    (e)13C−NMRで測定した1.3−挿入に基づく位置規則性の面積分率が0.05%以上かつ、0.25%以下
    (f)ゲルパーミエーションカラムクロマトグラフィー(GPC)で測定したQ値(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比)が2.5〜4.0
    (g)23℃におけるキシレンへの溶解量(CXS)(単位:重量%)が下記式(3)を満足する
    CXS≦0.2×log(MFR)+0.5 …(3)
  2. プロピレン系重合体が下記一般式[I]に示す遷移金属化合物を用いて重合されたものであることを特徴とする請求項1記載のプロピレン系重合体。
    Figure 2006249167
    (一般式[I]中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜7のケイ素含有炭化水素基又は炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基;R、Rは、シクロペンタジエニル環と結合して5から10員環の縮合環を形成する炭化水素結合部;R、R、R10、R12は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基、炭素数1〜3のハロゲン化炭化水素基あるいはハロゲン原子;R、R11は、それぞれ独立して、ケイ素原子を含有していてもよい炭素数3〜10の炭化水素基(ただし、フェニル基および置換フェニル基を除く);R13、R14は、それぞれ独立して、RあるいはRの縮合環炭化水素結合部の水素原子を置換する炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基;j及びkは、0から8の整数;Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基;X及びYは、助触媒と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子;Mは、周期律表第4族の遷移金属を、各々示す。)
  3. プロピレン系重合体が、下記成分(A)、(B)、及び、必要に応じて、(C)からなるα−オレフィン重合用触媒を用いて重合されたものであることを特徴とする請求項1記載のプロピレン系重合体。
    成分(A):一般式[I]に示す遷移金属化合物
    成分(B):イオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物
    成分(C):有機アルミニウム化合物
  4. 重合温度60℃以上で重合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体の製造方法。
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