JP2006248350A - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性を改善し、かつタイヤ質量の増加を抑制しながら、ランフラット走行を可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】左右のビード部3にビードフィラー4を外周側に配置したビードコア5を埋設し、カーカス層6を左右のビード部3間に延設し、トレッド部1のカーカス層6の外周側に複数のベルト層7を配設した空気入りタイヤである。ビードフィラー4をサイドウォール部2を経て複数のベルト層7の内の最もベルト幅が狭いベルト層7Aの端部7A1周辺まで延設し、このビードフィラー4によりランフラット走行を可能にしている。
【選択図】図1
【解決手段】左右のビード部3にビードフィラー4を外周側に配置したビードコア5を埋設し、カーカス層6を左右のビード部3間に延設し、トレッド部1のカーカス層6の外周側に複数のベルト層7を配設した空気入りタイヤである。ビードフィラー4をサイドウォール部2を経て複数のベルト層7の内の最もベルト幅が狭いベルト層7Aの端部7A1周辺まで延設し、このビードフィラー4によりランフラット走行を可能にしている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ランフラット走行可能な空気入りタイヤ及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、生産性とタイヤ質量を改善するようにした空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
従来、タイヤがパンクしたランフラット時の緊急走行を可能にする空気入りタイヤとして、サイドウォール部に断面三日月状の補強ゴム層を配置し、その補強ゴム層により荷重を支えてランフラット走行を可能にした空気入りタイヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このようにサイドウォール部に補強ゴム層を設けると、その分だけ製造工程が増加するため、生産性が低下せざるを得ず、更に補強ゴム層の追加により、タイヤ質量が大幅に増加するという問題があった。
特開2003−312218号公報
本発明の目的は、生産性を改善し、かつタイヤ質量の増加を抑制しながら、ランフラット走行を可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、左右のビード部にビードフィラーを外周側に配置したビードコアを埋設し、左右のサイドウォール部にランフラット走行を可能にする補強ゴム層を設け、カーカス層を左右のビード部間に延設し、トレッド部のカーカス層外周側に複数のベルト層を配設した空気入りタイヤにおいて、前記補強ゴム層を設ける代わりに、前記ビードフィラーをサイドウォール部を経て前記複数のベルト層の内の最もベルト幅が狭いベルト層の端部周辺まで延設し、該ビードフィラーによりランフラット走行可能にしたことを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、左右のビード部にビードフィラーを外周側に設けた左右のビードコアを埋設し、カーカス層を左右のビード部間に延設し、トレッド部のカーカス層外周側に複数のベルト層を配設し、前記ビードフィラーをサイドウォール部を経て前記複数のベルト層の内の最もベルト幅が狭いベルト層の端部周辺まで延設し、該ビードフィラーによりランフラット走行可能にし、前記カーカス層を前記ビードフィラーのタイヤ外側に隣接して延在させ、該カーカス層の両端部を前記ビードコアを介してタイヤ外側から内側に向けて屈曲させた空気入りタイヤを製造する方法であって、未加硫の前記ビードフィラーを外周側に設けた左右のビードコアと未加硫の前記カーカス層を備えたカーカス成形体を成形ドラム上に成形する際に、未加硫の前記ビードフィラーを外周側に設けた左右のビードコアを成形ドラム上に配置し、その外側に未加硫の前記カーカス層を貼り付けた後、該カーカス層の両端部を前記左右のビードコアを介して内側に屈曲させることを特徴とする。
上述した本発明によれば、ビードフィラーを最も幅が狭いベルト層の端部周辺まで延設したので、この大型化したビードフィラーによりランフラット走行が可能になり、しかも補強ゴム層を設ける必要がないので、補強ゴム層を成形する工程を省くことができ、従って生産性の改善が可能になる。
また、ビードフィラーがビードコアに内周側を支えられているので、ビードフィラーの体積を従来のビードフィラーと補強ゴム層を用いた場合よりも低減しながら、ランフラット走行時に大型化したビードフィラーによる荷重を支持することができるようになるため、タイヤ質量の増加を抑えることができる
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施形態を示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。
左右のビード部3には、ビードフィラー4を外周側に配置した左右のビードコア5がそれぞれ埋設され、その左右のビード部3間に複数(図では2層)のカーカス層6が延設されている。トレッド部1のカーカス層6の外周側には、複数(図では2層)のベルト層7が配設されている。ベルト層7の外周側には、複数のベルトカバー層8が設けられている。
ベルトカバー層8の外周側にはトレッドゴム層9が配設され、タイヤ空洞部20に面するタイヤ内側にはインナーライナー層10が配置してある。サイドウォール部2のカーカス層6のタイヤ外側には、サイドゴム層11とリムクッションゴム層12が設けられている。図中13は、ビード部3に配置したチェーファー層である。
上記ビードフィラー4は、従来左右のサイドウォール部2に配置され、ランフラット走行を可能にする断面三日月状の補強ゴム層に代えて、サイドウォール部2を経て複数のベルト層7の内の最もベルト幅が狭いベルト層7Aの端部7A1周辺まで延設され、この大型化したビードフィラー4によりランフラット走行時にタイヤを支持することにより、ランフラット走行を可能にしている。
上記カーカス層6は、ビードフィラー4のタイヤ外側に隣接して延在し、その両端部6aがビードコア5を介してタイヤ外側から内側に向けて屈曲するようにして延設されており、このカーカス層6とインナーライナー層10との間にビードフィラー4を配置している。このようにカーカス層6をビードフィラー4のタイヤ外側に配置することで、ランフラット走行時にビードフィラー4に加わる応力をタイヤ径方向において圧縮方向に作用させ、これにより良好なランフラット性能を発揮できるようにしている。
上述した空気入りタイヤを製造するには、先ず成形ドラム上に未加硫のチェーファー層13を予め貼り付けた未加硫のインナーライナー層10を円筒状に貼り付け、そのインナーライナー層10上に未加硫のビードフィラー4を外周側に取り付けたビードコア5を左右に配置する。ビードフィラー4をインナーライナー層10に沿わせた形状にブラダーで変形させた後、その上に未加硫のカーカス層6を貼り付ける。
次いで、カーカス層6の両端部6aをビードコア5を介してインナーライナー層10とチェーファー層13との間に位置するようにして内側に向けて屈曲させた後、未加硫のリムクッションゴム層12とサイドゴム層11を左右に貼り付けて、カーカス成形体を成形する。このカーカス成形体をトロイダル状にインフレートして、予め成形した、未加硫のベルト層7、ベルトカバー層8、トレッドゴム層9を有するベルト成形体の内周側に圧着してグリーンタイヤを成形し、それを加硫することにより図1に示す空気入りタイヤを得ることができる。
上述した本発明によれば、ビードフィラー4を最も幅が狭いベルト層7Aの端部7A1周辺まで延設し、この大型化したビードフィラー4によりランフラット走行を可能にしたので、従来の補強ゴム層を設けることなくランフラット走行ができ、それにより補強ゴム層を設ける製造工程が不要になるので、生産性を改善することができる。
また、ビードコア5の外周側に配置されたビードフィラー4がその内周側をビードコア5に支持されているので、ビードフィラー4の体積を従来のビードフィラーと補強ゴム層を用いた場合よりも減らしながら、ランフラット走行時に荷重を支持することができるようになるため、タイヤ質量の増加を抑えることができる。
また、大型化したビードフィラー4のタイヤ外側に隣接してカーカス層6を延設し、その両端部6aをビードコア5を介してタイヤ外側から内側に向けて屈曲させる構造にすることで、既存の設備を利用して上述したタイヤを容易に製造することができる。
本発明において、ビードフィラー4を構成するゴムのJIS A硬度としては、70以上87未満にするのがよい。JIS A硬度が70より低いと、ランフラット走行時に荷重を支持することが難しくなり、ランフラット走行ができなくなる。逆に87以上になると、硬くなり過ぎるため、ランフラット耐久性が低下する。
また、ビードフィラー4を構成するゴムの60℃のtan δとしては、0.20以上0.23未満にするのが好ましい。60℃のtan δが0.20より低いと、ビードフィラーとしての機能を発揮できず、操縦安定性が悪化し、逆に0.23以上であると、発熱量が増加し、耐久性が低下する。なお、ここで言う60℃のtan δは、粘弾性スペクトロメーター〔(株)東洋精機製作所製〕を使用し、60℃の雰囲気中で初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件で測定するものとする。
次第に厚さ狭くしたビードフィラー4の外周端部4aは、好ましくは、図1に示すように、最もベルト幅が狭いベルト層7Aと平面視において重複する位置となる端部7A1周辺まで延設するのが、良好なランフラット耐久性を確保する上で好ましいが、ベルト層7Aのエッジeからカーカス層6に引いた法線mとカーカス層6との交点Pの位置からカーカス層6に沿ってビード部3側に15mmの位置Qのところまで少なくとも延在させるようにすればよい。
ビードフィラー4の外周端部4aは、両外周端部4aが重ならない位置まで延在可能であるが、交点Pの位置からカーカス層6に沿ってトレッド部1のセンター側に20mm程度とするのが、質量の点からよい。
上述したビードフィラー4は、単一のゴムから構成しているが、物性(JIS A硬度と60℃のtan δ)の異なる複数のゴムから構成するようにしてもよい。例えば、ビードフィラー4の内周端からビードフィラー高さの20〜40%の位置までの第1領域、ビードフィラー高さの20〜40%の位置から60〜80%の位置までの第2領域、ビードフィラー高さの60〜80%の位置から100%の位置までの第3領域において、それぞれゴム物性を適宜異ならせることにより、ランフラット性能、操縦安定性、乗心地性などのタイヤ性能を調整することができる。
上記実施形態では、複数のカーカス層6を配置した空気入りタイヤの例を示したが、1層のカーカス層を有する空気入りタイヤであってもよい。
本発明は、特に乗用車用の空気入りタイヤに好ましく用いることができるが、それに限定されない。
タイヤサイズを245/40R18で共通にし、ビードフィラーの外周端部を最もベルト幅が短いベルト層の端部周辺まで延在させた図1に示す構成を有する本発明タイヤと、本発明タイヤにおいて、大型化したビードフィラーに代えて、従来のビードフィラーをビードコアの外周側に配置し、断面三日月状の補強ゴム層をサイドウォール部の2層のカーカス層間に配置し、2層のカーカス層の両端部をビードコアの周りにタイヤ内側から外側に折り返した従来タイヤをそれぞれ作製した。
これら各試験タイヤを以下に示す試験方法により、ランフラット耐久性とタイヤ質量の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。また、本発明タイヤと従来タイヤにおいて、以下に示す方法で生産性を評価したところ、表1に示す結果を得た。
ランフラット耐久性
各試験タイヤをリムサイズ18×8JJのリムに組み付け、空気圧を0kPa にして排気量4300ccの後輪駆動車の右側前輪に使用し、楕円形の周回テストコースを時速90km/hで反時計周りの方向に走行し、テストドライバーがタイヤ故障による異常振動を感じ、走行を停止するまでの走行距離を測定し、その評価結果を従来タイヤを100とする指数値で示した。この値が大きい程、ランフラット耐久性が優れている。なお、右側前輪以外は、上記と同じサイズのタイヤとリムを使用し、その空気圧を230kPa とした。
各試験タイヤをリムサイズ18×8JJのリムに組み付け、空気圧を0kPa にして排気量4300ccの後輪駆動車の右側前輪に使用し、楕円形の周回テストコースを時速90km/hで反時計周りの方向に走行し、テストドライバーがタイヤ故障による異常振動を感じ、走行を停止するまでの走行距離を測定し、その評価結果を従来タイヤを100とする指数値で示した。この値が大きい程、ランフラット耐久性が優れている。なお、右側前輪以外は、上記と同じサイズのタイヤとリムを使用し、その空気圧を230kPa とした。
タイヤ質量
各試験タイヤの質量を測定し、その評価結果を従来タイヤを100とする指数値で示した。この値が小さい程、タイヤ質量が小さいことを示す。
各試験タイヤの質量を測定し、その評価結果を従来タイヤを100とする指数値で示した。この値が小さい程、タイヤ質量が小さいことを示す。
生産性
本発明タイヤと従来タイヤにおいて、8時間当たりの製造本数を比較し、その評価結果を従来タイヤを100とする指数値で示した。この値が大きいほど、生産性が優れている。
本発明タイヤと従来タイヤにおいて、8時間当たりの製造本数を比較し、その評価結果を従来タイヤを100とする指数値で示した。この値が大きいほど、生産性が優れている。
表1から、本発明タイヤは、生産性を改善し、かつタイヤ質量の増加を抑制しながら、ランフラット耐久性を確保できることがわかる。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードフィラー
4a 外周端部
5 ビードコア
6 カーカス層
6a 端部
7,7A ベルト層
7A1 端部
P 交点
Q 位置
e エッジ
m 法線
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードフィラー
4a 外周端部
5 ビードコア
6 カーカス層
6a 端部
7,7A ベルト層
7A1 端部
P 交点
Q 位置
e エッジ
m 法線
Claims (5)
- 左右のビード部にビードフィラーを外周側に配置したビードコアを埋設し、左右のサイドウォール部にランフラット走行を可能にする補強ゴム層を設け、カーカス層を左右のビード部間に延設し、トレッド部のカーカス層外周側に複数のベルト層を配設した空気入りタイヤにおいて、
前記補強ゴム層を設ける代わりに、前記ビードフィラーをサイドウォール部を経て前記複数のベルト層の内の最もベルト幅が狭いベルト層の端部周辺まで延設し、該ビードフィラーによりランフラット走行可能にした空気入りタイヤ。 - 前記カーカス層を前記ビードフィラーのタイヤ外側に隣接して延在させ、該カーカス層の両端部を前記ビードコアを介してタイヤ外側から内側に向けて屈曲させた請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ビードフィラーを構成するゴムのJIS A硬度が70以上87未満、60℃のtan δが0.20以上0.23未満である請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ビードフィラーの外周端部を、前記最もベルト幅が狭いベルト層のエッジからカーカス層に引いた法線と該カーカス層との交点の位置から該カーカス層に沿ってビード部側に15mmの位置のところまで少なくとも延在させた1,2または3に記載の空気入りタイヤ。
- 左右のビード部にビードフィラーを外周側に設けた左右のビードコアを埋設し、カーカス層を左右のビード部間に延設し、トレッド部のカーカス層外周側に複数のベルト層を配設し、前記ビードフィラーをサイドウォール部を経て前記複数のベルト層の内の最もベルト幅が狭いベルト層の端部周辺まで延設し、該ビードフィラーによりランフラット走行可能にし、前記カーカス層を前記ビードフィラーのタイヤ外側に隣接して延在させ、該カーカス層の両端部を前記ビードコアを介してタイヤ外側から内側に向けて屈曲させた空気入りタイヤを製造する方法であって、
未加硫の前記ビードフィラーを外周側に設けた左右のビードコアと未加硫の前記カーカス層を備えたカーカス成形体を成形ドラム上に成形する際に、未加硫の前記ビードフィラーを外周側に設けた左右のビードコアを成形ドラム上に配置し、その外側に未加硫の前記カーカス層を貼り付けた後、該カーカス層の両端部を前記左右のビードコアを介して内側に屈曲させる空気入りタイヤの製造方法。
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JP2005066706A JP2006248350A (ja) | 2005-03-10 | 2005-03-10 | 空気入りタイヤ及びその製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101437240B1 (ko) * | 2012-12-27 | 2014-09-03 | 한국타이어 주식회사 | 사이드월 강성을 보강한 공기입 타이어 |
JP2014218104A (ja) * | 2013-05-02 | 2014-11-20 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ |
CN111405990A (zh) * | 2017-11-29 | 2020-07-10 | 横滨橡胶株式会社 | 充气轮胎 |
-
2005
- 2005-03-10 JP JP2005066706A patent/JP2006248350A/ja active Pending
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CN111405990A (zh) * | 2017-11-29 | 2020-07-10 | 横滨橡胶株式会社 | 充气轮胎 |
CN111405990B (zh) * | 2017-11-29 | 2022-05-13 | 横滨橡胶株式会社 | 充气轮胎 |
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