JP2006247602A - ジョークラッシャの出口隙間調整装置及びジョークラッシャ - Google Patents

ジョークラッシャの出口隙間調整装置及びジョークラッシャ Download PDF

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Abstract

【課題】出口隙間の調整を容易に行うことができ、且つトグルプレートの損傷を防止することができるジョークラッシャの出口隙間調整装置及びジョークラッシャを提供する。
【解決手段】破砕装置フレーム61に固定された支持部材64と、この支持部材64と動歯72の下端部との間に狭持されたトグルプレート65と、このトグルプレート65と支持部材64との隙間に配置され、隙間の距離を調整可能であり、トグルプレート65から荷重を受けた際に隙間から離れる方向に摺動可能な楔形部材76,77と、このうちの一方の楔形部材76を隙間に対して抜き差しするように駆動させるベアロック式油圧シリンダ87とを備える。
【選択図】 図5

Description

本発明は、固定歯に対して動歯を揺動させ、これらの間に被破砕物を導入して破砕を行うジョークラッシャ及びこのジョークラッシャの動歯と固定歯との間の出口隙間を調整する出口隙間調整装置に関する。
一般に、破砕機は、例えば建設現場で発生する大小さまざまな岩石・建設廃材等の被破砕物を破砕装置で所定の大きさに破砕することにより、廃材の再利用、工事の円滑化、コスト削減等を図るために用いられる。
上記破砕装置には、固定歯に対して動歯を揺動させ、これらの間に被破砕物を導入して破砕を行ういわゆるジョークラッシャと呼ばれるものがある。このジョークラッシャにおいては、固定歯と動歯との間に形成される破砕室に導入された被破砕物を、固定歯と動歯との出口隙間により規定される所定の大きさに噛み砕くようにして破砕する。したがって、出口隙間は破砕物の粒度、すなわち製品品質に大きく影響するものであり、その調整は非常に重要である。
従来、このジョークラッシャの出口隙間調整装置としては、固定歯(ジョー)と、固定歯に対して揺動可能に設けられた動歯(ジョー)と、この動歯が受ける破砕反力を支持する支持部材(支持手段)と、この支持部材と動歯の下端部との間に狭持されたトグルプレート(トグル板)と、このトグルプレートと上記支持部材との間に配置され、ジョークラッシャの幅方向に抜き差しされることでトグルプレートと支持部材との隙間を調整可能な一対の楔形部材(クサビ部材)と、これら楔形部材をジョークラッシャの幅方向に移動させる駆動手段(液圧シリンダ)とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。この従来技術では、駆動手段により楔形部材を抜き差しして支持部材とトグルプレートとの隙間距離を調整することにより、ジョークラッシャの出口隙間の設定を容易に且つクラッシャの運転を中断することなく行うことを可能としている。
特開平7−837号公報
一般に、破砕物の粒度が整った安定した破砕を行うためには、固定歯と動歯との出口隙間を一定に保持する必要がある。したがって上記従来技術においては、破砕作業を行う際、駆動手段をロックして楔形部材の位置を固定し、調整された出口隙間の距離を一定に保持する必要がある。
ここで上記従来技術においては、同公報中図3に開示されている通り、楔形部材の位置を調整する液圧シリンダに供給される圧油を制御するバルブが中立状態のときに液圧シリンダの2つの接続口を双方ともタンクに開放するようになっており(すなわちセンターオープン型バルブとなっており)、液圧シリンダに外力が作用すれば直ちに伸縮作動する構造となっている。このとき、同公報に明示されてはいないが、通常、楔形部材の傾斜面の傾斜角度は、楔形部材が荷重を受けた時に楔形部材が傾斜面に沿って滑ろうとする力が前記傾斜面に沿って働く摩擦力及び楔形部材が接触している他の部材との間の摩擦力により打ち消されるような角度(セルフロックとなる角度)に設定されており、これにより楔形部材を一定位置に保持できるようになっている。このような構造により、動歯側から大きな荷重が加わっても楔形部材が滑って出口隙間が変動することはなく、設定した出口隙間を一定に保持したまま安定した破砕作業を行うことができるようになっている。
このように、上記従来技術においては、楔形部材を移動することにより出口隙間の調整を容易に行うことができ、また設定後には調整した出口隙間距離を保持して安定した破砕作業を行うことができるが、上述したように動歯側から荷重を受けても楔形部材が摩擦力によって動作せず出口隙間が変わらない構造であるため、例えば異物の噛み込み等により過負荷が発生した場合には、動歯側からの過大な荷重によりトグルプレートが曲がったり折れたりする恐れがあった。その結果、トグルプレートの交換が必要となり、そのために多大な時間と労力が必要となっていた。
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、出口隙間の調整を容易に行うことができ、且つトグルプレートの損傷を防止することができるジョークラッシャの出口隙間調整装置及びジョークラッシャを提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本願第1発明は、ジョークラッシャの動歯と固定歯との出口隙間を調整するジョークラッシャの出口隙間調整装置において、破砕装置フレームに固定された支持手段と、この支持手段と前記動歯の下端部との間に狭持されたトグルプレートと、このトグルプレートと前記支持手段との隙間に配置され、前記隙間の距離を調整可能であり、前記トグルプレートから荷重を受けた際に前記隙間から離れる方向に摺動可能な少なくとも1つの楔形部材と、この楔形部材を前記隙間に対して抜き差しするように駆動させる駆動手段とを備えたことを特徴とする。
本発明においては、楔形部材を、トグルプレートと支持手段との隙間に、トグルプレートから荷重を受けた際に隙間から離れる方向に摺動可能に配置する。すなわち、破砕作業中に動歯が被破砕物から受ける破砕反力がトグルプレートを介して楔形部材に伝わると、楔形部材が隙間から離れる方向に摺動する。このとき、楔形部材を駆動させる駆動手段として例えばロックシリンダを用いることにより、このロックシリンダの軸方向の摩擦力によって楔形部材が摺動しようとする力が所定の大きさとなるまで楔形部材の摺動を制動しておき、楔形部材の摺動力が所定の大きさを超えたときに楔形部材を隙間から離れる方向に摺動させてトグルプレートと支持手段との隙間を小さくし、動歯を過負荷が解消する方向に移動させることが可能である。これにより、異物噛み込み等により所定以上の負荷荷重が生じた場合であっても、ロックシリンダの摩擦力により設定される荷重より大きな荷重が動歯及びトグルプレートに作用するのを防止できる。したがって、ロックシリンダの摩擦力により設定される荷重を例えばトグルプレートの座屈荷重より小さく設定しておくことにより、トグルプレートの折れ曲がりや破損を防止することができる。
さらに本発明においては、動歯と固定歯との出口隙間を調整する際には、駆動手段で少なくとも1つの楔形部材をトグルプレートと支持手段との隙間に対して抜き差しするように駆動させることにより、トグルプレートと支持手段との隙間距離を調整する。このようにして動歯を固定歯に対して前後させることで、動歯と固定歯との出口隙間を調整できる。したがって、例えばトグルプレートと支持手段との隙間距離をシム等のスペーサにより調整する構造のように、動歯と固定歯との出口隙間を調整するためにジョークラッシャの運転を中断する必要がある場合に比べ、本発明ではクラッシャの運転を中止することなく運転中に容易に出口隙間の調整を行うことができる。その結果、クラッシャの生産性を向上することができる。
以上説明したように、本発明によれば、出口隙間の調整を容易に行うことができ、且つトグルプレートの損傷を防止することができる。
(2)上記目的を達成するために、本願第2発明は、ジョークラッシャの動歯と固定歯との出口隙間を調整するジョークラッシャの出口隙間調整装置において、破砕装置フレームに固定された支持手段と、この支持手段と前記動歯の下端部との間に狭持されたトグルプレートと、このトグルプレートと前記支持手段との隙間に配置され、前記隙間の距離を調整可能であり、前記トグルプレートから荷重を受けた際に前記隙間から離れる方向に摺動可能な少なくとも1つの楔形部材と、この楔形部材を前記隙間に対して抜き差しするように駆動させる駆動手段と、前記ジョークラッシャの負荷状態を検出する負荷検出手段と、この負荷検出手段で前記ジョークラッシャの過負荷状態を検出した場合に、前記動歯が前記固定歯から離れるように前記駆動手段を制御して前記楔形部材を駆動させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
本発明においては、負荷検出手段でジョークラッシャの過負荷状態を検出した場合、動歯が固定歯から離間可能なように制御手段で楔形部材を駆動する駆動手段を制御する。これにより、例えば過負荷発生時に駆動手段を制御して楔形部材を移動させ、動歯を積極的に大きく後退(固定歯と反対側に移動)させることが可能となる。このようにすることで、本発明によれば上記(1)と同様の効果を得ることができると共に、次のような効果をも得ることができる。
すなわち、上記(1)では過負荷時にその負荷力を用いて楔形部材を摺動させて動歯を後退させ、トグルプレートの損傷を防止する構成としているが、仮に過負荷を生じさせた異物が固定歯と動歯との間(破砕室)に残留した場合には、繰り返し過負荷を発生させたり、さらには破砕室を閉塞させてついには動歯の揺動を停止(すなわちクラッシャを停止)させてしまう可能性がないとは言えない。本発明によれば、上記したように過負荷時に積極的に動歯を大きく後退させることにより、過負荷の原因となった異物を破砕室から確実に除去することができ、上記したような過負荷の発生の繰り返しやジョークラッシャの停止を確実に防止することができる。
(3)本願第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記楔形部材は、その摺動方向に対する傾斜角度をセルフロックとなる角度よりも大きく設定した傾斜面を有することを特徴とする。
(4)本願第4発明は、上記第3発明において、前記駆動手段は、軸方向の摩擦力により前記楔形部材の摺動を制動させるロックシリンダであることを特徴とする。
(5)本願第5発明は、上記第4発明において、前記負荷検出手段は、前記ロックシリンダの負荷圧力を検出する圧力検出手段であることを特徴とする。
本発明においては、例えばロックシリンダのヘッド側の圧力を圧力検出手段で検出することにより、過負荷時にロックシリンダが縮む場合には圧力が上昇し、また過負荷時にロックシリンダが伸びる場合には圧力が低下するといったように、ロックシリンダの動作を検出することが可能である。そして、ロックシリンダが動作したということは、例えば破砕室における異物の噛み込み等によりトグルプレートに所定の大きさ以上の過大な負荷力が作用し、その負荷力により楔形部材がロックシリンダの摩擦力に抗して摺動したということであるから、ロックシリンダの動作を検出することでジョークラッシャの過負荷状態を検出することができる。
(6)本願第6発明は、上記第4発明において、前記負荷検出手段は、前記ロックシリンダのストロークを検出するストローク検出手段であることを特徴とする。
本発明においては、ロックシリンダの長さをストローク検出手段で検出することにより、ロックシリンダの動作を検出することができる。そして、ロックシリンダが動作したということは、上記(5)で述べたように例えば破砕室における異物の噛み込み等によりトグルプレートに所定の大きさ以上の過大な負荷力が作用したということであるから、ロックシリンダの動作を検出することによりジョークラッシャの過負荷状態を検出することができる。
(7)上記目的を達成するために、本願第7発明は、請求項1に記載のジョークラッシャの出口隙間調整装置を備えたジョークラッシャであることを特徴とする。
本発明によれば、出口隙間の調整を容易に行うことができ、且つトグルプレートの損傷を防止することができる。
以下、本発明のジョークラッシャの出口隙間調整装置及びジョークラッシャの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明のジョークラッシャの一実施形態を備えた自走式破砕機の全体構造を表す側面図、図2はその上面図、図3は図1中左側から見た正面図である。以下の説明において、図1中の左・右を、それぞれ本破砕機における後・前又は本体フレーム長手方向の一方側・他方側とする。
本実施形態における破砕機は、例えばビル解体時に搬出されるコンクリート塊や道路補修時に排出されるアスファルト塊等の建設現場で発生する大小様々な建設廃材、産業廃棄物、若しくは岩石採掘現場や切羽で採掘される岩石・自然石等を処理対象とし、これらを上記被破砕物として受け入れ破砕処理するものである。
図1乃至図3において、1は走行体で、この走行体1は、走行装置2と、この走行装置2の上部にほぼ水平に延設した本体フレーム3とで構成されている。4は走行装置2のトラックフレームで、このトラックフレーム4は、本体フレーム3の下部に連設されている。5,6はそれぞれトラックフレーム4の両端に設けた従動輪及び駆動輪、7は従動輪5及び駆動輪6に掛け回した履帯、8は駆動輪6に直結した走行用油圧モータである。
9,10は本体フレーム3の長手方向一方側に立設した支持ポスト、11はこれら支持ポスト9,10上に設けた支持バーである。12は破砕対象となる被破砕物を受け入れるホッパで、このホッパ12は、上方に向かって拡開するように形成されており、上記支持バー11上に複数の支持部材13を介して支持されている。
15はホッパ12の下方に位置するグリズリフィーダで、このグリズリフィーダ15は、ホッパ12とは別個にスプリング18を介して支持バー11に支持されており、ホッパ12に受け入れた被破砕物をその粒度に応じて選別しつつ後述の破砕装置20に搬送するものである。15Aはグリズリフィーダ15の本体で、このグリズリフィーダ本体15A内には、本体フレーム3の幅方向(図2中上下方向)に並設した櫛歯16を有する複数(本実施形態では2つ)のグリズリバー17が前方に向かって下る階段状に固定されている。19はグリズリフィーダ本体15Aに振動を与えるフィーダ用油圧モータで、グリズリフィーダ本体15Aは、このフィーダ用油圧モータ19により加振され、投入されたグリズリバー17上の被破砕物が前方に搬送される。
14はグリズリバー17の櫛歯16の下方に設けたシュートで、このシュート14は、グリズリバー17の各櫛歯16間の隙間から落下する被破砕物中に含まれた細粒(いわゆるズリ)等を、後述する排出コンベア40上に導く。なお、23はオプション装備されるサイドコンベア(図示せず)の設置用スペースである(図1参照)。
20は被破砕物を破砕する破砕装置(ジョークラッシャ)で、この破砕装置20は、ホッパ12及びグリズリフィーダ15よりも前方側に位置し、図1に示すように、本体フレーム3の長手方向中央付近に搭載されている。詳細は後の図4等に図示するが、この破砕装置20には、互いの隙間空間が下方に向かって縮径するよう対向配置した一対の固定歯71及び動歯72が設けられている。21は破砕装置用油圧モータ(図2参照)で、この破砕装置用油圧モータ21は図示しないフライホイールを回転駆動させる。後でも述べるが、このフライホイールの回転運動は、動歯72の揺動運動に変換され、これにより固定歯71に対して概ね前後方向に動歯72が揺動するようになっている。なお、本実施形態では、破砕装置用油圧モータ21からフライホイールへの駆動伝達構造はベルト(図示せず)を介した構成となっているが、これに限るものではなく、例えばチェーンを介する構成等、他の構成であっても構わない。
25は各油圧アクチュエータの動力源を内蔵した動力装置(パワーユニット)で、この動力装置25は、破砕装置20より更に前方側に位置し、支持部材26を介し本体フレーム3の長手方向他方側端部に支持されている。特に図示していないが、動力装置25内には、本破砕機の動力源となるエンジンやこのエンジンによって駆動される油圧ポンプ90,96(後述の図6参照)等が備えられている。なお、30,31はそれぞれ動力装置25に内蔵した燃料タンク及び作動油タンク(共に図示せず)の給油口、32はプレクリーナ、35は動力装置25の後方側の区画に設けた運転席、36は走行用油圧モータ8を操作するための走行用操作レバーである。
40は破砕装置20で破砕した破砕物等を搬送し機外に排出する排出コンベアで、この排出コンベア40は、破砕装置20の下方位置から搬送方向下流側(前方側)に向かって斜めに立ち上がるよう、支持部材41,42等を介し、動力装置25に取り付けたアーム部材43や本体フレーム3から吊り下げ支持されている。45は排出コンベア40のコンベアフレーム、46,47はコンベアフレーム45の両端に設けた従動輪(アイドラ)及び駆動輪、48は駆動輪47に直結した排出コンベア用油圧モータ(図2参照)である。50は従動輪46及び駆動輪47に巻回した搬送ベルトで、この搬送ベルト50は、排出コンベア用油圧モータ48によって駆動輪47が回転駆動されることで循環駆動される。
55は排出する破砕物中の鉄筋等といった異物(磁性物)を除去する磁選機で、この磁選機55は、支持部材56を介し上記アーム部材43に吊り下げ支持されている。磁選機55は、その駆動輪57及び従動輪58に巻回した磁選機ベルト59が排出コンベア40に対しほぼ直交するよう配置されている。60は駆動輪57に直結した磁選機用油圧モータである。磁選機ベルト59の循環軌跡の内側には、図示しない磁力発生手段が設けられており、搬送ベルト50上の鉄筋等の異物は、磁選機ベルト59越しに作用する磁力発生手段からの磁力により磁選機ベルト59に吸着され、排出コンベア40の側方に搬送され落下する。
図4は破砕装置20の内部構造を一部断面で示す側面図である。
この図4において、61は破砕装置20の破砕装置フレームで、この破砕装置フレーム61は本体フレーム3上の幅方向両側に一対固定または搭載されている。これら両破砕装置フレーム61,61の間に固定歯71が固定して設置され、この固定歯71に対向するように動歯72が破砕装置フレーム61に回動自在に設けられた偏心駆動軸62によって揺動自在に取り付けられている。このとき、固定歯71と動歯72とにより形成される空間が破砕室63であり、固定歯71と動歯72との出口隙間はこの破砕室63の下端に位置している。
動歯72の前方側(図4中右側)には支持部材(支持手段)64が両破砕装置フレーム61,61の間に固定して設置され、この支持部材64と動歯72の下端部前面側との間に動歯72に加わる荷重(被破砕物から受ける破砕反力)を支持部材64に伝達するトグルプレート65が挟持されている。このトグルプレート65の両端はそれぞれトグルシート66,67に接しており、さらに支持部材64側では支持部材64の溝部64aに取り付けられた2つのスライドプレート68,69の間に摺動可能に設置されたトグルシートプレート70、スペーサ75を介して、支持部材64の溝部64aにクラッシャ幅方向(図4中紙面垂直方向)に摺動自在に設置された2つの楔形部材76,77に連接している。なお、ここではトグルシート66,67はトグルプレート65と大きな荷重下で接触し続けることから対磨耗性を特に考慮した材料で構成してトグルシートプレート70と別部品としているが、トグルシート67とトグルシートプレート70とを一体としてもよい。
また動歯72の前方側には、トグルプレート65の脱落を防止するべく、動歯4と支持部材64との間に適宜の圧縮荷重を与えるテンション機構78が装備されており、このテンション機構78はテンションロッド79、テンションスプリング80、スプリングガイド81、スラストベアリング82、ロックナット83等を有している。
図5は上記楔形部材76,77が設置されている部分の構造を表す図4中V−V断面による矢視一部断面図である。
この図5に示すように、楔形部材76,77は、傾斜面76a,77aを有する楔形の部材であり、互いの傾斜面76a,77aが当接するようにスペーサ75と支持部材64との隙間に配置されている。これら楔形部材76,77のうち少なくとも一方(本実施形態では楔形部材77)が上記スペーサ75と支持部材64との隙間に対してクラッシャ幅方向(図5中左右方向)に抜き差しされることにより、この隙間の距離(トグルプレート65と支持部材64との隙間距離でもある)を調整可能となっている。また、楔形部材76,77の傾斜面76a,77aは、その楔形部材77の摺動方向(楔形部材76の場合には後述するロッド86の軸方向)に対する傾斜角度θがトグルプレート65から荷重を受けた際に楔形部材76,77が摩擦力(楔形部材76とスペーサ75との摩擦力、傾斜面76aと傾斜面77aとの摩擦力、楔形部材77と支持部材64との摩擦力等)に抗して摺動可能となるような大きさに設定されている。言い換えれば、傾斜面76a,77aの傾斜角度θは、トグルプレート65から荷重を受けても楔形部材76,77が摩擦力により動かないセルフロックとなる角度よりも大きく設定されている。したがって、トグルプレート65から荷重を受けた場合、楔形部材76,77はクラッシャ幅方向外側に向けて摺動しようとし、その結果、後述のロッド86及びベアロック式油圧シリンダ87に圧縮力を与えるようになっている。
上記構成の楔形部材76,77には、2つの破砕装置フレーム61にそれぞれ固定して設置されたサポート84,85にそれぞれ一端をピン連結されたロッド86及びベアロック式油圧シリンダ(駆動手段、ロックシリンダ)87がそれぞれピン連結されている。このベアロック式油圧シリンダ87は、後述する第1切換弁91によりロック・アンロックを切り換えられるようになっており、ロック状態では設定された摩擦力により定められる所定の荷重より大きな荷重を与えない限り伸縮動作不可となり、アンロック状態では自由に伸縮動作可能となる。本実施形態では、このベアロック式油圧シリンダ87の摩擦力は、破砕時の破砕反力により動歯72及びトグルプレート65等に加わる荷重がトグルプレート65の座屈荷重を超えないように設定されている(詳細は後述)。
なお、上記では楔形部材76にロッド86を連結した構造としたが、これに限らず、例えばトグルシートプレート70、スペーサ75及び楔形部材76を一体的に構成し、ロッド86を省略した構造としてもよい。また、図5に示す構成とは反対に、楔形部材76の方にベアロック式油圧シリンダ87を連結し、楔形部材77の方にロッド86を連結した構造としてもよい。
図6はベアロック式油圧シリンダ87を駆動する油圧回路を示す油圧回路図である。この図6において、第1切換弁91は、ベアロック式油圧シリンダ87のロック・アンロックを切り換える切換弁である。すなわち、コントローラ100からの指令信号により第1切換弁91がアンロック位置91Aに切り換えられた場合には、第1油圧ポンプ90からの圧油は、第1切換弁91のアンロック位置91Aを介してベアロック式油圧シリンダ87のピストンロッド92及びピストン93に設けられた通路94を経てピストン93の外周に設けられた溝部95に導かれる。これにより、ベアロック式油圧シリンダ87のシリンダ88がピストン93を拘束する摩擦力が低減され、ベアロック式油圧シリンダ87の伸縮動作が許容される(すなわちアンロック状態となる)。一方、コントローラ100からの指令信号により第1切換弁91がロック位置91Bに切り換えられた場合には、上記通路94とタンク89とが連通されて溝部95及び通路94内の圧力がタンク圧と等しくなり、ベアロック式油圧シリンダ87のピストン93がシリンダ88の摩擦力により拘束されてシリンダの伸縮動作が規制される(すなわちロック状態となる)。
また、第2切換弁97はベアロック式油圧シリンダ87の伸縮方向を切り換える切換弁である。すなわち、コントローラ(制御手段)100からの指令信号により第2切換弁97が伸長位置97Aに切り換えられた場合には、第2油圧ポンプ96からの圧油が第2切換弁97の伸長位置97Aを介してベアロック式油圧シリンダ87のヘッド側油圧室99に導かれる。これにより、ベアロック式油圧シリンダ87が伸長する。一方、コントローラ100からの指令信号により第2切換弁97が縮短位置97Bに切り換えられた場合には、第2油圧ポンプ96からの圧油が第2切換弁97の縮短位置97Bを介してベアロック式油圧シリンダ87のロッド側油圧室98に導かれる。これにより、ベアロック式油圧シリンダ87が縮短する。なお、以上のシリンダの伸縮動作はベアロック式油圧シリンダ87がアンロック状態である場合に行われる。
また、第2切換弁97の中立位置97Cには、ベアロック式油圧シリンダ87のヘッド側油圧室99に接続される通路の途中に絞り手段101が設けられるとともに、ヘッド側油圧室99に接続する回路上に圧力センサ(負荷検出手段、圧力検出手段)102が設けられている。この圧力センサ102は上記絞り手段101により発生する負荷圧力を検出し、その検出信号をコントローラ100に出力するようになっている。なお、圧力センサ102の代わりに圧力スイッチを用いてもよい。
コントローラ100は、この圧力センサ102から入力された信号に基づき、破砕装置20が過負荷状態であるかどうかを判定する。過負荷状態であると判定した場合には、ベアロック式油圧シリンダ87をアンロック状態にして固定歯71と動歯72との出口隙間を増大させる制御(以下、「出口隙間増大制御」と記載する)を行う。
図7はコントローラ100の機能のうち上記出口隙間増大制御に係わる制御内容を表すフローチャートである。
この図7において、まずステップ10では、圧力センサ102で検出したベアロック式油圧シリンダ87のヘッド側油圧室99の圧力Pを入力し、次のステップ20に移る。
ステップ20では、上記ステップ10で入力した圧力Pがしきい値Pより大きいかどうかを判定する。なお、このしきい値Pは、ベアロック式油圧シリンダ87のヘッド側油圧室99の圧力がこの値Pより大きい場合には、ベアロック式油圧シリンダ87が縮短側に動いており、破砕装置20が過負荷状態であるとみなすことができる値であり、例えばコントローラ100に予め記憶(又は適宜の外部端末により設定入力してもよい)されているものである。圧力Pがしきい値Pより大きい場合には判定が満たされ、次のステップ30に移る。
ステップ30では、第1切換弁91に指令信号を出力してアンロック位置91Aに切換え、第1油圧ポンプ90からの圧油をベアロック式油圧シリンダ87のピストン93の外周に設けられた溝部95に導く。これにより、ベアロック式油圧シリンダ87のシリンダ88がピストン93を拘束する摩擦力が低減され、ベアロック式油圧シリンダ87がアンロック状態となる。
次のステップ40では、第2切換弁97に指令信号を出力して縮短位置97Bに切換える。これにより、第2油圧ポンプ96からの圧油が第2切換弁97の縮短位置97Bを介してベアロック式油圧シリンダ87のロッド側油圧室98に導かれ、ベアロック式油圧シリンダ87が縮短する。その結果、楔形部材77がクラッシャ幅方向外側に向かって摺動してトグルプレート65と支持部材64との隙間距離が小さくなり、トグルプレート65が支持部材64側に移動されると共に動歯72の下端も支持部材64側に移動されて、固定歯71と動歯72との出口隙間が増大する。以上でこのフローを終了する。
次に、以上のような構成である本実施形態の自走式破砕機の動作及び効果を以下に説明する。
破砕作業を行う前に、所望の粒度の破砕物を得るために、まず固定歯71と動歯72との出口隙間を適宜の大きさに調整する。その際、まず第1切換弁91をアンロック位置91Aに切換え、ベアロック式油圧シリンダ87のピストン93の外周の溝部95に第1油圧ポンプ90からの圧油を導くことにより、シリンダ88がピストン93をロックする摩擦力を低減し、ベアロック式油圧シリンダ87をアンロック状態とする。次に、第2切換弁97を所要の位置に切換え、第2油圧ポンプ96からの圧油をベアロック式油圧シリンダ87のロッド側油圧室98あるいはヘッド側油圧室99に導き、ベアロック式油圧シリンダ87を伸長あるいは縮短させて、楔形部材77を所望の方向に摺動させることにより、楔形部材76、スペーサ75、トグルシートプレート70がスライドプレート68,69にガイドされて移動し、トグルプレート65がその動きを伝達して動歯72が移動し、固定歯71と動歯72との出口隙間が適宜調整される。
このようにして出口隙間を適宜の大きさに調整した状態で、油圧ショベル等によりホッパ12に被破砕物を投入すると、投入された被破砕物はグリズリフィーダ15に導入され、振動により破砕装置20に向かって搬送される。その際、グリズリバー17の各櫛歯16間の隙間よりも小さな細粒(ズリ等)は、その隙間から排出コンベア用シュート14を介して排出コンベア40上に導かれ、それより大きな被破砕物(大塊)が破砕装置20へと搬送される。破砕装置20に導入された被破砕物は、固定歯71と動歯72との出口隙間に応じた所定の粒度に破砕処理され下方の排出コンベア40上に導入される。排出コンベア40上に導かれた破砕物は、グリズリフィーダ15で選別され排出コンベア用シュート14を介して導かれた細粒と合流して前方(図1中右側)に搬送され、その途中で磁選機55により鉄筋等の異物を吸着除去された上で機外に排出される。
以上のようにして行われる破砕作業中には、上述したように固定歯71と動歯72との出口隙間が適宜の大きさに調整された状態で偏心駆動軸62の回転により動歯72が揺動し破砕室63内の破砕対象物(図示せず)を破砕するが、この時に動歯72が被破砕物より受ける破砕反力は動歯72からトグルプレート65、トグルシートプレート70、スペーサ75を介して楔形部材76に伝達され、楔形部材76,77の両方に作用する。このとき本実施形態では、前述したように楔形部材76,77の傾斜面76a,77aの傾斜角度θをトグルプレート65から荷重を受けても楔形部材76,77が摩擦力により動かないセルフロックとなる角度よりも大きく設定しているので、動歯72からの荷重は楔形部材76,77を介して適宜の大きさの分力としてベアロック式油圧シリンダ87に作用する。
ここで、破砕室63における異物噛み込み等により所定以上の負荷荷重が生起し、ベアロック式油圧シリンダ87に加わる荷重がその設定摩擦力より大きくなった場合、ベアロック式油圧シリンダ87のピストン93がシリンダ88による摩擦力に抗して滑り、ベアロック式油圧シリンダ87が縮短する。これにより、楔形部材77がクラッシャ幅方向外側に向かって(言い換えればスペーサ75と支持部材64との隙間から離れる方向に)移動し、楔形部材76、スペーサ75、トグルシートプレート70を介してトグルプレート65が支持部材64側に移動して動歯72が過負荷を解消する方向(固定歯71から離れる方向)に移動する。
このように、本実施形態では、異物噛み込み等により所定以上の負荷荷重が生起し動歯72及びトグルプレート65等に作用した場合でも、動歯72が過負荷を解消する方向に移動することにより、結果として動歯72及びトグルプレート65等に加わる荷重をベアロック式油圧シリンダ87の設定摩擦力によって設定される所定の荷重を越えないように制限することができる。本実施形態では、前述したように動歯72及びトグルプレート65等に加わる荷重がトグルプレート65の座屈荷重を超えないようにベアロック式油圧シリンダ87の摩擦力を設定しているので、トグルプレート65の折れ曲がりや破損を防止することができる。一方、動歯72及びトグルプレート65等に加わる荷重がベアロック式油圧シリンダ87の設定摩擦力によって設定される所定の荷重に達していない場合には、楔形部材77はベアロック式油圧シリンダ87内に作用している摩擦力によりその動作を拘束されているので、動歯72は所定の位置で動作を続け、固定歯71と動歯72との出口隙間は所定の設定値に保持されて、安定した破砕作業を継続することができる。
また本実施形態においては、固定歯71と動歯72との出口隙間を調整する際には、前述したように第1切換弁91をアンロック位置91Aに切り換えてベアロック式油圧シリンダ87をアンロック状態とした上で、第2切換弁97を制御してベアロック式油圧シリンダ87の伸縮動作を行い、楔形部材77をスペーサ75と支持部材64との隙間に対して抜き差しさせ、動歯72を固定歯71に対して前後させることにより行う。したがって、例えばトグルプレート65と支持部材64との隙間距離をシム等のスペーサにより調整する場合のように、固定歯71と動歯72との出口隙間を調整するために破砕装置20の運転を中断する必要がある場合に比べ、本実施形態では破砕装置20の運転を中止することなく破砕作業中であっても容易に出口隙間の調整を行うことができる。その結果、自走式破砕機の生産性を向上することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、出口隙間の調整を容易に行うことができ、且つトグルプレート65の折れ曲がりや破損を防止することができる。
さらに本実施形態では、次のような効果をも得ることができる。
すなわち、本実施形態では上述したように異物噛み込み等で過大な荷重が作用した場合には動歯72が後退して過負荷を防止する構成となっているが、仮に過負荷を生起させた異物が破砕室63内に残留した場合、繰り返し過負荷を発生させたり、あるいは偏心駆動軸62の駆動力を超える負荷となり破砕室63を閉塞したまま偏心駆動軸62の回転が停止する(すなわち破砕装置20が停止する)事態が生じる可能性がないとは言えない。そこで本実施形態では、前述したようにベアロック式油圧シリンダ87に加わる負荷圧を検出する圧力センサ102を設け、検出圧Pが所定の設定圧力P0を越えた場合に、コントローラ100から第1切換弁91に指令信号を出力してベアロック式油圧シリンダ87をアンロック状態とする。これにより、ベアロック式油圧シリンダ87の縮短動作が許容されるようになるので、異物等による負荷力により動歯72を固定歯71に対して後退させ、破砕室63内に噛み込んだ異物等を排除することができる。さらに本実施形態では、第2切換弁97に指令信号を出力してベアロック式油圧シリンダ87を積極的に縮短させるので、動歯72を固定歯71に対して大きく後退させて、破砕室63内に噛み込んだ異物等を確実に排除することができる。
なお、上記実施の形態においては、図7のフローチャートに示す出口隙間増大制御を行うようにしたが、本発明の目的に対応した効果である、出口隙間の調整を容易に行うことができ、且つトグルプレート65の折れ曲がりや破損を防止することができるという効果を得る限りにおいては、出口隙間増大制御は必ずしも必要ない。
また、本発明は、上記一実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で、種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(1)ベアロック式油圧シリンダを2つ用いる場合
上記実施形態においては、2つの楔形部材76,77のうち、一方側の楔形部材77にベアロック式油圧シリンダ87を連結し、もう一方側の楔形部材76にはロッド86を連結した構成としたが、これに限らず、例えば図8に示すように楔形部材76にも楔形部材77と同様にベアロック式油圧シリンダ87を連結してもよい。この場合、上記実施形態と同様の効果を得る上に、固定歯71と動歯72との出口隙間を調整するのに必要なベアロック式油圧シリンダ87のストロークを上記実施形態と比べて半分にすることができ、ベアロック式油圧シリンダ87の長さを短くできるという利点がある。またその結果、サポート84,85の幅方向外側への出っ張りを小さくできるので、破砕装置20の幅方向寸法を小さくすることができる。
(2)ストロークセンサを用いて破砕装置の過負荷を検出する場合
上記実施形態においては、破砕装置20の過負荷状態を見るために、圧力センサ102を用いてロック式油圧シリンダ87の負荷圧を検出するようにしたが、これに限らない。すなわち、例えばストロークセンサを用いてロック式油圧シリンダ87のストロークを検出するようにしてもよい。
図9は本変形例におけるベアロック式油圧シリンダ87を駆動する油圧回路を示す油圧回路図であり、上記実施形態の図6に対応する図である。この図9に示すように、本変形例では、ストロークセンサ(負荷検出手段、ストローク検出手段)103を用いてロック式油圧シリンダ87のストロークを検出し、その検出信号がコントローラ100に入力される。検出信号を入力されたコントローラ100は、入力したロック式油圧シリンダ87のストロークをしきい値と比較してロック式油圧シリンダ87が動作したかどうかを判定し、破砕装置20が過負荷状態であるかどうかを検出する。その他の構成については前述の図6と同様であるので説明を省略する。
本変形例によっても上記実施形態と同様の効果を得る。
(3)ベアロック式油圧シリンダを縦配置とする場合
上記実施形態においては、ロッド86及びベアロック式油圧シリンダ87をクラッシャ幅方向に設置するようにしたが、これに限らず、例えば図10に示すようにロッド86及びベアロック式油圧シリンダ87を縦配置としてもよい。この場合、楔形部材76,77についても縦配置とし、楔形部材77を略上下方向に摺動するように配置する。本変形例によれば、自走式破砕機の幅方向の寸法を小さく収めることができるので、例えばクラッシャの幅方向の寸法が制限されるような場合に好適である。
(4)破砕装置用油圧モータの負荷圧、回転数で過負荷を検出する場合
上記実施形態及び上記変形例(2)では、ロック式油圧シリンダ87の負荷圧やストロークを検出することにより、ロック式油圧シリンダ87が動作したかどうかを見て破砕装置20の過負荷状態を検出するようにしたが、これに限らない。すなわち、破砕装置20の偏心駆動軸62を回転駆動させる破砕装置用油圧モータ21の負荷圧又は回転数を検出し、例えばこれら検出した負荷圧又は回転数をしきい値と比較することにより破砕装置20が過負荷状態であるかどうかを判定するようにしてもよい。通常、過負荷時における破砕装置20の停止制御を行うために、上記破砕装置用油圧モータ21の負荷圧を検出する圧力センサ又は破砕装置用油圧モータ21の回転数を検出する回転数センサが自走式破砕機に設置されており、本変形例ではその圧力センサ又は回転数センサを流用して出口隙間増大制御を行うことができるため、上記実施形態で用いた圧力センサ102やストロークセンサ103を不要とすることができる。これにより、構造の簡素化及びコスト低減を図れる。
(5)楔形部材の摩擦を低減させる場合
上記実施形態においては、前述したように楔形部材76,77の傾斜面76a,77aの傾斜角度θをトグルプレート65から荷重を受けても楔形部材76,77が摩擦力により動かないセルフロックとなる角度よりも大きく設定することにより、動歯72からの荷重を楔形部材76,77を介して適宜の大きさの分力としてベアロック式油圧シリンダ87に作用させるようにしている。すなわち、傾斜面76a,77aの傾斜角度θを大きくするという手段により、本発明の目的である出口隙間の調整を容易に行うことができ且つトグルプレートの損傷を防止することができる構成を実現させているが、これに限らず、例えば楔形部材76,77の摩擦を低減させるという手段により、傾斜面76a,77aの傾斜角度θを大きくすることなく本発明の目的を達成させてもよい。この場合、例えば楔形部材76,77及びその周辺部材である支持部材64、スペーサ75等を摩擦の小さい材料で構成してもよいし、又はこれらの部材の表面加工処理を行うことにより、当接面の摩擦力を低減するようにしてもよい。本変形例によっても上記実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
本発明のジョークラッシャの一実施形態を備えた自走式破砕機の全体構造を表す側面図である。 本発明のジョークラッシャの一実施形態を備えた自走式破砕機の全体構造を表す上面図である。 本発明のジョークラッシャの一実施形態を備えた自走式破砕機の全体構造を表す正面図である。 本発明のジョークラッシャの一実施形態の内部構造を一部断面で示す側面図である。 本発明のジョークラッシャの一実施形態が有する楔形部材が設置されている部分の構造を表す図4中V−V断面による矢視一部断面図である。 本発明のジョークラッシャの一実施形態が有するベアロック式油圧シリンダを駆動する油圧回路を示す油圧回路図である。 本発明のジョークラッシャの一実施形態を備えた自走式破砕機が有するコントローラの機能のうち、出口隙間増大制御に係わる制御内容を表すフローチャートである。 ベアロック式油圧シリンダを2つ用いる場合の変形例における楔形部材が設置されている部分の構造を表す一部断面図である。 ストロークセンサを用いて破砕装置の過負荷を検出する場合の変形例におけるベアロック式油圧シリンダを駆動する油圧回路を示す油圧回路図である。 ロック式油圧シリンダを縦配置とする場合の変形例における破砕装置の内部構造を一部断面で示す側面図である。
符号の説明
20 破砕装置(ジョークラッシャ)
61 破砕装置フレーム
64 支持部材(支持手段)
65 トグルプレート
71 固定歯
72 動歯
76 楔形部材
76a 傾斜面
77 楔形部材
77a 傾斜面
87 ベアロック式油圧シリンダ(駆動手段、ロックシリンダ)
100 コントローラ(制御手段)
102 圧力センサ(負荷検出手段、圧力検出手段)
103 ストロークセンサ(負荷検出手段、ストローク検出手段)

Claims (7)

  1. ジョークラッシャの動歯と固定歯との出口隙間を調整するジョークラッシャの出口隙間調整装置において、
    破砕装置フレームに固定された支持手段と、
    この支持手段と前記動歯の下端部との間に狭持されたトグルプレートと、
    このトグルプレートと前記支持手段との隙間に配置され、前記隙間の距離を調整可能であり、前記トグルプレートから荷重を受けた際に前記隙間から離れる方向に摺動可能な少なくとも1つの楔形部材と、
    この楔形部材を前記隙間に対して抜き差しするように駆動させる駆動手段と
    を備えたことを特徴とするジョークラッシャの出口隙間調整装置。
  2. ジョークラッシャの動歯と固定歯との出口隙間を調整するジョークラッシャの出口隙間調整装置において、
    破砕装置フレームに固定された支持手段と、
    この支持手段と前記動歯の下端部との間に狭持されたトグルプレートと、
    このトグルプレートと前記支持手段との隙間に配置され、前記隙間の距離を調整可能であり、前記トグルプレートから荷重を受けた際に前記隙間から離れる方向に摺動可能な少なくとも1つの楔形部材と、
    この楔形部材を前記隙間に対して抜き差しするように駆動させる駆動手段と、
    前記ジョークラッシャの負荷状態を検出する負荷検出手段と、
    この負荷検出手段で前記ジョークラッシャの過負荷状態を検出した場合に、前記動歯が前記固定歯から離れるように前記駆動手段を制御して前記楔形部材を駆動させる制御手段と
    を備えたことを特徴とするジョークラッシャの出口隙間調整装置。
  3. 前記楔形部材は、その摺動方向に対する傾斜角度をセルフロックとなる角度よりも大きく設定した傾斜面を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のジョークラッシャの出口隙間調整装置。
  4. 前記駆動手段は、軸方向の摩擦力により前記楔形部材の摺動を制動させるロックシリンダであることを特徴とする請求項3記載のジョークラッシャの出口隙間調整装置。
  5. 前記負荷検出手段は、前記ロックシリンダの負荷圧力を検出する圧力検出手段であることを特徴とする請求項4記載のジョークラッシャの出口隙間調整装置。
  6. 前記負荷検出手段は、前記ロックシリンダのストロークを検出するストローク検出手段であることを特徴とする請求項4記載のジョークラッシャの出口隙間調整装置。
  7. 請求項1に記載のジョークラッシャの出口隙間調整装置を備えたことを特徴とするジョークラッシャ。
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